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30点
伏線未消化&回りを気にしすぎ

ごちそうばかり食べていると粗食も食べたくなる。美人ばかりとデートしていると、古女房が恋しくなる。そんな、誰にでもあるような感覚を映画監督も感じるのだろうか。「ロード・オブ・ザ・リング」「キング・コング」と、破格の超大作ばかり続いたピーター・ジャクソン監督の新作は、それらとはまるで違う、パーソナルで万人向けではないこぢんまりしたファンタジーとなった。

家族思いの心優しい少女スージー・サーモン(シアーシャ・ローナン)は、14歳のある日に殺人犯に襲われる。そうして死んでしまった後も天国に行けず、現世との狭間をさまよっている彼女は、悲観にくれる家族になんとか犯人を教えようとするのだが……。

女の子が天国との狭間にいる設定は原作と異なるそうだが、そうした変更が原因か、作品世界のルールが定まらずいらいらする。幽霊スージーに何ができて何ができないのか、このファンタジー世界のきまりごとを明言してくれないので、観客はいつまでたっても登場人物の行動に没頭できない。

30点
映像よりも書物向きの内容では

『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の原作は、雑誌の海外ミステリランキングなどでも絶賛された作品で、全世界1500万部以上を売り上げたといわれるベストセラーである。3部作の第一部を映画化した本作は、本国スウェーデンや同時公開されたデンマークで期待通りの大ヒットを記録した。

雑誌「ミレニアム」で、大物実業家のヴェンネルストレムの不正を告発した編集長ミカエル・ブルムクヴィスト(ミカエル・ニクヴィスト)は、しかし名誉毀損訴訟の反撃に敗れ、編集部を去った。そんな彼に声をかけてきたのがこれまた財界の大物ヘンリック・ヴァンゲル(スヴェン=ベルティル・タウベ)。有能な調査員リスベット(ノオミ・ラパス)のレポートによりミカエルが信頼できると踏んだ彼は、ある重要な私的調査を依頼するつもりだった。

離れ小島を所有する大金持ちのお屋敷に呼ばれ、極秘の調査を依頼される。どんよりとした映像の効果もあって、ミステリファンとしてはそそられるオープニングである。そこから次々提示される解明すべき一族の謎の数々にも魅力がある。

30点
原作も奇妙な絵柄だが、実写にするとなお不気味

『かいじゅうたちのいるところ』は、特に欧米では知らぬ者のいないモーリス・センダック作の名作絵本だが、それにしてもこれを製作費100億円クラスの実写大作にしようというアメリカ映画界の景気よさには驚かされる。いくら売れているといったって、日本ではノンタンを超大作にしようなどという企画はありえない。つくづく、恐ろしい世界である。

8歳の少年マックス(マックス・レコーズ)は、シングルマザーの母とケンカして家を飛び出す。ボートに乗り込みこぎ続けていると、やがて彼はかいじゅうたちが住む島にたどり着いた。たまたまオオカミの着ぐるみを着ていたマックスは、かいじゅうたちの王様の座に納まり、皆と王国作りに精を出すが……。

オバマ大統領がイースター祭で朗読したことでも知られる原作を読むとすぐわかる事だが、あっという間に読み終わるような分量である。絵本の中でも文章は相当少ない部類に入るもので、その魅力の多くは、子供たちの想像力をかきたてる独特の絵柄にある。

30点
監督たちの狙いをしっかり汲み取った邦題にすればよかった

ラブコメの女王、なるフレーズが死語になって久しい。最近の米映画は熟女ラブコメとでも呼ぶべき作品が花盛りで、このジャンルで活躍する女優はもう一人や二人じゃないわけだ。

なにしろ最近の若い人は、デートで映画にいくことが減っている。ロマコメというジャンルは、いまややる側も見る側も中年ばかりという、恐ろしい状況になっているのだ。

稼ぎのいい夫と二人の子供に恵まれ、郊外で理想的な主婦業を満喫していたサンディ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)だが、あるとき夫の浮気が判明、離婚を決意する。子供たちとニューヨークに引っ越した彼女はテレビ局に就職して忙しくなり、子供の世話をアパートの1階のカフェで働く24歳のフリーター(ジャスティン・バーサ)に頼むことに。

30点
新鮮なのか失敗なのか

近代史の裏には超能力者たちの存在と暗躍があった、というアイデアは真新しいものではないが、『PUSH 光と闇の能力者』での取り扱いは、なかなか新鮮なものがあった。

第二次世界大戦の頃より国家で育成され、重要な事件にかかわって来た特殊能力者たちがいた。彼らは今でもそれぞれの社会で、身を隠しつつ生きていた。その一人でムーバー(念動力を持つ者)のニック(クリス・エヴァンス)は、ある日ウォッチャー(予知能力を持つ者)のキャシー(ダコタ・ファニング)に、キラ(カミーラ・ベル)という名の女性探しを頼まれる。キラは重要な能力を持つため、組織から追われているらしい。

香港ロケ中心に隠しカメラなど多用したゲリラ撮影、手持ちカメラの覗き見風映像や、気だるいムードの劇伴音楽など、かなり風変わりなSFアクション。

30点
スタッフの人選を誤ったか

劇画作家・白土三平の代表作『カムイ伝』シリーズは抜群の知名度を誇るベストセラーコミック。そこから部落差別など社会派的要素をそぎ落とし、痛快アクションとして作られたこの『カムイ外伝』実写版も、大きな期待を寄せられている。

17世紀、日本社会の最下層で生まれ育った忍者カムイ(松山ケンイチ)は、殺戮に明け暮れる自由のない日々に嫌気が差し、忍の世界から逃げ出した。永遠に追われ続ける運命となった彼は、かつての仲間たちでもある追っ手と激しい戦いを繰り返しながら、ある港町にたどり着く。そこでカムイは同じ"抜け忍"のスガル(小雪)とその娘サヤカ(大後寿々花)と出会う。

日本映画界の重鎮・崔洋一監督(「血と骨」(2004))、そして日本一の人気脚本家・宮藤官九郎。堂々たるスタッフの名前が並んているが、どう見ても彼らの得意分野とはズレたコンセプトによる映画化で、いずれも力を発揮できていない印象。

30点
お好きな人だけどうぞ

日テレにとっては社運をかけたであろう『ごくせん THE MOVIE』は、積極的な宣伝の甲斐あって、それなりの興行成績を残しそうな勢いだ。

とはいえ、主人公ヤンクミを演じる仲間由紀恵の降板が決まっていることもあり、映画で新たなファン層を開拓しようという気はまったくない。むしろ、ほとんど渇き気味の雑巾を絞るきるように、これまでのファンからどれだけ1800円をかき集められるかに焦点を当てたコンセプトの映画化といえる。

担任教師、ヤンクミこと山口久美子(仲間由紀恵)は、新しい3年D組の生徒たちとまだ心を通じ合えていない。そこにかつての教え子小田切竜(亀梨和也)が教育実習生としてやってきて、彼女を喜ばせる。そんなある日、不良生徒の一人がトラブルを起こす。彼を疑う学校側に対し、生徒の言い分を信じた久美子は反論するが、そのせいで自らの立場が危うくなってしまう。

30点
女優、長澤まさみの新境地……?

この映画の原作『群青』は、宮木あや子による恋愛小説。だが、R-18文学賞受賞作家の小説といえど、長澤まさみが主演すれば、立派な清純派ドラマになる。

舞台は沖縄の離島、南風原(はえばる)島。ピアニストの森下由起子(田中美里)と漁師の龍二(佐々木蔵之介)の娘、凉子(長澤まさみ)は、同い年の大介(福士誠治)、一也(良知真次)と兄弟のように育つ。だが、成長した3人の関係は、一人の恋心によって大きくバランスを崩すことに。

あらすじだけならば、幼馴染の三角関係恋愛ごっこ、というありがちな物語だがこの話、とにかく人がよく死ぬ。男たちは皆、愛するオンナのため、海底から宝石サンゴを取ってくるわけだが、これがまた呪いのサンゴかと思うくらいに海難事故を巻き起こす。現地では「女のお守り」として珍重されるというが、なかなかの男殺しである。

30点
有名美談の映画化も、全体に遠慮がちで見るべきものは少ない

『余命1ヶ月の花嫁』とは、なかなか目を引くタイトルだ。最初にテレビ放映されたとき、その驚くべきエピソードがドキュメンタリー、すなわち実話と知った人々は大きな衝撃を受けた。そこから始まった一連のムーブメントは、ついにこの劇映画化を実現させるにいたった。

イベントコンパニオンの長島千恵(榮倉奈々)は、ある展示会で知り合った赤須太郎(瑛太)とやがて付き合い始める。だが千恵には、乳がんを宣告され乳房を失うことになるという深刻な悩みがあった。それでも彼女を追い続ける太郎の姿に、二人の絆は深まっていくが、彼らの愛を切り裂くように乳がん再発の悪夢が襲い掛かる。

余命一ヶ月の恋人に、せめて結婚式をあげウェディングドレスを着せてやろうという美談の映画化。

30点
"コーエン兄弟らしい"とのほめ言葉は、いわば"マンネリ"と紙一重

万人受け、という言葉とは正反対のコメディーを作る名手コーエン兄弟が、CIAをおちょくった『バーン・アフター・リーディング』は、オールスターキャスト目当てで見に行くと、確実に地雷原となる気難しい一品である。

CIAをクビになったアル中の幹部職員(ジョン・マルコヴィッチ)は、腹いせに暴露本の執筆を開始する。ところがその草稿入りのCD-ROMを落としてしまい、やがてマヌけなスポーツジム・インストラクターのチャド(ブラッド・ピット)の手に渡る。ディスクの中身を勝手に国家機密と勘違いしたチャドは、同僚のリンダ(フランシス・マクドーマンド)にそそのかされ、落とし主を脅して金を得ようとするのだが……。

酔っ払いが怒りに任せて書いた、何の価値もない原稿を、あらゆる連中が勘違いしてあれやこれやして、事態がろくでもない方向に転がっていくストーリー。構成のうまさはさすがコーエン兄弟だが、筋書き自体はまったく面白いものではないし、またそれを楽しむための作品でもない。

30点
水面から下がCGアニメのハーフ実写化?!

傑作人間ドラマ『おくりびと』で、見事アカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督の最新作は、なんと『釣りキチ三平』実写版であった。授賞式の日程と公開日の関係で偶然そうなったわけだが、こうなってくると滝田監督は運が良いんだか悪いんだかさっぱりわからない。

和竿作りの名人である一平(渡瀬恒彦)と暮らす、釣り大好き少年三平(須賀健太)は、ある日アメリカで活躍するバスフィッシングのプロ鮎川魚紳(塚本高史)と出会う。ところがそこへ口うるさい姉(香椎由宇)が帰郷。激しい言い争いの結果、伝説の魚“夜泣谷の巨大魚”を釣り上げなければ、釣りをやめる約束をさせられてしまう。

公開中の「ヤッターマン」が、三池監督らしい突き放した毒気をまぶして大成功を収めているのに比べ、こちらは同じ人気漫画の実写版としていかにも線が細い。

30点
不感症の女の子の暴走の行方は

いまの時代、自分探し、しあわせ探しに悩む女性は多い。漠然とした自分の夢と、日々厳しくなる現実との兼ね合いが取れなくなれば、やがて彼女たちは欝のスパイラルに落ちていく。まじめで純粋な人ほど、うつ病になりやすいといわれる所以だ。

不感症のレッテルを貼られ、エッチの後に冷たい言葉を残して去る男たち。そんな体験を重ねたアコ(前田綾花)は、つねに感情を押し殺す孤独な女になっていた。ある時彼女は、無口なゲイのマスター(大浦龍宇一(おおうらりゅういち))が経営するいきつけのダーツバーで、ナンパしてきた男と身体を賭けた勝負をすることに。

ブルーな気分の女の子たちにぴったりな、自己肯定感を感じられる女性映画。

30点
前作から5ヶ月で、早くもセガールの新作登場

この映画の宣伝文句はこうだ。

「その者、黒き銃(はがね)を手にして、非道の地に降り立つべし──」

私は座席に座ってパンフレットを開いた瞬間に、この秀逸なパロディを見せられた。スティーヴン・セガール映画は、すべからくギャグとして楽しむべしといったやり方が、どうやらオフィシャル的にも正解のようである。

30点
仲村みうが女子高生役で大胆演技

衝撃作『制服サバイガール I』のエンディングの直後から物語は始まる。遺伝子組み換え作物の野放図な栽培のせいで、接触した人間が植物ゾンビ化してしまうおそるべきバイオハザード。その拡大阻止のため、科学者や屈強な軍人らが現地を訪れる。

遺伝子組み換え食品とは、特定の性質(ある種の農薬耐性など)を持たせた作物のこと。たとえば大豆や菜種といった作物に、昆虫の遺伝子をブチこむなどして作る。

ちなみにこの映画の感染者の場合、植物のそれが人間に組み込まれてしまうという、正反対の構図となっている。これはなかなかアイロニカルで素敵な発想といえよう。

30点
自衛隊全面協力のレスキューアクション

この作品のアイデアの元となった、06年放映の『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』は、アニメーション作品ながら自衛隊からの全面協力があり、細緻な描写とリアリティが売り物であった。

今回の実写版も同様のバックアップがなされ、かつ"自衛隊映画"に強い手塚昌明監督(『戦国自衛隊1549』(2005)、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003))が起用された。

主演女優は、劇中の彼女と同じ航空救難隊員だった父親を持つ高山侑子(たかやまゆうこ)。訓練中に殉職した父の追悼式のため上京した際にスカウトされた、運命的とも言うべき配役だ。

30点
"猟奇的"から"最強"へ?! クァク・ジェヨン監督の彼女シリーズ最新作

『最強☆彼女』は、『猟奇的な彼女』や『僕の彼女はサイボーグ』で知られる韓国の巨匠クァク・ジェヨンによる、トンデモ系ラブコメ最新作。韓国映画史上に残る超大作『D-WARS ディー・ウォーズ』と同週に公開するとは、日本の配給会社も粋なことをする。韓国映画ウォッチャーにとっては、どちらも見逃せまい。

女子大生ながら武術の達人であるソフィ(シン・ミナ)は、しかし今時そんな才能を生かせる場などあるはずもなく、怪力部で人並みはずれたパワー芸を披露し、全学生からドン引きされる日々であった。そんな彼女が、あるときイケメン学生のジュンモ(ユゴン)に一目ぼれ。彼を追ってアイスホッケー部に入部すると、猛烈なアタックを開始する。

綾瀬はるかのサイボーグ映画のように途中で激しく転調し、武侠アクションの見せ場が次々と現れる。──が、ワイヤーワークによる滞空チャンバラはありがちで、10年ばかし時代遅れ。本作で武術監督を務めるディオン・ラムは、マトリックスシリーズの振り付けをしたユエン・ウーピンの同僚で、それなりに実績はあるが、彼の殺陣はもはや15番煎じくらいの印象で新鮮味はまったくない。

30点
韓国映画界が本気で米市場に挑んだ怪獣パニック大作

この年公開される韓国映画の中で、もっとも注目すべきはこの『D-WARS ディー・ウォーズ』であろう。

35億円以上ともいわれる韓国映画史上最大の製作費、本国での歴史的大ヒット、米国公開時における常軌を逸した宣伝攻勢と、話題には事欠かない。さすがの米国人もそのあまりの押し付けがましさにあきれ果てたという、ある意味韓国らしい押しの強い一本といえる。

ロサンゼルスに異変が起きている。レポーターのイーサン(ジェイソン・ベア)は、災害現場に落ちていたある物を見て、そう感じた。鍵となるのは少年時代、彼が古美術店主から聞いた伝説。「500年に一度現れる運命の女性をめぐり争いが勃発、人類は滅亡の危機に陥る」。やがてイーサンとLA市民の前に、その言い伝え通り、巨大な怪獣が現れる。

30点
傑作ホラー『the EYE 【アイ】』がハリウッドリメイク

タイなどで活躍する双子の映画監督オキサイド・パン&ダニー・パンによる『the EYE 【アイ】 』(02年)は、結局パート3まで作られドル箱シリーズとなった。二作目以降、加速度的につまらなくなっていく昔ながらの続編ジンクスを忠実に守った連作だが、『アイズ』は唯一見られる一作目のハリウッド版リメイクとなる。

若き盲目のバイオリニスト、シドニー(ジェシカ・アルバ)は、姉の強いすすめにより角膜移植手術を受ける。手術後、無事視力が戻ってきたかに思えたが、じつはシドニーには他人には見えていないものまで見えていたのだった。

角膜ドナーのおぞましい記憶まで移植されてしまった、あわれなヒロインの物語。同様の手術を受けたが、なぜか1週間後に自殺したタイの少女の実話をヒントに作られたストーリーだ。日本人にとっては、手塚治虫という偉大な先達の作品により、このアイデアはよりなじみが深いといえよう。

30点
ジャッキー・チェンとジェット・リーが待望の初対決

今週はカンフーの映画が重なったが、話題性はこちらがダントツ。なんといってもジャッキー・チェンとジェット・リーが共演、しかも対決シーンがあるというのだからたまらない。長年の友人同士というこの二人が、スクリーンで戦うというのはもちろん史上初。実現しただけで嬉しいようなほっとするような、そんな気になる大ニュースである。

カンフーオタクの青年(マイケル・アンガラノ)は、不良仲間に脅され馴染みの質屋の強盗の手引きをさせられる。だが、成り行きで店主を仲間が撃ってしまう。瀕死の店主から金の棒を託された青年はそのままタイムスリップ。そこに現れたルー・ヤンなる酔拳の達人(ジャッキー・チェン)と出会う。彼によれば、その棒は悪の将軍により封印された孫悟空の持ち物「如意棒」だという。

ここから主人公の青年は、酔拳ジャッキーや謎の刺客ジェット・リー、美少女戦士(リウ・イーフェイ)らと出会い、協力しながら孫悟空へ如意棒を返却しに行くという流れ。その中で、世紀のJJ対決が用意されている。

30点
あのトラウマ作『火垂るの墓』が実写映画化

作家・野坂昭如(のさかあきゆき)が自身の戦争体験を生かした小説『火垂るの墓(ほたるのはか)』は、何といってもスタジオジブリのアニメ化版(高畑勲監督)の印象が強い。のどかな『となりのトトロ』と同時上映し、子供たちとファミリーに強烈なショックを与えたのみならず、毎夏のようにテレビ放映してトラウマを呼び起こしているのだからそれも当然。多くの人が言うように、一番泣ける映画にして二度と見たくない映画。今回は実写映画となって、再度日本人の心を直撃する。

1945年6月の神戸。大空襲により家と母親(松田聖子)を失った14歳の清太(吉武怜朗)と4歳の節子(畠山彩奈)。遠い親類(松坂慶子)を頼るもひどい仕打ちをされ、幼い兄妹は町外れの防空壕で二人だけの生活を始めるのだった。

実写映画版『火垂るの墓』の監督は、なにかと不運な存在である。なにしろ原作はもとより、高畑勲の強烈なアニメ版と比較される運命にある。そのうえ本来この企画は戦争ドラマの名手・故黒木和雄監督が予定されていたもの。若い日向寺太郎(ひゅうがじたろう)監督が、一度は辞退したというのも頷ける。高畑勲に黒木和雄、どちらにも勝てる気がしない。

30点
≪井上和香&西川貴教が初主演でダメカップルに≫

青春合唱ムービー『うた魂(たま)♪』が公開されたばかりの田中誠監督最新作は、cinemusicaの第5弾。cinemusicaとは音楽と映画のコラボ企画で、プロモーションの相乗効果を狙ったビジネス企画だ。この『コラソン de メロン』は、女子高生バンドSCANDALの主題歌とコンビを組んだラブコメ作品となる。

OLの泉(井上和香)は気は優しいが仕事ができず、会社をクビになってしまう。病気がちで臥せっている同棲中の恋人ヒロミ(西川貴教)にはとても言い出せない。そんな泉の苦悩も知らず、能天気なヒモ気質のヒロミは「高級メロンが食べたいから買ってきて」などと無理を言う。泉は自分をバカにする勤め人時代の後輩にまで頭を下げ、高額バイトを紹介してもらうのだが……。

泉というヒロインは、鳥肌実がアブない風貌で演じる知能障害の男にさえ優しく接するシーンでわかるとおり、(天然ボケだが)純粋な心を持った健気な女性。シュールな笑いを担当すると同時に、このヒロインに好感を持ってもらう演出上の責務を負った鳥肌実のキャラクターは、しかしお笑い面で不発。

30点
東京ビッグシティマラソンで爆弾テロ発生か

テレビドラマの映画版について批評するのは難しい。本来テレビのファンだけが楽しみ

に見るものだから、個人的にはあまりうるさい事は言いたくない。だが映画として評価

すれば、たいてい厳しいものになってしまうのは避けられぬ。あらすじと見所だけ書い

30点
2分先の未来予知ができる男は核危機を救えるのか?

ニコラス・ケイジ(『シティ・オブ・エンジェル』(98))にしろジュリアン・ムーア(『フォーガットン』(04))にしろ、演技力と存在感を併せ持つスターだというのに、いまだにこの手の迷作珍作またはB級作に出演してくれるというのは、妙におちゃめで好感がもてる。

ラスベガスでチンケなマジックショーをして暮らしているクリス(ニコラス・ケイジ)は、実は身の回りの2分先の未来を予知できる能力を持っていた。時折カジノで小勝ちする程度に使い、目立たぬようにすごしていたが、あるとき現れたFBI捜査官(ジュリアン・ムーア)は、その能力を見抜いた上で捜査協力を持ちかけてくるのだった。

現代ハリウッドらしい、VFXたっぷりのド派手アクション大作。交通事故から核爆発まで、多数のCGカットが出てくるが、それ以上にたくさん出てきてかつ私たちの目を奪うのは、もう一人のヒロイン・ジェシカ・ビール(『ステルス』(05))の深い深い胸の谷間。

30点
理不尽なクレーマーに、私生活に入り込まれる恐怖

『クレーマー case1』と『クレーマー case1』は、その名のとおり"クレーマー"の恐怖を描く作品。それぞれ独立した映画だが、同じ映画館で同日公開される。ちゃんと順に見られるよう、上映スケジュールも組まれている。……が、タイトル以外互いの関係があまり無いのでその意義は薄い。

ある製菓会社のお客様相談室。クレーム処理担当の継村(柏原収史)は、不良品を訴える男からの電話を受ける。後日返品されたペットボトル飲料の中には、混入するはずの無い大量の不気味な虫が漂っていた。明らかに異常なクレーマーだと判断されたが、その後も男の行動はエスカレート、ついに継村の自宅にまでその手は及ぶのだった。

理不尽なクレーマーが、知るはずの無い自分のプライベートに襲い掛かる。これほど恐ろしい話は無い。平凡な企業戦士が主人公とあって、感情移入のしやすさも抜群、うまい舞台設定だ。それらを素直に生かしたこの『case1』は、サスペンスとしてはまっとうなつくりで評価できる。

30点
オシャレなポスターに惹かれた方は要注意

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』を見たがる人は、ウォン・カーウァイ監督の信奉者かノラ・ジョーンズのファン、それよりはるかに少数だがジュード・ロウマニア以外にいるはずがないと私は思っていた。しかし最近、周辺のおしゃれな女子数名が立て続けに見たいというので聞いたところ、揃って「ポスターに一目ぼれした」という。CDのジャケット買い、小説の表紙買いというのはよく聞くが、映画にもそういうものがあるらしい。

ニューヨークの古いデリの若きオーナー、ジェレミー(ジュード・ロウ)は、お客のエリザベス(ノラ・ジョーンズ)から「別れた彼氏がきたら渡して!」と、不要になった合鍵を預かる。そんな頼みをしょっちゅう聞いていたジェレミーは、彼女ともすぐに親しくなる。毎夜遅くやってきて、売れ残りのブルーベリーパイを愛しげに食べる彼女に好意を抱くジェレミーだったが、あるときエリザベスは突然NYを飛び出し、一人旅に出てしまう。

そこから先、アメリカを縦断するエリザベスとNYのジェレミーの物理的距離は離れる一方だ。ただそのまま疎遠になるわけでは無く、エリザベスはちょくちょく彼に手紙で近況&心情報告をする。

30点
2時間スペシャルで十分では?

夏原武&黒丸による同名人気漫画を原作としたテレビドラマ『クロサギ』は、詐欺師が詐欺師を騙す斬新な設定が人気を呼び、06年のTBSドラマとしては平均視聴率トップを記録した。終了後もファンから続編が待ち望まれ、その期待を受けての映画化となる。

詐欺犯罪を誰よりも憎む若者・黒崎(山下智久)の裏の顔は、詐欺師のみを専門に騙す"クロサギ"。今回の狙いは、贈答詐欺師の石垣(竹中直人)だ。だが、調べていくと石垣は、大企業のみを標的にするはずの詐欺師・白石(加藤浩次)や、知能犯担当の刑事・神志名(哀川翔)からも追われていた。やがて石垣の真の狙いは、日本経済を揺るがす大規模な詐欺犯罪にあるらしいとわかる。

普段より贅沢な予算と制作期間が与えられ、さあどんな映画にしようかと考えたとき、誰でも真っ先に浮かぶのが「ドラマ版じゃできない巨大な悪(敵)とのゴージャスな対決にしよう」というアイデア。おそらく、手軽に映画らしいスケール感を出せると期待してのことだろう。

30点
山田洋次監督の激しい感情に役者がついていけず

全精力を注いだ時代劇「武士の一分」が、そのできばえの良さとキムタク主演の相乗効果で大ヒットした山田洋次監督。彼が次に選んだのは、反戦人情ドラマ『母べえ』だった。これは黒澤明作品の常連スタッフで知られる、野上佳代の自伝的小説を映画化したものだ。

昭和15年、東京。野上佳代(吉永小百合)は夫・滋(坂東三津五郎)と幼い娘二人とで幸せに暮らしていた。ところがある日、文学者で反戦主義者の滋が特高により逮捕。収監されても信念を曲げなかったため、一家にとって予想もしなかった長き悲劇の日々がはじまる。それでも滋の教え子の山崎(浅野忠信)らに支えられ、佳代は激動の時代を生き続ける。

私は今回、あまりにも感情的な山田監督の新作の姿に驚かされた。しかも彼は、この作品にこめた激しい感情を隠そうともしていない。

30点
スケール感がなさすぎる失敗ファンタジー

ファンタジーとは、いかに魅力的な世界観を見せるかが最大のキモだ。しかし映画『光の六つのしるし』は、その点で大失敗している。

ミス・グレイソーンとその執事メリマンからパーティーに招かれた14歳のウィル(アレクサンダー・ルドウィグ)。彼はその帰り道、黒装束の騎士に襲われ、「しるしをよこせ」などと覚えのない問いを受ける。すんでのところでミス・グレイソーンらに救われたウィルは、自分が"最後の古老"であり、闇の勢力から人類を守る役目を持って生まれてきた救世主だと聞かされる。

イギリス・バッキンガムシャーから始まるこの物語は、全部集めればパワーアップ出来る無敵のアイテム『光の六つのしるし』を探し求めて、あらゆる時代と場所を行き来する。初々しい思春期の少年を主人公にした、定番のファンタジーアドベンチャーだ。

30点
京極夏彦ファン以外にはすすめない

タイトルは「もうりょうのはこ」と読む。原作はオカルトとミステリを融合させた京極夏彦の、いわゆる京極堂シリーズの第2作。古書店主であり陰陽師の京極堂こと中禅寺秋彦が、怪しげな難事件を小気味良く解決する人気シリーズで、05年の『姑獲鳥の夏』(うぶめのなつ)に続き、2作目の映画化となる。

美少女連続殺人事件が世間をにぎわせている1952年の東京。私立探偵の榎木津(阿部寛)は、元女優の柚木陽子(黒木瞳)から娘を探してほしいとの依頼を受ける。作家の関口(椎名桔平)と中禅寺敦子(田中麗奈)も別件から事件に関わる。やがてある巨大なハコ型建物が、解決の鍵を握っていると踏んだ彼らは、京極堂(堤真一)と共に乗り込むが……。

原作とはずいぶん構成が変わった。具体的にいうと、各主要キャラクター(榎木津や敦子や関口など)の動きを並行して描き、複雑な事件を浮かび上がらせる手法。その上で大胆に内容をカットしている。イスに使えそうなくらい分厚い原作を、わずか133分にまとめるのだから、監督(脚本も担当)としてこれほど難しい作業はあるまい。

30点
ひどい劣化コピー

ひとつの傑作を作るためには、作り手に多大な才能が求められる。しかし、傑作の続編を成功させるためにも、これは相当な才気が必要だ。前作ファンの期待に応えねばならないプレッシャーや、失敗して無能扱いされるリスクを考えたら、下手をすればよりキツい仕事というべきかもしれない。

それを成し遂げた数少ない人物として、有名どころでは『エイリアン』や『ターミネーター』のパート2を監督したジェームズ・キャメロン、ややマイナーなところでは、『ファイナル・デスティネーション』の続編の脚本&原案を考えたエリック・ブレス&J・マッキー・グルーバーの二人があげられる。

そして後者の二人が6年間かけて練り上げた脚本を自ら監督したのが『バタフライ・エフェクト』(04年、米)。超映画批評ではほぼ満点をつけた超オススメ品だ。ちなみにサイト開設以来私が96点以上をつけたのは、いま数えたらわずか5本であった。

30点
ハル・ベリー、再びラジー賞候補か

魅力的な宣伝コピーを見ると、いやがうえにも期待が高まる。そして、それが過剰宣伝だとわかったときの落胆は、果てしなく大きい。『パーフェクト・ストレンジャー』のコピー「ラスト7分11秒、想像を遥かに超える"衝撃の真実"が明かされる」などは、その最たるものといえる。

女性記者ロウィーナ(ハル・ベリー)の幼馴染グレースが変死した。調べていくと、グレースがある大物財界人(ブルース・ウィリス)と不倫関係だったことがわかった。ロウィーナは、自らその男の会社に派遣社員を装って潜入、近づくとともに、旧知のハッカーの協力を得て真相解明に挑む。

この映画がダメな理由は、ハル&ブルースのすかした会話のうすら寒さとか、社長がちまちまとメッセンジャーによるエロ会話で、OLをナンパする情けなさをあげるだけで十分であるが、ここではミステリ映画として何が足りないのかを明らかにする。

30点
ベッソンの個人的趣味を反映したヒロインが気持ち悪い

映画作りに疲れきったフランスの映画監督リュック・ベッソンは、この子供向けファンタジーアニメ三部作を最後に引退を宣言している。

10歳の好奇心旺盛な少年アーサー(声:フレディ・ハイモア)は、屋根裏で祖父の残したメッセージを見つける。そこに書かれた財宝の地図はなんと自宅の裏庭。その地下には身長2mmのミニモイ族の世界があり、どこかにルビーが埋められているというのだ。

アーサーの家は借金取りに追い込みをかけられており、ルビーを見つけなければ我が家を失うことになる。また、やがて訪れる地下世界では、ミニモイ族が直面する危機回避も請け負う羽目になる。そんなダブルのプレッシャーを背負う勇者として、彼は冒険をはじめる。

30点
作り手が本人に遠慮してはだめだ

最近亡くなった人の伝記映画は、関係者が多い上にそれぞれの悲しみの記憶も新しいため、いろいろな意味で作るのが難しい。

妻(伊東美咲)と二人、極貧生活に耐えながらワールドカップに参戦しているプロウィンドサーファー飯島夏樹(大沢たかお)。だが敗北続きで賞金が得られぬため、ついに電気等も止められ、家賃も払えず夫婦は野宿生活をすることに。夏樹は次を最後の試合と決め、夢のすべてを賭けて挑むのだったが……。

05年に若くしてガンで亡くなった飯島夏樹の闘病生活と人生は、本作の原作となった小説『天国で君に逢えたら』とエッセイ『ガンに生かされて』に感動的に綴られている。本人も生前、自分の人生の映画化には意欲を燃やしていたという。

30点
カーアクションとしての魅力を失った

『TAXi』は、本国フランスでは他の追随を許さない国民的人気シリーズであり、はや4作目となった。あえて思い切りはしょって言ってしまえば、このシリーズの魅力は世界最高レベルのカーチェイスと、同じく最高レベルのしょうもないドタバタギャグの二本柱だ。

刑事エミリアン(フレデリック・ディファンタール)は、ベルギーの怪物なる凶悪犯の護送任務中にドジを踏み、逃げられてしまう。彼は、プジョー407を駆るタクシー運転手ダニエル(サミー・ナセリ)の協力を得てモナコへと追跡する。一方エミリアンの妻ペトラ(エマ・シェーベルイ=ヴィークルンド)は、おとり捜査で犯罪組織に潜入していた。

シリーズを通して主人公の恋人〜奥さん役だったマリオン・コティヤールが出ていないせいか、華やかさに欠ける。それだけならまだしも、主要キャストが抜けたシリーズというのは、どうも奥さんに逃げられた男を見ているような哀れみを感じさせていけない。

30点
古く、そして平凡

ドリームワークス・アニメーション製作の『シュレック』は、アメリカでもっとも人気があるアニメ映画シリーズとなった。その興行成績たるやケタ外れで、実写のブロックバスターだろうがディズニーアニメだろうが、まったく太刀打ちできない。このパート3にしても、なんと完成前に早くもパート4の発表が行われたほど。

めでたく結ばれた怪物カップル、シュレック(声:マイク・マイヤーズ)とフィオナ姫(声:キャメロン・ディアス)は、フィオナの故郷の王国で国事行為に忙しい日々を送っている。そんなある日、ついにハロルド国王が倒れ、なんとシュレックが後継者に指名される。しかし、沼地での穏やかな暮らしに戻りたいシュレックにとっては、真っ平ごめんな話。彼はしゃべるロバのドンキー(声:エディ・マーフィ)と、長ぐつをはいた猫(声:アントニオ・バンデラス)を連れ、残る唯一の王位継承者であるアーサー探しの旅に出る。

出会いから結婚、そして両親へのご挨拶と、世間一般のカップルと同じ苦労を経て、今回シュレック夫妻はいよいよベビーの誕生を経験する。濱田雅功&藤原紀香の日本語版吹き替えキャストや、ピノキオやらクッキーマンなどチョイ役まで含め、1から続くおなじみのキャラクターたちによる成長話が楽しめる。

30点
お手軽でもいいから、エロにもっと気合を入れよ

バブル経済のころ、平凡な女の子たちがカネによって狂い、堕ちていくさまをレポートした家田荘子の『バブルと寝た女たち』。このベストセラーは、そのセンセーショナルな内容から何度も映画、ビデオ化されている。本作も同原作の映画化となるが、ヒルズ族などと呼ばれ世間をにぎわせたIT長者の女、という現代的な形に設定変更され、同時にタイトルもちょっとだけバージョンアップしている。

田舎から上京し、劇団員として女優を目指す牧田碧(三津谷葉子)。素朴な性格で、古いアパートでつつましく暮らす彼女は、あるとき悪友の麻美(三浦敦子)により、強引に合コンへと連れ出される。連れて行かれたのは今をときめくIT長者たちによるゴージャスなパーティー会場で、そこで碧は新進気鋭のオーナー社長(金子昇)に見初められる。

ポータルサイトの成功を皮切りに、M&Aで事業を拡大していく若き社長。モデルはもちろんホリエモンだろう。ただし、映画の彼はスリムでイケメン。Tシャツではなくスーツ姿で決めているし、六本木ヒルズで乱交パーティーを開くこともない。むしろそんな俗っぽい事から距離を置き、映画作りを支援したり、女優志望の碧を応援したりとさわやかなナイスガイだ。もし本人がこれを見たら、さぞ喜ぶことだろう。

30点
映画としては破綻、長澤まさみとしては極上

この作品も、いつもどおりの長澤まさみ映画であった。点数はたったの30点だし、脚本も演出も破綻しまくっているが、それでも彼女は笑顔一発、許してねと笑いかける。なんとなくそれで許せてしまう、それが長澤まさみ映画たるゆえんである。ただし言うまでもないが、彼女のファン以外にはまったく通じない。

幼い頃、湖畔の廃バスを秘密基地にして遊んだ3人。遠山智史(山田孝之)はその頃からの夢である水草ショップの店長に。五十嵐佑司(塚本高史)は才能を生かして画家に。そして二人があこがれた滝川花梨(長澤まさみ)は、ある日意外な形で智史の店にやってきた。

山田孝之演じるさえないオタク店長の店に、ある日スーパーモデルに出世した超美少女の幼馴染がやってくる。子供時代に別れて以来の再会なので、山田孝之は彼女が花梨ちゃんだと気づかない。長澤まさみ演じるこの人気アイドルは、それを内心くすくすと笑いながら、正体を明かさぬまま彼の家に強引に居候としておしかける。山田孝之はわけがわからない状況に戸惑いながらも、しぶしぶ彼女と同じ屋根の下で暮らし始める。

30点
幼稚の一語に尽きる

秦建日子(はた たけひこ)の小説「推理小説」を原作とするテレビドラマ「アンフェア」は、その意外性の高いストーリー展開により高い視聴率を記録した。大酒のみだが抜群の直観力と行動力で事件を解決する女刑事を篠原涼子が演じる推理・刑事もので、今回は昨年10月に放映されたスペシャル版に続く、初の映画化にして完結編である。

公安部総務課の雪平(篠原涼子)は、自分の父親の死にも関連すると思われる警察内部の不正問題を探っていたが、自分の車に仕掛けられた爆弾により娘(向井地美音)が重症を負いショックを受ける。彼女は豊洲の警察病院に娘を入院させるが、その直後病院は完全武装したチーマー風の若者数名に占拠されてしまう。

このテロ事件、当然単純な立てこもりではない。その背後には真の動機が隠されており、雪平にも大きくかかわってくるのだが、そのあたりをヒロインとともに推理しながら楽しむのが本作の趣向となっている。さらに娘の救出劇やSATと犯人との戦いなど、アクション面も映画ならではのダイナミックな見所といえる。

30点
無茶な方向へ突っ走った

一定以上の年齢の映画ファンにとって、「角川映画」というワードは特別に響くものだろう。それは、薬師丸ひろ子や原田知世など映画中心に活躍する女優を育てたり、今で言うメディアミックス戦略により挑戦的な企画を連発したりと、日本の映画史に大きな功績を残した事で知られている。

とくに、映画単独で採算を取れなくても書籍その他関連商品でペイできれば良しとするその戦略は、邦画の枠を超えた大作の製作を可能とし、数々の娯楽映画の傑作(および珍作)を生み出した。オールモンゴルロケという贅沢なドラマ『蒼き狼 地果て海尽きるまで』は、そんな往年の「角川映画」らしさを持つ一品といえる。

ときは12世紀、モンゴル。主人公テムジンが14歳のころ、部族長の父が攻め殺され、一家はどん底の暮らしに叩き落される。それでも家族を支え、やがて立派な青年(反町隆史)へと成長した彼は、かつて結婚を約束した娘(菊川怜)に会いに行くが……。

30点
まるで安テレビドラマのよう

『天国は待ってくれる』は、久々の真性ダメ映画と言ってよい。ただでさえ日本の映画業界は人材不足気味なのに、今なら商売になるからといってそのキャパシティを超える数を作っている。その無理が限界までくると、こういう作品が出来上がる、そんな見本だ。

東京の築地で生まれ育った宏樹(井ノ原快彦)、薫(岡本綾)、武志(清木場俊介)の3人は、子供時代に一生変わらぬ友情を誓い合った親友同士。お互い離れたくないから、宏樹は朝日新聞社に、薫は銀座通りの鳩居堂に、武志は築地市場という至近へ就職した(註:この3箇所はすべて徒歩圏内)。とはいえ武志だけは明け方から昼までという勤務時間だから、3人そろって会う事は少なくなっていた。そんなある日、武志は二人を呼び出し、宏樹の前で薫に突然プロポーズする。

この後の流れが凄い。薫は強引なガキ大将タイプの武志より、ホントは大人しいが優しい宏樹を好きなのだが、思わずその場でプロポーズをOKしてしまう。宏樹も内心薫を好きなくせに「う、うん、お前らお似合いだよ」などと言う。相手の気持ちなどまったくわかっていない武志くんは、奇声をあげて真冬の海に飛び込んで喜ぶ。脚本、演出、演技。すべてのダメさが融合された、たぐいまれな名シーンの誕生である。

30点
お手軽品にもほどがある

今年の冬シーズンにディズニーがぶつけてきたのは、本国アメリカで4月に公開され、初登場4位と惨敗したこの『ライアンを探せ!』。アチラでもあまり評判のよろしくないコイツを、お正月映画の手札にせざるを得ない今冬の彼らはかなり厳しい。

ニューヨーク動物園一の人気者で、唯一の野生育ちということで、仲間内からも尊敬されているライオンのサムソン(声:キーファー・サザーランド)。その息子ライアン(声:グレッグ・サイプス)にとって、偉大な父は大きなコンプレックスとなっていた。そんなある日、アクシデントからライアンがトラックに連れ去られてしまう。サムソンは最愛の息子を救うべく、キリンやコアラ、ヘビらの親友たちと共に園を抜け出し、夜の大都会に向かうのだった。

さて、サムソンには実は仲間にも言っていない秘密がある。それは、彼が皆が信じているような野生生まれではないという事実。動物園にいる飼いなさられた動物たちに対して、野生を知っているというのは何ものにも代えがたい大きな勲章。だからそれが本当は違うだなんて、皆の心の支え、リーダー的存在として、決して言うわけにはいかなかった。

30点
映画の基本部分がおろそか

週刊少年チャンピオンで1970年代に連載されていた古賀新一のホラー漫画『エコエコアザラク』は、95年に映画化されて以来、テレビドラマや再度の映画化など、何度も映像化されてきた。主人公の美少女、黒井ミサは黒魔術を駆使する魔女で、映画版ではその時々のアイドルが彼女を演じ、話題を呼んできた。

そんな優良コンテンツであるこの原作を、今回はVFXに強く、ハリウッド作品でも活躍する新人監督の太一が映画化。近野成美や秋山莉奈ほか、アイドルマニア注目の若手をキャスティングして、イブニングショーで公開される。なお、R-pageとB-pageと名づけられた前編後編に分けて公開されるが、この批評記事は両方についてまとめたものだ。

両方に共通するのはあるひとつの出来事。それは、晴れ渡った空から巨大な雹(ひょう)が降り注ぎ、幾人かの犠牲者を出した怪事件だ。「R-page」では、リーダー(IZAM)から命じられこの町へやってきた黒井ミサ(近野成美)が、破壊神エゼキエルの復活を阻止すべく活動する姿を描く。

30点
麻薬の怖さを実写以上にリアルに伝えてくる

同週公開の『オープン・シーズン』のところで、「米国のアニメ映画にはファミリー向きが多い」と書いておいて恐縮だが、同じアニメ映画の『スキャナー・ダークリー』は、まったくその範疇には入らない。これは、一応アニメーションの部類ではあるものの、見た目も内容も相当な異色作だ。

7年後の未来。アメリカには、物質Dなる強力なドラッグが蔓延していた。徹底した盗聴・監視技術で犯罪を防ぐこの時代においても、最大の難関であるこのドラッグの生産拠点をつかむべく、当局は捜査官ボブ・アークター(キアヌ・リーヴス)にある密売人の監視を命じた。ところがその監視対象とは、覆面捜査官であるアークター本人であった。自分で自分を監視するうち、彼の脳は麻薬に犯されはじめ、やがて自分が誰なのかも不明瞭になり、現実と非現実が交じり合う末期的症状を呈し始める。

原作は悲観主義的な作品を多作したことで知られる、アメリカの偉大なSF作家フィリップ・K・ディック。『ブレードランナー』や『トータル・リコール』、最近では『ペイチェック』等の大作映画の原作として、変わらぬ人気を誇る。

30点
3D-CGにする必要があったのか

ますむらひろしの漫画、アタゴオルシリーズは、30年間に渡って日本漫画界の誇るファンタジーものとして、人気を博してきた。ヨネザアド大陸にあるアタゴオルという架空の地で、猫と人間が当然のように会話し、生きている独特の世界観と絵柄が魅力で、それらはアニメ映画『銀河鉄道の夜』(85年、杉井ギサブロー監督)にも生かされている。今回の映画版『アタゴオルは猫の森』は、シリーズの外伝「ギルドマ」をベースにしたもので、全編3D-CGで作られている。

花と緑に囲まれたアタゴオルで、年に一度のお祭りが行われている。いつものように暴走した自由奔放なデブ猫のヒデヨシ(声:山寺宏一)は、よせばいいのに禁断の箱を開け、植物女王ピレア(声:夏木マリ)の封印を解いてしまう。強力な魔法で周りの生物を次々と植物に変えていくピレア。そのころ、彼女を唯一封印できる植物王も生まれたが、王は力強く成長するため、ひとりだけ父親を選ばねばならない。ところが、偶然選ばれたのは、よりにもよってヒデヨシだった。

自由を愛し、究極のポジティブ思考(……というより、食欲中心思考?!)を持つヒデヨシ。このデブ猫は、平気で盗み食いだってするし、つまらん倫理、常識など屁とも思わぬマイペース主義。憎たらしいが憎めない、そんな純粋な心をもつキャラクターだ。彼を中心に、その正反対の理性的存在、人間のテンプラ(声:内田朝陽)やツキミ姫(声:平山あや)、そしてクールなギルバルス(声:田辺誠一)といった、ファンには馴染み深いキャラクターが活躍する。

30点
中高生向きの希少なデートムービー

柳楽優弥といえば、「誰も知らない」でカンヌ映画祭の最優秀主演男優賞を史上最年少で受賞、一躍スターとなった映画俳優。いまや高校生となった彼の最新作は、キスシーンもあるラブストーリー。山田詠美の短編小説『風味絶佳』の映画化だ。

東京、福生市に暮らす高校生(柳楽優弥)は、将来の進路に迷っていた。結局、両親の反対を押し切り大学進学をせず、とりあえずガソリンスタンドで働くことにした彼は、そこのバイトの少女(沢尻エリカ)に恋をする。

『シュガー&スパイス 風味絶佳』の点数は30点で、こういう点数をつけると誤解を招きやすいのだが、別にこれは駄作というわけではない。この映画を、対象年齢である中高生がみれば、それなりに満足して帰ることはできるかもしれない。中学生同士のデートムービーとしての恋愛ものというのは案外少ないから、それなりに貴重な存在ではあろう。

30点
DVD版と大塚愛のファン限定

avexとフジテレビが人気歌手大塚愛を主演に作った、女の子たちの青春ドラマ。もともとDVD用に作られた作品の続きを映画化したものだ。DVD版は、あの大塚愛が役者をするという意外性と、彼女のファン層に訴えかける音楽性により、なかなかの好評を博した。

自分を変えたくて、高知の田舎から上京した玲(大塚愛)。彼女がバイト先の居酒屋で出会った仲間たちと組んでいるバンド"サバイバルカンパニー"(通称サバカン)に、メジャーデビューの話が来た。しかし玲は、バンドの方針で衝突してニューヨークへ去ったギタリストの隆司(瑛太)の事が気になっていた。隆司は玲を「おまえの声が好きだから」と、ボーカルとしてバンドに引き入れた人物だった。

正直なところ、これはDVD版を見ていないものにはきつい。地方からやってきて、夢をひたすら追いかける少女の純粋さ、ひたむきさを描く青春映画だが、映画版の中ではその夢への努力の過程、または挫折についての言及が無いので、あまりに軽薄に見えてしまう。

30点
正確に描くことができないなら、手を出してほしくないテーマ

ロシアを代表する映画作家アレクサンドル・ソクーロフが、イッセー尾形主演で昭和天皇についての映画を作ったというニュースは、映画ファンの間で知られていたが、天皇というデリケートな問題を外国人、それもロシア人の手で描くという事で、果たして日本国内で公開されるのかどうか、疑問視されていた。その問題作がこの『太陽』、ソクーロフ監督が、ヒトラー、レーニンに続いて「歴史上の重要人物」を描いたシリーズの第三弾だ。

1945年8月。疎開中の皇后(桃井かおり)や皇太子らと離れ、研究所で暮らす昭和天皇(イッセー尾形)が主人公。やがて敗戦を迎え、マッカーサーや米軍との対面や、日本軍上層部との対話、侍従とのやりとりを通して、人間としての天皇の内面、そしてあの戦争の意味について迫る。

映画ライターの皆さんは疲れているのか、試写室ではいつになくお眠りになっている方の多い作品であった。音楽はあまりなく、暗いトーンと少ない色の画面が淡々と流れていく映画だから、理解できなくもないが。

30点
安直な出がらし続編

三池崇史監督のPART1の出来がよく、アジア全域で大ヒットしたために、ついに3作目まで作られてしまったこのシリーズ。今回は国内で人気急上昇中の堀北真希(TV『野ブタ。をプロデュース』の小谷信子役など)と、アジア市場向けに韓国のアイドル、ジャン・グンソクを主演に据え、手堅く中ヒット狙いの路線で挑む。

修学旅行で韓国に行くことになった2年C組。ネット友達のアンジヌ(ジャン・グンソク)と会うのを楽しみにしていたえみり(黒木メイサ)だが、友達の明日香(堀北真希)がいじめを理由に参加せず、複雑な思いでいた。そんな旅行中、クラスメイトの一人の携帯電話にあの"死の着メロ"が着信する。その後も次々と同級生たちに届く死の着信だったが、そこには「転送スレバシナナイ」という、恐るべきメッセージが添えられていた。

死の携帯メロディがなって、変な死に方をするだけじゃ、さすがにもう誰も怖がらないので、新機軸である。つまり、「友達に転送すりゃ死なずにすむ」というわけだ。マンネリ打破としては、妥当なアイデアであろう。これにより、普段友人だと思っていた連中同士の、醜い争いが勃発、"表面上だけの仲良し"という、いかにもいまどきの10代らしい本音、本性が暴かれる。これは面白い。

30点
コンセプトをハッキリさせないと大作はコケるという見本

年末に各地で演奏される「第九」(交響曲第9番ニ短調)は、日本人にとってもっとも親しみのあるクラシック曲だろう。ベートーベン最後の交響曲として知られるこの曲の、とくに第4楽章は、『歓喜の歌』と呼ばれ、合唱曲として不動の人気を誇る。

では、いまや、年の瀬の風物詩とまでなっているこの合唱曲は、なぜ日本でこれほどの人気を誇るのだろう。そもそも、日本でこの曲が演奏されたのはいつなのか。実は、そこにはかつて敵同士だった日本人とドイツ人の、立場を超えた友情エピソードが隠されていたのである。それを描くのがこの、製作費15億円の邦画大作『バルトの楽園』(がくえん、と読む)である。

ときは1914年、第一次世界大戦のころ。このころの日本とドイツは当然、敵国同士だ。当時の日本には戦争による捕虜収容所が各地にあり、ドイツ人の捕虜4700名も、劣悪な環境の収容所で時を過ごしていた。

30点
リュック・ベッソン監督暴走中?!

『レオン』『フィフスエレメント』といった"愛"をテーマにした作品で人気を博すフランスの人気監督リュック・ベッソン。しかし、最近は脚本や製作業ばかりで、実は監督作品というのは99年の『ジャンヌ・ダルク』以来、本作が約6年ぶりとなる。そんな『アンジェラ』は、やはり最近の彼らしい、純愛をテーマにした情熱的な一本であった。

舞台はパリ。マフィアへの借金返済期限が48時間後に迫った主人公(ジャメル・ドゥブーズ)は、絶望のあまりセーヌ河へ飛び込もうと決意する。ところがその時、突然隣に現れた美女が、先に飛び込んでしまい、彼女を助ける羽目になる。彼女はアンジェラ(リー・ラスムッセン)と名乗り、その後彼と行動をともにするのだが……。

『アンジェラ』はかなりの異色作だが、同時にいかにもこの監督が好みそうな話である。いや、むしろこの作品は、ベッソン監督の"願望"、"妄想"が、これまででもっとも如実に現れた個人的な映画ではないかと思う。

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