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2121件中 401~450件 を表示しています。
75点
1と2の中間あたりを狙った、安定感ある大作

いまや、トム・クルーズの代名詞的シリーズとなった、ミッションインポッシブルの第3弾がこれ。監督やトム様の相手役の人選を巡って二転三転、完成は遅れに遅れ、ようやく公開である。

今回、トム・クルーズ演じるスパイ、イーサン・ハントは諜報員を引退し、スパイ教育係となっている。一般人の女性と婚約もすみ、あとは悠々自適だと思っていた矢先、招集がかかる。教え子のスパイが捕らえられ、その救出作戦にあたってくれというのだ。

さて、このパート3は、ジョン・ウー監督のお気楽アクション=M:i-2 の反省を踏まえてか、オリジナルのテレビ版の魅力であった、「スパイ仲間のチームプレイ」要素をやや濃くさせたものになっている。大雑把な印象としては、パート1とパート2を足して2で割った、という感じだ。

75点
万人向けの楽しいミステリ映画

『トリック』は、2000年から続く人気テレビシリーズだ。阿部寛演じる物理学者と、仲間由紀恵演じる奇術師のかけあいが楽しい、笑えるミステリである。

この劇場版第2作では、上田(阿部寛)がある青年から、助けを求められる。彼によると、幼馴染の少女(堀北真希)が、ある霊能力者(片平なぎさ)が支配する島に連れ去られてしまったのだという。著書を誉められ、調子に乗った上田は依頼を快諾、当たり前のように奈緒子(仲間由紀恵)を半ば強引に連れて、島に上陸するのだった。

思いついたら即実行、というわけで、全くストレスを感じさせない、テンポの速い展開である。このあたりはいかにもテレビ世代向け。いくつものミステリトリックが楽しめるが、それぞれ一切もったいぶらず、どんどん手の内を見せて先に行く。誰もが超能力かと思ったものを、仲間がトリックを暴いていくシーンは、私のような手品の素人にとっては、大きな驚きがある。

75点
最後の最後に明らかになる、あまりにリアルな感動

『ステイ』はネタバレ厳禁、とんでもない結末を持つ映画だが、その結末は他のミステリ映画のように、観客を驚かせるためのものではない。

主人公は、精神科の医師(ユアン・マクレガー)。今日からちょいとやっかいな患者(ライアン・ゴズリング)の担当になった。その患者は悲しげな瞳をした青年で、もうすぐ自殺すると、その日時まで指定して去っていった。最初は戸惑う主人公だったが、前任者の医師が急に引きこもってしまったり、この患者が雹が降ることを正確に予知するなど、不思議な出来事を目の当たりにするにあたり、狂言自殺の類ではないと確信する。彼の命を救うべく、必死にその行方を探す主人公だが……。

この映画をみると、意味不明なシーンの挿入や、カットのつなぎ方のヘンさ、こちらを落ち着かなくさせる映像へのエフェクトなど、とにかく見た目のわかりにくさに、頭の中に???が並ぶだろう。ただし、それらにはすべて意味がある。時には伏線として、時には結末を暗示する大胆なヒントとして、そうした仕掛けは観客に提示される。私はこの映画をすでに2度観たが、背景の音や群集のセリフにいたるまで、非常に手の込んだ仕掛けが施してあることが見て取れた。

75点
怖い! 面白い! 今度はホラーだ

ゴールデンウィーク向けの映画が続々公開されているなか、子供向けアニメの本命『クレヨンしんちゃん』も新作が登場する。

最近カスカベの街では、妙なうわさが広まっている。ある日突然、隣人が「そっくり人間」に取って代わられ、本物はどこかに連れ去られてしまうというのだ。最初は信じなかった子供たちも、家族や幼稚園の先生たちが、急に性格が豹変するのを見ると……。

なんと今回のクレしん映画は、ホラーである。まったくもって異色だが、これがまた本当に怖いのだからたまらない。たぶん、小さい子供が見たら泣く。なにしろあのふにゃふにゃした絵柄と世界観の中で恐怖シーンが描かれるのだ。私などは昔、「ドラえもんが、突然血を流して死んだら一番怖い映画になる」などと、くだらん妄想を話し合ったものだが、それが現実になってしまった。

75点
見方を間違えなえれば楽しめる

『サウンド・オブ・サンダー』は、まさに「超映画批評」のような事前レビューサイトの役割を問われる一本といえる。というのも、この映画を予告編や、雑誌の無難な紹介記事の印象だけで期待して観に行くと、かなりの確率で外すと思われるからだ。

しかし、適切な内容の事前レビューを読んで、期待すべき点を間違えずに劇場に出かければ、じつはこれ、けっこう満足できる作品なのである。今これを読んでいる皆様に、そのあたりを適切に伝えられるよう、私としても全力を尽くしたい。何しろ今週は、ただでさえ公開作品が少ない上、たまたまTV出演や取材が重なり、私自身、ほとんど試写会場に出向くことができず、紹介できるのがこれ1本きりなのだから(次週からは元に戻ります)。

この映画の舞台となるのは近未来、西暦2055年だ。この時代、金持ちの流行といえば、タイムトラベル。まあ、今でいうホリエモンらIT成金たちが、ありあまった金で宇宙旅行に行くようなものだ。宇宙旅行といいながら、実際は大気圏外にちょびっと出て放物線飛行を行い、数分間の無重力体験ができる程度であるように、この映画の中で行われるタイムトラベルというのも、決してドラえもんよろしく、好きな時代に自由にいけるレベルのものではない。旅行会社が設定する「ツアーコース」は、毎回同じ場所、同じ時刻に数分間だけ、わずか1メートル程度の幅の「エリア」のみ。そこへ、ガイドの先導で出かけるという趣向なのだ。

75点
生きる方向を失いつつあるサラリーマンに見てほしい

『燃ゆるとき』は、マルちゃんブランドで知られる食品会社の実話を元にした映画だ。80年代から90年代にかけて、まだ、アメリカ市場における数々の恐ろしいルールを知らなかった「うぶな」日本企業が、何度も煮え湯を飲まされながらも、果敢に立ち向かっていく熱血企業ドラマである。

主人公の営業マン(中井貴一)は、韓国の安い商品に押されつつあった米国のカップ麺工場の再生のため、カリフォルニアに派遣される。その工場は、黒人やヒスパニックなど、現地雇いの従業員を中心に稼動していたが、派遣早々、主人公は彼らをレイオフしなければならない厳しい現実にさらされる。日米の消費者の味覚の差や、セクハラなど社会環境の違いに悩まされながらも、彼は米国市場に戦いを挑んでゆく。

タイトルどおり、とても熱いサラリーマン映画だ。この映画を見ると、日本人であること、日本のサラリーマンである事を誇りに思うことができる。全編に、米国発新自由主義経済に対する批判のメッセージがこめられている。

75点
思想色は薄い、感動の戦争ドラマ

2005年は戦後60周年ということで、『ローレライ』『亡国のイージス』『戦国自衛隊1549』といった、軍事大作の公開が続いた。しかし、大東亜戦争(太平洋戦争)を真っ向から描いた戦争大作は、今年最後を締めくくるこの『男たちの大和 YAMATO』だけだ。製作発表時から、大いに期待されてきたこの作品の出来は、いったいどうなのか。

戦艦大和の生き残りを父に持つヒロイン(鈴木京香)は、父の生き様を知るため、漁船を借りて大和の沈没地点に向かう。そしてその道すがら、父の同僚だった船長から、大和の沖縄水上特攻作戦の真実を聞かされる。

さて、沖縄水上特攻作戦とは、史上最強かつ最大だった戦艦大和最後の作戦の事だ。当時の日本は、すでに敗色が濃厚。だが、本土たる沖縄を守るため、彼らは航空支援が無いにもかかわらず、上陸した米軍を艦砲射撃で殲滅するため、護衛艦隊と共に出撃した。しかし、400機近い圧倒的戦力の米軍機から猛烈な攻撃を受け、乗員2千数百名と共に、東シナ海の藻屑と消えたのだ。

75点
企業の裏側を暴く、娯楽性の高いドキュメンタリー

現在、資本主義……というより、アメリカ式のグローバリズム、自由経済の弊害が、世界中で非難を浴びるようになってきた。そうした問題を扱ったドキュメンタリー、それがこの『ザ・コーポレーション』だ。

タイトルにもなっている"企業"とはいったい何なのか。その行動原理や、現在地球にどのような影響を与えているかを、まずは順に分析する。企業は"法人"という擬似人格を与えられているくらいなのだから、人間に対する診断手法も当てはまるはず、というユニークな視点から、企業を分析し、彼らを"サイコパス"と診断する。この冒頭がかなり面白く、一気に引き込まれる。

その後は、現在グローバル企業の犯している様々な犯罪、非道徳的な所業の数々を紹介していくわけだが、つまりはこうした、企業犯罪に対する批判こそがこの映画の本質であろう。145分間、観客を飽きさせぬために、随所にエンタテイメント的な演出が見られ、なかなかよく工夫しているなと感じさせる。

75点
美しい風景の中で展開する4つの感動物語

アン・ブラッシェアーズのベストセラー『トラベリングパンツ』の映画化。

16歳になる4人の少女は、母親同士がマタニティ教室で一緒になって以来の大親友。彼女らはこの夏、初めて離れ離れになる。リーナは祖父母の住むギリシャへ、カルメンは別居中の父と過ごし、ブリジットはメキシコのサッカーキャンプに参加、そしてティビーは地元のスーパーでバイトする。そんな4人はある日不思議なジーンズをお店で見つける。それは、体型のまったく違う4人にフィットする魔法のジーンズ。彼女らは早速入手すると、一人1週間の期限を設け、まわし穿きするルールを定める。

4人の少女の一夏の物語をそれぞれ追いかけた、切なく感動的な青春ドラマ。この映画に登場する「ジーンズ」は、全員のお尻にフィットする不思議なジーンズであるが、それ自体は特別何かファンタジックな奇跡を起こすわけではない。4人の間を行ったり来たりしながら、物語の進行役となるのみである。

75点
結婚を考えているカップルが見たら最高に楽しいコメディ

『バタフライ・エフェクト』で主人公を演じたアシュトン・カッチャーの主演最新作。67年の『招かれざる客』という作品の一風変わったリメイクで、「白人と黒人が結婚する」という米国における難題テーマを、両者の立場を反対に設定して、軽いロマコメに仕上げた作品。

愛娘(ゾーイ・サルダナ)が結婚を前提に交際している彼氏を連れてくるというので、頑固者で心配性の父親(バーニー・マック)は男の身辺調査を依頼する。その結果、完璧な好青年だとわかり一時は安心した父だったが、黒人の娘がつれてきたのは、まったく予想外なことに、白人のハンサムな青年(A・カッチャー)だった。

40年近く前の映画が描いたテーマ、すなわち白人と黒人の結婚が、いまだに特別なものとして映画の主題になるあたりに人種問題の難しさを感じてしまうが、幸いにしてこの『ゲス・フー 招かれざる恋人』は、気軽に見られるロマンティック・コメディ。こんな風にギャグにして笑い飛ばす事ができるというのは、まだマシというべきか。

75点
人気漫画の映画化としてはまれにみる成功例

累計2200万部を売上げ、現在も連載中の大ヒットコミックの映画化。矢沢あいによるこの原作は、幅広い年齢層の女の子に絶大な人気を誇る。

成功を目指すロックバンドのボーカリスト大崎ナナ(中島美嘉)と、遠距離彼氏を追いかけてきた小松奈々(宮崎あおい)。同じ名前を持つ二人は同じ上京列車の中で出会い、意気投合する。やがて部屋探しの折に偶然再会した二人は、その部屋で共同生活をはじめる。性格は正反対の二人だが、それでも強く引かれ合い、やがてお互い不可欠な存在となっていく。

映画『NANA』は良かった。原作を知らない者も原作のファンも、どちらも恐らく楽しめるであろうなかなか優れた青春友情ドラマとして成り立っている。

75点
幾多の類似品とは違う、これぞゾンビ映画のオリジナル

60〜70年代から始まるゾンビ映画の始祖ジョージ・A・ロメロ監督による最新作。幾多の粗悪な類似品とは明らかに一線を画す、これぞまさにオリジナル、本家本元によるゾンビ映画だ。

舞台は地上を生ける屍に支配されたアメリカ。生き残った人々は川に囲まれたわずかな地域をフェンスで囲み、ゾンビから身を守って生きている。しかしその“町”は一人の権力者(デニス・ホッパー)により支配され、人々は搾取され、貧しい暮らしを余儀なくされていた。主人公(サイモン・ベイカー)は、仲間とともに特殊な装甲車デッド・リコニング号で外の世界に繰り出し、ゾンビを蹴散らしながら廃墟の街に残った物資を収集してくる傭兵。そして彼の右腕チョロ(ジョン・レグイザモ)は、密かに上流階級への仲間入りを企んでいた。

のっけからゾンビとの激しい戦いの連続で見せる迫力のアクションホラーだ。局地戦ではその戦力差でゾンビを圧倒する人類は、完全に彼らをなめきっており、その戦いはもはや戦争というより虐殺の様相を呈している。ゾンビを“恐ろしい化け物”として描くだけでなく、本当に残酷で恐ろしいのは人間の方だというメッセージはこの監督特有のもので、『ランド・オブ・ザ・デッド』が他の単純なゾンビホラーとは違うのだと冒頭からわかるようになっている。

75点
この上ない不謹慎さと意外なド迫力映像のあわせ技

過激でブラックなアニメシリーズ『サウスパーク』で知られるトレイ・パーカーとマット・ストーンによる、マリオネット(操り人形)アクション大作。

テロを根絶するため、国際警備組織“チーム・アメリカ”が結成された。彼らはハリウッドを拠点とし、強力な武器と車両で世界中のテロリストを虐殺、いや退治していた。ある日彼らは独裁者が大量破壊兵器を取引しようとしている情報をキャッチ、おとり捜査のため俳優のゲイリーをスカウトすることにきめた。

人形劇である。それも糸であやつるマリオネット。CGなどのこじゃれた最新技術は使わない。ところが、えらく精巧なセットと本格的な音響効果、『マトリックス』シリーズや『スパイダーマン2』で知られる撮影監督らの力によって、とんでもない迫力のアクション映画に仕上がっている。一本のアクション作品として、他の実写ハリウッド娯楽大作と比べて見ても、十二分に楽しめるという凄い作品だ。

75点
一度じゃとても見切れない圧倒的な情報量

ジョージ・ルーカスが28年間に渡り作り上げてきた壮大なSFシリーズの完結編。スター・ウォーズは本来9部作で、まだエピソード7〜9が作られるのではと期待されているが、ルーカス本人はもう作らないといっている。そうは言ってもたぶんそのうち作るとは思うが、実際にどうなるかはわからない。

激化する共和国と独立惑星連合との戦いを軸に、主人公アナキン(ヘイデン・クリステンセン)がダークサイドに落ちていく過程を悲劇的に描く。その流れの中で、愛するパドメ・アミダラ(ナタリー・ポートマン)との恋の行方、師匠であり友であるオビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)との別れなど、あらゆる登場人物の運命を一気に描く2時間21分。見ごたえたっぷり、文句なしの超大作だ。

『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』は、ファンにとってはもう、オチはわかっているわけであるから、そこまでいかにして話を進めていくか、どう演出してくれるかが見所。基本的にストーリー運びは前作、前々作同様うまくないので、あらかじめある程度の予備知識を持っていったほうがよいかもしれない。なんといってもエピソード3は、“選ばれし者”だったはずの主人公アナキンが、悪の権化ダースベーダーに変わっていくという“ひねり”があるのでちと複雑だ。単なる各軍の対立構図やストーリーに迷って、彼の心理の移り変わりという最大の見所を逃すのはもったいない。

75点
シリーズ最高傑作

DCコミックス不滅の人気キャラクター、バットマンを映画化したシリーズ最新作。監督は時系列を逆にした異色作「メメント」のクリストファー・ノーラン。渡辺謙が出演しているのも話題だ。

本作はシリーズパート1よりさらにさかのぼった時代を描いたもので、目の前で両親を殺された若き主人公が、ヒマラヤへの一人旅で心身ともに成長、特殊能力も修行の末に獲得し、やがてバットマンとしてゴッサムシティを守るようになるまでの話である。バットマンはスーパーマンやスパイダーマンと違い、超能力を持たないただの生身の人間であるが、彼がそれでもなぜ強いのか、その秘密が明らかになる。このあたり、へぇ〜の連続である。

最初に言っておくと、本作はシリーズ中では最も面白く、そしてカッコいい。このバットマン誕生編は、予想外のすばらしい出来映えであった。

75点
見た人の何割かは確実に拒否するが、それもやむをえない

仰天結末型のアイデア映画。主演は演技派で知られるジュリアン・ムーア。この配役もまた、一種の引っ掛けになっているような気がしてならない。さらにいえば、CMや各種媒体の無難な映画紹介といったパブリシティ全般でのイメージ作りまでもが、壮大なミスディレクションになっているという映画だ。

逆にいえば、それらをみてイメージするものを期待してみに行った観客の何割か(恐らくかなり多数)が、見終わった後、期待を裏切られたといってこの作品を拒否するであろう。こういうジャンルを嫌いな人は非常に多く、かつて似たような某作品の時にまきおこった、文字通り賛否両論の騒ぎを見ると、それは明らかだ。

しかしながら、ツボにはまった人にとっては相当満足度の高い作品になることも間違いない。「見る前に読む」ことが身上の超映画批評においては、書く側としても非常に難度の高いレビューになると思うが、とりあえずチャレンジしてみる。

75点
インチキな偽善的純愛モノよりずっといい

初恋の悩みを2ちゃんねるに相談した、あるオタクの実話(掲示板の書き込みなので信憑性は100%ではなかろうが)を映画化したもの。

主人公は22歳の同人オタク(山田孝之)。彼は今日もアキバ(秋葉原)のフィギュアショップなどを覗いた後、私鉄で帰路につこうとしていた。そのとき目の前で中谷美紀似のお嬢様(中谷美紀)が酔っ払いに絡まれ、彼は思いもかけず彼女を助けてしまう。後日お礼にエルメスのティーセットが届いたことから、彼は自分の高まる恋心を匿名掲示板「2ちゃんねる」に相談するのだった。

さて、普段は罵詈雑言の嵐を浴びせる2ちゃんねるの名無しさんたちであるが、あまりに切実かつ純情な主人公の様子に、やがてマジレスが飛び交うようになる。ハンドルネーム「電車男」を名乗る主人公は、そんな彼らからのアドバイスを元に、助けた彼女(エルメスと命名)にアタックするというラブストーリーだ。

75点
好きな人にはたまらない作品なのだが……

その神秘的でハンサムなルックスで人気のキアヌ・リーブスが、『マトリックス』シリーズの主人公ネオ役のあとに選んだというSFアクション大作。

主人公(K・リーブス)は各地の超常現象を解決している悪魔祓い。彼は地獄や天国から人間界に侵入してきた存在“ハーフブリード”が見えるという特殊能力を持つ。その能力に悩み、かつて大罪である自殺未遂をした事のある彼は、すでに死後の地獄行きが決定されている。しかし、そこがあまりに恐ろしい場所だと知ってしまった今、彼は天国からのお目こぼしを勝手に期待して、地獄からのハーフブリードを日々退治しているのだった。

ところがそんな勝手な努力を、意地悪な神様&天使はまるで認めようともしない。しかも悪いことに、ヘビースモーカーである主人公は肺がんと判明、余命1年と宣告されてしまう。

75点
映画を知らぬ監督が作ったとは思えない

いじめられた恨みを晴らそうとする二重人格の少年を描いた井上三太の同名コミックを実写映画化したもの。主人公役は小栗旬(おとなしい本来の人格=村崎十三)と中村獅童(強暴な別人格=13号)が二人一役で演じている。

主人公の若者、村崎十三(小栗旬)は、10年前の小学生時代、自分をいじめていた男(新井浩文)のアパートを探し当て、復讐のため越してきた。さらに男と同じ職場にバイトとして入社するも、彼は十三の顔すら覚えていなかった。不良時代と変わらず横暴かつ乱暴な男は、今では妻と小さな子供の3人で幸せに暮らしていたが、十三は手始めにその妻に接近していく。

原作漫画はかつて何人かの監督から映画化のオファーがきたというが、原作者はあえて映画経験のないCMディレクターの井上靖雄監督を選んだ。アメコミのごとくアクの強い自分の絵柄を違和感なく実写化できるのは、井上監督の映像センスしかないと思ったそうである。

75点
大人でも楽しめるバランスいい冒険映画

頭は薄いがインパクトの強いお顔をもつ人気俳優ニコラス・ケイジ(「マッチスティック・メン」ほか)主演のアクション・アドベンチャー。ハリウッドNo.1のブロックバスター(=超大作)請負人ジェリー・ブラッカイマー(「パイレーツ・オブ・カリビアン」ほか)製作の、健全なファミリー・カップル向け娯楽大作だ。

歴史学者&冒険家の主人公(N・ケイジ)は、一族が先祖代々追ってきた秘宝を追い求め、世界を飛び回っている。歴史上の権力者とともにあったこの秘宝は、アメリカ独立戦争時の混乱で行方不明になっていたが、彼は合衆国独立宣言書にそのヒントが隠されている事をつきとめる。

主人公とその相棒は、金髪巨乳美女なのに知性的という、キャラクター的ギャップが新鮮な公文書管理者と協力し、その秘宝を探す旅に出る。歴史学者ニコラス・ケイジは、一見そうは見えないがとにかく頭がよい。その知性と豊富な知識を武器に、次々と謎を解いていく。

75点
オドレイ・トトゥのヌード目当ての人も、作品の出来の良さに満足するはず

ミニシアター系の作品としては記録的な興行成績を持つ『アメリ』の監督(ジャン=ピエール・ジュネ)と主演女優(オドレイ・トトゥ)のコンビによる、感動の戦争ドラマ。

舞台は第一次大戦下のフランス、主人公(A・トトゥ)は純粋な心を持つ足の不自由な少女。ある日、彼女の元に恋人戦死の報が届く。しかし、彼の生存を信じる彼女は、私立探偵を雇うとともに、私財をつぎ込んで自らも彼の足跡をたどってゆく。

『ロング・エンゲージメント』は、一人の心やさしい少女が、死んだとされる恋人の行方を必死に捜し歩く物語だ。恋人を探すヒロインのパートと、過酷な戦場で何が起きたのかを描く彼氏のパートに大きく分けられ、交互に物語が展開する。

75点
潜水艦映画にまたひとつ傑作が誕生した

敵味方が協力して動かす羽目になったUボート艦長らの、葛藤と決断を描いた潜水艦映画。

ときは1943年、第二次世界大戦の大西洋下。敵魚雷にやられた米潜水艦の艦長と乗組員数名は、敵Uボートの捕虜にされてしまう。しかし伝染病の蔓延により乗組員が激減、Uボート艦長は生存のためやむなく捕虜たちをクルーに加える決断を下す。両軍兵士が対立する中、米駆逐艦の攻撃を受け艦は損傷、背後からは友軍のUボートもやってくる。米独どちらにつくべきか、運命共同体となった彼らに最後の決断が迫られる。

生きるために敵軍と協力する決断をした時点から、この潜水艦Uボートの目的は微妙に変化していくことになる。すなわち軍隊として敵を殲滅するという目的から、いかに生還するかという事に、本人たちも知らずに変わっていくのだ。

75点
あまりに感動的な「ピーターパンの出来るまで」

名作「ピーター・パン」の誕生秘話を、半フィクションで描いた感動物語。ジョニー・デップ(「パイレーツ・オブ・カリビアン」ほか)、ケイト・ウィンスレット(「タイタニック」ほか)、ダスティン・ホフマンといった演技派競演による、ピーターパン誕生100周年にふさわしい良質なドラマだ。

舞台は1903年のロンドン。主人公の劇作家(J・デップ)は新作の不評で落ち込む中、気晴らしの散歩中にある未亡人一家と出会う。その子供たちのひとり、なぜか空想の世界で遊ぶことを拒絶する三男のピーター(フレディ・ハイモア)に強く惹かれた彼は、やがて一家と積極的に付き合うようになる。

未亡人(K・ウィンスレット)とその子供たちと度々会うことであらぬ噂を立てられ、妻との仲がぎくしゃくしながらも、彼はピーターやその家族と深く付き合って行く。一家の中に自らの少年時代と心の傷を見た主人公は、彼らを救いたいと思うとともに、自らの情熱を新作の執筆にぶつけていく。そうして出来たその新作劇こそ、あの「ピーター・パン」というわけだ。

75点
的確な描写とスリリングなストーリーで見ごたえ十分

一軒の家を巡る争いと人間模様を描いた同名小説の映画化。演技派の役者をそろえ、見ごたえのある人間ドラマを展開する。

夫と別れたショックで茫然自失の日々を送る主人公(ジェニファー・コネリー)は、亡き父が残した海辺の美しい家で一人暮らしている。ところがわずか数百ドルの税金を滞納したため、当局に家を差し押さえられてしまう。弁護士に相談した結果、行政の手違いが判明したものの、そのときすでに家は競売にかけられており、イランからの移民一家に買われてしまっていた。

家の新所有者となった家族の長たる男(ベン・キングズレー)は、イランで軍の高官をつとめていたためプライドが高い。彼は家族とともに亡命してきたのだが、米国では最底辺の肉体労働者として屈辱の日々を送っていた。だから全財産をはたいて買ったこの家は、故郷と同等の暮らしに戻る最大のチャンスであり、よってそれにかける執着もハンパではない。

75点
主演女優の情熱が伝わってくる一本

全米初の女性死刑囚アイリーン・ウォーノスの半生を描いた衝撃的なドラマ。彼女が連続殺人を犯すことになった直接のきっかけである恋人との関係をメインに、主演女優が脅威の役作りで挑んだ渾身の一本。

1986年アメリカ、売春婦のアイリーン・ウォーノス(C・セロン)は、自殺する前に有り金5ドルを使い果たすつもりで入ったバーで、セルビー(クリスティーナ・リッチ)という名の女性と出会う。同性愛者である彼女もアイリーン同様、社会から疎外感を感じていた一人だった。生まれて初めて他者に受け入れられたアイリーンは、セルビーのためにもう一度人生をやり直そうと決意するが、コネも何もない街娼が簡単に復帰できる社会など、どこにもなかった。

母親が父親を撃ち殺したという壮絶な過去を持ち、自身も死刑制度反対論者である主演女優シャーリーズ・セロンの役作りは凄いの一語に尽きる。つらい環境からのし上がってきた女優だけに、もともと性根の座った人ではあるが、比較的これまで綺麗どころの役柄が多かっただけに、ここまでやるかという衝撃は激しいものがあった。

75点
前作をあらゆる面で超えたアッパレなパート2

アメコミ原作のアクション青春ドラマPART2。世界中で特大ヒットを飛ばした前作のおかげで、今回はハリウッド史上最高額220億円の製作費を投じて作られる事になった。トビー・マグワイア、キルスティン・ダンストといった主要キャストとサム・ライミ監督らスタッフも前作共通である。

前作から二年後。主人公のピーター・パーカーは、大学とバイトとスパイダーマンの3足のわらじ生活が限界に達しようとしていた。愛する人MJとの仲も進展せず、ヒーローとしての正体を誰にも明かせぬプレッシャーから、ついに彼はスパイダーマンをやめようと決心する。だがそのころ、新たな脅威となる敵、ドックオクが登場し、NYを危機におとしめていた。

話題作『スパイダーマン2』は、期待以上のすばらしい出来であった。前作よりはるかにパワーアップした格闘シーンの迫力、空中を飛び回る爽快感、そして数々のスペクタクルシーン。それぞれのVFXに見ごたえがあるだけでなく、ストーリー上の必然性、盛り上がりポイントにピタリと配置され、観客の心を踊らせる。すべての人の期待に見事にこたえたPART2といって良いだろう。

75点
ありそうでなかった良質のアクションエンターテイメント

海上保安庁の海難救助エキスパート“潜水士”を目指す若者たちの青春を描いたアクション・エンターテイメント。週刊ヤングサンデーに連載され大人気となった佐藤秀峰の原作を映画化したものだ。

ところで、先日このページで同じ日本製青春映画の『下妻物語』を紹介したところ、実際に見た方たちから「本当にすばらしい映画だった」というメールを何通もいただいた。「最近の邦画はつまらないと思っていたがその考えが覆った」という声を聞いたときは、私も嬉しかった。

そんな『下妻物語』に続き、オススメするのがこの『海猿』である。この映画は、100%エンターテイメントに徹した作品で、製作費は比較にならずとも、その出来は本場ハリウッドの大作映画にも劣らない。

75点
熟女たちの挑戦がさわやかで若々しい

婦人会の熟女たちが、チャリティーのためヌードカレンダーを企画したというイギリスの実話を映画化した、笑えて泣けるコメディドラマ。1999年に実際に発売されたこのカレンダーは、なんと30万部も売れたという。彼女たちは、この57万ポンドの売上金で、白血病の治療施設とソファを病院に寄付した。

平凡な生活に飽きつつあった一人の主婦の突飛な提案に揺れる保守的な(はずの)婦人会のオバサマたち。彼女らが大きな冒険を決意するまでの心の変化を、映画は優しい視点で描く。彼女たちの姿はとても若々しく、その年齢にかかわらず“女”を感じさせる。女性のもつ強さ、繊細さ、そして美しさをリアルに描いており、とても好感が持てる。

50を過ぎたオバサマたちが、ついに決心してブラをはずすあたりは、コメディなんだかホラーなんだかわからないほどの衝撃があるが、胸やお尻はギリギリ見えない親切なカメラ構図(?)のおかげで、ヌードカレンダーを題材にしているのに下品な印象はゼロ。むしろ、品のいい映画といったイメージさえある。

75点
ヌードにばかり気をとられていると騙される

フランス、プロヴァンス地方を舞台にしたミステリ作品。この監督お気に入りの女優さんを主演に立てた、ちょっとセクシーな要素もある大人向けのドラマだ。

つい先日公開された『ピーターパン』の妖精ティンカーベル役が記憶に新しい主演のリュディヴィーヌ・サニエは、今回その印象をがらりと変えて、自由奔放なセックス感をもつフランス娘を熱演。惜しげなくそのグラマラスな裸体をさらしている。欧米の女優さんには珍しい(?)、ナチュラル巨乳がお見事。

だが、これらの激しい(修正つきの)ヌードシーンに翻弄されていると、監督が仕掛けた壮大なトリックにころっと引っかかるだろう。大胆なプロットには、ミステリに慣れた観客でも驚かされるはず。だまされる快感を十分に味わえるよくできた脚本だ。

75点
見ごたえあるアクションスリラー

近未来を舞台にしながら、ミステリ的な謎解きをメインに据えたSFアクション映画。SFというとちょいとマニアックというか、一部のファン向けのイメージがあるが、『ペイチェック』はむしろスリラー&アクション映画としての印象が強く、一般のお客さんにもお奨めできる作品だ。

退屈な部分はなく、先が気になるストーリー展開は息をつかせない。せっかちな人に向く映画だ。特に、クライマックス以下の二転三転する展開は満足度が高い。キャストやスタッフをみる限り、お話の「中身」でうならせる映画だとは想像もしていなかったので、なんだか得をした気分だ。

たくさんのアイテムは、先の展開をいろいろと想像させる楽しみがあるし、それらを使っていく過程には伏線も多数ばらまかれている。数段構えのラストでそれらが一気につながるのを見ると、まさに拍手喝采したくなる気分。

75点
男たちの熱いドラマが見所の海洋スペクタクル

世界的なベストセラーが原作の海洋冒険歴史大作。帆船時代の海戦や船内生活を、ディテールにこだわった本格的な映像で見せてくれる。

ストーリーは、圧倒的に有利な装備を持つ敵アケロン号を拿捕する任務を預かったサプライズ号クルーが、常勝不敗のカリスマ艦長のもと、一致団結して戦うという展開。荒くれたベテランクルーに混じって士官候補生の10代前半の少年たちも乗り込むが、海の上では大人と同じ仕事を堂々とこなす。彼らは、見た目の幼さとは裏腹に、腹の据わった一人前の軍人だ。

ほとんどがこの帆船内で繰り広げられるドラマであり、そこに女性の登場人物は一人も出てこない。今どきは珍しい、男たちの骨太なドラマだ。厚い信頼と友情が、そこには描かれている。

75点
フェミニズム先進国が描く、家庭の大切さ

エディ・マーフィ主演のホーム・コメディ。リストラされたエディが保育園を開園して、個性豊かな子供たちに翻弄されるお話である。家族向けに作られた心温まるコメディドラマで、エディ・マーフィはお得意のマシンガン・トークを封印し、真面目にドラマを演じている。日本語吹き替え版も同時に公開されるので、子供連れの皆さんも安心だ。

『チャーリーと14人のキッズ』には、一般的な家族連れの観客がコメディに求めるすべてがそろっているといって良い。健全で毒のない笑い、分かりやすい演出とストーリーとテーマ、そしてラストに気持ち良く流せる感動の涙、である。当然米国では大ヒット。すでにパート2の製作も決定している。

こうしたアメリカ映画を見ていつも思うことは、子役たちがとても溌剌として素晴らしい演技をしているということである。なんでもあちらでは、撮影の合間には、子役たちのために遊ぶ時間を設けてリラックスさせるそうだ。14人のキッズの中には、『アイアムサム』や今週公開の『コール』に出演している、現在ハリウッド最強の美少女子役ダコタ・ファニングの妹が出演しているので、ファンの方は探してみよう。まあ、一人だけ図抜けた美少女がいるので、すぐ分かるだろう。

75点
最後の1分まで気が抜けない抜群の面白さ

仰天な結末が話題の、ミステリドラマ。

あなたがミステリファンならば、『アイデンティティー』は最高の映画だ。この映画は、ロジカルに推理を進めながら見ている観客が、最後に鮮やかに騙されて、完全敗北を味わう快感を得られる映画である。(騙される快感こそ、ミステリファンがもっとも期待する要素でしょう?)

かくいう私も、画面の端々の怪しげなヒントを見逃さず、論理的に推理しながら、結末を先に言い当ててやろうと気合を入れて鑑賞したくちである。そして後日このサイトで、「ミステリのクセに結末がバレバレだぜ」と得意満面で報告してやろうというわけである。その勇姿を想像して、一人ワクワクしていた。

75点
アクが強い上、少々狙い過ぎの感はあれど、さすがに力の入った出来映えだ

主に日本を舞台にしたアクション映画。熱狂的なファンを持つ、クエンティン・タランティーノ監督の6年ぶりの新作として期待されている作品だ。

こ の監督もだいぶ実績を作ったというわけか、今回の新作では、個人的な趣味性を前面に出して、相当好き放題をやっている。映画オタクとして知られる彼だが、『キル・ビル』には、彼の愛する過去の映画作品(カンフー映画やヤクザ映画、マカロニウェスタンその他)の要素が、ところどころに引用されている。仮にも現実の世界を描いていた今までの作品と違い、『キル・ビル』は、完全にタランティーノ世界観による、彼の脳内ワールドの映画化といえる。

ただし、彼がそのへんの映画オタクと一線を画しているのは、オタク以外の観客にも配慮した映画作りをしているという点である。ひらたくいえば、『キル・ビル』は、過去作品の引用など一切気にせずにみても充分に楽しめるのである。

75点
笑いとアクションの高度な融合

『ミスター・ビーン』でおなじみのイギリスのコメディアン、ローワン・アトキンソン主演のコメディ映画。

『ミスター・ビーン』シリーズのように、ローワンのギャグを見せるだけの映画にはなっていない。まっとうなストーリーを持つ、スパイアクションとして成立しているので、「あの手のコメディを映画館にわざわざ見に行く気にはならない」という方にもオススメできる。

たとえばアクションシーン、これが本格的である。プライベートでもアストンマーチンのオーナーであるローワンが、自ら演じたというカーチェイスシーンなど、なかなかのものだ。霊柩車と大型バイクのトライアンフ、そしてこの美しいスポーツカー、アストンマーチンによるアクションは、こちらを驚かせるアイデアが豊富だから、きっと大満足できるはずだ。

75点
これは、まごうかたなき”ターミネーター”だ

あの『T2』から12年を経て帰ってきた、ファン待望の続編。言わずと知れた、SFアクション超大作である。

ジェームズ・キャメロンからジョナサン・モストウ(『ブレーキ・ダウン』『U-571』)に監督が変更、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトンが降板、そしてその息子のジョン・コナー役のエドワード・ファーロングも諸般の事情にて降板したため、シリーズとしてのつながりが感じられるかどうかが、ファン最大の関心事といえよう。

そして私が今回、この最新作を鑑賞して感じたのは、これは、まごうかたなき『ターミネーター』だ、という事だった。未来、運命というテーマを、時間を超えたドラマとしてドラマティックに描くこのシリーズ。前2作に共通する独特の雰囲気が、画面の端々に感じられたのである。

75点
他者と上手に付き合えない不器用な男の恋と友情を、せつなく描く物語

ペドロ・アルモドバル監督の人間ドラマ。アカデミー脚本賞を受賞したスペイン映画である。

脚本賞を取っただけあって、ストーリーが抜群である。常に先が気になるので、時間がすぐに過ぎる。このテンポのよさには、監督のセンスを感じる。ラストのオチが少々弱いかな、とは感じるが、途中はとても面白い。

人間描写がしっかりしているので、キャラクターに感情移入しやすく、観客を引きこんでくれる。特に、主人公の看護士の性格設定がリアルでいい。ああいうオタク青年は、いかにも現実にいそうだと観客は感じるだろう。

75点
アクションより、キャメロンのダンスがすごい

70年代のテレビシリーズをもとに映画化したアクション映画のPART2。製作側にしてみると、前作も大ヒットしたので、テレビシリーズのファンを含めて、相当幅広い年代を劇場に呼べるという、大ヒット確実な安全パイの典型である。

のっけから最後まで、恐るべきハイテンションを持続する映画である。副題のフルスロットルというのは、まさに本作にふさわしい。

本作の見所は、ただ一点、キャメロン・ディアスに尽きる。前作もそうだったが、本作はさらに壊れっぷりがエスカレートしており、もはや芸術品の域に達している。

75点
絶対あり得ないようなハッピー物語を好きな人に勧めたい

ジェニファー・ロペスという、歌手としても人気のある褐色の美人と、レイフ・ファインズという、『レッド・ドラゴン』でサイコな役を演じたとは思えないほど優しい顔をした男が主演の、ロマンティック・コメディ。

これは、ロマコメのなかでも、玉の輿系に属する映画だ。つまり、『プリティ・ウーマン』や『ノッティングヒルの恋人』といったあたりで、ウットリする婦女子を対象に作られた映画である。

……というような事を知り合いの女性(33)に話した所、「あんなもんを好きな女なんているか」と一蹴された。がっくし。

75点
多数のキャラ全員に活躍の場があり大興奮

アメコミの雄、マーヴェルは、先日『デアデビル』を映画化したばかりだが、どう考えても本命はこちらなので、さすがに力の入れようが違う。

前作の大ヒットをきっかけに、各俳優がブレイクした事もあり、PART2の本作は相当豪華な顔ぶれになっている。中でもオスカー女優のハル・ベリーが、脇役ながらも大きな存在感を示す。真面目なお姉さん先生役がぴったりで、とても可愛らしい。

ほかの奴らも、それぞれとってもカッコ良くて、見せ場が用意されているから、各キャラ別のファンもみな満足できるようになっている。

70点
現実との符号が怖いほど

世間じゃアメリカのトランプ大統領ばかりが話題だが、フランスの大統領選挙もかなりホットな状況である。4つどもえの候補者争いは横並びで全く予測がつかないし、誰が当選するかで欧州の、ひいては世界の未来にも多大な影響を及ぼす。

アメリカからやってきてパリでスリをはたらいている若者マイケル(リチャード・マッデン)。ところが彼が置き引きしたバッグには、政党のビルの爆破を狙った爆弾が入っていた。すんでのところで爆死は免れたものの、CIAのブライアー捜査官(イドリス・エルバ)にマイケルは濡れ衣で逮捕されてしまう。

さて、そんな仏大統領選を前にぜひ見てほしいのがこの「フレンチ・ラン」。一見ごく普通のサスペンスアクションだが、わざわざ紹介するには理由がある。それは、この映画が偶然とは思えないほど色々と未来を言い当てているからだ。

70点
優等生なアニメではあるが

「モアナと伝説の海」は、ディズニーアニメらしく時代の空気を反映した脚本に、少しだけ新しいチャレンジを加えた高品質なアニメーション映画だ。過去の成功例の積み重ねによる安定感も高く、非の打ち所がない優等生映画となっている。

海が大好きな少女モアナは、族長の父親により外洋に出ることを固く禁じられていた。だが女神テ・フィティの「心」が盗まれた事により世界の均衡は崩れ、彼女はそれを食い止めるため伝説の英雄マウイを求めて旅立つ決意を固めるのだった。

本作には「アナと雪の女王」など過去のディズニーアニメ成功作の長所がふんだんに取り入れられており、誰が見ても十分共感できるようになっている。彼らは長年の蓄積を基にきわめてロジカルな映画作りをしており、毎年成功の方程式を更新しているようなものなので、もはや駄作が生まれる余地はほとんどない。

70点
中年以上のカップル向きの古くて新しい映画

「マリアンヌ」は、クラシカルな雰囲気のスパイ&恋愛映画だが、ロバート・ゼメキス監督が撮るとさすが、エンタメ性の高いルックとなる。

1942年、諜報員のマックス(ブラッド・ピット)は仏軍レジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)と夫婦を装い、協力してドイツ大使暗殺に挑む。互いの凄腕ぶりと息の合った仕事ぶりに運命を感じたマックスは、そのまま彼女に告白し結ばれるが……。

舞台がカサブランカということでわかるとおり、往年のハリウッドの名作を存分にオマージュした内容で、とくに衣装や美術については「カサブランカ」(1942)を参考にしたと制作陣は語っている。

70点
弱者への温かい視線

英国や米国には、ルーザームービーと呼ぶべきジャンルがある。負け組映画とでもいおうか、要するに世の中からあぶれたダメ人間の生きざまや奮闘ぶりを、寄り添うような視点で描く人情ドラマである。たとえ表舞台で注目を浴びられなくとも、不器用ながら生きる人々の物語は大衆の胸を打つわけで、根強い人気がある。

映像ディレクターの壱岐紀仁監督による「ねぼけ」は、まさしくその日本版。売れない噺家が、自堕落な日々を自覚しつつも抜け出せずにあがく姿を、等身大のドラマとして描いている。

落語家の仙栄亭三語郎(友部康志)は、怠け癖と酒好きな性格のせいでまったく目が出ない。同棲中の真海(村上真希)はそんなろくでなしの彼を、信じて必死に支えている。だが三語郎には彼女のひたむきささえ今や重荷となっていて、停滞する自分の人生をぶち壊すかのように、弟弟子の若い恋人と浮気してしまう。

70点
好感度高いレトロ風味ロマコメ

福山雅治は、結婚後に主演映画その他で苦戦していると聞く。原因は言うまでもなく結婚によるものだ。いまどき"結婚"がファンの支持率にマイナスな影響を与えるタイプの芸能人というのも逆にたいしたものだが、もし女優でそれを一人あげるとすれば佐々木希ではないか。

恋人に振られ、沖縄出張中に職場まで失うなどさんざんな目に合っているヨンウン(イェソン)。そんな彼を救ったのは、たまたま知り合った地元の語学学校の校長だった。ほとんど無理やり韓国語教師にさせられたヨンウンは、クラスの生徒で訳ありなシングルマザーのさくら(佐々木希)に思わず目を引かれるが……。

佐々木希も、言ってみればファンを嫉妬させるタイプの美人。それはスターという意味でもあるので、きっと彼氏か何かがいても、存在を公にしにくい立場にあるのではないか。だから──かどうかは知らないが、近年は子持ちの役柄を演じることが多い。何かの地ならしだと予想するが、とりあえず今回も沖縄で一人頑張りシングルマザーである。

70点
ウシジマの世界に果敢に戦いを挑む男の物語

2010年から続く闇金ウシジマくん実写ドラマも、いよいよこの映画版で完結となる。そして、当初からこのシリーズを担当してきた生みの親たる山口雅俊監督は、最後の最後に強烈なパンチを食らわせてきた。

「カウカウファイナンス」の丑嶋馨(山田孝之)のもとに、かつての同級生竹本優希(永山絢斗)が訪ねてくる。他人を助けるために金を借りたいという、カウカウの社員たちには甘ちゃんにしか見えない竹本のふるまいをみて、しかしウシジマは複雑な気持ちになる。実はウシジマと竹本には、中学生時代にある因縁があるのだった。

今回の題材となる闇金と過払い金請求側のバトルネタは、社会的には大事だがタイムリーとまでは言えず、むしろ少々古さを感じざるをえない。それが時代の先を読むウシジマくんの映画としては弱いところでる。

70点
より一般向けのアクション映画になっている

監督を変え、脚本もより一般向けに手直ししたスター・トレック・ケルヴィン・タイムラインシリーズ第三弾は、なるほどスター・トレック風味のアクション映画として、多くの人が楽しめるであろう無難な出来に仕上がっている。

果てのない宇宙の旅から身を引くことを考えているカーク(クリス・パイン)に、不時着した宇宙船の救助依頼が届く。エンタープライズ号は即座にそれに応え現地に向かうが、そこで彼らは予期せぬ敵からの襲撃を受けるのだった。

J・J・エイブラムスから監督をバトンタッチされたジャスティン・リンは、生まれた時にはすでにシリーズが始まっていた世代の若い監督で、かつSF映画の経験は初めて。はたからみればギャンブルのような人選だが、これは要するにコンセプトを変更してさらに若い世代のライトユーザーを取り込もうということだろう。

70点
中年男が見たらうならされるドラマ

西川美和監督自ら書いたベストセラー小説を映画化した「永い言い訳」をみると、本当にこの監督は男を描かせたら一流だとわかる。一方、女性キャラは冒頭、あっという間に退場する。いかに女に興味がないかも良くわかる。

人気小説家として活躍する衣笠幸夫(本木雅弘)は、美容師の妻・夏子(深津絵里)をバス事故で失う。だが二人の仲はもともと冷え切っており、事故当時、幸夫は浮気相手と情事のさなかであった。だが世間の注目は愛する妻を失った人気小説家、に注目しており、意に反して彼はよき夫を演じ続けなくてはならないのだった。そんな彼はあるとき同じ事故の遺族、陽一(竹原ピストル)に出会う。対照的に妻を愛していた彼の姿が心のどこかに引っかかった幸夫は、やがてその子供たちの面倒を見ることを申し出る。

よりにもよって、こんなにややこしい状況に陥った男の心理になぜ興味を持ったのか、私は西川美和監督に聞いてみたい。

70点
女性に変更した必然性が感じられる

80年代を席巻したコメディーアクションの再会となる新「ゴーストバスターズ」は、製作サイドの問題で多少もたついたものの、なかなかの出来栄えで登場した。

コロンビア大学の物理学者エリン(クリステン・ウィグ)は、旧友アビー(メリッサ・マッカーシー)との幽霊発見騒動によってせっかくの出世のチャンスを失ってしまう。しかし、幽霊じたいは本物と確信した彼女ら4人は、超常現象の調査会社を立ち上げるのだった。

本国では名うてのコメディアン女優4人による女性版リメイクは、彼女たちによる序盤のギャグが日本人にもばっちり届くおかげで、すぐに物語に没頭できる。80年代のSFXっぽいスペクタクル演出やおなじみのテーマ曲、マシュマロマン等々によって、往年のファンもなじむことができるだろう。また、前作出演者によるカメオも多数あるが、気づかなければそれはそれでなんてことない扱いなので好感が持てる。

70点
突っ込みどころ満載で面白い

9.11同時多発テロ事件の発生は、アメリカ映画に大きな影響を与えた。007シリーズをはじめとするアクション作品はとくにそうで、荒唐無稽な悪役は姿を消し、全体的に深刻なムードをまとうようになった。

しかし、本当はご都合主義満載のノーテンキなものだって見たい。そんな人に「エンド・オブ・キングダム」は最適だ。

ホワイトハウスがアジア系テロリストに占拠されるショッキングな設定で話題を呼んだ「エンド・オブ・ホワイトハウス」の続編だが、ストーリーは独立しているのでこの2作目から見ても全く問題ない。前作から大幅に増えた予算にモノを言わせ、火薬と銃弾をひたすら消費して盛り上げてくれる。質より量で勝負の、まさに特盛ポリティカルアクションだ。

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