『TAXi』は、本国フランスでは他の追随を許さない国民的人気シリーズであり、はや4作目となった。あえて思い切りはしょって言ってしまえば、このシリーズの魅力は世界最高レベルのカーチェイスと、同じく最高レベルのしょうもないドタバタギャグの二本柱だ。
刑事エミリアン(フレデリック・ディファンタール)は、ベルギーの怪物なる凶悪犯の護送任務中にドジを踏み、逃げられてしまう。彼は、プジョー407を駆るタクシー運転手ダニエル(サミー・ナセリ)の協力を得てモナコへと追跡する。一方エミリアンの妻ペトラ(エマ・シェーベルイ=ヴィークルンド)は、おとり捜査で犯罪組織に潜入していた。
シリーズを通して主人公の恋人〜奥さん役だったマリオン・コティヤールが出ていないせいか、華やかさに欠ける。それだけならまだしも、主要キャストが抜けたシリーズというのは、どうも奥さんに逃げられた男を見ているような哀れみを感じさせていけない。