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40点
演技達者の二人に不満は感じないが、なにか物足りない

日経新聞朝刊に連載された渡辺淳一の同名小説は、朝から下半身を元気にさせてくれる描写が満載で、オジサマたちの間でひそかに話題となっていた。やがてそのブームは映画界にも飛び火し、このたびめでたく一級の役者をそろえて映像化されることになった。それがこの「愛の流刑地」、通称愛ルケである。

かつてベストセラーを書いた作家(豊川悦司)が、人妻(寺島しのぶ)を殺したとして逮捕された。二人は愛人関係で、しかも交わっている最中に扼殺したという。男は彼女が「殺してくれ」と懇願したと主張、愛しているからこその行為だったと語る。二人の関係と真相を探る女検事(長谷川京子)は、不可解な男の主張にやがて説得力を感じ始める。

愛し合っていながらなぜ女は「殺して」というのか、女検事がそれを調べ、やがて共感していくくだりに、男女の愛を意外な角度から描くこの物語のテーマがある。

40点
主人公の特殊な性格設定が効果をあげていない

塚本晋也監督は、個性的な作風が海外で高く評価されている映画作家だが、新作『悪夢探偵』は娯楽に徹して作ったという。ジャンルはサイコサスペンスで、主演は松田龍平。監督自身も重要な役柄で出演している。

眠ったまま、自身を切り裂く奇妙な自殺事件が立て続けにおきる。しかも二人とも、携帯に同じ通話先への記録が残っていた。担当する女刑事(hitomi)は捜査を進めるうち、二人はこの人物に夢の中で暗示をかけられたのではないかと推測する。そこで彼女は他人の夢に入り込める超能力者(松田龍平)に協力を頼むが、他人の薄汚い内面に嫌気が差している男は、まったくその気はないようだった。

この監督が作るヒーロー物だから、もとより一般受けを考えているわけはないと思っていたが、インタビュー等を読むと今回ばかりはそうでもなさそう。意外な気持ちで鑑賞したわけだが、終わってみれば何のことはない、いつもどおりの塚本映画であった。

40点
このドキュメンタリーだけではまだまだ説明不足

甲野善紀という人物について、知らない人のために説明しよう。この人は日本の古武術を独学で研究するストイックな武術家だが、その真髄、奥義を現代の日常生活や介護の場に応用するという、ユニーク試みをすることで知られている。

一例をあげると、介護人泣かせの重い患者へ寝返りを打たせたり抱き起こしたりといった動き。これを甲野善紀は、いとも簡単にひょいとやってのける。患者の重心を意図的にずらすことで、スムースに体を移動させてしまう。

もちろん彼は、私のように体重が100kgもあるとか、パワーリフターであるとか、そういう特殊な体型ではまったくない。むしろ、身体の協調性を崩すとの理由でウェイトトレーニングを否定する立場であり、彼自身、平均程度の身長にかなりの細身という、どこから見ても力があるようには見えないタイプだ。

40点
前作のDVDを見ればすむ、というのでは少々物足りない

横溝正史の小説『犬神家の一族』は、ある程度以上の年齢層にとっては、日本で一番有名なミステリのひとつだ。横溝正史は、いわゆる本格もの(探偵役が論理的にトリックを暴き、犯人を当てるタイプの推理小説)の名手として、数々の傑作を残した推理作家。本作は、彼が生み出した名探偵、金田一耕助が活躍するシリーズの代表作。映画としては、76年に作られた同名作品のリメイクとなる。

犬神財閥の創始者が死去した。遺言には、なんと莫大な遺産をお気に入りの他家の娘(松嶋菜々子)に譲るとある。相続の唯一の条件は、彼女が直系である3人の孫の誰かと結婚すること。銭ゲバの親族たちは、あまりに非常識な内容に大激怒。案の定、凄惨な連続殺人が発生、名探偵金田一(石坂浩二)が真相を探る展開となる。

なんともまあ、無茶な内容の遺言を遺したものだ。このオッチャンは、相続を面白がってるだけなんじゃねえかと思ってしまうが、それはともかく、血族ならではの止め処もない嫉妬、憎悪がよく描かれたストーリーだ。あまりにも有名な話だから、謎解きや犯人あての楽しみがないのは惜しいところだが。

40点
シリーズの中でもっとも完成度が低い

このシリーズの第1作『SAW』は本当に素晴らしい映画だった。ほとんどの展開が一部屋のセット内で繰り広げられるのに抜群に面白く、奥が深く、そして怖い。伏線は大胆に張り巡らされ、最後には驚天動地の結末が待っている。ミステリファンもスプラッタ系ホラーファンも、大いに満足できる一品だった。

あれから2年、商売上の理由か駆け足で続編が作られ、早くも3作目だ。どんでん返しが最大の魅力というシリーズの性質上、犯人も手口も完全に知れ渡った今、パワーダウンは免れないが、果たしてどこまで踏みとどまれるか。

※※※※※

40点
物語に起伏がなさ過ぎる

『ラフ』『涙そうそう』と主演作品が続々公開されている長澤まさみよりわずかに下の世代で、私が注目している女優が多部未華子。このサイトでも高い評価をつけた『HINOKIO ヒノキオ』で、ユニークな役柄を演じた89年生まれの期待の若手だ。映画を中心に活躍する彼女の主演最新作がこの『夜のピクニック』。ノスタルジックなミステリを書く事でも知られる恩田陸の、同名ベストセラーの映画化だ。

全校生徒が徹夜で80kmもの道のりを歩きぬく、この高校最大のイベント「歩行祭」。3年生となり、今年が最後となった貴子(多部未華子)は、ある一つの思いを胸にこの日を迎えた。それは、今まで一度も話したことのないクラスメートの西脇融(石田卓也)に話し掛けるということ。実は彼は、彼女のある重大な秘密を、たったひとりだけ知る相手なのだ。ところが、そんなことは露知らぬ二人の友人たちは、彼らをカップルにしようと気楽に盛り上がっていた。

オープニング、歩行祭出発直前の校庭を一気になめる長まわしははっとさせるが、その後は失速。この映画は、2時間のほとんどが歩くシーンだが、その間引っ張りつづけるには、ヒロインの抱える秘密のネタが弱すぎる。おまけにその最大のネタさえも、パンフレットのイントロダクションでバラされていた。宣伝の方には、少し気をつけていただきたい。

40点
濡れ場の変化がある種の演出効果をあげる

『紅蜘蛛女』は、一言で言えば坂上香織のハダカを見るための映画である。さらに言うと本作は、彼女初の海外映画進出作品(香港映画)となっている。思えばかつてアイドルだった坂上香織は、93年に雑誌で突然ヌードグラビアを発表、世間にそれなりの衝撃を与えると同時に、女優への転進を決めた。その流れから見ればこの映画、文字通り裸で進路を切り開いてきた彼女らしい、海外への第一歩といえるだろう。

舞台は現代の香港。軽薄な中国人カメラマンのケニー(トニー・ホー)は、物憂げで美しい日本人女性、由美(坂上香織)に目をつけ、首尾よく一夜を共にする。ただの遊びと思っていたケニーだが、彼女は違った。ケニーが本命と仲良くしているのを目撃した由美は猛烈に嫉妬。ケニーを監禁すると、足の指を切り落とし、セックスを強要する日々が続いた。

危険な情事とミザリーを合わせたような、サスペンスタッチのエロティックドラマだ。香港を舞台にしてはいるが、非日常的な空間を感じさせる、ファンタジックなムード。血のりはチープだが、それでもそうした映像が与える恐怖はそこそこにある。ヒロインのもつ表面上の異常性、その裏側の寂しさを、坂上がなかなか上手に演じきっている。

40点
鑑賞後、真相をああだこうだ推理する楽しみはあるが

ニコール・キッドマンという女優は、脚本の選び方、すなわち次に自分がどの映画に出れば良いのか、の判断基準がしっかりとしている。トップスターの割に彼女の出演作は、予算規模の大きな作品ばかりではないのだが、どれもほぼ例外なく脚本が優れた、あるいは個性的な作品となっている。

このサスペンス映画『記憶の棘』も、なかなか意欲的な仕掛けのあるストーリーで、アメリカでは見た人の間で大きく解釈が分かれ、ちょっとした論争になっているという。

ヒロインの未亡人(N・キッドマン)は、10年前に最愛の夫ショーンを失ったショックからようやく立ち直り、その間待ちつづけてくれた新恋人(ダニー・ヒューストン)のプロポーズを受けることに。ところがそこに突然、同じアパートに住む少年(キャメロン・ブライト)が現れ、自分は夫ショーンの生まれ変わりだと告げる。

40点
古いタイプの反戦映画

『出口のない海』は、これまで何度か映画で扱われている、人間魚雷「回天」をテーマにした反戦映画。

「回天」とは、高性能魚雷(通常の3倍程度の爆薬を搭載し、一発で戦艦を沈めるほどの破壊力を有する)に操縦席を設けた特攻兵器、自爆兵器のこと。帝国海軍には、死を前提とした兵器は決して採用しないという人道的な伝統があるのだが、それでも採用せざるをえないほど、当時の戦局は追い詰められていた。

この映画は、そんな回天の搭乗員に志願した若き海軍兵士たちとその周辺の人間模様を、迫力ある潜水艦戦闘シーンを織り交ぜて描いた、万人向けの見やすい戦争スペクタクルだ。

40点
マイアミ・バイス風味ではあるが、マイアミ・バイスとはちょっと違う

30代以上の方にとって『特捜刑事マイアミ・バイス』は、海外ドラマの中でも抜群の知名度を誇るに違いない。80年代に地上波で夜のいい時間帯に放映されていたから、夢中になった人も多かろう。本作はそのリバイバル映画化となる。

合衆国各捜査機関による合同捜査の情報が漏れていることが明らかになり、マイアミ警察特捜課の潜入捜査官、ソニー・クロケット(コリン・ファレル)とリカルド・タブス(ジェイミー・フォックス)に、漏洩元の調査と割り出しが命じられた。彼らは麻薬ディーラーに扮して犯罪組織に乗り込み、捜査を開始する。

この映画については、テレビ版のファンが主な観客になると思われるが、彼らにとってはあまり満足の行く出来栄えではなかろう。オリジナルテレビシリーズで製作総指揮を担当していたマイケル・マンが、なんと200億円以上を投じて監督した超大作だが、どうも企画のコンセプトを間違えているような気がしてならない。

40点
不治の病にお涙頂戴、いつものワンパターン韓流ホラー映画

カツラに宿った怨霊を題材にした韓国ホラー映画。この時点で、髪が薄い男性諸氏を誘うことは絶対に許されない映画である。

ヒロインのスヒョン(チェ・ミンソ)は、まだ若い女性ながら、抗がん剤の副作用で髪の毛をすべて失ってしまう。姉(ユソン)は、余命わずかな彼女のため、町でカツラを購入し、退院させる。その姉も、交通事故で声帯を損傷、声を失っていたが、二人は穏やかな暮らしをはじめる。やがてかつらを身につけたスヒョンは、別人のように明るくなり、病状も嘘のように良くなった。ところがある日、スヒョンのかつらを無断で借りていった姉妹の友人が、謎の死を遂げてしまう。かつらを失ったスヒョンも、異常ともいえる錯乱振りを見せるにいたり、姉はこのかつらに隠された異様な力を意識するようになる。

姉も妹もえらく美人だ。とくに、『亡国のイージス』で、存在意義がよくわからない北の女性スパイを演じていたチェ・ミンソは、今回病気の妹ということで、スキンヘッドに大幅なウェイトダウンという役作りを実現、ほとんど余分な体脂肪がない、少年のようなバックヌードまで披露している。

40点
物語、恋愛ともども、低年齢向けアニメ並のリアリティ

中ロ両国をにらむように位置する、強力な西側軍事勢力=日本列島の事を、不沈空母、などとどこかの国の人は呼んだが、その日本列島が文字通り沈んだら、いったい世界はどうなるのか。そして、ここにすむ一億数千万人の国民は、どんな運命をたどるのか。

民族の自意識を問う、そんな問題提起をして大ヒットとなった小松左京の原作小説、そしてその73年の映画化作品を、まったく新しいパニック超大作として作り直したのが『日本沈没』。

草なぎ剛&柴咲コウという、大ヒット間違いなしコンビを主演に据え、73年版の大ファンという樋口真嗣監督(『ローレライ』ほか)が、得意とする特撮技術をふんだんに生かして作ったド派手な娯楽映画だ。

40点
次期ジェームズ・ボンドがギャングを演じる

ギャングの世界はいわゆる階層社会、それはまるで、レイヤーケーキのよう。タイトルは、そんな意味合いを含めてつけてある。本作はイギリス映画で、ジャンルは犯罪サスペンスだ。

主人公はある麻薬ディーラー(ダニエル・クレイグ)。名前はない。彼は、調子のいい今のうちに引退しようと目論んでいるが、そんな折、ボスから仕事が舞い込む。それは、闇社会の顔役エディの娘を探せという指令と、仲間が入手した大量のエクスタシーを売りさばけという、彼にとっては造作もない仕事のはずだったが……。

引退しようと思うギャングに、そんな簡単な仕事を押し付けるはずもなく、この二つの指令にはどちらもとんでもない裏がある。何かがおかしいと思わせ、徐々に真相が明らかになっていく。その過程を、さめているがどことなくユーモラスな会話と、シャープな映像でトントンと見せる。中でも主人公が、敵の暗殺者を狙撃しようとするシークエンスは、サスペンスフルかつ衝撃的な場面で一番の見所だ。

40点
男と時代に振り回される女の半生記

『ジャスミンの花開く』は、3世代の母子を3部構成で描く女性映画だ。3つの時代をそれぞれたくましく生き抜く母娘を、"アジアン・ビューティー"チャン・ツィイーと、ハリウッドでも活躍しているジョアン・チェンが一人三役までこなして演じている。

物語はまず1930年から始まる。ここでツィイーが演じる18歳の茉(モー)は、実家の写真館を母と営んでいる。何より映画が好きで、ムービースターを夢見る世間知らずの彼女だが、偶然にも映画会社の社長にスカウトされる。

第二部は1950年。今度は茉の娘、莉(リー)をツィイーが演じる。このヒロインも気が強く、せっかく中流以上の暮らしをしているのに、労働者階級の男と恋してしまう。ジョアン演じる母親は強く反対するが、莉は強引に家を出る。

40点
見てくれだけは似ているが

72年の傑作パニック映画のリメイク。この映画のオリジナル『ポセイドン・アドベンチャー』は、テレビ地上派で何度も放映されているから、若い人でも見た方は多いのではないだろうか。

大晦日の夜、遠洋航海中の豪華客船ポセイドン号が大津波により転覆、さかさまになってしまう。4000人の乗員乗客の多くが海に沈み、残った者たちによるサバイバル劇が始まる。

大予算をかけた、海洋パニック映画だ。洪水のような大量の浸水、逃げ惑う多数の乗客たち……。さかさまになった客船セット内で、出口を求めて主人公たちが奮闘する姿を、最新の視覚効果技術を駆使して描く。

40点
世界一の子役による、ダコタ・マジックも不発か

競馬の祭典、日本ダービーが開催されるから、というわけでもなかろうが(実際関係ないらしい by 宣伝部のオンナノコ)、今週来週と、立て続けに馬関係の映画が公開される。『夢駆ける馬ドリーマー』はその1本で、実話を元に作られた、ストレートな感動ドラマだ。

舞台はケンタッキー州レキシントン。主人公の調教師(カート・ラッセル)は、あるとき期待の牝馬ソーニャドールの脚に違和感を発見する。出走辞退を進言したが、オーナーの無理強いによりやむなく出走させた結果、ソーニャドールは転倒、骨折してしまう。

骨折したサラブレッドの常で、誰もが安楽死を覚悟したが、偶然観戦にきていた馬好きの娘(ダコタ・ファニング)の手前、彼は自分の報酬と引き換えに、ソーニャドールを引き取ることに決める。

40点
面白いが、つくりが荒っぽい

ジャケットは、このジャンルの白眉『バタフライ・エフェクト』(99点)に似た、タイムスリップ恋愛サスペンスである。

ときは1992年、頭に重症を負った主人公の元軍人(エイドリアン・ブロディ)は、ある事件に巻き込まれ、気が付くと病院で拘束衣=ジャケットを着せられ、奇妙な"治療"を受けさせられるハメに。ところが不思議なことに、目覚めるとそこは別の場所。そこで彼は、荒れた生活を送る女性(キーラ・ナイトレイ)に出会う。信じられないことに、彼女は彼がつい先日、道端で出会った幼い少女と同一人物であった。彼は、15年後の2007年にタイムスリップしていたのだ。

さて、この2007年で彼はさらに衝撃的な事実を知り驚く。自分がすでにこの時代、死んでいるというのだ。彼は運命に抗い、彼女と自分を救うことができるのか、というサスペンスである。

40点
主人公のその後を描く必要は無かった

物語にパート2を作るということは、前作の結末の意義を薄めるという一面がある。平たく言うと、ラストシーンがすばらしい映画にPart2というものを作ってしまうと、多くの場合それは"蛇足続編"になるという事だ。

『ロシアン・ドールズ』は、2002年のフランス/スペインの青春映画『スパニッシュ・アパートメント』の続編で、前作からほぼリアルタイム、5年後の登場人物の姿を描く。前作の最後で歩むべき道を悟った主人公(ロマン・デュリス)が、その後どうなったかというところから物語は始まる。スペインでの同居時代の仲間の結婚式におけるかつての友人たちとの再会、主人公自身の新しい恋の模索、仕事上の葛藤などが、前作同様みずみずしいタッチで描かれる。

将来の道が決まらない若者(といっても20台半ば)たちへ、希望にあふれる処方箋を出した前作とは打って変わり、今回は"本物の恋"はどう見つければ良いのか、にテーマの比重を置いている。

40点
お話は子供っぽいが、加藤ローサの魅力がはじける

『キャッチ ア ウェーブ』といえば、小倉智昭である。彼が、自身がメインキャスターをつとめる番組、とくダネ!のオープニングトークで絶賛したために、この映画の原作小説はベストセラーとなった。

私はそのときの放送は見ていないが、あの番組のオープニングトークは確かに目の付け所がいい。小倉氏はあのトークに相当力を入れているそうで、毎回ディレクターと入念に打ち合わせ、ネタ探しにも精を出しているそうだ。

そんなわけで、小説『キャッチ ア ウェーブ』は、あっという間に映画化が決まり、天下のワーナーブラザーズ映画によって全国公開されることになった。

40点
親バカを見せられている気分

『スパイ・キッズ』シリーズのロバート・ロドリゲス監督が、7歳になった息子のアイデアを映画化したファミリー向け3D映画。『スパイ・キッズ3』同様、赤青のメガネをかけて鑑賞する、アナグラフ方式。本来立体映画は、偏光グラスをかけてみる偏光方式のほうが、はるかに立体視効果が高いし、色合いも変化がないので眼が疲れず、あらゆる点で良い。しかし、メガネが使い捨てではない、すなわちレンタル方式なので、子供たちが映画を見た思い出に、赤青の立体メガネを持ち帰れる方が、このジャンルに限っては正義があるという事なのであろう。

あらすじは、空想好きの10歳の少年が、夢でみた冒険物語を、学校で発表するところから始まる。ところが、いじめっ子のクラスメートからはバカにされ、夢日記も奪われてしまう。その翌朝、彼の前に夢の中で活躍するヒーロー、シャークボーイとマグマガールが実際に現れる。彼らの惑星が危機に瀕しており、創造主たる主人公の力を貸してほしいというのだ。かくして彼らは、ロケットでその惑星に向かうのだった。

さて、到着すると、少年の理想の園だったはずの"よだれ惑星"は、見るも無残な氷の惑星に変わっていた。どうやら原因は、子供たちの夢を奪おうとするエレキ魔王らの仕業らしい。わずか45分というタイムリミットのなか、彼らは世界を救えるのか?! ……とまあ、子供映画の定番的なストーリーである。

40点
題材に興味がない人をひきつけるパワーに欠ける

『秘密のかけら』は、70年代のアメリカショービジネスの世界を舞台にした、ミステリードラマだ。エロティックな場面が多く、米国ではNC-17指定(17歳以下は鑑賞禁止)となり、日本でもR-18指定(18歳未満鑑賞禁止)になっている。

舞台は72年のロサンゼルス。主人公の女性ジャーナリスト(アリソン・ローマン)は、セレブの暴露本を出版し、名を売ろうと考えていた。彼女がその対象に選んだのは、少女時代に多大な影響を受けたデュオ、ラニー・モリス(ケヴィン・ベーコン)とヴィンス・コリンズ(コリン・ファース)。彼らがコンビを解消する原因となった、ある女性の全裸殺人事件の真相を、彼女はどうしても暴きたいのだった。

その取材過程で、主人公はかつて自分の英雄だったスターの真の姿に幻滅し、徐々に明らかになっていく驚愕の真相に、これまでの価値観を揺さぶられていく。

40点
ホラー映画としての怖さは日本版に劣るが、そもそもコンセプトが違う

ジャパニーズホラー『仄暗い水の底から』のハリウッド版リメイク。監督は『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレス。日本版で黒木瞳が演じたシングルマザーのヒロインは、日本でも人気のあるジェニファー・コネリー(『レクイエム・フォー・ドリーム』ほか)が演じている。

離婚調停中のヒロイン(J・コネリー)は、5歳の娘の親権を得るため、二人で暮らす部屋を探していた。やがて二人は、ニューヨークのある島の片隅にアパートを見つける。少々不気味で古い部屋ではあったが、急いでいたこともあって彼女は賃貸契約を結んだ。ところが、暮らしはじめた途端、部屋の天井に不気味な染みが現れ、水道からは黒い水が出てくるなど、気味の悪い出来事が相次いで起こりだす。

『仄暗い水の底から』の原作は、『リング』で知られる鈴木光司による短編小説だが、ハリウッド版のストーリー展開は、日本の映画版の方に忠実だ。話の舞台となるアパート(というか団地)の不気味な雰囲気や、管理人など脇のキャラクターも、比較的映画版に類似している。

40点
監督の思い入れが強すぎる

オーランド・ブルーム、キルスティン・ダンストという現在もっとも人気のある若手俳優二人が競演したドラマ。監督は『あの頃ペニー・レインと』でアカデミー脚本賞を取ったキャメロン・クロウ。

靴デザイナーの主人公(O・ブルーム)は、社運を賭けて取り組んだ自らの新商品が大コケし、社に莫大な損害を与えてしまう。そんな彼に、故郷の父が亡くなった知らせが届く。葬儀のためエリザベスタウンに向かった彼は、飛行機の中で人懐っこい客室乗務員(K・ダンスト)に出会う。

この作品の脚本は、キャメロン・クロウ監督自身が、父の死をきっかけに執筆したものだ。その時の葬儀でたくさんの親戚と出会った彼は、父の死を悲しみつつも、自らのルーツや家族愛の暖かさを再確認し、深く感動したのだという。そして、そのときと同じ思いを観客にも味わってほしいとの思いを込めてこの映画を作った。

40点
今映画化するなら、何か進歩がほしい

1971年から約2年間TV放送された、初代仮面ライダーシリーズのリメイク版。

大学院で、水の結晶を研究する本郷猛(黄川田将也)は、悪の秘密結社ショッカーの手で拉致され、バッタの改造人間にされてしまう。彼は、ショッカーの手先として働かされるが、やがて自我を取り戻し、組織と対立する。それを受け、ショッカーは刺客として仮面ライダー2号(高野八誠)を送り込む。

アクションシーンのロケ地は、原っぱや公園のような予算を食わないところばかりだし、ワイヤーワークも役者のアクション自体も、正直言ってテレビレベル。もうちょっとお金をかけることはできなかったのか。まあ、確かにそういうところも仮面ライダーらしいといえば、そういえなくもないが、やはり映画としては迫力不足に見えてしまう。役者の線がいかにも現代っ子的で細すぎる、というのも影響しているだろう。

40点
大人だけで見るものではないが、作りはしっかり

スキンヘッドがトレードマークのこわ持てアクションスター、ヴィン・ディーゼル主演のファミリー向けコメディ映画。

百戦錬磨の米海軍特殊部隊員ウルフ(V・ディーゼル)は、ある一家を護衛するため、ハウスキーパーとして潜入せよとの指令を受ける。家事などやったこともないウルフは嫌がったが、それ以上に問題なのは、こわ持てのウルフを屁とも思っていない5人の悪ガキどもだった。やがてウルフは、まるっきりいう事を聞かない子供らに、軍隊式スパルタ教育を施すことを決める。

ヴィン・ディーゼルといえば、これまで体を張った男っぽい役柄を中心にこなしてきたマッチョなアクションスターだ。外見はつるっぱげだし、声もドスがきいていてとても怖い。そんな彼が、ディズニー映画らしい子供向けほのぼのコメディに主演することになった。役柄はいままで通り、屈強な海軍隊員というものだが、そんな男が子供らにふりまわされ、ドジをふみ、間抜けなドタバタを繰り広げるという、ギャップを笑ってもらう企画である。コメディがうけやすいアメリカでは大ヒットした。

40点
一人浮いているキーラ・ナイトレイだが、見所も彼女に集中している

名優ローレンス・ハーヴェイの娘に生まれ、モデルとして活躍しながら、いつしかバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)の世界に足を踏み入れた実在の女性ドミノを題材にしたクライムドラマ。なお、本物のドミノは映画の完成と時期を同じくして、自宅の浴槽で変死体となり発見された。まだ35歳だった。

セレブの娘に生まれ、何不自由無く暮らしていたドミノ(キーラ・ナイトレイ)は、やがてその世界に飽き、生活も荒んでいった。そんなある日、賞金稼ぎの募集広告を目にした彼女は、自分の生きる道はこれだと飛びこんでいく。

やがて彼女は、社会の裏側を知り尽くした荒くれ男たちの世界で、めきめき頭角を表すのだが、彼女の父親代わりとして、この世界のルールを教えていく“リーダー”役を、ミッキー・ロークが好演している。ちなみに、この人物にも実在のモデルがいる。

40点
全くまとめる気がないくせに、妙な仕掛けのある奇妙な脚本

舘ひろしと柴田恭兵が演じる刑事コンビのハチャメチャかつクールな活躍を描くアクション&コメディドラマ。80年代に大人気を博したテレビドラマの久々の映画化だ。物語は98年のテレビスペシャルのラストの設定を受け継いだ続編となる。

7年前から行方不明になっていた主人公、鷹山(舘ひろし)と大下(柴田恭兵)は、韓国のプサンで潜入捜査官として活躍していた。小型核兵器の取引現場を派手にぶち壊した二人は、その後横浜に戻るが、そこではなんとかつての部下トオル(仲村トオル)が、捜査課の課長に昇進していたのだった。

韓国ロケのアクションシーンでは実銃を使い、物語も核兵器の取引やらテロやらと実に壮大。かなり本格的な内容かなと思いきや、やはり良くも悪くも『あぶない刑事』はテレビドラマであった。

40点
キレのないフツーのロマコメ

ダイアン・レイン、ジョン・キューザック共演のロマンティック・コメディ。

8ヶ月前に離婚したばかりで落ち込んでいるサラ(D・レイン)を心配して、姉は勝手に彼女のプロフィールを出会い系サイトに登録した。10年程度はサバを読んだ写真と、ハッタリをかましたプロフ内容が功を奏してか、サラはたくさんの男性からデートを申し込まれるが、実際会ってみるとどの男もろくでもない。立ち直らせるつもりがかえって逆効果になりつつあったとき、犬好きのちょっと魅力的な男性(J・キューザック)が彼女の前に現れる。

さて、それと平行してリアル生活の方でも、ちょっと素敵な男性が現れて、サラは両者に心引かれていくのだが……というお話。

40点
似たような時代劇が多すぎる

「たそがれ清兵衛」等で知られる藤沢周平の傑作小説を映画化したもの。黒土三男監督は、2003年に作られたテレビ版で脚本を担当した人。この作品に対しては、とても強い思い入れがあるという。

ときは江戸時代、東北の小藩。このころ15歳の文四郎は、下級武士の義父と暮らしていた。ところが義父は藩のトラブルに巻き込まれ、切腹を命じられてしまう。その日から罪人の息子の汚名をかぶることになった文四郎だったが、淡い恋心を育んでいた隣家の幼馴染ふくは、変わらず接してくれるのだった。やがてふくは奉公のため町に出て行くが、時が過ぎ、彼らは意外な形で再会を果たす。

政治的な思考とは無縁に、まっとうな道を生きる市井の人間たちを賛美した人情時代劇だ。誠実でひたむき、かつ生きることに不器用な男、そしてやさしく一途な女。たとえどんな結末を迎えようとも、こういう二人にとって悲劇はない。そんな純愛と、(今は失われつつある)日本的ないさぎよい生き方を美しく描いた作品だ。

40点
シリーズファン以外にはすすめにくい

フジテレビの優良コンテンツ『踊る大捜査線』シリーズの人気キャラクター、室井慎次を主人公にしたスピンオフ作品。スピンオフとしては『交渉人 真下正義』に続く2作目となる。本作では、このシリーズの脚本を手がけてきた君塚良一がシリーズ初監督を務めている。

警視庁・室井管理官(柳葉敏郎)は、指揮した殺人事件の捜査で不祥事がおこり、その責任をとらされ逮捕されてしまう。彼を弁護する新人弁護士(田中麗奈)が奮闘するも、相手側弁護士(八嶋智人)の露骨な追い込みにより、室井側は窮地に立たされる。

シリーズの中でもずいぶんと地味なストーリーを持つ一本である。筋書きが地味だから、というわけでもないだろうが、その分演出はいつにもまして演劇的で、けれん味たっぷりなものになっている。出てくる弁護士や警察官は誰一人そうは思えぬ風貌だし、警察署の内装もしかり。マジメに働く労働者たちと薄汚い権力側の対立という極端な構図も一貫している。これはもはや、警察を題材にしたファンタジー映画とでもいうべきレベルに達している。

40点
あるカップルの出会いから別れを時間軸を逆に描いたドラマ

フランスの若手注目監督フランソワ・オゾン(「8人の女たち」「スイミング・プール」など)の最新作。

主人公は30代のカップル、マリオンとジル。二人は離婚手続きを終えると、まるで「最後の記念」とばかりに激しいセックスをする。妻だったマリオンに対し、いまだ未練があるかのように見えるジルはコトの後、「やり直せないか?」と聞くが、彼女は答えることなく去っていく。そして時間は遡り、まだ結婚生活を過ごしていたころのエピソードがはじまる。

二人のカップルの出会いから別れまでを描いた5つのエピソードを、時間軸を逆に並べた恋愛ドラマ。ストーリーに大きな起伏はなく、淡々と二人の経験した出来事が描かれる。一風変わった構成や、各エピソードのつなぎとしてかかる音楽の選曲センスに、この監督らしい個性を見ることができる。

40点
所々前作を思い出させ、それなりに楽しめる

1987年にパトリック・スウェイジ主演で公開され、ちょっとしたダンスブームを巻き起こした『ダーティ・ダンシング』の続編。……というか、リメイクというか、微妙な内容だ。

舞台は1958年、革命前夜のキューバ。そこに18歳のマジメちゃん女子高生(ロモーラ・ガライ)が父親の転勤でやってくる。はじめてみるラテンの陽気なダンスに心奪われた彼女は、ダンスの名手であり、すんでいるホテルのウェイターでもある若い男(ディエゴ・ルナ)と親しくなる。

やがて二人は賞金のかかったダンス大会に出場するため、猛特訓をはじめるという話。二人は見てのとおり、お金持ちのお嬢さんと現地の貧乏な労働者という、いってみれば「身分違いの恋」というやつだ。そこに当時の政治状況が絡み、二人の恋を翻弄していくあたりはちょっと意外な展開ともいえる。

40点
お手軽続編だが、二人の女優の魅力でそこそこ見せる

隣のお姉さん的親しみ易さが人気の女優サンドラ・ブロックが、潜入捜査としてミスコンに出場するコメディ「デンジャラス・ビューティー」の続編。

前作の事件における大活躍で有名人となり、すっかり面が割れてしまった主人公のFBI捜査官(S・ブロック)は、やむなく一線を離れ、FBI広報担当としてメディア出演の日々を送っている。そんなある日、親友のミス・アメリカが誘拐されたとの報を聞いた彼女は、たまらず独自で捜査をはじめる。

前作はいわゆる女性の「変身願望」を満たすかのような作品で、「男勝りの捜査官がミスコン美女に大変身」というのがひとつの重要なモチーフになっていた。この続編ではそれに加え、主人公以上に男勝りな黒人捜査官(レジーナ・キング)を登場させることで、女同士のバディムービーという要素をメインに押し出している。

40点
ドッジボールをネタにしたお馬鹿映画

意外なスポーツ、ドッジボールを題材にしたスポーツコメディ。

寂れきったトレーニングジムの貧乏オーナー(ヴィンス・ヴォーン)は、宿敵でありリッチでマッチョな隣のジムオーナー(ベン・スティラー)による買収の危機にあっていた。30日以内に5万ドルを作らねばならなくなった彼は、ラスベガスのドッジボール大会の優勝賞金を狙い、ジムのマヌケな仲間たちを集めた。

ジャンルはおバカ映画というやつで、全編アホでナンセンスなギャグの連発。スポーツを題材にしてはいるが、それ自体が見所になっていないところはちょっともったいない。

40点
エンタテイメントとしてはまだまだ

正岡子規のふるさと、愛媛県松山市で行われている高校生俳句コンテスト「俳句甲子園」を題材にした青春映画。宣伝によると「文化系スポコンムービー」というらしい。

統廃合を前に、なんとか学校名を歴史に残したいという校長の方針により、「俳句甲子園」への出場が国語教師に命ぜられる。最低出場人数5名をかきあつめたはいいものの、やってきたのはクールで協調性にかける帰国子女、太りすぎでチアリーダー部をクビになった女生徒、いつもウクレレ片手の天然少女、盗撮ばかりしているカメラ部長、野球部の万年補欠といった、どうしようもない落ちこぼればかりであった。

さて、そんなでこぼこ5人組が、俳句なんていうジジクサイ(と映画では何度も強調)部活をやるはめになり、しかも全国大会で優勝を目指すという青春コメディだ。若い役者たちは舞台劇のようなオーバーアクトでそれぞれの役柄を演じ、おかげでとても明るく、からっとした仕上がりになっている。

40点
感情移入しにくい、初心者お断りのドラマ

元コメディアンで日本でも人気のあるジム・キャリー主演、その他のキャストも豪華絢爛、脚本はハリウッドで引く手あまたの人気者チャーリー・カウフマン(本作でアカデミー脚本賞を受賞)という、話題性抜群の恋愛ドラマ。

別れた恋人(ケイト・ウィンスレット)とよりを戻そうと思っていた主人公(J・キャリー)は、ある会社から「彼女はアナタの記憶を消し去りました」という手紙を受け取る。その会社では、特定の記憶を消す手術を請け負っていた。傷心の主人公は、自分も彼女の記憶を消すことを決意、手術を依頼するのだが……。

全編SFというわけではなく、超自然的な設定はこのひとつのみ。もし失恋の記憶を消せるとしたら、あなたはどうしますか? というわけである。主人公は、あまりにつらいその記憶を一時は消そうとするのだが、消去作業中に彼女との幸せだった日々を思い出し、心変わりをする。しかし主人公の体自体は完全な眠りに落ちているため、施術者側にその思いを伝えることができない(途中での中止不可)。このままではかけがえのない大切な記憶が消されてしまう! 記憶の中の彼女はまだ自分と愛し合っていたころのまま、なんとか目の前の彼女を守らなくては!……という展開である。

40点
こんどのへびはたくさんだよ

ジャングルに巣くう、巨大蛇アナコンダに襲われる恐怖を描いたパニック映画の続編。

舞台はインドネシアのボルネオ島。今ここには、7年間で2週間だけ開花する希少な植物が咲いている。この花には巨額の利益を生む薬効成分が含まれており、それを目当てにアメリカから研究者チームがやってきた。悪条件の中、無理やり雇ったボロ船でジャングルに向かう一行だが……。

この後は書かずとも想像できるとおり、大きなヘビさんに人間がパクパク食われてしまうという展開をたどる。8年前の前作とはまったく無関係な筋書きで、アナコンダが出るという点が共通している程度の続編だ。ジャニファー・ロペスという大スターが主演していた前作に比べると、なんだか無名に近い役者ばかりだが、それなりに面白く仕上がっている。

40点
本格的な戦争ドラマを期待しないように

人気作家の福井晴敏(「亡国のイージス」ほか)による原作(「終戦のローレライ」)をもとに、平成ガメラシリーズで知られる特撮のスペシャリスト樋口真嗣監督が作り上げた潜水艦アクション大作。

第二次世界大戦末期、米軍による空襲は日本本土に及び、ついに原子爆弾が広島、長崎に投下される。主人公の艦長(役所広司)と若き乗組員(妻夫木聡)らは、首都東京へ向けた3発目の原爆投下を阻止するため、ドイツ軍から接収した最新型潜水艦「伊507」で敵陣に突入する。

さて、上記「ローレライ」のあらすじを読んで、「邦画界久々の骨太な戦争フィクションか?」と思ってしまう方もいくらかはいよう。しかし、本作は一言でいえば「アニメ風味の実写映画」であるから、普通の大人の皆様にはすすめにくいとまずは言っておこう。

40点
イ・ビョンホンを見れればそれでいいという方なら

放映中のドラマ『美しき日々』(何度聞いても主題歌が笑える)で競演中の韓国スター2人、イ・ビョンホン&チェ・ジウによるちょっとエッチなラブコメ。

美人3姉妹の末妹(キム・ヒョジン)は、お金持ちのイケメン(イ・ビョンホン)に一目ぼれ。猛烈なアタックで見事ゲット……したかに見えたが、彼はさらに上を行くプレーボーイだった。女性に愛を与える事が生きがいの彼は、学問一筋でいまだ処女の次女(チェ・ジウ)や、セックスレスで女を忘れかけている人妻の長女(チュ・サンミ)にさりげなく近づき、そのハートをがっちりとつかんでしまう。

お気楽な音楽と多数のテレビスターのいつもどおりの演技が楽しめるラブコメ。ちょっぴりのエッチ風味を控えめなお笑いで照れ隠ししたような、なんとものんきな一本だ。

40点
一般劇場で再公開される異色のピンク映画

林由美香主演のピンク映画。もとのタイトルは『熟女・発情 タマしゃぶり』というもので、好評につき今回一般劇場で公開されることになった。日韓文化交流として、チョンジュ国際映画祭の招待作品になっているのも話題だ。

ボウリング場で働く無口な30代女(林由美香)は、出会ったばかりの郵便局員に恋をする。毎日弁当と夕食を作り、セックスも含めて尽くしぬいた彼女だったが、逆にうるさがられて捨てられる。だが、彼女はこの恋をあきらめることができなかった。

数百万円という低予算ながら高価なフィルムを使って撮影するピンク映画は、NGの少ない擬似本番とアフレコでの撮影が基本だ。本番の迫力を何度でも撮影可能なビデオカメラで写しこむアダルトビデオとはそこが大きく異なっている。

40点
こんなに違和感のある配役は通常ありえない

宮崎駿監督による3年ぶりの新作長編アニメーション。製作はおなじみのスタジオジブリ。魔法使いハウル役の声に木村拓哉が声優として挑戦。

帽子店で働く18歳の少女ソフィー(声:倍賞千恵子)は、魔女に呪いをかけられ90歳の老婆にされてしまう。家族に真実を打ち明けられぬまま家を飛び出したソフィーは、やがてハンサムな魔法使いハウル(声:木村拓哉)の城で、家政婦として住み込むことになる。

さて、いよいよ今年の大本命、宮崎アニメ最新作の登場だ。イギリスの児童文学作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『魔法使いハウルと火の悪魔』をもとに映画化した本作の舞台は、ヨーロッパの雰囲気をもった架空の町。そこでイケメンの若い魔法使いと90歳の老婆が恋をするという物語だ。

40点
主演のジョニー・デップが一人で支えている

ホラー小説界の帝王、スティーブン・キングの原作を、ジョニー・デップ(『パイレーツ・オブ・カリビアン』の海賊ジャック役など)主演で映画化したサイコ・スリラー。人気作家が不気味なストーカーに追い詰められる姿を描く。

妻と別居中の人気作家(J・デップ)は、人里はなれた湖畔の別荘でひとり暮らしている。ある日、スランプに陥った彼を正体不明の男が尋ねてくる。その男は「おまえの小説は俺の盗作だ」と言い放ち、つきまとうようになる。

開演直前に駆け込んだため、この映画は事前にパンフレットなど読む間もなく見た。見ながら「なんだかどこかで聞いたような話だなぁ」と思っていたら、大昔に読んだ原作の映画化だった。(本作はS・キングの小説『ランゴリアーズ』に所収された中篇『秘密の窓、秘密の庭』を長編映画化したものだ)

40点
裏事情に振り回された哀れな作品

アジア映画の巨匠、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督が、アジア映画のスターを集結させて作ったSF+恋愛映画。SMAPの木村拓哉の海外映画進出作品としても話題になっている。

舞台は1967年の香港。主人公のフリーライター(トニー・レオン)はSF小説「2046」を書いている。彼は、アパートの隣人(チャン・ツィイー)や大家の娘の彼氏(木村拓哉)など、身近な人物をその小説の中に登場させるのだった。

『2046』の製作はトラブル続きで、何年経っても出来上がらないので「永遠に完成しない映画」と揶揄されていたが、先ごろのカンヌ映画祭でようやく日の目を見ることになった。……が、その後も大幅な編集作業と追加撮影が行われ、このたび公開されるバージョンはかなり違った印象になっているという。

40点
単純な定番テーマも飽きられつつあるか

膨大な製作費をかけて、19世紀のアメリカの伝説「アラモ砦の戦い」を描いた超大作ドラマ。

1835年のテキサス、サンアントニオ。メキシコ軍に占領されていたこの町を奪回したテキサス軍は、アラモ砦に立てこもっていた。皆からの信頼厚き義勇兵のジムは、「アラモを捨て、広い戦場で決戦せよ」との司令部命令を受けていたが、強い思い入れのあるこの砦を捨てられずにいた。やがて歴戦の勇士デイヴィ・クロケットの一団が助っ人にやってきて砦の士気は上がるものの、敵の圧倒的な大軍はすでに目前に迫っていた。

「アラモ砦の戦い」といえば、わずか200名弱のテキサス男たちが、数千の敵メキシコ軍相手に奮闘し、最後は玉砕したと言う有名な悲劇の戦いで、アメリカ人なら誰もが知っている国民的アイデンティティーともいうべき史実だ。1960年にジョン・ウェインが監督・主演で映画化したのを筆頭に、何度か映画、テレビ化されてもいる。今回はかつてない製作費を投入し、新たにいくつかの歴史上の新解釈をもりこんで映画化されたもので、なかなかの力の入りようだ。

40点
けれん味だけでは満足度は低い

国際的に高い評価を得ているCMプランナー多田琢&ディレクター関口現のコンビが、広告業界の人脈を駆使して手がけた斬新なコメディ作品。浅野忠信、小泉今日子、千葉真一といった豪華キャストも話題だ。

何度殺しても死なない妻を持つ男の話、術をかけられたまま催眠術師が死んでしまった男の話、その催眠術師の愛人であるCMプランナーの話、彼女に殺しを依頼される外人の殺し屋とその通訳の話、そして空き巣で暮らす奇妙な3人組の話。この5つのストーリーが同時進行する。

CM監督出身らしい斬新なビジュアル、独特の色彩感覚、そして作品にマッチした音楽はさすが。役者もそれに合わせて突き抜けた演技を見せる。とくに「何度殺しても死なない妻編」で妻を演じる橋本麗香や、「術をかけたまま死ぬ催眠術師編」の阿部寛のインパクトはかなりのもの。これはなかなか見ごたえがあった。

40点
前作をこよなく愛する人に

人気アクションスターのブルース・ウィリスと、TV『フレンズ』のチャンドラー役で知られるマシュー・ペリー共演の殺し屋コメディ『隣のヒットマン』(2000年)のPART2。主要なキャストを同じくして送る完全なる続編だ。

引退した伝説の殺し屋ジミー(B・ウィリス)は、今ではメキシコで愛する妻の主夫として悠々自適の生活を送っている。ところが恩人である歯科医オズ(M・ペリー)の妻がマフィアに誘拐され、助けを求めてきたことから、再び騒動に巻き込まれてしまう。

平凡な歯科医の隣に凄腕の殺し屋が引っ越してくることで始まる騒動と、まったく住む世界の違う二人のギャップで大いに笑わせた前作から4年、相変わらず楽しそうに役柄を演じる主演二人が印象的だ。

40点
ホラーというより戦争ミステリ

スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル製作、ホラー界の鬼才ギレルモ・デル・卜ロ監督によるスペイン製ホラー映画。

内戦下のスペイン、人里はなれたところにある孤児院が舞台。新たに連れてこられた主人公の少年は、その地下室で成仏できない少年の幽霊と出会う。最初は恐怖におびえる彼だったが、やがて霊が自分に何かを伝えようとしていることに気づく。

最初に『ホラー映画』と書いたが、一般に想像される怨霊ものホラー映画ではない。予告編や広告イメージには、おどろおどろしい特殊メイクの幽霊の姿があったり、そもそもタイトルがいかにもそれっぽいので勘違いしてしまいがちだが、『デビルズ・バックボーン』は、戦争の悲劇を描いたシリアスな映画である。ミステリの要素も強く、ホラーという印象はあまりない。

40点
チャン・ツィイーの舞は美しいが

2002年の大ヒット映画『HERO』の監督による最新作。衣装やアクション監督等のスタッフも共通で作られた武侠アクション映画だ。

9世紀中頃の中国。唐王朝の衰退期、政府は反乱集団”飛刀門”のリーダーと目される踊り子(チャン・ツィイー)を捕らえるべく、リウ(アンディ・ラウ)とジン(金城武)を派遣する。

『HERO』でおなじみとなった、原色使いの画面作りは健在。フワフワ浮かぶワイヤーアクションと、けれん味たっぷりに使われるCGも満載だ。

40点
ホラー映画マニア向けのとびきり悪趣味な一品

熱狂的なホラーマニアでもあるロック・アーティストのロブ・ゾンビが初めて監督したカルトホラー。自らのマニアックな趣味と情熱を注ぎ込み2000年に完成したものの、米国では配給会社にそっぽを向かれ、3年後になんとか公開にこぎつけたといういわくつきの一本。しかしながら、その間の数年間にロブ・ゾンビ人気が盛り上がったことで、わずか700万ドルの低予算映画ながら、本作は全米興行ベストテンに入るほどのヒットを記録した。

舞台はアメリカの田舎町。奇妙なスポットを取材しながら全米各地をドライブしている主人公ら4人の若い男女は、偶然立ち寄ったガソリンスタンドで「この町には誘拐した人々へ残酷な改造手術を行った異常な外科医“ドクター・サタン”の伝説がある」と聞き、早速その場所へと向かう。だが、途中で車がパンクしてしまい、近くの民家に避難することに。

殺人鬼が巣くう不気味なホラー屋敷におびき寄せられた運の悪い若者たちが、監督の悪趣味全開の残酷でお気の毒な仕打ちをひたすら受ける、B級テイスト満載のホラームービー。

40点
往年のファンにとっては不完全燃焼か

主に日本とヨーロッパで人気のある(米国では本格的に放送したことがないため知名度は低い)、同名のアクション人形劇のTVシリーズを初めて実写映画化した作品。時代設定はTVシリーズの少々前。まだ学生時代の末っ子アランが主人公だ。

国際救助隊サンダーバードの設立者であるジェフの末っ子アランは、それぞれのオリジナルメカを操って大活躍する兄たちと違い、いまだに救助隊の正式メンバーになれずにいた。そんなある日、宿敵フッドの陰謀で兄たちが捕らえられ、基地を乗っ取られてしまう。残されたアランは、協力者のレディ・ペネロープとともにフッドの野望を阻止せんとするが……。

精巧なマリオネットとアイデアあふれる特撮で人気を博したイギリスのテレビシリーズが、このたびVFX満載のアクション大作として映画化された。往年のファンにとってはたまらないであろう。

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