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40点
これからの定番「糖質制限」

2015年の健康シーンでもっとも衝撃的だったのは、コレステロール神話の崩壊だろう。これまでコレステロールは食事療法で下げるのが常識とされ、医師もそう指導するのが当たり前だった。ところがアメリカで食事におけるコレステロール摂取量の上限が撤廃されたのに続き、日本動脈硬化学会が「食事内容で体内のコレステロール値は変化しない」と、常識を覆す発表をした。

ゆで卵から黄身だけ抜いたり、卵は一日一個までなどという「神話」を信じてきた人たちはきっと仰天したことだろう。それは文字通り神話であった。

こうした「神話の崩壊」は、コレステロールを下げる薬の特許が切れた(のでコレステロール悪玉プロパガンダを流す必要がなくなった)ことが裏事情としてあるわけだが、何十年も信じていた人にしてみればひどい話である。無駄なことをし続けて彼らが失った金と時間(下手をすると健康も)は戻ってこない。

40点
お涙ちょうだいすぎる

安倍首相きもいりで製作・公開される愛国映画「海難1890」だが、首相の盟友というべき合作相手のトルコのエルドアン大統領はいまやISの庇護者として悪名が広まっている有様である。アベノミクス外交映画として大々的に保守派に広めたかった映画会社としては、きっと頭を抱えていることだろう。

1890年トルコの使節団を乗せた軍艦エルトゥールル号が、帰国途中に和歌山県沖で座礁する。闇夜の嵐の中、命がけで船員を助けたのは医師の田村(内野聖陽)をはじめとする近くの貧しい漁村の人々だった。それから95年後、彼ら無名の日本人の活躍をトルコは忘れていなかった。85年のイランイラク戦争で窮地に陥ったとき、日本人は彼らの友情の深さを知ることになる……。

「海難1890」のだめな点は明らかで、日本とトルコの両方に気を使いすぎているという事である。協力してくれた政治家の顔を立てたいから、こういう手の縮んだ偽善的なものができあがる。「海難1890」のお涙ちょうだい、とくに後半のそれは悲しいほどにチープである。

40点
青春映画風味だが

週刊少年ジャンプというものがいかに特別ですばらしいかを世に示した大場つぐみ&小畑健の漫画「バクマン。」だが、その映画版は期待と実現ポイントが微妙にずれる残念な結果となった。

クラスメイト高木秋人(神木隆之介)に「一緒に漫画家になろう」と誘われた真城最高(佐藤健)。彼らは漫画家だった最高の亡き叔父の仕事部屋と道具を使い、作品を仕上げ、漫画界の頂点週刊少年ジャンプの編集部へと持ち込みする。向こう見ずな二人の長きチャレンジは、今始まったばかりだ。

観客、読者、映画監督と、それぞれにこの原作漫画のどこをおもしろく読んだか、映画になにを期待しているかが微妙に異なるのは当然のこと。私は、人気原作はそれを育てたファンのためにあるべきという立場なので、その見地から映画版を評価するわけだが、結論としてはちょっと違うな、という印象である。

40点
二階堂ふみのヌード

戦後70年ということで各社から戦争映画が公開されるが「この国の空」は芥川賞作家・高井有一の谷崎潤一郎賞受賞作を映画化したもの。戦争が一人の若い女にどんな影響を与えたかを見つめる文芸作品だ。

終戦も間近な東京の外れ。母(工藤夕貴)と暮らす19歳の里子(二階堂ふみ)は、妻子を疎開させている隣人・市毛(長谷川博己)の身の回りの世話をするようになる。周囲にいる唯一の若い男である市毛を、里子はやがて意識するようになるが……。

戦争というものは、当事者以外にとっては滑稽でばからしいものであると気づかせてくれる点でこの映画にはある種の価値があろう。しかし、このどこかノーテンキなシュール感は好みが分かれるはずだ。なんといってもまずはヒロインの二階堂ふみの顔が、あまりに"ザ・沖縄!"すぎるから、観客は違和感を感じざるをえない。斬新なラストショットでもそれは感じられる。

40点
映像面の優位を活かせぬもどかしさ

「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」は、マンガをそのまま実写にするといろいろとリアルじゃなくなるから、そうならないよう時には大胆に変えていこう、とのコンセプトで作られたそうである。

なるほど、原作者自身も関わって脚本づくりなどを行った理由としては、それは大いに理解できる。そういうことなら大幅な改変もやむを得まい。

100年以上前、あらわれた巨人に人々は食われ、滅びかけたという。いまや、残った人類は高い3重の壁の中でひそかに暮らしている。それでも外の世界が気になる冒険心あふれるエレン(三浦春馬)を、優しいミカサ(水原希子)はいささかの心配を持って見守るのだった。そんなとき、衝撃とともに壁の向こうに何かが現れる。

40点
二人の競演に的を絞れていれば

かつて空手チャンピオンの肩書きをひっさげアクション映画界に殴り込んだドルフ・ラングレンも、気づけばはや57歳。近年のアクションスター再生ブームにのって主演映画が続いているが、タイのガチアクション俳優トニー・ジャーとの競演は、さすがに肉体的にかなり苦しそうだ。

刑事ニック(ドルフ・ラングレン)は、マフィアのボス、ドラゴビッチ(ロン・パールマン)を追い詰めるも逆に家族を殺されてしまう。怒り狂ったニックは殺戮マシーンと化し、タイに渡って復讐を開始するが、そんなニックを現地の刑事トニー(トニー・ジャー)は必死に止めようとする。

往年のファンとしてはちょっとつらい部分であるが、トニーが手加減しているようにしか見えない対戦場面、とくにスピードの違いは歴然である。ラングレンは巨大な体と無骨な顔つきから想像される打たれ強さだけは表現できているものの、かつてのキレ味を知るものとしては、できればもう少し早くこの二人の顔合わせが実現していれば、と思わざるを得ない。

40点
アイデア先行型

いろいろと仕掛けを施した映画は趣があるものだが、やりすぎるとついていけずに途中下車する観客が増える。そのさじ加減が難しいところだ。

マサチューセッツ工科大学の学生ニック(ブレントン・スウェイツ)とジョナス(ボー・ナップ)は、学内にハッキングしてきた相手の正体を探るうち、ネバダ州に向かうことに。自分たちも高度なIT技術を駆使していよいよクラッカーの場所を特定するが、そこで彼らは何者かにさらわれてしまう。

「シグナル」は典型的な仕掛け型娯楽映画で、いかにも82年生まれのウィリアム・ユーバンク監督らしい若々しい野心に満ちた意欲作といえる。

40点
ごまかし切れない予算不足

私のように本編を知る者が「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」の予告編を見ると、映画作りにおいて予算というものは大事なのだなと改めて痛感させられる。

リストラ寸前でレイバーも長らく動かす機会のない警視庁特車二課パトレイバー中隊。だが自衛隊の光学迷彩ヘリ「改グレイゴースト」がテロリストに強奪され、隊長の後藤田(筧利夫)は色めき立つ。自衛隊も警察も翻弄される完全武装のヘリに、果たしてレイバーは有効打を与えることができるのだろうか。

アニメ界の重鎮として名をとどろかす押井守監督が、自身の代表作を実写化する。早くから期待を一身に集めていた「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」。だがふたを開けてみれば、そんな話題作でも予算不足丸出しの、痛々しい出来映えであった。

40点
かわいげのない無知

先月、WHOの専門組織がグリホサートに発ガン性のおそれがあると発表した。グリホサートとは遺伝子組み替え作物を推進してきた大企業モンサントの看板商品ラウンドアップのことで、彼らはこの農薬とラウンドアップ耐性作物のペア売りで莫大な利益を得、市場の独占を広げてきた。

そんな彼らにとって、GMOではなく、もともとの事業の大本たる農薬の危険性を指摘されたのはショックだったろう。これまで莫大な資金による米国政府への影響力をバックにそうしたマイナス面を押さえてきた彼らの、これは終わりの始まりなのか。

そんな緊迫した状況下の昨今、「パパ、遺伝子組み換えってなぁに?」の生ぬるさはいかがなものだろう。

40点
ジェイソン・ステイサムの幅の狭さ

チャック・ローガンの犯罪小説をシルヴェスター・スタローン脚色した本作は、元々彼が主演する予定で書いていたもの。ランボーの完結編的な意味合いも持たせたかったというが、もしそうだとするならば、なかなか奥深いテーマを語っている作品であるl。

元麻薬潜入捜査官のフィル(ジェイソン・ステイサム)は、まだ小さな娘マディ(イザベラ・ヴィドヴィッチ)のため、危険な仕事からの引退を決意する。亡き妻の故郷で慎重に隠遁生活を始めた彼らだったが、ふとしたトラブルから麻薬密売人ゲイター(ジェームズ・フランコ)に目をつけられてしまう。

ズバリこの映画のユニークな点を言うならば、武力よりもコミュニケーションが平和維持の鍵である、と語っている点だ。

40点
変わらぬ河瀬節

自覚があるのかどうか知らないが、河瀬直美という監督ほどブレなく自分流を貫いている人はあまりいない。墓の中から過去の巨匠が表れてなにか彼女にアドバイスしたとしても、きっと彼女はブレないだろう。そんな風に思わせる強さが作品からは毎度感じられる。出来不出来は別にして、その自己主張と自己愛については、私は高く評価している。

奄美大島に暮らす高校生の界人(村上虹郎)は、あるとき海岸で溺死体を発見する。思わず逃げてしまった彼を、彼に思いを寄せる同級生の杏子(吉永淳)が目撃していた。そのことを屈託なく問いかける彼女。その母イサ(松田美由紀)が余命わずかだということ。自分の母親岬(渡辺真起子)と恋人との性的な雰囲気。そうした生と死の様々な奔流から逃れるように、界人は東京に住む父親を訪ねるが……。

監督があれほど願っていたパルムドールの栄冠は、チャイルドポルノになりかねないクライマックスの濡れ場のインパクトを考えればどう考えてもこのご時世、無理だろう。それでも迷わず吉永淳を全裸に脱がしてしまうのだから、この監督にブレはない。本人は「最高傑作」と満足しているのだから、それでいいのである。そのうち世界の倫理観やカンヌ審査員のほうが彼女に追いつく……のかもしれない。

40点
105歳の現役映画監督

105歳の現役映画監督が存在することだけでもすごいことだが、その新作のテーマが「貧困」だときいてさらに驚く。実際「家族の灯り」で描かれる貧困老人の姿は、これを同じ老人が撮っていると思うとあまりの容赦のなさに圧倒される。

帳簿係でつましく暮らすジェボ(マイケル・ロンズデール)は、今日も妻ドロテイア(クラウディア・カルディナーレ)、失踪中の息子の嫁ソフィア(レオノール・シルヴェイラ)の3人で言い争いをしている。8年前に息子ジョアンがいなくなってからというもの、貧しい3人はいつもこの話題で先の見えない不安に包まれているのだった。だが、そんなとき意外な展開が訪れる。

20年前の戯曲が元というのもあるのだろうが、演出もストーリーもきわめてシンプル。無駄をそぎ落としたような、なかなかほかでは見られない作風といえる。

40点
アイデアに振り回されている

最近、アニメーション映画が好調である。映画館のアベレージ成績では興収1位の大作を上回るほどの成績をあげることも珍しくなく、映画業界でもそうとう力を入れてきている。実写映画ではほぼ必須となりつつある「有名原作」や「有名タレント起用」がなくとも、十分な集客を見込めるという点が特徴的で、これはアニメーション映画のファンが日本で一番「まっとうな」観客層であることを示していると私は考える。

そうした観客に支えられているから、「サカサマのパテマ」のように意欲的なオリジナル企画が立ち上がる。「イヴの時間」が高評価を得た吉浦康裕監督による、不思議な世界観をベースにした純愛物語だ。

かつて異変がおき、人々が「空に」落ちていったアイガ国。やがて時は過ぎたが、いまだに人々は空を忌み嫌っている。そんな中、大空を見上げるのが好きな変わり者の少年エイジ(声:岡本信彦)は、ある日崖下から空へと「落ちてきた」少女パテマ(声:藤井ゆきよ)を救う。彼女は重力の方向が正反対な地底世界の住人だったが、二人は心通じ、やがて惹かれあう。だがアイガ国の治安警察が、そんな二人の交流を許すはずがなかった。

40点
タイムリーな経済ネタ

時事性を高めようとすれば製作スピードをあげるほかはなく、それは質の低下につながる。映画は時代を映す鏡とはいうものの、実際は「タイムラグがある鏡」というのが現状である。

いまどきM資金詐欺を生業とする詐欺師の真舟(佐藤浩市)に、石(森山未來)という青年が接触してきた。彼が紹介した本庄(岸部一徳)は、真舟に50億円の報酬で、とんでもない詐欺の依頼をもちかける。それは、本物のM資金をだまし取れというものだった。

映画「人類資金」は脚本と原作を同時進行、最新の経済情勢をもストーリーにとりこんだ意欲作である。原作脚本は福井晴敏、監督は阪本順治と「亡国のイージス」(05年)と同じ骨太な布陣だ。

40点
リメイクする必然性はどうか

リメイクはオリジナルをリスペクトしすぎると失敗しやすいというのが私の持論だが、日本版「許されざる者」にもそんな傾向が感じられる。李相日監督長年のオリジナルへの慕情は、硫黄島シリーズでクリント・イーストウッドの信頼を勝ち得た渡辺謙の協力を得たことでこうして形になったものの、その出来はどこか中途半端である。

1880年の北海道。幕末の戦いで大活躍をして「人斬り十兵衛」と恐れられた釜田十兵衛(渡辺謙)も、一敗地にまみれた今は二人の幼い子供とつつましく暮らしていた。ある日、そこに現れたかつての仲間、金吾(柄本明)は、一攫千金の賞金首の話を持ちかけてくる。

わざわざ別の国の優良コンテンツをリメイクしたいというからには、本来「俺ならもっとうまくやる」とか、「こんないいネタを日本でやればさらによくなる」「やる価値がある」との野心があってしかるべきである。

40点
登場人物がおバカさんばかり

アメリカは巨大な国なので、「アメリカ」と一緒くたにして語るのは本来あまり意味がない。景気一つとっても、極端にいいところと自治体が破産するようなところがまだら模様に存在している。ハリウッドは好調でもシカゴは死にかけ。そんな容赦ない落差の国というのが本質である。

警察官のジョン(チャニング・テイタム)は大統領(ジェイミー・フォックス)警護官になるのが夢だがなかなか面接試験に合格できずにいた。そんな折、官邸マニアの娘を連れホワイトハウス見学にやってくるが、テロリストの襲撃を受け離れ離れになってしまう。

さて、そうはいっても米国民の共通認識のようなものもあるわけで、それは「そろそろ国内テロもありうるよね」との予感だったりする。だからホワイトハウス襲撃映画が別会社で同時に作られたりするわけだが、その一つ「エンド・オブ・ホワイトハウス」(13年、米)に比べるとこいつは相当落ちる。

40点
北乃はもっと濡れ場を真面目に演じるべき

長崎や広島を舞台にすると、多くの場合原爆がモチーフというか背景としてでてくるが、それがうまく機能した例を私はあまりみたことがない。

女子大生の清水(北乃きい)は、あるとき最愛の母を突然失う。いざこざを抱えたまま彼氏とのデートを優先したことでぬぐえぬトラウマとなってしまった彼女は、同じように深い心の傷から立ち直れない女性(稲森いずみ)と出会う。彼女は1年前に子供を亡くした悲しみから立ち直る前に、再び妊娠が発覚して精神の平衡を失いつつあった。

谷崎潤一郎賞の連作短編集をベースにした感動ドラマ。

40点
偉業の陰に内助の功

サスペンスの神様ことアルフレッド・ヒッチコック──といっても、下手をすると今の30歳以下の人には何のことやら、と言ったところかもしれない。私たち映画にかかわる人間にとっては文字通り神様のような巨匠、ドラマチックな無冠の帝王だが、はたしてこの2013年にその伝記映画を公開して今の世の人々にどうアピールするつもりなのか。そんなことを考えながら私は試写室に向かった。

イギリス出身の映画監督アルフレッド(アンソニー・ホプキンス)は、ハリウッドでも成功をおさめ、注目の次回作「サイコ」に取り掛かろうとしている。ところが惚れぬいた原作の内容は、映画会社には「残酷すぎる」とダメ出しをされ、肝心の制作費のめどがつかない。おまけに彼の監督作品を陰で支えてきた妻のアルマ(ヘレン・ミレン)は、別の男との共同脚本の仕事に夢中になっている。高まる名声とは裏腹に、彼とその精神はいまや追いつめられているのだった。

今、ヒッチコックの伝記映画を見たい人というのはどんな人たちだろう。冒頭に書いた若い人たちは別として、アラフォー世代以上ならテレビのヒッチコック劇場などに親しんだ機会もあるだろうから「大衆に魅力的な謎とスリルを与え続けた職人監督」の裏話などを期待するだろうか。あるいはその、知られざる天才性とか、すさまじい演出の技とか、そんなものだろうか。

40点
水準以上のテレビドラマ映画ではあるが

たとえテレビ畑の人間だろうが、ひとたび映画で高い評価を受けたからには映画監督としての誇りを持つのは自然なこと。そうした評価を一度でも受けた人間なら、テレビドラマの映画化を依頼されたとしても、そりゃ相当頑張るに違いない。

佐藤祐市監督(「キサラギ」(2007)ほか)の「ストロベリーナイト」を、私はそんな期待感を持って鑑賞した。

男勝りの警部補、姫川玲子(竹内結子)が所属する警視庁捜査一課の管轄内で連続殺人事件がおきた。被害者が暴力団構成員だったことから組織犯罪対策第四課(=広域暴力団対策を任務とする)と捜査会議を開いたものの、荒くれぞろいの四課からは小娘扱いされ疎まれる始末。そんな姫川は、偶然にも犯人を名指しする匿名のタレこみ電話を受ける。だが警察上層部は、その情報に対し不可解な動きを見せるのだった。

40点
素材はいいが、それだけでは不足

ドキュメンタリーが難しいのは、良い素材を撮れば傑作になるとは限らないからである。

その素材を、何をテーマにして編集するか。その作り手の想定するテーマと、観客の興味が一致した時にドキュメンタリーは初めて傑作となる。素材が良くても編集が良くてもそれだけではだめだ。そこに時代性や、世間の求めるものとの幸運な一致があるかないかが大事な要素となって関わってくるのである。

その意味で「ニッポンの嘘〜報道写真家 福島菊次郎90歳〜」は、最後の部分でわずかなズレが生じてしまったなと私は感じた。

40点
意欲的な試みも不協和に終わる

細田守監督の最新作は、おとぎ話のなかにリアルな出産子育ての物語を入れ込むという、極めて意欲的な作品である。

これを監督は、子供たちにとっては楽しいおとぎ話、若者にとっては、子育ての驚きと憧れ、そして親たちには子供の成長を懐かしがれるようにと、全年齢向けにアピールすべく脚本を作り上げた。

だが、それらはもともと混ざり合うことのできない要素であった。また、その試みにアニメーションというジャンルや彼のタッチが適切だったかについても疑問が残る。

40点
マンネリ打破への工夫が裏目

昔、いわゆるシナソバ的なラーメンしかなかった時代、あるラーメン店に連れて行ってもらった。堀切にあるその昭和的な店がまえの店は、今でいう背油チャッチャ系というやつで、初めて食べたときはこんな旨いラーメンがこの世にあるのかと感動したものだ。しかし時が過ぎ、あらゆるアイデアラーメンが出尽くした今、再びそこのラーメンを食べてもノスタルジー以外の感動はない。決して味が衰えたわけではないのだろうが、客の舌が進化してしまう。ティム・バートン監督最新作『ダーク・シャドウ』を見たとき私は、どこかそれに似た感想を得た。

魔女アンジェリーク(エヴァ・グリーン)にによって望まぬヴァンパイアにさせられたバーナバス(ジョニー・デップ)は、ふとしたことから200年ぶりに目覚める。名家だった一族が没落し、屋敷が荒れ果てる惨状を見た彼は、コリンズ家の再建のため奮起する。だが長年のブランクはいかんともしがたく、時代遅れの言動はまわりをときに呆れさせてしまう。

「唯一の財産は家族」をモットーにする一族の再建物語。これもまた、家族マンセーの不況アメリカらしい安直企画である。

40点
≪ドラマ未見者にとっては地雷≫

興行面での好調な出だしやマスコミで繰り返されるプロモーション、ハリウッドでリメイクが決定したとの華々しいニュースから、「劇場版 SPEC〜天〜」をゴージャスなエンターテイメント作品と勘違いしてる人がいたら要注意である。この映画は、姉妹編「ケイゾク」から続くドラマ版のファンたちが集まってこっそり楽しむ、本来マイナーな扱いがふさわしいB級作品である。

刑事部が手におえない事件を担当する公安部の"ミショウ"こと未詳事件特別対策係の天才捜査官・当麻(戸田恵梨香)は、洋上のクルーザーという"密室"でおきたミイラ化殺人の報を受ける。うずく左手を気にしつつ、瀬文(加瀬亮)とともに捜査を続ける彼女の前に、意外な人物が姿を現す。

スペックホルダーと呼ばれる超能力者が複数登場し、公安部側の捜査官と激しい戦いを繰り広げるSFアクションの映画版。

40点
失敗を堂々と見せる誠実さ

ドキュメンタリー映画「311」は、東日本大震災の犠牲者の死体を写したということで物議を醸している。遺体映像で金もうけをするのかと、かなり感情的な批判にもさらされているが、そんなネタが公開前に流れている時点でそれを売りの一つにしているように見えなくもない。

だが、この映画のポイントはそこではない。本作最大の見どころは、森達也という日本を代表するドキュメンタリー作家でさえ、あの被災地ではこの程度の取材しかできなかったという、その一点にある。

映画の冒頭、監督をはじめとする取材チームは車で福島第一原発へと向かう。ジャーナリストの綿井健陽らの名前を見れば、この作品が原子力発電に対して鋭い批判的視点をもった作品になろうとしていたことは容易に想像がつく。

40点
≪ここまでしなくてはダメなのかと絶望≫

『マイウェイ 12,000キロの真実』は、韓国映画界が総力をあげた超大作であり、向こう2年はこのクラスの大作は無いと関係者が言い切るほどの勝負作である。宣伝攻勢も相当なものだから、どこかでタイトルを見かけた方も多いだろう。

しかも、彼らが描くのは戦争中の旧日本軍将校の半生。よりにもよって、韓国映画が日本軍を描くとは、何かが起こりそうな予感がぷんぷん。ドキドキわくわく、韓流ウォッチャーにとっては見逃せない、そしてその期待にそぐわぬ話題作であると、ここに保証しよう。

1928年、日本統治時代の京城(現在のソウル)。裕福な日本人一家の息子、長谷川辰雄は、使用人の息子ジュンシクと出会い、やがて長距離走のライバルとして成長する。彼らはその後、のちに日ソの激戦地となるノモンハンで再会するが、そのとき辰雄(オダギリジョー)は日本軍の将校、ジュンシク(チャン・ドンゴン)はその部下という立場であった。

40点
≪食感も味も想像できないワンダフルな料理の数々≫

料理のうまさは直感頼りとか、センス次第と考えられることが多い。確かに料理上手は最初からそこそこ上手く、料理下手は何年続けても下手なままである。家庭では奥様が担当することが多かろうが、頭のよい女性が必ずしも上手いわけでもなければ、美人がうまいわけでもない。もっとも、かわいい女の子が作った料理をその整ったお顔を見ながら食べると例外なく美味しいような気もするが、それはおそらく気のせいである。

だが、そんな考えを根底から打ち砕くのがスペインの料理人フェラン・アドリア。世界最高のシェフの一人と評される彼の料理は、徹底した科学的裏付けのもとに成り立っている。料理を科学的に分析する手法は古くからあり、プロは多かれ少なかれ意識しているもの(塩より砂糖を先に入れる理由を科学的に説明できない料理人はいまい)だが、アドリアはあらゆる道具や添加物を使い、想像もしない触感、味へと食材を生まれ変わらせる。とくに、亜酸化窒素を使って食材をムースに加工するエスプーマの技術は彼が発明したものであり、それは長年の科学的分析・研究の成果そのものである。

そのフェラン・アドリアのラボとでもいうべき、様々なアイデアの具現化を楽しめるレストランが「エル・ブリ」。スペインのカタルーニャにかつて存在したこのレストランは、45席に年間200万件の予約希望が入る「世界一予約が取れない」店。『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』は、その厨房の舞台裏とフェラン・アドリアに迫るドキュメンタリーだ。

40点
≪謎解きの提示が早すぎて盛り上がらない≫

運命というのは、もともと定められていたものなのだろうか。それとも未来は未確定で、自らの行動がその行方を決めるのだろうか。ちなみにすべての運命はあらかじめ決まっているとの考え方を、フランスの神学者ジャン・カルヴァンは予定説と呼んだ。

映画『アジャストメント』は、そんな哲学的テーマをモチーフにしたアクション映画。フィリップ・K・ディックの短編を原作に、現代的に翻案した長編作品である。

最年少で下院議員となったデヴィッド(マット・デイモン)は、いよいよ上院議員になろうかという時、スキャンダルで有権者の支持を失う。だが破天荒な娘エリース(エミリー・ブラント)と運命的な出会いをし、彼女の一言をヒントにギリギリ救われる。そして彼女を思うデヴィッドの行動は、この世の歯車を狂わせてしまう。

40点
≪それではちいてんをはじめる≫

映画版GANTZは、前作の記事で書いた通り一般女性客向けであり、興行収入のみならず鑑賞後の満足度においても、そのターゲットの範囲内という意味では十分以上の成果を収めた。その成功を受け、この後編も当然ながらコンセプトは同じまま。原作ファンとしては残念だが、今回も蚊帳の外という印象は否めない。それを大前提として、見る方は挑んでいただきたい。

※以下には前作「GANTZ」(2010)および原作の仏像編のネタバレが含まれますのでご注意ください。

加藤や岸本を失った玄野(二宮和也)は、しかし彼らの遺志を継ぎ、メンバーを守り復活を期すための戦いを続けていた。一方、実世界ではなぜか加藤(松山ケンイチ)が復活、弟の待つ部屋に戻るものの、どこか様子がおかしい。やがて新たなミッションが始まるが、そのターゲットは星人ではなく玄野にとってよく知る人物であった。

40点
≪頑張ってはいるがまだまだ≫

最近は若い人に時代劇が人気なので、人気タレントを起用したアイドル時代劇が増えている。だが時代劇とは本来、それ専門といってもいいプロの職人的な俳優がメインを張り、手慣れた様式美でうっとりさせるのが基本。その意味では、現代劇中心に活躍してきた俳優および監督による『雷桜』とて、いわゆる流行りものの範疇に入れられてしまうのはやむを得ない。

こうした「非本格時代劇」を批評家がけなす際のポイントは決まっている。

一般のお客さんと違って私たちは、まず馬のシーンに注目する。アイドル時代劇のほとんどは、バストアップと超ロングショットの二つしかない。前者は本物の馬の上で演技する必要がなく、後者はボディダブルでごまかせる。

40点
≪雰囲気はいいものがあるが≫

「死刑台のエレベーター」のオリジナルは57年の同名作品。フランス映画のサスペンスだが、これだけ元ネタが古いと、普通はリメイクも簡単にはいかない。だいたい新築マンションだって50年もたったら建て替えだし、憧れの茶髪ギャル美少女だってお婆さんである。そう考えれば、ほとんど変わらぬストーリーで再映画化できたのは、それだけでも大変な事かもしれない。

大企業グループの会長夫人(吉瀬美智子)は、グループ傘下の医師(阿部寛)と愛人関係にある。だが思うように会うこともできぬ彼女は、邪魔な夫の殺害を決意。隙のない殺害計画を立てるが、実行犯の医師が現場から去ろうと乗ったエレベーターが停止、閉じ込められてしまう。連絡が取れず焦る夫人は、やがて不安と疑心暗鬼がつのり……。

舞台を現代日本に移しても、物語の骨格は変わらず成立するのだから凄い。日本でエレベーターに閉じ込められる事故は稀有だが、私も一度経験があるくらいなので皆無とは言えない。だが、人殺しの帰り道でそんな不運に見舞われたら、そりゃシャレにならない。

40点
≪傑作になりそびれた秀逸設定の時代劇≫

先日、尖閣諸島で中国がちょっかいを出してきた。こんなものは恒例の中華プロレス興業にすぎないわけだが、ここで日本側が相手も仰天するほどの早さで船長お返しカードを切るという、相撲でいう肩すかしを食らわせた結果、世界中が日本に同情、今や中国が世界の悪者として孤立してしまった。

誰もがあの時の日本政府の弱腰対応を批判し、たぶんカードを切った本人もろくに考えもせずやったような気もするが、結果的には良手となったわけだ。

だいたい中国政府の反日的態度は、国内の猛烈な格差社会における底辺層(貧乏人)の不満を、自分たち(北京政府)から外部(=日本)にそらすためのポーズであることは常識。本音では経済成長に不可欠な日本と仲良くしたいのだ。チャイナドレスをきたツンデレ少女(黒髪ロング)の姿を想像すれば間違いはない。

40点
≪見た目はハリウッドの雛形映画、だけど中身は……。≫

バディムービーというのは、いまやすっかりアメリカ映画のお家芸となっている。その多くは刑事もので、相棒の片割れはおしゃべりな調子者の黒人。そのマシンガントークに白人の主人公がうんざり顔で応対しつつも、決めるべきところは二人で決めるという友情アクション映画──。

そんな典型例を語ればそれだけでギャグになるような、お約束中のお約束。『コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら』はまさにそんな雛形に収まる映画……に、一見みえる。

NY市警の刑事モンロー(ブルース・ウィリス)とその長年の相棒ホッジス(トレイシー・モーガン)は、ミスにより1ヶ月の停職処分を食らった。これで大弱りなのがモンロー。別れた妻と暮らす愛娘の結婚式を前に、その費用のあてがなくなってしまったのだ。このままカネが用意できなければ、妻の再婚相手のいけ好かない大金持ちに父親面までされる羽目になる。そこで彼は、父の形見の超レアなベースボールカードを換金しようとするが、その寸前で強盗に奪われてしまう。

40点
≪現代的でユニークな無人島映画ではあるが≫

映画の中で無人島が出てくる場合、65パーセント程度の確率でセクシー美女が漂流してくる。その美人はたいてい作品の中で不自然に大きなおっぱいを晒すので、男たちは無人島ものが大好きである。12チャンネル(東京の場合)や深夜帯にこの手の映画が多いのも、需要と供給の経済原則からみれば当然であろう。

しかし、平成日本ではそんな昭和の常識は通用しない。『東京島』で沖縄方面の無人島に流れ着く40代主婦は、たしかに美人だが裸にはならないし、周りの男どももその生命力に圧倒されて手を出せない。じつに現代的な展開(すなわち先読みしにくい)を味わえる。

結婚20周年のクルーズの途中で事故にあい、南国の無人島に夫と流された主婦、清子(木村多江)。島のサバイバル生活の中で、夫のふがいなさに気づいた彼女は、ひとり文明社会への生還を強く誓う。やがて島にはきついバイト先を逃げ出してきたフリーター16人もやってきて、清子は島の中でたったひとりの女として生き生きと振舞い始める。

40点
≪熱しやすく冷めやすい人向け?≫

熱しやすく冷めやすい人がいる。女性の場合だと、イケメンな彼が欲しくなって自分から誘い見事にゲットしたものの、何かの拍子で別れたが最後、相手がどう必死にアプローチしてきても決して二度と体を許さない、というタイプだ。

そのくせお友達としてなら喜んで続けてくれるので、男側に未練がある場合はたまったものではない。本人は自分の残酷さに気づくことなく、速やかに次なる恋へイナゴ集団のように完全移動する。男を振り回す、厄介な小悪魔タイプである。

テレビドラマのファンというのも、そうしたタイプが少なくないのだろう。でなければ、1クールの回数が年々減り、次から次へと新カレならぬ新ドラマが発表される理由がない。映画業界でも「相棒」のように、ドラマ終了後、なるべく早い時期に映画化したほうがヒットすると考える人は多い。

40点
≪古典ミステリの映画化だが賞味期限切れ≫

私のようなミステリ好きにとっては、アリバイとか殺人だのといった単語がタイトルにあるだけで興味を引かれる。しかも聞くと本作は、アガサ・クリスティー原作ものだという。クリスティー原作の映画は数は多いが、どうも凡作ばかりの気がして少々心配だが、長編「ホロー荘の殺人」をかなり大胆にアレンジしたということで、それなりの期待を抱いて試写を見た。

フランス郊外の村で暮らす上院議員夫妻は、週末になると自分の邸宅に大勢の客を招きもてなすのが恒例。今週末も親しい友人らを招いていたが、今回はそれぞれ因縁のある人物ばかりが集まっていた。たとえば精神分析医のピエール(ランベール・ウィルソン)は、美しい妻クレール(アンヌ・コンシニ)がいながら浮気を繰り返しているのだが、現在の愛人エステル(ヴァレリア・ブルーニテデスキ)のほかにも、彼と関係を持った女が複数招かれていた。波乱を予感させる不穏な空気の中、やがてとうとう殺人事件が起きてしまう。

なんといっても最初から最後まで名探偵ポアロが出てこないのだから、大胆な翻案といえるだろう。この、あまりに有名すぎるキャラクターがいまどきの映画に出てくれば、確かに下手すりゃ漫画的になってしまう。男女のシリアスな愛憎ドラマを描きたかった監督が嫌ったのも理解はできる。

40点
面白い素材を生かすことができず

『ダーリンは外国人』はコメディ、とくにラブコメ作りの肝を分析せずに作ったこのジャンルの映画がいかにひどい代物になるかがよくわかる、すぐれたサンプルである。

イラストレーターのさおり(井上真央)は、「漢字」の美しさに惚れて来日した語学オタクのアメリカ人、トニー(ジョナサン・シェア)と知り合い恋に落ちる。日本語がぺらぺらでいつも温厚なトニーとの同棲生活は幸せだったが、二人の恋には予期せぬ障害がいくつも待ち受けていた。

小栗左多里による自伝的コミックの実写版。私はそれを読んでいないが、それでもこの映画の問題点についてはすぐに指摘することができる。

40点
ディテールがスィーツ状態

人気テレビドラマの映画版『交渉人 THE MOVIE』は、いかにも日本の娯楽映画らしい、おおらかで心地よい一品である。

現金輸送車から大金が強奪された事件で、犯人グループはやがてショッピングモールへと立てこもった。警視庁特殊捜査班所属の交渉人、宇佐木玲子(米倉涼子)が犯人側と交渉を開始するが、これはさらなる大犯罪への序章に過ぎなかった。

冒頭、スタントマンの熱演が光るカーチェイスと、ファン待望の交渉シーンを前菜代わりに堪能したあとは、いよいよ本番のハイジャック事件が巻き起こる。実物大の航空機セットを使った内部のリアリティ、北九州空港とスターフライヤー協力による外観、飛行場風景など、邦画ながら見た目の重厚さが感じられるエンターテイメントである。ハイジャックされた航空機になんと刑事が乗り込み、上空で熾烈な駆け引きと戦いを繰り広げるという、いまだ誰も見たことのない設定も魅力だ。

40点
女性にとっては、少々キツい映画

『50歳の恋愛白書』とは思い切った邦題をつけたものだが、つけた側も賛否両論がおきるだろうことは承知の上での決断らしい。タイトルから受ける印象と映画の中身はだいぶ異なるわけだが、その気持ちはわからぬでもない。この映画は、きわめて対象がニッチで宣伝側としては悩ましいであろう作品だからだ。

50歳の専業主婦ピッパ(ロビン・ライト・ペン)は、歳の離れた夫(アラン・アーキン)と長年うまく暮らしてきたが、30年近い歳月を経て強い孤独感をあじわうようになった。最近、周りが老人ばかりのコミュニティに引っ越してきた事も大きかった。やがてそんな彼女の前に、この町には似合わぬハンサムな若者(キアヌ・リーヴス)が現れる。

厳密には恋愛ものでもラブコメでもなく、中年女性の生き様をリアルに描いた女性映画である。むろん対象はヒロインと同世代の女性。とくにこれまでの人生、色々とあがいてきた知的な女性限定といった趣だ。天然気味な人や、苦労知らずな人には向いていない。男性は、まじめに女性観察を楽しむつもりならば案外いける。

40点
「甘さ」に疲れる

子供のいない夫婦にとって、離婚のハードルはさほど高くない。男にとっては経済的な痛手だがそれは、別れなくとも似たようなもの。基本的には、それほどドラマチックなイベントではなく、むしろアチラから言い出してくれりゃ万々歳、てなものである。

ところが、ここに夫婦の「別れ」を泣けるドラマに仕立ててしまった映画がある。『今度は愛妻家』がそれで、その意外なチャレンジにはあらゆる観客が驚かされることになるだろう。

かつては売れっ子カメラマンとしてならしたが、今ではすっかりやる気を失っている俊介(豊川悦司)。今日もそんな昔の栄光に憧れやってくる美人モデルとねんごろになろうとしていたが、そこに突然、妻のさくら(薬師丸ひろ子)の姿が。あわてて取り繕う彼の前で、しかしさくらは意外な事を言う。「子作りする気がないなら私と別れて」

40点
上映館に出かけるときは(いろんな意味で)気をつけて

今週は3Dホラー作品の話題作が2本公開されるが、日本の誇る清水崇監督(呪怨シリーズ)の最新作がこれ。所要時間なんと60分、世界最長の歩行型お化け屋敷として恐れられる「戦慄迷宮」(富士急ハイランド)の実写映画化である。最新立体メガネをかけて、絶叫の清水ワールドを堪能しようというユニークな企画だ。

廃病院を模したお化け屋敷で行方不明になったユキ(蓮佛美沙子)が、10年ぶりに戻ってきた。妹ミユ(水野絵梨奈)、友人のケン(柳楽優弥)、盲目の少女リン(前田愛)らが戸惑う中、ユキは発作を起こして倒れる。彼らはあわてて車で偶然見つけた病院に運び込むが、そこはどこか奇妙な雰囲気であった。

かわいい蓮佛美沙子に導かれて、あわれ若者たちはリアル戦慄迷宮に迷い込んでしまう。そこから先は、飛び出るアトラクション、いや様々な恐怖に襲われながら、自分たちの過去、謎のユキ失踪事件のおそるべき真相と対峙することになる。

40点
こども向け時代劇

『BALLAD 名もなき恋のうた』は、クレヨンしんちゃんがご自身の番組で宣伝しまくってくれているおかげで、きっとたくさんのお客さんに見てもらえることだろう。

2002年の『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の実写版である本作は、同時に大ヒット作『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの山崎貴監督最新作でもある。さらには、芸能界きってのナチュリストぶりを発揮した草なぎ剛主演ということで、話題性には事欠かない。完璧すぎる布陣といってよいだろう。

おとなしく、いじめられがちな少年・川上真一(武井証)は、ひょんな事から天正2年にタイムスリップ。春日の国とよばれるそこで、「鬼の井尻」と恐れられる武将、井尻又兵衛(草なぎ剛)の命を偶然救った真一は、彼が幼馴染の廉姫(新垣結衣)と、身分を越えて惹かれあっていることに気づく。だが美しい彼女を狙う大名、大倉井高虎(大沢たかお)が、権力と軍事力をかさに強引に結婚を申し込んでくるのだった。

40点
アイデアはいいが、まだまだ未完成

真面目にやらない学生ってのは大抵暇なもので、思春期特有の「他者の目を異様に気にする性質」もあって、ろくでもないことに多大なエネルギーを費やしている。それは前髪のセット具合だったり、携帯メールの返信レスポンスの速さだったりと、人生の無駄遣いとしかいいようのないもろもろである。

もっとも、「暇なヤツほど世間体を気にする」という点では、主婦や閑職のサラリーマンも同じかもしれないが……。

ともあれ、そんな「余命の無駄遣い」の最たるものといえば、学校裏サイトをはじめとするネットコミュニティーに違いない。むろん、すべてが無駄とは言わない。市場の生の声を集めたり、海外の人間とリアルタイムでコミュニケーションをとるなど、有効な場、使い方はいくらもある。

40点
一本道のストーリーにゲンナリ

2001年から始まったシリーズもはや6作目。メインキャストらが通しで出ているおかげで、劇中のキャラクターと演じる子役らの成長は完全にシンクロし、観客は彼らを見守るように楽しむことができるようになった。

たとえばハリー役ダニエル・ラドクリフはたくましい若者になり、エマ・ワトソンは胸元が大胆に開いたドレスを着こなすほどに大人っぽくなった。ほかにも植物学を独習し、実家で大麻栽培に成功する成果を挙げた者など、主役脇役ともそれぞれ立派に育った。

だがしかし、彼らを眺めているだけでほんわかできる人以外にとっては、たとえば夢あふれるストーリーをこの作品に求める人にとっては、本作の154分間はなかなかの苦痛となろう。

40点
21歳上の女性と恋する15歳

19歳の三浦皇成騎手との熱愛スクープを抜かれたほしのあきは、先日『トランスフォーマー/リベンジ』のワールドプレミアに出ていたが、むしろコチラの宣伝に協力したらよかった。

1958年、ドイツ。15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は、偶然自分を介抱してくれた21も年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)と恋に落ちる。彼女との激しいセックスと、その後にベッド上で朗読してやるのが日課になったマイケルだが、ある日忽然とハンナは姿を消してしまう。

たったの13歳違いでさえ、バッシングされるほしのあきに比べ、こちらはなんと21違い。禁断の恋どころの騒ぎではない。そして、年上女性と少年の恋となれば、やることは一つなわけで、この映画の前半はほとんどエロ動画かと思うほどの、裸、裸のオンパレードだ。

40点
流行中のヤンキー映画の中でも最凶?!

山口雄大(やまぐちゆうだい)監督は、映画化など到底無理だろうと思われていた漫☆画太郎の原作『地獄甲子園』を劇場デビュー作として成功させた事で知られる。そのせいか、ナンセンスモノの企画は、まずはこの人に持っていけ的な存在にまでなっている。確かにその特異な作風は特筆に価するが、なにぶん出来不出来の波が大きい。期待された本作も、残念な方のできばえである。

ヤンキーの巣窟として悪名高い徳丸学園高校に、大河内三郎(石黒英雄)が入学してきた。本当はゲーム好きの気弱な少年である三郎は、しかし徳丸史上最悪といわれる凶暴な一郎(小沢仁志)、二郎(小沢和義)の弟ということで、名うてのヤンキーたちから狙われるのであった。だが三郎の実力(?)に目をつけた策略家・河井星矢(板倉俊之)は、三郎を頭に軍団を組織し、石井武(橋本じゅん)ら武闘派を一気に取り込んでしまうのだった。

07年に放映されたテレビドラマ版と、ほぼ同じキャストによる映画版。ただしヒロインの春菜役は変更となっている(正確には別キャラだが)。阿部秀司の原作漫画の勢いをよく再現した、各人の役作りが見所だ。見た目はそれほど似せてはいないものの、どのメインキャラも期待以上の面白さ。とくに星矢のインチキぶりと、石井のバカっぷりには、映画版でも大いに笑わせてもらった。

40点
女子高生6人が、いかれたオヤジたちをなぎ倒す

公式サイトの解説によると、「制服を着た少女が強敵に立ち向かう映画は、日本文化の代表」らしい。つまり本作は、世界に冠たるニッポンカルチャーの申し子。我々は誇りを持って、この作品を世界に広めていかねばならない。

17歳の女子高生さくら(飛鳥凛)は、友人の葵(仲村みう)の叔父が経営するテーマパーク「サバイバルランド」へ仲間6人と遊びに行く。パーク側が用意した敵役たちを撃ちまくってストレス解消するサバイバルゲームがウリだったが、敵の一人が突然豹変。本物の武器を持ち彼女たちに襲い掛かってくるのだった。

世界中に広めるべき本作が、キネカ大森の2週間単館ロードショーとは痛感の思いだが、映画は最初から笑わせてくれる。

40点
アジアの大スターを集めた三国志の実写化大作

『レッドクリフ Part I』は、エイベックス・エンタテインメントが社運をかけた大作ということで、際立ってメディア露出が目立つ話題作である。それはもはや、これがコケたら一大事、という焦燥感を感じさせるほどだ。

西暦208年の中国大陸。群雄割拠のこの時代。最強を誇る曹操(チャン・フォンイー)軍の前に、劉備(ユウ・ヨン)軍は壊滅寸前の打撃を受けた。軍師の孔明(金城武)は、自ら孫権(チャン・チェン)陣営へと向かい、孫権の信頼厚い司令官・周瑜(トニー・レオン)と交渉を進めていく。

三国志最大の見せ場、赤壁の戦いをアジアンスター総出演で実写化したものだが、肝心の戦いが始まる前に映画は終わる。「一番いいところは後半でネ!(はーと)」というわけだ。試写でクレームが続出したのか、途中からタイトルに「Part I」をついたようだが、鑑賞時には注意が必要である。

40点
テレビドラマ『ガリレオ』が本格映画に

上映前にフジテレビの方が「これはドラマ(『ガリレオ』シリーズ)の映画化ではあるが、同時に立派な原作を持つ映画作品でもある。それを強く意識して作った」と挨拶してくれた。その言葉に甘え、当記事では「立派な原作の映画化」として取り扱うことに決定したが、残念ながらその目で見るとこの点数となってしまう。だが、「テレビドラマの映画版」としてならば、もう少し高い評価を与えてもよいと考えている。

花岡靖子(松雪泰子)と美里(金澤美穂)は、決して豊かではなかったが、母子で幸福に暮らしていた。ところがある日、別れた夫にアパートを突き止められ、二人ははずみで前夫を殺してしまう。途方にくれる母子の元に、靖子の勤務する弁当店の常連で隣人の、数学教師・石神(堤真一)がたずねてくる。必死に場を取り繕おうとする靖子に対し、石神は平然と「彼を殺したのですか?」と問いかける。

原作は東野圭吾。シリーズ通しての主人公で物理学者の湯川学(福山雅治)は、抜群に頭が切れる探偵役として登場する。原作では同じ大学出身の刑事が、テレビ&映画版ではその部下の女性刑事(柴咲コウ)が、湯川に難事件を相談する形でストーリーが進む。

40点
「下妻物語」の監督がおくる、心温まる絵本ムービー

「下妻物語」(2004)、「嫌われ松子の一生」(2006)と興行面で成功を重ねた中島哲也監督の最新作は、後藤ひろひと原作の舞台の映画化。得意のCG技術をこれまで以上にふんだんに使用した、ハートウォーミングストーリー。

昔々、あるところに変わり者ばかり集まる病院があった。中でもとりわけ偏屈な会社社長の大貫(役所広司)はみんなの嫌われ者。いつも同じ絵本ばかり読んでる少女パコ(アヤカ・ウィルソン)が無邪気に話しかけてきても、傲慢な態度は改まらない。しかも些細なことで激昂して、幼い彼女にビンタまで食らわす始末。ところが翌日、パコは何事もなかったようにニコニコ笑いながら近づいてくる。じつは彼女は事故の後遺症で、一日しか記憶が持たないのだった。

やたらと性格の悪いジジィが改心し、少女のためにあれやこれやして、はたして奇跡は起こるのか──という寓話的内容。とっぴな色彩の衣装、美術と大げさな演技で現実感を薄めた、スクリーン上で絵本を読ませるコンセプト。

40点
ロシアで大ヒットしたカーアクション

クルマ映画はDVD稼働率が意外と高く、一定のファン層が存在する。ロシアで大ヒットしたこの「ストリート・レーサー」は、文字通り公道におけるカーレースが楽しめるアクションムービー。ロシア国内(サンクトペテルブルグ)の実際の公道で撮影したり、本物のフェラーリが登場するなどCGや特撮に頼らぬ姿勢が売り物だ。

軍の戦車乗りだったステパン(アレクセイ・チャドフ)は、除隊後に父親の自動車修理工場で働き始める。そこで出会った美しいカーチャ(マリーナ・アレクサンドロワ)には、賭けレースの元締めの彼氏がおり、ステパンの腕を見込んで引き入れようとするのだった。

やけに運転の荒い若者たちが多数登場する、交通安全週間にはみない方がよいであろう娯楽映画。

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