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40点
日本アニメ「マッハGoGoGo」のハリウッド実写版

『スピード・レーサー』は、『マトリックス』三部作を作り上げたウォシャウスキー兄弟がアメリカでも人気がある日本アニメ「マッハGoGoGo」を実写化したもの。人物以外ほとんどデジタル処理された画面をみると、はたしてこれを"実写化"と呼んでいいのか疑問を感じなくはないが。

レース中に事故死した兄を敬愛し、自身もレーサーとして頭角を現すスピード・レーサー(エミール・ハーシュ)。彼は、父(ジョン・グッドマン)が設計し一家総出でバックアップするマッハ号を駆り、圧倒的な力を見せ付けていた。そんな彼に大企業のオーナー(ロジャー・アラム)から好条件のオファーがくるが、家族を大事にするスピードは断ってしまう。するとオーナーは手のひらを返したようにあらゆる妨害を始めるのだった。

キャンディをぶちまけたような原色の色使い、めまぐるしいスピード感にのっけから心奪われる。ただ、私は試写室の最前列で見たのだが、これは失敗だった。画面の情報量が多すぎる上に動きが早すぎて、ついていくだけで猛烈に疲れた。皆さんには後部に陣取ることをアドバイスしておこう。

40点
米国公認のポルターガイスト実話

アメリカには、テネシー州中心に語り継がれるベル・ウィッチ事件という魔女伝説がある。彼らキリスト教徒にとって"魔女"とは、その信仰を打ち破られるトラウマ的恐怖の対象。中でも、多数の記録書物が残るこの事件だけは、確実な実話として別格扱いされているという。日本ではオカルトファン以外誰も知らないが、オスカー女優リース・ウィザースプーンの製作中の新作でも、この事件が扱われているくらいだから、あちらではメジャーな怪談のひとつといえるだろう。

『アメリカン・ホーンティング』は、この伝説を実話として描く恐怖映画。観客を驚かせるホラームービー的仕掛けも多いが、全体的には再現ドキュメンタリーのごとき、生真面目なつくりになっている。ああ、アメリカ人は本気でこの話を怖がってるんだなあと、彼我の宗教・民族的差異にまずは感心。

テネシー州の古い屋敷。一家の娘ジェーン(レイチェル・ハード=ウッド)は、毎夜悪夢にうなされていた。心配する母は、あるとき屋根裏から発見された古い手紙の内容に驚く。そこには1818年当時、この家の主人だったジョン・ベル(ドナルド・サザーランド)の娘(レイチェル・ハード=ウッド/二役)が、同じような目にあった顛末が詳しく綴られていた。

40点
ずいぶんと思い切った吉野紗香

ハードボイルド作家白川道(しらかわとおる)のギャンブル小説『病葉(わくらば)流れて』は、賭け麻雀の世界にはまりこむ若者を生々しく描き、青春小説の側面からも好評を得た。本作はその映画化。

学園紛争華やかりしころ、大学生の梨田雅之(村上淳)は、四浪二留で、同じ学生とは思えぬ虚無的なムードを持つ永田一成(田中哲司)に強く興味を持つ。彼に近づいた梨田が見たのは、マージャン博打の世界。その危なげな空気を吸いたくて、彼は徐々にのめりこんでいく。そしてその最中に出会った、喫茶店で働くテコ(吉野紗香)とも、やがて惹かれ合っていく。

バクチと女、どちらも破滅の香り漂う魅力的な娯楽……いや、人によっては生きるすべてだが、そこに足をすくわれる若者の姿が妙にリアル。といっても、そう感じるのはオジサン世代だけで、今時の本物のワカモノはそうしたものに興味を持つ暇もないのが実情かもしれない。実際、その二つを知らずとも、人生を楽しく生きることは出来る。

40点
苦悩する女王陛下

本作はアカデミー賞に多数ノミネートされた98年のイギリス映画『エリザベス』の、およそ10年ぶりの正統なる続編。監督・主演女優はじめ主だったメンバーは前作と同じ。

特定の人物にスポットをあてる歴史映画は難易度が高く、その対象によほどの愛情がなければ作れるものではないが、この映画の作り手たちのエリザベス一世に対するそれは相当なもの。女王陛下への10年越しのラブコール、その出来やいかに。

ときは1585年。イングランド女王エリザベス(ケイト・ブランシェット)は、いまだ気の休められぬ日々を送っていた。国内には対立するカトリックの強大な勢力があり、国外には列強が虎視眈々とこの国を狙っていた。最大の問題は従姉妹のスコットランド女王メアリー・スチュワート(サマンサ・モートン)で、エリザベスの正統性を問題にするものたちが彼女を担ぎ、女王の座を脅かすのだった。そんなときエリザベスは、野性味あふれる探険家で詩人のウォルター・ローリー(クライヴ・オーウェン)と出会い、決して成就せぬ恋に溺れていく。

40点
山崎真実の魅力をまだ生かしきれていない

特定のタレントが国民大多数の支持を受けていた時代と違い、"芸能人に興味を持つ人々"という母数じたいが少なく、好みも多様化する現在、アイドル映画という名のビジネスモデルはとっくに崩壊している。

その子が出ているというだけでは客を呼べない以上、どう付加価値をつけるかがカギとなってくるが、山崎真実のようなスポーツ少女の場合、やはり「とりあえず動かせ」となるのは当然といえよう。

謎の人体実験「プロジェクト・ペルソナ」により、超人的な格闘能力を得た女子大生、日和(山崎真実)。施設を脱走した彼女は、妻を失ったばかりの医師、幸一郎(萩原聖人)と出会い、やがて行動を共にする。追っ手を倒しながら逃げる最中、幸一郎は妻の行方とプロジェクト・ペルソナの悲しき真相を、同時に知ることとなる。

40点
スキーアクション大作(上げ底)

『銀色のシーズン』は、スキーを題材にしたブロックバスター的映画……を狙ったアクションドラマである。

スキー客が命綱の寂れたある観光町は、客寄せの目玉として雪の教会での結婚式を企画した。いちはやく東京から到着した花嫁の七海(田中麗奈)を、大歓迎で迎える町内会の人々。そんな彼らの悩みの種は、ゲレンデを暴れまわる凄腕スキーヤー城山銀(瑛太)率いる悪ガキ3人組。ところがひょんな事から、その銀はスキー初心者の七海をコーチすることに。

スキー初心者には、荒唐無稽な前半のスキーアクションが楽しい。屋根の上や川の水面、階段の手すりなど、縦横無尽にすべりまくる姿は、とっても爽快だ。

40点
安っぽい感動のために、9.11被害者の気持ちを利用するとは

実際の事件を脚本に取り込んだ劇映画は、その事件の記憶が新しいうちに作ると、たいてい偽善的で薄っぺらいものになる。アメリカ史上最大の衝撃事件、9.11テロ関連となれば、それはさらに如実となる。

マンハッタンで成功した歯科医として、家族と幸せに暮らすアラン(ドン・チードル)は、大学時代のルームメイト、チャーリー(アダム・サンドラー)を街で見かけて声をかける。ところがチャーリーは視線が定まらず、アランの事も覚えていないという。その尋常でない雰囲気に驚いたアランは、その後ちょくちょく彼を気にかけるようにするが……。

久々に再会した親友は、家族を9.11テロで失い、何もかも変わってしまっていた。正反対に、絵に描いたような幸福な暮らしを享受するアランは、何とか彼を救いたいと思う。かつてチャーリーと一心同体で学生時代を過ごしたアランは、自分が彼の運気を奪ってしまったのように感じたのかもしれない。男同士の、感動的な友情ドラマだ。

40点
非アニメで子供が見られる貴重な実写イヌ映画だが

日本の映画業界に君臨する最大手の東宝だが、実際に映画を製作するのはテレビ局等の外部が多く、自身の手によるものはそれほど多くない。そんな彼らが、20年ぶりに自社製作の実写お正月映画として送り出すのが『マリと子犬の物語』。主演は長澤まさみでもなければゴジラでもない、その大役を担うのはただのイヌである。

新潟県山古志村。亮太(広田亮平)と彩(佐々木麻緒)の幼い兄妹は、ある日捨て犬を見つける。優しい祖父(宇津井健)の協力を得て、犬嫌いの父を説得した二人は、子犬にマリと名づけて目いっぱいの愛情を注ぎ、育てはじめる。成長したマリは元気な3匹の子犬を産み、立派な母犬に。ところがそんなのどかな日々を、突然新潟県中越地震が襲う。

この映画は、04年におきた新潟県中越地震のとき、住民が全避難して孤立した村で生き延びた犬マリの実話をベースにしたフィクション。主題歌は、当時被災者たちを励まし続けた平原綾香の『今、風の中で』を採用。さらに、人命救助と復興に大活躍した陸上自衛隊の大型ヘリも登場し、スケール感を高めている。

40点
意欲は感じられるが、予算面での苦しさが丸見えになっているのはいけない

日本には優秀なアニメスタジオが多々あるが、先進的なデジタル作品で定評のあるGONZOは、実写映画にも積極的に進出しようと考えている。『ROBO☆ROCK』はその成果の一つで、巨大ロボが動き回るという、いかにも少年ぽい発想の青春アクションドラマである。

便利屋のマサル(塩谷瞬)のもとに、ニラサワと名乗るオタク風の公務員(中山祐一郎)がたずねてきた。なんでも地球は土星人の侵略の危機にさらされており、それに唯一対抗できるのが、ひそかに作られたとされる巨大ロボ"ランドツェッペリン"なのだそう。そしてその音声起動用周波数にただひとり合致したのがマサルの声なので、協力してほしいという。欲深いマサルの彼女(美波)は、話を聞いて報酬5000万円などと吹っかけるのだが……。

この映画のシナリオを書いた人もしくは監督さんは、いまいち笑いのセンスがないもので、ハイスピードなノリのコメディとしてはつるりとすべってしまっている。たとえばロボットオタク公務員ニラサワは、一人突き抜けた態度で熱く異星人の侵略や巨大ロボの実在を語るのだが、そのハイテンションが計算されたものではないため、単に痛いだけで終わっている。途中でうまくいなしたりすれば、くすっと笑えるものを、ずいぶん不器用な演出だなと思う。

40点
三豊百貨店崩壊事故を題材にしたラブストーリー

かつて韓流という言葉がもてはやされた時期があったが、いまや韓国製メロドラマは風前の灯。スター出演の話題作でも人が入らず、枕を並べて討ち死に状態だ。

そうした人々の嗜好の変化に歩を合わせるがごとく、以前は毎月のように送られてきた試写案内も、最近はめっきり減ってしまった。それでも時折入る新作案内に、しかしまったく食指が動かない日々が続いていたが、『ノートに眠った願いごと』だけは違った。なぜ私がこれに興味を持ったかといえば、人類史上に残る人災「三豊デパート崩壊事故」を題材にしていたからだ。

司法研修院生のヒョヌ(ユ・ジテ)は、新居の家具選びのため婚約者のミンジュ(キム・ジス)と待ち合わせをしていた。しかし仕事に追われ、予定の時刻に抜けられなくなった彼は、真夏の炎天下に待たせておくのは悪いと「先にデパートの中にいて」とミンジュに告げる。そして彼がようやく到着した瞬間、その目の前で建物は崩壊した。

40点
『ALWAYS 続・三丁目〜』に対抗しようとしても無理

東宝による横綱級の話題作『ALWAYS 続・三丁目の夕日』に対し、ライバルの東映はなんと同じ昭和30年代を舞台にした浅田次郎の感動小説『オリヲン座からの招待状』映画版を同日公開でぶつけてきた。『ALWAYS』ほどではないにしろ豪華セットやVFXで当時の街並みを再現し、真っ向対決の構えである。

……が、この時点ですでに大間違い、敗退決定である。原作は99年に映画化されヒットした『鉄道員』のそれと同時に収録された短編で、これは本来、静かな小品として映画化すべき素材だ。この映画版のように、とにかく大作になりたくて仕方がない、といったやり方では生きるものも生きてこない。

宮沢りえや加瀬亮といった主要な役者たちも、むしろそういう作品に向く才能であり、その演技特性と、映画が目指す"格"とのちぐはぐ感は否めない。

40点
学園内で抗争を繰り広げる、熱い高校生たち

尾崎豊の歌に、誰かの喧嘩の話にみんなで熱くなりながら、同時に自分がどれだけ強いのか気にかかる(たぶん)高校生の心情を綴った歌詞がある。男の子にとって妙にいたがゆい、このリアルな歌詞づくりのセンスは天才的と私は思うが、同じように感じる人もきっと多いだろう。

『クローズ ZERO』は、地域の有名なワルがそろって入学してくる不良校「鈴蘭男子高校」の頂点(昔でいう番長だ)を、腕自慢の男子たちがそれぞれ目指す学園ケンカアクション。女の登場キャラは人質になる以外やることがないという、隅々まで汗臭い物語だ。一歩間違えば尾崎ソングの歌詞同様、邪気眼になりかねないストーリーを、三池崇史監督が独特のケレン味溢れる演出で、それなりに見られるバイオレンス映画に仕立てた。

鈴蘭男子高等学校では、創立以来いまだ全校制覇したものはいなかった。現在その最有力候補とされるのは、最大派閥"芹沢軍団"の芹沢多摩雄(山田孝之)。だが、めっぽう強い転入生の滝谷源治(小栗旬)が、他の軍団や派閥を吸収合併しつつ、急激にその勢力を伸ばしていた。

40点
ジャン=クロード・ヴァン・ダムがあんな姿に

ジャン=クロード・ヴァン・ダムといえば、レンタルビデオ店のヒーロー。わざわざ電車に乗って映画館に出かけてまで見たいわけではないけれど、一杯引っ掛けての帰宅途中、ビデオ店で何を借りていいか選ぶのも面倒になったとき、なぜか目に入ってくる男である。苦虫を噛み潰したようなその顔をブラウン管で眺め、回し蹴りのひとつも出てくるころにはこちらもグッスリ眠っているという、そんなB級アクション映画ばかりを作り続ける男。独身サラリーマンの映画ライフには欠かせない存在といえるだろう。

そんなヴァン・ダムも、はや46歳。そろそろ蹴りの軸足もおぼつかなくなってきた。この年代で鮮やかな後ろ回し蹴りを出せるのは世界広しといえど佐山サトルくらいなものだから、それもやむを得まい。そこでこの新作では肉体アクションを抑え、弱さを前面に出すという、かなり思い切ったイメージチェンジに挑戦した。

麻薬課の刑事ストウ(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)は、かつての同僚でいまや犯罪組織のボスであるキャラハンをあと一歩のところまで追い詰めたが、一瞬の判断ミスで取り逃がし、しかも仲間を失ってしまう。署内では完全に孤立し、愛想をつかした妻も別の男の元に去った。そんなストウの捜査は、徐々に非情さを増していく。

40点
コンテンツを育てようという気がない

私はテレビ局が人気ドラマを映画化することについては全面的に肯定する立場だが、その出来がダメダメな場合は容赦なく批判させてもらう。フジテレビドラマ史上最高の視聴率を誇る"最強"コンテンツ『HERO』は、残念ながらそれにあたる。

スーツを着ない型破りな検事の久利生(木村拓哉)は、ある傷害致死事件の公判検事を引き受ける。ありふれた事件と思われていたが、容疑者の弁護人に日本最強の無罪請負人、蒲生(松本幸四郎)が選ばれたと聞き、久利生と彼の所属する東京地検・城西支部は騒然となる。

じつはこの事件、スペシャル版を見た方ならわかるとおり、久利生と浅からぬ因縁のある代議士(タモリ)の運命を左右する重大な案件だった。キムタク検事とその事務官たる松たか子は、真実を暴くため、日本のみならず韓国まで調査にいくという展開。海外ロケシーンではアクションの見せ場もあり、映画的なスケール感を出そうと頑張っている。

40点
熱演する日本人二人を生かしきれなかった

『ラッシュアワー』はジャッキー・チェンのハリウッド進出後の出世作で、このたびついに3作目が公開となった。それすなわち、最初からある程度のお客の入りが期待できるという意味なわけだが、こうした手堅い企画の場合、ファンサービスに溢れたお得な一本になるか、お手軽なつくりの手抜き品になるか、極端に分かれることが多い。

中国マフィアの黒幕“シャイシェン”の存在を突き止めたと発表したハン大使(ツィー・マ)が凶弾に倒れた。その護衛をしていたリー刑事(ジャッキー・チェン)は、猛追跡で犯人(真田広之)に迫るも、すんでのところで逃げられてしまう。大使の娘(チャン・チンチュー)の命も狙われていることを知ったリーは、乗り気ではないながらも、旧知の相棒カーター(クリス・タッカー)と捜査を開始する。

『ラッシュアワー3』は、残念ながらお手軽品の方だったようだ。むろん、シリーズの特徴である主演二人のハイテンションなやりとりは健在だし、イヴァン・アタルやロマン・ポランスキーといった、意外性あるキャストも通好みで悪くはない。フランスを舞台にした展開も退屈はしない。

40点
不思議な土地で癒される女の物語

ロマ(ジプシー)をテーマに映画を撮り続けてきたトニー・ガトリフ監督の最新作『トランシルヴァニア』は、あたかもドキュメンタリーのようでありながら、精密にコントロールされた脚本があるようにも見える、不思議な一本だ。

突然失踪した婚約者を追い、親友のマリー(アミラ・カサール)とトランシルヴァニアにやってきたジンガリナ(アーシア・アルジェント)。しかし、ようやく見つけた婚約者の男はすっかり変貌しており、ジンガリナは自分がとっくに捨てられていたことを知る。彼の子供を身ごもっていたジンガリナは、マリーの心配をよそにトランシルヴァニアの奥深くへ一人あて無き旅に出る。

ヒロインは、傷心のまま旅をしながらこの土地の不思議な風景と風習にもまれていく。ここに連れてきてくれたマリーから、やがて名も知らぬストリートチルドレンの少女、そして道端で出会った気のいい男チャンガロ(ビロル・ユーネル)へと、まるでバトンがわたるように重要な人々の助けを受けながら、やがて彼女は再生していく。

40点
アトラクション並にチープな3作目

『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズが、ディズニーランドのアトラクションの映画化だという事実は、そろそろ忘れられかけている。

東インド会社のベケット卿(トム・ホランダー)は、不死の船長デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)の心臓を手に入れることで彼とその船を意のままに操り、世界中の海賊を追い詰めていた。危機感を感じた海賊側は海賊長9人が集まり、対策会議を開くことに。その一人でデイヴィジョーンズに死の世界に追いやられたジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)を救い出すため、エリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)とウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)らはキャプテン・バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)の力を借りて世界の果てに向かう。

元ネタであるディズニーランドの乗り物「カリブの海賊」同様、「長蛇の列で期待したわりには大して面白くない」映画である。そういう意味では見事なまでに"原作"に忠実な映画化といえる。

40点
どこかでみたモノの張り合わせ

熱狂的なファンがいるかと思えばまったくその良さがわからない。そんな、好みが激しく分かれる映画がある。たとえば『パルプ・フィクション』や『スナッチ』、『オーシャンズ11』といった作品はその範疇に入るといえるだろう。この『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』もまさにそうした一本で、少数の熱狂的支持者になれる人にとっては幸せな出会いとなるだろうが、それ以外の多くの観客にとってはおそらく退屈な内容だ。

FBIの張り込み捜査員らは、マフィアのボスがイズラエル(ジェレミー・ピヴェン)という男に100万ドルの高額賞金をかけたとの会話を盗聴する。イズラエルはラスベガスの裏社会とかかわりの深いマジシャンだが、大物気取りでギャングまがいの組織を作るなど、"本物"たちの秩序を乱す存在となっていた。かくして重要証人でもあるイズラエルを保護するFBIと、彼の首を狙う7人の凄腕殺し屋たちの、激しい争奪戦が繰り広げられる。

登場人物が非常に多く、また印象に残る前にえらいハイテンポで視点が切り替わっていくので、顔と名前を一致させるのに難儀する。事前にパンフの相関図で予習するなり、気合を入れて冒頭で覚えてしまうなりの努力が必要だ。

40点
保守おじさん特有の痛さが出まくり

しばしば本人が語るとおり石原慎太郎の本業は作家であり、弟である大スター裕次郎の主演映画の脚本などを中心に、古くから映画作りにもかかわっている。しかし若い人にとって彼の名はまず東京都知事であり、過激なタカ派政治家とのイメージが先行しているに違いない。だから今回、彼が脚本と製作総指揮を担当したこの特攻隊映画に対し、意外かつ新鮮な思いを抱いているのではないかと私は推測する。

大東亜戦争の末期、追い詰められた日本軍はついに特攻作戦を敢行する。鹿児島県の知覧には、各地から集まった若き隊員が最後の日々をすごす陸軍特攻基地があった。そこで食堂を経営し、特攻の母と慕われた鳥濱トメ(岸惠子)は、無力ながらも彼らを暖かく見守り、献身的に世話し続けていた。

鳥濱トメさんは、石原知事とも親交があった実在の人物。その石原都知事による脚本は、彼女が生前のこした貴重な証言へ忠実に、たくさんのエピソードを詰め込んだ群像劇となっている。朝鮮人ながら志願し、堂々と飛び立っていった青年から、わずか10代で太平洋の藻屑と散った少年まで、実話ならではの重さが胸を打つ。

40点
不自然に美化したキモチ悪さがこびりついている

1997年8月にパリで交通事故死したダイアナ元皇太子妃の死因について、ロンドン警視庁は2006年12月14日、「単なる事故死」との報告書を発表した。数々の状況証拠と鉄壁過ぎる動機が存在するためいまだ謀殺説がやむ事はないが、とにかく英国政府および王室側は、そこから国民の目をそむけたくて仕方がないという動きをここ最近見せている。だいたいこの「世界中が待ちに待った」報告書でさえ、わざわざ英国内で大事件が重なった当日に発表したとの指摘がなされている。

この「ダイアナ」事件の舞台裏を、エリザベス女王を主人公にして王室の側から描いたのが「クィーン」。女王を演じてオスカーを受賞したヘレン・ミレンはじめ、作品賞、監督賞など計6部門にノミネートされた作品ではあるが、こうした政治的なドラマはそんな話題性に惑わされることなく、上記のような現実の文脈の中で見ることが肝要となる。

97年8月、ダイアナが交通事故死した。すでにチャールズ皇太子とは離婚していたとはいえ、公式コメントもせず国民の前にも姿を現さぬ女王(ヘレン・ミレン)、そして王室のやり方に、英国民は激しい非難を浴びせた。若くして有能なトニー・ブレア新首相(マイケル・シーン)は何度も女王に会い、伝統より国民への対応をと説得するが彼女はなかなか首を振らない。しかし女王も、国民と王室の間で板ばさみとなり、激しく葛藤していたのだった。

40点
字幕が舌っ足らず

「ロスト・イン・トランスレーション」「アイランド」「マッチポイント」と主演作が相次ぐスカーレット・ヨハンソン。ぼちぼち知名度が上がってきたところで、2004年製作の本作も日本公開となった。

フロリダでダメ男と同棲し、自身も怠惰な暮らしを送っていた少女パーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、母の訃報を受け故郷のニューオーリンズに戻る。すると実家には、母から居住権を譲られたと称する二人の男がいた。一人は大学文学部の元教授(ジョン・トラヴォルタ)、もう一人はその助手で作家志望の青年(ガブリエル・マクト)。最初はいがみあっていたが、まったく価値観の違う二人と同居を始め、パーシーの荒んだ生活は徐々に癒されていく。

一度は失われた家族愛を、母の遺したあるものによって取り戻すという癒しの物語だ。母が残したものの中には、先ほど説明したわけのわからぬ中年男二人というのもあるわけだが、堂々と実家に居座り、のんきに暮らす彼らからパーシーが学ぶものは少なくない。フロリダとはまったく違うのどかな田舎で、やがて彼女は学校に通い文学に目覚める。

40点
光る要素はあるが、クロサワ作品としては平凡

黒沢清監督は、世界的にも評価の高い日本のホラー映画監督の中でも、間違いなくトップクラスに入る実力者といえる。その最新作『叫』は、彼の作品ではおなじみの役所広司を主演に据えたミステリ色の濃い幽霊ものだ。

湾岸地帯で女の死体が発見された。主人公の刑事(役所広司)は手口から連続殺人とあたりをつけ捜査を開始するが、その後死体周辺から自分の指紋が発見されるなど、不可解な出来事を目の当たりにする。もしや、知らぬ間に自分が殺ったのか……? 自分自身の存在にすら自信を持てなくなった男の周辺に、やがて赤い服を着た謎めいた女が現れるようになり……。

どんでん返しのある殺人事件ものだが、いくらなんでもこれをミステリとして売るのは無理がある。この監督にとっての新機軸というが、これはやはりいつもの純粋なホラームービーだ。では、それとしてその出来はどうかというと、全体的に少々物足りないといったところ。

40点
演技達者の二人に不満は感じないが、なにか物足りない

日経新聞朝刊に連載された渡辺淳一の同名小説は、朝から下半身を元気にさせてくれる描写が満載で、オジサマたちの間でひそかに話題となっていた。やがてそのブームは映画界にも飛び火し、このたびめでたく一級の役者をそろえて映像化されることになった。それがこの「愛の流刑地」、通称愛ルケである。

かつてベストセラーを書いた作家(豊川悦司)が、人妻(寺島しのぶ)を殺したとして逮捕された。二人は愛人関係で、しかも交わっている最中に扼殺したという。男は彼女が「殺してくれ」と懇願したと主張、愛しているからこその行為だったと語る。二人の関係と真相を探る女検事(長谷川京子)は、不可解な男の主張にやがて説得力を感じ始める。

愛し合っていながらなぜ女は「殺して」というのか、女検事がそれを調べ、やがて共感していくくだりに、男女の愛を意外な角度から描くこの物語のテーマがある。

40点
主人公の特殊な性格設定が効果をあげていない

塚本晋也監督は、個性的な作風が海外で高く評価されている映画作家だが、新作『悪夢探偵』は娯楽に徹して作ったという。ジャンルはサイコサスペンスで、主演は松田龍平。監督自身も重要な役柄で出演している。

眠ったまま、自身を切り裂く奇妙な自殺事件が立て続けにおきる。しかも二人とも、携帯に同じ通話先への記録が残っていた。担当する女刑事(hitomi)は捜査を進めるうち、二人はこの人物に夢の中で暗示をかけられたのではないかと推測する。そこで彼女は他人の夢に入り込める超能力者(松田龍平)に協力を頼むが、他人の薄汚い内面に嫌気が差している男は、まったくその気はないようだった。

この監督が作るヒーロー物だから、もとより一般受けを考えているわけはないと思っていたが、インタビュー等を読むと今回ばかりはそうでもなさそう。意外な気持ちで鑑賞したわけだが、終わってみれば何のことはない、いつもどおりの塚本映画であった。

40点
このドキュメンタリーだけではまだまだ説明不足

甲野善紀という人物について、知らない人のために説明しよう。この人は日本の古武術を独学で研究するストイックな武術家だが、その真髄、奥義を現代の日常生活や介護の場に応用するという、ユニーク試みをすることで知られている。

一例をあげると、介護人泣かせの重い患者へ寝返りを打たせたり抱き起こしたりといった動き。これを甲野善紀は、いとも簡単にひょいとやってのける。患者の重心を意図的にずらすことで、スムースに体を移動させてしまう。

もちろん彼は、私のように体重が100kgもあるとか、パワーリフターであるとか、そういう特殊な体型ではまったくない。むしろ、身体の協調性を崩すとの理由でウェイトトレーニングを否定する立場であり、彼自身、平均程度の身長にかなりの細身という、どこから見ても力があるようには見えないタイプだ。

40点
前作のDVDを見ればすむ、というのでは少々物足りない

横溝正史の小説『犬神家の一族』は、ある程度以上の年齢層にとっては、日本で一番有名なミステリのひとつだ。横溝正史は、いわゆる本格もの(探偵役が論理的にトリックを暴き、犯人を当てるタイプの推理小説)の名手として、数々の傑作を残した推理作家。本作は、彼が生み出した名探偵、金田一耕助が活躍するシリーズの代表作。映画としては、76年に作られた同名作品のリメイクとなる。

犬神財閥の創始者が死去した。遺言には、なんと莫大な遺産をお気に入りの他家の娘(松嶋菜々子)に譲るとある。相続の唯一の条件は、彼女が直系である3人の孫の誰かと結婚すること。銭ゲバの親族たちは、あまりに非常識な内容に大激怒。案の定、凄惨な連続殺人が発生、名探偵金田一(石坂浩二)が真相を探る展開となる。

なんともまあ、無茶な内容の遺言を遺したものだ。このオッチャンは、相続を面白がってるだけなんじゃねえかと思ってしまうが、それはともかく、血族ならではの止め処もない嫉妬、憎悪がよく描かれたストーリーだ。あまりにも有名な話だから、謎解きや犯人あての楽しみがないのは惜しいところだが。

40点
シリーズの中でもっとも完成度が低い

このシリーズの第1作『SAW』は本当に素晴らしい映画だった。ほとんどの展開が一部屋のセット内で繰り広げられるのに抜群に面白く、奥が深く、そして怖い。伏線は大胆に張り巡らされ、最後には驚天動地の結末が待っている。ミステリファンもスプラッタ系ホラーファンも、大いに満足できる一品だった。

あれから2年、商売上の理由か駆け足で続編が作られ、早くも3作目だ。どんでん返しが最大の魅力というシリーズの性質上、犯人も手口も完全に知れ渡った今、パワーダウンは免れないが、果たしてどこまで踏みとどまれるか。

※※※※※

40点
物語に起伏がなさ過ぎる

『ラフ』『涙そうそう』と主演作品が続々公開されている長澤まさみよりわずかに下の世代で、私が注目している女優が多部未華子。このサイトでも高い評価をつけた『HINOKIO ヒノキオ』で、ユニークな役柄を演じた89年生まれの期待の若手だ。映画を中心に活躍する彼女の主演最新作がこの『夜のピクニック』。ノスタルジックなミステリを書く事でも知られる恩田陸の、同名ベストセラーの映画化だ。

全校生徒が徹夜で80kmもの道のりを歩きぬく、この高校最大のイベント「歩行祭」。3年生となり、今年が最後となった貴子(多部未華子)は、ある一つの思いを胸にこの日を迎えた。それは、今まで一度も話したことのないクラスメートの西脇融(石田卓也)に話し掛けるということ。実は彼は、彼女のある重大な秘密を、たったひとりだけ知る相手なのだ。ところが、そんなことは露知らぬ二人の友人たちは、彼らをカップルにしようと気楽に盛り上がっていた。

オープニング、歩行祭出発直前の校庭を一気になめる長まわしははっとさせるが、その後は失速。この映画は、2時間のほとんどが歩くシーンだが、その間引っ張りつづけるには、ヒロインの抱える秘密のネタが弱すぎる。おまけにその最大のネタさえも、パンフレットのイントロダクションでバラされていた。宣伝の方には、少し気をつけていただきたい。

40点
濡れ場の変化がある種の演出効果をあげる

『紅蜘蛛女』は、一言で言えば坂上香織のハダカを見るための映画である。さらに言うと本作は、彼女初の海外映画進出作品(香港映画)となっている。思えばかつてアイドルだった坂上香織は、93年に雑誌で突然ヌードグラビアを発表、世間にそれなりの衝撃を与えると同時に、女優への転進を決めた。その流れから見ればこの映画、文字通り裸で進路を切り開いてきた彼女らしい、海外への第一歩といえるだろう。

舞台は現代の香港。軽薄な中国人カメラマンのケニー(トニー・ホー)は、物憂げで美しい日本人女性、由美(坂上香織)に目をつけ、首尾よく一夜を共にする。ただの遊びと思っていたケニーだが、彼女は違った。ケニーが本命と仲良くしているのを目撃した由美は猛烈に嫉妬。ケニーを監禁すると、足の指を切り落とし、セックスを強要する日々が続いた。

危険な情事とミザリーを合わせたような、サスペンスタッチのエロティックドラマだ。香港を舞台にしてはいるが、非日常的な空間を感じさせる、ファンタジックなムード。血のりはチープだが、それでもそうした映像が与える恐怖はそこそこにある。ヒロインのもつ表面上の異常性、その裏側の寂しさを、坂上がなかなか上手に演じきっている。

40点
鑑賞後、真相をああだこうだ推理する楽しみはあるが

ニコール・キッドマンという女優は、脚本の選び方、すなわち次に自分がどの映画に出れば良いのか、の判断基準がしっかりとしている。トップスターの割に彼女の出演作は、予算規模の大きな作品ばかりではないのだが、どれもほぼ例外なく脚本が優れた、あるいは個性的な作品となっている。

このサスペンス映画『記憶の棘』も、なかなか意欲的な仕掛けのあるストーリーで、アメリカでは見た人の間で大きく解釈が分かれ、ちょっとした論争になっているという。

ヒロインの未亡人(N・キッドマン)は、10年前に最愛の夫ショーンを失ったショックからようやく立ち直り、その間待ちつづけてくれた新恋人(ダニー・ヒューストン)のプロポーズを受けることに。ところがそこに突然、同じアパートに住む少年(キャメロン・ブライト)が現れ、自分は夫ショーンの生まれ変わりだと告げる。

40点
古いタイプの反戦映画

『出口のない海』は、これまで何度か映画で扱われている、人間魚雷「回天」をテーマにした反戦映画。

「回天」とは、高性能魚雷(通常の3倍程度の爆薬を搭載し、一発で戦艦を沈めるほどの破壊力を有する)に操縦席を設けた特攻兵器、自爆兵器のこと。帝国海軍には、死を前提とした兵器は決して採用しないという人道的な伝統があるのだが、それでも採用せざるをえないほど、当時の戦局は追い詰められていた。

この映画は、そんな回天の搭乗員に志願した若き海軍兵士たちとその周辺の人間模様を、迫力ある潜水艦戦闘シーンを織り交ぜて描いた、万人向けの見やすい戦争スペクタクルだ。

40点
マイアミ・バイス風味ではあるが、マイアミ・バイスとはちょっと違う

30代以上の方にとって『特捜刑事マイアミ・バイス』は、海外ドラマの中でも抜群の知名度を誇るに違いない。80年代に地上波で夜のいい時間帯に放映されていたから、夢中になった人も多かろう。本作はそのリバイバル映画化となる。

合衆国各捜査機関による合同捜査の情報が漏れていることが明らかになり、マイアミ警察特捜課の潜入捜査官、ソニー・クロケット(コリン・ファレル)とリカルド・タブス(ジェイミー・フォックス)に、漏洩元の調査と割り出しが命じられた。彼らは麻薬ディーラーに扮して犯罪組織に乗り込み、捜査を開始する。

この映画については、テレビ版のファンが主な観客になると思われるが、彼らにとってはあまり満足の行く出来栄えではなかろう。オリジナルテレビシリーズで製作総指揮を担当していたマイケル・マンが、なんと200億円以上を投じて監督した超大作だが、どうも企画のコンセプトを間違えているような気がしてならない。

40点
不治の病にお涙頂戴、いつものワンパターン韓流ホラー映画

カツラに宿った怨霊を題材にした韓国ホラー映画。この時点で、髪が薄い男性諸氏を誘うことは絶対に許されない映画である。

ヒロインのスヒョン(チェ・ミンソ)は、まだ若い女性ながら、抗がん剤の副作用で髪の毛をすべて失ってしまう。姉(ユソン)は、余命わずかな彼女のため、町でカツラを購入し、退院させる。その姉も、交通事故で声帯を損傷、声を失っていたが、二人は穏やかな暮らしをはじめる。やがてかつらを身につけたスヒョンは、別人のように明るくなり、病状も嘘のように良くなった。ところがある日、スヒョンのかつらを無断で借りていった姉妹の友人が、謎の死を遂げてしまう。かつらを失ったスヒョンも、異常ともいえる錯乱振りを見せるにいたり、姉はこのかつらに隠された異様な力を意識するようになる。

姉も妹もえらく美人だ。とくに、『亡国のイージス』で、存在意義がよくわからない北の女性スパイを演じていたチェ・ミンソは、今回病気の妹ということで、スキンヘッドに大幅なウェイトダウンという役作りを実現、ほとんど余分な体脂肪がない、少年のようなバックヌードまで披露している。

40点
物語、恋愛ともども、低年齢向けアニメ並のリアリティ

中ロ両国をにらむように位置する、強力な西側軍事勢力=日本列島の事を、不沈空母、などとどこかの国の人は呼んだが、その日本列島が文字通り沈んだら、いったい世界はどうなるのか。そして、ここにすむ一億数千万人の国民は、どんな運命をたどるのか。

民族の自意識を問う、そんな問題提起をして大ヒットとなった小松左京の原作小説、そしてその73年の映画化作品を、まったく新しいパニック超大作として作り直したのが『日本沈没』。

草なぎ剛&柴咲コウという、大ヒット間違いなしコンビを主演に据え、73年版の大ファンという樋口真嗣監督(『ローレライ』ほか)が、得意とする特撮技術をふんだんに生かして作ったド派手な娯楽映画だ。

40点
次期ジェームズ・ボンドがギャングを演じる

ギャングの世界はいわゆる階層社会、それはまるで、レイヤーケーキのよう。タイトルは、そんな意味合いを含めてつけてある。本作はイギリス映画で、ジャンルは犯罪サスペンスだ。

主人公はある麻薬ディーラー(ダニエル・クレイグ)。名前はない。彼は、調子のいい今のうちに引退しようと目論んでいるが、そんな折、ボスから仕事が舞い込む。それは、闇社会の顔役エディの娘を探せという指令と、仲間が入手した大量のエクスタシーを売りさばけという、彼にとっては造作もない仕事のはずだったが……。

引退しようと思うギャングに、そんな簡単な仕事を押し付けるはずもなく、この二つの指令にはどちらもとんでもない裏がある。何かがおかしいと思わせ、徐々に真相が明らかになっていく。その過程を、さめているがどことなくユーモラスな会話と、シャープな映像でトントンと見せる。中でも主人公が、敵の暗殺者を狙撃しようとするシークエンスは、サスペンスフルかつ衝撃的な場面で一番の見所だ。

40点
男と時代に振り回される女の半生記

『ジャスミンの花開く』は、3世代の母子を3部構成で描く女性映画だ。3つの時代をそれぞれたくましく生き抜く母娘を、"アジアン・ビューティー"チャン・ツィイーと、ハリウッドでも活躍しているジョアン・チェンが一人三役までこなして演じている。

物語はまず1930年から始まる。ここでツィイーが演じる18歳の茉(モー)は、実家の写真館を母と営んでいる。何より映画が好きで、ムービースターを夢見る世間知らずの彼女だが、偶然にも映画会社の社長にスカウトされる。

第二部は1950年。今度は茉の娘、莉(リー)をツィイーが演じる。このヒロインも気が強く、せっかく中流以上の暮らしをしているのに、労働者階級の男と恋してしまう。ジョアン演じる母親は強く反対するが、莉は強引に家を出る。

40点
見てくれだけは似ているが

72年の傑作パニック映画のリメイク。この映画のオリジナル『ポセイドン・アドベンチャー』は、テレビ地上派で何度も放映されているから、若い人でも見た方は多いのではないだろうか。

大晦日の夜、遠洋航海中の豪華客船ポセイドン号が大津波により転覆、さかさまになってしまう。4000人の乗員乗客の多くが海に沈み、残った者たちによるサバイバル劇が始まる。

大予算をかけた、海洋パニック映画だ。洪水のような大量の浸水、逃げ惑う多数の乗客たち……。さかさまになった客船セット内で、出口を求めて主人公たちが奮闘する姿を、最新の視覚効果技術を駆使して描く。

40点
世界一の子役による、ダコタ・マジックも不発か

競馬の祭典、日本ダービーが開催されるから、というわけでもなかろうが(実際関係ないらしい by 宣伝部のオンナノコ)、今週来週と、立て続けに馬関係の映画が公開される。『夢駆ける馬ドリーマー』はその1本で、実話を元に作られた、ストレートな感動ドラマだ。

舞台はケンタッキー州レキシントン。主人公の調教師(カート・ラッセル)は、あるとき期待の牝馬ソーニャドールの脚に違和感を発見する。出走辞退を進言したが、オーナーの無理強いによりやむなく出走させた結果、ソーニャドールは転倒、骨折してしまう。

骨折したサラブレッドの常で、誰もが安楽死を覚悟したが、偶然観戦にきていた馬好きの娘(ダコタ・ファニング)の手前、彼は自分の報酬と引き換えに、ソーニャドールを引き取ることに決める。

40点
面白いが、つくりが荒っぽい

ジャケットは、このジャンルの白眉『バタフライ・エフェクト』(99点)に似た、タイムスリップ恋愛サスペンスである。

ときは1992年、頭に重症を負った主人公の元軍人(エイドリアン・ブロディ)は、ある事件に巻き込まれ、気が付くと病院で拘束衣=ジャケットを着せられ、奇妙な"治療"を受けさせられるハメに。ところが不思議なことに、目覚めるとそこは別の場所。そこで彼は、荒れた生活を送る女性(キーラ・ナイトレイ)に出会う。信じられないことに、彼女は彼がつい先日、道端で出会った幼い少女と同一人物であった。彼は、15年後の2007年にタイムスリップしていたのだ。

さて、この2007年で彼はさらに衝撃的な事実を知り驚く。自分がすでにこの時代、死んでいるというのだ。彼は運命に抗い、彼女と自分を救うことができるのか、というサスペンスである。

40点
主人公のその後を描く必要は無かった

物語にパート2を作るということは、前作の結末の意義を薄めるという一面がある。平たく言うと、ラストシーンがすばらしい映画にPart2というものを作ってしまうと、多くの場合それは"蛇足続編"になるという事だ。

『ロシアン・ドールズ』は、2002年のフランス/スペインの青春映画『スパニッシュ・アパートメント』の続編で、前作からほぼリアルタイム、5年後の登場人物の姿を描く。前作の最後で歩むべき道を悟った主人公(ロマン・デュリス)が、その後どうなったかというところから物語は始まる。スペインでの同居時代の仲間の結婚式におけるかつての友人たちとの再会、主人公自身の新しい恋の模索、仕事上の葛藤などが、前作同様みずみずしいタッチで描かれる。

将来の道が決まらない若者(といっても20台半ば)たちへ、希望にあふれる処方箋を出した前作とは打って変わり、今回は"本物の恋"はどう見つければ良いのか、にテーマの比重を置いている。

40点
お話は子供っぽいが、加藤ローサの魅力がはじける

『キャッチ ア ウェーブ』といえば、小倉智昭である。彼が、自身がメインキャスターをつとめる番組、とくダネ!のオープニングトークで絶賛したために、この映画の原作小説はベストセラーとなった。

私はそのときの放送は見ていないが、あの番組のオープニングトークは確かに目の付け所がいい。小倉氏はあのトークに相当力を入れているそうで、毎回ディレクターと入念に打ち合わせ、ネタ探しにも精を出しているそうだ。

そんなわけで、小説『キャッチ ア ウェーブ』は、あっという間に映画化が決まり、天下のワーナーブラザーズ映画によって全国公開されることになった。

40点
親バカを見せられている気分

『スパイ・キッズ』シリーズのロバート・ロドリゲス監督が、7歳になった息子のアイデアを映画化したファミリー向け3D映画。『スパイ・キッズ3』同様、赤青のメガネをかけて鑑賞する、アナグラフ方式。本来立体映画は、偏光グラスをかけてみる偏光方式のほうが、はるかに立体視効果が高いし、色合いも変化がないので眼が疲れず、あらゆる点で良い。しかし、メガネが使い捨てではない、すなわちレンタル方式なので、子供たちが映画を見た思い出に、赤青の立体メガネを持ち帰れる方が、このジャンルに限っては正義があるという事なのであろう。

あらすじは、空想好きの10歳の少年が、夢でみた冒険物語を、学校で発表するところから始まる。ところが、いじめっ子のクラスメートからはバカにされ、夢日記も奪われてしまう。その翌朝、彼の前に夢の中で活躍するヒーロー、シャークボーイとマグマガールが実際に現れる。彼らの惑星が危機に瀕しており、創造主たる主人公の力を貸してほしいというのだ。かくして彼らは、ロケットでその惑星に向かうのだった。

さて、到着すると、少年の理想の園だったはずの"よだれ惑星"は、見るも無残な氷の惑星に変わっていた。どうやら原因は、子供たちの夢を奪おうとするエレキ魔王らの仕業らしい。わずか45分というタイムリミットのなか、彼らは世界を救えるのか?! ……とまあ、子供映画の定番的なストーリーである。

40点
題材に興味がない人をひきつけるパワーに欠ける

『秘密のかけら』は、70年代のアメリカショービジネスの世界を舞台にした、ミステリードラマだ。エロティックな場面が多く、米国ではNC-17指定(17歳以下は鑑賞禁止)となり、日本でもR-18指定(18歳未満鑑賞禁止)になっている。

舞台は72年のロサンゼルス。主人公の女性ジャーナリスト(アリソン・ローマン)は、セレブの暴露本を出版し、名を売ろうと考えていた。彼女がその対象に選んだのは、少女時代に多大な影響を受けたデュオ、ラニー・モリス(ケヴィン・ベーコン)とヴィンス・コリンズ(コリン・ファース)。彼らがコンビを解消する原因となった、ある女性の全裸殺人事件の真相を、彼女はどうしても暴きたいのだった。

その取材過程で、主人公はかつて自分の英雄だったスターの真の姿に幻滅し、徐々に明らかになっていく驚愕の真相に、これまでの価値観を揺さぶられていく。

40点
ホラー映画としての怖さは日本版に劣るが、そもそもコンセプトが違う

ジャパニーズホラー『仄暗い水の底から』のハリウッド版リメイク。監督は『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレス。日本版で黒木瞳が演じたシングルマザーのヒロインは、日本でも人気のあるジェニファー・コネリー(『レクイエム・フォー・ドリーム』ほか)が演じている。

離婚調停中のヒロイン(J・コネリー)は、5歳の娘の親権を得るため、二人で暮らす部屋を探していた。やがて二人は、ニューヨークのある島の片隅にアパートを見つける。少々不気味で古い部屋ではあったが、急いでいたこともあって彼女は賃貸契約を結んだ。ところが、暮らしはじめた途端、部屋の天井に不気味な染みが現れ、水道からは黒い水が出てくるなど、気味の悪い出来事が相次いで起こりだす。

『仄暗い水の底から』の原作は、『リング』で知られる鈴木光司による短編小説だが、ハリウッド版のストーリー展開は、日本の映画版の方に忠実だ。話の舞台となるアパート(というか団地)の不気味な雰囲気や、管理人など脇のキャラクターも、比較的映画版に類似している。

40点
監督の思い入れが強すぎる

オーランド・ブルーム、キルスティン・ダンストという現在もっとも人気のある若手俳優二人が競演したドラマ。監督は『あの頃ペニー・レインと』でアカデミー脚本賞を取ったキャメロン・クロウ。

靴デザイナーの主人公(O・ブルーム)は、社運を賭けて取り組んだ自らの新商品が大コケし、社に莫大な損害を与えてしまう。そんな彼に、故郷の父が亡くなった知らせが届く。葬儀のためエリザベスタウンに向かった彼は、飛行機の中で人懐っこい客室乗務員(K・ダンスト)に出会う。

この作品の脚本は、キャメロン・クロウ監督自身が、父の死をきっかけに執筆したものだ。その時の葬儀でたくさんの親戚と出会った彼は、父の死を悲しみつつも、自らのルーツや家族愛の暖かさを再確認し、深く感動したのだという。そして、そのときと同じ思いを観客にも味わってほしいとの思いを込めてこの映画を作った。

40点
今映画化するなら、何か進歩がほしい

1971年から約2年間TV放送された、初代仮面ライダーシリーズのリメイク版。

大学院で、水の結晶を研究する本郷猛(黄川田将也)は、悪の秘密結社ショッカーの手で拉致され、バッタの改造人間にされてしまう。彼は、ショッカーの手先として働かされるが、やがて自我を取り戻し、組織と対立する。それを受け、ショッカーは刺客として仮面ライダー2号(高野八誠)を送り込む。

アクションシーンのロケ地は、原っぱや公園のような予算を食わないところばかりだし、ワイヤーワークも役者のアクション自体も、正直言ってテレビレベル。もうちょっとお金をかけることはできなかったのか。まあ、確かにそういうところも仮面ライダーらしいといえば、そういえなくもないが、やはり映画としては迫力不足に見えてしまう。役者の線がいかにも現代っ子的で細すぎる、というのも影響しているだろう。

40点
大人だけで見るものではないが、作りはしっかり

スキンヘッドがトレードマークのこわ持てアクションスター、ヴィン・ディーゼル主演のファミリー向けコメディ映画。

百戦錬磨の米海軍特殊部隊員ウルフ(V・ディーゼル)は、ある一家を護衛するため、ハウスキーパーとして潜入せよとの指令を受ける。家事などやったこともないウルフは嫌がったが、それ以上に問題なのは、こわ持てのウルフを屁とも思っていない5人の悪ガキどもだった。やがてウルフは、まるっきりいう事を聞かない子供らに、軍隊式スパルタ教育を施すことを決める。

ヴィン・ディーゼルといえば、これまで体を張った男っぽい役柄を中心にこなしてきたマッチョなアクションスターだ。外見はつるっぱげだし、声もドスがきいていてとても怖い。そんな彼が、ディズニー映画らしい子供向けほのぼのコメディに主演することになった。役柄はいままで通り、屈強な海軍隊員というものだが、そんな男が子供らにふりまわされ、ドジをふみ、間抜けなドタバタを繰り広げるという、ギャップを笑ってもらう企画である。コメディがうけやすいアメリカでは大ヒットした。

40点
一人浮いているキーラ・ナイトレイだが、見所も彼女に集中している

名優ローレンス・ハーヴェイの娘に生まれ、モデルとして活躍しながら、いつしかバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)の世界に足を踏み入れた実在の女性ドミノを題材にしたクライムドラマ。なお、本物のドミノは映画の完成と時期を同じくして、自宅の浴槽で変死体となり発見された。まだ35歳だった。

セレブの娘に生まれ、何不自由無く暮らしていたドミノ(キーラ・ナイトレイ)は、やがてその世界に飽き、生活も荒んでいった。そんなある日、賞金稼ぎの募集広告を目にした彼女は、自分の生きる道はこれだと飛びこんでいく。

やがて彼女は、社会の裏側を知り尽くした荒くれ男たちの世界で、めきめき頭角を表すのだが、彼女の父親代わりとして、この世界のルールを教えていく“リーダー”役を、ミッキー・ロークが好演している。ちなみに、この人物にも実在のモデルがいる。

40点
全くまとめる気がないくせに、妙な仕掛けのある奇妙な脚本

舘ひろしと柴田恭兵が演じる刑事コンビのハチャメチャかつクールな活躍を描くアクション&コメディドラマ。80年代に大人気を博したテレビドラマの久々の映画化だ。物語は98年のテレビスペシャルのラストの設定を受け継いだ続編となる。

7年前から行方不明になっていた主人公、鷹山(舘ひろし)と大下(柴田恭兵)は、韓国のプサンで潜入捜査官として活躍していた。小型核兵器の取引現場を派手にぶち壊した二人は、その後横浜に戻るが、そこではなんとかつての部下トオル(仲村トオル)が、捜査課の課長に昇進していたのだった。

韓国ロケのアクションシーンでは実銃を使い、物語も核兵器の取引やらテロやらと実に壮大。かなり本格的な内容かなと思いきや、やはり良くも悪くも『あぶない刑事』はテレビドラマであった。

40点
キレのないフツーのロマコメ

ダイアン・レイン、ジョン・キューザック共演のロマンティック・コメディ。

8ヶ月前に離婚したばかりで落ち込んでいるサラ(D・レイン)を心配して、姉は勝手に彼女のプロフィールを出会い系サイトに登録した。10年程度はサバを読んだ写真と、ハッタリをかましたプロフ内容が功を奏してか、サラはたくさんの男性からデートを申し込まれるが、実際会ってみるとどの男もろくでもない。立ち直らせるつもりがかえって逆効果になりつつあったとき、犬好きのちょっと魅力的な男性(J・キューザック)が彼女の前に現れる。

さて、それと平行してリアル生活の方でも、ちょっと素敵な男性が現れて、サラは両者に心引かれていくのだが……というお話。

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