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2156件中 251~300件 を表示しています。
80点
シングルマザーが味わう未曾有の苦しみ

脳性麻痺の女性の恋愛物語「オアシス」(02年、韓国)は、このサイトで絶賛したから覚えている方も多いかも知れない。『シークレット・サンシャイン』はそのイ・チャンドン監督の最新作で、これまた心に響く本格ドラマだ。

夫を亡くしたシネ(チョン・ドヨン)は、幼い息子を連れソウルから夫の故郷へやってきた。この小さな田舎町で再出発をはかろうというのだ。最初に知り合ったジョンチャン(ソン・ガンホ)は、しょぼくれた自動車修理工場を経営するさえない中年男だったが、シネに一目ぼれして何かと世話を焼いてくれる。シネにはまったくその気はなかったが、おせっかいな彼の助けでなんとか地元社会にもなじみ始めていた。ところが間もなく、彼女は人生最大の苦難を経験することになる。

期待通りの見ごたえある人間ドラマで、私は鑑賞後、これを見られて本当によかったと感じた。ただ、前作ほどわかりやすく誰もを満足させてくれるものではない。後から色々考えて、うっすら存在する希望に救われるといった具合だ。

80点
≪女子高生とヤンキー合唱部の対決≫

『うた魂(たま)♪』を見ていると、映画なんてものは普遍性を追求するばかりが能ではないとつくづく感じる。ときには時代を切り取るような、フレッシュだが賞味期限の短いものが何より心に届く事もある。

北海道のとある高校。合唱部リーダーのかすみ(夏帆(かほ))は、自分のルックスと歌声に陶酔するちょっと勘違いな女子高生。ところがある日、憧れの生徒会長(石黒英雄)から歌唱中の表情を「産卵中のサケみたい」と笑われてしまい自信喪失。退部を決意する。

素直なのかバカなのか?! 絶妙な性格設定のヒロインが魅力的な青春学園合唱ドラマ。合唱という「誰もが経験してるけど、好きな人はほとんどいない」題材選びもまた、絶妙だ。

80点
ダイエットに最適な映画

ハンバーガーやフライドポテトが大好きなお子さん、もしくはメタボ気味の旦那様をもつ奥さんは、迷わずこの映画に連れて行くとよい。これを見終わってもまだ食べたいというならば、それはもはや病気だ。

大手バーガーチェーンのある幹部は、パテから大腸菌が検出された件で、自社の食肉加工工場に調査にやってきた。愛想よく案内された工場の様子からは、雑菌が混入する余地はあまりないように思える。だが、周辺で聞き込みを続けるうち、その恐るべき実態が明らかになってくる。

脚本も書いているエリック・シュローサーの原作『ファストフードが世界を食いつくす』はとんでもない本で、私はかつてこれを読んだせいで大手バーガーショップでの食事に、かなりの抵抗を感じるようになってしまった。

80点
不器用な人間たちの、優しい再生物語

タイトルの「鏡」は、オーストリアの精神分析学者ハインツ・コフートの心理学理論からの引用で、端的に言うと母親のこと。子供にとって親は自分を投影する鏡であり、それを見ながら自己を育成するという。この映画の登場人物にとっては、その「鏡」が、凍えるほど冷たい存在というわけだ。

路上で自分の絵を売る若者・瞬(田中圭)と、年老いた女性童話作家・香澄(渡辺美佐子)が、あるとき出会い、やがて意気投合した。行き場のない野良犬のような目をした瞬は、わずかな事ですぐキレる若者だった。香澄は一人娘で臨床心理士の由里子(冨樫真)に、彼のカウンセリングを任せてみるが……。

登場人物はほぼこの3人。実の母娘とひとりの青年。娘と青年はカウンセラーと患者の関係でもある。

80点
ピクサーパワーを得て蘇ったディズニーアニメ

現在アメリカ映画界の巨人ディズニーは、『トイ・ストーリー』シリーズや『ファインディング・ニモ』の制作で知られる3DCGアニメ界の雄ピクサーを子会社として取り込み、大きく変化している最中だ。そんな中、日本公開される『ルイスと未来泥棒』は、ピクサー社の設立メンバーで代名詞的存在である映画監督ジョン・ラセターを製作総指揮に迎えた、初めての(ピクサーではなく)ディズニーアニメーション作品となる。

孤児院で暮らす発明少年ルイス(声:ダニエル・ハンセン)は、生後まもない自分を捨てた母親のことを知りたくて、古い記憶を覗けるメモリースキャナーなる道具を発明する。ところがこれに目をつけた未来泥棒(声:スティーヴン・J・アンダーソン)が、タイムマシンに乗って現代にやってくる。ルイスは、同じく未来から来た少年ウィルバー(声:ウェズリー・シンガーマン)と出会い、彼と共に未来世界へと追跡を開始する。

ジョン・ラセターの参加が決定した時点で8割完成していたが、そこから6割を作り直したといわれるほどに、彼の影響を強く受けた作品だ。ジョン・ラセターはこれまでピクサーの全作品に関わっており、その高いクォリティを実現させてきたキーマンといって差し支えない。その作風を一言で言えば、キャラクターとシナリオの重視であり、この二つを徹底的に練り上げる事で知られる。

80点
往年のヒコーキ映画の魅力を、最新の映像技術で

第一次世界大戦のころ、かたくなに中立を守っていたアメリカ合衆国の中に、様々な理由でフランス軍に参加した若者たちがいた。彼ら義勇軍の中には、当時まだ発明されたばかりの航空機のパイロットとなったものもおり、ラファイエット飛行隊と呼ばれ活躍した。

『フライボーイズ』は、そんな実話をもとにしたスカイアクション&歴史ロマンであり、独立系の作品でありながら製作費70億円という、堂々たる体躯の大作だ。

1916年、ドイツと激戦を繰り広げるフランス軍の宣伝映画に触発された米国人青年ローリングス(ジェームズ・フランコ)は、フランス空軍に志願。彼はテキサスのカウボーイだが、ある理由でちょうど故郷を離れざるを得なかったのだ。

80点
隣の女の子の着替えを覗いていたら、とんでもないモノが見えてしまった

隣の家に毎日ビキニで泳ぐ美少女が住んでいる。手元には双眼鏡もビデオカメラもある。家族は夜まで帰ってこない。さて、残された10代の少年は何をするでしょうか? そんな興味深い設定の『ディスタービア』は、徹底して若者向けに作られたスリラーで、その明快なコンセプトが全米で大いに受けた。確かにこれ、サイコーに面白い。

教師を殴って3ヶ月の自宅謹慎をくらった主人公ケール(シャイア・ラブーフ)は、自室から30メートル離れると自動的に通報、即警察がやってくる監視システムを足首につけられる。オンラインゲームの契約も母親に切られ、することもなくなった彼は、近所の人々を覗き始める。そしてケールはある晩、裏の家で血まみれのゴミ袋を引きずる男を見つけてしまう。

最初はビキニギャルの同級生ばかり見ていた主人公少年が、やがて殺人事件と思しき何かを見つけてしまう好奇心そそられまくりの展開。やがて悪友と例のビキニギャル(サラ・ローマー)も仲間に引き入れ、iPODやビデオカメラ、パソコン、携帯電話などいまどきの若者らしいアイテムを駆使して事件の解明に挑戦する。

80点
父子で楽しめるカッコイイ軍隊&戦闘スペクタクル映像展

『トランスフォーマー』のような、超ド派手ノーテンキ超大作を見に行くということは、年に何度か遊園地に行って頭をリフレッシュするのと目的は同じだ。一見、大人がいくような場所(映画)には見えないかもしれないが、こういうものは現代人にとって定期的に必要なビタミン剤のようなもの。ただ、それを作るのは予想以上に難しいもので、良く効くビタミン剤は意外と少ない。

火星方面からやってきた謎の物体が、世界各地で人類を脅かそうとしていた。中東のカタールでは軍事ヘリが突然二足歩行ロボットに変形、米軍基地を壊滅に追いやった。一方、気弱な男子高校生サム(シャイア・ラブーフ)が、学園のアイドル的存在のミカエラ(ミーガン・フォックス)の気を引きたくて父親に買ってもらったポンコツ車も、まるでサムを守る意思を持っているかのような奇妙な挙動を見せ始めていた。

日本生まれのアメリカ育ち。タカラの人形シリーズを元に数々の映像、アニメ作品として発展したトランスフォーマーがついに実写映画になった。マイケル・ベイ監督&スティーブン・スピルバーグ製作総指揮という、ハリウッドのエンターテナーの代名詞のような二人による、本年度最大級の超大作である。本国では早くもオープニング成績がなんと全米映画史上最高記録という、とんでもない事になっている。父子二代で楽しめる優良コンテンツへ、さらに付加価値を加えた理想的なケースだ。優れた原作をことごとく使い捨てにするどこかの国の映画業界は、大いに見習ってほしいものだ。

80点
主演二人のどちらかのファン向け

日本で大ヒットした『海猿』がハリウッドでリメイクされるという話をどこかで聞いて、それが頭の片隅にあったので、『守護神』のあらすじを聞いたときは「ああ、これがそうか」とずっと思っていた。……が、どうやらそれは違うらしい。沿岸警備隊の鬼教官に鍛えられる若き訓練生の訓練風景を主に描き、救命士としてデビューしたとたん、恐るべき難題に対峙するクライマックス。マジンガーZとテコンV程度のかすかな類似性は見受けられるものの、一応別物ということのようだ。

もう少し詳しく筋書きを書くと、ケヴィン・コスナー演じるこの教官は、これまで数百名を救ったと噂される伝説のレスキュー隊員。ところがある出来事をきっかけに、スクールの教官職に就くことになる。そこで出会うのが『バラフライ・エフェクト』のアシュトン・カッチャー演じる天才スイマー。その圧倒的な自信と若さを前に、教官と激しく対立するが……。というもの。いわゆるダブル主演で、お客さんの年齢にあわせてお好みのほうに感情移入して楽しんでください、という仕組みだ。

実績を残している大先輩に対し、やたらと自信家の若者というのはたいてい憎たらしく見えるものだが、アシュトンが演じるとそんなキャラでも好感を持ててしまう。この俳優の場合、いくらでもモテるだろうに私生活でバツ2熟女と添い遂げたり、弟の学費のために芸能界に入ったりと、ハンサムな上に性格までいいヤツっぽい先入観があるのがいけない。

80点
骨董品のごときバイクで無謀な記録に挑戦したオヤジの物語

最近、実話の映画化が多いような気がするがコレもそのひとつ。バイクいじり暦ウン十年、三度のメシよりバイクが好き。近所から変人扱いされているそんな爺ちゃんが、あろう事か世界最高峰のスピードレースに挑戦するという話。映画はロードムービー風味の、心温まるさわやかな感動ドラマになっている。

舞台は60年代、ニュージーランドの片田舎インバカーギル。ガラクタだらけの家に独り暮らす初老の男バート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)は、今日も隣に住む少年と一緒にバイクの改造に精を出す。少年から借りた肉切り包丁でタイヤを削ったり、年代モノのエンジンを溶かしてピストンを作ったりと、呆れるようなやり方で愛車のインディアンの手入れをしていく。実はバートには、いつかこのマシンで地上最高速の記録を破るという、25年来の夢があるのだった。

そんなバートは、とにかく憎めないオッサンで、数々の非常識な行動も、屈託のない笑顔と無邪気な人柄で周りから許されてしまうタイプ。60を超えているのに少年のような彼は、社会の常識より自分の中のマイペースなルールのもとで生きている。

80点
リアル志向のスパイ映画に立ち返り大成功

英国の紳士的なスパイの活躍を描く『007シリーズ』は、これまで色々なやり方でマンネリ打破に挑んできた。それは007が、イアン・フレミングによる原作からの根強いファンを多く抱えるとはいえ、すでに年間有数のビッグバジェットシリーズとなった以上、その期待にこたえつつも、常に若い新しいファンを取り込んでいかねばならない宿命にあるからだ。オジサン相手の古臭い古典と思われたら、そこでシリーズの命運は尽きるのだ。

そのため、主人公のジェームズ・ボンド役を数作ごとに変更、リフレッシュしたり、話の展開を派手にするなど様々な試みが行われた。しかし、ボンドが宇宙にまで進出したり、VFX満載で人間離れした動きを見せるアクションシーンは、スパイムービーとしての本質を大きく逸脱しており、主演俳優の変更とてその手法自体がマンネリと化すなど、徐々に作品のパワーは失われつつあった。

しかしそんなこのシリーズの迷走も、この『007/カジノ・ロワイヤル』で終わりだ。満を持して原作第一作目のタイトルをつけた本作のスタッフたちは、近年まれに見る入魂の作として、この最新作を仕上げてきた。

80点
田舎町の靴工場が一念発起して、ドラッグクィーン専用ブーツを制作

イギリスで大人気を博した『キンキーブーツ』は、いかにも彼ら英国労働者階級が好みそうな「はぐれものバンザイ、庶民バンザイ」的な、見ると元気が出る心温まるドラマだ。

主人公(ジョエル・エドガートン)は、父の靴工場を相続したばかりの跡取り息子。長年勤めた技術力ある職人たちのおかげで、靴製品の品質は高いものだったが、儲けより従業員や消費者の満足を重視した先代の経営は、近年の安い輸入品に太刀打ちできず、倒産寸前だった。

そんなある日、主人公は偶然知り合ったド派手なドラッグクイーン(女装した男性)のローラ(キウェテル・イジョフォー)が、窮屈そうに女物のブーツを履いているのを見てひらめく。誰も作らない、男性用のキンキーブーツ(SM女王様用のハデハデブーツ)を作れば売れるんじゃないか? かくして彼とローラと工場従業員たちの奮闘が始まった。

80点
黒木和雄監督の遺作は、素晴らしい"日本映画"だった

『美しい夏キリシマ』『父と暮せば』といった映画で平和と反戦を訴えてきた、黒木和雄監督の遺作。劇作家の松田正隆が、自らの母親の体験談を元にした戯曲が原作となっている。

昭和20年の鹿児島。両親を亡くした紙屋悦子(原田知世)は、兄夫婦とつつましく暮らしていた。彼女は、兄の後輩である海軍航空隊の明石少尉(松岡俊介)に想いを寄せていたが、よりにもよってその親友、永与少尉(永瀬正敏)との縁談が持ち上がる。

快活な性格の明石は、悦子を大切に思っている。彼とは反対に、女性の前では何も話せなくなるウブでオクテな永与も、心やさしい悦子へ好意を寄せている。悦子は明石に想いを寄せながらも、そんな永与を人間的に好いている。

80点
男同士の兄弟の内面を鋭くえぐる、スリリングなドラマ

映画業界にとって、一番の稼ぎ時である夏休みシーズン。内外の大作が居並ぶ中で、地味なドラマ映画ながら、屈指の傑作なのが『ゆれる』だ。まるで、ぽつんと紛れ込んだようなこの作品は、とくに派手な大作映画を敬遠するタイプの方には、真っ先に見てほしい一本だ。

女にモテ、カメラマンとしても成功し、東京で派手に暮らす弟(オダギリジョー)。家業のちっぽけなガソリンスタンドを継ぎ、女に縁がなく、老いた父と二人で暮らすさえない兄(香川照之)。この二人が久しぶりの法事に、故郷で再会するところから物語は始まる。

弟は、兄が面倒な実家のもろもろを背負い込んでくれたから、東京で好きなことをやっていられるのだと薄々気づいていながら、何でも許してくれる優しく面倒見のよい兄に、無意識に甘えている状態だ。この日もあろう事か、兄が思いを寄せている二人の幼馴染の女(真木よう子)を送った後、そのまま部屋で抱いてしまう。そしてその翌日、事件はおきる。3人でドライブに出かけた渓谷のつり橋で、幼馴染の女だけが墜落死してしまうのだ。

80点
シリーズを知らなくても、笑いまくりな一本

ピンクパンサーといえば、中高年の方には名喜劇役者ピーター・セラーズによる実写映画版が、もうちょい若目の方にはアニメーションシリーズが、そしてもっともっと若い方には、個性的なキャラクター商品の絵柄として、おなじみのシリーズといえる。

このリメイク版『ピンクパンサー』は、そのうち実写映画版を再現したもので、クルーゾー警部の活躍(?)を描く、コメディ映画である。(……とはいっても、この場合のリメイクというのは、旧シリーズのどれかを忠実に再現した、という意味にあらず。枠組みを借りた新シリーズ、というイメージが強い)

世界的に有名な歌手(ビヨンセ)の恋人でもあるサッカー監督が、競技場で何者かに暗殺される。同時に、その指にはめられていたダイヤモンドも失われていた。世界最大級のダイヤモンド、"ピンクパンサー"の行方をめぐる警部の推理とドタバタという、シリーズの伝統を踏まえたストーリーだ。

80点
荒っぽい点はあるが、見ごたえ十分の海洋パニック大作

今週はゴールデンウィーク真っ最中というわけで、公開作品数が少ない。このサイトで紹介できるのも、これ1本ということになり少々寂しいが、訪問してくれた全員が読んでくれると思えば嬉しくもある。

さて、この作品は、いわずと知れた人気漫画の実写版。同じキャスト、スタッフによって04年に劇場版第1作が公開され、その後テレビで連続ドラマにもなった。『LIMIT OF LOVE 海猿』は、そのシリーズの完結編だ。

ただし、東宝のマーケティングチームは、あえて本作のタイトルに、パート2とか3といった数字をつけなかった。その理由は、本作が、単独で見ても問題なく楽しめる一話完結的なつくりであることがひとつ。そして、続編であることを明記して間口を狭めても十分な収益を見込めるほどのパワーが、まだこのシリーズには無いと、彼らが考えたからであろう。そして、その判断はおそらく正しい。

80点
短所がないということが長所

ネットバンクが普及し、一般預金者にとっても、オンライン上の数字を動かすことに抵抗がなくなってきた昨今、銀行のセキュリティも大きく変化している。昔は、どれだけ金庫室の壁を分厚くするか、頑丈なドアをつけるかといったハード面が重要で、映画の中の銀行やぶりも、どうやって金庫室に進入するかが大きな見せ場であった。

しかし、今は違う。コンピュータ上の数字イコール現金である現在、強盗も金庫室を破る必要はない。それよりは、ネットワークへの侵入、ハッキングをした方がよほど早くて確実だ。というわけで、銀行のセキュリティも、クラッカー(悪意ある不正侵入者)を防ぐ、ファイヤーウォール(不正進入防止ソフト)が重要になってくる。

この映画の主人公は、銀行のそうしたセキュリティソフトの開発担当者。演じるハリソン・フォードは、アメリカ映画におけるヒーローの代名詞的存在だが、インディ・ジョーンズやハン・ソロ(『スターウォーズ』)など、かつて演じたマッチョな肉体派ではなく、今回は頭脳で勝負するタイプだ。銀行員だから、肉体的には平凡なおじさんという点がポイントだ。

80点
抜群に怖い、"本物"のホラー映画

近年、ハリウッドで最も目覚しい活躍を見せた日本人監督といえば清水崇だ。彼は自身の代表作『呪怨』のリメイク『THE JUON』で、日本人監督として史上初の、全米興行ランキング第1位(しかも2週連続)という快挙を成し遂げたのだ。

そんな、勢いに乗る清水監督の最新作がこの『輪廻』。2004年の『感染』『予言』に続いて、日本の誇るホラー映画監督6人の競作レーベル「J-ホラーシアター」から発表された、本格派の恐怖映画だ。

35年前に、群馬県のホテルで起こった大量殺人事件の映画化を狙う映画監督(椎名桔平)は、そのヒロインに新人女優(優香)を抜擢する。やがてその事件の詳細を知るうち、彼女は奇妙な幻覚を見るようになる。そんな彼女の前に、前世が35年前の事件の被害者だと語る女性(松本まりか)が現れる。

80点
特徴的な演出技法と、素晴らしい銃撃戦を持つ映画

ラース・フォン・トリアーという映画作家がいる。「イマドキの映画界の軽薄な流行はけしからん」とばかりに、「オールロケ、音楽や人口照明は禁止、カメラは手持ち撮影で」などの独自ルール(ドグマ95と呼ばれる)を提唱したり、『ドッグヴィル』という映画では、セットの代わりに床に白線を書くなどの演劇的手法を大胆に取り込むなど、なかなか風変わりな人である。

そして、その彼が脚本を書き、ドグマ95仲間のトマス・ヴィンターベアが監督した、これまたかなり風変わりなドラマが『DEAR WENDY ディア・ウェンディ』だ。これは、既存の映画にちょっと飽きている、といった方にぜひすすめたい、個性的な作品。

アメリカのどこか、寂れた炭坑街にすむ少年(ジェイミー・ベル)は、ひ弱なために炭坑の仕事が続けられぬ自分にコンプレックスを持っていた。ところがある日、偶然本物の銃を手にした彼は、その圧倒的パワーをあえて他者に誇示せず、コントロールすることで、自分に自信を持つ事に成功した。やがて彼は、かつての自分と似た負け組の者たちを集め、ひそかに銃を愛好し、研究するサークルを結成する。

80点
このクォリティで、いわゆる"萌え"場面が続出?!

映画版『ハリーポッター』は、監督は変わっても、大まかな雰囲気は変わらずに続いている大人気シリーズだ。基本的には子供たち向けの、大ベストセラーファンタジー小説が原作だが、大人のファンも多数存在する。日本にも、わざわざ原著を訳しながら読む熱烈なファンがいる。

この『炎のゴブレット』は映画版の第4弾。メインキャストは前作までと共通。監督は、シリーズ初の英国人マイク・ニューウェル(「モナリザ・スマイル」など)だ。ハリーポッターはもともと英国の原作本であるから、彼にかかる期待は大きい。シリーズ最大最長の原作を、いったいどうやって2時間37分間にまとめるのか?

主人公のハリー(ダニエル・ラドクリフ)、その親友のロン(ルパート・グリント)、女友達ハーマイオニー(エマ・ワトソン)は、魔法学校の4年生に進級した。今年は、三大魔法学校・対抗試合がなんと100年ぶりに行われるという。これは、3校の代表選手1名ずつが魔法競技を競うものだが、選手選考を行うアイテム"炎のゴブレット"は、通常の発表を行った後、4人目の代表としてなんとハリー・ポッターの名前を告げるのだった。

80点
あの傑作のパート2で、ここまでやれれば上出来

2004年のサンダンス映画祭で絶賛を浴びたシチュエーションスリラー『ソウ』の正統なる続編。監督は新人のダーレン・リン・バウズマンに交代し、前作の監督らは製作にまわった。

前作で明らかになった連続殺人事件の犯人、通称"ジグソウ"がまた例の殺人ゲームをはじめた。しかし、現場に残された手がかりからアジトが判明、主人公の刑事(ドニー・ウォールバーグ)はSWATとともに突入、見事ジグソウを拘束する。ところがジグソウは、まるで警察の突入を予期していたかのように不敵な態度を崩さない。その直後、隣の部屋に数々のモニターが発見される。そこには不気味な部屋に監禁された8人の男女が写っていた。そして、まったく理不尽なことに、その中には主人公刑事の息子が含まれていたのだった。

『ソウ2』の物語は、ここからジェットコースターのように休みなく展開する。ひとつは、モニターに映った部屋の場所をなんとか突き止めようとする警察の物語。8人のいる部屋には神経ガスが充満し、一定の時間がたてば全員が死亡するとジグソウは告げる。悪趣味なことに、モニターの横にはカウントダウンするデジタル時計まで置いてある。

80点
何も考えず、ただ笑って楽しんで帰る映画

アニメ映画史上最大のヒット作『シュレック2』を製作したドリームワークスによる長編CGアニメーション。

主人公のオスカー(声:ウィル・スミス)は、いち労働者としてさえない暮らしをしながらも、いつか成功を手にしたいと願う小魚。一方、街を牛耳るホオジロサメ一家の末っ子レニー(声:ジャック・ブラック)は、ベジタリアンのためサメ社会になじめず悩んでいた。やがて両者は偶然出会い、オスカーがサメ退治を演じる事で二人の望みをかなえようという話になるのだが……。

『シャーク・テイル』は、海中のある町(?)を舞台に魚たちが繰り広げるコメディドラマで、アメリカでは3週連続1位というヒットを飛ばした。まず、見所はなんといっても豪華な声優陣。ハリウッドスターが多数登場し、本人の顔に似せた魚キャラクターの声をそれぞれ演じている。

80点
お馬鹿な見た目と本格的な中身を持つカンフーアクション

『少林サッカー』のチャウ・シンチーが、再び監督&主演で送るカンフームービー。

時代は文革直前の中国、舞台は郊外の貧乏アパート。ある日、住民とチンピラが揉め事を起こすが、あっさり住民側が撃退してしまう。やがてこの事件はギャング団とアパート住民の全面カンフー戦争に発展する。

ストーリーは単純明快、アクションはのっけから全開。見せ場以外なし!といわんばかりの大サービスが好ましい、能天気なカンフーアクション映画だ。景気のいい作品らしく、元旦から公開となっている。

80点
中盤からの心踊る展開に拍手喝采

恐るべき繁殖力と酸性の血液が特徴のエイリアンと、高度な科学力と運動能力、高い知性が特徴のプレデターという二大異星生物が対決するアクションSF大作。どちらも高い人気をもつシリーズ映画だが、その主人公(?)同士が激突するという、両ファンには夢のような企画だ。

2004年、南極大陸。ウェイランド社の人工衛星がその地下に大量の熱源があることを察知した。社長のチャールズ・ビショップ・ウェイランド(ランス・ヘンリクセン)は、民間のスペシャリストを召集し、調査にあたることを決定。やがて地下施設は人間以外の知的生命体による建造であるとわかるが、そこには謎の生物の卵も大量に生みつけられていた……。

プレデターがある目的のために作った地下ピラミッドに、あわれ人間たちが迷い込んでしまうという話だが、詳しくはいえないものの本当によくできたストーリーだ。エイリアンとプレデターがなぜ戦い、そこにどう人間が絡んでいくのか。簡単そうで難しい脚本作りだったと私は思うが、製作者が長い間に何本もの脚本案を却下してまで待っただけあり、本当にすばらしいアイデアだ。

80点
オドレイの熱演とせつないラストが感動的

『アメリ』の、人々に幸せを与えるヒロイン役で人気爆発したオドレイ・トトゥ主演のイギリス映画。彼女が、慣れない英語のセリフで汚れ役を熱演、作品自体はアカデミー賞のオリジナル脚本賞にもノミネートされた。

舞台はイギリスのロンドン。トルコからの不法移民であるホテルメイド(A・トトゥ)は、同じ職場で働くアフリカ系黒人男性と、生活費の節約のため同居している。そんなある日、彼が職場のホテルで“あるもの”を見てしまったため、二人の運命が大きく転落して行く。

社会の底辺で過酷な暮らしを続ける不法移民の登場人物たちによるシリアスなサスペンスドラマ。「天使のような」誠実な男と、気高いイスラムの女。魅力的なキャラクターたちが、あまりに残酷な仕打ちを受けながら、それでもはかない夢をみる姿が絶望的に悲しい。

80点
低予算ながら、気合の入った力作エンタテイメント

原子力発電所の抱える問題を痛烈に批判した社会派エンタテイメント。広瀬隆著「東京に原発を」を映画化したような内容だ。社会問題に真っ向から挑み、それを見事な娯楽作品に仕上げたこのような作品は、最近の邦画では見たことがなく、高く評価したい。

原発問題をある程度知っている人が見れば「よくぞ言ってくれた!」と快哉を叫ぶだろう。もちろん、興味ない人にもぜひ見てほしいと思わせる力作だ。とくに大都市にすむ人がこれを見たら、案外ショックを受けるかもしれない。公開する劇場は少ないが、もし見れるのなら、見ておいて損のない一本といえる。

全編、極端なまでに原発反対の主張を貫き、推進派を徹底的におちょくり、こきおろす。このあたりは、マイケル・ムーアを思わせる。『東京原発』を見ると、どうせ社会問題をやるなら中途半端に中立の立場ではなく、これくらいはやってくれないと面白くないなぁと感じる。

80点
これぞハリウッド超大作

前作の3倍以上の製作費(なんでも100億円以上とか)をかけて作った、刑事アクションパート2。黒人凸凹コンビが、すかしたギャグをかましながらトンデモなアクションを繰り広げて事件を解決するという、今となってはよくあるシチュエーションのハリウッド映画である。

「能書きは要らない。楽しませてくれりゃいい」という人たちにとって今週見るべきは、この『バッドボーイズ2バッド』で決まりだ。

この映画のプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーというひげのおじさんは、手がけた作品(『アルマゲドン』『パイレーツ・オブ・カリビアン』など)すべての興行成績の合計は、なんと1兆円を超える。つまり彼は、大ヒットする映画=大衆が好む映画、のツボを知り尽くしているというわけだ。

80点
70分間の退屈は、すべて最後の10分間のための布石だった

ミュージシャンや画家としても名をはせるヴィンセント・ギャロ監督による、一風変わったロード・ムービー。今週は、年間ベストクラスの『フォーン・ブース』という映画が公開されるが、それに匹敵するほどのオススメ作品がもう一本ある。それがこの『ブラウンバニー』だ。

映画が始まると、一人の男が出てくる。どうやらこの主人公はバイクレーサーらしい。男はレース参戦のため、アメリカ大陸を横断するように移動して行くが、カメラはただそれを淡々と追って行くだけである。

セリフもほとんど無く、説明的なシーンもまったく無い。観客には、この主人公にはデイジーなる女がいること、そして、どうやら何かに悩んでいるらしい、ということだけが、彼の表情やわずかなセリフ、そして挿入歌の歌詞(わざわざ字幕を振っていることから、歌詞自体も重要だということがわかるだろう)からわかるのみだ。

80点
非常にクォリティの高いアニメ、クリスマスにぴったりなおとぎ話だ

『パーフェクトブルー』『千年女優』と、良質なアニメーション作品を送り続けている今敏監督の最新作。クリスマスの夜、ホームレス3人組が捨て子を見つけ、その両親を必死に探す、笑いと感動の物語。

アニメーション自体の製作は、マッドハウスというプロダクションが行っている。ここは世界的にも評価の高いところで、『アニマトリックス』や『メトロポリス』といった作品を見れば、その技術力の高さがわかると言うものだろう。『東京ゴッドファーザーズ』も、全米配給を視野に入れて作ったというだけあって、ジブリ作品と肩を並べるほどクォリティの高い、すばらしいアニメーションとなっている。まさに、日本アニメここにあり、と言った感じである。

ストーリーは、「奇跡」をテーマにしたもので、下手をすると「あまりに都合が良すぎる」と冷めてしまいがちなものだ。だがしかし、「雪のクリスマスという舞台設定」「アニメーションという手法」が、それを許させる。最高にドラマチックなおとぎ話に、誰もがきっと温かい涙を流すことであろう。

80点
恐くて笑える、爽快なホラームービーだ

『エルム街の悪夢』シリーズのフレディ、『13日の金曜日』シリーズのジェイソン、この2大殺人鬼が対決するという、企画ものホラー映画。ホラー映画史上、もっとも有名なこの2人が1つの映画で大暴れするという事で、ホラーファンにとっては見逃せない一本だろう。

一応人間のヒロインが主人公で、彼女は、同時にこの2人の殺人鬼に狙われるという、映画史上、もっとも気の毒な状況に追いこまれるわけだが、そこはそれ、知恵と勇気でこの苦境をなんとか乗り越えようとするわけだ。

そしてまあ、いろいろあってラストでは殺人鬼同士が対決するわけだが、このバトルは実に見応えがあり、満足できる。戦いの舞台設定もいいし(1Rは夢世界というフレディの土俵、2Rはジェイソン有利の”ある場所”で戦う)、2人の対決に人間が絡む事で、ある種の臨場感が加わり、クライマックスの楽しさが濃厚になった。2人とも悪役なのに、いつのまにかどちらかの殺人鬼に肩入れしている自分に苦笑する。

80点
上品でまっとうな、おすすめロマンティックコメディ

ジャン・レノとジュリエット・ビノシュという、フランスの誇る国際派スターが始めて競演したロマンティック・コメディ。

フランスの映画というと、たとえロマコメであっても、ひねった結末を期待する向きは多いだろうが、『シェフと素顔と、おいしい時間』は、比較的アメリカ的な、ストレートなストーリーである。つまり、ちょっとかわったシチュエーションで起こる数々の出来事や会話で笑わせ、最後にはちょっとホロリとさせる、王道の展開である。ロマコメ本来のお客さまである、映画なんてせいぜい年に数回程度というライトユーザーを中心に、存分に楽しませてくれる作品といえる。

音楽は、リュック・ベッソン作品でおなじみのエリック・セラ(『レオン』)で、とても感動的なメロディを聞かせてくれる。涙腺の開放に一役買っている。

80点
いつしか道を外れてしまった者たちを勇気づけてくれる感動のドラマ

落ちぶれた左翼運動家たちの、現実と再生を描いたドイツ製ドラマ。

若かりしころ、市民運動や反権力運動に参加して、今は完全に経済社会の負け組となった主人公の二人組。彼らが、仲間たちと15年前にしかけた爆弾が、今ごろになって爆発して大騒ぎになる。慌てて、音信不通だった仲間たちと久しぶりの再会をはたすと、みなは全く違った人生を歩んでいた、……というところから物語は始まる。

『レボリューション6』は、非常にリアルなドラマだ。勝ち組、負け組の落差がハッキリしてきた現在、この作品が描くテーマは非常に現代的だ。主人公たちのように、安定した人生のレールから一度でも外れて、苦労した経験のある人ならば、彼らの辛苦は身にしみて理解、共感出来るはずだ。

80点
深いテーマを恐ろしくリアルに描いた、稀有な娯楽映画

ジェット・リー主演の、ワイヤーワーク満載のアクション映画。

……といわれて想像するような、お気楽映画とは実は程遠い。『HERO/英雄』は、その見た目の軽さとは裏腹に、実に奥の深い映画である。人間の本質を鋭く見ぬき、深く理解した上で描いており、私は大変感心した。

物語の展開は、ジェット・リーが大王へ、敵の凄腕暗殺者を倒したときの武勇伝を報告するという形を取っており、その回想シーンがイコールアクションシーンとなっている。そして、話が進むごとに、新事実が明らかになり、それによって回想シーンも微妙に姿を変えていくという、黒沢明の『羅生門』スタイルである。

80点
一級の娯楽サスペンスに大満足

製作にニコラス・ケイジが参加した、死刑制度問題を題材にした社会派サスペンス。……とはいっても、難しい話や堅苦しい雰囲気はまったくない。1級の娯楽作品として成立している、万人向けの今週のイチオシ映画である。131分の長い上映時間をまったく感じさせず、すべてのシーンが面白い。気合のはいった力作であり、私は強くオススメする。

哲学科の大学教授が書いたというこの脚本は、まさに2時間の映画のために書き下ろされたもの。だから、複雑で長大な小説をムリヤリ映画化したときのような無理がない。ストーリー展開に無駄が無く、見ていて飽きることがない。結末の衝撃も、凄いものがある。

主演の、冤罪を主張する死刑囚はケビン・スペーシーが演じる。『ユージュアル・サスペクツ』を見た方なら、きっと最初から警戒心を抱きながら彼の行動を見てしまうだろう。だが、それでも問題はない。そうした観客の心理まで、読みきったようなキャスティングである。じつに見事だ。

80点
まさに漫☆画太郎の世界だ!

カルト的人気を誇る漫画家、漫☆画太郎の漫画を初めて映画化した作品。87分の長編と、8分間の短編『ラーメンバカ一代』が同時上映となる。

早速だが、おすすめは8分間の短編のほうである。私はこの原作も読んだことがあるが、ここまで見事に映像化出来るとは夢にも思っていなかった。この監督(新人の山口雄大氏)は、この漫画家の魅力をよほど知り尽くしており、どうやれば面白く映画化出来るか、考え尽くしたに違いない。

もう、爆笑しっぱなしで、私は腹が痛くなった。マスコミ試写室というものは、えてして年齢層が高いもので、こうした若者向けのマニアックなギャグ作品は受けないだろうと思っていたが、隣に座っていた某ベテラン評論家なども、吹き出していたくらいだから、相当な破壊力である。

80点
子供も大人も楽しめる、これぞ娯楽映画の見本

冒険小説の古典『宝島』を原作にした、ディズニー・アニメーション。アカデミー賞の長編アニメ部門を『千と千尋の神隠し』と争った。

『トレジャー・プラネット』は、まさにディズニー、まさにハリウッド、という映画である。一切奇をてらわず、ストレートなストーリーで真っ向勝負、そこがいい。

『宝島』が原作とはいえ、舞台は宇宙。現代的に、設定を少々変更してあるのがミソである。そのアイデアのおかげで、空を飛ぶスノボーや重厚な宇宙船など、絵的に派手な見せ場を作ることが可能になった。話によると、このアイデア自体は17年前に考えられたが、最近技術的にようやく表現可能になったので、本作の製作が始まったのだという。

80点
さすがは12000本から選ばれた脚本だ

ベン・アフレック&マット・デイモンが、『グッドウィルハンティング』の脚本を、自分たち主演で売りこみ、アメリカンドリームを実現したというのは有名な話である。そんな彼らが、自分たちに続く新人を探すための企画で集めた1万2000本の脚本の中から、グランプリに選んだ脚本を映画化した感動作が本作である。

主人公である8歳の少年の視点で、死と宗教の問題をさわやかに描いている。ユダヤ教とカトリックという、大人だったら非常にデリケートに扱う、大きな宗教の違いを、彼は子供ならではの純粋さ、大胆さで乗り越えてゆく。

主人公の少年は、白血病で余命がわずかという年下の親友のために、10個の課題を一つずつ親友にチャレンジさせる。無事全種目をクリヤーすると、親友は安心して天国に行けるという設定なのだ。

80点
二転三転ストーリーを楽しめる良質ミステリ

トム・クルーズが製作総指揮にあたった(出演はしていない)、刑事ドラマ。完成した本作を鑑賞したトム・クルーズは大満足し、『M:I-3』(04年夏公開)の監督に本作の監督ジョー・カーナハンを大抜擢したという話もある。

コレは非常に面白い。トム・クルーズは最近、そのネームバリューを持って、出演もしていない新作の宣伝に良く利用されるスターだが(たとえば、「トム・クルーズがリメイク権を買った」とか)、確かに彼は、脚本を見る目があるといっていいだろう。

この『NARC ナーク』も、彼が脚本に惚れこみ、製作を買って出たという作品だが、確かに非常に見応えのある、素晴らしいストーリーとプロットを持った、重厚な作品である。

80点
最後の十秒にこの映画の魅力の全てがある!

アカデミー賞俳優ジャック・ニコルソン主演の感動ドラマ。

主人公は、定年退職を迎えた初老の男で、半生を振りかえり、自分の人生は平凡だが、そこそこ幸せだったと思いこんでいる。

ところが、突然妻が死亡し、しかも遺品を整理していたら自分の親友と浮気していやがったことが分かって、その思いは吹っ飛ぶ。

80点
単なるビックリ映画としてみるのが正しい

日本の『リング』がハリウッドでリメイクされてからというもの、似たような東洋的ホラーが相次いで公開されているが、これもその流行の一つとされている。

ところが、駄作も多いその流行の中、『the EYE(アイ)』はなかなかいける。冒頭から、かなり面白い仕掛けがあるので、開演前には必ず席に付いていたほうがいい。この仕掛けは、まさにこの映画のコンセプトを象徴している。

主演女優は、目がおっきくてかわいらしい顔つき。演技もウマイ。当初は盲目だが、移植手術により徐々に視力を取り戻す過程はとてもリアル。そんな興味深い設定と尽きない謎、そして時々出てくる心臓に悪いシーンのおかげで、観ていて飽きることはない。

80点
スタイル抜群の女の子がワイヤーワークで華麗にアクション

台湾(スー・チー)、中国(ヴィッキー・チャオ)、香港(カレン・モク)の3大スター主演のアクション映画。

『チャーリーズ・エンジェル』との差別化を計るためか、こちらはシリアス路線で行く。でもストーリーは似たようなもん。だから、見所はやはり美女のアクションという事になる。

この映画の美女たちは、モノトーンの衣装しか身に着けないので、色彩的に統一感のある画面作りに成功している。そして、その真っ白なパンツスーツが一番似合うのが、台湾の誇る人気女優スー・チーである。

75点
移民問題についても考えさせられる

最近はやりの恋愛工学では、美人に対してほどディスるのが定番の口説き方だが、「スターシップ9」も絶世の美女がつれなくされる場面がたくさん見られる奇妙なドラマである。

超長期で恒星間飛行を続ける宇宙船の中で、およそ20年ほど前に生まれたエレナ(クララ・ラゴ)。最愛の、さらにいえば彼女が唯一見たことがあるにんげんだった両親はもういない。しかも飛行船は吸気システムがトラぶっており酸素は残り少ない。困った彼女のもとにようやく一人のエンジニア(アレックス・ゴンサレス)が到着する。人生初の訪問者を前に、エレナの胸は不思議な期待で高まるのだった。

序盤の最大の見せ場は、宇宙船の中で生まれ両親以外の人間と出会ったことのないエレナが、イケメン技術者のアレックスが眠るベッドに忍び込み自ら迫るセクシーシーンである。

75点
カンフー映画最高峰

いまクンフーアクションをやらせたら、ドニー・イェンは明らかにトップスターであろう。ただ、日本での一般的知名度は残念ながらあまり高くはない。「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」など近年はハリウッドの話題作での活躍も目立つが、そもそも洋画じたいが冬の時代なので、なかなか浸透しない。

ブルース・リーの師匠としても知られる詠春拳の達人イップマン(ドニー・イェン)が静かに妻子と暮らす街に、悪徳不動産業者フランク(マイク・タイソン)が目を付けた。強引な地上げを行おうとする彼らを、イップは息子の同級生の父親チョン(マックス・チャン)と協力して何とか一度は退ける。

さて、そんなドニー・イェンだが彼の魅力を味わうにはこのイップマンシリーズはうってつけである。

75点
チャイナマネーの力

「グレートウォール」はまごうかたなき中国プロパガンダ映画の超大作だが、その出来たるや隙のないまさにお手本というべき傑作であり、その点は高く評価せざるを得ない。

弓の名手で傭兵のウィリアム(マット・デイモン)は、仲間とともに黒色火薬を求めて中国大陸にやってきた。彼らはやがて異民族に追われ万里の長城の警備隊に助けを求める。完全武装の中国軍の大軍勢に圧倒されるウィリアムらは、かれらが60年に一度遅い来る、饕餮(とうてつ)なる獣への迎撃準備をしていることを知るのだった。

万里の長城を「人類を守ってきた最後の防壁」と位置づけ、中国伝統の怪物=饕餮と決死隊のド派手なバトルの連続で見せる熱いストーリー。

75点
取り残されてゆく日本

変化を体感できるドキュメンタリー映画ほど観客が熱中するものはない。まして社会そのものを変える意欲に満ちた映画ともなればその興奮たるや想像に余りあるが、日本でそこまでの影響力を映画が持つことは少ない。その、数少ない映画の一つになろうというのが、反原発訴訟の中心弁護士、河合弘之監督による作品群である。

その3作目となる本作は、これまでの脱原発に加えてその代案としての「自然エネルギー」を徹底的に分析する。批判だけならだれでもできる、では原発をなくしたあとの未来はどうあるべきか。それが監督が描こうと試みた主題である。

この手の反原発モノは腐るほどあるから、いいかげん見る側も飽き飽きしているかもしれないが、さすがは異業種監督。この映画は最初の1秒目から、凡百の反原発映画との違いを見せつける。いきなりとんでもない宣言を観客にたたきつけ、仰天させる。

75点
妻が死んだのに涙が出ない

「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン=マルク・ヴァレ監督が、「ナイトクローラー」(2014)など近年高くその演技力が評価されているジェイク・ギレンホールを主演に作ったこの「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」は、その長ったらしい邦題同様、よくまあこんなわけのわからない話をこれほど面白い映画にしたものだと感心させられる佳作である。

ウォール街の優秀な金融マン、ディヴィス(ジェイク・ギレンホール)は、誰もが羨む成功した暮らしを送っている。ところがあるとき妻が交通事故死。だが彼は、その訃報に涙も出ず、なんら感情を動かされることもなかった。

おなじみブラックリスト掲載のオリジナル脚本の映画化だが、これはかなりうまくいった部類に入る。

75点
久々のキング節

モダンホラーの大御所スティーヴン・キングといえば、かつては映画原作者として大人気だった。しかし近年ではテレビムービーがほとんどで、なかなか日本で劇場公開されることはない。リメイク版「キャリー」(2013)の前には「ザ・チャイルド:悪魔の起源」(2010)まで遡らねばならないわけで、20代の人は彼の原作映画をほとんど知らないのではないだろうか。

別居中の妻子に空港から電話をかけていたコミック作家のクレイ(ジョン・キューザック)。ところがバッテリ切れで肝心の通話が途中で切れてしまう。ところが次の瞬間、携帯を使っている人々が次々と狂い、周囲を襲い始める。暴徒と化した群衆から命からがら逃げだした彼は、通話が切れたきりの妻子の家へと向かうのだが……。

原作は06年の小説で、結末に多くの不満が寄せられたキングは映画化にあたり、みずから脚本家として新エンディングを考案して挑んだ。そんなわけで既読者でも楽しめるようになっている。

75点
ヒーローは無名

昨年から始まったディズニー版スター・ウォーズは、隔年で本編3部作が公開される合間に、スピンオフ3本の公開を挟む形でとりあえず6年間続く予定になっている。「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」はそのスピンオフ第一作となる。

皇帝とダースベイダーら帝国軍は最終兵器デススターの完成を目の前にしていた。反乱軍は、その危険性を証明するため、過激すぎて袂を分かったかつての仲間ソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)に連絡を取る必要があった。そこで彼らは、ソウのもとでかつて暮らしていたジン(フェリシティ・ジョーンズ)にコンタクトを取るのだった。

さて、このジンという女性がヒロインなわけだが、彼女はデススターの開発の中心人物で科学者ゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)の娘でもある。ほかの人生があったはずなのに、宇宙のゆくえを揺るがす運命に巻き込まれた彼女の悲劇的な物語が本作の見どころである。

75点
中高年男性でも楽しめる娯楽作

元MI6の作家ジョン・ル・カレ原作のスパイサスペンス「われらが背きし者」は、彼の小説の最近の映画化の例に漏れず、非常に見応えのある大人向けの傑作エンタテイメントに仕上がっている。

大学教授ペリー(ユアン・マクレガー)は妻とモロッコに休暇にやってきた。そこで知り合った妙にきっぷのいい男ディマ(ステラン・スカルスガルド)に後日、夫婦で誘われたペリーは、そのあまりにゴージャスなパーティーに圧倒される。そしてその場で彼はディマに、彼がロシアンマフィアの金庫番であること、組織に命を狙われていること、家族を救うため、秘密が入ったメモリスティックをMI6に届けてほしいことを頼まれる。

どこかの国の人気コミックと違って、ジョン・ル・カレの映画化作品に外れはない。どこかの国の人気コミックを実写化する人たちは、大いに参考にしたらよい。

75点
トランプ躍進の謎が解ける

共和党の有力候補ドナルド・トランプは、メキシコ国境に「万里の長城」を建設するとぶちあげている。しかも1兆円ともいわれる建設費は全額メキシコ持ち。突然そんなものを押し付けられたメキシコの納税者はたまらないが、アメリカの有権者は拍手喝采だ。

いったいなぜこんな暴言が支持されるのか。その謎を解くのが「ボーダーライン」。メキシコ麻薬戦争の裏側を初めて描いた本格アクション映画だ。

メキシコとの国境線で活躍するFBI捜査官ケイト(エミリー・ブラント)は、麻薬カルテル殲滅のため国防総省らが主導する特別編成チームにスカウトされる。そこには素性のわからぬコロンビア人(ベニチオ・デル・トロ)がいてケイトは警戒するが、捜査を主導するのはやたらと現地の裏社会に詳しいその男だった。

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