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20点
最初のアクションシーンはいい、あとはおバカ映画

上映期間3週間を目指す(……。)という、倉田保昭主演のカンフー映画。倉田保昭という俳優は、日本ではGメン75で知られ、香港その他のアジアでは和製ドラゴンとして知られるアクションスターである。最近ではスーチー主演の『クローサー』にも、クライマックスの敵役で出ていた。

ワイヤーアクションバリバリの本作は、彼の魅力をたっぷり楽しめる、超おバカ映画として考えれば、見て損の無いレベルにある。いろいろと突っ込み所が満載で、友人同士で鑑賞後に語るネタには困らない、ゆかいな映画である。キワモノ食いの人がいたら、あえて試してみてはいかがだろう。

シベリア超特急をめざすのかといいたくなるほどの爆笑シーン満載だが、倉田氏がそれを確信犯でやっているのかどうかは不明だ。彼がそういうシーンを演じると、なんだかまじめにやってそうで、それがまた笑える。人柄の温かさがにじみ出ている俳優さんで、私はもっと彼の公開作が日本でも増えればいいのにと思う。

15点
≪監督にすべて任せておけばいいものを≫

源氏物語は謎多き古典である。作者は紫式部といわれるが、すべてを彼女が書いたとするにはおかしな点があると指摘する複数作者説も根強い。そもそも正式なタイトルすらよくわからないとされている。

『源氏物語 千年の謎』と壮大なタイトルをつけるからには、そうした定説に対し、なにか大胆な絵解きの一つもしてくれるものかと期待したが、どうやら期待すべき点を間違っていた。

ときは平安時代。「この世をば わが世とぞ思ふ」藤原道長(東山紀之)は紫式部(中谷美紀)の身体を奪い、娘・彰子のために物語を書けと命じる。彼女は美しき光源氏(生田斗真)を主人公にめくるめく恋愛模様を生き生きと描写してゆく。

15点
≪20年前のハリウッドに完敗の無念≫

『ゴースト もういちど抱きしめたい』を見ると、現在の邦画界の問題点を見事なまでに網羅したその出来栄えに、ほとんど気持ちがいいと形容したくなるほどの爽快な敗北感を味わえる。

大成功した実業家の七海(松嶋菜々子)は、誕生パーティで泥酔した翌朝、陶芸家志望の韓国人ジュノ(ソン・スンホン)の部屋のベッドで目覚める。下着すら身に着けていない自分に驚愕した彼女は、しれっとした態度のジュノを見て動揺する。そんな最悪の出会いだったが、やがて二人は惹かれあう仲に。しかし、そんな七海へ最悪の運命が襲い掛かる。

オリジナルの「ゴースト/ニューヨークの幻」(90年、米)はテレビで何度も放映されている超人気作。30代以上の女の子にとっては、ラブストーリーのド定番といってよい。急逝したパトリック・スウェイジ、そして若き日のデミ・ムーア、二人の仲介をするウーピー・ゴールドバーグと、見事な演技のアンサンブルが人々の涙を誘う名作である。

15点
≪欧州を感動させた映画ではあるが……≫

くせもの揃いのカンヌ国際映画祭。そこで2008年の最高賞(パルムドール)をとったとなれば、映画好きならば誰だって興味がわく。しかも審査委員長の映画監督ショーン・ペンは満場一致と絶賛するし、考えてみれば純粋なるフランス映画がパルムドールをとるのは久しぶりな気もする。これは見逃せないと試写に出向いたが、これが残念な肩透かしであった。

様々な国・地域からの移民が共存するパリ20区。その混沌を象徴するかのように、多種多様な人種が入り乱れたある中学校のクラス。国語教師フランソワ(フランソワ・ベゴドー)は、スラングを連発するやっかいな子供たちを相手に、あの手この手で正しいフランス語を教えようとするが……。

ドキュメンタリーのようなタッチで、ある教師と24人の生徒の新学期から1年間を描いたドラマ。翌年のアカデミー賞では外国語映画賞にもノミネートされた、総じて高評価の作品である。優雅でプライドの高いフランス人のありがちなイメージとは正反対の、移民地区の学校の現実。その混沌とした生々しい日常を、素人を中心としたキャストで臨場感たっぷりに見せてくれる。

15点
新垣結衣が応援団長に

『フレフレ少女』は、学ラン姿の新垣結衣を見れるだけで幸せという人にとっては、本年度最高の映画である。

高2の文学少女・桃子(新垣結衣)は、あるとき野球部のエースに恋をする。だが、ライバル多数で野球部には近づけない。そんな桃子の耳に「あきらめるな」との天の声が。それを追い屋上へ行くと、たった一人で声出し中の応援団部員・龍太郎(永山絢斗)がいた。応援団として野球部を見守るのもアリかと思わず入部した桃子だったが、いきなり部員不足で廃部の危機に見舞われる。

学ラン姿の新垣結衣を見れるだけで幸せという人にとって本年度最高の映画『フレフレ少女』は、しかしいくつか問題点がある。

15点
前作の良さはどこへいってしまったのか

前作『the EYE』は、角膜移植された女性が、ドナーの見ていた「この世のものではない何か」まで見えるようになってしまうというアイデアが受け、トム・クルーズが早々にリメイク権を買ったという事でも話題になった。

そして、一躍有名になった監督のパン・ブラザーズ(オキサイド・パン&ダニー・パン)によるパート2とパート3が、このたび日本でも立て続けに公開されることになった(パート3は06年4月29日から公開になる)。タイトルに2とあるが、背景世界は共通しているものの、物語自体につながりはなく、独立した作品だ。

今回も主人公は美しい女性。これを演じているのは、台湾出身で、ハリウッド作品含め多数の映画出演歴を誇る女優スー・チー。男がらみで自殺未遂するなど、精神的に不安定なこのヒロインは、悪いことに不倫相手の子供を妊娠、激しく動揺する。しかも、その頃から霊らしきものが見えるようになり、恐怖の日々を過ごす羽目になる。はてさて、ヒロインと胎児の運命やいかに、というお話だ。

15点
確信的詐欺、わかって楽しめる人こそ上級者

エイリアンと、フランスの人気歌手ヴァネッサ・パラディが戦うSFドラマ。

舞台はどこかの寂れた田舎町。この町のささやかな祭りの出し物のため雇われた、流れ者のスタントマン(ジェイソン・フレミング)がやってきた。ところが彼は町のボスの一人娘(ヴァネッサ・パラディ)と恋に落ち、ボスの怒りを買ってしまう。

いやあ、ひどい映画である。原題とも内容ともまったく無関係なこの邦題、じつにひどい。公式サイトなど行くと、この映画の出演者で唯一名前の売れているヴァネッサのかわいらしい写真とともに、「映画史上最大の衝撃が襲い掛かる!」などと書いてある。ひどい冗談である。

15点
監督の感性を活かせなかった責任は誰にあるのか

シリアスなストーリーでいまだに根強い人気を持つTVアニメ『新造人間キャシャーン』の実写映画化。監督は宇多田ヒカルの旦那さんでもあるフォトグラファーの紀里谷和明。

この映画を見にくるお客さんは、大きく二つに分けられる。まず、かつてのTVアニメのファンで、実写化を心待ちにしている熱烈なお客さん。次に、目を引くデザインのポスターや予告編など、広告媒体を見てなんとなく興味を持ったお客さん。オリジナルのアニメのことなど、露ほども知らない若年層はこちらに含まれよう。

まず前者のお客さん、つまり原作ファンにとってこの実写版は、多くの方がなんとなく感じている悪い予感が悲しいまでに的中してしまったと言える。

15点
不自然の連続に興味がそがれる

連続少女殺人事件の犯人である14歳の少年が、3年後に出所したあとの、家族の苦悩と再生を描いたドラマ。

監督は、新聞をにぎわす、10代の凶悪犯罪からインスピレーションを得て、この映画を作ったという。だが恐らく、突っ込んだ取材やリサーチは行っていないであろう。というのも、この映画の描く「加害者とその家族」の様子には、常識で見て明らかに不自然な点が多く、まったくもって納得できない点が多すぎるからだ。

また、監督の出身地ということで、種子島が舞台となっているが、人目を避けたい一家が、よりにもよってあんな辺ぴな場所に里帰りするという設定自体が、私にはついていけない感覚だ。あれじゃ、よけいに目立つし、孤独になるし、社会復帰できなくなる。映像面の面白さを重視するのは決して悪いことではないが、それが今回シチュエーションの不自然さを際立たせる結果となっている。

15点
GacktとHYDEファン以外が観る理由は無い

ジャパンポップ界のアイドルGacktとHYDEが主演のSF映画。ガクトは、脚本などにも相当アイデアを出したという。

その二人の少々へたっぴな演技も、見ているとそのうち慣れてくる。さすがに一分野でトップになっただけあって、彼らにはオーラというか、存在感がある。

その他の出演者中、山本太郎はさわやかでいいが、台湾で大人気のワン・リーホンはまるで目だった所が無い。あちらの女優さんも出ているが、女優が男優(GacktとHYDE)の引きたて役になってしまっているというのは気の毒だ。

15点
見所は動くサトエリの開脚! それがすべてだ

佐藤江梨子をはじめとしたグラビアアイドル出演で送る、かつてのテレビシリーズの劇場版リメイク。ほとんどVシネマなみの安っぽさで、テキトーなストーリーと低予算バレバレのセット、見ていて笑いが止まらないほど下手っぴな演技が味わえる。

ここまでチープな映画を作ってもらうと、逆に気持ちがいい。私としても、冒頭からラストまで、ずっと笑いっぱなしであった。点数は低いが、こういう映画も悪くない。ハリウッド映画みたいな派手なものを観にいってこれが出てきたら、入場料訴訟が巻き起こるとは思うが、そんなものを期待して『プレイガール』に行く人などいまい。どうせ2時間ドラマ並の予算で作っているのだから、何か一つでも見所があれば良しとしよう。

で、その見所だが、私は迷わず冒頭のサトエリのダンスを挙げたい。おそらく、情熱と製作費の半分以上をここにかけたかと思う、この大キャバレーでのシーンでのサトエリの動きは最高だ。あの抜群のスタイルがビキニ姿で動いているだけで、ファンならウットリだ。

12点
子供と苦労人と不良とスポーツで、お手軽泣き映画のできあがり!

以前、『ARAHAN アラハン』という韓国映画があった。日本のゲームからパクって、いやインスパイヤされていた上に、内容も薄いということで、私は10点をつけた覚えがある。その監督リュ・スンワンと、主演リュ・スンボム(実弟)のコンビによる新作がこの『クライング・フィスト』だ。

2人の男が主人公で、それぞれ同じボクシング新人戦を目指すという話だが、最後の対戦シーンまで、一切二人自身とその周辺人物が交わることはない。まったく別々の2本の映画を見ているような、そんな印象さえ受けるプロットだ。

一人はかつてオリンピック銀メダリストだったが、落ちぶれて今では殴られ屋をやっている引退ボクサー。これを演じるのはチェ・ミンシク。数少ない、本物を感じさせる男優だ。彼は、別れた妻に取られた子供を取り戻したくて、人生の再起をかけて試合に挑む。

12点
CMに騙される率が高そうだ

同じ週の『南極物語』が犬ならこちらはキツネ。獣医の竹田津先生とそこで保護されている動物たちの様子を描いた原作本「子ぎつねヘレンがのこしたもの」をもとに、ヘレンとある少年に焦点を絞って映画化した。

舞台は春の北海道。母(松雪泰子)と二人、東京から越してきた少年(深澤嵐)は、カメラマンとして海外取材に出かけた母によって、ぶっきらぼうな医師(大沢たかお)が経営する小さな動物病院に預けられる。ある日少年は、道端で子ぎつねを拾い、病院につれていくが、ヘレンと名づけたそのキツネは、目も耳もきこえず、母ギツネともはぐれてしまった事が判明する。

こうして、野生動物としては致命的な、おそらく放置しておけば数日と生きられなかったヘレンと少年の物語が始まる。生と死をテーマにした子供向けの動物映画だ。ヘレンを必死に生かそうとする少年が、光も音も失った野生動物の生き様から何を学ぶか、という成長物語を狙ったものであると想像される。

10点
ドラマ視聴者限定

「映画 ホタルノヒカリ」は、同じくローマを舞台にしたロマコメ(?)の古典的名作「ローマの休日」(53年、米)をモチーフとしている。ロケ撮影による、おなじみの観光地を総ざらいした見せ場の数々がうっとりする映像となって目を楽しませる。むろん、楽しんだのは撮影スタッフと出演者の目であって、我々観客はその様子を眺めるだけである。

蛍(綾瀬はるか)は、ようやくゴールインした高野部長(藤木直人)と新婚生活を始めている。ところが持ち前の面倒くさがりでいまだ新婚旅行にさえ出かけていない始末。それでも仕事にかこつけようやくイタリア・ローマへでかけた二人だが、そこで彼らはイタリア版・干物女というべき莉央(松雪泰子)と出会う。

絶景なロケ地で、やっていることはこれ以上ないほどのおバカコメディー。ぶちょお〜だのゴロゴロゴロだの、お茶の間で尻をかきながら見ている分には許せたギャグの数々も、大勢でかしこまって静かな劇場で見ていると、とても気恥ずかしくて笑えない。劇場ならではのそうした逆効果現象が極まった一品である。

10点
≪江川監督らしさを押し出し、もっと過激なゲームを≫

中世のヨーロッパが起源だそうだが、合コンの風物詩こと王様ゲームはどこか日本人にぴったりな余興である。

引っ込み思案でひとり突出した事がしにくい国民性ながら、王様の命令という錦の御旗のおかげでちょぴり過激でエッチなコミュニケーションも可能になる。しかも王様自身、誰が何番なのか知らないというギャンブル性。すなわちうまい具合に、誰も責任を取らずにすむ。まるで官僚制のようなシステムになっている。これを日本的といわずなんというか。

さらにいえば、過激になりすぎて場のムードを壊さぬためには、全員が空気を読み抑制を利かせる必要がある。たいして盛り上がらぬ序盤などは、必死に周りが鼓舞することも必要だ。

10点
≪京極夏彦作品の異色は、いまどきアニメの"フツー"≫

京極夏彦といえば、百鬼夜行(京極堂)シリーズに代表される、オカルト風味を取り入れた分厚い推理小説で知られる。

NHKの連続ドラマ「ゲゲゲの女房」の大好評でもわかるとおり、このところ日本では妖怪ネタが広く受け入れられる土壌が広がっているが、そんな事もあってか京極作品も大人気。「魍魎の匣」や「嗤う伊右衛門」といった作品は映画化されたし、アニメ化されたものもある。

そんな中、「ルー=ガルー 忌避すべき狼」は異色中の異色作として2001年に登場した。京極作品ながら近未来SFで、しかも美少女アクションの要素も含む。作品世界の設定をアニメ雑誌で公募するといった遊び心ある企画も異例であった。

10点
というか、ゾンビハンターの存在理由はあったのか?

今週は沈黙シリーズ最新作「沈黙の逆襲」も同日公開されるという、ファン大喜びのセガール祭り。この『斬撃 -ZANGEKI-』の配給会社も、同様に男性向けアクション作品でウェズリー・スナイプス主演の「アート オブ ウォー2」をペアにして、さかんに宣伝している。ただ、彼らほどのアクションスターが、いまや抱き合わせ販売のようになっているとは、どうにもさびしい。

ある街で感染者がゾンビとなるウィルスが蔓延、パニックとなる。政府は打つ手がなく、街の空爆を決定。だがそこにはいまだ生存者がおり、元特殊部隊のタオ(スティーヴン・セガール)率いるゾンビハンター数名が、決死の救出作業を行っていた。

なんと今回、セガールが戦うのはゾンビである。

10点
ストリートファイターの映画としては中途半端か

どう考えてもバカ映画にしかなりそうにない企画を、バカ映画にだけはすまいと必死に頑張る監督が担当すると、たいていそれはバカ映画になる。

両親からピアノと格闘技の手ほどきを受け成長した春麗(クリスティン・クルック)は、いまやピアニストとしてひとり立ちしていた。やがて母をなくし、とうとう天涯孤独の身となった彼女のもとに、中国の古い巻物が届く。それをきっかけに、幼いころ拉致された父親の生存を確信した彼女は、彼女の導師的存在であるゲン(ロビン・ショウ)のもとで激しい修行を開始する。

カプコンの対戦型2D格闘ゲーム、ストリートファイターの人気キャラクター、チュン・リーをヒロインにした実写映画。世界中で大人気のゲームとあって、このタイトルは94年にも一度、実写映画となっている。

10点
大ヒット同人ゲームがついに映画化

爆発的人気を誇る原作の同人ゲームを未プレイのままこの実写版を見た私は、終映後になってもいったいこの話の何が面白いのか、さっぱりわからなかった。「いや、コレから初めて原作全部(ゲーム8本)やれば面白いんですよ」と映画会社の人はいうが、それならゲームだけやればいいじゃないかと正直思った。

人里はなれた雛見沢村に越してきた主人公・前原圭一(前田公輝)は、人懐こい同級生の女子らの存在もあり、楽しい学園生活を送っていた。だが奇妙な夏祭りの風習や、それに伴う異様な失踪事件が毎年起こっている事実を知ると、彼女らも含めた村人が自分だけに重大な何かを隠しているのではないかと疑心暗鬼になっていく。

今考えてみると、「ゲーム全部をやれ」という映画会社の人の話は当たっていた。少なくとも公式サイトで体験版として無料ダウンロードできる映画版の原作「鬼隠し編」だけでもやっておかないと、これだけ見る意味はほとんどない。いや、それでも結局は不十分(鬼隠し編は問題編・導入部のごとき位置づけになっているため)で、解答編にあたる続編や、さらに残された謎が解けていくその後の続きもやらないと、結局は気がすまない事になるだろう。

10点
黒澤明の名作を、長澤まさみ&ジャニーズ松本潤主演でリメイク

『隠し砦の三悪人』は黒澤明監督がのこした数々の傑作の中でも、特に「ファンに愛されている」作品ではないか。そんな、一定の年齢以上の日本人にとって大切な宝物のような映画作品のリメイクに、樋口真嗣(ひぐちしんじ)監督は『THE LAST PRINCESS』(ざ・らすとぷりんせす)というイカすタイトルをつけた。そのカッコよさはまるでポケモン映画のよう。思わず涙が出る。

山の民である武蔵(松本潤)と新八(宮川大輔)は、山名国により攻め落とされた秋月国の城内で、隠し金を探すための強制労働をさせられていた。やがて作業中の爆発事故にまぎれて逃げ出した二人は、偶然にも川辺で隠し金の一部を発見、色めき立つ。ところがそれはすでに浪人・真壁六郎太(阿部寛)とその弟(後述)により発見・隠されていたもので、武蔵と新八はそれらを国境の向こうへかつぎだす手伝いをさせられる。

隠し金は薪に偽装されているが、真壁の弟に偽装されているのは実は秋月国の生き残りの雪姫(長澤まさみ)。真壁は彼女と金を守り、秋月の復興を託された最後の家臣である。彼らが、欲にまみれた二人の平民を騙しすかして協力させ、友好国へ脱出を試みるのが基本ストーリーとなる。

10点
告白シーンが変

ドリームズ・カム・トゥルーの名曲『未来予想図』そして『未来予想図II』は、カラオケ上手な女の子の最終兵器として当時は絶大な人気を誇っていた。安い中古車で彼女を送っていったあと、ブレーキをカクカク5回も踏んで、毎晩ムチ打ち気味になっていたかつての貧乏学生たちにとって、その映画化となればこれはもう、「多少の齟齬は目をつぶるから泣かせて頂戴」てな気持ちで前売り券を買うこと決定な一本である。

自主映画の撮影をきっかけに知り合った大学生のさやか(松下奈緒)と慶太(竹財輝之助)は、やがて自然と恋人同士に。卒業後、確たる夢もなくOLを続けるさやかに対し、慶太は、尊敬する建築家ガウディの後を追いスペイン行きを考えるようになる。二人が思い描き、歩いていく未来は、徐々に大きくずれていく。

あの曲を愛するものにとってはこの映画、適当なラブストーリーで最後にドリカムがかかればまあ満足、ってな程度の期待しかしていない。誰一人本作が、映画史に名を残す名作になるとは思っていない。しかし、それにしてもひどかった。

10点
タイトルと宣伝で客がくればよし、というだけの作品

小松左京の大ベストセラー『日本沈没』には、筒井康隆による有名なパロディ短編『日本以外全部沈没』がある。これは、その実写映画化。

2011年、天変地異により日本以外の国が続々と沈んでいった。唯一残った日本列島には、各国から難民が押し寄せ、日本中の治安は悪化した。かつての大国アメリカや、反日国家のVIPも、いまや日本国首相にペコペコし、ハリウッドスターも端役で生き延びるしかない時代となった。日本人は特権階級となり、その権力にあぐらをかいて傲慢になっていったが、刻々と破滅のときは近づいていた。

映画『日本以外全部沈没』を、『日本沈没』に対抗しうるパロディ映画と勘違いしてはいけない。これは、河崎実という監督の映画がどういうものか、最初からわかっている一部のマニアックな人々だけが見ればそれで十分という、特殊な映画である。思わせぶりな予告編や、印象深いタイトルに興味を持ったフツーの人は、悪いことは言わないからやめておいたほうがよい。なおこの点数は、そうした一般の人々を対象にしたものであり、河崎実ファンに対してはまったく当てはまらない。

10点
90パーセントくらいがスローモーションじゃないのか

韓流ブームが去り、本来公開されるはずもなかった、ゴミのような韓国映画の消化ゲームがはじまっている今日この頃であるが、この『デュエリスト』もその他の例に漏れず、年間MVP級のダメ映画である。

朝鮮の王朝時代が舞台。主人公の女刑事(ハ・ジウォン)は、偽金事件の潜入捜査中、謎めいた刺客(カン・ドンウォン)と出会う。結局その場では取り逃がすが、まるで運命のように何度も出会い、そのたびに決闘する二人であった……。

やたらと気の強い女が、イケメンで穏やかで中世的な男と、会うたびに殺し合いながら、そのうち恋をするというお話だ。ハ・ジウォンは、どこからどうみても時代劇の登場人物には見えず、外見もふるまいも現代人そのもの。何もかもわざとらしくて、叫んでばかりのダメ演技で、かわいらしさもゼロ。始まって5分でこちらは脱力である。

10点
リスペクト&インスパイア超大作

韓国製クンフー映画。主演となる売出し中の若手俳優リュ・スンボムは、リュ・スンワン監督の実弟。

ドジで力も弱い主人公の警察官(リュ・スンボム)は、ひったくり犯の追跡中、謎の女性と出会う。彼女は拳法の達人で、一緒に犯人を追ってくれたのだが、最後の最後で犯人と間違えて主人公に必殺技をくらわしてしまう。気絶した彼が、彼女に担ぎ込まれた謎の道場にはたくさんの達人たちがいたが、彼らは主人公のもつ“気”の潜在的な強さに驚愕し、彼を練習生としてスカウトするのだった。

やがて主人公の青年は強くなり、ヒロインの女の子と共に巨悪と対決するというストーリーだ。まあ、子供や若いカップルが、時間つぶしに見るようなお気楽アクション映画といえる。確かに格闘場面はなかなか迫力があるし、CGなんかを使った見せ場もたくさんある。

10点
京極小説を映像化するのは難しい

直木賞作家・京極夏彦のデビュー小説の映画化。いわゆる京極堂シリーズの第1作にあたる。

昭和27年の東京。作家の関口(永瀬正敏)は、「ある産婦人科の院長の娘が、妊娠20ヶ月にもなるのに出産の気配がない」という町のうわさを取材することになった。そこで彼は、ほぼ唯一の友人でありこの手の超常現象にも詳しい古書店主、京極堂こと中禅寺秋彦(堤真一)に相談を持ち掛ける。

京極夏彦といえば、枕になるほど分厚いミステリ小説を書く人気作家。なかでも京極堂シリーズは、作者の博学ぶりを生かした薀蓄があふれた独特の怪奇ムード漂う世界観が、一部のファンに大人気だ。個性が強いから、肌に合う合わないがはっきりしていて、私はアレを映画化するのは難しいと常々思っていた。中でもデビュー作の『姑獲鳥の夏』(うぶめのなつ)はその特徴が顕著であり、映画化したら間違いなくチープなダメ作になるであろうと危惧していた。

10点
売り手側の色気をすべて見透かされた

1989年に東京の足立区で実際に起きた、日本犯罪史上に残る凶悪事件『女子高生コンクリート詰め殺人事件』を映画化した作品。東京・銀座シネパトスで公開予定だったが、映画化を知った人々の間に反対運動が巻き起こり、上映中止に追い込まれた。本来、今週末の劇場公開作品を先行紹介するのがこのサイトの基本方針だが、この作品については読者からの要望が特別に強かったため、例外的に紹介することにした。

上映館の銀座シネパトスには、電話やFAX等で反対意見が寄せられたというが、なぜ映画『コンクリート』はここまで人々の強い反感を買ってしまったのか。実在の殺人事件の犯人側をリアルに描いた映画だからか? ……いや、違うだろう。そうした映画は、米国のコロンバイン高校銃乱射事件の犯人たちの周辺を描いた『エレファント』をはじめ、この1,2年だけでもいくつかある。

『コンクリート』最大の問題は、製作側(の一部)に真剣さが足りなかったという点にある。たとえば、この映画のキャスト中、最大の重要人物である被害者の女子高生役は、小森未来が演じている。だが、彼女はお世辞にも女優を本業にしているとはいいがたい、ヌードグラビア界のアイドルだ。このキャスティング一つをとっても、この題材に対して真剣に取り組んでいない証明みたいなものだ。

10点
韓国人が見ても引くだろうと思わせるほどの反日ドラマ

仲村トオル出演の、日韓合作近未来アクション。誰もがあらゆる点でぶったまげるであろう、2004年屈指の怪作である。

映画が始まると、いきなりCGバレバレのハンググライダー飛行シーンを見せられて観客はへたり込みそうになるが、主演の韓国人俳優の信じがたいほど壊れた日本語のセリフを聞けば、そんな心配は序章に過ぎなかったことに気づくはず。無理やり合わさざるを得ない仲村の姿が痛々しい。

朝鮮半島が戦後日本にずっと占領統治されていたという設定も豪快。反日的な空気が映画のそこここに漂い、思わず「オイオイ……」と引きそうになる。

10点
2時間20分のなかで40秒だけはいい映画

人気アイドル上戸彩を主演にした漫画チック時代劇。北村監督は、小山ゆうの原作コミックの大ファンで、喜んでこの仕事を引き受けたという。原作のファンなら、さぞ見事に映画化するだろうと、誰もが期待する実写映画化だ。

北村監督は、アクション映画『VERSUS』で国際的な評価を得た人で、その個性的な殺陣の動きには定評がある。しかしこの『あずみ』は、『VERSUS』よりはるかに予算があるはずなのになぜ? といいたくなるほどチープな出来栄えだ。

しかも、監督お得意のアクションシーンまで平均以下。その迫力の無さといったら、はるかに低予算で作られた『VERSUS』をはるかに下まわる。

9点
「ルパン三世」実写版の続編気分を味わえる

華々しいキャストの大作アクションだからか「異能の天才たちによる"極限のスパイゲーム"」なんて宣伝が大々的に行われているが、そういうキャッチコピーはやめた方がよいのではないか。

架空の第2次世界大戦を前にした時代。陸軍士官学校で上官をはずみで殺害してしまった男(亀梨和也)は処刑寸前、結城中佐(伊勢谷友介)に救われる。別の名を与えられ、スパイとして鍛えられた彼は、大陸の"魔の都"に派遣され、新型爆弾の設計図を盗むミッションに挑む。

どうしようもないZ級作品を買い付けてしまい、なんとか損失を押さえるべく高い下駄を履かせたり、嘘八百の大げさな惹句で気を引こうという宣伝手法をよく見かける。零細映画会社の苦肉の策で、心優しい映画ファンは文句すら言わないが、それを国内最大手の会社が勝負作でやるのはどうなのか。

9点
戦国一バカ決定戦 優勝は誰?

悲しき宿命を背負った美少女刺客、あずみの戦いの日々を描いたアクション時代劇PART2。原作は小山ゆう(「がんばれ元気」ほか)、主演はクチビルが魅力的なアイドル上戸彩、新登場で注目すべきはタランティーノ作品「キル・ビル」で見事な存在感を示した栗山千明だ。

舞台は戦国時代の末期、物語は前作の直後から始まる。徳川方の刺客あずみ(上戸彩)は、唯一生き残った仲間(石垣佑磨)とともに最後の標的、真田昌幸を追っている。やがて敵と遭遇するが、現れた謎の山賊軍団にあずみたちは危機を救われる。

さてその山賊集団、リーダー(小栗旬)のお顔が、前作であずみ自らブチ殺した最愛の人そっくりだったからさあ大変。この第2作では、非情の戦士あずみちゃんが、愛を取るかお仕事をとるかで苦悩するという、“オンナノコ”の一面を見ることができる。

7点
『くりいむレモン』なのに男の尻しか見れないとは……

80年代に話題になった同名のアダルトアニメシリーズを実写映画化したもの。血のつながっていない兄妹の恋愛を描くエッチなドラマ。

17歳の亜美には、2歳離れた(血のつながっていない)兄がいる。ある日、両親が海外出張にでかけてしまい、二人きりで家に残されてしまう。やがて亜美は風邪で寝込んでしまい、お兄ちゃんに看病されるのだが……。

『くりいむレモン』は、80年代に思春期を迎えたオジサンたちなら思わずピクっと反応してしまう単語である。アダルトアニメビデオの黎明期に大きな人気を博したシリーズで、やがてここから派生したアニメ『レモンエンジェル』は地上波テレビの深夜枠にも進出し、一部のマニアの支持を得た。その時の主要キャスト(かつバーチャルアイドルグループ)の一人桜井智が、その後、声優櫻井智として大ブレイクを果たした事も有名だ。

5点
原作を改変してわざわざダメにする愚

コミックス累計発行部数1000万部を超える超人気コミックの、満を持した実写映画化「テラフォーマーズ」は、私があるツイートをしてしまったせいで公開前から大荒れ模様となってしまった。誰も見ていないようなフォロワー数なのに瞬く間に何千もリツイートされ、いくつものメディアに引用されるとはツイッター初心者の私は予想もしなかった。

そもそも、別に映画の中身を具体的に批判したわけでもネタバレしたわけでもないのに、いつの間にか「前田が「テラフォーマーズ」を酷評した」などと報道されているのは大変心外である。私はツイッター上でこの映画を酷評などしていない。酷評するのは、今からこの記事で、である。

人口が増え続ける21世紀の地球。人類は火星移住のため、テラフォーミング計画を実行する。それはある種の苔と、蓄熱効果も期待できる「真っ黒くて生命力の強い昆虫」を大量に放すことで惑星の環境を整える計画であった。ところが500年後、その昆虫駆除のため派遣された小町小吉(伊藤英明)ほか15名の隊員は、予想を上回るほど進化したその「昆虫」に逆に襲われることになる……。

5点
たしかにひどい

炎上マーティングという手法も最近は認知されてきた。わざと他者をイラつかせる事を書いて話題を呼ぼうというやり方のことだ。この私も時折、わざと話題作を口汚くけなせばアクセスが増えるよ、なんて助言をいただくことがある。

しかし、毎年800本も映画は公開されているのであり、こちらはイヤというほどダメ作をみているのだ。ちっとも喜べない話ではあるが、そうしたバカげた手法を取る必要など全くないのである。これまで通り、愚直に真実を伝えればそれでよい。

脚本家のチャーリー(デニス・クエイド)は大物プロデューサー(グレッグ・キニア)のオフィスで企画を売り込んでいる。だが彼のアイデアはどれもろくでもないもので、とても製作費が集まりそうにないタブーものや、素っ頓狂なだけのイカれたものばかり。はたしてチャーリーの珍企画は、映像化される可能性はあるのだろうか。

5点
1800円で不愉快を買う

女子力のバイブルなどと称される奥田英朗の同名原作を映画化した本作は、すべてに本気でがんばるGIRLたちに贈る、とのキャッチコピーがついている通り、女性たちに向けた女性映画である。

会社も仕事もバラバラながら、気の合う女子4人組。29歳から36歳まで、多感な年ごろの彼女たちは、ファッションに結婚、子育てとそれぞれ複数の悩みを抱えながら、やりたいこととの両立に前向きに頑張っていた。そろそろギャル系ファッションが似合わなくなってきた由紀子(香里奈)、年下の男性部下をうまく使えない聖子(麻生久美子)、一回り年下のイケメン新入社員に心ときめかせる容子(吉瀬美智子)、はれ物に触るような周りの態度が気に入らないシングルマザー孝子(板谷由夏)。ガールたちの悩みは皆それぞれだ。

この映画に出てくる4人のヒロインは、そろいもそろって幼稚で傲慢で馬鹿。これが世の中の女性の共感先というのならば、この映画の作り手や原作者は女性というものをバカにしすぎである。

5点
≪世界に誇るチャレンジ精神≫

「デビルマン」「忍者ハットリくん」「ドカベン」……これまで日本映画界は、数々の人気漫画を実写映画にしてきた。そのラインナップを見るだけでも、この国の映画業界がいかにチャレンジ精神に満ちているか、よくわかるといいうものだ。誰が見ても失敗するのが明らかなのに、果敢に挑戦を続けては討ち死にする。その勇姿はまるで、毎回記録1cmで沈みゆく、鳥人間コンテストのウケ狙い出場者のようでもある。

新大王就任を前にしながら、そのあまりのワガママぶりで国民の反発をくらった怪物くん(大野智)は、再び人間界のヒロシのもとに舞い戻る。ところがついた先はなぜかカレーの国。そこで救世主と間違えられた怪物くん一行は、とらえられた王女を救い出してほしいと頼まれる。

企画が通りやすいし宣伝しやすいし、そこそこ収益も上げやすいということで漫画原作ものは映画化されやすい。ゲテモノ趣味の映画ファンがそれほど多いはずはないから、これは一種のケインズ政策のようなものだ。穴を掘って埋めるだけでもカネは回る。不況時のマクロ経済的にはきっとそれでいいのだろう。

5点
≪デモが起きかねない出来栄え≫

『人喰猪、公民館襲撃す!』は韓国映画界が総力を挙げて送る動物ホラー&パニックムービーで、この

秋日本でも大反響を巻き起こすこと確実な超大作エンタテイメントである。

──というのはもちろん嘘で、実際は少なすぎる予算と乏しいアイデア、俳優たちのしょぼくれた演技

5点
夜神月の宿敵Lが、地球の危機に立ち向かう!

大場つぐみ&小畑健の人気漫画『DEATH NOTE』は、映画版もひっくるめて社会現象といっていい大ヒットを記録した。そこで、主人公夜神月(やがみらいと)最大のライバルで、人気キャラクターのLを主役に据えたスピンオフ企画が立ち上がった。

※この先には、映画版『DEATH NOTE デスノート』前後編の結末についての記述がありますのでご注意ください

キラとの戦いに、意外な形で結末をつけた探偵L(松山ケンイチ)は、残り23日間の命をワタリ(藤村俊二)が残した未解決事件リストの消化にあてていた。それもあらかた片付けたとき、年端もいかぬ少年(福田響志)が尋ねてくる。少年は、謎のウィルスにより全滅したタイの村の生き残り。そして同じころ、同事件のカギを握る少女(福田麻由子)もまたLの元にやってくる。

5点
大発見! この世は23という数字に支配されている

天地が創造されたのが紀元前4004年10月23日。ジュリアス・シーザーは23ヶ所を刺されて殺された。ラテン語は23の文字で構成され、古代マヤ人は12月23日にこの世が終わると言い伝えた。そして日本、ヒロシマ。原爆が落とされたのは8時15分。8+15は……23だ。

なななななんという発見。この世界のすべては、23という謎めいた数字によって動かされ、支配されていたのだ! ……と素直に驚いた人以外はこの先の文章を読む必要はない。ブラウザの戻るボタンを押して、さっさとほかの映画をお探しになったほうがよい。

ごく平凡な男ウォルター(ジム・キャリー)は、あるミステリ小説を読み驚いた。内容が、まるで誰かが見て書いたかのように自分の生い立ちとそっくりだったのだ。違うのは、彼の現実は殺人事件などとは無縁ということだけ。しかし小説の中の記述と同様、自分の人生も23という数字に囲まれていると気づいた瞬間、ウォルターは主人公の未来をフィクションと捉えられなくなってしまう。

5点
これはいかんともしがたい

『レディ・イン・ザ・ウォーター』は、傑作『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン監督の最新作だ。オリジナル脚本にこだわるこの監督に人々が期待するものは、なんと言っても独創的なストーリー。こちらをあっといわせる結末や、意外な展開といったものだろう。元ネタがあるとか、オカルト的な要素を臆面もなく使う事に対する批判もあるが、自作に必ず何がしかの仕掛けを施す意欲は、常に次回作を期待される大きな理由だ。

アパートの管理人(ポール・ジアマッティ)は、中庭のプールの中から、ストーリーと名乗る美しい女性(ブライス・ダラス・ハワード)を発見する。すぐに自室へ保護した管理人は、彼女があるおとぎ話に登場する水の精霊ではないかと考えはじめる。裏の森に住む恐ろしい怪物から逃げてきたと語る彼女のため、彼はアパートの住人らと協力して、彼女をもとの世界に戻そうと奔走する。

この物語は、シャマラン監督が幼い息子のため、毎夜即興で聞かせたお話が原型となっている。たしかに、ベッドタイムストーリーとしては一流だ。見ているとすぐに眠くなる。

5点
安直そのものの業界の内輪ウケ

『アメリ』を大ヒットさせ、TVドラマのモデルにもなった名物バイヤー叶井俊太郎氏が企画したおバカ映画。イギリスのB級感動映画『えびボクサー』の大ヒットに気をよくした彼と仲間が、勢いで企画したという噂の話題作だ。

大手プロレス団体の王者決定戦のリングに、謎のいかレスラーが乱入、チャンピオンをボコボコにしてしまう。その正体は、不治の病により引退したと思われていたかつての人気レスラーだった。彼は長年の修行で肉体をイカに変化させたのだ。やがてリベンジマッチが開催されるが、そこに現れた元チャンピオンの肉体は、タコに変化していた……。

『えび』を見た人なら以上の説明でわかるとおり『いかレスラー』は、『えびボクサー』とは、そのコンセプトや内容において1%も共通点はない。タイトルだけあやかったおバカ映画である。よって、『えびボクサー』を気に入ったからという理由で見に行くと間違いなく沈没する、念のため。

5点
年間ワーストクラスの支離滅裂な駄作だが、だからこそ必見

高見広春の、抜群に面白い小説『バトルロワイアル』の世界観を使い、オリジナルストーリーで作ったPART2。前作に引き続いて監督した深作欣二が製作途中で亡くなり、息子さんが監督を引き継いで完成させた。

それにしても深作親子は、原作の面白さを全くわかっていないのではないか。あの小説は、サバイバルの過程を純粋に娯楽として楽しむ小説だと私は思っている。人物の描き分けが上手く、心理描写もリアルで感情移入しやすい。荒唐無稽でショッキングな背景設定ばかりが話題になったが、そんなものは単なるブラックジョークで、作者は確信犯のウケ狙いでやっていたはずだ。

それなのに今回の、『BR2 レクイエム』は、まさにその『どうでもいい』要素であった、「奇抜な設定・世界観」の部分を、妙にふくらませるという、とんちんかんな事をやっている。そして極め付けに、幼稚な反米・反戦思想の色濃い、テーマ性の強い映画にしてしまった。

4点
剛力ジュンが、原作ファンを過激に挑発

先ほど更新した「スター・トレック イントゥ・ダークネス」の記事で、「邦画エンタテイメントはハリウッドに比べて社会問題をテーマにするのが下手」と述べたが、その典型例がこれである。しかも、娯楽と時事性を高度に両立させて本国の批評家筋から高い評価を得た前者と同週公開とは皮肉である。

21世紀初頭、侵略者ギャラクターにより地球の半分が壊滅した。彼らに対抗できるのは「石」の力を引き出せる800万人に1人といわれる適合者のみ。ISO(国際科学技術庁)の南部博士(岸谷五朗)は彼らを幼いころから鍛え上げ、最精鋭のエージェント「ガッチャマン」として対抗しようとしていた。

70年代に放映されたアニメ「ガッチャマン」は、小林亜星作曲の熱い主題歌や科学忍法「火の鳥」などスタイリッシュな見せ場、クールなキャラクターといった魅力で人気を博した。特徴的なのは、当時の子供向けアニメとしては珍しく社会問題を扱ったりと意欲的な作風だったこと。子供向きアニメだからと馬鹿にせず、真摯に作品(脚本)の質を高めようとの気概がそこにはある。だからこそ長い年月にさらされても、高く評価されているわけだ。

4点
早くも本年度を代表する良作の登場か

映画『食堂かたつむり』は、作詞家で小説家の小川糸による同名原作の映画化。この本は人気テレビ番組「王様のブランチ」で絶賛されベストセラーになったもので、ためしにamazonを見てみると、私が作者だったら枕を泣き濡らすに違いない、心温まる読者レビューの嵐である。

ブタをペットとして飼い、経営するスナックで一癖もふた癖もある常連客を軽くあしらうエキセントリックな母(余貴美子)のことが、倫子(柴咲コウ)は昔から嫌いだった。だが失恋のショックで声が出なくなった倫子は、そんな母のもとに戻り、近所で小さな食堂を開業する事に。一日に一組だけのお客さんに、その人を元気にするオリジナルメニューをつくる倫子の食堂は、やがて評判となるが……。

「人物描写が浅い」「期待はずれ」「話が薄い」「突っ込みどころ満載」などといった生の読者の声を、きっと富永まい監督も読んだのだろう。この映画版を見た人も、原作を読んだ人たちと同じ感想を持つことができる、きわめて原作に忠実な実写化となっている。

4点
「スキージャンプ・ペア」の監督が競技規模を拡大

いよいよ北京五輪が始まる。一方、石原東京都知事は、今後の東京五輪誘致をあきらめていないという。そんな状況下、「スキージャンプ・ペア」で一躍名をはせた映像作家、真島理一郎は『東京オンリーピック』をリリースした。

「スキージャンプ・ペア」はのちに映画にもなった大ヒットDVD。二人で飛んだ方が飛距離が出るなどといった架空の理論のもと、とっぴなフォームでスキーのペアジャンプを行う3D-CG作品だ。本物の中継映像と同アングルによるカメラや、大真面目な実況が笑いを誘う、遊び心にあふれた一品である。

『東京オンリーピック』は、そのコンセプトをさらに拡大。「女子ヘルマラソン」やトライアスロンならぬ「ホームアスロン」などといった、名称だけでもバカさ加減が想像できる多種の競技を見せていく。オリンピック中継のパロディなので、各競技をつなぐスタジオ進行などは、その雛形を最大限利用する。

4点
フジ&東宝が柴咲コウにすべてをかけた話題作

いま日本で一番客を呼べる女優・柴咲コウを主演にすえた『少林少女』は、まぎれもない2008年ゴールデンウイークの目玉。しかし、その出来ばえはまるで、剪定せずに荒れ、伸びきった盆栽。いったいどの方向から見ればよいのかわからず、またどこから見てもどうしようもない。

本場少林寺で三千日の厳しい修行を追え、日本に戻った凛(柴咲コウ)が見たのは、廃墟と化した自らの道場。日本で少林拳を普及させるつもりだった凛は落胆する。やがて彼女は、その驚異的な身体能力に目をつけられ大学の女子ラクロス部に助っ人として入部する羽目になるが、そこにはそんな凛をある企みと共に見つめる目があった。

「踊る大捜査線」の本広克行監督&亀山千広プロデューサーが、「少林サッカー」監督・主演のチャウ・シンチーと共同製作した「少林サッカー」番外編。しかし、いったい彼らが何をやりたかったのか、私には最後までさっぱり不明であった。

3点
珍映画史・新たなる伝説

邦画における「漫画原作の映画化」において、珍作ということで必ず話題に上るのが「ルパン三世 念力珍作戦」(74年)である。何十年たっても語り継がれるほど難しい題材なのに、それをまた実写にしようというのだからよほどの自信があるのだろうと思われたが、ふたを開ければ念力珍作戦を上回るトンデモ映画であった。

若き大泥棒ルパン三世(小栗旬)は泣く子も黙る大泥棒だが、峰不二子(黒木メイサ)を救うため、せっかく盗んだ大事なお宝を簡単に手放すほど情に厚い男。ところがその優しさを利用され裏切られたばかりか、大恩あるドーソン(ニック・テイト)の命まで奪われてしまう。そんなルパンは信用できそうな次元(玉山鉄二)と組み、さらに石川五ェ門(綾野剛)を呼び寄せ秘宝をめぐる復讐戦に挑む。

キャスティングはどうあれ、「念力珍作戦」はその時代らしさがよく出たコメディとしては悪いもので

2点
ポスターだけはいい映画

永井豪の代表作を、VFXを駆使したスペクタクルシーン満載で描いた映画化作品。

高校生の不動明(伊崎央登)は、親友の飛鳥了(伊崎右典)の家で、彼の父親が研究していた地球の先住民族デーモンのひとりに合体されてしまう。しかし、強靭な意志により精神をのっとられずにすんだ明は逆にデーモンの超能力を獲得、恋人美樹の生きる世界を守るため、地球を征服しようとするデーモン一族に戦いを挑む。

一般に広く知られている『デビルマン』は、恐らくTVアニメ版の方だろう。主人公不動明はデーモンに体をのっとられてしまうが、そのデーモンが人間の美樹に恋してしまったがために、仲間のデーモンにたった一人反旗を翻し、悲壮な戦いを挑むという愛のストーリーだ。傑作の主題歌と合わせ、今でも覚えている人は多かろう。

1点
バレエや原作に対する敬意が感じられない

天才バレリーナの壮絶な半生を描く(はずだった)映画『昴-スバル-』は、徹夜続きで疲れているが、どうしても映画館に出かけたい人にオススメだ。なぜならコレ、最初から最後まで眠ってしまったとしても、まったく損をしない画期的な作品なのである。

寝たきりの弟の病室で、幼い宮本すばるは毎日踊っていた、弟の意識を、命をつなぎとめるために……。やがて成長したスバル(黒木メイサ)は、踊りの師匠でもある日比野五十鈴(桃井かおり)が経営する場末のストリップ劇場"パレ・ガルニエ"で踊っている。それを眺めるのはリズ・パーク(Ara)。のちに上海バレエコンクールで競うことになる、永遠のライバルであった。

曽田正人の原作漫画ファンにとっては、リズ・パークって誰だよオイ状態から始まることうけあいの実写映画版。ローザンヌはどこへ行ってしまったのか。なぜスバルのライバルが韓国人なのか、なぜAraが演じているのか、最後まで見てもさっぱり理解できないという、混乱しすぎてある種のトランス状態に突入できる絶妙のキャスティングである。

1点
絶対に見てはいけない映画

品のよさげな夫婦と幼い息子がドライブをしている。車内の3人は、クラシック音楽の曲名あてで仲良く遊んでいる。微笑ましいその様子は、しかし激しいパンクロックによって突然中断させられる。そこで映画のタイトルが表れる。

マスコミ向け完成披露試写会でこのオープニングを見て、私は心底ゲンナリとした。またあの『ファニーゲーム』を見なくてはならない。こんな職業に就いていなければ、二度と見ることはなかったであろう作品。ミヒャエル・ハネケ監督がセルフリメイクなんぞしなければ、永遠に避けていられたはずなのに……。

湖畔の別荘に着いた一家は、ほどなく隣家から若者二人の訪問を受ける。ところが応対した妻(ナオミ・ワッツ)は、「卵が切れてしまったので貸してほしい」と語る青年のひとり(ブラディ・コーベット)と、些細な理由で口論になってしまう。

1点
全部作り直す以外に道はない

以前、あまりミステリを読んだことのない女友達(30代 美人)に、「何かいい本はない?」と聞かれたとき、私は一冊のミステリ小説を彼女に紹介した。

その本は、最初の1ページから抜群に面白い、いわゆる「猛烈な面白さの引力に引き込まれる」タイプの小説で、その作家の代表作のひとつとされる、紛れもない傑作だった。そして、その作品最大の特長は、冗談抜きで「最後の1行で涙があふれる」感動の恋愛物語であるという事だった。

それはもう、世界の中心で何かを叫んで喜んでいるような人が読んだら、あまりのレベルの違いに腰が抜けるであろうと思われる大傑作だ。その彼女もいたく感激したようで、おかげでそのお礼に、私にすばらしい一夜をプレゼントしてくれた。

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