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40点
≪ドラマ未見者にとっては地雷≫

興行面での好調な出だしやマスコミで繰り返されるプロモーション、ハリウッドでリメイクが決定したとの華々しいニュースから、「劇場版 SPEC〜天〜」をゴージャスなエンターテイメント作品と勘違いしてる人がいたら要注意である。この映画は、姉妹編「ケイゾク」から続くドラマ版のファンたちが集まってこっそり楽しむ、本来マイナーな扱いがふさわしいB級作品である。

刑事部が手におえない事件を担当する公安部の"ミショウ"こと未詳事件特別対策係の天才捜査官・当麻(戸田恵梨香)は、洋上のクルーザーという"密室"でおきたミイラ化殺人の報を受ける。うずく左手を気にしつつ、瀬文(加瀬亮)とともに捜査を続ける彼女の前に、意外な人物が姿を現す。

スペックホルダーと呼ばれる超能力者が複数登場し、公安部側の捜査官と激しい戦いを繰り広げるSFアクションの映画版。

40点
失敗を堂々と見せる誠実さ

ドキュメンタリー映画「311」は、東日本大震災の犠牲者の死体を写したということで物議を醸している。遺体映像で金もうけをするのかと、かなり感情的な批判にもさらされているが、そんなネタが公開前に流れている時点でそれを売りの一つにしているように見えなくもない。

だが、この映画のポイントはそこではない。本作最大の見どころは、森達也という日本を代表するドキュメンタリー作家でさえ、あの被災地ではこの程度の取材しかできなかったという、その一点にある。

映画の冒頭、監督をはじめとする取材チームは車で福島第一原発へと向かう。ジャーナリストの綿井健陽らの名前を見れば、この作品が原子力発電に対して鋭い批判的視点をもった作品になろうとしていたことは容易に想像がつく。

40点
≪ここまでしなくてはダメなのかと絶望≫

『マイウェイ 12,000キロの真実』は、韓国映画界が総力をあげた超大作であり、向こう2年はこのクラスの大作は無いと関係者が言い切るほどの勝負作である。宣伝攻勢も相当なものだから、どこかでタイトルを見かけた方も多いだろう。

しかも、彼らが描くのは戦争中の旧日本軍将校の半生。よりにもよって、韓国映画が日本軍を描くとは、何かが起こりそうな予感がぷんぷん。ドキドキわくわく、韓流ウォッチャーにとっては見逃せない、そしてその期待にそぐわぬ話題作であると、ここに保証しよう。

1928年、日本統治時代の京城(現在のソウル)。裕福な日本人一家の息子、長谷川辰雄は、使用人の息子ジュンシクと出会い、やがて長距離走のライバルとして成長する。彼らはその後、のちに日ソの激戦地となるノモンハンで再会するが、そのとき辰雄(オダギリジョー)は日本軍の将校、ジュンシク(チャン・ドンゴン)はその部下という立場であった。

40点
≪食感も味も想像できないワンダフルな料理の数々≫

料理のうまさは直感頼りとか、センス次第と考えられることが多い。確かに料理上手は最初からそこそこ上手く、料理下手は何年続けても下手なままである。家庭では奥様が担当することが多かろうが、頭のよい女性が必ずしも上手いわけでもなければ、美人がうまいわけでもない。もっとも、かわいい女の子が作った料理をその整ったお顔を見ながら食べると例外なく美味しいような気もするが、それはおそらく気のせいである。

だが、そんな考えを根底から打ち砕くのがスペインの料理人フェラン・アドリア。世界最高のシェフの一人と評される彼の料理は、徹底した科学的裏付けのもとに成り立っている。料理を科学的に分析する手法は古くからあり、プロは多かれ少なかれ意識しているもの(塩より砂糖を先に入れる理由を科学的に説明できない料理人はいまい)だが、アドリアはあらゆる道具や添加物を使い、想像もしない触感、味へと食材を生まれ変わらせる。とくに、亜酸化窒素を使って食材をムースに加工するエスプーマの技術は彼が発明したものであり、それは長年の科学的分析・研究の成果そのものである。

そのフェラン・アドリアのラボとでもいうべき、様々なアイデアの具現化を楽しめるレストランが「エル・ブリ」。スペインのカタルーニャにかつて存在したこのレストランは、45席に年間200万件の予約希望が入る「世界一予約が取れない」店。『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』は、その厨房の舞台裏とフェラン・アドリアに迫るドキュメンタリーだ。

40点
≪謎解きの提示が早すぎて盛り上がらない≫

運命というのは、もともと定められていたものなのだろうか。それとも未来は未確定で、自らの行動がその行方を決めるのだろうか。ちなみにすべての運命はあらかじめ決まっているとの考え方を、フランスの神学者ジャン・カルヴァンは予定説と呼んだ。

映画『アジャストメント』は、そんな哲学的テーマをモチーフにしたアクション映画。フィリップ・K・ディックの短編を原作に、現代的に翻案した長編作品である。

最年少で下院議員となったデヴィッド(マット・デイモン)は、いよいよ上院議員になろうかという時、スキャンダルで有権者の支持を失う。だが破天荒な娘エリース(エミリー・ブラント)と運命的な出会いをし、彼女の一言をヒントにギリギリ救われる。そして彼女を思うデヴィッドの行動は、この世の歯車を狂わせてしまう。

40点
≪それではちいてんをはじめる≫

映画版GANTZは、前作の記事で書いた通り一般女性客向けであり、興行収入のみならず鑑賞後の満足度においても、そのターゲットの範囲内という意味では十分以上の成果を収めた。その成功を受け、この後編も当然ながらコンセプトは同じまま。原作ファンとしては残念だが、今回も蚊帳の外という印象は否めない。それを大前提として、見る方は挑んでいただきたい。

※以下には前作「GANTZ」(2010)および原作の仏像編のネタバレが含まれますのでご注意ください。

加藤や岸本を失った玄野(二宮和也)は、しかし彼らの遺志を継ぎ、メンバーを守り復活を期すための戦いを続けていた。一方、実世界ではなぜか加藤(松山ケンイチ)が復活、弟の待つ部屋に戻るものの、どこか様子がおかしい。やがて新たなミッションが始まるが、そのターゲットは星人ではなく玄野にとってよく知る人物であった。

40点
≪頑張ってはいるがまだまだ≫

最近は若い人に時代劇が人気なので、人気タレントを起用したアイドル時代劇が増えている。だが時代劇とは本来、それ専門といってもいいプロの職人的な俳優がメインを張り、手慣れた様式美でうっとりさせるのが基本。その意味では、現代劇中心に活躍してきた俳優および監督による『雷桜』とて、いわゆる流行りものの範疇に入れられてしまうのはやむを得ない。

こうした「非本格時代劇」を批評家がけなす際のポイントは決まっている。

一般のお客さんと違って私たちは、まず馬のシーンに注目する。アイドル時代劇のほとんどは、バストアップと超ロングショットの二つしかない。前者は本物の馬の上で演技する必要がなく、後者はボディダブルでごまかせる。

40点
≪雰囲気はいいものがあるが≫

「死刑台のエレベーター」のオリジナルは57年の同名作品。フランス映画のサスペンスだが、これだけ元ネタが古いと、普通はリメイクも簡単にはいかない。だいたい新築マンションだって50年もたったら建て替えだし、憧れの茶髪ギャル美少女だってお婆さんである。そう考えれば、ほとんど変わらぬストーリーで再映画化できたのは、それだけでも大変な事かもしれない。

大企業グループの会長夫人(吉瀬美智子)は、グループ傘下の医師(阿部寛)と愛人関係にある。だが思うように会うこともできぬ彼女は、邪魔な夫の殺害を決意。隙のない殺害計画を立てるが、実行犯の医師が現場から去ろうと乗ったエレベーターが停止、閉じ込められてしまう。連絡が取れず焦る夫人は、やがて不安と疑心暗鬼がつのり……。

舞台を現代日本に移しても、物語の骨格は変わらず成立するのだから凄い。日本でエレベーターに閉じ込められる事故は稀有だが、私も一度経験があるくらいなので皆無とは言えない。だが、人殺しの帰り道でそんな不運に見舞われたら、そりゃシャレにならない。

40点
≪傑作になりそびれた秀逸設定の時代劇≫

先日、尖閣諸島で中国がちょっかいを出してきた。こんなものは恒例の中華プロレス興業にすぎないわけだが、ここで日本側が相手も仰天するほどの早さで船長お返しカードを切るという、相撲でいう肩すかしを食らわせた結果、世界中が日本に同情、今や中国が世界の悪者として孤立してしまった。

誰もがあの時の日本政府の弱腰対応を批判し、たぶんカードを切った本人もろくに考えもせずやったような気もするが、結果的には良手となったわけだ。

だいたい中国政府の反日的態度は、国内の猛烈な格差社会における底辺層(貧乏人)の不満を、自分たち(北京政府)から外部(=日本)にそらすためのポーズであることは常識。本音では経済成長に不可欠な日本と仲良くしたいのだ。チャイナドレスをきたツンデレ少女(黒髪ロング)の姿を想像すれば間違いはない。

40点
≪見た目はハリウッドの雛形映画、だけど中身は……。≫

バディムービーというのは、いまやすっかりアメリカ映画のお家芸となっている。その多くは刑事もので、相棒の片割れはおしゃべりな調子者の黒人。そのマシンガントークに白人の主人公がうんざり顔で応対しつつも、決めるべきところは二人で決めるという友情アクション映画──。

そんな典型例を語ればそれだけでギャグになるような、お約束中のお約束。『コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら』はまさにそんな雛形に収まる映画……に、一見みえる。

NY市警の刑事モンロー(ブルース・ウィリス)とその長年の相棒ホッジス(トレイシー・モーガン)は、ミスにより1ヶ月の停職処分を食らった。これで大弱りなのがモンロー。別れた妻と暮らす愛娘の結婚式を前に、その費用のあてがなくなってしまったのだ。このままカネが用意できなければ、妻の再婚相手のいけ好かない大金持ちに父親面までされる羽目になる。そこで彼は、父の形見の超レアなベースボールカードを換金しようとするが、その寸前で強盗に奪われてしまう。

40点
≪現代的でユニークな無人島映画ではあるが≫

映画の中で無人島が出てくる場合、65パーセント程度の確率でセクシー美女が漂流してくる。その美人はたいてい作品の中で不自然に大きなおっぱいを晒すので、男たちは無人島ものが大好きである。12チャンネル(東京の場合)や深夜帯にこの手の映画が多いのも、需要と供給の経済原則からみれば当然であろう。

しかし、平成日本ではそんな昭和の常識は通用しない。『東京島』で沖縄方面の無人島に流れ着く40代主婦は、たしかに美人だが裸にはならないし、周りの男どももその生命力に圧倒されて手を出せない。じつに現代的な展開(すなわち先読みしにくい)を味わえる。

結婚20周年のクルーズの途中で事故にあい、南国の無人島に夫と流された主婦、清子(木村多江)。島のサバイバル生活の中で、夫のふがいなさに気づいた彼女は、ひとり文明社会への生還を強く誓う。やがて島にはきついバイト先を逃げ出してきたフリーター16人もやってきて、清子は島の中でたったひとりの女として生き生きと振舞い始める。

40点
≪熱しやすく冷めやすい人向け?≫

熱しやすく冷めやすい人がいる。女性の場合だと、イケメンな彼が欲しくなって自分から誘い見事にゲットしたものの、何かの拍子で別れたが最後、相手がどう必死にアプローチしてきても決して二度と体を許さない、というタイプだ。

そのくせお友達としてなら喜んで続けてくれるので、男側に未練がある場合はたまったものではない。本人は自分の残酷さに気づくことなく、速やかに次なる恋へイナゴ集団のように完全移動する。男を振り回す、厄介な小悪魔タイプである。

テレビドラマのファンというのも、そうしたタイプが少なくないのだろう。でなければ、1クールの回数が年々減り、次から次へと新カレならぬ新ドラマが発表される理由がない。映画業界でも「相棒」のように、ドラマ終了後、なるべく早い時期に映画化したほうがヒットすると考える人は多い。

40点
≪古典ミステリの映画化だが賞味期限切れ≫

私のようなミステリ好きにとっては、アリバイとか殺人だのといった単語がタイトルにあるだけで興味を引かれる。しかも聞くと本作は、アガサ・クリスティー原作ものだという。クリスティー原作の映画は数は多いが、どうも凡作ばかりの気がして少々心配だが、長編「ホロー荘の殺人」をかなり大胆にアレンジしたということで、それなりの期待を抱いて試写を見た。

フランス郊外の村で暮らす上院議員夫妻は、週末になると自分の邸宅に大勢の客を招きもてなすのが恒例。今週末も親しい友人らを招いていたが、今回はそれぞれ因縁のある人物ばかりが集まっていた。たとえば精神分析医のピエール(ランベール・ウィルソン)は、美しい妻クレール(アンヌ・コンシニ)がいながら浮気を繰り返しているのだが、現在の愛人エステル(ヴァレリア・ブルーニテデスキ)のほかにも、彼と関係を持った女が複数招かれていた。波乱を予感させる不穏な空気の中、やがてとうとう殺人事件が起きてしまう。

なんといっても最初から最後まで名探偵ポアロが出てこないのだから、大胆な翻案といえるだろう。この、あまりに有名すぎるキャラクターがいまどきの映画に出てくれば、確かに下手すりゃ漫画的になってしまう。男女のシリアスな愛憎ドラマを描きたかった監督が嫌ったのも理解はできる。

40点
面白い素材を生かすことができず

『ダーリンは外国人』はコメディ、とくにラブコメ作りの肝を分析せずに作ったこのジャンルの映画がいかにひどい代物になるかがよくわかる、すぐれたサンプルである。

イラストレーターのさおり(井上真央)は、「漢字」の美しさに惚れて来日した語学オタクのアメリカ人、トニー(ジョナサン・シェア)と知り合い恋に落ちる。日本語がぺらぺらでいつも温厚なトニーとの同棲生活は幸せだったが、二人の恋には予期せぬ障害がいくつも待ち受けていた。

小栗左多里による自伝的コミックの実写版。私はそれを読んでいないが、それでもこの映画の問題点についてはすぐに指摘することができる。

40点
ディテールがスィーツ状態

人気テレビドラマの映画版『交渉人 THE MOVIE』は、いかにも日本の娯楽映画らしい、おおらかで心地よい一品である。

現金輸送車から大金が強奪された事件で、犯人グループはやがてショッピングモールへと立てこもった。警視庁特殊捜査班所属の交渉人、宇佐木玲子(米倉涼子)が犯人側と交渉を開始するが、これはさらなる大犯罪への序章に過ぎなかった。

冒頭、スタントマンの熱演が光るカーチェイスと、ファン待望の交渉シーンを前菜代わりに堪能したあとは、いよいよ本番のハイジャック事件が巻き起こる。実物大の航空機セットを使った内部のリアリティ、北九州空港とスターフライヤー協力による外観、飛行場風景など、邦画ながら見た目の重厚さが感じられるエンターテイメントである。ハイジャックされた航空機になんと刑事が乗り込み、上空で熾烈な駆け引きと戦いを繰り広げるという、いまだ誰も見たことのない設定も魅力だ。

40点
女性にとっては、少々キツい映画

『50歳の恋愛白書』とは思い切った邦題をつけたものだが、つけた側も賛否両論がおきるだろうことは承知の上での決断らしい。タイトルから受ける印象と映画の中身はだいぶ異なるわけだが、その気持ちはわからぬでもない。この映画は、きわめて対象がニッチで宣伝側としては悩ましいであろう作品だからだ。

50歳の専業主婦ピッパ(ロビン・ライト・ペン)は、歳の離れた夫(アラン・アーキン)と長年うまく暮らしてきたが、30年近い歳月を経て強い孤独感をあじわうようになった。最近、周りが老人ばかりのコミュニティに引っ越してきた事も大きかった。やがてそんな彼女の前に、この町には似合わぬハンサムな若者(キアヌ・リーヴス)が現れる。

厳密には恋愛ものでもラブコメでもなく、中年女性の生き様をリアルに描いた女性映画である。むろん対象はヒロインと同世代の女性。とくにこれまでの人生、色々とあがいてきた知的な女性限定といった趣だ。天然気味な人や、苦労知らずな人には向いていない。男性は、まじめに女性観察を楽しむつもりならば案外いける。

40点
「甘さ」に疲れる

子供のいない夫婦にとって、離婚のハードルはさほど高くない。男にとっては経済的な痛手だがそれは、別れなくとも似たようなもの。基本的には、それほどドラマチックなイベントではなく、むしろアチラから言い出してくれりゃ万々歳、てなものである。

ところが、ここに夫婦の「別れ」を泣けるドラマに仕立ててしまった映画がある。『今度は愛妻家』がそれで、その意外なチャレンジにはあらゆる観客が驚かされることになるだろう。

かつては売れっ子カメラマンとしてならしたが、今ではすっかりやる気を失っている俊介(豊川悦司)。今日もそんな昔の栄光に憧れやってくる美人モデルとねんごろになろうとしていたが、そこに突然、妻のさくら(薬師丸ひろ子)の姿が。あわてて取り繕う彼の前で、しかしさくらは意外な事を言う。「子作りする気がないなら私と別れて」

40点
上映館に出かけるときは(いろんな意味で)気をつけて

今週は3Dホラー作品の話題作が2本公開されるが、日本の誇る清水崇監督(呪怨シリーズ)の最新作がこれ。所要時間なんと60分、世界最長の歩行型お化け屋敷として恐れられる「戦慄迷宮」(富士急ハイランド)の実写映画化である。最新立体メガネをかけて、絶叫の清水ワールドを堪能しようというユニークな企画だ。

廃病院を模したお化け屋敷で行方不明になったユキ(蓮佛美沙子)が、10年ぶりに戻ってきた。妹ミユ(水野絵梨奈)、友人のケン(柳楽優弥)、盲目の少女リン(前田愛)らが戸惑う中、ユキは発作を起こして倒れる。彼らはあわてて車で偶然見つけた病院に運び込むが、そこはどこか奇妙な雰囲気であった。

かわいい蓮佛美沙子に導かれて、あわれ若者たちはリアル戦慄迷宮に迷い込んでしまう。そこから先は、飛び出るアトラクション、いや様々な恐怖に襲われながら、自分たちの過去、謎のユキ失踪事件のおそるべき真相と対峙することになる。

40点
こども向け時代劇

『BALLAD 名もなき恋のうた』は、クレヨンしんちゃんがご自身の番組で宣伝しまくってくれているおかげで、きっとたくさんのお客さんに見てもらえることだろう。

2002年の『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の実写版である本作は、同時に大ヒット作『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの山崎貴監督最新作でもある。さらには、芸能界きってのナチュリストぶりを発揮した草なぎ剛主演ということで、話題性には事欠かない。完璧すぎる布陣といってよいだろう。

おとなしく、いじめられがちな少年・川上真一(武井証)は、ひょんな事から天正2年にタイムスリップ。春日の国とよばれるそこで、「鬼の井尻」と恐れられる武将、井尻又兵衛(草なぎ剛)の命を偶然救った真一は、彼が幼馴染の廉姫(新垣結衣)と、身分を越えて惹かれあっていることに気づく。だが美しい彼女を狙う大名、大倉井高虎(大沢たかお)が、権力と軍事力をかさに強引に結婚を申し込んでくるのだった。

40点
アイデアはいいが、まだまだ未完成

真面目にやらない学生ってのは大抵暇なもので、思春期特有の「他者の目を異様に気にする性質」もあって、ろくでもないことに多大なエネルギーを費やしている。それは前髪のセット具合だったり、携帯メールの返信レスポンスの速さだったりと、人生の無駄遣いとしかいいようのないもろもろである。

もっとも、「暇なヤツほど世間体を気にする」という点では、主婦や閑職のサラリーマンも同じかもしれないが……。

ともあれ、そんな「余命の無駄遣い」の最たるものといえば、学校裏サイトをはじめとするネットコミュニティーに違いない。むろん、すべてが無駄とは言わない。市場の生の声を集めたり、海外の人間とリアルタイムでコミュニケーションをとるなど、有効な場、使い方はいくらもある。

40点
一本道のストーリーにゲンナリ

2001年から始まったシリーズもはや6作目。メインキャストらが通しで出ているおかげで、劇中のキャラクターと演じる子役らの成長は完全にシンクロし、観客は彼らを見守るように楽しむことができるようになった。

たとえばハリー役ダニエル・ラドクリフはたくましい若者になり、エマ・ワトソンは胸元が大胆に開いたドレスを着こなすほどに大人っぽくなった。ほかにも植物学を独習し、実家で大麻栽培に成功する成果を挙げた者など、主役脇役ともそれぞれ立派に育った。

だがしかし、彼らを眺めているだけでほんわかできる人以外にとっては、たとえば夢あふれるストーリーをこの作品に求める人にとっては、本作の154分間はなかなかの苦痛となろう。

40点
21歳上の女性と恋する15歳

19歳の三浦皇成騎手との熱愛スクープを抜かれたほしのあきは、先日『トランスフォーマー/リベンジ』のワールドプレミアに出ていたが、むしろコチラの宣伝に協力したらよかった。

1958年、ドイツ。15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は、偶然自分を介抱してくれた21も年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)と恋に落ちる。彼女との激しいセックスと、その後にベッド上で朗読してやるのが日課になったマイケルだが、ある日忽然とハンナは姿を消してしまう。

たったの13歳違いでさえ、バッシングされるほしのあきに比べ、こちらはなんと21違い。禁断の恋どころの騒ぎではない。そして、年上女性と少年の恋となれば、やることは一つなわけで、この映画の前半はほとんどエロ動画かと思うほどの、裸、裸のオンパレードだ。

40点
流行中のヤンキー映画の中でも最凶?!

山口雄大(やまぐちゆうだい)監督は、映画化など到底無理だろうと思われていた漫☆画太郎の原作『地獄甲子園』を劇場デビュー作として成功させた事で知られる。そのせいか、ナンセンスモノの企画は、まずはこの人に持っていけ的な存在にまでなっている。確かにその特異な作風は特筆に価するが、なにぶん出来不出来の波が大きい。期待された本作も、残念な方のできばえである。

ヤンキーの巣窟として悪名高い徳丸学園高校に、大河内三郎(石黒英雄)が入学してきた。本当はゲーム好きの気弱な少年である三郎は、しかし徳丸史上最悪といわれる凶暴な一郎(小沢仁志)、二郎(小沢和義)の弟ということで、名うてのヤンキーたちから狙われるのであった。だが三郎の実力(?)に目をつけた策略家・河井星矢(板倉俊之)は、三郎を頭に軍団を組織し、石井武(橋本じゅん)ら武闘派を一気に取り込んでしまうのだった。

07年に放映されたテレビドラマ版と、ほぼ同じキャストによる映画版。ただしヒロインの春菜役は変更となっている(正確には別キャラだが)。阿部秀司の原作漫画の勢いをよく再現した、各人の役作りが見所だ。見た目はそれほど似せてはいないものの、どのメインキャラも期待以上の面白さ。とくに星矢のインチキぶりと、石井のバカっぷりには、映画版でも大いに笑わせてもらった。

40点
女子高生6人が、いかれたオヤジたちをなぎ倒す

公式サイトの解説によると、「制服を着た少女が強敵に立ち向かう映画は、日本文化の代表」らしい。つまり本作は、世界に冠たるニッポンカルチャーの申し子。我々は誇りを持って、この作品を世界に広めていかねばならない。

17歳の女子高生さくら(飛鳥凛)は、友人の葵(仲村みう)の叔父が経営するテーマパーク「サバイバルランド」へ仲間6人と遊びに行く。パーク側が用意した敵役たちを撃ちまくってストレス解消するサバイバルゲームがウリだったが、敵の一人が突然豹変。本物の武器を持ち彼女たちに襲い掛かってくるのだった。

世界中に広めるべき本作が、キネカ大森の2週間単館ロードショーとは痛感の思いだが、映画は最初から笑わせてくれる。

40点
アジアの大スターを集めた三国志の実写化大作

『レッドクリフ Part I』は、エイベックス・エンタテインメントが社運をかけた大作ということで、際立ってメディア露出が目立つ話題作である。それはもはや、これがコケたら一大事、という焦燥感を感じさせるほどだ。

西暦208年の中国大陸。群雄割拠のこの時代。最強を誇る曹操(チャン・フォンイー)軍の前に、劉備(ユウ・ヨン)軍は壊滅寸前の打撃を受けた。軍師の孔明(金城武)は、自ら孫権(チャン・チェン)陣営へと向かい、孫権の信頼厚い司令官・周瑜(トニー・レオン)と交渉を進めていく。

三国志最大の見せ場、赤壁の戦いをアジアンスター総出演で実写化したものだが、肝心の戦いが始まる前に映画は終わる。「一番いいところは後半でネ!(はーと)」というわけだ。試写でクレームが続出したのか、途中からタイトルに「Part I」をついたようだが、鑑賞時には注意が必要である。

40点
テレビドラマ『ガリレオ』が本格映画に

上映前にフジテレビの方が「これはドラマ(『ガリレオ』シリーズ)の映画化ではあるが、同時に立派な原作を持つ映画作品でもある。それを強く意識して作った」と挨拶してくれた。その言葉に甘え、当記事では「立派な原作の映画化」として取り扱うことに決定したが、残念ながらその目で見るとこの点数となってしまう。だが、「テレビドラマの映画版」としてならば、もう少し高い評価を与えてもよいと考えている。

花岡靖子(松雪泰子)と美里(金澤美穂)は、決して豊かではなかったが、母子で幸福に暮らしていた。ところがある日、別れた夫にアパートを突き止められ、二人ははずみで前夫を殺してしまう。途方にくれる母子の元に、靖子の勤務する弁当店の常連で隣人の、数学教師・石神(堤真一)がたずねてくる。必死に場を取り繕おうとする靖子に対し、石神は平然と「彼を殺したのですか?」と問いかける。

原作は東野圭吾。シリーズ通しての主人公で物理学者の湯川学(福山雅治)は、抜群に頭が切れる探偵役として登場する。原作では同じ大学出身の刑事が、テレビ&映画版ではその部下の女性刑事(柴咲コウ)が、湯川に難事件を相談する形でストーリーが進む。

40点
「下妻物語」の監督がおくる、心温まる絵本ムービー

「下妻物語」(2004)、「嫌われ松子の一生」(2006)と興行面で成功を重ねた中島哲也監督の最新作は、後藤ひろひと原作の舞台の映画化。得意のCG技術をこれまで以上にふんだんに使用した、ハートウォーミングストーリー。

昔々、あるところに変わり者ばかり集まる病院があった。中でもとりわけ偏屈な会社社長の大貫(役所広司)はみんなの嫌われ者。いつも同じ絵本ばかり読んでる少女パコ(アヤカ・ウィルソン)が無邪気に話しかけてきても、傲慢な態度は改まらない。しかも些細なことで激昂して、幼い彼女にビンタまで食らわす始末。ところが翌日、パコは何事もなかったようにニコニコ笑いながら近づいてくる。じつは彼女は事故の後遺症で、一日しか記憶が持たないのだった。

やたらと性格の悪いジジィが改心し、少女のためにあれやこれやして、はたして奇跡は起こるのか──という寓話的内容。とっぴな色彩の衣装、美術と大げさな演技で現実感を薄めた、スクリーン上で絵本を読ませるコンセプト。

40点
ロシアで大ヒットしたカーアクション

クルマ映画はDVD稼働率が意外と高く、一定のファン層が存在する。ロシアで大ヒットしたこの「ストリート・レーサー」は、文字通り公道におけるカーレースが楽しめるアクションムービー。ロシア国内(サンクトペテルブルグ)の実際の公道で撮影したり、本物のフェラーリが登場するなどCGや特撮に頼らぬ姿勢が売り物だ。

軍の戦車乗りだったステパン(アレクセイ・チャドフ)は、除隊後に父親の自動車修理工場で働き始める。そこで出会った美しいカーチャ(マリーナ・アレクサンドロワ)には、賭けレースの元締めの彼氏がおり、ステパンの腕を見込んで引き入れようとするのだった。

やけに運転の荒い若者たちが多数登場する、交通安全週間にはみない方がよいであろう娯楽映画。

40点
日本アニメ「マッハGoGoGo」のハリウッド実写版

『スピード・レーサー』は、『マトリックス』三部作を作り上げたウォシャウスキー兄弟がアメリカでも人気がある日本アニメ「マッハGoGoGo」を実写化したもの。人物以外ほとんどデジタル処理された画面をみると、はたしてこれを"実写化"と呼んでいいのか疑問を感じなくはないが。

レース中に事故死した兄を敬愛し、自身もレーサーとして頭角を現すスピード・レーサー(エミール・ハーシュ)。彼は、父(ジョン・グッドマン)が設計し一家総出でバックアップするマッハ号を駆り、圧倒的な力を見せ付けていた。そんな彼に大企業のオーナー(ロジャー・アラム)から好条件のオファーがくるが、家族を大事にするスピードは断ってしまう。するとオーナーは手のひらを返したようにあらゆる妨害を始めるのだった。

キャンディをぶちまけたような原色の色使い、めまぐるしいスピード感にのっけから心奪われる。ただ、私は試写室の最前列で見たのだが、これは失敗だった。画面の情報量が多すぎる上に動きが早すぎて、ついていくだけで猛烈に疲れた。皆さんには後部に陣取ることをアドバイスしておこう。

40点
米国公認のポルターガイスト実話

アメリカには、テネシー州中心に語り継がれるベル・ウィッチ事件という魔女伝説がある。彼らキリスト教徒にとって"魔女"とは、その信仰を打ち破られるトラウマ的恐怖の対象。中でも、多数の記録書物が残るこの事件だけは、確実な実話として別格扱いされているという。日本ではオカルトファン以外誰も知らないが、オスカー女優リース・ウィザースプーンの製作中の新作でも、この事件が扱われているくらいだから、あちらではメジャーな怪談のひとつといえるだろう。

『アメリカン・ホーンティング』は、この伝説を実話として描く恐怖映画。観客を驚かせるホラームービー的仕掛けも多いが、全体的には再現ドキュメンタリーのごとき、生真面目なつくりになっている。ああ、アメリカ人は本気でこの話を怖がってるんだなあと、彼我の宗教・民族的差異にまずは感心。

テネシー州の古い屋敷。一家の娘ジェーン(レイチェル・ハード=ウッド)は、毎夜悪夢にうなされていた。心配する母は、あるとき屋根裏から発見された古い手紙の内容に驚く。そこには1818年当時、この家の主人だったジョン・ベル(ドナルド・サザーランド)の娘(レイチェル・ハード=ウッド/二役)が、同じような目にあった顛末が詳しく綴られていた。

40点
ずいぶんと思い切った吉野紗香

ハードボイルド作家白川道(しらかわとおる)のギャンブル小説『病葉(わくらば)流れて』は、賭け麻雀の世界にはまりこむ若者を生々しく描き、青春小説の側面からも好評を得た。本作はその映画化。

学園紛争華やかりしころ、大学生の梨田雅之(村上淳)は、四浪二留で、同じ学生とは思えぬ虚無的なムードを持つ永田一成(田中哲司)に強く興味を持つ。彼に近づいた梨田が見たのは、マージャン博打の世界。その危なげな空気を吸いたくて、彼は徐々にのめりこんでいく。そしてその最中に出会った、喫茶店で働くテコ(吉野紗香)とも、やがて惹かれ合っていく。

バクチと女、どちらも破滅の香り漂う魅力的な娯楽……いや、人によっては生きるすべてだが、そこに足をすくわれる若者の姿が妙にリアル。といっても、そう感じるのはオジサン世代だけで、今時の本物のワカモノはそうしたものに興味を持つ暇もないのが実情かもしれない。実際、その二つを知らずとも、人生を楽しく生きることは出来る。

40点
苦悩する女王陛下

本作はアカデミー賞に多数ノミネートされた98年のイギリス映画『エリザベス』の、およそ10年ぶりの正統なる続編。監督・主演女優はじめ主だったメンバーは前作と同じ。

特定の人物にスポットをあてる歴史映画は難易度が高く、その対象によほどの愛情がなければ作れるものではないが、この映画の作り手たちのエリザベス一世に対するそれは相当なもの。女王陛下への10年越しのラブコール、その出来やいかに。

ときは1585年。イングランド女王エリザベス(ケイト・ブランシェット)は、いまだ気の休められぬ日々を送っていた。国内には対立するカトリックの強大な勢力があり、国外には列強が虎視眈々とこの国を狙っていた。最大の問題は従姉妹のスコットランド女王メアリー・スチュワート(サマンサ・モートン)で、エリザベスの正統性を問題にするものたちが彼女を担ぎ、女王の座を脅かすのだった。そんなときエリザベスは、野性味あふれる探険家で詩人のウォルター・ローリー(クライヴ・オーウェン)と出会い、決して成就せぬ恋に溺れていく。

40点
山崎真実の魅力をまだ生かしきれていない

特定のタレントが国民大多数の支持を受けていた時代と違い、"芸能人に興味を持つ人々"という母数じたいが少なく、好みも多様化する現在、アイドル映画という名のビジネスモデルはとっくに崩壊している。

その子が出ているというだけでは客を呼べない以上、どう付加価値をつけるかがカギとなってくるが、山崎真実のようなスポーツ少女の場合、やはり「とりあえず動かせ」となるのは当然といえよう。

謎の人体実験「プロジェクト・ペルソナ」により、超人的な格闘能力を得た女子大生、日和(山崎真実)。施設を脱走した彼女は、妻を失ったばかりの医師、幸一郎(萩原聖人)と出会い、やがて行動を共にする。追っ手を倒しながら逃げる最中、幸一郎は妻の行方とプロジェクト・ペルソナの悲しき真相を、同時に知ることとなる。

40点
スキーアクション大作(上げ底)

『銀色のシーズン』は、スキーを題材にしたブロックバスター的映画……を狙ったアクションドラマである。

スキー客が命綱の寂れたある観光町は、客寄せの目玉として雪の教会での結婚式を企画した。いちはやく東京から到着した花嫁の七海(田中麗奈)を、大歓迎で迎える町内会の人々。そんな彼らの悩みの種は、ゲレンデを暴れまわる凄腕スキーヤー城山銀(瑛太)率いる悪ガキ3人組。ところがひょんな事から、その銀はスキー初心者の七海をコーチすることに。

スキー初心者には、荒唐無稽な前半のスキーアクションが楽しい。屋根の上や川の水面、階段の手すりなど、縦横無尽にすべりまくる姿は、とっても爽快だ。

40点
安っぽい感動のために、9.11被害者の気持ちを利用するとは

実際の事件を脚本に取り込んだ劇映画は、その事件の記憶が新しいうちに作ると、たいてい偽善的で薄っぺらいものになる。アメリカ史上最大の衝撃事件、9.11テロ関連となれば、それはさらに如実となる。

マンハッタンで成功した歯科医として、家族と幸せに暮らすアラン(ドン・チードル)は、大学時代のルームメイト、チャーリー(アダム・サンドラー)を街で見かけて声をかける。ところがチャーリーは視線が定まらず、アランの事も覚えていないという。その尋常でない雰囲気に驚いたアランは、その後ちょくちょく彼を気にかけるようにするが……。

久々に再会した親友は、家族を9.11テロで失い、何もかも変わってしまっていた。正反対に、絵に描いたような幸福な暮らしを享受するアランは、何とか彼を救いたいと思う。かつてチャーリーと一心同体で学生時代を過ごしたアランは、自分が彼の運気を奪ってしまったのように感じたのかもしれない。男同士の、感動的な友情ドラマだ。

40点
非アニメで子供が見られる貴重な実写イヌ映画だが

日本の映画業界に君臨する最大手の東宝だが、実際に映画を製作するのはテレビ局等の外部が多く、自身の手によるものはそれほど多くない。そんな彼らが、20年ぶりに自社製作の実写お正月映画として送り出すのが『マリと子犬の物語』。主演は長澤まさみでもなければゴジラでもない、その大役を担うのはただのイヌである。

新潟県山古志村。亮太(広田亮平)と彩(佐々木麻緒)の幼い兄妹は、ある日捨て犬を見つける。優しい祖父(宇津井健)の協力を得て、犬嫌いの父を説得した二人は、子犬にマリと名づけて目いっぱいの愛情を注ぎ、育てはじめる。成長したマリは元気な3匹の子犬を産み、立派な母犬に。ところがそんなのどかな日々を、突然新潟県中越地震が襲う。

この映画は、04年におきた新潟県中越地震のとき、住民が全避難して孤立した村で生き延びた犬マリの実話をベースにしたフィクション。主題歌は、当時被災者たちを励まし続けた平原綾香の『今、風の中で』を採用。さらに、人命救助と復興に大活躍した陸上自衛隊の大型ヘリも登場し、スケール感を高めている。

40点
意欲は感じられるが、予算面での苦しさが丸見えになっているのはいけない

日本には優秀なアニメスタジオが多々あるが、先進的なデジタル作品で定評のあるGONZOは、実写映画にも積極的に進出しようと考えている。『ROBO☆ROCK』はその成果の一つで、巨大ロボが動き回るという、いかにも少年ぽい発想の青春アクションドラマである。

便利屋のマサル(塩谷瞬)のもとに、ニラサワと名乗るオタク風の公務員(中山祐一郎)がたずねてきた。なんでも地球は土星人の侵略の危機にさらされており、それに唯一対抗できるのが、ひそかに作られたとされる巨大ロボ"ランドツェッペリン"なのだそう。そしてその音声起動用周波数にただひとり合致したのがマサルの声なので、協力してほしいという。欲深いマサルの彼女(美波)は、話を聞いて報酬5000万円などと吹っかけるのだが……。

この映画のシナリオを書いた人もしくは監督さんは、いまいち笑いのセンスがないもので、ハイスピードなノリのコメディとしてはつるりとすべってしまっている。たとえばロボットオタク公務員ニラサワは、一人突き抜けた態度で熱く異星人の侵略や巨大ロボの実在を語るのだが、そのハイテンションが計算されたものではないため、単に痛いだけで終わっている。途中でうまくいなしたりすれば、くすっと笑えるものを、ずいぶん不器用な演出だなと思う。

40点
三豊百貨店崩壊事故を題材にしたラブストーリー

かつて韓流という言葉がもてはやされた時期があったが、いまや韓国製メロドラマは風前の灯。スター出演の話題作でも人が入らず、枕を並べて討ち死に状態だ。

そうした人々の嗜好の変化に歩を合わせるがごとく、以前は毎月のように送られてきた試写案内も、最近はめっきり減ってしまった。それでも時折入る新作案内に、しかしまったく食指が動かない日々が続いていたが、『ノートに眠った願いごと』だけは違った。なぜ私がこれに興味を持ったかといえば、人類史上に残る人災「三豊デパート崩壊事故」を題材にしていたからだ。

司法研修院生のヒョヌ(ユ・ジテ)は、新居の家具選びのため婚約者のミンジュ(キム・ジス)と待ち合わせをしていた。しかし仕事に追われ、予定の時刻に抜けられなくなった彼は、真夏の炎天下に待たせておくのは悪いと「先にデパートの中にいて」とミンジュに告げる。そして彼がようやく到着した瞬間、その目の前で建物は崩壊した。

40点
『ALWAYS 続・三丁目〜』に対抗しようとしても無理

東宝による横綱級の話題作『ALWAYS 続・三丁目の夕日』に対し、ライバルの東映はなんと同じ昭和30年代を舞台にした浅田次郎の感動小説『オリヲン座からの招待状』映画版を同日公開でぶつけてきた。『ALWAYS』ほどではないにしろ豪華セットやVFXで当時の街並みを再現し、真っ向対決の構えである。

……が、この時点ですでに大間違い、敗退決定である。原作は99年に映画化されヒットした『鉄道員』のそれと同時に収録された短編で、これは本来、静かな小品として映画化すべき素材だ。この映画版のように、とにかく大作になりたくて仕方がない、といったやり方では生きるものも生きてこない。

宮沢りえや加瀬亮といった主要な役者たちも、むしろそういう作品に向く才能であり、その演技特性と、映画が目指す"格"とのちぐはぐ感は否めない。

40点
学園内で抗争を繰り広げる、熱い高校生たち

尾崎豊の歌に、誰かの喧嘩の話にみんなで熱くなりながら、同時に自分がどれだけ強いのか気にかかる(たぶん)高校生の心情を綴った歌詞がある。男の子にとって妙にいたがゆい、このリアルな歌詞づくりのセンスは天才的と私は思うが、同じように感じる人もきっと多いだろう。

『クローズ ZERO』は、地域の有名なワルがそろって入学してくる不良校「鈴蘭男子高校」の頂点(昔でいう番長だ)を、腕自慢の男子たちがそれぞれ目指す学園ケンカアクション。女の登場キャラは人質になる以外やることがないという、隅々まで汗臭い物語だ。一歩間違えば尾崎ソングの歌詞同様、邪気眼になりかねないストーリーを、三池崇史監督が独特のケレン味溢れる演出で、それなりに見られるバイオレンス映画に仕立てた。

鈴蘭男子高等学校では、創立以来いまだ全校制覇したものはいなかった。現在その最有力候補とされるのは、最大派閥"芹沢軍団"の芹沢多摩雄(山田孝之)。だが、めっぽう強い転入生の滝谷源治(小栗旬)が、他の軍団や派閥を吸収合併しつつ、急激にその勢力を伸ばしていた。

40点
ジャン=クロード・ヴァン・ダムがあんな姿に

ジャン=クロード・ヴァン・ダムといえば、レンタルビデオ店のヒーロー。わざわざ電車に乗って映画館に出かけてまで見たいわけではないけれど、一杯引っ掛けての帰宅途中、ビデオ店で何を借りていいか選ぶのも面倒になったとき、なぜか目に入ってくる男である。苦虫を噛み潰したようなその顔をブラウン管で眺め、回し蹴りのひとつも出てくるころにはこちらもグッスリ眠っているという、そんなB級アクション映画ばかりを作り続ける男。独身サラリーマンの映画ライフには欠かせない存在といえるだろう。

そんなヴァン・ダムも、はや46歳。そろそろ蹴りの軸足もおぼつかなくなってきた。この年代で鮮やかな後ろ回し蹴りを出せるのは世界広しといえど佐山サトルくらいなものだから、それもやむを得まい。そこでこの新作では肉体アクションを抑え、弱さを前面に出すという、かなり思い切ったイメージチェンジに挑戦した。

麻薬課の刑事ストウ(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)は、かつての同僚でいまや犯罪組織のボスであるキャラハンをあと一歩のところまで追い詰めたが、一瞬の判断ミスで取り逃がし、しかも仲間を失ってしまう。署内では完全に孤立し、愛想をつかした妻も別の男の元に去った。そんなストウの捜査は、徐々に非情さを増していく。

40点
コンテンツを育てようという気がない

私はテレビ局が人気ドラマを映画化することについては全面的に肯定する立場だが、その出来がダメダメな場合は容赦なく批判させてもらう。フジテレビドラマ史上最高の視聴率を誇る"最強"コンテンツ『HERO』は、残念ながらそれにあたる。

スーツを着ない型破りな検事の久利生(木村拓哉)は、ある傷害致死事件の公判検事を引き受ける。ありふれた事件と思われていたが、容疑者の弁護人に日本最強の無罪請負人、蒲生(松本幸四郎)が選ばれたと聞き、久利生と彼の所属する東京地検・城西支部は騒然となる。

じつはこの事件、スペシャル版を見た方ならわかるとおり、久利生と浅からぬ因縁のある代議士(タモリ)の運命を左右する重大な案件だった。キムタク検事とその事務官たる松たか子は、真実を暴くため、日本のみならず韓国まで調査にいくという展開。海外ロケシーンではアクションの見せ場もあり、映画的なスケール感を出そうと頑張っている。

40点
熱演する日本人二人を生かしきれなかった

『ラッシュアワー』はジャッキー・チェンのハリウッド進出後の出世作で、このたびついに3作目が公開となった。それすなわち、最初からある程度のお客の入りが期待できるという意味なわけだが、こうした手堅い企画の場合、ファンサービスに溢れたお得な一本になるか、お手軽なつくりの手抜き品になるか、極端に分かれることが多い。

中国マフィアの黒幕“シャイシェン”の存在を突き止めたと発表したハン大使(ツィー・マ)が凶弾に倒れた。その護衛をしていたリー刑事(ジャッキー・チェン)は、猛追跡で犯人(真田広之)に迫るも、すんでのところで逃げられてしまう。大使の娘(チャン・チンチュー)の命も狙われていることを知ったリーは、乗り気ではないながらも、旧知の相棒カーター(クリス・タッカー)と捜査を開始する。

『ラッシュアワー3』は、残念ながらお手軽品の方だったようだ。むろん、シリーズの特徴である主演二人のハイテンションなやりとりは健在だし、イヴァン・アタルやロマン・ポランスキーといった、意外性あるキャストも通好みで悪くはない。フランスを舞台にした展開も退屈はしない。

40点
不思議な土地で癒される女の物語

ロマ(ジプシー)をテーマに映画を撮り続けてきたトニー・ガトリフ監督の最新作『トランシルヴァニア』は、あたかもドキュメンタリーのようでありながら、精密にコントロールされた脚本があるようにも見える、不思議な一本だ。

突然失踪した婚約者を追い、親友のマリー(アミラ・カサール)とトランシルヴァニアにやってきたジンガリナ(アーシア・アルジェント)。しかし、ようやく見つけた婚約者の男はすっかり変貌しており、ジンガリナは自分がとっくに捨てられていたことを知る。彼の子供を身ごもっていたジンガリナは、マリーの心配をよそにトランシルヴァニアの奥深くへ一人あて無き旅に出る。

ヒロインは、傷心のまま旅をしながらこの土地の不思議な風景と風習にもまれていく。ここに連れてきてくれたマリーから、やがて名も知らぬストリートチルドレンの少女、そして道端で出会った気のいい男チャンガロ(ビロル・ユーネル)へと、まるでバトンがわたるように重要な人々の助けを受けながら、やがて彼女は再生していく。

40点
アトラクション並にチープな3作目

『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズが、ディズニーランドのアトラクションの映画化だという事実は、そろそろ忘れられかけている。

東インド会社のベケット卿(トム・ホランダー)は、不死の船長デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)の心臓を手に入れることで彼とその船を意のままに操り、世界中の海賊を追い詰めていた。危機感を感じた海賊側は海賊長9人が集まり、対策会議を開くことに。その一人でデイヴィジョーンズに死の世界に追いやられたジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)を救い出すため、エリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)とウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)らはキャプテン・バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)の力を借りて世界の果てに向かう。

元ネタであるディズニーランドの乗り物「カリブの海賊」同様、「長蛇の列で期待したわりには大して面白くない」映画である。そういう意味では見事なまでに"原作"に忠実な映画化といえる。

40点
どこかでみたモノの張り合わせ

熱狂的なファンがいるかと思えばまったくその良さがわからない。そんな、好みが激しく分かれる映画がある。たとえば『パルプ・フィクション』や『スナッチ』、『オーシャンズ11』といった作品はその範疇に入るといえるだろう。この『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』もまさにそうした一本で、少数の熱狂的支持者になれる人にとっては幸せな出会いとなるだろうが、それ以外の多くの観客にとってはおそらく退屈な内容だ。

FBIの張り込み捜査員らは、マフィアのボスがイズラエル(ジェレミー・ピヴェン)という男に100万ドルの高額賞金をかけたとの会話を盗聴する。イズラエルはラスベガスの裏社会とかかわりの深いマジシャンだが、大物気取りでギャングまがいの組織を作るなど、"本物"たちの秩序を乱す存在となっていた。かくして重要証人でもあるイズラエルを保護するFBIと、彼の首を狙う7人の凄腕殺し屋たちの、激しい争奪戦が繰り広げられる。

登場人物が非常に多く、また印象に残る前にえらいハイテンポで視点が切り替わっていくので、顔と名前を一致させるのに難儀する。事前にパンフの相関図で予習するなり、気合を入れて冒頭で覚えてしまうなりの努力が必要だ。

40点
保守おじさん特有の痛さが出まくり

しばしば本人が語るとおり石原慎太郎の本業は作家であり、弟である大スター裕次郎の主演映画の脚本などを中心に、古くから映画作りにもかかわっている。しかし若い人にとって彼の名はまず東京都知事であり、過激なタカ派政治家とのイメージが先行しているに違いない。だから今回、彼が脚本と製作総指揮を担当したこの特攻隊映画に対し、意外かつ新鮮な思いを抱いているのではないかと私は推測する。

大東亜戦争の末期、追い詰められた日本軍はついに特攻作戦を敢行する。鹿児島県の知覧には、各地から集まった若き隊員が最後の日々をすごす陸軍特攻基地があった。そこで食堂を経営し、特攻の母と慕われた鳥濱トメ(岸惠子)は、無力ながらも彼らを暖かく見守り、献身的に世話し続けていた。

鳥濱トメさんは、石原知事とも親交があった実在の人物。その石原都知事による脚本は、彼女が生前のこした貴重な証言へ忠実に、たくさんのエピソードを詰め込んだ群像劇となっている。朝鮮人ながら志願し、堂々と飛び立っていった青年から、わずか10代で太平洋の藻屑と散った少年まで、実話ならではの重さが胸を打つ。

40点
不自然に美化したキモチ悪さがこびりついている

1997年8月にパリで交通事故死したダイアナ元皇太子妃の死因について、ロンドン警視庁は2006年12月14日、「単なる事故死」との報告書を発表した。数々の状況証拠と鉄壁過ぎる動機が存在するためいまだ謀殺説がやむ事はないが、とにかく英国政府および王室側は、そこから国民の目をそむけたくて仕方がないという動きをここ最近見せている。だいたいこの「世界中が待ちに待った」報告書でさえ、わざわざ英国内で大事件が重なった当日に発表したとの指摘がなされている。

この「ダイアナ」事件の舞台裏を、エリザベス女王を主人公にして王室の側から描いたのが「クィーン」。女王を演じてオスカーを受賞したヘレン・ミレンはじめ、作品賞、監督賞など計6部門にノミネートされた作品ではあるが、こうした政治的なドラマはそんな話題性に惑わされることなく、上記のような現実の文脈の中で見ることが肝要となる。

97年8月、ダイアナが交通事故死した。すでにチャールズ皇太子とは離婚していたとはいえ、公式コメントもせず国民の前にも姿を現さぬ女王(ヘレン・ミレン)、そして王室のやり方に、英国民は激しい非難を浴びせた。若くして有能なトニー・ブレア新首相(マイケル・シーン)は何度も女王に会い、伝統より国民への対応をと説得するが彼女はなかなか首を振らない。しかし女王も、国民と王室の間で板ばさみとなり、激しく葛藤していたのだった。

40点
字幕が舌っ足らず

「ロスト・イン・トランスレーション」「アイランド」「マッチポイント」と主演作が相次ぐスカーレット・ヨハンソン。ぼちぼち知名度が上がってきたところで、2004年製作の本作も日本公開となった。

フロリダでダメ男と同棲し、自身も怠惰な暮らしを送っていた少女パーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、母の訃報を受け故郷のニューオーリンズに戻る。すると実家には、母から居住権を譲られたと称する二人の男がいた。一人は大学文学部の元教授(ジョン・トラヴォルタ)、もう一人はその助手で作家志望の青年(ガブリエル・マクト)。最初はいがみあっていたが、まったく価値観の違う二人と同居を始め、パーシーの荒んだ生活は徐々に癒されていく。

一度は失われた家族愛を、母の遺したあるものによって取り戻すという癒しの物語だ。母が残したものの中には、先ほど説明したわけのわからぬ中年男二人というのもあるわけだが、堂々と実家に居座り、のんきに暮らす彼らからパーシーが学ぶものは少なくない。フロリダとはまったく違うのどかな田舎で、やがて彼女は学校に通い文学に目覚める。

40点
光る要素はあるが、クロサワ作品としては平凡

黒沢清監督は、世界的にも評価の高い日本のホラー映画監督の中でも、間違いなくトップクラスに入る実力者といえる。その最新作『叫』は、彼の作品ではおなじみの役所広司を主演に据えたミステリ色の濃い幽霊ものだ。

湾岸地帯で女の死体が発見された。主人公の刑事(役所広司)は手口から連続殺人とあたりをつけ捜査を開始するが、その後死体周辺から自分の指紋が発見されるなど、不可解な出来事を目の当たりにする。もしや、知らぬ間に自分が殺ったのか……? 自分自身の存在にすら自信を持てなくなった男の周辺に、やがて赤い服を着た謎めいた女が現れるようになり……。

どんでん返しのある殺人事件ものだが、いくらなんでもこれをミステリとして売るのは無理がある。この監督にとっての新機軸というが、これはやはりいつもの純粋なホラームービーだ。では、それとしてその出来はどうかというと、全体的に少々物足りないといったところ。

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