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35点
原作を超える脚本を作れた確信をもってから映画化すべし

非難ごうごう炎上確実な人気漫画の実写版の中で、「デスノート」シリーズの実写版は珍しく賛否両論である。私のように評価しないものもいれば、これは成功例、などとほめる人も多い。そして、原作から完全に離れたオリジナルストーリーによる続編「デスノート Light up the NEW world」の評価も、おそらくそうなるだろうと予測できる。

夜神月とLの死闘から10年が過ぎたころ、再び人間界でデスノートによる殺人事件が始まった。かつて日本の警察内に設立されたデスノート対策本部は、キラ事件をマニアックに研究し続けてきた三島(東出昌大)を中心に、前回の教訓を生かした対抗措置によって必死にそれを阻止せんとする。だが、今回人間界にばらまかれたデスノートは、彼らが予想していた以上の冊数であった。

この映画シリーズは本作含め、映像が思わせぶりでよく出来ているため、高校生くらいまでの子供が見ればそれなりに楽しめるようになっている。だが、原作漫画の持つポテンシャルは子供どころか大人まで十二分に楽しませるものがあるのであり、私のような違いの判るダンディな大人が読んでみれば、結局のところ映画版の力がはるかに弱いことがわかる。これが、このシリーズが賛否両論となっている理由である。

35点
幸福の科学・謹製のアイドル映画

幸福の科学総裁の大川隆法氏(本作のプロデューサーでもある)は、日本で一番自由な映画作りをしているのではないか。「天使にアイム・ファイン」の奔放ぶりをみるとそう思わざるを得ない。

美しい天使(雲母)が人間界を眺めている。彼女の視線の先には、生きることに苦しんでいる5人の男女がいた。彼らを守護するため、天使は下界に舞い降り寄り添おうとするのだが……。

巻き髪のかわいい女の子が、5人の気の毒な人間たちのもとに降り、人助けをしようとする。歌って踊る見せ場もある。なんとびっくり、これはどこからどうみてもアイドル映画、である。

35点
演技とオーラは薬師丸、しかし顔なら1000年天使

男にとって、目の前の美人のアラを見つけるのはおつなものだが、映画となると話は別。見えていながらそれをカバーしていないスタッフの荒っぽい仕事ぶりには、皆がっかりするものである。

組員4人の目高組を受け継いだ女子高生、星泉(橋本環奈)。彼女は組を解散させ、こわもての元組員らと商店街でファンシーなカフェを営んでいた。だが彼女らが守った町の平和を引き裂こうと、巨大な闇の勢力が迫っていた。

橋本環奈こと、天使すぎる1000年に一人の逸材は、アイドル界では現役最高の美少女といってよい。彼女の場合、とくに歌っているときの顔の美しさは図抜けていて、年齢を超越した妖艶な魅力を放つ本格派のアイドルである。歌顔というものは、たいてい産卵中のサケみたいになるものだが、彼女はどこで静止ボタンを押してもかわいい。奇跡の1枚どころか24コマ全部奇跡である。

35点
遅すぎた

かつて反日人肉映画との噂でもりあがった「不屈の男 アンブロークン」も、気づけば世界最後尾からの日本公開。噂の真偽ははもはやネット民の間に知れ渡り、すっかり愛国者たちの怒りの熱エネルギーも冷めてしまった。

1936年、かつての不良少年ザンペリーニ(ジャック・オコンネル)は陸上競技で目覚ましい活躍を見せていた。だが第二次大戦がはじまると彼は爆撃機の射手として対日宣戦に参加、しかしその後の運命は、だれも予測できない過酷なものだった。

反日映画としての話題の喪失は、怖いもの見たさのその他大勢見込み客をも失う結果となった。なにしろこの映画から反日騒動をとったら、不器用な女優監督が不十分な知識で撮った半端な伝記史実しかのこらない。

35点
後半の変わりようが凄い

新興宗教団体が長編アニメ映画を(ときには実写映画も)定期的に作り、公開する。それも「幸福の科学」のそれは、きわめて特徴的な内容だから、私も機会があれば見るようにしている。しかし何本見ても、この一連の作品がどういう人々に向けたものなのかわかりかねる。

全寮制のナスカ学園、高校2年生のレイ(声:逢坂良太)たち仲良し5人組は、宇宙人によるアブダクションのうわさを聞きつける。独自の研究と取材で悪の異星人の存在を確信した彼らは、その危険性を学園に知らせようとするが……。

エンドロールにはたくさんの関連企業が記載され、うちの近所のお医者さんも毎回名を連ねている。優しい先生だと評判だが、ちょっとかかりたくなかったりもする。それはまあいいとして、これだけの作品を定期的に製作するだけの額を集めるのだからばかにはできない。聞けば予算もなかなかのもので、実際上映時間も125分。アニメとしては、堂々たる大作の雰囲気がある。

35点
マッチョと巨乳の無能集団

マーベル・シネマティック・ユニバースのシリーズは世界中で絶好調で、ヒーロー総登場の「アベンジャーズ」(12年)の続編である本作などは米国歴代5位のメガヒット中。だが、そうした好景気に気がゆるんだか、作品の出来映えは極端に悪化している。

アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は人類を守るための人工知能ウルトロンを完成させる。だがウルトロンは暴走し、人類を地球の敵だと認識して攻撃を始めるのだった。

「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」を見ていると、ヒーロー軍団のあまりの無能ぶりにうんざりするはずだ。

35点
アイデアは面白いのだが

「王妃の館」は美しいパリの街で長期ロケをおこなった日本映画であり、うまく作れば心に残る一本になることができたはずだが、いくつか至らぬ点があるため、平凡な疑似観光ムービーにとどまってしまった。

王妃の館と称される高級ホテル「シャトー・ドゥ・ラレーヌ」のスイートに泊まれるツアーに参加した売れっ子作家・北白川右京(水谷豊)。だが、ツアーガイドをつとめる旅行会社の社長(田中麗奈)は何かそわそわしている様子。実は彼女は、同じホテルに同じ日程で、別の客をダブルブッキングしていたのだった。

「王妃の館」最大の敗因は、このダブルブッキングツアーの設定を生かしきれなかったことにつきる。

35点
アクションの切れ味はいいが

これ!といった背骨がないと、映画全体の焦点がぼける。「ワイルドカード」はそれを地でいくような残念作である。

元兵士のニック(ジェイソン・ステイサム)は、ラスベガスで用心棒を生業としていた。あるとき、ひどい暴行を受けた元恋人から復讐を依頼された彼は、しぶしぶながらも引き受ける。だが、その仕事は彼を予想外の形で窮地に追い込むことになるのだった。

あらすじ紹介に悩んだのは、この先のストーリーがどうも予想外に、といっても悪い意味で迷走するように感じられるからである。え、そっち方面いっちゃうの? で、戻ってこないわけ? 的な感じだ。

35点
消費物の最高峰

日本の映画界に君臨する東宝が、公開2日間で16億円という史上最高の結果をたたき出した「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」。「アナ雪」のヒットが記憶に新しい2014年の最後に、これまたとんでもない大物が潜んでいた。

ケータ(声:戸松遥)が睡眠中、なぜか妖怪ウォッチが消えてしまう。それとともにジバニャン(声:小桜エツコ)やウィスパー(声:関智一)ほかともだち妖怪の記憶さえなくしてしまう。直後に現れた超巨大猫妖怪デカニャンに対峙するさなか、そのことに気づき愕然としたケータは、わずかな手がかりをもとにおばあちゃんの住むケマモト村に向かうのだった。

小学生に爆発的なブームを巻き起こしている妖怪ウォッチの、満を持した劇場版である。事前に誰もが、こいつはとんでもないヒットをぶちかますだろうと予想していたわけだが、それを上回る高稼働ぶりに関係者はホクホク顔であろう。

35点
これまた移民ドラマ

フジテレビ系の映画が、クライマックスで「朝日頑張れ」を連発する映画を作る。タイミングを合わせたわけではあるまいが、なんともシュールな光景である。

戦前のカナダ、バンクーバー。白人社会から差別され、きつい肉体労働に従事する日本からの移民にとって、野球チーム「バンクーバー朝日」の活躍は希望を感じさせるものだった。もっとも肝心の試合では体格に勝る現地の白人チームには及ばなかったが、レジー笠原(妻夫木聡)やケイ北本(勝地涼)ら若き選手たちは、機動力をいかしたチームプレイでやがて快進撃を開始するのだった。

原作はなく、感動の史実を元にオリジナルストーリーを組み立てた野球映画というわけだが、いろいろと問題が多い。

35点
吉永小百合以外には無理な企画

吉永小百合自身が製作に名を連ね、初めて企画者としてかかわって作られた「ふしぎな岬の物語」は、なるほど彼女以外には誰も演じられない映画であった。

岬の突端にある岬カフェは、店主の柏木悦子(吉永小百合)がいれるおいしいコーヒーが評判であった。毎日のように通うタニさん(笑福亭鶴瓶)や、甥っ子の浩司(阿部寛)など、彼女を愛する仲間たちに囲まれ穏やかな日々が続いていた。そんなある日、長年音沙汰がなかった常連客の娘みどり(竹内結子)が突然戻り、このカフェにもさざ波のような変化が訪れる。

老若男女、それこそ甥っ子から常連客、はたまた偶然入った強盗に至るまで、吉永演じる女店主に対面すると一瞬で魅了され、骨抜きにされてしまう。そんなあらゆる訪問客と吉永小百合ママとの、心温まる交流のドラマである。

35点
反原発から賛成派に転向した人たちの証言集

「二十歳までにリベラルに傾倒しない奴は情熱が足りないが、40歳までに保守主義にならない奴は知能が足りない」といったのは英国のチャーチルだが、実際そうした転向はよくある。だがその逆方向に転向したのは雨宮処凛くらいなもので、あまり見かけたことがない。

物事には、ときにこうした一方通行性があったりするが、原発問題もそのひとつかもしれない。すなわち、推進派や原発技術者などが、その実態を知って反対派に転向することはよくあるが、その逆はいないというものである。

ところが映画「パンドラの約束」には、そのレアケースをはたした人たちが複数登場するから驚きだ。さっそく日本でも「こりゃ珍しい」と話題になっている。

35点
前田敦子が物足りない

山下敦弘監督の作品を大好きと語る前田敦子は、仕事相手としてもウマが合ったのだろう。「苦役列車」(2012)に続き、その監督作に主演することになった。

大学は卒業したものの就職せず、実家で漫画を読みふけるなど無為な日々を過ごす坂井タマ子(前田敦子)。スポーツ用品店を営む父親(康すおん)は、そんな娘に強く出ることもあまりなく、淡々と食事を作ってやる。季節が移り変わり、それでも変わらぬ二人の生活に変化は訪れるのだろうか。

山下敦弘監督の映画は、物語に抑揚がなく突出したキャラクターも出ないオフビートな作風が持ち味。一般受けとは無縁の、好きな人だけ見てくださいという、いわゆるアート系、サブカル系に属する作品である。

35点
ドキュメンタリーで予習が必要

伝記とは個人の生涯を記録したものだが、伝記映画はそうではない。この両者の違いが分かっていない監督が伝記映画を作ると、「スティーブ・ジョブズ」のような作品が出来上がる。

既存の会社組織になじめない若きジョブズ(アシュトン・カッチャー)は、友人たちを集めてガレージでアップルコンピュータを創業する。独創的なアイデアと尽きない情熱、仲間たちの献身的な支えを武器に破竹の勢いで成長するジョブズとアップルだったが、やがて彼らは壁にぶち当たる。

伝記と伝記映画の違い。これを語り考察するのに本作が最適なのは、ちょうど先月「スティーブ・ジョブズ1995 〜失われたインタビュー〜」(11年、米)という、すぐれたドキュメンタリー(というか本人の70分間しゃべくり映像)が公開されたばかりで、比較しやすいというのが理由である。

35点
ダメダメかもしれないが必見

「アバター」(09年、米)の続編をはじめ、近年のアメリカ映画は中国との合作企画が目白押し。中国市場における外国映画の公開本数制限をかいくぐる裏ワザとして中国資本を入れる意味合いもあるし、もちろん潤沢な中国マネーで大作を作るという単純な狙いもある。なにしろ政府が機能停止したり国債デフォルト一歩手前なんていう時代だ、金をくれるなら誰でもいいといったところか。

大国アメリカにしてこんな状況だから、「レッド・ドーン」が中国マネーに配慮して、撮影終了後に侵略国を中国から北朝鮮に変更したと聞いてもそれほどの驚きはないだろう。

ワシントン州の田舎町に、空を埋め尽くす空挺部隊が現れた。休暇中の海兵隊員ジェド(クリス・ヘムズワース)は、危険を察知して弟(ジョシュ・ペック)や友人数名を救い出し、山へと身を隠す。直後、アメリカ全土は彼ら北朝鮮兵によって制圧され、ジェドらは最初のレジスタンスとして立ち上がることになる。

35点
自伝的文学ながらリアリティ薄い

プライベートでの経験豊富なオンナほど、いい女優になるなどと言われるが現実はそう簡単でもない。結局のところは手綱を引く演出家次第。現実には子供のいない満島ひかりがシングルマザーを演じて高評価を得ることもあるし、その逆もまたしかり、だ。

妻子ある作家(小林薫)の愛人として長年暮らしている知子(満島ひかり)。作家は自宅と彼女の家を半々で行き来している。だが、そんな智子の前にかつて愛した涼太(綾野剛)が現れ、彼女の穏やかな生活は終わりを告げる。

愛人契約というのは、お互いの冷静な取り決めにより行われるものであり、はたから見ると極めて安定した大人の関係であるように見える。だが、じっさいは全く違う。そんな相手がいなければ維持できない人生などというものは、もともと何かが破綻しているのであり、大人びた皮を一枚はげば、その下にはメンヘラ一歩手前の男女の生々しい姿があるわけである。

35点
宣伝が上手かった

この洋画不況の中、予想以上のオープニング成績を残して意外なヒットとなった「プロメテウス」は、宣伝戦略が成功した好例として記憶されるだろう。だがそれが、長期的に見て良いことなのかどうかは微妙である。

科学者のショウ(ノオミ・ラパス)は世界各地の遺跡の中に、地球外生命体からのメッセージが隠されていることを読み取る。やがて大企業ウェイランド社の出資により、宇宙船プロメテウスでそのメッセージが示す惑星を目指す。2093年、ハイパースリープから目覚めたショウたちクルーの前に、その惑星は姿を現すが、そこには彼らが予想もしない恐るべき世界が待ち受けていた。

「人類最大の謎、それは《人類の起源》」と、「人類の起源」に焦点を当てた宣伝戦術をみて、その大胆さに私は驚かされた。なぜならこのコピーは、ほとんどこの映画の中身と無関係といってもいいほど離れているからである。

35点
セレブのたわむれに見えてしまう

「ケイト・レディが完璧(パーフェクト)な理由(ワケ)」は、仕事に恋にがんばるアタシ、な女の子が一人または同性の友達と見に行って話のタネにするようなタイプの映画である。

投資会社のファンドマネージャーとして成功しているケイト(サラ・ジェシカ・パーカー)は、優しい夫や2人の小さな子供に囲まれ、誰もが羨む暮らしをしているかに見えた。だが実際は、あまりに忙しすぎて、自分が理想とする子育て、夫婦生活とはかけ離れた状況。彼女は彼女なりに、理想と現実のギャップに苦しんでいた。そんな折、過去最大級の大きな仕事が舞い込み、家庭を大事にしたい彼女の思いとは反対の選択をせざるを得ない状況に巻き込まれる。

働く女の悩みをリアルに描き、共感を集めて女性客を励ますというコンセプト。いまどきのアメリカ映画は不況の影響でテーマが保守的になっているので、この映画の結論もそういう方向性である。

35点
≪織田裕二をもっと前面に出さねばだめ≫

前作「アマルフィ 女神の報酬」(09年)はじつにユニークな作品であった。何が面白いかというと、ひとたびこいつを褒めるともれなく猛烈な反発をくらうという、奇妙な特性があるのである。

死ねだのやめろだの金をもらっているだのと、ちょっぴりお口の悪いネット紳士たちからたしなめられるたび私は、これがいわゆる炎上マーケティングというやつかと他人事のように感心する。

こうなると続編『アンダルシア 女神の報復』では、さらに輪をかけ褒めまくり、火に油を注いでやろうとのイタズラ心が芽生えてくる。

35点
山場がない…

ポケモンやドラえもん、ピクサー作品は言うに及ばず、こうしたフランスの作品まで映画館で楽しめるのだから、日本の子供たちの環境は恵まれている。とくに「アーサーとミニモイの不思議な国」(06年)の続編である本作は、監督のリュック・ベッソンがへそを曲げて声優をガラリと変えてしまった米国版と違い、前作どおりのキャスティングで吹き替え版を見られるという有利もある。

人間の世界に戻った少年アーサー(声:神木隆之介)は、再びミニモイの国で王女セレニア(声:戸田恵梨香)に会える日を心待ちにしていた。二つの世界をつなぐ扉が開く「10番目の満月」を控えたころ、彼の前に「HELP」と書かれた米粒が届く。王国からのメッセージと受け取ったアーサーは再度彼らを救うため、旅立ちを決意するが……。

祖父の家の裏庭には、体長2mmのミニモイ族の王国があった。そんなファンタジー作品である本作は、ヨーロッパのそれらしく伝統をふまえた確固たる世界観、繊細なビジュアル、そしてCGから実写へ違和感なく移行する映像技術により、米国とも日本とも違うかの国らしい子供映画として作られている。

35点
今の日本市場にこの映画がウケる余地があるかに注目

『誰かが私にキスをした』は、日本の映画業界人なら誰もがこりゃ無理筋だろうと即却下しかねないリスキーな企画である。なぜこんな、始まる前からコケる事間違いなしの危険な映画が作られてしまったのか、その理由については後で述べる。

都内のインターナショナルスクールに通う女子高生ナオミ(堀北真希)。あるとき階段を転げ落ちて記憶をなくした彼女は、同級生全員をまったく覚えていないという事態に直面する。なかでも一番困ったのが、3人の魅力的な男の子の存在。どうやら彼氏だったらしいエース(アントン・イェルチン)、男だけど親友で最大の理解者ミライ(手越祐也)、そして事故の際付き添ってくれたどこか陰のあるユウジ(松山ケンイチ)。ナオミの心は3人の間で揺れ動く。

さて、このアブない企画が通ってしまった理由は、端的に言えばハンス・カノーザ監督の大きな勘違いに端を発する。東京国際映画祭で来日した彼は、日本人のお客さんがラブストーリーを好むものだと思い込み、この作品の原作の舞台をアメリカから日本のインターナショナルスクールに変更して撮影することに決めた。きっと日本の事を気に入ってくれたのだろう、なかなか気のいい男である。

35点
ドラえもんの魅力をまるでわかってない失敗作

春の風物詩、映画版ドラえもんの最新作だが、なにしろ今年は通算30本目ということで力の入れようが違う。原作はあれど映画としてはリメイクでないオリジナル、舞台は海底と、冒険のスケールも大きい。

架空水をつくりだすひみつ道具で町を泳ぎ楽しんでいたのび太(声:大原めぐみ)とドラえもん(声:水田わさび)は、そこで人魚族の王女ソフィア(声:田中理恵)と出会う。彼らは仲間とともに海の底にある彼女の国を訪れるが、その途中でしずかちゃん(声:かかずゆみ)が何者かに連れ去られてしまう。

古代から対立する海の二大民族の戦いに、おなじみのメンバーが巻き込まれるストーリー。真矢みき、ケンドーコバヤシ、さかなくんらがゲストで出演する。

35点
長きにわたるコメディシリーズもこれで最後

『男はつらいよ』以来の、松竹を代表する大型シリーズもついに最終回。だが『釣りバカ日誌20』は、あきれるくらいいつもと変わらぬおバカ映画であった。

世界的不況の中、ゼネコンの鈴木建設も苦しんでいた。自らの給料の無期限全額返還を実行する会長の鈴木一之助(三國連太郎)だが、その危機を救ったのは意外にもダメ社員で知られる浜崎伝助(西田敏行)であった。褒美に釣り休暇をもらった彼は、早速北海道に出かけることに。

22作品目にして、とうとうファイナル。だが、これがパート13とか14でもまったく問題なさそうな、普段どおりのマンネリズムが展開する。もちろん最後だからスーさんの重大な決断などそれなりにイベントはあるが、余計なお涙頂戴に走らないあたりが潔い。

35点
シャネル純正なのにいまひとつ

8月8日に日本公開したばかりの『ココ・シャネル』(アメリカ/イタリア/フランス、08年)に続く、シャネル映画第二弾。なんといってもこちらはシャネル社が全面協力し、イメージキャラクターのオドレイ・トトゥを主演にした、一連の当ブランド映画の中でも本命。しかしどうしたものだろう、もっとも力が入っているはずの本家版の、このたよりなさときたら。

孤児院で育ったガブリエル(オドレイ・トトゥ)は、お針子をしながらいつか歌手になる日を夢見て、日々キャバレーで歌っている。あるとき彼女は裕福な将校エティエンヌ(ブノワ・ポールヴールド)と出会い、その愛人になることで貧しい日々を抜け出そうとするが……。

今これを見たら、どうしたって『ココ・シャネル』と比べてしまう。そしてあらゆる点で本作はそちらに劣っている。まず最初に気がかりなのは、ココの生い立ちと内面描写に関して説明不足なため、観客がこの主人公を誤解するのではないかという点。

35点
とびきりの美女に囲まれるヒーロー

ロバート・ロドリゲスと共同監督した『シン・シティ』(2005)で、スタイリッシュな映像が好評価を得たフランク・ミラーは、初の単独監督作品であるこの『ザ・スピリット』でも、同様の絵作りを踏襲。彩度を落とした画面に印象的なパートカラーを配置する、独特の映像美は健在だ。

殉職しながらも蘇った刑事コルト(ガブリエル・マクト)。彼は愛する街のため、覆面ヒーロー「スピリット」として、同様の不死身能力を持つ宿敵オクトパス(サミュエル・L・ジャクソン)と日夜戦っていた。オクトパスは、何らかの目的のため海底から引き上げたアイテムを探していたが、そのひとつはコルト旧知の女泥棒サンド・サレフ(エヴァ・メンデス)の手にあった。

アメコミ、グラフィックノベル映画はたいてい好みが分かれるが、これも相当なアクの強さ。日本では、原作を読んだ人があまりいないであろう点からも、積極的にはすすめにくい。

35点
邦題は素晴らしいが中身はありがち

ラリー・コーエンという脚本家・監督は相当なアイデアマンで、最近では当サイトでも絶賛した「フォーン・ブース」「セルラー」といったサスペンスが好評だ。

ただ映画ファンの間では、昔はホラーの脚本を書いていた人、というイメージが強い。本作のオリジナルである「悪魔の赤ちゃん」(73年、米)などはその代表作といえる。80年代にかけて3本作られたこのシリーズは、愛すべき赤ちゃんが恐怖の対象になるという、意外なアイデアで人々を驚かせた。

大学院生のレノア(ビジュー・フィリップス)は、恋人の子供を身ごもるが、熟慮の結果出産することに決める。ところが、予想外に早く胎児が成長し、帝王切開で緊急出産することに。そしてその直後、分娩室で驚くべき事件がおきる。

35点
浦沢直樹の2000万部コミックが超大作3部作に

浦沢直樹のベストセラーコミック『20世紀少年』の映画化は、2008年〜09年の日本映画界最大のインパクトとして、製作前から話題を振りまいてきた。

誰が誰を演じるのか、イメージ通りかうんぬん……。原作ファンをそこまでワクワクさせたのは、これを映画化するのは難しいと誰もが直感していたからだろう。だが、本編22巻プラス完結編2巻の大長編の実写版は、計60億円の巨費を投じた三部作としてここに実現した。

1997年、失踪中の姉(黒木瞳)が残していった赤ん坊カンナを背負い、売れないコンビニ経営にいそしむケンジ(唐沢寿明)。この時代、世界各地で致死性ウィルスの被害者が発生、日本では正体不明の教祖"ともだち"率いる新興教団が勢力を増すなど、不穏な空気が蔓延していた。ユキジ(常盤貴子)やマルオ(石塚英彦)、ドンキー(生瀬勝久)ら小学生時代の仲間たちと交流する中、ケンジは最近の事件、災害が、自分が子供時代に人類滅亡の様子を描いた"よげんの書"をなぞったものと気づき愕然とする。タイの闇社会で生き延びていたオッチョ(豊川悦司)も加わり、ケンジと仲間たちは地球を守るため立ち上がる。

35点
地方在住の人にすすめたい日本製カーアクション

クルマ映画というものは、えてして大都市ではヒットしない。しかしシネコンが普及し、都市部の興行比率が相対的に下がっている今日では、地方で根強い人気を誇るこのジャンルは、製作者にとって見逃せない。最近この手の映画が多く公開されるのはそれが理由だ。映画会社の人に聞いた話では、レンタルなどDVDの稼働率も高いという。

舞台は箱根、夜は若者たちがタイムアタックを繰り返す熱いレース場と化す峠道。ここにある夜、三菱・スタリオン4WDラリーに乗った中年男が現れ、記録を塗り替える。この男に興味を持った自動車評論家の栗原(遠藤憲一)は、愛車ポルシェ・ケイマンで現地を訪れ、ジャッキーと呼ばれるそのオヤジがかつて自分と因縁のあるダイブツこと大佛(おさらぎ)(哀川翔)であることを知る。

『ビッグコミックスペリオール』で連載されていた、東本昌平の原作漫画を実写映画化。主人公がいわゆる中年オヤジ二人で、その因縁と友情、復活に光を当てた点が特徴的だ。演じる二人もなかなかカッコよく、若者たちの中に入っても違和感がない。あるいはMEGUMIをはじめとする周りの若い連中が、そろってみなテンションが低いため、ムードが統一したというべきか。

35点
黒澤明を出し抜く覚悟はあったのか

『踊る大捜査線』映画版の記録的ヒットにより、堰を切ったようにテレビ局による大作映画が氾濫した近年の邦画界。顧客のニーズを的確につかんだその映画作りは大成功し、ついに洋画の興行収入を上回るところまできた。私が長年望んでいた邦画の隆盛が実現したわけで、大変好ましく思っている。

しかし当初から危惧していたとおり、二の矢三の矢がない状況へと陥り、彼らのビジネスモデルは早くも袋小路にぶちあたりつつある。せっかく大きく儲けたのだから、余裕があるうちにオリジナル企画とそれを出せる人材を育てておけばよかったのに、良質な原作漁りと使い捨てばかりやってきたツケが回ってきたのである。

そして挙句の果てには、黒澤明作品のリメイクという禁断の果実にとうとう手を出した。これがうまくいったら、次は小津や溝口、木下と、古典資産の使いつぶし、いやリメイクが続くのであろう。ともあれその先陣となるのが、織田裕二主演の『椿三十郎』だ。

35点
ムエタイ男がロケットに乗って大活躍

私は本編を見終わった後にこの作品の予告編を見たが、作った人は天才かと思った。作品の面白い要素をよくぞこれだけ集約できたもの

だと大いに感心した。だが、予告がこれだけ面白いと、本編をみたときどうなるの、という問題が残る。言ってみれば屋台のかき氷を、

最初にストローでチューチュー吸ってしまった結果、肝心の氷にシロップの味が残っておらず愕然とした時の気持ちに似ている。

35点
沢尻エリカは弱点ばかりが露見して気の毒

賃貸住宅に入居すると、まれに以前の住民の忘れ物(?)に遭遇する。大抵は、(解除し忘れたのであろう)定期的に送られてくる通販下着カタログの類であり、宛名がかわいらしい女性の名前でもない限りは迷惑の極みであるが、これがもし洗面所の鏡の裏に隠された分厚い日記帳だとしたらどうだろう。はたしてあなたは、見知らぬ誰かの物語に入り込む欲求を抑えることができるだろうか。

女子大生の香恵(沢尻エリカ)は、入居したアパートの棚に日記帳を見つける。挟まっていた写真を見ると、それを書いた前の住民(竹内結子)は、どうやら小学校の教師らしい。自らが志望する職業ということもあり、香恵はその女性の仕事や恋の悩みを興味深く読み進んでいく。同時に香恵にも、バイト先で知り合った男性(伊勢谷友介)との恋が芽生え始めていた。

雫井脩介の同名原作は、後半にちょっとした驚き(ミステリ的趣向)がある恋愛もの。多少のアレンジはあれど、映画も同様の魅力を放つよう作られている。……が、いくつか難があり、その出来は平均以下のものとなった。

35点
元慰安婦の証言を垂れ流すだけじゃ単なるプロパガンダだ

徴用時の強制性についての安倍晋三首相の不用意な発言により、いま"従軍"慰安婦問題がアメリカの一部で大きく騒がれている。彼の発言内容自体を擁護する声も保守層には根強くあるが、ああいう事を言えばてぐすね引いて叩きネタを待っているマスコミにより、当初の意図とは反した形で広められるのは当然である。そんな予測もできないのでは、政治家として脇が甘いと言わざるを得まい。

そんな折、あまりにもグッドタイミングで公開されるのがこの"従軍"慰安婦をテーマにしたドキュメンタリー「ガイサンシーとその姉妹たち」だ。ちなみに従軍慰安婦(性奴隷も)という言葉は、反体制的な人々による一種のレッテル張り、アジビラに書くための造語のようなもので、厳密には使うべきではない言葉だが、映画の中で使用されているのであえて記述している。

ガイサンシーとは、中国の山西省で一番の美人という意味で、戦中実在したある女性のこと。その美貌は当時駐留していた旧日本軍の間にも伝わっていたほどだという。ところがそれが彼女にとって、筆舌に尽くしがたい悲劇を呼び込むこととなった。映画は、日本軍に強制徴用され、いわゆる慰安婦としてあまりにもひどい生涯を送った彼女を訪ねるところから始まる。

35点
これといった特長がない

あまり予算に余裕がないが、面白い映画をつくる必要がある場合どうしたらよいか。徹底してチープ感を前面に押し出すバカ映画タイプは別として、たいていは戦力集中投下型、すなわち一点豪華主義でいきたいと思うのが普通だ。思い切って集客力のあるスターを据えるか、火薬の量に金をかけるかは各自の自由だが、あれこれ欲張るとたいてい失敗することが多い。

この『忍者』の場合、日中香港3カ国合作ということでそれぞれの国の役者を集め、各国にアピールできるという強みがまずある。ところが脚本面で全員に気を配った結果、いったい誰が主役なのかわからないという、羽で背中をかくようなもどかしい映画となっている。

悪の黒幕ブライアンは、あらゆる病気に効く究極のワクチンが納められた箱を奪うため、甲賀忍者の虎大介(魔裟斗)を派遣した。彼らは首尾よくそれを手に入れたが、肝心の箱がどうやっても開かない。やがて、あるストリートミュージシャンの男(ダヨ・ウォン)がその鍵を握るとわかるが、敵対する伊賀忍者の響(白田久子)とシウリン(ホアン・シェンイー)が虎大介の前に立ちふさがるのだった。

35点
画面作りで手一杯な感

世界のオオトモこと、この映画の監督大友克洋は、代表作「AKIRA」をはじめ数々のアニメ映画、そして漫画の傑作を生み出してきたことで知られる。内外ともに信者とでもいうべき熱狂的なファンが多いことでも有名だ。そんな彼が、今回は実写映画に腕を振るった。それが「蟲師」だ。

舞台は100年前の日本。原生林に囲まれたこの国には、蟲と呼ばれる多種多様な生命体が存在する。ときには幽霊のように人に憑いたり、一般の人には見えぬ姿で移動したりする。そんな蟲たちと、その対処法の専門家を人々は蟲師と呼んだ。蟲を引き寄せてしまう体質のギンコ(オダギリジョー)も優秀な蟲師のひとりで、国中を旅しながら蟲と人の共存について思索をめぐらせていた。

映画は一話完結型の原作からいくつかの話を抽出し、多少のアレンジを加えてつなげたような構成。蟲のパワーを文字に封じ込める能力を持つ女、淡幽を蒼井優、ギンコの出生の秘密に関わる女蟲師ぬいを江角マキコが演じている。

35点
アルゼンチンババアが鈴木京香という点に無理がある

どこの町にも一人くらい、一風変わった人物が住んでいるものだ。ジャングルのような庭の奥のあばら家でひっそり暮らしていたり、ゴミ屋敷をせっせと拡大していたり、奇妙な格好をしていたり……。そしてそういう人物に地元の子供らは、たいてい変なあだ名をつけている。『アルゼンチンババア』は、そうした「変人」をモチーフに、人間の内面のもろさ、そして癒しというものの本質に迫ったドラマだ。

女子高生みつこ(堀北真希)の母が病で亡くなった。あれほど母を愛していた墓石職人の父(役所広司)はなぜか当日病室に姿を見せなかった。しかもその日以来、母の死から目をそむけるように失踪してしまう。やがて半年後、みつこは町外れの古いビルに住む、アルゼンチンババアとあだ名される奇妙な女(鈴木京香)のもとで父が暮らしていることを知り、意を決してそこに出向くのだが……。

原作者のよしもとばななは、ロシアやウクライナでも読まれている世界的な人気作家。代表作「キッチン」「TUGUMI」に続いての実写映画化となる。

35点
子ども映画として見ればまあまあ

『バッテリー』の原作小説は、児童向け文学ながら大人の読者の心をもつかみ、全6巻が500万部を超えるベストセラーとなった。となれば人気コンテンツの常で、まずは漫画化、そしていよいよ実写映画化というわけである。

岡山県の小学校に転校してきた原田巧(林遣都)は、大人の打者でも打てぬほどの快速球を投げる天才投手。自分の能力に絶対的な自信を持つ巧は、ある日わずか数球で自分の球をキャッチした同級生の永倉豪(山田健太)と運命的に出会い、バッテリーを組むことに。やがて同じ地元の中学校に入学した二人だが、徹底した管理野球を指導する監督と巧が早速衝突してしまう。

この天才少年は、心を許せる仲間に出会いながらも、あまりに高すぎる自分の能力に周りがついてこれず、孤独を感じ続ける羽目になる。病弱ながらも野球が好きな幼い弟と、それを心配するあまり過保護にする野球嫌いの母の間で難しい立場に立たされながらも、ひたすらマウンドに立ち続ける。やがてライバルが出現し、その対決はクライマックスとして観客を熱くさせる。じつにマジメでベーシックな少年野球ムービーだ。

35点
これまでのジブリの短所を引き継ぎ、かつ長所を捨てた

『ゲド戦記』は、『指輪物語』『ナルニア国ものがたり』に並ぶ、世界三大ファンタジーの一つとされる。原作者がかたくなに映像化を拒みつづけ、かつては、あの宮崎駿でさえ断られたというこの作品を、息子の宮崎吾朗は自身の初監督作に選んだ。アニメーション制作は、もちろんスタジオジブリ。興収100億円を狙う、2006年夏シーズンの大本命の登場だ。

人間の生活圏に現れるはずの無い龍が、立て続けに侵入する異常事態が発生。世界の均衡が崩れつつあると予感した偉大なる魔法使い=大賢人のゲド(声:菅原文太)は、原因を探る旅に出る。やがてゲドは、父親を刺して逃亡中の王子アレン(声:岡田准一)と出会う。アレンが生きる気力を失っており、放置できない事に気づいたゲドは、彼を連れ、知り合いのテナーの家に身を寄せる。そこにはアレンと同年代の孤児の少女テルー(声:手嶌葵)も住んでいたが、彼女は命を大事にしないアレンに対し、激しく非難するのだった。

『ゲド戦記』は、試写会などを見た人々から、早くもブーイングの嵐が巻き起こっている。確かに、あまり良い出来の映画ではないが、正直なところ、これに限らず最近のジブリ作品に傑作は無いので、私としては「まあ、こんなものだろう」という気持ちである。長年のファンにとっては、今のジブリは『天空の城ラピュタ』あたりまでの(宮崎駿作品の好評による)貯金を食いつぶしているようなもので、最初からあまり期待はしていないのだ。

35点
ラブホを舞台にした4つのドラマ

その名のとおり、ラブホテルを舞台にした男女のドラマ。登場人物も物語も違う短編4部構成で、その合間には飲み会と思しき若い男女の、恋愛に関する雑談がはさまれる。

さて、ラブホテルといえば、日本独自の文化。壁の薄い集合住宅、狭い一戸建てなど日本独特の貧しい住宅事情と、少々奥手な国民性が生んだ、不思議な存在だ。

不倫・浮気カップル、両親と同居中の新婚夫婦、まだ独立してない若い二人、自分の部屋ではできない特殊な性癖……匿名性の高い室内では、想像するだけで様々なドラマが展開していそうだ。ここに目をつけ、「ラブホテル」をテーマに映画を作るというのは、いいアイデアだ。場合によっては世界中の人々の興味を集めることもできるだろう。

35点
アメリカ育ちの方なら多少は怖い?

このタイトルをみたとき私は、ジョン・カーペンターの傑作ホラー『ハロウィン』シリーズに登場する殺人鬼の名前を真っ先に連想した。つまり、この映画はあのシリーズのリメイクだと思ったのである。

ところがそれは大きな間違いであった。なんでもブギーマンとは、欧米ではほとんど一般名詞に近いものだという。具体的には、子供をさらっていく架空の化け物を意味する。

そんなわけで本作は、『ハロウィン』とは無関係の、米国人の原体験的恐怖を描いた、正統派のオリジナルホラームービーである。

35点
綺麗な映画ではあるが、考証と人物描写の非リアルが気になる

極端な寡作で知られる映画作家、テレンス・マリックの最新作。……ときいて、胸躍らない人には不向きな作品だということを、最初に書いておこう。

これは、ディズニーによってアニメにもなったポカホンタスの物語の実写映画化。17世紀初頭のアメリカ大陸を舞台に、英国の冒険家ジョン・スミスとネイティブ・アメリカンの娘、ポカホンタスの恋と、アメリカの建国物語を描く。

しかし、見所はそうしたドラマ、ストーリーではなく、比類なき美しさを誇る映像の方。お芝居を、あたかもドキュメントのように撮った作品で、ワンシーン、ワンショットをゆっくりと、何度も何度も違う角度から、じ〜っくりと見せる、そういう映画だ。

35点
やる気が感じられない

「子供向き」と「子供だまし」という言葉は似て異なるものだが、映画『チェケラッチョ!!』には、その両方が当てはまる。

舞台は沖縄。主人公はさえない男子高校生3人組(市原隼人&平岡祐太&柄本佑)。彼らは気の強い同級生の女の子(井上真央)に誘われたインディーズバンドのライブでラップに目覚め、自分らもバンドを結成。次回のライブで、その憧れのバンドの前座で演奏することになる。

そんなありきたりなメインストーリーの中に、適当に恋愛要素が挿入される。年上の女性にあこがれる主人公、その主人公に憧れる気の強い同級生女子、その女の子に憧れる主人公の親友と、恋愛ベクトルが絵に描いたようなループ構造になっている。

35点
ロシア映画界がハリウッドを目指して作ったダークファンタジー

旧ソ連が崩壊した後、かの国の映画文化はほぼ壊滅状態に陥っていた。他の国がそうであるように、ロシアでもハリウッド映画が幅を利かせ、国内映画は衰退の一途をたどっていたかに見えた。ところが近年、相次いで国産映画がヒットを記録。興行収入の面でも、2005年度(9400万ドル)は、2000年度のなんと62倍にまで増えている。

なかでも、2004年に公開されたこの『ナイトウォッチ』は、ロシア映画の記録を塗り替えるほどの大ヒット、すでに3部作のPART2が本国では公開され、こちらも興行記録を更新中だそうだ。

舞台となるのは現代のモスクワで、光の勢力vs.闇の勢力という、異界の戦いを描いたダークファンタジーとなっている。はるか過去から、両勢力は戦いを繰り広げ、いまでは互いを監視する調査部隊("デイウォッチ"vs."ナイトウォッチ")の勢力均衡によって、1000年間の平和が続いているという設定だ。ところが、予言どおり、その均衡を崩すほどの能力を持った存在が生まれ、その存在を自陣営に取り込むべく、両者の戦いが始まるのだった。

35点
犬たちが上手すぎて泣けない

フジテレビ製作の大作日本映画『南極物語』(83年)は、邦画の興行記録を次々塗り替えた大ヒット作品となった。あれから23年ほど経った今、なんとハリウッドがリメイク、ディズニー映画として、日本でも公開される運びとなった。

舞台は氷に包まれた南極基地。主人公のジェリー(ポール・ウォーカー)ほか、調査隊のメンバーは、忠実な8頭の犬による犬ぞりを駆使して、日々の業務をこなしている。ある年、厳しい冬を前に無理をしてギリギリまで調査活動を行った結果、急激な天候悪化に見舞われ、やむなく犬を残して緊急退去する事になった。しかも、天候は回復せず、結局春まで犬たちを放置する事になってしまうのだった。

リメイクということで、置き去りにされた犬が、壮絶な南極の冬をサバイバルする展開や、春に戻ってくる人間たちと再会できるのかどうか? という展開も日本版と同じ。設定が、日本人&カラフト犬からアメリカ人&ハスキー犬その他へ変更となったが、大自然における動物アドベンチャーである点や、犬と人間の友情感動ドラマに仕立ててある点は同じだ。また、これはあくまでディズニー映画であるから、その味付けも推して知るべし。具体的にいうと、アメリカ版南極物語は、お犬様大好きな人々に、映画館で泣いてもらうための作風となっている。

35点
あまりに大味

親日家で知られ、日本でも人気の高い女優ジョディ・フォスター久々の主演作は、飛行中の旅客機を舞台にしたサスペンスドラマだ。

ジョディ演じる主人公は、夫を事故で亡くしたばかりで悲しみにくれる女性。あまりのことに、少々情緒不安定気味だ。そんな彼女が夫の遺体とともに搭乗したジャンボジェットの中で、ほんのわずか目を離した隙に、幼い娘がいなくなった。慌てて探すが、どこにもおらず、驚くべきことに乗務員からは「搭乗名簿に娘さんの名前はありません」と告げられる。まわりの乗客も、誰一人、最初から娘など見ていないという。

飛行中の航空機内で娘が誘拐された?! はたしてこれはヒロインの妄想なのか、それとも仕組まれた陰謀なのか。どちらとも判断しきれぬまま、物語は進む。このヒロインは、具合のいいことに、何とこの飛行機を設計した技師。つまり、何か隠せそうなスペースは全部わかる。そんなわけで、客室部分以外、天井裏や貨物室まで単独で勝手に探しまくるという、周りの人々大迷惑なお話である。

35点
あまり説得力はないが、復讐方法は三部作でも指折りの残虐さ

『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』に続く、韓国のパク・チャヌク監督の"復讐三部作"完結編。

清楚なルックスのヒロイン(イ・ヨンエ)は、わが子をある男(チェ・ミンシク)に人質に取られ、その男の罪をかぶって13年間投獄されてしまう。13年間の刑務所生活で怨念の塊と化した彼女は、出所後、復讐を開始する。

パク監督の復讐三部作は、すべて復讐をテーマにした映画だが、それぞれは独立した物語だ。もちろんこの作品から、あるいはこの作品だけを見ても何の問題もない。今回復讐者を演じるのは韓国の誇る清純派イ・ヨンエ。この、虫も殺さぬような顔をしたお姉さんが、残虐な復讐劇を見せる意外性がひとつの見所だ。まあ日本で言えば、小倉ゆうこりんが血まみれになりながら男をぶち殺すような、そんな映画だ。

35点
スターウォーズが公開されたら吹っ飛ばされてしまうだろう

トム・クルーズ主演&スティーブン・スピルバーグ監督という最強コンビによるSF超大作。H・G・ウェルズ原作による53年の同名映画のリメイクとなる。

主人公の港湾労働者(T・クルーズ)はこの週末、離婚した妻との間にできた息子と娘(ダコタ・ファニング)とともに過ごすことになっていた。しかし、天空からの恐るべき侵略者により、彼らの平和と地上は破壊される。

結論から言うと、『宇宙戦争』は「コドモ一人勝ちの映画」だ。コドモというのは、トム・クルーズの娘役を演じる天才子役のダコタ・ファニングのことで、文句なしに彼女はこの映画に出てくるほかの誰よりも演技力がある。ショーン・ペン、デンゼル・ワシントンでさえ、彼女と競演すると食われてしまうのだから、トム・クルーズでは話にならないとは思っていたがこれほどとは……。正直私は、タコみたいな宇宙人だとかはどうでもよくて、上映中、あの子役の中に何星人が入っているのか、そちらのほうが気になっていた。

35点
アクション重視の本作だが、それ以外の要素が弱くて不満

いわずと知れた人気TVアニメシリーズの映画版最新作。

まったくいつもと変わらない野原家に、ある日突然「ミライマン」を名乗る生命体がやってきた。肉体をもたない彼は、とりあえずそこにあったソフトビニール怪獣に乗り移り、野原家の面々に事情を説明する。なんでも時空の乱れにより怪獣が続々出現。数分後の未来に行って誰かが3分以内に倒さなければ、この世界にも怪獣たちが現れるというのだ。かくして野原一家の怪獣退治大作戦が始まった。

ミライマンの力のおかげで、未来世界では一人だけ望むヒーローに変身することができる。会社でも家でもまったくうだつのあがらない父ちゃんをはじめ、ここぞとばかりにヒーロー、ヒロインになりたがる野原一家。怪獣が弱っちい間はそれでも良かったが、やがて本当に強い怪獣が現れると……というストーリーだ。

35点
映像に凝る前にストーリーの組み立てをしっかり

郷田マモラ(『きらきらひかる』の原作者)の同名漫画を、「踊る大捜査線」の脚本家、君塚良一が初監督で映画化した作品。

法医学研究所に勤める主人公の監察医(東山紀之)は幽霊を見る事ができる。何かを伝えようとする彼らの声を聞き、その死の真相を突き止める事が、いまや彼のライフワークになっていた。しかし彼は、半年前に交通事故死した妻(和久井映見)の幽霊に対してだけは、いまだまっすぐ向き合うことができずにいた。

「泣けるホラー」という宣伝文句は映画版『MAKOTO』には当てはまらない。泣ける映画とは思えないし、ホラー映画というジャンルにくくるのもどうなのか。また、君塚良一の名前から娯楽映画を期待していくと、まったくそうではないので肩透かしを食らうだろう。

35点
チープすぎて大人が鑑賞するには……。

往年の特撮ドラマ『ウルトラマン』シリーズを、劇場用オリジナルストーリーで映画化したもの。

幼い息子との時間を大切にするため辞職を決意していた航空自衛隊のエースパイロット(別所哲也)は、最後のフライト中に赤い発光体とニアミスする。無事帰還したものの、やがて彼の体には変化が現れる。

シリーズのエッセンス、特に初期のものを色濃く加えたオリジナルストーリーによる映画版だ。ということで、大人のファンを狙っているのかと思ったら、とてもその鑑賞に耐える出来ではなかった。低予算で無理をした作品特有の安っぽさがそこここに見られ、さびしい限りだ。

35点
人体解剖にのめりこんだ記憶喪失の男の話

人体解剖をメイン題材とした個性的なドラマ。人間の生と死というテーマを独創性に富んだ映像表現で描くことで評価の高い塚本晋也監督(『鉄男』『六月の蛇』など)の最新作。

事故で記憶をなくした青年(浅野忠信)は、それでも以前と同じく医学生としての生活をはじめる。なくした記憶は相変わらず戻らないが、同時に人体の神秘にめざめた彼は、病的なまでに解剖実習にのめりこんで行く。

塚本監督は、もともと10年にもわたって解剖学についての資料を読み漁っていたそうで、本作の製作決定後はスタッフとともに実際の医学部の解剖実習に参加して、さらなるリアリティの強化に取り組んだ。実習シーンでは本物の医学生が多数参加し、キャストの指導にもあたったというだけあって、映画史上まれにみるリアルな「人体解剖」の場面が出来上がった。前腕の筋群を刺激すると指が曲がるなどという、異様によくできた模型・特殊メイクも見事だ。

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