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35点
紹介する相手はもっと選べ

2004年の最後を飾る韓国映画の話題作。大ヒットラブコメ『猟奇的な彼女』の監督&主演女優のコンビによるラブストーリー。

街で偶然、逃亡中のひったくり犯を目撃した若き婦警(チョン・ジヒョン)は、追跡の末、見事に逮捕する。……が、よくよく話を聞くとその気弱な男(チャン・ヒョク)はどうやら真犯人を追っていた善意の市民だと判明する。一向に謝ろうともしない頑固な婦警と彼は、それでも奇妙な縁で引かれあっていく。

今年は韓流ブームということもありたくさんの韓国映画が公開されたが、最後の最後にまたトンデモな映画がやってきた。何しろこの映画、最初はシリアスに始まったかと思うと突然お気楽ラブコメに変貌、やがて冬ソナ風メロドラマ路線に変更したと思いきや今度はハリウッド風アクションになり、あげくの果てにはデミ・ムーアの『ゴースト』になってしまうのだ。面白いものは何でもぶち込めばいいと思っているのだから恐ろしい。

35点
サスペンスなのに予測をはずれない平凡さは問題

ヴァル・キルマー主演(『トップガン』親友パイロットのアイスマン役など)、ネーブ・キャンベル共演(『スクリーム』シリーズのヒロイン)のサスペンスドラマ。

主人公はニューメキシコの砂漠で、頭部を撃たれて倒れていた記憶喪失の男(V・キルマー)。やがて彼は、自分が大統領暗殺計画について知っていることを思い出すが、断片的な情報ばかりで周りには信じてもらえない。そこへ彼の婚約者と名乗る謎の女(N・キャンベル)が現れ、彼を引き取るというのだが……。

観客の視点である主人公が徐々に記憶を取り戻すというストーリーなので、ちょくちょく意味不明な映像(彼の記憶の断片を表している)が挿入される。この手の記憶喪失ものにありがちなわかりやすい演出ではあるが、少々ウザったい。

35点
アイデアはいいが、ジジ臭いセンスがよくない

今週は日本映画の公開が多い。この『死に花』は、老人施設で暮らす老人たちが、ある銀行の地下金庫を盗み出す計画を実行するまでを、コミカルに描いた娯楽作だ。ジジイたちが、若者も真っ青な行動力と長年の経験で、トンデモな計画を着々と成功させていくあたりが痛快で、老人エンタテイメントとでもいうべき面白いジャンルの作品となっている。

ただ、老人賛歌のテーマやストーリー、こうしたアイデアは実に良いと思うのだが、問題は映画作りのセンスだ。『死に花』の音楽やセリフのセンスは、少々ジジくさい。若い人がみると、その辺が鼻につく可能性があるだろう。

かといって、年齢層高めの人々になら薦められるかというと、それもどうだろう。この映画は、まるで老人ホーム側が企画したお楽しみ会的なムードで、あまりに毒がない。なんだか、年寄りの気持ちも考えずに「おじいちゃん、いけませんよー」と子供言葉で話し掛ける看護婦をみているような、寒々しい気持ちになってしまう。当の老人たちがみたら、劇中の老人たちのあまりの子供っぽさに、なおさら白けてしまうのではないか。私としては、もっと渋く、カッコいいジジイたちの活劇を見てみたかったが。

35点
立体映像だけがとりえだ

人気アクションシリーズの完結編で、3D立体映画という趣向を凝らしている。

まず、普通に映画が始まる。やがて登場人物たちが、お客さんと同じデザインのメガネをかける場面が出てくる。そこで我々も、事前に用意された3Dメガネを一緒にかけると、そこから映画は立体映像となって見えるというわけである。

登場人物にあわせて、めがねをかけたり外したりと言う趣向が、恐らくメインターゲットの小さい子供たちには大好評となるだろう。画面から伸びる手を避けようと、身体をよじる小さい観客の姿は、スクリーンを見ているより、ある意味面白いかもしれない。

35点
アクションのための3流ストーリー

アントニオ・バンデラスとルーシー・リューが競演する、派手なガンアクション映画。この二人の競演が、最大の売り所という映画である。

しかしこれ、ストーリーに穴がありすぎる。所詮「アクションを見せるためのお定まりストーリー」とはいえ、あまりに理不尽で納得のいかない設定が多すぎる。

いっそこの映画を観るときは、「なんだよあのバカな設定!」などと、友人同士で突っ込んで楽しんで見るとよい。『バリスティック』は、そういう楽しみ方もできる映画である。こういう事を言うと「映画ファン」の方に怒られそうだが、娯楽のひとつに過ぎない映画をどう楽しもうと、それは料金を払ったお客さんの自由である。また、アメリカではこうした娯楽アクション映画(やホラー映画)を、そのように楽しむのは一般的である。

35点
バカらしさと胡散臭さが魅力的

マトリックスのアクションを作ったユアン・ウーピンがアクション監督を担当した、香港アクション映画。前作のリー・リンチェイ(=ジェット・リー)に代わり、主演は『ジェット・リーを超えた後継者』ことアンディ・オン……だそうである。宣伝文句の先走りようが実に素晴らしいではないか。

CGやワイヤーワーク、そして着ぐるみ怪獣まで出るという、実に香港映画らしい(?)怪しげなB級テイスト溢れる、ゆるいアクション映画である。

だいたい、『ジェット・リーを超えたアクション』といったって、あんなにワイヤーで吊りまくってるんじゃ、主役のアンディ・オン氏本人が凄いのかどうか、さっぱりわからないではないか。あれだけ吊ってりゃ、伊集院光がやったって同じだと思うのだが。

35点
サーフィンの楽しさだけはわかる映画

「サーフィンてこんなに楽しいんだよ! みんなもやりたくなったでしょう?」 と主張しつづける映画である。まるで、サーフィンプロモーションビデオのようだと思えばよろしい。

そんなわけで美しい青い海でのサーフシーンは、撮影が素晴らしいの一語に尽きる。エンドロールでは、ちょっとしたメイキングが見れるので、そこでまた感心である。このカメラマンは、サーフィンを撮らせたら世界一という人で、まったく文句のつけようがない。

ただ、被写体が彼のレベルに追い付いていないと感じる。特に主演の女の子は、サーフィンの天才という設定だが、いかんせんへっぴり腰が目に付き、素人目で見ても危なっかしい。

35点
あなたが映画業界関係者なら楽しめる

『ドン・キホーテ』というジョニー・デップ主演の幻の大作映画が、お蔵入りになるまでを描いたドキュメンタリー。

監督さんが、並々ならぬ熱意を持って製作を開始した大作が、天候や資金繰り、さまざまなアクシデントにみまわれ、あわれにもボツになってしまう様子が、非常によくわかる。

いろんなアクシデントが起こるが、結局は主役の役者の病気が問題だったようである。映画というものが、ほんのちょっとした事でコケてしまうという事がわかって興味深い。

30点
ファンをないがしろにした報い

諫山創の人気漫画の実写映画版として期待されていた前編「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」は、当サイトの批評文に樋口真嗣監督が激しく反応したことで炎上騒動を巻き起こした。関係者やスタッフの度重なる燃料投下でそれは大火となり、結果として初動50億の興収を期待されながらいまだ30億程度と、ファンにそっぽを向かれる結果を招いた。今頃映画会社の偉い人たちは、頭を抱えていることだろう。

100年以上ぶりに現れた人食い巨人たち。崩壊した壁を修復すべく調査兵団が奮闘する中、アルミン(本郷奏多)をかばったエレン(三浦春馬)はなぜか巨人化し、他の巨人を攻撃し始めた。それを見た人類側の生き残りは、敵か味方かわからぬエレンをどう取り扱うかに頭を悩ませることになる。

さて、伝えられるところによると樋口真嗣監督は、前田有一は試写室に出入り禁止のはずで、試写状も送っていないはずとの「宣伝部」からの伝聞をインターネット上で公開したという。これはマスコミでも報じられたから、当サイト読者や私に仕事を依頼している媒体の方々など、大勢を困惑させたことだろう。前田という男は呼ばれてもいない試写会に押しかけたのか、あるいは中国の違法サイトの海賊版でも見たのか、もしくは見てもいないのに批評を書いたのではないか、と。

30点
相当なファン意外にはきつい

テレビドラマ版を挟んでの映画版2作目となる本作だが、早くも一見さんお断りの、こぢんまりとしたファン専用作品となっている。

多田啓介(瑛太)行天春彦(松田龍平)がまほろ駅前で便利屋を始めてから3年。彼らは行天と浅からぬ因縁がある凪子(本上まなみ)から、娘はる(岩崎未来)を一時的に預かるよう依頼される。はるだけは知らないことだが、行天は彼女の実の父親ということであり、だから彼は彼女を預かることを激しく拒否するのだった。

映画版1作目から3年、実質3作目というのにのんびり登場人物描きをやるスローモーな展開につきあう覚悟がまずは必要になる。この最新作は行天の過去探りのような趣向なので、そこに興味がないとどうにもならない。

30点
村人を打ち倒すにはまだまだ足りぬ

日本の映画が面白くないのは、出資者間の調整ばかり優先して企画のコンセプトに力がないからである。だから、強烈なコンセプトがあれば、それだけで優位に立てる。

2011年、東日本大震災の直前。愛子(夏樹陽子)は若いころ恋人だった奥村(勝野洋)とSNSを通じて再会する。彼は、長年原発労働者として働いていたが、息子をがんで失ったばかりだという。愛子の人生、そして系譜は、原子力と切り離せぬ因縁があるのだった。

終戦直前の福島でウラン採掘をする愛子の若き父親、そして66年の、原発建設を巡って住民が割れていた双葉町。そして震災前、震災後の2011年。これらの時代を、愛子を中心とした人間模様として描く。

30点
男に見せたくない女の内面

多くの女たちから愛されては捨てられる男の女性遍歴を描いた「ニシノユキヒコの恋と冒険」は、そのタイトルとは裏腹に「女の子の、女の子のための、女の子が主役の映画」である。

誰が見てもモテモテなニシノ(竹野内豊)には、これまで多くの恋人、あるいは女友達がいた。美しい人妻(麻生久美子)や、別れてからも色目を使ってくる元カノ(本田翼)。職場でお気に入りの寂しそうな上司(尾野真千子)……。ほかにも出会う女性をことごとく魅了するが、そうした恋の数々は、なぜかつねに女性たちが離れていくことで終わるのだった。

主人公ニシノユキヒコの人物造形にリアリティがないことについては問題ではない。最初に幽霊としてでてくることで暗示する通り、このキャラクターは現実の男と言うよりある種のファンタジーであると宣言しているからである。

30点
格好つけることはない

「ラブクラフト・ガール」は、女性用バイブを作っている会社が舞台という、なかなかユニークな映画で期待していたが、そのたった一つの武器を生かし切れておらず残念であった。

デザイナー志望の茜(安藤聖)は、就職情報誌の「デザイン・企画開発」の文字にひかれラブクラフト社の面接を受ける。無事採用され喜んだのもつかの間、そこはアダルトグッズを取り扱う会社であった。デザイナーはデザイナーでもいきなり女性用バイブのデザインを依頼され、茜は思考停止に陥ってしまう。

予想外に入社してしまった会社でエログッズのデザインをする羽目になる──。じつに魅力的な走り出しである。ならば最初から全力疾走、矢継ぎ早にアダルト業界と一般社会のギャップを観客に提示し、驚きと笑いの渦に巻き込むのが王道であろう。

30点
単発見せ場を断続的に見せるサーカス映画

日本でG.I.ジョーといえば、オジサン世代にはなじみ深い多関節人形のおもちゃだが、アメリカでは特大ヒットとなった実写映画版前作のこと。その世界観を引き継いだこのパート2は、だから日米の観客が受ける温度差がさらに広がった。

国際テロ組織の一員が米大統領になりすます奇手により、機密部隊G.I.ジョーは壊滅的被害を受けた。ロードブロック(ドウェイン・ジョンソン)ら数名の生存者は、G.I.ジョー初代長官のジョー(ブルース・ウィリス)らの支援を受けなんとか態勢を立て直そうとするが……。

トランスフォーマーやらアイアンマンやら、世界を守る存在が多すぎてG.I.ジョーなんてとっくに記憶の彼方に飛んでいるのが、平均的日本人観客の姿であろう。前作と同じ世界観といっても、4年も前に見たっきりの続編ともなれば、それを思い出すのだけで無駄な時間を取られるというもの。

30点
意欲的な映像的挑戦だが、その他の要素が荒っぽい

映画『ロード・オブ・ザ・リング』3部作は、アカデミー賞11部門受賞の驚異的な記録で人々に記憶されている。イケメン界11部門受賞の私としても親近感を持つシリーズだが、「ホビット 思いがけない冒険」はその前日譚というべきもの。前作の舞台から60年をさかのぼり、かつての主人公フロドのおじさん=ビルボの冒険を描いている。

ホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)は、あるとき灰色の魔法使いガンダルフ(イアン・マッケラン)から突然冒険に駆り出される。その目的は、13人のドワーフたちの故郷を奪ったドラゴンを退治し、すべてを取り戻すこと。平和主義のホビットであるビルボはなぜ自分がそんなものについていかねばならぬのかさっぱりわからなかったが、ガンダルフにはある予感があるのだった。

反原発運動の雄・山本太郎が衆議員選挙に立候補し、確か「永遠にひとり」とかいう立派な政党まで作り上げたが、主人公のビルボさんは幸いひとりではなく仲間がいた。この物語は、小柄だが頑強な肉体を持つドワーフと、機転が利いて素早いホビット、そして皆を束ねるリーダーの魔法使いというなかなかバランスのとれたパーティーの冒険物語である。

30点
テーマがぼけている

かつて「美しい国」をスローガンに掲げた政治家がいたが、彼の選挙区支部では「美しい姉ちゃんの国」を目指していたようだ。デフレ克服のため金融緩和して金を回すとの政策には多くの国民が目を引かれたが、キャバクラに金を回して地元の景気を潤すとは、まさに有言実行。頼れる保守政治家といえるだろう。

一方、園子温監督は最新作に「希望の国」と名付けた。テーマは原発事故と放射能。「美しい国」に勝るとも劣らないシニカルなタイトルである。

東日本大震災の記憶も薄れぬ頃、長島県で酪農業を営む小野泰彦(夏八木勲)一家は再び大地震の悪夢に遭遇する。近くの長島第一原発もどうやら事故を起こしたらしく、警戒区域が指定されるが、小野家の庭にちょうど20kmの境界線が引かれてしまう。すんでのところで圏外になった母屋の中で、今後どうするか、妻(神楽坂恵)が妊娠したばかりの息子夫婦と泰彦はともに苦悩することになる。

30点
ピクサー初の女性ヒロインというが

先日ヤンキースへとトレードされたイチローだが、あのマシーンのような彼でさえ三振をする。10割打者の異名をとるピクサー社製作のアニメーション映画がダメ映画を作ったとしても、考えてみれば不思議ではない。

おてんばな王女メリダ(声:ケリー・マクドナルド)は、早くも結婚を決めようとする保守的な母親エレノア(声:エマ・トンプソン)と口論ばかりしている。自分をわかってくれないいらだちから、メリダは森の中の魔女へ軽率な願いをしてしまう。その結果、なんと母親は熊の姿に。魔法をキャンセルできる期限が刻一刻と迫る中、メリダは再び母親を取り戻すことができるのか。

ピクサー社は一つのアニメーション作品に3年から5年の月日をかけて制作する。つまり、複数の製作チームに分かれているわけで、チームによって作品にムラがあるのは当然。「Mr.インクレディブル」や「レミーのおいしいレストラン」といった、比較的評価の低い作品にもかかわってきたマーク・アンドリュースの長編初監督作品である本作も、そのムラの側に入ってしまった。

30点
企画をもっと煮詰めないと

小惑星イトカワまで、長距離なお使いをしてきた探査機はやぶさ。その偉業についてはや3作目の劇映画の登場である。だがこの一連の映画企画を見ると、日本の映画業界がいかに貧困なアイデアしか持ち合わせておらず、同時に冒険できない体質であるかがよくわかる。

JAXAのエンジニア助手、大橋(藤原竜也)は、あたかも父親(三浦友和)との確執をバネにするかのごとく、探査機はやぶさプロジェクトに打ち込んでいた。彼の父親は火星探査機のぞみのプロジェクトリーダーだったが、その夢が破れて以来、すっかり老け込んでしまったのだった。

半年後ぐらいに、出揃ったこれらはやぶさ映画のタイトルを並べ、その違いを詳しく説明できる人がいるのだろうか。いったいなぜそれぞれの映画会社は、こんなにも似たコンセプトの企画を大慌てで進めてしまったのか。業界ダントツトップの東宝は「はやぶさ」映画に手を出さなかったが、そこに答えがあるように思えてならない。はやぶさ美談ならタイムリーだ、いまなら金も集まりやすい、とりあえず大コケはしないだろう──そんな安直な考えがチラリとでもなかったのか。企画者たちに問うてみたい。

30点
≪説得力に欠ける≫

『ワイルド7』を見ると、日本のアクション映画の限界がよくわかる。

前例がないほど凶悪な銀行強盗事件が発生。銃撃戦の末逃走した犯人グループは、何の躊躇もなく人質らを次々と射殺。追手の警察もなすすべがなく、そのまま取り逃がすかと思われた時、黒いライダースーツに身を包んだ7人の男たちが現れる。「お前ら全員、退治する」そうつぶやくと7人は、凶悪な強盗犯をさらに上回る過激な戦いぶりで、彼らを虐殺する。この7人こそが、超法規的警察組織・通称ワイルド7のメンバーであった。

ありえないオートバイ・アクションと、法の番人たる警察官が「処刑」を行う過激なストーリーの原作コミックは70年代に人気を博した。それを、海猿シリーズを大ヒットさせた羽住英一郎監督が実写化。中高年の観客まで視野に入れた春の期待作だが、結果としては少々残念な一本である。

30点
≪消費者は媚びなど必要としない≫

前作「カーズ」はピクサー作品の中でも屈指の傑作であり、いくら商売的にさほど振るわなかったとはいえ、続編を作りたくなる気持ちはよくわかる。しかしその『カーズ2』は、明らかに失敗作。ピクサーの実力は疑う余地がないが、その彼らでさえこんなミスを犯すのかと、違った意味で感心させられた。映画作りは本当に難しい。

人気レースカーのマックィーン(オーウェン・ウィルソン)は、ライバルからのあおりもあっていよいよワールドグランプリに挑戦することになった。おんぼろレッカー車ながら親友のメーター(ラリー・ザ・ケイブル・ガイ)をピットクルーに引き連れ、最初の開催地東京へと向かったが、のどかなラジエータースプリングスの町しか知らないメーターは大都会では失敗の連続で、マックィーンの足を引っ張るばかり。二人の友情にもほころびが生じる中、彼らは偶然出会った英国のスパイたちの騒動にも巻き込まれてしまう。

併映の短編は「トイ・ストーリー3」の後日談のような内容。先にこちらを見た瞬間、私は嫌な予感がした。あんなに完璧なラストに、その感動の涙も乾かぬうちに余計なエピソードを付け加える制作陣のセンスを疑ったし、おまけに出来が悪い。蛇足という言葉がこれほど似合うものはない。

30点
≪キャスティングの苦労は買うが…≫

ハリー・ポッターが英国寄宿学校をモデルにしたファンタジーだとすれば、日本には忍者学校で頑張る子供忍者を描いた『忍たま乱太郎』がある。ハリポタ最終版にこちらもその映画化をぶつけてくるとは、じつに挑発的といえよう。しかもわざわざ実写版にするという暴挙、いや大胆さである。これは注目しないわけにはいかない。

貧しいが優しい父母のもとを離れ、忍者学校に通う乱太郎(加藤清史郎)。担任の先生方や同級生には愉快な人が勢ぞろい、乱太郎は退屈知らずな日々を過ごしていたが、ある日、カリスマ髪結いの斉藤幸隆(鹿賀丈史)が襲われる事件が起きる。それ以来、不穏な空気が町に蔓延、やがて忍たまたちも巻き込まれてゆく。

三池崇史監督の人徳というべきか、豪華すぎるキャストが勢ぞろい。平幹二朗や寺島進、柄本明や石橋蓮司、松方弘樹など、そうそうたるベテラン、演技派たちが、その演技力を無駄遣いしておくる確信的おバカ映画である。

30点
≪音楽と映像のこけおどし≫

東京ディズニーランドは、東日本震災当日7万人の来場者を寒さと降雨、空腹から守るため、園内の食料品や土産用の菓子を無料で配ったという。さらに彼らは門外不出の極秘スタッフ用通路を使って客たちを避難させ、夜はアトラクションの建物内に案内して寒さから救った。

多くはアルバイトなどの非正規雇用者だというのにキャストらは笑顔を欠かさず、徹夜で人々を誘導し、一切の混乱はなかった。事前に準備した災害時マニュアルが適切に機能した上、防寒のため梱包材を配布するなど従業員も積極的に機転をきかせた。

これぞ危機管理の見本。驚くべき危機意識の高さである。明日から国内の原発管理は、彼らに任せたほうがいい。もんじゅだの浜岡1号機なんて無粋な名前もやめて、ミッキー1号機とかMOXティンカーベルにすれば好感度も上がる。目玉アトラクションは、3D版「Our Friend The Atom」(※)。スクリーンは原子炉建屋の壁。ディズニー原発なら観光客も大勢来るし、経済効果は計り知れない。原子力村の皆さんはいますぐ検討すべきだ。なおアドバイザーとして私を雇いたい場合はいつでも連絡を。※ディズニーが1958年に製作した原発推進映画

30点
≪よく上映中止にならなかったものだとヒヤヒヤ≫

東日本大震災の影響で、日本の映画界も混乱した。外資系は軒並み営業を控えて社員たちは自宅待機、その他の会社も通常通りだったところはほとんどないような状況であった。当然、公開作品の中止や延期も相次いだ。とくに地震や人の死、そういったものを連想させる作品がそれにあたる。これはさすがにやむをえまい。『名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)』も私は一時、大丈夫かな、と思っていたが、無事公開されて子供たちをほっとさせた。

都知事を狙った列車爆破テロ事件に居合わせた江戸川コナン(声:高山みなみ)は、なんとか都知事の命だけは救ったものの、犯人を捕らえることはできなかった。やがてコナンは、都知事が国土交通大臣時代に手がけたダム建設をめぐる怨恨の線にたどり着くのだが……。

この映画のクライマックスを見れば私の心配が何だったかわかると思うが、そのシーンに代表されるように本作は映画版らしくアクション重視。季節外れの雪山を舞台に、スノボーに乗り換えたコナン探偵が激しく動き回る。

30点
≪妙にタイムリーなテーマが不気味≫

福島の原発事故が、日本中を引っ掻き回している。先日も参加者20余名という、原発推進デモとしては世界最大規模の市民行動が東京で行われたと報じられた。世界初の恥いや快挙を成し遂げたことを、まずは誇りにしていただきたい。

そんなご時世だからか、劇場用第19弾となる『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦』も、なんとエネルギー問題を暗喩した、藤波心もびっくりの社会派作品として登場した。

しんのすけ(声:矢島晶子)の前に、怪しげな少女レモンが現れる。彼女が持ってきたアクション仮面からのメッセージには、しんのすけをアクションスパイに任命するとあった。すっかりその気になったしんのすけは、彼女の指導の下に猛特訓を開始する。

30点
≪大ヒットアニメへのオマージュ≫

『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』を見ると、現代の日本人に……というより、映画を作る業界の人々に、まともな軍人観や戦争観というものは期待できないのかなと切なくなる。

戦争末期、本土防衛の要衝サイパン島は、米軍の猛攻の前に陥落寸前であった。日本軍の悲惨な玉砕が相次ぐ中、大場栄大尉(竹野内豊)は粘り強い抵抗を決意する。彼は各地で生き残った日本兵や民間人を集め、彼らとともに山中でのゲリラ戦を展開する。人数は少ないが決してあきらめないその勇敢な戦いの前に、米軍は翻弄されてゆくが……。

パンフレットには原作者ドン・ジョーンズによる原作のあとがきの一部が掲載されている。そこには、いまの日本人が、自分たちの父や祖父がなぜ戦ったのか、その精神を何も知らないこと、そしてなんら尊敬をしていない事に彼が驚き、真実を伝えたくてこれを書いた切実な思いが記されている。

30点
≪シリーズ継続のための工夫はみられるものの、完全に賞味期限切れ≫

3Dの普及でひとつ見逃せないのは、シリーズものの延命効果であろう。微妙に人気下降の局面でも、初の3D版ですよーと言えばあと1本くらいはどうにか作れる。そんな時代である。

『シュレック フォーエバー』は、アメリカでは記録的な大ヒットシリーズの完結編という位置づけ。作品のパワーは完全に断末魔のそれで、3Dのゲタはき効果がなければどうなっていただろうと思うほどの凋落ぶりを感じさせる。

妻フィオナ(声:キャメロン・ディアス)と3人の子供たちに囲まれ、何の不足もないように見えるシュレック(声:マイク・マイヤーズ)の日常。しかし彼は、日に日に不満をため込んでいた。怪物らしく気ままに暮らしていた独身時代が、最近恋しくて仕方がない。そんなとき、魔法使いのランプルスティルスキンが一日だけその望みをかなえてやろうと近づいてくる。だがシュレックが思わず契約書にサインした途端、世界は一変。仲間たちと誰一人出会っていない、暗黒のパラレルワールドへと飛ばされてしまう。

30点
≪CGがリアルで人間がマンガ≫

1日公開の映画を12日の今頃になって紹介するのもなんだが、この作品に多くのリクエストがあったのは事実である。さすが邦画の冬の話題作ナンバーワンとして、それなりの大ヒットスタートをしただけのことはある。大勢の人がぶった斬、いや的確な批評を求めているという事だろう。

私としても毎夜のように続く忘年会のダブルヘッダーのさなか、灰皿にテキーラを入れられたせいか少々ウェブ更新のペースが滞ってしまったが、やはり本作だけは書いておかねばならないと自覚した次第である。

ときは2194年、謎の異星人ガミラスからの放射能攻撃により、地上は壊滅。宇宙艦隊戦でもあえなく敗れた人類は風前のともしびであった。そこに謎の惑星イスカンダルから、ワープ航行エンジンの設計図を含むメッセージが届く。偶然その現場に居合わせた古代進(木村拓哉)は、人類最後の希望たる宇宙戦艦ヤマトの乗員に志願。ある因縁がある戦闘機パイロットの森雪(黒木メイサ)と対立しつつも、遠きイスカンダルへと旅立つのだった。

30点
≪NHK版を見た人に新たな発見があるかは微妙≫

油断すると、いまだに朝になるたび、いきものがかりの歌が頭に浮かぶ病に犯されている人は少なくない。これは発症したが最後、その日は夜まで脳内でお礼の言葉がループするのだからたまらない。

そんな『ゲゲゲの女房』だが、NHKのドラマ化と同時にこの映画版も企画が進められていた。キャストはまったく異なるが、水木しげるの妻、武良布枝による原作は同じ。この映画版では水木夫妻が成功するその一歩前まで、すなわち夫婦にとって一番厳しかった下積み時代を描いている。

布枝(吹石一恵)は、お見合いで知り合った茂(宮藤官九郎)と29歳で結婚した。貸本漫画家の茂について上京した彼女は、しかし予想以上の貧乏暮しに唖然とする。スズメの涙の原稿料は、何かと難癖をつけて減額され、二人の暮らしをさらに苦しくさせた。それでも布枝はめげることなく、家事に仕事の手伝いにと奮闘するが……。

30点
≪もう何も残っていない≫

興業的に、ホラー映画史上もっとも成功したシリーズということでギネス認定されたソウシリーズもついに7作目。「一応」完結編ということになっている。記事内容は前作以前のネタバレを含むので、ご了承のうえ、お読みいただけたらと思う。

こんな断り書きを入れるのも、このシリーズの内容が全作通じて複雑に絡み合い、伏線を張りまくった構成になっているからだ。ネタバレなしに紹介するのは不可能に近い。

だいたいホラーシリーズなんてものは、数を重ねればニューヨークにいったり宇宙にいったり超能力少女と闘ったりと、やけっぱちのようなシリーズ展開になることも珍しくない。そう考えると、緻密なひとつの物語を紡ぎ続けるこのシリーズは大したものだ。

30点
≪モーレツ期待外れ大賞≫

初代タイガーマスク、藤波辰爾、藤原喜明、長州力、天龍源一郎といった往年のスーパースターに鈴木みのるら若き実力者をぶつける。そんな夢のような興業を定期的に行うリアルジャパンプロレスという団体がある。縁あって毎回見に行っているが、プロレス黄金時代を味わった世代の一人としては、リングから特別なオーラが発せられているのを毎度感じている。

世の中がまだシンプルだった時代には、だれもが憧れるスターというものが存在しえた。だが、あらゆる娯楽がパーソナルになり、人々の好みが細分化した贅沢な現代には、「国民的美少女」も「時代を代表する映画スター」も小粒になる一方だ。

そんな時の流れに抗った男がアメリカ映画界にいた。その男、シルヴェスター・スタローンは盟友アーノルド・シュワルツェネッガーとの朝食会の中で、CG補正に頼る現代の映画スターに対して愚痴、いや苦言を呈し、「俺たちは筋肉を見せられる本物のアクションスター最後の生き残りだ」と語り合ったという。

30点
≪男はイラっとくる映画≫

もしあなたが女性で、とても温厚な彼氏がいて、その不機嫌な顔を見たことがないとする。そして何らかの理由で、その彼氏をイラつかせたい場合は、迷わず『食べて、祈って、恋をして』と一緒に見るとよい。終わった後、ヒロインの行動をほめちぎり、共感したことを表明すれば、なおのこと効果は高い。むろん、そんなデートに何の意義があるのかは不明である。

ニューヨークのジャーナリスト、リズ(ジュリア・ロバーツ)は、仕事も結婚生活も安定していた。だがどこか満たされぬ彼女は、唐突に離婚を決意。年下の彼氏と付き合いだすが、それでも満足は得られない。やがてリズは自分探しの旅にでる。

年末の日比谷公園では、食うも食わずの若者たちが自動車組み立ての仕事すら切られて泣いているこのご時世。何に不満があるのやら、安定した暮らしを放り捨てて豪華世界旅行に旅立ち、悩みを解消しようとする女性の物語である。

30点
≪ディアブロ・コディ脚本にキレがない≫

アメリカという国は個人主義なので個性を尊重、人と違った事をやっていても認める気風があり、だから日本のような陰惨ないじめなどはあまりない。

──などと誤解されていた時期もあった。上記は一部正しいが、少なくとも現在では結末は明らかに間違っている。実際のところ、自由と民主主義の国にも一皮向けば差別意識渦巻く厳しい競争社会の本質があり、ときにそれは多人種国家ならではの残酷さで人々を苦しめる。

『ジェニファーズ・ボディ』は、中西部の田舎の女子高校生の暮らしを舞台に、とくに女の子同士の間に生まれる「残忍性」を主題に描くホラー映画。

30点
≪説明的台詞の雨あられ、各女優はそれぞれの女優にしか見えず≫

資生堂のCMでおなじみの6人の女優を競演させる企画もの映画。とはいえメガホンをとるのが好編「ガチ☆ボーイ」の小泉徳宏監督ということで、多少の期待とともに試写室に出かけた。

物語は3世代にわたる女性6人の悩みや成長を描くもの。まずは昭和11年、蒼井優は昔ながらの慣習で親に結婚相手を決められた女性の役。だが女学校卒でリベラルな性格の彼女は、この結婚をなかなか承服できない。

その約20年後、昭和30年代は、彼女の娘を演じる竹内結子と田中麗奈姉妹の物語。恋愛結婚した竹内と、意外な人物にプロポーズされ悩む田中の対比となる。

30点
これといった特徴なし

前作を見た人にシリーズはこれで完結……と思わせておいて、ほとぼりが冷めたころにまるっと復活。始まる前から見事なトリックを見せてくれた劇場版第3作である。そもそも、確実に儲かるものをやめるなんてこの不況時ありえぬ話。仲間由紀恵&阿部寛の芸達者コンビならば、アラフォー、アラフィフになろうとも、変わらぬ夫婦漫才を見せてくれるに違いない。

とある山奥の過疎村では、村の新しいリーダー"カミハエーリ"を選ぶため、全国から超能力者を集めていた。最強の力を持つものが、代々この村を守ってきたのだ。上田次郎(阿部寛)はそんな風習をやめさせたい村の若者から呼ばれて。山田奈緒子(仲間由紀恵)は単にカミハエーリになって楽な暮らしをしたいがため、偶然にも村で出くわすのだが、そこで大変な事件がおきる。

次期有力カミハエーリ候補に松平健を迎えて、おなじみのコメディミステリが展開する。

30点
決して悪い作品ではないが

『アリス・イン・ワンダーランド』は、大ヒットを宿命として生まれてきた。なんといっても240億円をつぎ込んだ本年度を代表するディズニーの3D超大作。間違ってもコケるわけにはいかない。

その気迫には他を圧する迫力があり、日本でもライバルのはずの「アバター」が早々にDVDを発売。3D上映設備のある劇場は譲りますよとばかりに、直接対決から降りてしまった。主演のジョニー・デップは日本の女性にも大人気だから、アメリカ市場での成功がこの国でも再現される事になるだろう。

19歳になったアリス(ミア・ワシコウスカ)は自分の婚約パーティー中、いつか見た白ウサギを発見する。反射的に追いかけていくと、これまたいつかのように再び縦穴に落ち、不思議の国へと到着。そこで出会ったマッドハッター(ジョニー・デップ)ら不思議の国の住民の多くは、なんだかアリスを待ちこがれていた様子だが……。

30点
ゴージャスなはずなのに、印象には残らず

イタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニの代表作『8 1/2(はっかにぶんのいち)』(63年、伊)をリアルタイムで見たものは、皆そのめくるめく映像美に圧倒されたと口をそろえる。

だが映像技術が果てしなく進歩した現在、後から見るものにとっては、もはや彼らと同じ感動を得る事は難しい。最初に見た版の画質が悪かった事もあって、それは私とて同じことだ。

そういう現代人にとって、『8 1/2』のミュージカル版の、これまた映画化であるこの『NINE』は、果たして代用になるだろうか?

30点
伏線未消化&回りを気にしすぎ

ごちそうばかり食べていると粗食も食べたくなる。美人ばかりとデートしていると、古女房が恋しくなる。そんな、誰にでもあるような感覚を映画監督も感じるのだろうか。「ロード・オブ・ザ・リング」「キング・コング」と、破格の超大作ばかり続いたピーター・ジャクソン監督の新作は、それらとはまるで違う、パーソナルで万人向けではないこぢんまりしたファンタジーとなった。

家族思いの心優しい少女スージー・サーモン(シアーシャ・ローナン)は、14歳のある日に殺人犯に襲われる。そうして死んでしまった後も天国に行けず、現世との狭間をさまよっている彼女は、悲観にくれる家族になんとか犯人を教えようとするのだが……。

女の子が天国との狭間にいる設定は原作と異なるそうだが、そうした変更が原因か、作品世界のルールが定まらずいらいらする。幽霊スージーに何ができて何ができないのか、このファンタジー世界のきまりごとを明言してくれないので、観客はいつまでたっても登場人物の行動に没頭できない。

30点
映像よりも書物向きの内容では

『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の原作は、雑誌の海外ミステリランキングなどでも絶賛された作品で、全世界1500万部以上を売り上げたといわれるベストセラーである。3部作の第一部を映画化した本作は、本国スウェーデンや同時公開されたデンマークで期待通りの大ヒットを記録した。

雑誌「ミレニアム」で、大物実業家のヴェンネルストレムの不正を告発した編集長ミカエル・ブルムクヴィスト(ミカエル・ニクヴィスト)は、しかし名誉毀損訴訟の反撃に敗れ、編集部を去った。そんな彼に声をかけてきたのがこれまた財界の大物ヘンリック・ヴァンゲル(スヴェン=ベルティル・タウベ)。有能な調査員リスベット(ノオミ・ラパス)のレポートによりミカエルが信頼できると踏んだ彼は、ある重要な私的調査を依頼するつもりだった。

離れ小島を所有する大金持ちのお屋敷に呼ばれ、極秘の調査を依頼される。どんよりとした映像の効果もあって、ミステリファンとしてはそそられるオープニングである。そこから次々提示される解明すべき一族の謎の数々にも魅力がある。

30点
原作も奇妙な絵柄だが、実写にするとなお不気味

『かいじゅうたちのいるところ』は、特に欧米では知らぬ者のいないモーリス・センダック作の名作絵本だが、それにしてもこれを製作費100億円クラスの実写大作にしようというアメリカ映画界の景気よさには驚かされる。いくら売れているといったって、日本ではノンタンを超大作にしようなどという企画はありえない。つくづく、恐ろしい世界である。

8歳の少年マックス(マックス・レコーズ)は、シングルマザーの母とケンカして家を飛び出す。ボートに乗り込みこぎ続けていると、やがて彼はかいじゅうたちが住む島にたどり着いた。たまたまオオカミの着ぐるみを着ていたマックスは、かいじゅうたちの王様の座に納まり、皆と王国作りに精を出すが……。

オバマ大統領がイースター祭で朗読したことでも知られる原作を読むとすぐわかる事だが、あっという間に読み終わるような分量である。絵本の中でも文章は相当少ない部類に入るもので、その魅力の多くは、子供たちの想像力をかきたてる独特の絵柄にある。

30点
監督たちの狙いをしっかり汲み取った邦題にすればよかった

ラブコメの女王、なるフレーズが死語になって久しい。最近の米映画は熟女ラブコメとでも呼ぶべき作品が花盛りで、このジャンルで活躍する女優はもう一人や二人じゃないわけだ。

なにしろ最近の若い人は、デートで映画にいくことが減っている。ロマコメというジャンルは、いまややる側も見る側も中年ばかりという、恐ろしい状況になっているのだ。

稼ぎのいい夫と二人の子供に恵まれ、郊外で理想的な主婦業を満喫していたサンディ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)だが、あるとき夫の浮気が判明、離婚を決意する。子供たちとニューヨークに引っ越した彼女はテレビ局に就職して忙しくなり、子供の世話をアパートの1階のカフェで働く24歳のフリーター(ジャスティン・バーサ)に頼むことに。

30点
新鮮なのか失敗なのか

近代史の裏には超能力者たちの存在と暗躍があった、というアイデアは真新しいものではないが、『PUSH 光と闇の能力者』での取り扱いは、なかなか新鮮なものがあった。

第二次世界大戦の頃より国家で育成され、重要な事件にかかわって来た特殊能力者たちがいた。彼らは今でもそれぞれの社会で、身を隠しつつ生きていた。その一人でムーバー(念動力を持つ者)のニック(クリス・エヴァンス)は、ある日ウォッチャー(予知能力を持つ者)のキャシー(ダコタ・ファニング)に、キラ(カミーラ・ベル)という名の女性探しを頼まれる。キラは重要な能力を持つため、組織から追われているらしい。

香港ロケ中心に隠しカメラなど多用したゲリラ撮影、手持ちカメラの覗き見風映像や、気だるいムードの劇伴音楽など、かなり風変わりなSFアクション。

30点
スタッフの人選を誤ったか

劇画作家・白土三平の代表作『カムイ伝』シリーズは抜群の知名度を誇るベストセラーコミック。そこから部落差別など社会派的要素をそぎ落とし、痛快アクションとして作られたこの『カムイ外伝』実写版も、大きな期待を寄せられている。

17世紀、日本社会の最下層で生まれ育った忍者カムイ(松山ケンイチ)は、殺戮に明け暮れる自由のない日々に嫌気が差し、忍の世界から逃げ出した。永遠に追われ続ける運命となった彼は、かつての仲間たちでもある追っ手と激しい戦いを繰り返しながら、ある港町にたどり着く。そこでカムイは同じ"抜け忍"のスガル(小雪)とその娘サヤカ(大後寿々花)と出会う。

日本映画界の重鎮・崔洋一監督(「血と骨」(2004))、そして日本一の人気脚本家・宮藤官九郎。堂々たるスタッフの名前が並んているが、どう見ても彼らの得意分野とはズレたコンセプトによる映画化で、いずれも力を発揮できていない印象。

30点
お好きな人だけどうぞ

日テレにとっては社運をかけたであろう『ごくせん THE MOVIE』は、積極的な宣伝の甲斐あって、それなりの興行成績を残しそうな勢いだ。

とはいえ、主人公ヤンクミを演じる仲間由紀恵の降板が決まっていることもあり、映画で新たなファン層を開拓しようという気はまったくない。むしろ、ほとんど渇き気味の雑巾を絞るきるように、これまでのファンからどれだけ1800円をかき集められるかに焦点を当てたコンセプトの映画化といえる。

担任教師、ヤンクミこと山口久美子(仲間由紀恵)は、新しい3年D組の生徒たちとまだ心を通じ合えていない。そこにかつての教え子小田切竜(亀梨和也)が教育実習生としてやってきて、彼女を喜ばせる。そんなある日、不良生徒の一人がトラブルを起こす。彼を疑う学校側に対し、生徒の言い分を信じた久美子は反論するが、そのせいで自らの立場が危うくなってしまう。

30点
女優、長澤まさみの新境地……?

この映画の原作『群青』は、宮木あや子による恋愛小説。だが、R-18文学賞受賞作家の小説といえど、長澤まさみが主演すれば、立派な清純派ドラマになる。

舞台は沖縄の離島、南風原(はえばる)島。ピアニストの森下由起子(田中美里)と漁師の龍二(佐々木蔵之介)の娘、凉子(長澤まさみ)は、同い年の大介(福士誠治)、一也(良知真次)と兄弟のように育つ。だが、成長した3人の関係は、一人の恋心によって大きくバランスを崩すことに。

あらすじだけならば、幼馴染の三角関係恋愛ごっこ、というありがちな物語だがこの話、とにかく人がよく死ぬ。男たちは皆、愛するオンナのため、海底から宝石サンゴを取ってくるわけだが、これがまた呪いのサンゴかと思うくらいに海難事故を巻き起こす。現地では「女のお守り」として珍重されるというが、なかなかの男殺しである。

30点
有名美談の映画化も、全体に遠慮がちで見るべきものは少ない

『余命1ヶ月の花嫁』とは、なかなか目を引くタイトルだ。最初にテレビ放映されたとき、その驚くべきエピソードがドキュメンタリー、すなわち実話と知った人々は大きな衝撃を受けた。そこから始まった一連のムーブメントは、ついにこの劇映画化を実現させるにいたった。

イベントコンパニオンの長島千恵(榮倉奈々)は、ある展示会で知り合った赤須太郎(瑛太)とやがて付き合い始める。だが千恵には、乳がんを宣告され乳房を失うことになるという深刻な悩みがあった。それでも彼女を追い続ける太郎の姿に、二人の絆は深まっていくが、彼らの愛を切り裂くように乳がん再発の悪夢が襲い掛かる。

余命一ヶ月の恋人に、せめて結婚式をあげウェディングドレスを着せてやろうという美談の映画化。

30点
"コーエン兄弟らしい"とのほめ言葉は、いわば"マンネリ"と紙一重

万人受け、という言葉とは正反対のコメディーを作る名手コーエン兄弟が、CIAをおちょくった『バーン・アフター・リーディング』は、オールスターキャスト目当てで見に行くと、確実に地雷原となる気難しい一品である。

CIAをクビになったアル中の幹部職員(ジョン・マルコヴィッチ)は、腹いせに暴露本の執筆を開始する。ところがその草稿入りのCD-ROMを落としてしまい、やがてマヌけなスポーツジム・インストラクターのチャド(ブラッド・ピット)の手に渡る。ディスクの中身を勝手に国家機密と勘違いしたチャドは、同僚のリンダ(フランシス・マクドーマンド)にそそのかされ、落とし主を脅して金を得ようとするのだが……。

酔っ払いが怒りに任せて書いた、何の価値もない原稿を、あらゆる連中が勘違いしてあれやこれやして、事態がろくでもない方向に転がっていくストーリー。構成のうまさはさすがコーエン兄弟だが、筋書き自体はまったく面白いものではないし、またそれを楽しむための作品でもない。

30点
水面から下がCGアニメのハーフ実写化?!

傑作人間ドラマ『おくりびと』で、見事アカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督の最新作は、なんと『釣りキチ三平』実写版であった。授賞式の日程と公開日の関係で偶然そうなったわけだが、こうなってくると滝田監督は運が良いんだか悪いんだかさっぱりわからない。

和竿作りの名人である一平(渡瀬恒彦)と暮らす、釣り大好き少年三平(須賀健太)は、ある日アメリカで活躍するバスフィッシングのプロ鮎川魚紳(塚本高史)と出会う。ところがそこへ口うるさい姉(香椎由宇)が帰郷。激しい言い争いの結果、伝説の魚“夜泣谷の巨大魚”を釣り上げなければ、釣りをやめる約束をさせられてしまう。

公開中の「ヤッターマン」が、三池監督らしい突き放した毒気をまぶして大成功を収めているのに比べ、こちらは同じ人気漫画の実写版としていかにも線が細い。

30点
不感症の女の子の暴走の行方は

いまの時代、自分探し、しあわせ探しに悩む女性は多い。漠然とした自分の夢と、日々厳しくなる現実との兼ね合いが取れなくなれば、やがて彼女たちは欝のスパイラルに落ちていく。まじめで純粋な人ほど、うつ病になりやすいといわれる所以だ。

不感症のレッテルを貼られ、エッチの後に冷たい言葉を残して去る男たち。そんな体験を重ねたアコ(前田綾花)は、つねに感情を押し殺す孤独な女になっていた。ある時彼女は、無口なゲイのマスター(大浦龍宇一(おおうらりゅういち))が経営するいきつけのダーツバーで、ナンパしてきた男と身体を賭けた勝負をすることに。

ブルーな気分の女の子たちにぴったりな、自己肯定感を感じられる女性映画。

30点
前作から5ヶ月で、早くもセガールの新作登場

この映画の宣伝文句はこうだ。

「その者、黒き銃(はがね)を手にして、非道の地に降り立つべし──」

私は座席に座ってパンフレットを開いた瞬間に、この秀逸なパロディを見せられた。スティーヴン・セガール映画は、すべからくギャグとして楽しむべしといったやり方が、どうやらオフィシャル的にも正解のようである。

30点
仲村みうが女子高生役で大胆演技

衝撃作『制服サバイガール I』のエンディングの直後から物語は始まる。遺伝子組み換え作物の野放図な栽培のせいで、接触した人間が植物ゾンビ化してしまうおそるべきバイオハザード。その拡大阻止のため、科学者や屈強な軍人らが現地を訪れる。

遺伝子組み換え食品とは、特定の性質(ある種の農薬耐性など)を持たせた作物のこと。たとえば大豆や菜種といった作物に、昆虫の遺伝子をブチこむなどして作る。

ちなみにこの映画の感染者の場合、植物のそれが人間に組み込まれてしまうという、正反対の構図となっている。これはなかなかアイロニカルで素敵な発想といえよう。

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