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2121件中 1901~1950件 を表示しています。
30点
古く、そして平凡

ドリームワークス・アニメーション製作の『シュレック』は、アメリカでもっとも人気があるアニメ映画シリーズとなった。その興行成績たるやケタ外れで、実写のブロックバスターだろうがディズニーアニメだろうが、まったく太刀打ちできない。このパート3にしても、なんと完成前に早くもパート4の発表が行われたほど。

めでたく結ばれた怪物カップル、シュレック(声:マイク・マイヤーズ)とフィオナ姫(声:キャメロン・ディアス)は、フィオナの故郷の王国で国事行為に忙しい日々を送っている。そんなある日、ついにハロルド国王が倒れ、なんとシュレックが後継者に指名される。しかし、沼地での穏やかな暮らしに戻りたいシュレックにとっては、真っ平ごめんな話。彼はしゃべるロバのドンキー(声:エディ・マーフィ)と、長ぐつをはいた猫(声:アントニオ・バンデラス)を連れ、残る唯一の王位継承者であるアーサー探しの旅に出る。

出会いから結婚、そして両親へのご挨拶と、世間一般のカップルと同じ苦労を経て、今回シュレック夫妻はいよいよベビーの誕生を経験する。濱田雅功&藤原紀香の日本語版吹き替えキャストや、ピノキオやらクッキーマンなどチョイ役まで含め、1から続くおなじみのキャラクターたちによる成長話が楽しめる。

30点
お手軽でもいいから、エロにもっと気合を入れよ

バブル経済のころ、平凡な女の子たちがカネによって狂い、堕ちていくさまをレポートした家田荘子の『バブルと寝た女たち』。このベストセラーは、そのセンセーショナルな内容から何度も映画、ビデオ化されている。本作も同原作の映画化となるが、ヒルズ族などと呼ばれ世間をにぎわせたIT長者の女、という現代的な形に設定変更され、同時にタイトルもちょっとだけバージョンアップしている。

田舎から上京し、劇団員として女優を目指す牧田碧(三津谷葉子)。素朴な性格で、古いアパートでつつましく暮らす彼女は、あるとき悪友の麻美(三浦敦子)により、強引に合コンへと連れ出される。連れて行かれたのは今をときめくIT長者たちによるゴージャスなパーティー会場で、そこで碧は新進気鋭のオーナー社長(金子昇)に見初められる。

ポータルサイトの成功を皮切りに、M&Aで事業を拡大していく若き社長。モデルはもちろんホリエモンだろう。ただし、映画の彼はスリムでイケメン。Tシャツではなくスーツ姿で決めているし、六本木ヒルズで乱交パーティーを開くこともない。むしろそんな俗っぽい事から距離を置き、映画作りを支援したり、女優志望の碧を応援したりとさわやかなナイスガイだ。もし本人がこれを見たら、さぞ喜ぶことだろう。

30点
映画としては破綻、長澤まさみとしては極上

この作品も、いつもどおりの長澤まさみ映画であった。点数はたったの30点だし、脚本も演出も破綻しまくっているが、それでも彼女は笑顔一発、許してねと笑いかける。なんとなくそれで許せてしまう、それが長澤まさみ映画たるゆえんである。ただし言うまでもないが、彼女のファン以外にはまったく通じない。

幼い頃、湖畔の廃バスを秘密基地にして遊んだ3人。遠山智史(山田孝之)はその頃からの夢である水草ショップの店長に。五十嵐佑司(塚本高史)は才能を生かして画家に。そして二人があこがれた滝川花梨(長澤まさみ)は、ある日意外な形で智史の店にやってきた。

山田孝之演じるさえないオタク店長の店に、ある日スーパーモデルに出世した超美少女の幼馴染がやってくる。子供時代に別れて以来の再会なので、山田孝之は彼女が花梨ちゃんだと気づかない。長澤まさみ演じるこの人気アイドルは、それを内心くすくすと笑いながら、正体を明かさぬまま彼の家に強引に居候としておしかける。山田孝之はわけがわからない状況に戸惑いながらも、しぶしぶ彼女と同じ屋根の下で暮らし始める。

30点
幼稚の一語に尽きる

秦建日子(はた たけひこ)の小説「推理小説」を原作とするテレビドラマ「アンフェア」は、その意外性の高いストーリー展開により高い視聴率を記録した。大酒のみだが抜群の直観力と行動力で事件を解決する女刑事を篠原涼子が演じる推理・刑事もので、今回は昨年10月に放映されたスペシャル版に続く、初の映画化にして完結編である。

公安部総務課の雪平(篠原涼子)は、自分の父親の死にも関連すると思われる警察内部の不正問題を探っていたが、自分の車に仕掛けられた爆弾により娘(向井地美音)が重症を負いショックを受ける。彼女は豊洲の警察病院に娘を入院させるが、その直後病院は完全武装したチーマー風の若者数名に占拠されてしまう。

このテロ事件、当然単純な立てこもりではない。その背後には真の動機が隠されており、雪平にも大きくかかわってくるのだが、そのあたりをヒロインとともに推理しながら楽しむのが本作の趣向となっている。さらに娘の救出劇やSATと犯人との戦いなど、アクション面も映画ならではのダイナミックな見所といえる。

30点
無茶な方向へ突っ走った

一定以上の年齢の映画ファンにとって、「角川映画」というワードは特別に響くものだろう。それは、薬師丸ひろ子や原田知世など映画中心に活躍する女優を育てたり、今で言うメディアミックス戦略により挑戦的な企画を連発したりと、日本の映画史に大きな功績を残した事で知られている。

とくに、映画単独で採算を取れなくても書籍その他関連商品でペイできれば良しとするその戦略は、邦画の枠を超えた大作の製作を可能とし、数々の娯楽映画の傑作(および珍作)を生み出した。オールモンゴルロケという贅沢なドラマ『蒼き狼 地果て海尽きるまで』は、そんな往年の「角川映画」らしさを持つ一品といえる。

ときは12世紀、モンゴル。主人公テムジンが14歳のころ、部族長の父が攻め殺され、一家はどん底の暮らしに叩き落される。それでも家族を支え、やがて立派な青年(反町隆史)へと成長した彼は、かつて結婚を約束した娘(菊川怜)に会いに行くが……。

30点
まるで安テレビドラマのよう

『天国は待ってくれる』は、久々の真性ダメ映画と言ってよい。ただでさえ日本の映画業界は人材不足気味なのに、今なら商売になるからといってそのキャパシティを超える数を作っている。その無理が限界までくると、こういう作品が出来上がる、そんな見本だ。

東京の築地で生まれ育った宏樹(井ノ原快彦)、薫(岡本綾)、武志(清木場俊介)の3人は、子供時代に一生変わらぬ友情を誓い合った親友同士。お互い離れたくないから、宏樹は朝日新聞社に、薫は銀座通りの鳩居堂に、武志は築地市場という至近へ就職した(註:この3箇所はすべて徒歩圏内)。とはいえ武志だけは明け方から昼までという勤務時間だから、3人そろって会う事は少なくなっていた。そんなある日、武志は二人を呼び出し、宏樹の前で薫に突然プロポーズする。

この後の流れが凄い。薫は強引なガキ大将タイプの武志より、ホントは大人しいが優しい宏樹を好きなのだが、思わずその場でプロポーズをOKしてしまう。宏樹も内心薫を好きなくせに「う、うん、お前らお似合いだよ」などと言う。相手の気持ちなどまったくわかっていない武志くんは、奇声をあげて真冬の海に飛び込んで喜ぶ。脚本、演出、演技。すべてのダメさが融合された、たぐいまれな名シーンの誕生である。

30点
お手軽品にもほどがある

今年の冬シーズンにディズニーがぶつけてきたのは、本国アメリカで4月に公開され、初登場4位と惨敗したこの『ライアンを探せ!』。アチラでもあまり評判のよろしくないコイツを、お正月映画の手札にせざるを得ない今冬の彼らはかなり厳しい。

ニューヨーク動物園一の人気者で、唯一の野生育ちということで、仲間内からも尊敬されているライオンのサムソン(声:キーファー・サザーランド)。その息子ライアン(声:グレッグ・サイプス)にとって、偉大な父は大きなコンプレックスとなっていた。そんなある日、アクシデントからライアンがトラックに連れ去られてしまう。サムソンは最愛の息子を救うべく、キリンやコアラ、ヘビらの親友たちと共に園を抜け出し、夜の大都会に向かうのだった。

さて、サムソンには実は仲間にも言っていない秘密がある。それは、彼が皆が信じているような野生生まれではないという事実。動物園にいる飼いなさられた動物たちに対して、野生を知っているというのは何ものにも代えがたい大きな勲章。だからそれが本当は違うだなんて、皆の心の支え、リーダー的存在として、決して言うわけにはいかなかった。

30点
映画の基本部分がおろそか

週刊少年チャンピオンで1970年代に連載されていた古賀新一のホラー漫画『エコエコアザラク』は、95年に映画化されて以来、テレビドラマや再度の映画化など、何度も映像化されてきた。主人公の美少女、黒井ミサは黒魔術を駆使する魔女で、映画版ではその時々のアイドルが彼女を演じ、話題を呼んできた。

そんな優良コンテンツであるこの原作を、今回はVFXに強く、ハリウッド作品でも活躍する新人監督の太一が映画化。近野成美や秋山莉奈ほか、アイドルマニア注目の若手をキャスティングして、イブニングショーで公開される。なお、R-pageとB-pageと名づけられた前編後編に分けて公開されるが、この批評記事は両方についてまとめたものだ。

両方に共通するのはあるひとつの出来事。それは、晴れ渡った空から巨大な雹(ひょう)が降り注ぎ、幾人かの犠牲者を出した怪事件だ。「R-page」では、リーダー(IZAM)から命じられこの町へやってきた黒井ミサ(近野成美)が、破壊神エゼキエルの復活を阻止すべく活動する姿を描く。

30点
麻薬の怖さを実写以上にリアルに伝えてくる

同週公開の『オープン・シーズン』のところで、「米国のアニメ映画にはファミリー向きが多い」と書いておいて恐縮だが、同じアニメ映画の『スキャナー・ダークリー』は、まったくその範疇には入らない。これは、一応アニメーションの部類ではあるものの、見た目も内容も相当な異色作だ。

7年後の未来。アメリカには、物質Dなる強力なドラッグが蔓延していた。徹底した盗聴・監視技術で犯罪を防ぐこの時代においても、最大の難関であるこのドラッグの生産拠点をつかむべく、当局は捜査官ボブ・アークター(キアヌ・リーヴス)にある密売人の監視を命じた。ところがその監視対象とは、覆面捜査官であるアークター本人であった。自分で自分を監視するうち、彼の脳は麻薬に犯されはじめ、やがて自分が誰なのかも不明瞭になり、現実と非現実が交じり合う末期的症状を呈し始める。

原作は悲観主義的な作品を多作したことで知られる、アメリカの偉大なSF作家フィリップ・K・ディック。『ブレードランナー』や『トータル・リコール』、最近では『ペイチェック』等の大作映画の原作として、変わらぬ人気を誇る。

30点
3D-CGにする必要があったのか

ますむらひろしの漫画、アタゴオルシリーズは、30年間に渡って日本漫画界の誇るファンタジーものとして、人気を博してきた。ヨネザアド大陸にあるアタゴオルという架空の地で、猫と人間が当然のように会話し、生きている独特の世界観と絵柄が魅力で、それらはアニメ映画『銀河鉄道の夜』(85年、杉井ギサブロー監督)にも生かされている。今回の映画版『アタゴオルは猫の森』は、シリーズの外伝「ギルドマ」をベースにしたもので、全編3D-CGで作られている。

花と緑に囲まれたアタゴオルで、年に一度のお祭りが行われている。いつものように暴走した自由奔放なデブ猫のヒデヨシ(声:山寺宏一)は、よせばいいのに禁断の箱を開け、植物女王ピレア(声:夏木マリ)の封印を解いてしまう。強力な魔法で周りの生物を次々と植物に変えていくピレア。そのころ、彼女を唯一封印できる植物王も生まれたが、王は力強く成長するため、ひとりだけ父親を選ばねばならない。ところが、偶然選ばれたのは、よりにもよってヒデヨシだった。

自由を愛し、究極のポジティブ思考(……というより、食欲中心思考?!)を持つヒデヨシ。このデブ猫は、平気で盗み食いだってするし、つまらん倫理、常識など屁とも思わぬマイペース主義。憎たらしいが憎めない、そんな純粋な心をもつキャラクターだ。彼を中心に、その正反対の理性的存在、人間のテンプラ(声:内田朝陽)やツキミ姫(声:平山あや)、そしてクールなギルバルス(声:田辺誠一)といった、ファンには馴染み深いキャラクターが活躍する。

30点
中高生向きの希少なデートムービー

柳楽優弥といえば、「誰も知らない」でカンヌ映画祭の最優秀主演男優賞を史上最年少で受賞、一躍スターとなった映画俳優。いまや高校生となった彼の最新作は、キスシーンもあるラブストーリー。山田詠美の短編小説『風味絶佳』の映画化だ。

東京、福生市に暮らす高校生(柳楽優弥)は、将来の進路に迷っていた。結局、両親の反対を押し切り大学進学をせず、とりあえずガソリンスタンドで働くことにした彼は、そこのバイトの少女(沢尻エリカ)に恋をする。

『シュガー&スパイス 風味絶佳』の点数は30点で、こういう点数をつけると誤解を招きやすいのだが、別にこれは駄作というわけではない。この映画を、対象年齢である中高生がみれば、それなりに満足して帰ることはできるかもしれない。中学生同士のデートムービーとしての恋愛ものというのは案外少ないから、それなりに貴重な存在ではあろう。

30点
DVD版と大塚愛のファン限定

avexとフジテレビが人気歌手大塚愛を主演に作った、女の子たちの青春ドラマ。もともとDVD用に作られた作品の続きを映画化したものだ。DVD版は、あの大塚愛が役者をするという意外性と、彼女のファン層に訴えかける音楽性により、なかなかの好評を博した。

自分を変えたくて、高知の田舎から上京した玲(大塚愛)。彼女がバイト先の居酒屋で出会った仲間たちと組んでいるバンド"サバイバルカンパニー"(通称サバカン)に、メジャーデビューの話が来た。しかし玲は、バンドの方針で衝突してニューヨークへ去ったギタリストの隆司(瑛太)の事が気になっていた。隆司は玲を「おまえの声が好きだから」と、ボーカルとしてバンドに引き入れた人物だった。

正直なところ、これはDVD版を見ていないものにはきつい。地方からやってきて、夢をひたすら追いかける少女の純粋さ、ひたむきさを描く青春映画だが、映画版の中ではその夢への努力の過程、または挫折についての言及が無いので、あまりに軽薄に見えてしまう。

30点
正確に描くことができないなら、手を出してほしくないテーマ

ロシアを代表する映画作家アレクサンドル・ソクーロフが、イッセー尾形主演で昭和天皇についての映画を作ったというニュースは、映画ファンの間で知られていたが、天皇というデリケートな問題を外国人、それもロシア人の手で描くという事で、果たして日本国内で公開されるのかどうか、疑問視されていた。その問題作がこの『太陽』、ソクーロフ監督が、ヒトラー、レーニンに続いて「歴史上の重要人物」を描いたシリーズの第三弾だ。

1945年8月。疎開中の皇后(桃井かおり)や皇太子らと離れ、研究所で暮らす昭和天皇(イッセー尾形)が主人公。やがて敗戦を迎え、マッカーサーや米軍との対面や、日本軍上層部との対話、侍従とのやりとりを通して、人間としての天皇の内面、そしてあの戦争の意味について迫る。

映画ライターの皆さんは疲れているのか、試写室ではいつになくお眠りになっている方の多い作品であった。音楽はあまりなく、暗いトーンと少ない色の画面が淡々と流れていく映画だから、理解できなくもないが。

30点
安直な出がらし続編

三池崇史監督のPART1の出来がよく、アジア全域で大ヒットしたために、ついに3作目まで作られてしまったこのシリーズ。今回は国内で人気急上昇中の堀北真希(TV『野ブタ。をプロデュース』の小谷信子役など)と、アジア市場向けに韓国のアイドル、ジャン・グンソクを主演に据え、手堅く中ヒット狙いの路線で挑む。

修学旅行で韓国に行くことになった2年C組。ネット友達のアンジヌ(ジャン・グンソク)と会うのを楽しみにしていたえみり(黒木メイサ)だが、友達の明日香(堀北真希)がいじめを理由に参加せず、複雑な思いでいた。そんな旅行中、クラスメイトの一人の携帯電話にあの"死の着メロ"が着信する。その後も次々と同級生たちに届く死の着信だったが、そこには「転送スレバシナナイ」という、恐るべきメッセージが添えられていた。

死の携帯メロディがなって、変な死に方をするだけじゃ、さすがにもう誰も怖がらないので、新機軸である。つまり、「友達に転送すりゃ死なずにすむ」というわけだ。マンネリ打破としては、妥当なアイデアであろう。これにより、普段友人だと思っていた連中同士の、醜い争いが勃発、"表面上だけの仲良し"という、いかにもいまどきの10代らしい本音、本性が暴かれる。これは面白い。

30点
コンセプトをハッキリさせないと大作はコケるという見本

年末に各地で演奏される「第九」(交響曲第9番ニ短調)は、日本人にとってもっとも親しみのあるクラシック曲だろう。ベートーベン最後の交響曲として知られるこの曲の、とくに第4楽章は、『歓喜の歌』と呼ばれ、合唱曲として不動の人気を誇る。

では、いまや、年の瀬の風物詩とまでなっているこの合唱曲は、なぜ日本でこれほどの人気を誇るのだろう。そもそも、日本でこの曲が演奏されたのはいつなのか。実は、そこにはかつて敵同士だった日本人とドイツ人の、立場を超えた友情エピソードが隠されていたのである。それを描くのがこの、製作費15億円の邦画大作『バルトの楽園』(がくえん、と読む)である。

ときは1914年、第一次世界大戦のころ。このころの日本とドイツは当然、敵国同士だ。当時の日本には戦争による捕虜収容所が各地にあり、ドイツ人の捕虜4700名も、劣悪な環境の収容所で時を過ごしていた。

30点
リュック・ベッソン監督暴走中?!

『レオン』『フィフスエレメント』といった"愛"をテーマにした作品で人気を博すフランスの人気監督リュック・ベッソン。しかし、最近は脚本や製作業ばかりで、実は監督作品というのは99年の『ジャンヌ・ダルク』以来、本作が約6年ぶりとなる。そんな『アンジェラ』は、やはり最近の彼らしい、純愛をテーマにした情熱的な一本であった。

舞台はパリ。マフィアへの借金返済期限が48時間後に迫った主人公(ジャメル・ドゥブーズ)は、絶望のあまりセーヌ河へ飛び込もうと決意する。ところがその時、突然隣に現れた美女が、先に飛び込んでしまい、彼女を助ける羽目になる。彼女はアンジェラ(リー・ラスムッセン)と名乗り、その後彼と行動をともにするのだが……。

『アンジェラ』はかなりの異色作だが、同時にいかにもこの監督が好みそうな話である。いや、むしろこの作品は、ベッソン監督の"願望"、"妄想"が、これまででもっとも如実に現れた個人的な映画ではないかと思う。

30点
大多数の日本人には向かない、欧米向け映画

『V フォー・ヴェンデッタ』は、『マトリックス』シリーズの監督ウォシャウスキー兄弟が脚本を担当した、ダークなサスペンス映画だ。原作のコミックは、82年に英国で発表されたが、この時期のイギリスといえば、マーガレット・サッチャー首相の在任真っ最中。よって本作は、その強硬保守的な政治姿勢を批判する、たぶんに政治的比喩を含んだ内容となっている。

舞台は近未来のイギリス。世界は荒廃し、かつての大国アメリカもいまは英国の植民地。そして、その英国は独裁者が支配するファシズム国家となっていた。ある夜、ヒロイン(ナタリー・ポートマン)は外出禁止時間帯に外を歩いていたところを、秘密警察に発見されてしまうが、Vと名乗る仮面の男(ヒューゴ・ウィーヴィング)に救われる。強靭な肉体と信念のもと、政府の転覆を狙う彼の行動に、やがて彼女も巻き込まれていく。

主人公のVは、自身のトレードマーク「V」がANARCHYマークを連想させることでわかるとおり、過激なアナーキスト(無政府主義者)だ。政府の施設を芸術的ともいえる手法で爆破し、為政者の秩序を破壊する。現在の世界では、いわゆるテロリストと呼ばれる存在である。

30点
深田恭子の天使姿は一見の価値があるが

『下妻物語』(04年、日)で、とてつもなく似合うロリータファッション姿を披露した深田恭子によると、次に流行るのは天使コスプレなのだそうだ。そんな彼女の主演最新作『天使』は、心温まるファンタジードラマ。桜沢エリカの原作の映像化である。

本作には、何人かの主人公が登場する。たとえば、永瀬正敏演じるシングルファーザーは、恋人(永作博美)がいるものの、幼い娘の事が気になってどうしても先に進めない。内気なコンビニ店員(内田朝陽)には、好きな女の子ができた。ある女子中学生は、学校でいじめにあっている。そんな彼らの前に、ある日ふわふわと天使が舞い降りるという展開だ。

この天使を演じるのが深田恭子。全身真っ白で、キラキラと輝く"天使コスプレ"は、確かに絶品。まさに天使のような可愛らしさである。この天使は風変わりで、好物はジンライム、言葉は一言もしゃべらない。妙に人懐っこい性格で、たとえば男の子の部屋に居候して、四六時中、彼の周りをふわふわと飛び回り、悩んでるときにはキスしてあげたりもする。かと思うと、突然いなくなってしまうという、じつに気まぐれな性質だ。でもベランダにジンライムを置いておくと、またやってきたりもする。まるで、人に慣れたスズメのような天使である。そんな彼女は、決して積極的に人間社会に介入しないが、いつもどこかでやさしく見守り、背中を押してくれる穏やかな存在だ。

30点
現代的なテーマを織り込んだらよかったのに

日本のアニメーション作品が海外でも高い評価を受け、注目されているのは周知の通り。もっと具体的にいえば、それはスタジオジブリの作品であり、プロダクションIGのそれでもあるわけだが、この『銀色の髪のアギト』を製作したGONZOも、とくにデジタル分野の技術において定評がある。

そんな、いま注目の製作集団であるGONZOは、一般には連続ドラマ版『電車男』のオープニングアニメーションを作ったといえば通りが良いだろう。ちなみに私の好きな『GANTZ』のアニメ版も手がけている。そんな彼らがはじめて作った劇場用オリジナル長編アニメがこの『銀色の髪のアギト』だ。

舞台となるのは300年後の地球。そこは、人類による環境破壊が原因で、森の木々が人間を襲うようになった恐るべき世界。主人公の少年アギト(声:勝地涼)は、そんな森の泉の中で、300年間眠りつづけていたという少女トゥーラ(声:宮崎あおい)を発見する。変わり果てた地球の姿に愕然としながらも、アギトらと交流を深めていくトゥーラの前に、やがて同じく過去から目覚めたという男が現れる。

30点
映像・演出はいいが、それだけでは

「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」といった作品で、カルト的人気を誇るテリー・ギリアム監督最新作。グリム童話の世界を、ギリアム監督らしい特徴的な美術で表現した映像美が見所。

舞台は19世紀のドイツ。ウィル(マット・デイモン)とジェイコブ(ヒース・レジャー)のグリム兄弟は、各地で魔物退治をして暮らしていたが、実は魔物は仲間が演じた八百長であった。やがてそれがバレ、将軍につかまってしまうが、意外にも将軍から、ある村での少女連続失踪事件の解明を命ぜられる。

難解というか奇妙というか、よくわからない作品が多いテリー・ギリアムは、その特異な才能に対する熱狂的なファンの多い個性派監督だ。そんな彼の数年振りの新作だから、本作は有名なグリム童話の世界を舞台にしたファンタジーとはいえ、「ハリーポッター」やら「チャーリーとチョコレート工場」なんかの健全なものとはまるで違う。『ブラザーズ・グリム』は、暗く、ドラマ性・娯楽性が薄く、万人向けでは決してない、特殊なダークファンタジーだ。

30点
監督が楽しんでいるのはわかるが

ベネチア映画祭で話題を集めた、北野武監督最新作。

大物タレントのたけし(ビートたけし)はある日、楽屋で北野(ビートたけし・二役)に出会う。やけに外見が似ている二人だったが、北野はコンビニのバイトで生計をたてる売れない3流役者。しかしこの出会いをきっかけに、北野とたけしは現実とも夢ともわからぬ世界で、互いの人生の中に入り込んでいく。

前作「座頭市」が、非常にわかりやすいエンタテイメントだったので、その反動というわけでもあるまいが、『TAKESHIS'』は摩訶不思議で解釈困難な実験的映画になっている。普段から、編集作業が一番好きと語る北野監督が、あらかじめ撮っておいた主人公二人の物語を一度バラバラに分解し、その後めちゃくちゃにつなぎ合わせたような、混沌とした作品になっている。

30点
いくらなんでもぶった切りすぎ

今年2005年の5月に公開され、予想以上のヒットを飛ばした『機動戦士Zガンダム −星を継ぐ者−』に続く第二弾。テレビシリーズを再編集した上にいくつかの新カットを加え、画面と音響には様々なデジタル処理を施し、現代の観客が極力違和感なく見られるようになっている。

反地球連邦組織エゥーゴと、連邦軍内のエリート組織ティターンズの戦いは激化していた。主人公の少年、エゥーゴの戦士カミーユ(声:飛田展男)は、地球で物憂げな少女フォウ・ムラサメ(声:ゆかな)と出会い、惹かれ合う。しかし彼女は敵対するティターンズの強化人間だった。悲しい別れを経験した後に戻った宇宙で、彼は新型モビルスーツ、Zガンダムのパイロットとなるのだった。

いやはや、このパート2には参った。いくらなんでもこの編集はカットしすぎだ。流れをぶった切りすぎて、話がまったくつながってない。前作はまだよかったが、今回はひどい。

30点
ヨン様以外に見るべき点なし

韓流キングことペ・ヨンジュン主演最新作。監督は『八月のクリスマス』で知られるホ・ジノ。

主人公の照明技師(ペ・ヨンジュン)は妻が交通事故にあったと聞き、急いで病院に向かう。ところが、そこで知った事実はあまりにも残酷なものだった。妻の車に同乗していたのは長年の浮気相手。つまり彼女は不倫ドライブ中に事故にあったのだった。傷心の彼は、妻も同乗者も昏睡状態にあるなか、妻の浮気相手の若妻(ソン・イェジン)にいつしか惹かれていく。

先日、自身の誕生日(8月29日)周辺に来日して大騒ぎを巻き起こしたヨン様の最新作である。ところで、映画とはまったく関係がないが、黒柳徹子と共演した某テレビの特別番組には笑った。ヨン様でずっぱりかと思いきや、最初の30分くらいはヨン様ゆかりの地などといって、大竹まことと黒柳氏のクソ面白くもない観光地めぐりの映像が続く始末。まるで、一昔前のボクシングタイトルマッチ並のあからさまな引っ張り方だ。この時代遅れぶりが、言ってみりゃ韓流騒ぎの味というやつかも知れないが。

30点
映像だけはまあまあ

韓国映画初の南極冒険を描いた大作ドラマ。

世界初の無補給横断を敢行中の大韓民国探検隊の目標は、南極到達不能点(南極大陸の全海岸線からもっとも遠い地点のこと)だ。過酷な行軍を続ける彼らはやがて、80年前の英国の探検隊の日誌を偶然発見する。隊員の一人(ユ・ジテ)が日誌の内容と自分たちの間にある共通点を見つけたころ、彼らに奇妙な出来事が起き始める。

南極では昼しかない夏が6ヶ月続き、あとは夜だけの冬が6ヶ月続く。こういう特殊な場所で、時期的にはもうすぐ冬が訪れるという緊迫感ある設定で物語ははじまる。タイムリミットをすぎたら永遠に闇の世界に飲み込まれてしまう、そんな恐怖が常に観客の身にも付きまとう。周りは一面白い世界。ウィルスすら存在できない極寒の地。とにかく息苦しいその舞台設定を、見事に表現した映像にまずは驚かされる。まさに、体験する映画、といったところだ。

30点
≪子供に見せたくなる要素があまりない

『シュレック2』『シャーク・テイル』とヒット作を続けるドリームワークス・アニメーションの最新作。米国では2005年公開のアニメ映画の興行収入一位を記録した。

ニューヨークの動物園のスター、ライオンのアレックスは、ひょんな事から仲間とともに動物園を脱走してしまう。ところがあえなくつかまって、しかも移送中の船の事故でアフリカのマダガスカル島へと漂着してしまう。

都会育ちで現代っ子の動物たち(ライオン、シマウマ、キリン、カバ)が、本物の自然の中で慌てふためくコメディだ。彼らはもともとアフリカの動物たちではあるが、何しろ文明が大好きで、生ぬるい都会暮らしに慣れきってしまっているので、野生に放り出されても何もできない。動物園の動物たちが野生に戻ってバン万歳、といかない設定が、ちょっとした笑いを生むわけだ

30点
架空の色町“忍山”の雰囲気が面白い

北村一輝、高岡早紀主演の官能ドラマ。架空の色町を舞台に、一人の男と二人の女の運命を描く。

主人公の男(北村)は、ある夜クラブで踊る不思議な女、一美(高岡)を見て、運命的な出会いを感じる。彼女は色町“忍山”で暮らす遊女で、やがて二人はひかれ合うが、いつしか彼女は出所したヤクザの夫の元へ帰ってしまう。

やがて主人公は別の女(吉井怜)と出会うがこいつがまさしくストーカー気質かつ気性の激しい女で、彼は生活をすべて壊され、のちの運命も狂わされていく。その後、結局忍山に舞い戻った主人公は、めでたく一美と再会するのだが……。

30点
藤本綾のファンにとっては100点以上の価値がある

アイドル藤本綾と国分佐智子がヌードになっている事でも話題の(というよりそれしか話題のない)サスペンスドラマ。

名家・西徳寺家の妹、香織(藤本綾)は、姉の久美(国分佐智子)が待つ別荘に向かっていた。ここで過ごすのが毎夏の恒例だったが、この年は屋敷の改修工事のため、怪しげな若い男二人が住み込みで居座っていた。やがて婚約者のある身でありながら、香織はその一人に興味を抱いてしまう。

藤本綾といえば、彼氏との仲良し写真が流出したため一部でフェラドルなどと呼ばれている気の毒なアイドル。そんな彼女がなにを思ったか、何もかも脱ぎ捨ててAV並の過激な濡れ場のある映画に出演した。

30点
原作ファン以外があえて見る必要は薄いか

ホラー小説の帝王スティーブン・キング(『スタンド・バイ・ミー』『シャイニング』など)が2000年に発表したインターネット小説の映画化。この原作はキングが実際に交通事故に遭い、そのときの体験が色濃く反映された短編といわれており、臨死体験や「生と死」に対する真摯な姿勢が特徴となっている。

1969年のハロウィンのころ、主人公の画学生(ジョナサン・ジャクソン)はマリファナやロック、女の子を楽しむ普通の学生生活を送っていた。しかし、6歳で父親をなくした体験と、あるトラウマが契機となって、常に自分を冷静に観察する別人格を自らの中に作り上げていた。そして誕生日、バスタブにつかっていると突然死神の幻覚が現れ、「手首を切って自殺しろ」とそそのかすのだった。

このあと展開されるストーリーだけをいうと、母親に会いに行こうとした男が体験するデタラメな旅、ということになるのだが、『ライディング・ザ・ブレット』は人間の内面の心の動きを重視した、キングの原作ものにしては異色の一本になっている。超常現象やら恐ろしい化け物といった、ホラー映画らしい要素はあまりない。

30点
デートの合間の暇つぶし

ウィル・スミス(「インディペンデンスデイ」のパイロット役など)と、エヴァ・メンデス(「ワイルド・スピードX2」など)という黒人スター二人が共演したロマンティックコメディ。

主人公(W・スミス)は、恋愛下手な男に女性の口説き方を教える“デート・コンサルタント”。今日もさえない会計士に、雇い主のセレブをデートに誘う恋愛テクを伝授したばかり。そんな彼だが、偶然知り合った新聞記者の女性(E・メンデス)とデートを重ねるうち、どうやら本気で彼女が気になってくる。

映画はウィル・スミスの恋愛指南トークからはじまり、やがて「セレブ女性と会計士」「主人公と新聞記者」の二つの恋の行方を追っていく。結論から言えば『最後の恋のはじめ方』は、じつに軽い。ロマコメというジャンルはおしなべて軽っちいものであるが、それにしても軽すぎる。上記のストーリー紹介を読んだ人が想像するとおりのお気楽アメリカ映画だ。

30点
裸はもう、前半だけでお腹いっぱい

SM界のカリスマ団鬼六による、同名原作の映画化第二弾。主演は前作同様杉本彩。

年老いた美術評論家は、若く貞淑な妻(杉本彩)を愛していたが、肉体の衰えのため毎夜彼女を満足させることができずにいた。悶々とした日々を過ごしていた彼は、ある日、旧知の画家が遺した春画CGを見て愕然とする。数々のSM緊縛プレイを描いたその絵のモデルは、なんと自分の妻だったのだ。画家の妄想上の作品とはいえ、そのあまりにリアルな出来映えに、彼は妻が内面に隠し持つはずの、みだらな一面を引き出したい衝動にかられる。

さて、そこで男がどうしたかというと、若く才気にあふれた別の画家の男に、自らの若妻をそれとなくあてがうように仕向けるのである。これは、前作に比べるとちょいとリアルなエロさを感じさせる展開で、専門用語(?)でいう寝取られ好きの皆様にはなかなか嬉しい内容となっている。(いや、正確には寝取らせ、か)

30点
よほどマニアックなファン以外にはすすめられない

アメリカ新世代監督のホープといわれるウェス・アンダーソン監督(「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」ほか)最新作。

主人公はやや落ち目の映画監督(ビル・マーレイ)で、海洋ドキュメンタリーを専門としている。ところが今回の撮影中、相棒が“ジャガーザメ”なる謎のサメに食われてしまった。彼は敵討ちのため、新作ドキュメンタリーの製作も兼ねてジャガーザメを探そうと決意、いつものメンバーを召集し、海へ出た。

大海原を舞台に、クルーたちと主人公の交流を描いたコメディだ。主人公は家族を省みず趣味ばかりやっているダメ男(別のいい方をすれば少年の心を持ったオヤジ)で、仕事仲間である妻にも見放されている。しかし、そんな彼の周りにはさまざまな人間が集まってくる。かつての恋人が生んだ息子となのる若者、昔から主人公に心酔している部下(ウィレム・デフォー)、妊娠中の女ジャーナリスト(ケイト・ブランシェット)など、一癖もふた癖もある連中ばかりだ。

30点
「マスク」にここまでのVFXはいらないか

1994年の大ヒットコメディにして、俳優ジム・キャリーの出世作『マスク』の続編。しかし前作の主人公ジム・キャリーやキャメロン・ディアスは出演せず、変わりにジェイミー・ケネディが新しい主人公ティムを演じる。

漫画家志望の主人公(J・ケネディ)は、愛犬が拾ってきた奇妙なマスクをつけたとたん、内気な性格から180度変身、歌って踊れるスーパーヒーローに生まれ変わる。会社主催の仮装パーティーでは人間離れしたパフォーマンスで社長に一目置かれ、帰ってからは妻とスゴイ一夜を過ごす。そして、その夜が原因で妻はついに妊娠、出産。おまけに生まれたベイビーは最初からスーパーパワーを備えていた。

やがて愛犬までもがマスクをかぶり、飼い主の愛情を独り占めすべく、ナチュラルパワーの赤ちゃんとド派手な戦いを繰り広げるという、遊び心いっぱいの第二弾だ。パート2とはいっても前作との筋書き上のつながりはない。かぶったものに力を与える例のマスクが、今度は別のオジサンのトコにいって騒動を巻き起こすというお話だ。よって、楽しむために前作を見ておく必要はまったくない。

30点
舞台演劇なら許せても……

松竹と劇団☆新感線が共同で作り、チケットがあっという間に完売するほどの人気を博した舞台劇の映画化。主演は歌舞伎役者の市川染五郎、相手役は宮沢りえ。

江戸の町には人の姿をした鬼がはびこっていた。幕府側は鬼を見分けられる能力をもった精鋭軍団「鬼御門(おにみかど)」を組織し、鬼を見つけ次第成敗していた。主人公はかつてそこで最高の腕を持っていた剣士で、今はしがない舞台役者をしている男(市川)。ある日彼は、つばき(宮沢)という女と出会い、恋に落ちるが……。

宮沢りえ演じるつばきという女にはある秘密がある。実は彼女は最強最悪の鬼の王“阿修羅”なのだが、自分自身もそれに気づいていない。阿修羅が目覚めるには彼女が恋をする必要があり、しかも恋をした相手が強い男であればあるほど、阿修羅のパワーも強大になるのだ。

30点
見事、こども向けへっぽこドラマに生まれ変わった

1956年に月刊少年誌『少年』に連載され、テレビアニメも人気を博した横山光輝原作のロボットマンガの実写映画化。予告編を公開したとたん、「「デビルマン」の再来」などというトンデモない憶測を呼び、一部の人々(ダメ映画好き)の間では大変な期待をされている一本である。

舞台は現代の東京。突如悪の巨大ロボット「ブラックオックス」が現れ、東京タワーをはじめとした建物を破壊しまくる。みかねた小学生の金田正太郎は、父が開発した正義の巨大ロボ「鉄人28号」をリモコンで操作し、ブラックオックスに挑むのだが……。

さて、「鉄人28号」といえば、往年のテレビアニメファンにとっては特別な郷愁を感じる傑作漫画である。テレビアニメや実写化も何度か行われており、様々なバージョンが存在する。なかでも原作主人公の金田正太郎は、小学生ながら大人顔負けの活躍で、鉄人28号とともに少年たちの憧れ、ヒーローであった。

30点
原作小説の方を先に読むほうがいい

殊能将之の傑作デビュー小説を豊川悦司主演で映画化した作品。

知的な女子高生ばかりを狙う連続殺人犯ハサミ男。その犯行の手口は、鋭利に研がれたハサミを、被害者ののど元に突き立てるというものであった。ハサミ男は次なるターゲットに目をつけていたが、驚くべきことにそのターゲットは別の人間により、殺されてしまう。しかものど元にはハサミ男の手口を真似た、粗悪なハサミが突きつけられていたのだった。プライドをひどく傷つけられたハサミ男は、独自の調査で真犯人に迫るのだが……。

殊能将之の同名小説は、私もずいぶん昔に読んでいる。抜群に面白い小説で、すばらしいトリックとどんでん返しをもち、何より舞台が以前すんでいた東京の目黒区周辺ということで、ずいぶんと楽しませてもらった覚えがある。

30点
穴にこだわって作られた現代人の生きる姿

広告業界や短編作品で知られる合田健二監督初の長編映画。低予算ながら、デジタルエフェクトを駆使した映像でみせる異色のファンタジードラマ。構成は、男二人女一人、それぞれを主人公とした短編が3つ続き、最後に彼らが一堂に集うまとめ的なエピローグで締めるというもの。

3人はそれぞれ自分自身の現状を「無感覚」と表現する。つまり、アイデンティティーを見失った宙ぶらりんの状態にある若者たちだ。

まず一人目の男、彼はその空白感を埋めるためにアナルレイプを行う。女性たちの部屋に忍び込み、犯すことで自らの存在感を再認識する。その充実感を頼りに何とか生きている。自分の手口を詳細に語る淡々とした語り口に、観客も思わず引き込まれる。挑発的な映像がついているわけではないのに、強烈にエロティックでもある。

30点
どこまで信用できるかは???

ジャッキー・チェン一家の秘密を赤裸々に描いたドキュメンタリー。

香港の大スター、ジャッキー・チェンは、家族想いの男で知られるが、今まで一人っ子だとされてきた。ところが母の病気をきっかけに、父が突然衝撃の告白をする。「おまえには4人の異母兄弟がいる」

この告白を、ジャッキーが自分の家族の記録ビデオにするつもりで、知り合いの監督に撮ってもらったものを膨らませて、公開にこぎつけたのがこの『失われた龍の系譜 トレース・オブ・ア・ドラゴン』だ。一家のプライバシーに突っ込んでいるためか、香港や中国本土では上映されず、アジアでは日本がはじめての公開となる。

30点
ほめることもけなすこともできない一本

アクション俳優ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演のバイオレンス&サスペンスドラマ。

裏社会から足を洗い、愛する妻子と幸せに暮らしている主人公(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)。ある日、ソーシャルワーカーの妻が中国からの密入国者の少女を預かってきたが、その子は実は中国マフィアと関わりがあり、追手によって拉致、妻は惨殺されてしまう。

さて、それを見つけたヴァン・ダム氏、怒り心頭、復讐の鬼と化して中国マフィアに制裁を加えていく、というのがあらすじである。

30点
安直続編に見るべき点なし

柴咲コウが主演して興行収入15億円のヒットを記録した現代ホラーの続編。一応話は続いているが、キャスト・スタッフを一新し、このPART2から見ても、そこそこ楽しめるように完結させたつくりになっている。

ヒロイン(ミムラ)は彼氏(吉沢悠)のバイト先の中華料理店で、薄気味悪い着メロを耳にする。やがてその携帯の持ち主が変死をとげ、彼らは1年前に世間を騒がせた「死の予告電話」事件が再び始まったことを知る。やがてヒロインの携帯にもそのメロディが流れ、二人は事件を追うルポライター(瀬戸朝香)と協力し、なんとか彼女の命を救おうと試みるが……。

前作は、携帯電話やテレビ番組、踏み切りといった身近なアイテムや舞台を最大限に利用し、徹底的に「いまどきの若者」を怖がらせる演出が受け、大ヒットした。ある程度の商売が計算できるこの続編は製作費も増えたのだろう、台湾ロケまで敢行して話を海外にまで広げている(前作がアジア各国で売れたから、という意味もあるのだろうが)。

30点
出演者を見たい人はどうぞ

ハリウッドのトップスターを集めて作られた犯罪ドラマ『オーシャンズ11』の続編。監督は引き続きスティーヴン・ソダーバーグ。

前作から3年、主人公のオーシャン(ジョージ・クルーニー)にまんまと大金を盗まれたカジノオーナーは、彼と仲間たちの居所をつきとめ、盗んだ金と多額の利子を2週間以内に返還するよう脅しをかける。かくしてオーシャンと仲間たちは、再び大きなヤマに挑戦する羽目に陥った。

『オーシャンズ12』は、ハリウッドでときたま作られるオールスター作品で、要するに時の大スターを何人も集めてゴージャスなドラマを作る、という企画だ。前作がそこそこ当たったので、同じ監督とキャストを中心に、さらに何名か別のスター俳優を加えて作られた。

30点
シルヴィアの内面を描ききれていないか

30歳の若さで死んだ後、ピュリッツァー賞を受賞した詩人シルヴィア・プラスの一生を描いたドラマ。

イギリスのケンブリッジ大学に留学したシルヴィア・プラス(グウィネス・パルトロウ)は、大学院生テッド・ヒューズと、彼の詩に感動したことをきっかけに出会う。やがて、ボストンでの幸せな結婚生活が始まるのだが……。

悲劇の作家として知られるシルヴィア・プラスは、その繊細な詩と若くしてガスオーブンに頭を突っ込んで自殺したことで、伝説の詩人となった。ただ本作では、グウィネス・パルトロウの演技も人物描写も平凡で、映画として突出した何かが感じられなかった。

30点
映画ではなくオペレッタを見にいく感覚で

黄金期の1925年にパリでヒットしたオペレッタ「Pas sur la bouche!」を映画化した作品。出演は『アメリ』のオドレイ・トトゥほか。本国フランスを代表する演技派キャストも見所。

舞台は1925年の巴里。妻は処女だったと信じきっている夫をもつジルベルト(サビーヌ・アゼマ)は、実はバツイチだった。そんなある日、夫が友人としてつれてきたのはなんと前夫だった。

オペラとオペレッタの違いはいくつかあるが、そのひとつに悲劇か喜劇かという点がある。本作はオペレッタの映画化なので台詞も多いし、ユーモアたっぷりのストーリーとハッピーなエンディングを持っている。ゴージャスなセットと衣装は映画といいうより、まさにオペレッタを見ているようで、ファンには嬉しいところ。歌も俳優が自ら吹き替えなしで歌っている。

30点
見る前に『サイン』と『ザ・リング』は見ておこう

ヒットした映画のパロディで作られたコメディシリーズの第3弾。本作から、おバカ映画を得意とする『裸の銃(ガン)を持つ男』シリーズのデヴィッド・ザッカーに監督が変更された。

主人公(チャーリー・シーン)と弟(サイモン・レックス)が暮らす農場にミステリーサークルが出現した。やってきた美人TVレポーターは弟に一目ぼれ、彼の出場するラップバトルを見に行くことに。そしてその晩、ある教師が謎の死をとげる。彼女は一週間前に奇妙なビデオを見てしまっていたのだ。

最近のヒット作のパロディを集めて笑わせる作品。ストーリーは『サイン』『ザ・リング』を適当に混ぜ合わせて作り、そこに『8Mile』や『マトリックス』『ロード・オブ・ザ・リング』などのネタを織り交ぜてノンストップの笑いが炸裂する。

30点
日本語版はおすすめできない

1972年から新聞の連載漫画として世界中で愛されている猫“ガーフィールド”を、実写と3Dアニメの合成で映画化した作品。

怠け者で皮肉屋のデブ猫ガーフィールドは、今日も朝から食欲旺盛。隣の猛犬をテキトーにあしらい、配達された牛乳は盗み食いと、悠々自適の暮らし振りだ。そんなある日、飼い主のジョンが、ひそかに心を寄せる獣医リズ(ジェニファー・ラブ・ヒューイット)から天敵の“犬”を預かってきたからさあ大変。ジョンのやつは内気だから、リズに告白しにいったくせに結局できなかったんだ。おかげでガーフィールドののんきな暮らしは一変、なんとかこのうるさい“犬”を追い出さなくては……!

不適な表情に太りきった体、悪態ばかりついている皮肉屋の性格が愛らしい。ガーフィールドは誰が見ても思わずその行動にくすっと笑ってしまう、世界中で愛されるキャラクターだ。犬や猫を飼った経験がある人ならば、何度も頷いてしまうシーンも満載、動物好きが楽しめる映画になっている。

30点
テレビドラマの縮小再生産にすぎない

荒廃した高校で不良たちを更正させ、のちに全国優勝まで成し遂げた山口良治監督と京都市立伏見工業高校ラグビー部の実話を映画化。この物語の映像化としては、一斉を風靡した往年の傑作ドラマ『スクール★ウォーズ 泣き虫先生の7年戦争』や、TV番組の「プロジェクトX」でのドキュメントあたりが有名だが、『スクール・ウォーズ HERO』も大映ドラマ版を多分に意識したつくりになっている。ドラマ版は今でもDVDが好評ということで、根強い人気がある。

元ラグビー日本代表選手の山下(照英)は、校長に熱心に頼まれたことで、厚遇の実業団監督を蹴って荒廃しきった伏見第一工業高校に就任する。が、現実はあまりにもひどく、生徒による暴力も横行していた。真正面から生徒たちとぶつかる山下のやり方は、事なかれ主義の同僚の教師たちにも反発され、彼は孤立してしまうのだが……。

『スクール・ウォーズ HERO』は、TVドラマ版と現実の話の両要素を、中途半端にもりこんで失敗した。現実をドラマチックに脚色した大映ドラマ版の面白さと感動には到底及ばず、現実を忠実に映画化した真面目な作品とも言いがたい。

30点
最後のオチの驚きも、盗作騒動で興ざめ?

『シックス・センス』の映画的叙述トリックで世界を驚かせた、M・ナイト・シャマラン監督の最新作。人里はなれた小さな村を舞台にしたサスペンス劇。

深い森の中、外界から孤立して数十人が自給自足で暮らす素朴な村【ヴィレッジ】には、決して森に入ってはならないという掟があった。そこには恐ろしい何かが住むと伝えられており、“彼ら”のテリトリーに村人が立ち入らないことで、平和が保証されているというのだ。ところが、町に薬を買いに行きたいと願う主人公が森に踏み込んでしまったことで、村の運命が大きく動き始める。

テレビCMや予告編、そして発表されている上記のようなストーリー紹介をみれば、オカルト風味の恐怖映画なのかという印象を受ける方が多いだろう。しかし実際はそうではなく、男女の愛をテーマにした地味目のドラマである。少なくとも、恐怖を売り物にしたホラー系列の作品ではない。

30点
ストーリーが薄っぺらい上、主人公が迫力不足

スキンヘッドにマッチョな肉体という、ハリウッド一わかりやすいアクションスター、ヴィン・ディーゼル主演のSF超大作。『ピッチ・ブラック』の続編ということだが、あまりおおっぴらには喧伝していない。

前作から5年後、多額の懸賞金をかけられている主人公のリディック(V・ディーゼル)は、やがて旧知の友がいるヘリオン第一惑星へやってきた。ところがいまやこの惑星は、悪の種族ネクロモンガーにより、攻め滅ぼされようとしていた。そこへ現れたエレメンタル族の使者は、リディックこそ、われらの救世主だという予言を告げる。

ストーリーをみるとわかるとおり、前作とはややジャンルの異なった作品になっている。『リディック』は、前作に出演したヴィン・ディーゼルがその後別作品で予想外に大ブレイクしたのをいいことに、彼をさらなるスーパーヒーローに仕立てて作りあげた、壮大なSFアクション超大作だ。

30点
怨霊ホラー初級者向き?

世界中でそこそこヒットしたホラー映画『ボイス』の監督による劇場デビュー作。この映画のヒットがきっかけで出資者がつき、彼は『ボイス』の製作を実現させた。

主人公の女子大生は、2年ぶりに再会した女友達からギョンアの霊に追いかけられていると告白される。ギョンアは二人の共通のサークル仲間だったが在学中に自殺している。やがて、かつての仲間たちが、一人一人謎の死を遂げて行くのだが……。

自殺して成仏したはずの友人が、かつてのサークル仲間たちをあの世に引きずり込むというストーリーから、邦題は『友引忌』(ともびき)である(英語版のタイトルは『NIGHTMARE』)。はた迷惑なバカ友の怨霊物語にはぴったりなタイトルだ。最後に「忌」をつけるあたり、なかなかセンスが良い。これは目を引く。

30点
セリフの言い間違いばかりのNG集が象徴する地味なアクションシーン

人気アクションスター、ジャッキー・チェンの生誕50周年記念作であると同時に、初主演作からも30年という節目の作品。香港=アメリカ合作の、いつもながらのアクション映画だ。手に入れると無敵パワーを得られる神秘のメダルを狙う悪者と、それを阻止する香港警察のジャッキーとの戦いを描く。

アホ系のストーリーには突込みどころ満載。まあ、それは一種の“味”と見ることもできるので問題はない。だが、不満なのは相手役の女性や敵役に個性が少ないという点。いくらジャッキーを見る映画とはいっても、彼を引き立てるべき周りのキャラクターに力が無いと盛り上がらない。

そして、それ以上に問題なのが、ジャッキー・チェン映画最大の魅力であり観客の期待でもあるアクションがあまりに地味という点だ。本物と思われるアクションで印象に残るのはせいぜい2,3箇所。壁を駆け上ったり梯子を一気降りしたりなど、これまでの作品でさんざ見てきたもので平凡だ。あとはVFXやワイヤーワークを使って底上げしたもので、これははなからジャッキーのファンが望むものではないだろう。

30点
主演女優の演技はいいが

倦怠期の人妻を主人公にした韓国製ドラマ。このページで絶賛した『オアシス』で、脳性麻痺のヒロインを壮絶な役作りで演じた女優ムン・ソリが、隣家の高校生を誘惑するヒロインをセクシーに演じる。

この監督は、韓国社会の一面をリアルに切り取る事で知られる人で、今回はみんなそれぞれ浮気している奇妙な弁護士一家の姿をシリアスに描く。手持ちカメラやフィルターを使用して、日常の生活感といったものを表現している。

ヒロインのムン・ソリのヌードがやたらと多い映画で、裸のまま逆立ちしたり、夫とした直後にその横で一人Hを始めたりなど、相変わらず体を張った演技で驚かせる。

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