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30点
宣伝会社によるネタバレが痛い

サディズムの語源ともなった、マルキ・ド・サドの半生を描いたドラマ。彼と、この時代に興味がある人向けである。

1番の見所は、女優さんが体当たりで演じる処女喪失シーンである。

ロスト・バージンが見所の映画なんて、上野のポルノ映画館とこの映画くらいなものかもしれないが、全編を通してみれば、そんなに裸が出てくるわけではない。

30点
チープなSFコメディでも製作費は大作並

アーノルド・シュワルツェネッガーの『トータル・リコール』を、思いっきりチープにしたような雰囲気のおバカ系SFコメディ映画。しかしこれ、じつは製作費が一億ドルもかかっている。たぶん、その99%くらいは、主演のエディ・マーフィーの出演料で、残りの1%がCG工房の社員達のコーヒー代だと思う。

……などと軽口をたたきたくなるような、不思議系の奇妙な作品だ。内容はおバカなコメディだが、CGなど特殊効果関係に手抜きは無く、こんなバカっぽい映画になぜそこまで……といいたくなるような手間のかかった事をやっている。

昔の黒人映画でおなじみの、タランティーノも敬愛する女優パム・グリアーが、エディの母親役に扮するのがひとつの見所。肝心のエディ・マーフィーは、もちろんエディ・マーフィーを演じる。『I・SPY』でも『48時間』でも、彼はたしか同じ役であった。いや、それぞれ役名はあったかもしれないが……。

30点
テンポがのろい意外性ゼロの3角関係ドラマ

親友同士の男と、一人の奥さんを巡る3角関係恋愛ドラマ(エロ無し)。意外なことにこれは、中国初のリメイク映画だったりする。ハリウッドは見習ってほしい?!

舞台は1946年の中国。ユイウェンの嫁いだ由緒ある旧家は、抗日戦争に巻き込まれて没落してしまう。それでも彼女は、気難しい病気の夫リーイェンとその妹シュウ、使用人ホワンの4人で静かな毎日を送っていた。そんなある日、ひとりの男が訪ねてくる。彼はかつてリーイェンと共に医学を志し、現在は上海で医者になっているチーチェン。夫が旧友との再会を喜ぶ一方、ユイウェンは困惑していた。なんと、チーチェンは彼女が16歳の時の初恋の相手だったのだ。この思いがけぬ再会に、ユイウェンの心は掻き乱されていく。

いわゆる古めかしいメロドラマだが、話の展開速度が相当遅いので、せっかちな人には向かない。映像は美しく、中国映画らしい趣に満ちている。

30点
日本語版の出来の悪さを何とかしてほしい

シネコンで、聴覚障害者と健常者が同時に鑑賞出来るという、日本発のバリアフリー上映が行われると話題の映画。原作は、ドイツの超有名な古典。この作者はミステリも書いていて、一部に根強いファンがいる。

そんなわけで、『エーミール』といえば、ドイツ本国では全員がストーリーを知っているお話だ。この物語は、今でも通用する輝きを持っていると私は思っている。

時代を現代に設定したため、この古典童話には、一部アレンジが加えられている。例えば子供探偵団の面々は、携帯電話やパソコンを駆使してスマートに捜査活動をする。また、原作では脇役だった女の子が、ほとんど主役となって大活躍する。このへん、いかにも現代の映画らしい。

25点
清水崇ホラーらしさはあるが

清水崇監督の持ち味というのは、都市伝説を聞いたときのようなとらえどころのない不安感や恐怖を、うまいこと映像としてみせる点にあると私は考えている。

姿を消した子供がしばらくすると戻ってくる不思議な事件が起きた。しかもその家では大人が間もなく死を遂げていた。事件を調べる記者の江崎駿也(有岡大貴)は、やがて恋人の保育士、原田尚美(門脇麦)がその"死のパターン"にはまり込んでしまったことを知る。

ネットで都市伝説とか創作ホラーのたぐいを読むのが私は結構好きなのだが、素人の作品でも、設定の身近さや謎めいた舞台が絶妙で、やたらと先が気になる上手な語り口のものが少なくない。

25点
なおこの点数は間違って昆虫好きの一般人が見ないためです

1の物足りなさを見事に伏線としたガチ恐怖ムービーである2で最高点に達したムカデ人間シリーズは、最終作となる3で残念ながら失速した。

あらゆる数値が全米最悪といわれ、経営の改善を求められている刑務所の所長ビル(ディーター・ラーザー)。妙案を探す彼に助手のドワイト(ローレンス・R・ハーヴィー)は、なぜかB級映画「ムカデ人間」シリーズをすすめてくる。はたして500人の囚人をかかえる所長は、どんな手段で刑務所の経営改善を目指すのだろうか。

……とはいえ、シリーズの中ではもっともあからさまに社会批判も行っており、もう少しだけうまく作れていたらと思わせる惜しい一本でもある。

25点
手抜きな中継ぎ

空前のヒットとなったハンガー・ゲームシリーズは、放っておいても最後まで大勢がついてくるため、この3作目で相当手を抜いたダメ中継ぎをもってきた。観客もずいぶんとなめられたものだ。

闘技場から生き残ったカットニス(ジェニファー・ローレンス)は、第13地区のコイン首相(ジュリアン・ムーア)のもとで重大な事実を知る。それは独裁国家パネムに対抗する反乱軍の秘密基地が存在し、すでに決戦準備が進められているということであった。国民的人気を誇るカットニスは彼らのシンボルとして宣伝活動を担うことになるが、パネムはそれに対抗するプロパガンダとして彼女のパートナー、ピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)を持ち出してくるのだった。

ファイナルと名はつくが、「ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス」を一言で言うならつなぎにつきる。テレビ番組のロケなど長時間にわたるとき、小腹が減ったときに自由につまめるおにぎりとか、そんなものをツナギと呼ぶが、その程度の出来。食べてしまえば存在を忘れてしまうような映画である。

25点
これじゃない感が強い

岩明均の原作コミックを実写映画化した「寄生獣」はこの秋一番の大作として期待される話題作。だからこそ大ヒット請負人の山崎貴監督で挑んだわけだが、残念ながら失敗作に終わった。

のちにパラサイトと人類が呼ぶことになる奇妙な寄生生物に脳を食い破られる寸前、とっさの判断で食い止めた高校生・泉新一(染谷将太)は、しかし右手に寄生されてしまう。はからずも共生関係となったその生物をミギー(声:阿部サダヲ)を名付けた新一だが、他の寄生された者たちは他の人間を食料とすべく、周囲の人々をひそかに襲い始めていた。

脳すなわち人間らしさを残したまま寄生獣の力を得た人間の高校生が、100%寄生獣となった元人間たちと戦うホラー風味のアクションドラマ。この「人間らしさ」と母性の関係性というものが、重要な物語の要素となっている。

25点
≪0か100か≫

とんがった表現を次々と発表し、業界関係者の評価がすこぶる高い園子温監督の最新作『ヒミズ』は、良くも悪くも評価が真っ二つに分かれるであろう問題作である。

15歳の住田祐一(染谷将太)は、借金まみれで家にも戻らぬ父親(光石研)、男に入れ込んで育児放棄している母親(渡辺真起子)に代わり、家業の貸しボート屋を一人で切り盛りしている。そんな彼は学校では浮いた存在だったが、クラスメートの茶沢景子(二階堂ふみ)だけはなぜか彼に盲目的に惹かれ、邪魔者扱いされても猛烈なアタックを繰り返すのだった。

監督は東日本大震災の発生に衝撃を受け原作の設定を大幅変更。震災直後という形で脚本を書きなおした。その意志は結末部分にもっとも色濃く反映されているが、さらに話題なのはこの映画が、おそらく初めて被災地で撮影され、公開される劇映画という点だろう。

25点
≪捕鯨国ニッポンのためにあるようなホラー映画≫

今回の東日本大震災や2月に起きたニュージーランド地震の直前には、沿岸に大量の鯨やイルカが打ち上げられる奇妙な出来事が起きている。野生動物が大地震の前にこうした異常行動をとる例は、これまで何度も報告されてきた。

そしてこのたび、イギリス沿岸部に鯨100頭が座礁した直後、隣のアイスランドのレイキャビク近くで火山が噴火。偶然というには恐ろしすぎる符合に欧州のネチズンたちが大騒ぎしている。

しかし私的には、鯨とレイキャビクを重要キーワードとして持つホラー映画『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』の公開直前にそんな事件が起きたことのほうが驚きである。これはもう間違いなく、地震兵器HAARPを使ったアメリカのシークレットガバメントとシーシェパードの陰謀に間違いない。

25点
≪大人には物足りず、子供には後味悪い≫

「手塚治虫の」などと有名人の名前がタイトルについていると、とたんに不安になるわけであるが、本作はそんな私の超高精度危険物探知アンテナの実力がみごとに証明されたダメ作であった。

2500年前のインドに、世界を変えると予言される男子が誕生した。緑豊かな釈迦国の王子ゴータマ・シッダールタ(声:吉岡秀隆)は、そうした期待にそぐわぬ心優しい少年へと成長してゆく。だが隣国のコーサラ国は釈迦国を狙い、軍勢を整えている。そんなきな臭い情勢下、優しいゴータマにも戦うリーダーの資質が求められてゆくのだった。

お釈迦様ことシッダールタの生涯を、3部作で描く長大なプロジェクトの第一弾。日本アニメの基礎を作り上げた東映アニメーションが、手塚治虫の最高傑作と称される原作をアニメ化した、業界の期待を担う本年度有数の話題作である。

25点
悟りにチャレンジ

『仏陀再誕』は、この秋300万人の動員を目標とする、日本アニメーション期待の超話題作である。

女子高生、天河小夜子(声:小清水亜美)は、名物記者の金元にあこがれ、ジャーナリストを目指している。ところがその金元が自殺して以来、彼女には霊のようなものが見えるように。一方、ある宗教団体の教祖は奇跡を連発、テレビで大人気となるが……。

子安武人や銀河万丈、三石琴乃といった実力派声優と、業界有数のVFXスタッフをそろえた、まさにジャパンアニメーションの総力を結集した超大作。エル・カンターレことブッダの生まれ変わり、大川隆法(幸福の科学)が製作総指揮として、自らの大ベストセラーを息子の大川宏洋脚本でアニメ化したものである。

25点
親殺しの優等生が、少年院で空手の修行

橋本以蔵原作・たなか亜希夫画による、一風変わった格闘漫画『軍鶏』は、事実上の香港映画としてより珍妙な仕上がりとなった。

裕福な両親のもと名門私立高校にかよう成嶋亮(ショーン・ユー)は、受験のストレスに耐え切れなかったのかある日突然両親を惨殺する。亮は少年院でも、世間を騒がせた親殺しと軽蔑され猛烈なイジメを受ける。このままでは殺されると悟った彼は、終身刑の囚人で空手の達人・黒川(フランシス・ン)のもとで猛特訓。自衛する能力を身に着けようとする。

個人的に原作漫画の中で圧倒的に面白いと思うのは少年院編で、その後のリーサルファイトや中国編はイマイチ、ダンサーがでてきてちょっと復活したかな、といった感じ。映画版では、リーサルファイト(K-1みたいな格闘イベント)のスター、菅原直人(魔裟斗)と主人公が対決するまでを描いている。

25点
『世界の中心で、愛をさけぶ』劣化リメイク

いわずと知れた、『世界の中心で、愛をさけぶ』の韓国製リメイク。

男子高校生スホ(チャ・テヒョン)は、やさしい性格だがちっともハンサムではないから、自分がもてるとは露ほども思っていない。ところが、中学校のころから彼に想いをよせる女子生徒がいた。しかもそれは、クラス中のマドンナ的存在スウン(ソン・ヘギョ)だった。ボイスポケベルで愛を告白しあった二人は、順調に交際を進めていくが、すでにそのころスウンの身には、不吉な病魔の影が忍び寄っていた。

日本版オリジナルに比べ、ポケベル文化や、犬が客引きする民宿といった、韓国らしい独特のムード、文化を前面に押し出した作品になっている。明らかに、韓国人の観客向けにチューニングされているといった印象を受ける。そんなわけで日本人にとっては、原作小説の魅力であったノスタルジーを感じにくい。……となると、それをわざわざ日本人が見る意味がよくわからないが、まあそれは置いておこう。

25点
監督が、原作の魅力をイマイチ理解していない?!

大場つぐみ&小畑健による原作漫画『DEATH NOTE』は、週刊少年ジャンプの連載ものとしてはかなり異色の内容だったが、その完成度の高さにより、多大な人気を博した作品だ。私自身にとっても、ここ数年読んだ漫画作品のなかで、ナンバーワンに挙げたいほどの大傑作である。その実写映画化である本作は、前後編が撮影され、立て続けに公開(後編は10月)されるという、異例の事態となった。製作費も20億円と堂々たるもので、ファンの間ではいやがうえにも期待が高まっていた。

主人公の学生、夜神月(やがみ らいと、と読む。藤原竜也が演じる)は法曹界を目指していたが、法の限界を知り挫折感を味わっていた。そのとき、偶然拾った黒いノートが彼の運命を変える。それは死神が使うデスノートというもので、名前を書かれた人間は必ず死ぬ。ライトは、世直しのため、次々と世界各国の犯罪者の名前を書き込むが、やがて犯罪者の大量死を不審に思った世界中の警察やFBIが動き出す。そしてインターポール(国際刑事警察機構)は、天才的な頭脳を持つ探偵、通称"L"を、捜査アドバイザーとして警察庁に送り込む。

ここから、二人の天才の騙しあい、壮絶な頭脳戦が開始される。Lの捜査をかいくぐって、ライトは犯罪者殺しを続けることができるのか、そこが(原作の)最大の見所である。

25点
セガールが人身売買組織をぶっ飛ばす

スティーブン・セガール主演の犯罪アクション。先日公開されたW・スナイプスの『アウト・オブ・タイム』、近日公開のジャン=クロード・ヴァン・ダム主演『レクイエム』と3本あわせて、「熱い男の祭典<火祭り>燃えてる男大集合!!」と呼ぶ……らしい。要するに、ザクでも100機で襲い掛かればガンダムに勝てるはず、という宣伝戦略である。

元政府機関の凄腕エージェント(S・セガール)は、今は引退してカナダの山小屋で隠居の身。いまやボランティア団体の紹介で知り合ったポーランド在住の孤児の少女との文通が、唯一社会とつながる線だった。ところがある日少女が失踪、不審な影を感じた彼は孤児院のあるワルシャワへ飛ぶことにした。

さて、今回われらのセガールがぶっ潰すのは国際人身売買組織。いたいけな少女らを売り飛ばす外道たちに、セガール拳の天誅が下る。そこのけそこのけセガールが通る、とばかりに無敵のヒーローが悪を追い詰めていく。

25点
見所は上戸彩のおっぱいもみもみ?!

『蹴りたい背中』で芥川賞史上最年少受賞者となったニュースが記憶に新しい綿矢りさの同名デビュー小説の映画化。主演は人気タレントの上戸彩。

主人公の女子高生(上戸彩)は、突然部屋のすべてのものを捨ててしまう。母親には内緒で学校に行くこともやめてしまった。そんなある日、彼女が捨てたパソコンを拾っていった妙に大人びた小学生(神木隆之介)から、エロチャットのサクラをしないかと誘われる。

なぜヒロインが突然持ち物を捨ててしまったのか、彼女は最後にどのような選択を行うのか。登場人物はとっぴな性格設定で一見リアリティはないが、そこに描かれるテーマはシリアスで普遍的、というわけである。

25点
チリ人妻アニータの映画デビューは見事にボカシ入り

青森県住宅供給公社の巨額横領事件で、千田郁司受刑者が10億円以上ともいえる大金をチリ人の妻に貢いでいたのは記憶に新しいが、その妻ことアニータ・アルバラードが本国で映画出演デビューしたという触れ込みのエロティック・サスペンス。

弟とともに田舎町から首都サンチアゴにやって来たシルビオは、17歳の弟の筆おろしのためにストリップバーで娼婦(アニータ・アルバラード)をあてがってやる。そのバーでマフィアのボスに認められた兄はやがて組織をのし上がっていくが、兄弟揃ってボスの女に惹かれてしまったがめに、3人の運命は狂って行く。

エロシーン満載のB級ポルノかと思っていたが、チリ本国での評価は、アカデミー賞外国語映画賞など、いくつかの国際的な映画祭に出品された事からもわかるとおり、案外真面目な作品らしい。

25点
台湾社会の現代を描くというが、説得力がない

カンヌ国際映画祭の高等技術院賞を受賞した、現代の台湾を描く6つの物語の序章として企画された作品。

ってことは、今後10年間だかで、あと5本の続編が作られるということか。なんでも、主演のスー・チーは、全作品に出演するとかいう話だ。だが、人気女優のスー・チーが、はたしてホントにこんな地味な映画にずっと出続けるのかどうか、大いに疑問だ。

『クローサー』では、その美しさで、男性諸氏の心を奪ったスー・チーだが、この映画の冒頭では、ブサメイクで荒れ果てた女を表現。特に、櫛も入れていないようなヘンなヘアスタイルには衝撃を受ける。

20点
原作の魅力を理解していないつくり

「秘密 THE TOP SECRET」の原作は、清水玲子による少女向け漫画ながら本格的なSF作品である。原作はボーイズラブ風味もある異色作で、いわゆる腐女子的なファンも多いだろうと思ったのか、この実写映画を任されたのは実写版「るろうに剣心」シリーズを大成功に導いた大友啓史監督。だが、その期待は残念ながら裏切られることになった。

死んだ人間の脳をスキャンし、生前の記憶を映像化するMRIスキャナーが開発された。これを犯罪捜査に生かすため、科学警察研究所法医第九研究室(第九)が設立される。若き室長・薪剛(生田斗真)のもとに配属された新任の青木(岡田将生)は、難事件を次々解決する薪室長の手腕に驚嘆する。だがMRIスキャナーは、決して万能ではないのだった。

生田斗真、岡田将生、松坂桃李といった若手の人気者をそろえたキャスティングといい、原作といい、監督の人選といい、ちょいと個性的なオンナノコ観客をターゲットに作ったと思われるが、この出来ではどうにもならない。

20点
ぶっとびすぎ

「スポンジ・ボブ」は日本ではキャラクター先行の人気となっていて、中身も知らずにストラップをつけている女の子も少なくない。海外ではやれゲイの象徴だとか、民主主義運動のシンボルになったりなど、よくわからない解釈で受け取られていたりもする。

そんな世界的なビッグウェーブに乗るどころか海岸に近づいてもいない私があれこれいうのは申し訳ないのだが、それにしてもこいつはそうとう乗る人を選ぶサーフボードである。

海底都市ビキニタウンに暮らすスポンジボブは、ハンバーガーショップ「カニカーニ」でアルバイト中。そんなある日、海賊のバーガー・ビアード(アントニオ・バンデラス)がカニカーニ一番人気のバーガーのレシピを奪ってしまうのだった。

20点
デヴィッド・エリス版を見てみたかった

日本でオリジナルビデオアニメなるジャンルがうまれてしばらくの間、作家性の強いユニークな作品がいくつも生まれた。ある時代のポルノ映画界がそうだったように、裸とロリータな女の子をある程度入れておけば、多少とんがった表現や物語を受け入れる土壌がそこにはあった。「カイト/KITE」のオリジナルとなった18禁アニメ「カイト」(98年)もそのひとつで、その質の高さとオリジナリティから海外で高い人気を誇っていたりする。

金融危機で崩壊したこの近未来では、少女を性奴隷として取引していた。サワ(インディア・アイズリー)は、父の親友で刑事のアカイ(サミュエル・L・ジャクソン)に仕込まれた暗殺術で、こうした人身売買組織と日夜戦っていた。そしてサワは娼婦のふりをして、そのボスに近づいていくのだった。

「カイト」の実写版である本作は、しかしオリジナルとはずいぶん異なる内容となった。序盤、エレベーターにおける暗殺シーンはまるでアニメ版のコピーのようでワクワクさせるが、ここで殺される人間の素性からしてまったく違う。

20点
主演女優のキャラ違いが惜しい

女優が初ヌードになるというのは、これだけ裸が溢れる現代においても特別なものだ。まして本人たちにしてみれば、どこで脱ぐかは一大プロジェクトのようなもの。人気など周囲の情勢をはかりながら、最高のタイミングで発表したいと考えるのが当然だろう。

だが、その戦略的思考が正しいとは限らないのが怖いところ。市川由衣がすべてをさらけ出した「海を感じる時」を見るとまさにそう痛感する。

新聞部の部室で授業をさぼっていた女子高生・恵美子(市川由衣)は、同じくやってきた先輩の洋(池松壮亮)に、密室の中で唇を奪われる。以来一途につくし続ける彼女は、しかし洋からは「女の身体に興味があっただけで好きでも何でもない」と冷たくあしらわれてしまう。

20点
原作の魅力の半分

「あまちゃん」大ヒットで絶好調の脚本家・宮藤官九郎が三池崇史監督とタッグを組んで送る新作アクションコメディということで期待半分、不安半分だったが、結果的には後者の予感が当たった形だ。

正義感だけはあるが警察学校から巡査となった今まで成績ドンケツ、警察組織のルールにはまることができない菊川玲二(生田斗真)。とうとうクビを宣告されてしまうものの、それは署長らのテストであった。彼はレイジの資質に期待しており、武闘派暴力団「数寄矢会」に潜入捜査官=モグラとして送り込みたいとの思惑があったのだ。

日本映画にはヤンキー枠というか、地方向きの企画というものがあって、公道レースだとか不良だとかが題材になった作品が定期的に作られている。これもその一環だが、こういう作品は作品の質にかかわらず、DVD化後の回転が良いのだという。

20点
「幸福の科学」色をもう少し抑えたら

日本という国には色々と構造的問題があるし、取り巻く国際情勢も一触即発……とまでは言うまいが、話のネタには事欠かぬ状況である。

なのに、それを映画のテーマにする人がいない。タブーやしがらみだらけなのは理解できるものの、まともな社会派エンターテイメントを望む人々にとっては欲求不満が募るばかりだ。

だが、アニメーションながらそれらを打ち破る、強烈な社会批判スペクタクルが登場した。「神秘の法」がそれだ。

20点
≪芸能人の戯れ≫

芸能人のように人前に出る仕事をしていると、おのずと自我は肥大し、ときにはおかしな行動をとる人が現れる。空気の読めない主張をしてブログが炎上したり、高慢キャラで映画批評サイトを作ってみたり、刺青に彩られた菊の門をご開陳したりと、その行動内容は多岐に渡る。

映画好きの有名人が、無謀にも映画作りに挑戦するというのは、その中でもありがちなパターンだ。高揚感漂う撮影現場、クランクアップの感動、魔法のような編集により撮影時の何倍もの魅力を放つ完成品。そうした仕事にかかわっていれば、いつか自分も……と思ってしまっても無理はない。

若くして成功した映画俳優、小栗旬がそうだったのかは知らないが、映画好きで知られる彼も、「シュアリー・サムデイ」でその困難(初監督)へ挑むこととなった。

20点
1話逃さず見ていたファンならもっと評価アップだとは思うが……

人気ドラマの完結編は、映画館にて有料でご視聴いただく。広告不況であえぐテレビ局の苦境がしのばれる苦渋のビジネスモデルである。しかも『のだめカンタービレ』の場合は、その映画版が前編後編と分かれている。当然、入場料も二回徴収されることになる。ファンの懐にとっても、テレビ局と不況気分を共有できる仕組みである。

はたして『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』は、二本の映画に分ける必然性があったのか。今回私はそこを重要ポイントとして鑑賞した。(以降、前編のネタバレを含むのでご注意ください)

野田恵ことのだめ(上野樹里)と千秋(玉木宏)はいったん別居し、それぞれの道を歩むことになった。だが千秋との共演どころか、いつまでたっても課題曲にOKが出ないのだめは、一人で焦りまくる。これに対し千秋は、Rui(山田優)との共演が決まり張り切っていたが、その演目がやがてのだめとの関係に致命的なショックを与えることになる。

20点
生誕100年以外に理由や情熱があったのか

松本清張の代表作で、数々のサスペンス劇場の元ネタとなった『ゼロの焦点』が、原作者の生誕100年記念で再映画化された。原作は1ページ目からワクワク感に襲われるエンタテイメント作品だが、映画版は気を抜くと最初の1分間から睡魔に襲われる、斬新な映像解釈である。

結婚式からわずか7日後に失踪した夫(西島秀俊)を探すため、禎子(広末涼子)は以前の勤務地である北陸・金沢に向かった。だが見合い結婚の彼女は、夫の過去をほとんど知らない。夫との交流もあった地元名士の妻・佐知子(中谷美紀)らの助けを借りつつ探り続けるが、その行く手を阻むように殺人事件がおきる。

犬童一心監督は女性を綺麗に撮る人で、3人ヒロインの本作にはある意味うってつけ。対する主演・広末涼子も先日公開されたばかりの「ヴィヨンの妻」の悪女役から一転。本来のイメージである清純無垢な若妻役をかわいらしく演じる。

20点
誰一人警察官に見えない

日本映画史に輝く角川映画ブームを巻き起こした大プロデューサー、角川春樹自ら監督・脚本を担当する『笑う警官』は、「150万人動員できなかったら、もう映画は作らない」と本人が語る入魂の一作である。

北海道警の汚職疑惑が囁かれる中、元ミス道警の変死体が発見される。容疑者はかつて彼女と交際していた津久井巡査(宮迫博之)。だが、異例の射殺命令に不審を抱いた佐伯刑事(大森南朋)は、仲間を集め秘密裏に真相を探り始める。

入魂の一作が傑作になるとはもちろん限らないわけで──というよりこの方の場合、本気で球を投げるとあさっての方角へすっ飛んでいくケースが少なくない。小説家・佐々木譲(ささきじょう)の人気シリーズ第一作を映画化した本作でも、見事なまでの暴投ぶりを見せ付けてくれた。

20点
監督の人選ミス

小林多喜二によるプロレタリア文学の傑作『蟹工船』は、最近ブームとなり本作制作のきっかけとなった。年越し派遣村がニュースになったとおり、単純労働者のあまりの待遇の過酷さから、この原作に共感する若者が多いのだという。

今でこそ、「自分探し」「夢を追いかける」なんて言葉が罠で、そんな事をしていると、あっという間に最底辺の派遣奴隷に落ちぶれる現実が広く知られている。だが、いま30代くらいの世代にとってはそうではなかった。こうした口当たりのいい言葉に浮かれ騙され、将来を棒に振った人たちが今、派遣村で泣いている。

私も同世代の一人として、こうした現実には深い悲しみと猛烈な怒りの感情を持ち続けている。若い人たちには、私たちの世代の膨大な数の屍をしかと見て、絶対に同じ轍を踏まぬようにしてほしい。今の日本では、一度落ちたら這い上がることは不可能、もがき苦しみながら一生を終えると認識していたほうがよい。

20点
天国で原作者が泣いている

今年の夏は、邦画の話題作がたくさん登場する。『アマルフィ』や『ごくせん THE MOVIE』『蟹工船』等々、とても華やかだ。

だが、深い失望を味わうことで人間的な成長を遂げたい人にとっては『MW-ムウ-』が一番だ。たったの1800円で、これほどの後悔と、本作を選んでしまった自分への嘲笑気分を味わえる逸品はめったにない。

16年前の虐殺事件の生存者・結城美智雄(玉木宏)は、ある目的の元に凶悪犯罪を重ねていた。その友人、賀来裕太郎(山田孝之)は、神父という立場から彼の罪を嘆きながらも、同じ虐殺事件の生存者としてどうしても結城を告発できず、不本意ながら彼に協力するのだった。

20点
ジェシカ・アルバ目当ての方は要注意

『幸せのセラピー』は、久々にだまされた感をたっぷり味わえた、爽快なる一品であった。

地元名士ジャコビー一族の娘ジェス(エリザベス・バンクス)と結婚したことで、彼らの経営する銀行に勤めているビル(アーロン・エッカート)は、一見誰もがうらやむ人生を送っている。ところが実際は、他の役員たちに無能とばかにされ、休日には好きでもない狩猟につきあわされるなど、親族からのプレッシャーに押しつぶされる日々。そんな彼のオフィスに、母校のメンター制度(OBの元で社会体験をする制度)によりインターンとして男子高校生(ローガン・ラーマン)がやってくる。奔放なその生き方に、影響を受けるビルだったが……。

だまされたといっても、別にこの映画がミステリというわけではなく、単に事前に想像していたものとはまったく違った、という意味にすぎない。

20点
チョン・ジヒョンのセーラー服姿に1800円を払う価値を見出せるか

本作のオリジナルとなったアニメーション作品『BLOOD THE LAST VAMPIRE』(2000年、日本)は、クエンティン・タランティーノ監督大のお気に入り。『キル・ビル』(03年)のアニメ部分を作ってもらおうと、製作会社のProduction I.Gに直接出向いたエピソードは映画ファンの間では有名だ。

『ラスト・ブラッド』は、海外での評価が高いそんな『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の実写映画化。戦国時代以来、人類の敵としてはびこるオニ=ヴァンパイアと戦う日本人少女役を、「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョンが演じているのが話題だ。

アメリカがベトナム戦争遂行中の1970年。ある在日米軍基地内に侵入したオニを退治すべく、サヤ(チョン・ジヒョン)はアメリカンスクールに潜入する。日本刀を武器に超人的な活躍を見せる彼女の最終目的は、すべてのオニの起源といわれる最強の敵オニゲン(小雪)を倒すことだった。

20点
日韓の食文化の決定的な違いがよくわかる

『食客』は、ここ数年公開された韓国映画の中では突出して面白い。だが、「映画を見て感動したい」とか「心に染み入る傑作をみたい」とか「幸せな気分になりたい」とか「映画作りの妙に感心したい」といった、99パーセントくらいの人が期待するものはこの映画の中にはまったくないので、その点は注意が必要である。

韓国最高の料理人として、朝鮮王朝由来の名誉ある包丁の継承者を決めるコンテストが開催される事に。そこでテレビ局員のキム(イ・ハナ)は、いまは料理界から身を引いているが圧倒的な実力を持つ若き料理人、ソン(キム・ガンウ)を出場させようと彼の住む田舎に向かう。

何が面白いかって、こんなにも韓国らしい作品はない。あっても、日本で公開されることはほとんどない。あちらでは、大学の図書館でも大人気のマンガが原作とあって大ヒットしたが、日本でこんな内容の料理マンガがあったら、ヒットの前に笑いものにされるのがオチだろう。

20点
浦沢直樹の大人気漫画の映画化・三部作のパート2

まだ2作目の段階でいうのもなんだが、『20世紀少年』実写版は、きっと20年後くらいに「そういや昔、スゲー変な映画があったよなぁ」と人々に懐かしく思い出される存在になるのではないか。

こんなたわいもない話にこれほどの数のスターが集結し、どこかの会社のお偉いさんたちがこぞって巨額を投じ、いい大人が大マジメに作ってしまう。映画人というのは大ばか者というか、無茶というかKYというか、いずれにしても凄い人たちである。

とはいえ、こうした向こう見ずな暴走が、ときに歴史に残る傑作を生み出すこともあるわけで、一概に否定はできない。国民みながおとなしくなってしまったこの時代、たまにはこういうチャレンジがあってもいい。映画というジャンルには、それを受け止めるだけの力がまだあると思う。

20点
クォン・サンウ&ソン・スンホンが共演するクライムアクション

兵役逃れがバレ、入隊していたソン・スンホンの除隊後復帰作。そして、韓流大スターで涙の帝王ことクォン・サンウが初の悪役に挑戦。『宿命』はなかなかの話題作であったが、韓国ではイマイチとの評価であった。

裏社会に疲れ、足を洗おうとしているウミン(ソン・スンホン)は、そのための金をカジノ強奪で得ようとしていた。兄貴分のガンソプ(アン・ネサン)の指揮のもと、計画は成功したかに見えたが、親友と信じていたチョルジュン(クォン・サンウ)の裏切りで事態は最悪の展開へと転がっていく。

かつての仲間が敵味方に分かれ、悲しい宿命に身を落としていく話。ヤクザの内輪もめを描いた犯罪ドラマだ。

20点
石原さとみがCAとバスケ選手の兼業に挑戦

日本航空、および日本バスケットボール協会の全面協力による青春バスケムービー『フライング☆ラビッツ』は、不祥事や運行ミスが続出する協力先のサゲマンぶりに引っ張られたか、ひどい出来であった。

夢だったキャビン・アテンダント=CAに合格し、颯爽とJALにやってきたゆかり(石原さとみ)は、同姓同名の別人と間違えられ社内のバスケットボールチーム"JALラビッツ"に入団させられる。ラビッツは日本バスケットリーグの強豪で、その猛烈な練習にゆかりはヘトヘト。しかし、バスケの面白さに魅せられた彼女はチームに残り、厳しいCA研修とバスケの特訓に打ち込んでいく。

石原さとみは間違って部に入れられた初心者だから、最初はド下手でかまわない。だが、その下手っぴがその後、試合で活躍するためにはもっと説得力が必要だろう。合気道の達人という設定をその一つにしたい思惑はわかるものの、そちらも到底有段者には見えず、結局なんで彼女が試合に出ているのか、また監督が出し続けているのか観客は最後まで納得できない。

20点
真っ青谷村美月が、いじめられっ子の凶暴な"味方"に

『死にぞこないの青』は、最近すっかり映画原作の定番となった乙一による、イジメ問題を題材にした同名小説の実写化。

とはいえそこはサービス精神旺盛な乙一のこと、単なる社会派文学ということにはもちろんならない。いじめられっ子のリアルな心理描写に加え、凶暴狡猾な"青い少年"が現れての復讐というホラー風味が加えられ、結末にはミステリ的な趣向も凝らされている。

映画化にあたっては、主題となる「いじめられっ子の絶望的な孤独」が描けているか、読者に感動をもたらす原作者の暖かい視点が再現できているかがポイントとなるだろう。

20点
堂本光一が好演「お前なんか、握ってやる!」

当初から映画版の製作を考え、ドラマ版の内容とも密接な関係を持つ『銀幕版 スシ王子!』。テレビドラマの映画化は数あれど、本作ほど「一見さんお断り」な作品はほかにない。

師匠・武留守リリー(石原さとみ)に従い、ニューヨークにやってきたスシ王子こと米寿司(まいずつかさ)(堂本光一)。なんとか目的の八十八寿司にたどり着くが、シャリの名人と謳われる店の親方・俵源五郎(北大路欣也)は女用心棒(釈由美子)を雇い、店の乗っ取りを企む地元マフィア一味と必死の攻防を繰り広げていた。

映画やドラマに限らず寿司ものは人気がある。そんな中にあって『スシ王子!』は、グルメ要素よりも堤幸彦監督(「自虐の詩」(07)、「トリック 劇場版2」(06))による笑いが主たる見所のコメディー作品。この劇場版も、彼の監督作品の中でも相当におバカ度の高いギャグが炸裂する。

20点
自社の屋上から自殺するクレーマーの恐怖

同日公開のクレーマーシリーズ第二弾。同じ製菓会社の同じお客様相談室で、別の人物が主人公となる。なるほどこれなら新セットを組む必要が無く、製作費確保に四苦八苦するプロデューサーにも環境にもやさしい。同じ会社なのに、前回と違う人物が席に座っているのは、えも知れぬ不気味さを感じさせるという効果もある。果たしてこれは過去なのか、未来なのか。

ある製菓会社のお客様相談室。クレーム処理担当の宮田夏美(小野真弓)は、「流産したのはオタクのペットボトル飲料のせい」とわめく女からの苦情電話を受ける。自身も5歳の息子を抱えるシングルマザーである夏美は同情するが、会社側は一切の因果関係を認めなかった。

さて、この後は女クレーマーの恐怖の反撃が始まるのかと思いきや、予想外の展開を見せる。なんと会社の屋上から、見知らぬ女が流産を苦に飛び降り自殺するのだ。コイツが電話の主なのか?!

20点
「ニュー幸楽」で泉ピン子とカンフー少年が大暴れ

『カンフーくん』は、他チームなら4番打者になれる逸材ばかりをスタメンにそろえながら、まったく勝てなかった一時の巨人軍のような映画である。

中国の少林寺。8歳ながら天才的な才能で南ピン拳の免許皆伝に迫るカンフーくん(チャン・チュワン)は、修行最後の相手が日本にいると師匠から言い渡される。早速日本の下町にやってきた彼は、中華料理店「ニュー幸楽」の泉ちゃん(泉ピン子)と偶然出会い、居候しながら探すことに。しかし彼らは、日本の支配を企む黒文部省の陰謀に巻き込まれてしまう。

本作には、面白くなる要素が(この予算規模から考えたら)奇跡的といえるほど多数集まっている。

20点
「わしが男塾塾長 江田島平八であーる!」

インターネット上では、よく話のネタにされる少年漫画がある。「北斗の拳」や「ジョジョの奇妙な冒険」、「賭博黙示録カイジ」や「グラップラー刃牙」などいくつもあるが、そうしたAグループに、宮下あきらの伝説的漫画『魁!!男塾』も間違いなく入るだろう。どれもこれも語るにふさわしい要素を持つ作品だが、いろいろな意味で一番"濃い"のは男塾に違いない。

真の男を育てる私塾、男塾。塾長の江田島平八(麿赤兒(まろあかじ))率いるこの塾は、古来から日本のリーダーとなる人材を輩出してきた。今年も剣の達人・桃太郎(坂口拓)や根性の男・富樫(照英)、野生児・虎丸(山田親太郎)に加え、ヤクザ組長の息子ながら軟弱な秀麻呂(尾上寛之)らが入塾。先輩たちによる想像を絶するシゴキに耐えていた。ところがある日、男塾乗っ取りをたくらむ関東豪学連の襲撃により、彼ら一号生が男塾名物、驚邏大三凶殺(きょうらだいさんきょうさつ)により彼らと対戦、決着をつけることに。

初監督と脚本も兼任する坂口拓は、マジ当て格闘スタントで知られるアクション俳優。かねてより、男塾の大ファンだという。その熱意は、演じる主人公・剣桃太郎の徹底した役作りや本気のアクションから伝わってくる。フィルムの早回しかとおもうほど回転が早いパンチの連打や、顔にきっちりあてるハイキックその他、やってる事はたしかに凄い。

20点
感動群像劇を狙ったが、難易度が高すぎ失敗

劇団ひとりの連作短編集を映画化した、心温まる人間ドラマ。

ある夏、台風上陸を目前にした東京で、幾多の日陰者=ダメ人間たちが必死に生きている。借金まみれのシンヤ(岡田准一)はオレオレ詐欺に手を出すが、相手の老婆と仲良くなってしまい金を奪えない。ゆうすけ(塚本高史)が追っかける年増の萌え系アイドル(平山あや)は意外なブレイクをはたし、エリートビジネスマンのリュウタロウ(三浦友和)は、ほら吹きのホームレス(西田敏行)に憧れ野宿生活をはじめる。そんな彼らの一見無関係な人生が交わるとき、深い感動が訪れる……。

これはもう、久々にまったく何も引っかからない、心の琴線に1mmたりともかすりもしない映画であった。

20点
目指す方向を誤った

きらびやかな改造車がドリフトでタイヤを鳴らし、ゼロヨン加速の猛烈なGで空気を震わせる。最近では『ワイルドスピード』や『頭文字D』といった作品で、そんな公道レースの魅力が余すところなく描かれていた。この映画『スピードマスター』を企画した人たちは、きっとそうした映画やコミックが大好きなのだろう。自分たちでもそんな「クルマ映画」を作りたいと考えたに違いない。

埠頭レースで無敵を誇るRX−7FDを運転するのは、大手チューンショップの跡継ぎ息子の黒咲勇弥(内田朝陽)。彼とその取り巻き連中らと対立する「桜井モータース」は、オヤジの腕一本で持っていた弱小工場だったが、彼が倒れた事で苦境に陥っていた。娘のまひろ(北乃きい)は、黒咲たちに襲われたとき救ってくれた流れ者の赤星颯人(中村俊介)がメカニックとしての腕も立つ事を知り、彼をスカウトするが、黒咲たちの嫌がらせはエスカレートするばかりだった。

この映画を作った人たちには、クルマやレースに対する愛情はどうやら十分にあった。ただ悲しいかな、彼らには本物のクルマで凄い映像を撮るだけの予算がなかった。『スピードマスター』は、国産の本格的カーアクション映画を目指す志は大いに買える意欲作であったが、その中身のチープさは目を覆わんばかりである。

20点
カンヌ受賞で世界のクロサワに並んだ?!

カンヌ国際映画祭で、日本人として17年ぶりにグランプリを受賞(カンヌは賞のネーミングを時折変更するのでわかりにくいのだが、今回は審査員特別賞のこと)した超話題作。……が、その話題性ゆえ、映画を見慣れていない一般人に多数の被害者を出すことが予想される地雷的な一本。

奈良の山間部。ここには認知症の老人たちが介護者と暮らすグループホームがある。患者の一人しげき(うだしげき)は、33年前に亡くした妻を忘れられぬまま、日々をすごしている。そこに介護福祉士の真千子(尾野真千子)が、幼いわが子を亡くしたトラウマを抱えたまま赴任してきた。二人は徐々に心を通じ、ある日、森の中にあるというしげきの妻の墓参りに出かけるが、ふとしたことから深い森の中で完全に迷ってしまう。

最初にはっきりさせておきたいのは、河瀬直美という監督の映画は、普通の人が何気なく見るにはまったく適していないということだ。むしろ、世界でもっとも適さない監督の一人と断言してよい。

20点
幼児の積み木遊びがごとき

ダウンタウンの松本人志初監督作である本作は、同じくお笑い出身ながら専業監督以上の実績と評価を得ている北野武の存在により、過剰なまでの期待と話題性を背負っている。カンヌ映画祭で監督週間へ出品という最高のハクをつけ、北野映画最新作と同時期に公開するという完璧な戦略により客の入りも上々だ。今回、私はこれを、地元亀有の映画館で初日に見た。

一見しょぼくれた中年男の大佐藤(松本人志)は、テレビの取材を受けていた。意外にも彼は、代々世襲される日本の伝統的職業の6代目にして最後の一人なのだった。取材陣は彼に密着し、その庶民的な暮らしぶりを伝えるが、突然防衛庁らしき方面から連絡が入ると、大佐藤はスクーターで変電所のような奇妙な施設に急行する。

何も知らない人がみたら仰天するストーリーがこの先には待っている。明らかに「知らないで見てほしい」というつくりになっているので、このサイトでは他のメディアのようにネタばらしはしない。

20点
脅かすほうも驚くほうも、そろって絶叫する

『友引忌(ともびき)』(2000)、『コックリさん』(2004)などの"韓流ホラー"で知られるアン・ビョンギという監督は、中田秀夫(『リング』(98年、日))や清水崇(呪怨シリーズ)に匹敵する恐怖映画の名手なんだそうだ。

私はまったくそうは思わないが、その彼の待望の最新作がこの『アパートメント』。自分が住むマンションの向かいの巨大アパートの住民が続々変死するという、どうやらいい不動産屋に恵まれなかったヒロインのお話だ。

ソウル近郊の高級マンションに住むディスプレイデザイナーのセジン(コ・ソヨン)は、ある日のPM9:56、向かいの"幸福アパート"の明かりが一斉に消えるのを目撃する。翌日そのアパートでは自殺体が発見された。さらにまたPM9:56、アパートの明かりが一斉に消える。そして翌日、変死体が発見されるのだった。

20点
原作うんぬんの前に、つくりが雑

『龍が如く』はプレイステーション2の人気ソフトで、今回は2006年のビデオ映画版に引き続き、三池崇史監督により映画化された。

10年の刑期を終え神室町に戻ってきた伝説の極道、桐生一馬(北村一輝)は、町で幼い少女(夏緒)と出会う。そんな彼らを宿敵の真島(岸谷五朗)が狙うが、その一方、二人組の強盗がたてこもる銀行内で奇妙な出来事が発覚する。銀行内にあったはずの東城会の莫大な預金が、すべて消え去っていたのだ。

新宿歌舞伎町の看板を書き換えた架空の町を、ヘリが低空で飛び回る。舞台となる町の風景は一緒でも、いわゆるヤクザ映画とはまったく違う雰囲気のアクション映画だ。

20点
すべて本物と思ってみてください

アメリカ国防総省に撮影テープの提出を求められ、結局8時間分は帰ってこなかった……。そんな衝撃のアフガンロケ映像100%で送る『セプテンバー・テープ』。ニュースでは決して報道されない、戦場の真実が余すところなく収録されたこの恐るべきテープが、ついにこの日本でも公開される。

映画は、アフガニスタンの国境近くで8本のビデオテープが発見されたところから始まる。オサマ・ビン・ラディンを探し出すため、アフガンに潜入していた映画監督ドン・ラーソンが撮影したものだ。彼は、アメリカ政府による渡航禁止令を無視し、カメラマンと現地人のガイドのたった3人で危険地帯に突入。その貴重なテープには、現地で行われた数々のインタビュー、信じがたい彼らの行動のすべてが収められていた。はたしてラーソンたちはどうなってしまったのか。

映画は、この"8本のビデオテープ"が、そのまま8本立てのドキュメンタリータッチのドラマとして編集されている。そこには警察に追われ、ときに収監され、武器商人とのコンタクトから実際の取引模様など、興味深い映像が多々収められている。

20点
気の長い幽霊たちの復讐劇

先日、日本でも公開された『アサルト13 要塞警察』に引き続き、ジョン・カーペンター監督の代表作のリメイクが公開されることになった。ジョン・カーペンターといえば、チープな見た目ながら妙に面白い作風がB級ファンに根強く支持されている、SFホラージャンルの人気監督。このリメイク版も、監督こそ別の人に任せたが、自ら製作に参加している。

舞台はアメリカ、オレゴン州の港町。1871年、この町の男4人が、沖合いの船を襲い、略奪と虐殺の限りを尽くした。あれから100年、大きく発展したこの町は、創立記念日を祝う真っ最中。町の創生期に貢献した4人の銅像も建造された。ところがその夜、町には深い霧が立ち込め、沈んだ船の怨霊たちによる、4人の子孫への復讐がはじまった。

同じカーペンターのホラーでも、わかりやすい殺人鬼が登場する『ハロウィン』とは違い、『ザ・フォッグ』は霧によって不気味さを盛り上げていく、ムード重視の作品。よってこのリメイク版も、霧の演出に非常に力を入れている。CGなども試した結果、結局昔ながらの人口霧で行くことに決めたというエピソードが興味深い。

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