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2121件中 1701~1750件 を表示しています。
40点
題材に興味がない人をひきつけるパワーに欠ける

『秘密のかけら』は、70年代のアメリカショービジネスの世界を舞台にした、ミステリードラマだ。エロティックな場面が多く、米国ではNC-17指定(17歳以下は鑑賞禁止)となり、日本でもR-18指定(18歳未満鑑賞禁止)になっている。

舞台は72年のロサンゼルス。主人公の女性ジャーナリスト(アリソン・ローマン)は、セレブの暴露本を出版し、名を売ろうと考えていた。彼女がその対象に選んだのは、少女時代に多大な影響を受けたデュオ、ラニー・モリス(ケヴィン・ベーコン)とヴィンス・コリンズ(コリン・ファース)。彼らがコンビを解消する原因となった、ある女性の全裸殺人事件の真相を、彼女はどうしても暴きたいのだった。

その取材過程で、主人公はかつて自分の英雄だったスターの真の姿に幻滅し、徐々に明らかになっていく驚愕の真相に、これまでの価値観を揺さぶられていく。

40点
ホラー映画としての怖さは日本版に劣るが、そもそもコンセプトが違う

ジャパニーズホラー『仄暗い水の底から』のハリウッド版リメイク。監督は『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレス。日本版で黒木瞳が演じたシングルマザーのヒロインは、日本でも人気のあるジェニファー・コネリー(『レクイエム・フォー・ドリーム』ほか)が演じている。

離婚調停中のヒロイン(J・コネリー)は、5歳の娘の親権を得るため、二人で暮らす部屋を探していた。やがて二人は、ニューヨークのある島の片隅にアパートを見つける。少々不気味で古い部屋ではあったが、急いでいたこともあって彼女は賃貸契約を結んだ。ところが、暮らしはじめた途端、部屋の天井に不気味な染みが現れ、水道からは黒い水が出てくるなど、気味の悪い出来事が相次いで起こりだす。

『仄暗い水の底から』の原作は、『リング』で知られる鈴木光司による短編小説だが、ハリウッド版のストーリー展開は、日本の映画版の方に忠実だ。話の舞台となるアパート(というか団地)の不気味な雰囲気や、管理人など脇のキャラクターも、比較的映画版に類似している。

40点
監督の思い入れが強すぎる

オーランド・ブルーム、キルスティン・ダンストという現在もっとも人気のある若手俳優二人が競演したドラマ。監督は『あの頃ペニー・レインと』でアカデミー脚本賞を取ったキャメロン・クロウ。

靴デザイナーの主人公(O・ブルーム)は、社運を賭けて取り組んだ自らの新商品が大コケし、社に莫大な損害を与えてしまう。そんな彼に、故郷の父が亡くなった知らせが届く。葬儀のためエリザベスタウンに向かった彼は、飛行機の中で人懐っこい客室乗務員(K・ダンスト)に出会う。

この作品の脚本は、キャメロン・クロウ監督自身が、父の死をきっかけに執筆したものだ。その時の葬儀でたくさんの親戚と出会った彼は、父の死を悲しみつつも、自らのルーツや家族愛の暖かさを再確認し、深く感動したのだという。そして、そのときと同じ思いを観客にも味わってほしいとの思いを込めてこの映画を作った。

40点
今映画化するなら、何か進歩がほしい

1971年から約2年間TV放送された、初代仮面ライダーシリーズのリメイク版。

大学院で、水の結晶を研究する本郷猛(黄川田将也)は、悪の秘密結社ショッカーの手で拉致され、バッタの改造人間にされてしまう。彼は、ショッカーの手先として働かされるが、やがて自我を取り戻し、組織と対立する。それを受け、ショッカーは刺客として仮面ライダー2号(高野八誠)を送り込む。

アクションシーンのロケ地は、原っぱや公園のような予算を食わないところばかりだし、ワイヤーワークも役者のアクション自体も、正直言ってテレビレベル。もうちょっとお金をかけることはできなかったのか。まあ、確かにそういうところも仮面ライダーらしいといえば、そういえなくもないが、やはり映画としては迫力不足に見えてしまう。役者の線がいかにも現代っ子的で細すぎる、というのも影響しているだろう。

40点
大人だけで見るものではないが、作りはしっかり

スキンヘッドがトレードマークのこわ持てアクションスター、ヴィン・ディーゼル主演のファミリー向けコメディ映画。

百戦錬磨の米海軍特殊部隊員ウルフ(V・ディーゼル)は、ある一家を護衛するため、ハウスキーパーとして潜入せよとの指令を受ける。家事などやったこともないウルフは嫌がったが、それ以上に問題なのは、こわ持てのウルフを屁とも思っていない5人の悪ガキどもだった。やがてウルフは、まるっきりいう事を聞かない子供らに、軍隊式スパルタ教育を施すことを決める。

ヴィン・ディーゼルといえば、これまで体を張った男っぽい役柄を中心にこなしてきたマッチョなアクションスターだ。外見はつるっぱげだし、声もドスがきいていてとても怖い。そんな彼が、ディズニー映画らしい子供向けほのぼのコメディに主演することになった。役柄はいままで通り、屈強な海軍隊員というものだが、そんな男が子供らにふりまわされ、ドジをふみ、間抜けなドタバタを繰り広げるという、ギャップを笑ってもらう企画である。コメディがうけやすいアメリカでは大ヒットした。

40点
一人浮いているキーラ・ナイトレイだが、見所も彼女に集中している

名優ローレンス・ハーヴェイの娘に生まれ、モデルとして活躍しながら、いつしかバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)の世界に足を踏み入れた実在の女性ドミノを題材にしたクライムドラマ。なお、本物のドミノは映画の完成と時期を同じくして、自宅の浴槽で変死体となり発見された。まだ35歳だった。

セレブの娘に生まれ、何不自由無く暮らしていたドミノ(キーラ・ナイトレイ)は、やがてその世界に飽き、生活も荒んでいった。そんなある日、賞金稼ぎの募集広告を目にした彼女は、自分の生きる道はこれだと飛びこんでいく。

やがて彼女は、社会の裏側を知り尽くした荒くれ男たちの世界で、めきめき頭角を表すのだが、彼女の父親代わりとして、この世界のルールを教えていく“リーダー”役を、ミッキー・ロークが好演している。ちなみに、この人物にも実在のモデルがいる。

40点
全くまとめる気がないくせに、妙な仕掛けのある奇妙な脚本

舘ひろしと柴田恭兵が演じる刑事コンビのハチャメチャかつクールな活躍を描くアクション&コメディドラマ。80年代に大人気を博したテレビドラマの久々の映画化だ。物語は98年のテレビスペシャルのラストの設定を受け継いだ続編となる。

7年前から行方不明になっていた主人公、鷹山(舘ひろし)と大下(柴田恭兵)は、韓国のプサンで潜入捜査官として活躍していた。小型核兵器の取引現場を派手にぶち壊した二人は、その後横浜に戻るが、そこではなんとかつての部下トオル(仲村トオル)が、捜査課の課長に昇進していたのだった。

韓国ロケのアクションシーンでは実銃を使い、物語も核兵器の取引やらテロやらと実に壮大。かなり本格的な内容かなと思いきや、やはり良くも悪くも『あぶない刑事』はテレビドラマであった。

40点
キレのないフツーのロマコメ

ダイアン・レイン、ジョン・キューザック共演のロマンティック・コメディ。

8ヶ月前に離婚したばかりで落ち込んでいるサラ(D・レイン)を心配して、姉は勝手に彼女のプロフィールを出会い系サイトに登録した。10年程度はサバを読んだ写真と、ハッタリをかましたプロフ内容が功を奏してか、サラはたくさんの男性からデートを申し込まれるが、実際会ってみるとどの男もろくでもない。立ち直らせるつもりがかえって逆効果になりつつあったとき、犬好きのちょっと魅力的な男性(J・キューザック)が彼女の前に現れる。

さて、それと平行してリアル生活の方でも、ちょっと素敵な男性が現れて、サラは両者に心引かれていくのだが……というお話。

40点
似たような時代劇が多すぎる

「たそがれ清兵衛」等で知られる藤沢周平の傑作小説を映画化したもの。黒土三男監督は、2003年に作られたテレビ版で脚本を担当した人。この作品に対しては、とても強い思い入れがあるという。

ときは江戸時代、東北の小藩。このころ15歳の文四郎は、下級武士の義父と暮らしていた。ところが義父は藩のトラブルに巻き込まれ、切腹を命じられてしまう。その日から罪人の息子の汚名をかぶることになった文四郎だったが、淡い恋心を育んでいた隣家の幼馴染ふくは、変わらず接してくれるのだった。やがてふくは奉公のため町に出て行くが、時が過ぎ、彼らは意外な形で再会を果たす。

政治的な思考とは無縁に、まっとうな道を生きる市井の人間たちを賛美した人情時代劇だ。誠実でひたむき、かつ生きることに不器用な男、そしてやさしく一途な女。たとえどんな結末を迎えようとも、こういう二人にとって悲劇はない。そんな純愛と、(今は失われつつある)日本的ないさぎよい生き方を美しく描いた作品だ。

40点
シリーズファン以外にはすすめにくい

フジテレビの優良コンテンツ『踊る大捜査線』シリーズの人気キャラクター、室井慎次を主人公にしたスピンオフ作品。スピンオフとしては『交渉人 真下正義』に続く2作目となる。本作では、このシリーズの脚本を手がけてきた君塚良一がシリーズ初監督を務めている。

警視庁・室井管理官(柳葉敏郎)は、指揮した殺人事件の捜査で不祥事がおこり、その責任をとらされ逮捕されてしまう。彼を弁護する新人弁護士(田中麗奈)が奮闘するも、相手側弁護士(八嶋智人)の露骨な追い込みにより、室井側は窮地に立たされる。

シリーズの中でもずいぶんと地味なストーリーを持つ一本である。筋書きが地味だから、というわけでもないだろうが、その分演出はいつにもまして演劇的で、けれん味たっぷりなものになっている。出てくる弁護士や警察官は誰一人そうは思えぬ風貌だし、警察署の内装もしかり。マジメに働く労働者たちと薄汚い権力側の対立という極端な構図も一貫している。これはもはや、警察を題材にしたファンタジー映画とでもいうべきレベルに達している。

40点
あるカップルの出会いから別れを時間軸を逆に描いたドラマ

フランスの若手注目監督フランソワ・オゾン(「8人の女たち」「スイミング・プール」など)の最新作。

主人公は30代のカップル、マリオンとジル。二人は離婚手続きを終えると、まるで「最後の記念」とばかりに激しいセックスをする。妻だったマリオンに対し、いまだ未練があるかのように見えるジルはコトの後、「やり直せないか?」と聞くが、彼女は答えることなく去っていく。そして時間は遡り、まだ結婚生活を過ごしていたころのエピソードがはじまる。

二人のカップルの出会いから別れまでを描いた5つのエピソードを、時間軸を逆に並べた恋愛ドラマ。ストーリーに大きな起伏はなく、淡々と二人の経験した出来事が描かれる。一風変わった構成や、各エピソードのつなぎとしてかかる音楽の選曲センスに、この監督らしい個性を見ることができる。

40点
所々前作を思い出させ、それなりに楽しめる

1987年にパトリック・スウェイジ主演で公開され、ちょっとしたダンスブームを巻き起こした『ダーティ・ダンシング』の続編。……というか、リメイクというか、微妙な内容だ。

舞台は1958年、革命前夜のキューバ。そこに18歳のマジメちゃん女子高生(ロモーラ・ガライ)が父親の転勤でやってくる。はじめてみるラテンの陽気なダンスに心奪われた彼女は、ダンスの名手であり、すんでいるホテルのウェイターでもある若い男(ディエゴ・ルナ)と親しくなる。

やがて二人は賞金のかかったダンス大会に出場するため、猛特訓をはじめるという話。二人は見てのとおり、お金持ちのお嬢さんと現地の貧乏な労働者という、いってみれば「身分違いの恋」というやつだ。そこに当時の政治状況が絡み、二人の恋を翻弄していくあたりはちょっと意外な展開ともいえる。

40点
お手軽続編だが、二人の女優の魅力でそこそこ見せる

隣のお姉さん的親しみ易さが人気の女優サンドラ・ブロックが、潜入捜査としてミスコンに出場するコメディ「デンジャラス・ビューティー」の続編。

前作の事件における大活躍で有名人となり、すっかり面が割れてしまった主人公のFBI捜査官(S・ブロック)は、やむなく一線を離れ、FBI広報担当としてメディア出演の日々を送っている。そんなある日、親友のミス・アメリカが誘拐されたとの報を聞いた彼女は、たまらず独自で捜査をはじめる。

前作はいわゆる女性の「変身願望」を満たすかのような作品で、「男勝りの捜査官がミスコン美女に大変身」というのがひとつの重要なモチーフになっていた。この続編ではそれに加え、主人公以上に男勝りな黒人捜査官(レジーナ・キング)を登場させることで、女同士のバディムービーという要素をメインに押し出している。

40点
ドッジボールをネタにしたお馬鹿映画

意外なスポーツ、ドッジボールを題材にしたスポーツコメディ。

寂れきったトレーニングジムの貧乏オーナー(ヴィンス・ヴォーン)は、宿敵でありリッチでマッチョな隣のジムオーナー(ベン・スティラー)による買収の危機にあっていた。30日以内に5万ドルを作らねばならなくなった彼は、ラスベガスのドッジボール大会の優勝賞金を狙い、ジムのマヌケな仲間たちを集めた。

ジャンルはおバカ映画というやつで、全編アホでナンセンスなギャグの連発。スポーツを題材にしてはいるが、それ自体が見所になっていないところはちょっともったいない。

40点
エンタテイメントとしてはまだまだ

正岡子規のふるさと、愛媛県松山市で行われている高校生俳句コンテスト「俳句甲子園」を題材にした青春映画。宣伝によると「文化系スポコンムービー」というらしい。

統廃合を前に、なんとか学校名を歴史に残したいという校長の方針により、「俳句甲子園」への出場が国語教師に命ぜられる。最低出場人数5名をかきあつめたはいいものの、やってきたのはクールで協調性にかける帰国子女、太りすぎでチアリーダー部をクビになった女生徒、いつもウクレレ片手の天然少女、盗撮ばかりしているカメラ部長、野球部の万年補欠といった、どうしようもない落ちこぼればかりであった。

さて、そんなでこぼこ5人組が、俳句なんていうジジクサイ(と映画では何度も強調)部活をやるはめになり、しかも全国大会で優勝を目指すという青春コメディだ。若い役者たちは舞台劇のようなオーバーアクトでそれぞれの役柄を演じ、おかげでとても明るく、からっとした仕上がりになっている。

40点
感情移入しにくい、初心者お断りのドラマ

元コメディアンで日本でも人気のあるジム・キャリー主演、その他のキャストも豪華絢爛、脚本はハリウッドで引く手あまたの人気者チャーリー・カウフマン(本作でアカデミー脚本賞を受賞)という、話題性抜群の恋愛ドラマ。

別れた恋人(ケイト・ウィンスレット)とよりを戻そうと思っていた主人公(J・キャリー)は、ある会社から「彼女はアナタの記憶を消し去りました」という手紙を受け取る。その会社では、特定の記憶を消す手術を請け負っていた。傷心の主人公は、自分も彼女の記憶を消すことを決意、手術を依頼するのだが……。

全編SFというわけではなく、超自然的な設定はこのひとつのみ。もし失恋の記憶を消せるとしたら、あなたはどうしますか? というわけである。主人公は、あまりにつらいその記憶を一時は消そうとするのだが、消去作業中に彼女との幸せだった日々を思い出し、心変わりをする。しかし主人公の体自体は完全な眠りに落ちているため、施術者側にその思いを伝えることができない(途中での中止不可)。このままではかけがえのない大切な記憶が消されてしまう! 記憶の中の彼女はまだ自分と愛し合っていたころのまま、なんとか目の前の彼女を守らなくては!……という展開である。

40点
こんどのへびはたくさんだよ

ジャングルに巣くう、巨大蛇アナコンダに襲われる恐怖を描いたパニック映画の続編。

舞台はインドネシアのボルネオ島。今ここには、7年間で2週間だけ開花する希少な植物が咲いている。この花には巨額の利益を生む薬効成分が含まれており、それを目当てにアメリカから研究者チームがやってきた。悪条件の中、無理やり雇ったボロ船でジャングルに向かう一行だが……。

この後は書かずとも想像できるとおり、大きなヘビさんに人間がパクパク食われてしまうという展開をたどる。8年前の前作とはまったく無関係な筋書きで、アナコンダが出るという点が共通している程度の続編だ。ジャニファー・ロペスという大スターが主演していた前作に比べると、なんだか無名に近い役者ばかりだが、それなりに面白く仕上がっている。

40点
本格的な戦争ドラマを期待しないように

人気作家の福井晴敏(「亡国のイージス」ほか)による原作(「終戦のローレライ」)をもとに、平成ガメラシリーズで知られる特撮のスペシャリスト樋口真嗣監督が作り上げた潜水艦アクション大作。

第二次世界大戦末期、米軍による空襲は日本本土に及び、ついに原子爆弾が広島、長崎に投下される。主人公の艦長(役所広司)と若き乗組員(妻夫木聡)らは、首都東京へ向けた3発目の原爆投下を阻止するため、ドイツ軍から接収した最新型潜水艦「伊507」で敵陣に突入する。

さて、上記「ローレライ」のあらすじを読んで、「邦画界久々の骨太な戦争フィクションか?」と思ってしまう方もいくらかはいよう。しかし、本作は一言でいえば「アニメ風味の実写映画」であるから、普通の大人の皆様にはすすめにくいとまずは言っておこう。

40点
イ・ビョンホンを見れればそれでいいという方なら

放映中のドラマ『美しき日々』(何度聞いても主題歌が笑える)で競演中の韓国スター2人、イ・ビョンホン&チェ・ジウによるちょっとエッチなラブコメ。

美人3姉妹の末妹(キム・ヒョジン)は、お金持ちのイケメン(イ・ビョンホン)に一目ぼれ。猛烈なアタックで見事ゲット……したかに見えたが、彼はさらに上を行くプレーボーイだった。女性に愛を与える事が生きがいの彼は、学問一筋でいまだ処女の次女(チェ・ジウ)や、セックスレスで女を忘れかけている人妻の長女(チュ・サンミ)にさりげなく近づき、そのハートをがっちりとつかんでしまう。

お気楽な音楽と多数のテレビスターのいつもどおりの演技が楽しめるラブコメ。ちょっぴりのエッチ風味を控えめなお笑いで照れ隠ししたような、なんとものんきな一本だ。

40点
一般劇場で再公開される異色のピンク映画

林由美香主演のピンク映画。もとのタイトルは『熟女・発情 タマしゃぶり』というもので、好評につき今回一般劇場で公開されることになった。日韓文化交流として、チョンジュ国際映画祭の招待作品になっているのも話題だ。

ボウリング場で働く無口な30代女(林由美香)は、出会ったばかりの郵便局員に恋をする。毎日弁当と夕食を作り、セックスも含めて尽くしぬいた彼女だったが、逆にうるさがられて捨てられる。だが、彼女はこの恋をあきらめることができなかった。

数百万円という低予算ながら高価なフィルムを使って撮影するピンク映画は、NGの少ない擬似本番とアフレコでの撮影が基本だ。本番の迫力を何度でも撮影可能なビデオカメラで写しこむアダルトビデオとはそこが大きく異なっている。

40点
こんなに違和感のある配役は通常ありえない

宮崎駿監督による3年ぶりの新作長編アニメーション。製作はおなじみのスタジオジブリ。魔法使いハウル役の声に木村拓哉が声優として挑戦。

帽子店で働く18歳の少女ソフィー(声:倍賞千恵子)は、魔女に呪いをかけられ90歳の老婆にされてしまう。家族に真実を打ち明けられぬまま家を飛び出したソフィーは、やがてハンサムな魔法使いハウル(声:木村拓哉)の城で、家政婦として住み込むことになる。

さて、いよいよ今年の大本命、宮崎アニメ最新作の登場だ。イギリスの児童文学作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『魔法使いハウルと火の悪魔』をもとに映画化した本作の舞台は、ヨーロッパの雰囲気をもった架空の町。そこでイケメンの若い魔法使いと90歳の老婆が恋をするという物語だ。

40点
主演のジョニー・デップが一人で支えている

ホラー小説界の帝王、スティーブン・キングの原作を、ジョニー・デップ(『パイレーツ・オブ・カリビアン』の海賊ジャック役など)主演で映画化したサイコ・スリラー。人気作家が不気味なストーカーに追い詰められる姿を描く。

妻と別居中の人気作家(J・デップ)は、人里はなれた湖畔の別荘でひとり暮らしている。ある日、スランプに陥った彼を正体不明の男が尋ねてくる。その男は「おまえの小説は俺の盗作だ」と言い放ち、つきまとうようになる。

開演直前に駆け込んだため、この映画は事前にパンフレットなど読む間もなく見た。見ながら「なんだかどこかで聞いたような話だなぁ」と思っていたら、大昔に読んだ原作の映画化だった。(本作はS・キングの小説『ランゴリアーズ』に所収された中篇『秘密の窓、秘密の庭』を長編映画化したものだ)

40点
裏事情に振り回された哀れな作品

アジア映画の巨匠、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督が、アジア映画のスターを集結させて作ったSF+恋愛映画。SMAPの木村拓哉の海外映画進出作品としても話題になっている。

舞台は1967年の香港。主人公のフリーライター(トニー・レオン)はSF小説「2046」を書いている。彼は、アパートの隣人(チャン・ツィイー)や大家の娘の彼氏(木村拓哉)など、身近な人物をその小説の中に登場させるのだった。

『2046』の製作はトラブル続きで、何年経っても出来上がらないので「永遠に完成しない映画」と揶揄されていたが、先ごろのカンヌ映画祭でようやく日の目を見ることになった。……が、その後も大幅な編集作業と追加撮影が行われ、このたび公開されるバージョンはかなり違った印象になっているという。

40点
単純な定番テーマも飽きられつつあるか

膨大な製作費をかけて、19世紀のアメリカの伝説「アラモ砦の戦い」を描いた超大作ドラマ。

1835年のテキサス、サンアントニオ。メキシコ軍に占領されていたこの町を奪回したテキサス軍は、アラモ砦に立てこもっていた。皆からの信頼厚き義勇兵のジムは、「アラモを捨て、広い戦場で決戦せよ」との司令部命令を受けていたが、強い思い入れのあるこの砦を捨てられずにいた。やがて歴戦の勇士デイヴィ・クロケットの一団が助っ人にやってきて砦の士気は上がるものの、敵の圧倒的な大軍はすでに目前に迫っていた。

「アラモ砦の戦い」といえば、わずか200名弱のテキサス男たちが、数千の敵メキシコ軍相手に奮闘し、最後は玉砕したと言う有名な悲劇の戦いで、アメリカ人なら誰もが知っている国民的アイデンティティーともいうべき史実だ。1960年にジョン・ウェインが監督・主演で映画化したのを筆頭に、何度か映画、テレビ化されてもいる。今回はかつてない製作費を投入し、新たにいくつかの歴史上の新解釈をもりこんで映画化されたもので、なかなかの力の入りようだ。

40点
けれん味だけでは満足度は低い

国際的に高い評価を得ているCMプランナー多田琢&ディレクター関口現のコンビが、広告業界の人脈を駆使して手がけた斬新なコメディ作品。浅野忠信、小泉今日子、千葉真一といった豪華キャストも話題だ。

何度殺しても死なない妻を持つ男の話、術をかけられたまま催眠術師が死んでしまった男の話、その催眠術師の愛人であるCMプランナーの話、彼女に殺しを依頼される外人の殺し屋とその通訳の話、そして空き巣で暮らす奇妙な3人組の話。この5つのストーリーが同時進行する。

CM監督出身らしい斬新なビジュアル、独特の色彩感覚、そして作品にマッチした音楽はさすが。役者もそれに合わせて突き抜けた演技を見せる。とくに「何度殺しても死なない妻編」で妻を演じる橋本麗香や、「術をかけたまま死ぬ催眠術師編」の阿部寛のインパクトはかなりのもの。これはなかなか見ごたえがあった。

40点
前作をこよなく愛する人に

人気アクションスターのブルース・ウィリスと、TV『フレンズ』のチャンドラー役で知られるマシュー・ペリー共演の殺し屋コメディ『隣のヒットマン』(2000年)のPART2。主要なキャストを同じくして送る完全なる続編だ。

引退した伝説の殺し屋ジミー(B・ウィリス)は、今ではメキシコで愛する妻の主夫として悠々自適の生活を送っている。ところが恩人である歯科医オズ(M・ペリー)の妻がマフィアに誘拐され、助けを求めてきたことから、再び騒動に巻き込まれてしまう。

平凡な歯科医の隣に凄腕の殺し屋が引っ越してくることで始まる騒動と、まったく住む世界の違う二人のギャップで大いに笑わせた前作から4年、相変わらず楽しそうに役柄を演じる主演二人が印象的だ。

40点
ホラーというより戦争ミステリ

スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル製作、ホラー界の鬼才ギレルモ・デル・卜ロ監督によるスペイン製ホラー映画。

内戦下のスペイン、人里はなれたところにある孤児院が舞台。新たに連れてこられた主人公の少年は、その地下室で成仏できない少年の幽霊と出会う。最初は恐怖におびえる彼だったが、やがて霊が自分に何かを伝えようとしていることに気づく。

最初に『ホラー映画』と書いたが、一般に想像される怨霊ものホラー映画ではない。予告編や広告イメージには、おどろおどろしい特殊メイクの幽霊の姿があったり、そもそもタイトルがいかにもそれっぽいので勘違いしてしまいがちだが、『デビルズ・バックボーン』は、戦争の悲劇を描いたシリアスな映画である。ミステリの要素も強く、ホラーという印象はあまりない。

40点
チャン・ツィイーの舞は美しいが

2002年の大ヒット映画『HERO』の監督による最新作。衣装やアクション監督等のスタッフも共通で作られた武侠アクション映画だ。

9世紀中頃の中国。唐王朝の衰退期、政府は反乱集団”飛刀門”のリーダーと目される踊り子(チャン・ツィイー)を捕らえるべく、リウ(アンディ・ラウ)とジン(金城武)を派遣する。

『HERO』でおなじみとなった、原色使いの画面作りは健在。フワフワ浮かぶワイヤーアクションと、けれん味たっぷりに使われるCGも満載だ。

40点
ホラー映画マニア向けのとびきり悪趣味な一品

熱狂的なホラーマニアでもあるロック・アーティストのロブ・ゾンビが初めて監督したカルトホラー。自らのマニアックな趣味と情熱を注ぎ込み2000年に完成したものの、米国では配給会社にそっぽを向かれ、3年後になんとか公開にこぎつけたといういわくつきの一本。しかしながら、その間の数年間にロブ・ゾンビ人気が盛り上がったことで、わずか700万ドルの低予算映画ながら、本作は全米興行ベストテンに入るほどのヒットを記録した。

舞台はアメリカの田舎町。奇妙なスポットを取材しながら全米各地をドライブしている主人公ら4人の若い男女は、偶然立ち寄ったガソリンスタンドで「この町には誘拐した人々へ残酷な改造手術を行った異常な外科医“ドクター・サタン”の伝説がある」と聞き、早速その場所へと向かう。だが、途中で車がパンクしてしまい、近くの民家に避難することに。

殺人鬼が巣くう不気味なホラー屋敷におびき寄せられた運の悪い若者たちが、監督の悪趣味全開の残酷でお気の毒な仕打ちをひたすら受ける、B級テイスト満載のホラームービー。

40点
往年のファンにとっては不完全燃焼か

主に日本とヨーロッパで人気のある(米国では本格的に放送したことがないため知名度は低い)、同名のアクション人形劇のTVシリーズを初めて実写映画化した作品。時代設定はTVシリーズの少々前。まだ学生時代の末っ子アランが主人公だ。

国際救助隊サンダーバードの設立者であるジェフの末っ子アランは、それぞれのオリジナルメカを操って大活躍する兄たちと違い、いまだに救助隊の正式メンバーになれずにいた。そんなある日、宿敵フッドの陰謀で兄たちが捕らえられ、基地を乗っ取られてしまう。残されたアランは、協力者のレディ・ペネロープとともにフッドの野望を阻止せんとするが……。

精巧なマリオネットとアイデアあふれる特撮で人気を博したイギリスのテレビシリーズが、このたびVFX満載のアクション大作として映画化された。往年のファンにとってはたまらないであろう。

40点
甘くて甘くてとろけちゃう

韓国若手スターによる純愛ドラマ。主人公の青年役は『猟奇的な彼女』でヒロインにどつかれる気弱な主人公を演じたチャ・テヒョン。

ある日主人公の元に、数年前、突然連絡が取れなくなった女友達から『会いたい』と書かれた一枚の写真が届く。彼女とその幼馴染の少女、そして主人公の3人は、当時男女を超えた親友同士として、かけがえのない日々を過ごした仲だった。

そこで映画は回想シーンに入り、美人二人と主人公の三角関係の思い出が本編として語られるという構成だ。非現実的で古典的なロマンチック路線を臆面もなく踏襲した恋愛映画。甘くて甘くてボクとろけちゃう。

40点
声優全滅、完成も遅すぎた

全世界で高い評価を得、多くの映像作家に影響を与えた『AKIRA』の大友克洋監督の最新作。長編アニメーションとしては二作目となる。総製作費24億円、製作期間はなんと9年という、世界が期待する超大作だ。

19世紀の英国。ある日、主人公の少年の元に祖父から謎の金属ボールが届く。直後、やってきた怪しげな男たちがそのボールを奪おうとしたため、少年はその“スチームボール”を手に家を飛び出すのだが……。

2004年は日本アニメ界三大巨匠揃い踏みの年。押井守監督『イノセンス』に続き、いよいよ世界のオオトモ監督最新作の登場である。(この後は宮崎駿監督『ハウルの動く城』の公開が控えている)

40点
俳優たちの魅力はタップリ味わえる

村上龍による同名の自伝的小説を、人気の宮藤官九郎脚本で映画化。妻夫木聡、安藤政信、金井勇太、加瀬亮といった人気キャストも話題。

舞台は全共闘の嵐吹き荒れる1969年、長崎・佐世保のある高校。主人公はちょいと不純な男子高校生。学校のアイドル的存在の女の子と仲良くなるため、彼女を主演に映画を撮ろうと決意するが、ひょんな事から話はエスカレート。悪友仲間を巻き込んで、学校をバリケード封鎖することになってしまう。

主要キャストの一部を見ると、年齢的に高校生役は無理では……? などという疑問も浮かぶが、そんなものはハンサムなお顔の魅力で吹き飛ばす。シモネタも連発、勢い良く突っ走るハチャメチャな展開の青春映画だ。

40点
50年前の名作を前作ファン向けにリメイク

同名の痛快活劇を約50年ぶりにリメイク。プレーボーイの騎士が望まぬ結婚から逃げるため、上手く軍隊に紛れ込んだが、実はそれはある娘の策略だった……。彼ら二人の運命と恋の行方を、漫画チックかつ軽快に描いた娯楽映画。主人公の騎士、ファンファン・ラ・チューリップをオリジナルで演じたジェラール・フィリップは、若くして亡くなるまでフランスの国民的スターとして愛され続けた。

かつてフランスで大ヒットしたオリジナルの再映画化とあって、スタッフもキャストもなかなかの面々。日本人にも名の通ったところでは、ヒロインに招いたペネロペ・クルスが熱演をみせている。脚本と製作にはリュック・ベッソンが名前を連ねる。

エキストラも多いし、衣装も本格的で、それなりにスケールの大きな作品だ。……とはいえ、アクションシーンはCGなど一切使わぬ素朴なもので、チョコマカとうるさい音楽をバックにチープシックに繰り広げられる。このあたり、古き良き西洋の剣活劇の再現といったところだ。

40点
これという特徴がない

1979年のコメディ『あきれたあきれた大作戦』を、アクションたっぷりにリメイクしたもの。結婚目前の娘のフィアンセの父が実はCIAエージェントだったことから、トンデモな騒ぎにまきこまれる哀れな中年医師のお話。

CIAエージェントである花婿の父を演じるのは、『氷の微笑』などエロ系サスペンスのイメージが強いマイケル・ダグラス。本作でもダンディな魅力は健在だ。

そして花嫁の父親である医師は、『ファインディング・ニモ』の主人公マーリンの声で知られるアルバート・ブルックス。基本的にはこのオジサン二人のかけあいを楽しむコメディだ。

40点
日本人に響くものはない韓国人専用映画だが、見所はある

チャン・ドンゴン、ウォンビンといった人気スターを主演に据え、本格的な戦闘シーンをちりばめた戦争超大作。本国の韓国では『シルミド』と近い時期に公開され、両者で国内の興行記録を塗り替えていった。

仲のいい兄弟とその家族が、突然勃発した朝鮮戦争によって引き裂かれてしまう。前線に駆り出された兄は、せめて弟だけでも家族の元に無事に返そうと考える。彼は弟を後方任務に就かせる事を条件に、危険な仕事を一手に引き受けるが、肝心な弟との仲にはやがて亀裂が入り……というストーリー。

一言で言えば、公開中の『シルミド』と同様、”戦争をダシにして作った泣き映画”である。露骨な泣かせ演出、オーバーアクト、音楽、それらも同様だ。まあ、こちらは完全なフィクションである分まだ良心的といえるか。似たような要素をもつこの二本は、ともに韓国映画史に残る大ヒットを記録した。きっと同じ客層の人々が、両方ともご覧になったのだろう。

40点
これといった特徴に乏しい

シルベスター・スタローン主演の恋愛プラスちょっとだけアクション映画。ボスを守りきれなかったボディガードが主人公で、残されたボスの娘(自分がマフィアの娘とはしらぬお嬢様)を守るというお話。やがて二人が恋をはじめるあたりはお約束の展開だ。

スタローン主演映画というと、どうしてもアクションを期待してしまいがちだが、『ザ・ボディガード』には銃撃戦がちらっとある程度で、メインは恋愛話だ。そこにコミカルな要素をちょいと入れ、イタリアロケをした綺麗な風景も見られるよ、というお手軽映画である。

どう見てもトレーニングをサボっている、たるんだ上腕部をみればわかるとおり、スタローンにはもう純粋なアクション映画は無理だろうから、こういう中途半端な作りになるのもやむをえないのだろうか。往年の代表作に興奮したファンとしては、ちょいと寂しいものがある。

40点
アメリカ人向けのドメスティックムービー

15歳のCIAエージェントの活躍を描いたアクション映画。ファミリーかティーン向けの健全な娯楽作品だ。

最近セクシー化しすぎて変な方向に行きつつあるブリトニー・スピアーズの後釜的アイドル、ヒラリー・ダフ15歳がヒロインを演じ、主演のフランキー・ムニッズとともに魅力を振り撒いている。この映画は二人のアイドル映画としての側面も強く、そのぶん彼らを知らない多くの日本人にとっては、少々疎外感を感じなくもない。

スパイもの好きな大人は、007シリーズをはじめとした同ジャンルの映画を思い出させるディテールの数々に注目してみると良い。キャラクター構成からは、なんとなくシリーズ化を念頭においているように思えたが、案の定その後続編が作られているそうだ。

40点
竹内結子のアイドル映画

50万部を突破したロングセラー「天国の本屋」シリーズの中から、第一作と第三作を選んで一本の映画にしたもの。人気の竹内結子を主演(二役)にしたファンタジックなラブストーリーだ。

ひょんな事から天国で短期バイト(?)をする羽目になった青年が、そこで女ピアニストと出会う「天国側」の話と、伝説の花火職人による「恋する花火」を再現すべく奔走する「地上側」ヒロインの話の二つが並行して描かれる。地上でも天国でもヒロインは竹内結子というわけである。

無理やり二つのお話をひとつにしたような(実際そのとおりなのだが)印象でバランスが悪い。天国の、どことなくノスタルジックな町並みのアイデアや、きれいな映像などの絵作りはまあまあなのだが話がつまらない。大筋が読めてしまい、興味が持続しないのだ。別に単純なストーリーでもいいが、細かいトコで客の興味を引っ張る面白さに欠けるのは問題だろう。はっきりいって退屈そのものだ。

40点
主に米国人&仏人向き

ケイト・ハドソン&ナオミ・ワッツ共演の、パリを主な舞台にした恋愛ドラマ。ヒロインの若いアメリカ人女性がフランス人男性と恋をするが、米仏の文化的なギャップに一苦労するというストーリー。モラルやマナー、金銭感覚……などなど、そのカルチャーギャップを理解して笑える人向き。

すなわち『ル・ディヴォース パリに恋して』は、主にアメリカ人とフランス人を対象にして作られた映画だ。われわれ日本人としては、そのどちらかにでもなったつもりで、疑似体験を味わうとしよう。くれぐれも万人向けのお気軽なロマコメというわけではないので、その点は要注意。

互いの家族を巻き込んだ大騒ぎにも決してめげずにがんばるヒロインの姿には、素直に共感できる人も多いはず。ただ、一般的な日本人がこの作品をみた場合、どうしても“お客さん”的な視点で見る羽目になりがちだから、満足度という点では微妙な気もする。

40点
オカルトめいた展開についていける方のみか

舞台は1885年の西部、シングルマザーのヒロインが、インディアンに帰化した父の助けを得て、娘をさらった悪の部族を追うという追跡劇。ヒロインを助ける父親は、インディアンの知識と技術を身につけているので、誘拐グループ(?)たちを追跡することが出来る。この役を演じるのがトミー・リー・ジョーンズ。この役者は、何者かを追いかける役ばかりやっているが、ここまで重なると、わざと選んでるんじゃないかと思わず苦笑したくなる。

しかも、今回の「追跡者」はなんとも頼りなく、ヨボヨボの体はいかにも弱そう。案の定、ボコボコにされたときには、さすがに複雑な心境になった。徐々にオカルト色が強くなる後半、物理法則を無視して危機をのりこえるおバカな展開を見ていると、ヒロインの演技派ケイト・ブランシェットの熱演が気の毒になってくる。

父娘の和解だの親子愛だのといったドラマも、リアリティの薄い展開のせいで崩壊目前。お話も、誰もが想像するとおりに展開し、そのまま終わるというもの。こういう映画は、宣伝する側はさぞ苦しいだろう。私としてもいったい誰にオススメすれば良いものか、迷ってしまう。

40点
この映画で何をやりたいのか、はっきりさせよ

出版業界久々のド級のベストセラーとなった原作を、センチメンタルな映像美で知られる監督が映画化。

レビューを書くにあたり私も原作を一読してみたが、どうもマスコミその他で騒がれているほど、「泣ける」という話ではないようだ。大して気を引くエピソードがあるわけでもなく、構成がよいわけでもない。高校生同士の恋愛における心理について、一部に鋭い描写を見ることができるが、正直な感想としては、小説としてはイマイチであった。そういう感性の男による映画レビューだと、まずは断っておこう。

さて、その映画版だが、感動的な主題歌を持つ予告編の出来がいいため、早くも大きな期待をされている。だが、結果としては小説と同じく、イマイチといったところだ。

40点
前作の出がらし

数々の仁侠映画やカンフー映画等の要素をごた混ぜにして、独特の世界観を確立した日本刀アクション『キル・ビル』の続編。前後編の後編にあたり、とりあえず本作でストーリーは完結する。(15年後にPart3を作るという噂もある)

さて、突然だがみなさんは『キル・ビル』の後編に、何を期待するだろう? 見たこともない斬新で派手なアクション? パロディ満載のオバカな笑い? 前作で残された謎の解明? まあ、主にそんなところではないかと私は想像する。この後編では話が完結するため、確かに最後の要求は満たされる。だが、笑いやアクションは前作比80%減だ。

最初からこれ一本を見るのであれば、それなりに監督の個性がにじみでた映画であり、満足できるかもしれない。だが、あれだけの前作を見た後、「あれを超えるクールなやつを見せてくれ!」と思っているファンがこれを見たら、多かれ少なかれガッカリするはず。個人的にはこれでもいいのだが、アクションのない『キル・ビル』を許せないという人は多いのではないか。そんなわけでこの点数となった。

40点
犬好き専用映画

盲導犬クイールの一生を描いた映画。盲導犬の献身的な働きを描いた感動ドラマ……というわけでもなく、単にカワイイお犬様のお姿をみるという、動物映画の趣きが強い。

つまりこの映画の目的は、動物好きを泣かせるという一点にあると思われる。その観点から見れば、まあ及第点といった出来だろう。犬好きに媚びているとしか思えないようなカットも多数見受けられたが、それでも「カワイイ〜」の声がそこかしこから漏れる事が予想される、まあ、そんな映画である。

内容は、文部省が喜びそうな、かつ子供の教育によさそうな健全な物語。あまり複雑な構成のドラマではなく、ただ犬の一生を追っただけという、あまり面白くないつくりになっている。

40点
ハル・ベリーのファンムービー

女子刑務所精神科病棟を舞台に、ハル・ベリーとペネロペ・クルスという、2大人気女優が競演したオカルト系サスペンスドラマ。

ハル・ベリー演じる医師が、はっと気づくとなぜか刑務所に入れられているというつかみは完璧であったが、その面白さはすぐに消え、中だるみする中盤が長く続くのが残念なところ。

冒頭に期待したサスペンス要素はさほど盛り上がらず、やがて映画はハル・ベリーのファンビデオ的なものへと変貌していく。今回は、ギャラが低かったか自慢の巨乳こそ隠しているものの、ワンピース水着による水泳シーン、濡れて体に張り付いたTシャツ、全裸で横たわるシャワーシーン、下着がチラチラ見えるヒップハングのパンツ等、ファンサービスとしか思えない見所がたくさんある。

40点
全編ゆるすぎる作り

哀川翔、主演100本記念作品。今、週刊スピリッツでコミック版が連載されているヒーローもの。

ヒーローものといっても、哀川翔演じるさえない教師が、子供時代に憧れたテレビの『ゼブラーマン』のコスプレををしているうち、やがて町の犯罪者(?)と本当に戦うはめになり……というような内容。基本的にコメディとして話が進行し、最後にはちょっと泣かせます、というパターンだ。

私はコミック版連載をちらほら読んでいたが、大筋は一緒でもずいぶんと印象が違う。経験上、漫画版を先に読んで期待していくと、外す確率が高いだろう。漫画版は普通に面白いが、映画版はアクが強い。まず、説明不足であるから、あらゆる場面で「なぜ???」の連続だ。原作を読んでいない人が見たら、ただのナンセンスドラマかと思ってしまう。

40点
またひとつ良い原作が台無しに

直木賞の候補にもなった、2002年日本ミステリ界最大の話題作の映画化。妻殺しを自首した男が、なぜか殺害後〜自首までの2日間については決して語らない(警察用語でいう”半落ち”状態)、その謎で引っ張る物語である。

容易に想像がつくとおり、主人公は”誰か”をかばっているわけで、その真相が明らかになるラストで、ドーンと泣かせる事を最大のウリにしているのは映画も同じ。森山直太郎の感動的な主題歌がTV-CMでガンガン流れているから、大きく期待する向きも多かろう。だが映画『半落ち』は、期待するほどには泣きにくい。

多数の登場人物が出てくるが、映画のほうはとくに相関関係がわかりにくい。小説と違ってそれぞれの主要人物をじっくり描くひまはないから、有名俳優をあてがって、彼らの持つキャラクターに頼るという手法を取っているが、その分深みはなくなった。

40点
難解な本作は、独自に解釈する楽しみを味わえる一本

自らの身体を傷つける自傷癖のある女性を描いたフランス映画。監督は、これが初長編となるマリナ・ドゥ・ヴァンで、小柄で気軽な雰囲気の若い女性である。劇中では主演もし、綺麗なヌードも見せてくれてる。すぐに血だらけになってしまうが。

彼女の話では、これは「自傷癖について描いた映画ではない」そうで、むしろ「心と身体の関係のミステリアスさを描きたかった」という。大事なのは、ヒロインが不本意な感情と戦う姿であるというわけだ。だから監督さんは、自傷癖についての専門書なども読んでいないという。

『イン・マイ・スキン』の特徴は、なんといっても直接的な自傷行為の描写につきるだろう。皮膚をはがし、ぐちゃぐちゃと歯でなめしと、とどまるところを知らぬエスカレートぶりである。

40点
持ち味が死んでしまっており、大人の目から見るとイマイチ

読売新聞日曜版で隔週連載中の人気漫画を原作にした、TVアニメシリーズの映画化。視聴率も高く、家族で見れるアニメとしてお茶の間に人気がある。今回がはじめての劇場用作品となる。

95分間という、堂々の長編アニメとして作られた『あたしんち』だが、この手の季節ものアニメの常で、完成は公開直前にずれこみ、私もちょうど本日、試写会で鑑賞してきたところである。プレス資料と実際のストーリーが大幅に違うあたり、スケジュール的にさぞ大変だったんだろうなと窺わせる。

あらすじは、主人公である母と、娘のみかんの中身が入れ替わるというファンタジー的なもの。これがちょっとイマイチである。ちなみに私、このマンガに関しては、読売新聞での連載第一回からのリアルタイム読者である。しかもこの、あまりに面白かった記念すべき連載第一回を切り抜いて、周りの友人知人に広めたというほどであるから、『あたしンち』の魅力は知り尽くしている方だと思う。

40点
70年代コミューンに興味のある人へ

舞台は70年代。既存の家族制度から離れて同性愛やフリーセックスを実践していた「コミューン」(生活共同体)を舞台にしたドラマ。本国スウェーデンで、記録的な大ヒットとなった。

内容は、『普通』の家族から逃げ出した母と子供たちが、『普通でない』コミューンでの共同生活を通して、成長していくという物語。短いショットを多数貼り合わせたような編集と、手持ちカメラを多用した撮影で、この雑多な『家族』の中に鑑賞者も入り込んだ気分になるよう作ってある。

これがもしアメリカ映画であれば、健全なコメディにしそうなところであるが、そこはさすがにヨーロッパ映画。大人向けの生真面目なドラマとして、成立させている。コミューンの特徴のひとつであるフリーセックスについても、避けずに堂々と描いている。

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