「前田有一の超映画批評」をランキング形式で紹介するサイトです。 週末の映画選びなどにご利用ください。

新着記事

2142件中 1601~1650件 を表示しています。
45点
西田敏行がハリウッドデビュー

『ラーメンガール』は、西田敏行のハリウッドデビュー作品だが、その使い方を完全に間違っているなど、作り手の認識不足があらゆる面で目立つ。

恋人を追いかけ日本にやってきたアビー(ブリタニー・マーフィ)。ところが肝心の彼氏はそんなアビーがウザったくて、あっさり振ってしまう。途方にくれたアビーは、赤提灯に誘われるように目の前の薄汚いラーメン店に入る。ところがそのラーメンのあまりの美味しさに感激、言葉がまったく通じないのに翌日から無理やり弟子入りする。ガンコにもほどがある店主(西田敏行)の理不尽なシゴキにも耐え、彼女は必死に修行に励むのだが……。

西田敏行の小技が冴え渡り、彼がボヤクだけで場内は大笑。ところがこの監督はそんな西田の持ち味を生かすことができず、彼の生来持つ好感度を下げるようなことばかりする。西田演じるガンコ店主は、ヒロインが思わず訴えるとおり「虐待」の限りを尽くし、何の説得力もないイジメのような修行をおしつける。

45点
学徒出陣前、最後の早慶戦を感動の映画化

日本人にとって夏とくれば野球、あるいは戦争。両方一緒ならなおさらということで、学徒出陣により夢をくじかれた大学球児の実話が映画化された。

戦況悪化の1943年、敵性スポーツとみなされた六大学野球連盟は解散、中止となる。徴兵猶予も停止され、いよいよ日本は学徒出陣に追い込まれる。死地に赴く部員たちを思いやる慶應義塾の小泉塾長(石坂浩二)は、早稲田大学野球部・飛田(柄本明)に最後の早慶戦を申し入れるが、早大学長の田中(藤田まこと)の猛反対にあう。

戦争と不運な時代に翻弄される野球大好き純粋少年たちの悲劇、というやつだ。たっぷりのお涙頂戴をまぶし、感動的に作ってある。

45点
この映画の題名を紹介することはできません

この映画のタイトルは、主にアメリカを中心とした英語圏では最も低俗とされる4文字言葉で、公の場では通常口にするのもはばかられる。日本にも(主に差別に関するワードを中心とした)放送禁止用語なるものがありマスコミはその表記を自粛するが、それに近いものといえるだろう。

ただし決定的に違うのは、「Fuck」は使い方によって正反対の意味にもなる、すなわち他人を侮蔑する攻撃的な意図から単なる悪態、ギャグにまで姿を変えるという事。その幅広さ、オールマイティー性を含めた的確な訳語というと、なかなか思いつかない。

映画『FUCK』は、そんな不思議でお下劣な単語に関するドキュメンタリー。その語源、用法から実際の用例まで、あらゆる事例を打ち並べ、大勢の識者にインタビューした力作である。ハリウッド映画で初めて使ったのは70年の『M★A★S★H』だとか、過激アニメ『サウスパーク/無修正映画版』(99年)では227回も使っているとか、まったくもってどうでもいい知識が豊富に得られる。

45点
ゾンビ映画の名作が立体映画になった……ん?

日本と違ってアメリカでは、立体映画というジャンルが市民権を得ている。家族と、友達と、映画館で大いに盛り上がる習慣が根付いているあちらでは、手軽なエンタテイメントのひとつとして認識されている。本作はゾンビ映画のパイオニア的名作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を3Dでリメイクした正統派ホラーだ。

叔母の葬儀のため墓地を訪れた兄妹は、なぜか人っ子一人いない状況に困惑する。とりあえず教会に向かおうと話し合っていた刹那、彼らは生ける屍に襲われる。すんでのところで逃げ出した妹は、途中でバイクにのった若者に救われ、彼の友人一家の家へと避難する。

オリジナル版に比肩するほどの低予算作品であり、この規模で立体映画を作ること自体、いかにもアメリカ的といえる。ホラー映画史に残るあの傑作を、なぜこんなチンケな形でリメイクしたのかといえば、結局のところオリジナルの著作権が期限切れになっているからに他ならない。なにしろネット上でDVD用の高画質版が誰でもダウンロードできるようになっているくらいなのだから、(確実に巻き起こるロメロファンからの非難さえ恐れなければ)こんな企画を実現させることだって容易だろう。

45点
ハイテンションな阿部サダヲが見所

『さくらん』で蜷川実花監督が江戸吉原・花魁の世界を華々しく描いたかと思えば、ハリウッド映画『SAYURI』ではチャン・ツィイーが京都の舞妓を演じた。そして今回は宮藤官九郎脚本で同じく舞妓をテーマにした娯楽映画が作られる。最近は伝統的な女性の様式美が人気のようだ。

東京の食品会社に勤めるサラリーマン、鬼塚(阿部サダヲ) は、自他共に認める舞妓オタク。彼女(柴咲コウ)そっちのけでマニアックなファンサイトを運営していた。彼は、給料の多くが頻繁な京都通いの交通費で消えるほどだったが、ある日自分の掲示板で何者かに、"実際は一度も茶屋遊びをしたことがない"事を見抜かれてしまう。

「舞妓と野球拳がしたい」との壮大な夢を持つ鬼塚はここで一念発起、お座敷の常連である自社の社長(伊東四朗)に認めてもらい茶屋に連れて行ってもらうため、インスタントラーメンの新商品開発に命を懸ける。

45点
ヘンな一家の話に2時間ひきつけた監督の手腕は評価したい

たとえ演技力に難がある女優であっても、日本語のわからない観客からなら絶賛を受ける可能性がある。だから、海外の映画祭に狙いを定めた『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』のような映画に佐藤江梨子が主演することは、戦略的視点からみて正しい。

北陸の山間部、うだるような暑さの山村。ここで暮らす和合家の父母が同時に事故で亡くなり、東京で女優をやっている澄伽(佐藤江梨子)が戻ってきた。澄伽は才能も仕事も無いくせに、「自分は他人と違う」と思い込んでいる自意識過剰女。和合家についた彼女は、かつて自分の乱れた生活をネタにしたホラーマンガを描き発表するという、澄伽が村にいられなくなった原因を作った妹(佐津川愛美)に、案の定強烈なイジメを開始するのだった。

この映画に出てくる登場人物は、おしなべて変な人間ばかり。勘違いきわまるヒロインはもとより、彼女を観察してマンガのネタにする妹。なぜかヒロインに頭の上がらない兄と、肉体関係の無いその妻。思わせぶりな設定が冒頭から連発し、観客は興味をそそられる。

45点
監督の入れ込みようにドン引き

ロバート・F・ケネディといえば、兄のJFK政権時代にはキューバ危機の解決や数々の犯罪対策に手腕をふるい、大統領選の民主党有力候補として市民の期待を集めていたさなかに暗殺された悲劇の政治家。移民や被差別人種ら弱きものたちの英雄として、今でも絶大な人気を誇る。

そんな彼の暗殺事件は、同時期のジョン・F・ケネディやマーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺事件とともに、一種のトラウマとして米国民の間にくすぶっている。『ボビー』はそうしたアメリカ人の心の琴線を刺激するアンサンブルドラマだ。

68年6月5日。ボビーことロバート・F・ケネディが暗殺される16時間前。彼が倒れることになるアンバサダーホテルには様々な人々が集まっていた。引退した元ドアマン(アンソニー・ホプキンス)はかつての同僚とチェスを楽しみ、若い花嫁(リンジー・ローハン)とその結婚相手(イライジャ・ウッド)は何やら特殊な事情を抱えている。ボビーの前座で歌う予定の人気歌手(デミ・ムーア)はホテルの美容師(シャロン・ストーン)に、スターとしての孤独を語る。人種も年齢も立場もまったく違う22人の登場人物がそれぞれのドラマを繰り広げる中、やがてホテルにボビーがやってくる。

45点
難易度の高い技に挑戦はしたが

『スターフィッシュホテル』は、いくつかの意欲的なチャレンジを行った個性的なドラマだ。すでに海外のいくつかの映画祭では高評価も得ている。在日英国人の監督と、同じく外国人撮影監督によるちょっと変わった日本の風景にも注目。

佐藤浩市演じるサラリーマンは、設計事務所で働く妻と二人、なんら生活に不自由することなく優雅に暮らしている。妻とは熱烈に愛し合っている風ではないが、それなりに安定した関係を保っているように見える。彼の趣味はある作家のミステリー小説を読むことであったが、最近よく見る悪夢はそのせいだと妻に揶揄される始末であった。そんなある日、突然妻が失踪し、主人公は残された彼女のバッグからある探偵社の名刺を発見する。

この映画を一言で説明するのは難しい。ミステリ的な失踪事件の謎解きを軸としつつ、夫自ら妻の行方を捜索するくだりはハードボイルド的。主人公が悪夢に悩まされ、現実との境界があいまいになっていく展開は不条理なダークファンタジーともいえる。

45点
VFXと妻夫木聡と柴咲コウを見る映画、ではあるが

「どろろ」は根強いファンを持つ手塚治虫の同名原作を、20億円という邦画としては巨額の予算をかけ、VFXの見せ場たっぷりで作られた妖怪アクション映画だ。大作だけに妻夫木聡&柴咲コウという金看板二枚を主演に据える万全の体勢。ヒットしてくれないと困りますよ、というわけだ。

どこか日本の戦国時代を思わせる異世界、野心あふれる武将、醍醐景光(中井貴一)は天下取りの力と引き換えに、我が子の体を幾多の魔物へと差し出す。やがて48の部位を失って生まれてきた赤ん坊は、そのまま川に捨てられてしまうが、心優しい医者の秘術により人工の体で補完され、やがて立派な青年百鬼丸(妻夫木聡)へと成長する。

さて、そんな悲しい出生をもつこのヒーローは、一体の魔物を倒すたび、失われた自分の肉体をひとつ取り戻すことができる。やがて、両腕に仕込まれた無銘刀で戦う百鬼丸の姿を見たコソ泥のどろろ(柴咲コウ)は、その刀に見惚れて無理やり同行することにする。この二人の奇妙な道中が物語のメインロードとなる。

45点
万人向けではないが好きな人はたまらない、メキシカンプロレスコメディ

皆さんは、フライ・トルメンタというメキシコのプロレスラーをご存知だろうか。のちに暴風神父とあだ名されるこの人物は、小さいころひどい境遇に育った。やがて彼は、自分のような不幸な非行少年を少しでも減らそうと神父になった。積極的に孤児たちを受け入れた彼は、資金不足で多くの少年たちに貧乏暮らしを強いている今の生活を何とかしようと、すでに中年だったにもかかわらず、ルチャ・リブレ(メキシコの国技的スポーツであるプロレスのこと)の新人覆面レスラーとしてリングに立つ。

全く格闘技の素養がない彼は連戦連破だったが、やがてそうしたエピソードが国民の間に伝わり、相手レスラーもそんな彼を盛り立て、国民的な人気者になる。そして彼は、そのファイトマネーを注ぎ込み、ついに孤児院を建てることができたのだ。

孤児院にファイトマネーを寄付するために戦う、梶原一騎原作漫画のタイガーマスクを地でいくこの神父の物語は、プロレスファンなら誰もが耳にしたことがある実話だが、漫画や映画にもなり、テレビでも扱われるようになって一般の人々の間にも浸透するようになった。そしてこの『ナチョ・リブレ 覆面の神様』も、おそらくこのフライ・トルメンタの物語にヒントを得て作られた作品である。

45点
各エピソードは良いが、構成はいまいち

この映画は、実際におきた心温まるエピソードを映画化したものだ。ターゲットとしては中高年向きで、映画に刺激を求めない、穏やかな気持ちで椅子に座っていたい人々のための作品といえよう。

雪深い東北の山間部の駅、石油ストーブが暖かいオレンジの炎を灯す小さな待合室に、一冊のノートがおかれている。いつしか"命のノート"と名づけられたそれには、旅人たちの悩みや想いがぎっしりと書かれていた。そして、その一つ一つに丁寧な返事を書き続けるのが、駅前で酒屋を営んでいるおばちゃんこと夏井和代(富司純子)だった。

彼女は40数年前にこの地に嫁いできたのだが、その時代の和代を演じるのが寺島しのぶ。いうまでもなく、彼女は富司純子の実娘。本作は、二人にとって映画初の母娘共演ということになる。親子だけに顔は確かに似ているが、あまりにこの二人は女優としてキャラが違い、どう見ても同じ人物を演じているように見えないのが面白い。しかしいずれにせよ、寺島しのぶが近年、目覚しい成長を遂げたおかげで、本作ではたいへん豪華な二大女優の共演を楽しむことが出来る。

45点
話は子供っぽいが、ダンスシーンは鮮やか

『バックダンサーズ!』は、ダンスを踊ることや見ることが好きな、主に10代から20代前半くらいの若者向きの、気軽な青春ドラマだ。元SPEEDのhiro、平山あや、ソニン、サエコの4人が演じるダンスユニットの努力と友情を、ライブ感あふれる映像で描く。

永山耕三監督は、公開中の『東京フレンズ The Movie』の監督でもあるが、この2本はやはり雰囲気が似通っている。(30代以上の方には、ドラマ『東京ラブストーリー』の演出をやった人、といえばなんとなく伝わるだろうか)

夜の街で踊りまくっていたよしか(hiro)とミウ(平山あや)は、ともえ(ソニン)や愛子(サエコ)とともにアイドルのバックダンサーとしてデビューする。しかし、肝心のアイドルが電撃引退し、残された彼女たちは窮地に立たされる。やがて4人は、新米マネージャー(田中圭)の提案で、落ち目のベテラン歌手(陣内孝則)率いるロックバンドと組んでツアー先を回ることにするが。

45点
うどんで2時間超の大作は無理がある

香川県民は一年間で全国平均の2.5倍のうどんを食べる、日本一のうどん好きな人たちだ。彼らが広めた手軽でおいしい讃岐うどんは、いまや全国区のブームを経て、愛すべき庶民の日本食として定着した感もある。

この映画の監督、本広克行も香川県出身であり、だからこそこの最新作は讃岐うどんをテーマにしたのだという。つまり映画『UDON』とは、誰の心にもある故郷を思い出させる食べ物、ソウルフードを描いた作品というわけだ。また、亀山千広プロデューサー+フジテレビ製作という、「踊る大捜査線」シリーズ以来の手堅い布陣で、大ヒットを狙う話題作でもある。

讃岐うどん職人の息子(ユースケ・サンタマリア)は、夢破れてNYから帰国した。渡米による借金返済のため、地元香川のタウン情報誌の記者として働き始めた彼は、編集員(小西真奈美)とともに新連載として地元の隠れ家的うどん店を紹介するコラムをはじめる。これが大受けし、やがて讃岐うどんブームは全国に広がっていくが、それでも昔かたぎの職人である父親との確執は続いていた。

45点
長澤まさみのスタイルの良さは異常

昨年の夏は『タッチ』で、今年は『ラフ』。どちらもあだち充原作の人気漫画の映画化だが、一般的に原作の評価は『ラフ』の方が高いとされる。そんな、大きな期待を引き受ける監督は、『NANA』映画版で、コミックの映像化に優れた手腕を見せつけた大谷健太郎。主演は『タッチ』同様、東宝が誇る映画女優、長澤まさみ19歳。

二ノ宮亜美(長澤まさみ)と大和圭介(速水もこみち)は、それぞれライバル同士だった和菓子屋の家に生まれ、やがて同じ高校に進学した。最初はいがみ合っていた二人だが、やがて打ち解け、惹かれあう。しかし亜美には、仲西弘樹(阿部力)というお兄ちゃん的な幼馴染がいた。それを知った瞬間、競泳選手である圭介にとって、同種目の日本チャンピオンである仲西は、同時に恋のライバルとなったのだった。

物語は、この3人の関係に焦点を絞ったものになっている。大和圭介には、ひそかに思いを寄せる女子高飛び込み日本チャンピオンの同級生(市川由衣)という設定もあるのだが、こちらはほとんど触られもしない。

45点
雰囲気は悪くないが、構成が雑で薄っぺらい

デビュー作『リアル鬼ごっこ』のヒットで知られる山田悠介は、10代に人気のある小説家だ。本作は、彼の同名小説の映画化となる。

久しぶりの同窓会で友人たちと再会した武(三宅健)は、12歳のとき行方不明となった女友達の由美子を探すため、当時の仲間たちに相談する。彼は、由美子がいなくなった原因となった遊び"親指さがし"を、再びやってくれというのだ。たわいもないオカルト遊びだったはずの親指さがしは、由美子を失った彼らにとってトラウマの原因だったが、武の強い懇願により、みな渋々つきあうのだった。

映画『親指さがし』は、アイドルが主演しているからといって、よくある怨霊系お気軽ティーンホラーとはちょっと違う。V6の三宅健は意外にも演技がしっかりしているし、全編とってもシリアスなムードだ。ベーシックな展開と意外なオチを持つ、正統派のミステリードラマでもある。

45点
子供に見せるには最高の映画だが……

『ロード・オブ・ザ・リング』がとてつもない大商いを記録したので、伝統的なファンタジージャンルは大きく見直されるようになった。そして、その原作『指輪物語』とあわせ「3大ファンタジー」などと称される『ナルニア国ものがたり』『ゲド戦記』も、相次いで映画化されることになった。とくにこの『ナルニア国物語』は、ディズニーによって『ロード・オブ・ザ・リング』と同じく実写で映画化されることになり(すでにシリーズ化も視野)、大きな期待を寄せられている。

舞台は第二次大戦下の英国から始まる。ロンドンの親元を離れ、田舎の教授の家に疎開してきた4兄妹が主人公。古く、そして広大な屋敷の中には、空き部屋がいっぱい。そこでかくれんぼをしている最中、末娘のルーシー(ジョージー・ヘンリー)はある空き部屋に巨大な衣装ダンスを見つける。ロングコートでいっぱいのその中へ隠れ、奥へと進んでいくと、その先にはなんと雪に包まれたナルニア国が広がっていた。

かくれんぼや、突然相手の旦那さんが帰宅したときなど、洋服ダンスの中に隠れた経験は誰しもあるかと思うが、あの独特のにおいが伝わってくるかのような、臨場感あふれるオープニングだ。そして、その奥に秘密の入り口があるのではないかという空想も、多くの人々がしたことがあるだろう。じつに夢のあるお話だ。

45点
邦題はマヌケだが、いたってマジメな伝記映画

セックスに関する様々な調査結果をまとめた「キンゼイレポート」で知られる実在の動物学者アルフレッド・キンゼイ博士を描いた伝記映画。

インディアナ大学の動物学の助教授、アルフレッド・キンゼイ(リーアム・ニーソン)は、教え子のクララ(ローラ・リニー)と結婚したが、童貞&処女の二人はうまくセックスすることができない。なんとか専門家の助言でその危機を乗り越えたものの、キンゼイはこの分野の知識がいかに未開拓なものか思い知る事になる。やがて彼は、膨大な数のアメリカ人をインタビューし、性についての徹底調査を行うべきだと考えるようになる。

この作品はいたってマジメな伝記映画であり、ついてはこの邦題はアホとしかいいようのないセンス無きものである。感動のドラマでもなければ恋愛モノでもない、これはキンゼイ博士の人柄と、その偉大な研究を淡々と私たちに教えてくれる映画作品なのである。彼の少年時代からその相当変わった結婚生活、研究における苦労や挫折、希望といったものを丁寧に追っていく。

45点
奥さまは魔女、である必要があまり感じられない

かつての同名人気TVドラマのリメイク。主演はトップ女優ニコール・キッドマン、共演はコメディアンのウィル・フェレル。

落ち目のハリウッド俳優(ウィル・フェレル)のもとに、TVドラマ「奥さまは魔女」のリメイク企画が舞い込んできた。この作品で復活をたくらむ彼は、自分が演じるダーリン役を引き立てるために、言いなりになる新人女優を探していた。そこに、イメージぴったりの女性(ニコール・キッドマン)が現れ、彼は喜んで抜擢する。ところが彼女は、なんと本物の魔女であった……。

このあらすじを見てわかるとおり、リメイクとはいってもオリジナルとはまったく異なる筋書きである。劇中作としてオリジナルのリメイクを作るというメインストーリーを軸に、魔女と一般人の男の恋愛というシリーズの基本設定を踏襲するとは、よく思いついたなあと感心する。

45点
せっかく本物を貸してもらったのだが、生かしきれなかった印象

福井晴敏の人気小説を海上自衛隊全面協力で映画化。「ローレライ」「戦国自衛隊1549」と、今年続々公開されている邦画軍事アクション大作のひとつだ。

あるとき、東京湾沖で訓練航海中のイージス艦が、某国工作員と副長(寺尾聰)ら裏切り者の自衛官との合同チームにのっとられてしまう。艦には沖縄米軍から盗み出した強力な化学兵器がつみこまれ、それを搭載したミサイルは東京各地に標準をあわせてある。日本政府に激震が走る中、犯人らの退避命令に背き、ただ一人艦内に残った先任伍長(真田広之)の孤独な戦いが始まった。

『亡国のイージス』の見所は、本物のイージス艦でのロケや、実物大に近いセットを組んで撮影した艦内での人間ドラマだ。各登場人物については、決して十分に内面描写を尽くしたとはいえないが、なんといっても役者がいいので見ごたえがある。膨大な小説を映画化したことによる人物描写の浅薄化を、よく補っているといえる。

45点
日本人には興味を持ちにくい題材か

20世紀のアメリカ映画業界と航空業界で成功を収めた大富豪ハワード・ヒューズの若き日を描いた伝記映画。主演はレオナルド・ディカプリオ(「タイタニック」ほか)、監督は巨匠マーティン・スコセッシ(「タクシードライバー」ほか)、製作費は150億円という堂々たる超大作だ。

億万長者の父が死去し、莫大な遺産を受け継いだ18歳のハワード(L・ディカプリオ)は、やがてその資金力を大好きな飛行機と映画製作に惜しげなくつぎ込むようになる。数十機の戦闘機を実際に購入し、自ら操縦して空中戦を撮影した戦争アクション映画「地獄の天使」は、当時の常識を覆す映像が話題となり大ヒットを記録する。

大女優キャサリン・ヘップバーン(ケイト・ブランシェット)を恋人にし、パイロットとしても世界一周の記録を更新、航空機の設計技師としても新発想の偵察機を開発するなど、その人生は順風満帆に見えたが、やがて彼にも転落のときが訪れる。

45点
インチキなプラモのようなメカが飛び回る

レトロなムードたっぷりのSFアドベンチャー映画。

舞台は1939年のニューヨーク。著名な科学者が連続で失踪した事件を追う女性記者(グウィネス・パルトロー)の前に巨大ロボの大群が現れる。彼女は、街に襲い掛かるロボの前で間一髪のところを、元恋人で空軍の凄腕パイロット、スカイキャプテン(ジュード・ロウ)に救われる。

この映画の監督は、本作がはじめての脚本、はじめての監督だ。なんでも自宅のガレージにPCをでんと据え、4年もかけてこの映画の原案となるCG映像を作ったという。たった6分間のその映像を彼がハリウッドに持ち込んだところ、一流のスターが何人も出演する大作として見事映画化されることになった。PC一台でコツコツ作った映像でハリウッドに監督デビューできるとは、何ともすごい時代である。

45点
意味もなく脱いでくれるアンジェリーナに笑った

『トゥームレイダー』シリーズのララ・クロフト役などで、日本でも人気のあるアンジェリーナ・ジョリー主演のクライム・サスペンス。

モントリオール近郊の工事現場で、両腕を切断された白骨死体が発見される。捜査協力を要請されたFBIは、プロファイリングの専門家(A・ジョリー)を派遣するが、所轄のたたき上げの刑事たちとは捜査方針をめぐって衝突する。それでも類まれな経験と直観力で捜査をすすめる彼女は、目撃者へ直接尋問し、有力な容疑者を突き止めるのだが……。

A・ジョリー演じるプロファイラーは若くて美人な上に頭脳派なので、肉体派(?)の地元カナダ人刑事たちからは反感を買ってしまう。目の前でフランス語でセクハラ会話される等の嫌がらせを受けながらもけなげにがんばる。

45点
スター不在で地味な上、感情移入すべきキャラクターの描写が不足

ハリウッド一のブロックバスター映画(超大作娯楽作)仕掛け人、ジェリー・ブラッカイマー製作の歴史大作。『ロード・オブ・ザ・リング』をはじめとした、あらゆるファンタジー作品の元祖ともいえるヨーロッパのアーサー王伝説の映画化だ。

5世紀初頭、ローマ帝国の支配下にあるブリテンでは、魔術師マーリン率いるウォード、残虐な侵略者のサクソン人が3つ巴の戦いを続けている。やがてローマ軍はこの地域からの撤退を決定するが、残されたあるVIP一家を救うため、ローマ軍最強の騎士団である円卓の騎士とそのリーダーであるアーサーを呼び出す。長き傭兵期間の終了と引き換えに言い渡されたこの危険な任務を、アーサーは苦渋の思いで引き受けるのだが……。

アーサー王伝説といえば、魔法と剣と英雄たちの群像劇といったイメージがあるが、関連する史跡も多く、欧米では現実の歴史としての研究もさかんな物語だ。この映画版『キング・アーサー』も、魔法などファンタジーの要素を排除し、現実の歴史の登場人物としてのアーサー王を描いている。

45点
日本人ばなれしたスタイルの川原亜矢子が光る

川原亜矢子が主演の、ハワイを舞台にした癒しのドラマ。パンフォーカスで写したハワイの景色が美しい。そこを跳ねまわる川原亜矢子はもっと美しい、という映画である。

やたらと手足が長く、とんでもなくスタイルのいい彼女は、映画向きの女優だ。演技はあまり上手くないが、とてもがんばっているのが分かるし、何よりオーラを感じる。華があるのである。

先が読め、いかにも作り話然としたストーリーだし、心情などを会話で説明しすぎてしまう演出にもやれやれ、といった感じだが、川原亜矢子が良いので救われる。白いパンツスーツがすごくよく似合ってて、ちょっとTバックが透けてるお尻には、迷わず1800円を払いたくなる。

45点
ベタでもいいから、もっとドラマティックさが欲しい

『アルマゲドン』『ディープ・インパクト』に続いて、地球に襲いかかる大災害を描いたパニック超大作。

今回は、地球内部の核の回転が止まり、ヴァン・アレン帯が失われるという大災害を描くが、空から降ってくる巨大隕石に比べれば、やはり地味&実感に乏しいという弱点は否めない。

今回も人類(アメリカ合衆国)が選ぶ対処方法は、「核爆弾を仕掛けて再びコアを回転させる」というおなじみのもの。パニック映画では、核は正義の武器なのである。

45点
すべて『本物』にこだわったリアルアクションだが……

徹底的に『リアル』にこだわった、追跡アクションもの。追跡に関わる映画の87%に出演している事で有名なトミー・リー・ジョーンズが、今回も主演であるのは言うまでもない。

この映画のアクションは、一見荒唐無稽に見えても、すべて専門家が、「この高さからなら、ダイブしても肉体は無事なはず」などと、お墨付きを与えたものだそうである。

さらに、ナイフを主体とした格闘術は、映画的な演出は最小限で、すべてマーシャルアーツ(軍隊格闘技)を主体とした、実際の殺人術そのものをそのまま使っている。ちなみにこれ、『ボーン・アイデンティティー』にも使われた格闘技で、最近の流行らしい。

40点
目で楽しむ栄養

茶道というものが戦国時代以降、政治にさえ大きな影響を与えたことはよく知られている。だが茶と花というように華道にも似た要素があるにもかかわらず、そちらはあまり取り上げらえることはない。「花戦さ」は、そんな風潮を打ち破るべく作られた、「花」で政を正そうとした実在の男の物語である。

ときは戦国時代。京都の紫雲山頂法寺、通称六角堂に、斬新な発想と高い腕前で知られる花僧の池坊専好(野村萬斎)という男がいた。あるとき、天下の織田信長(中井貴一)とトラブルになりそうなところを秀吉(市川猿之助)の機転で救われた専好は、以来彼と友情を深めてゆく。ところが秀吉の世になるとその専横ぶりが人々を苦しめるように。かつての盟友・千利休(佐藤浩市)の言葉さえ届かなくなったのを見た専好は、自分なりの方法で秀吉に思いを伝えようとするが……。

飢饉で人々がばたばたと倒れていたとき、池坊専好はそうした亡骸に花を手向け続けていた。原作者の鬼塚忠は、3.11を見て何かを感じ、池坊専好の伝説をもとにこの物語を作り上げた。

40点
白いブラックウィドウ

「攻殻機動隊」は、日本よりも海外で話題になりそうなタイトルなのだが、その実写版「ゴースト・イン・ザ・シェル」は、肝心のアメリカ市場でよもやの大苦戦である。日本ではなおさら一般受けしにくいコンテンツなだけに、先行きが不安なスタートといえる。

脳以外、人工的な義体で生きている少佐(スカーレット・ヨハンソン)。義体が珍しいものではないこの時代でも彼女の能力は群を抜いており、彼女が所属する公安9課でも不可欠な戦力となっていた。9課を率いる荒巻大輔(ビートたけし)も彼女を高く評価し、今日もサイバーテロ集団と対峙するのだった。

士郎正宗による原作漫画とも、押井守らによるアニメ版とも距離を取った内容のハリウッド実写版。もはや主人公の名前すら違うわけだが、そのあたりは物語が進むと徐々に目指す方向性がわかってくる。要はこのハリウッド版は、"少佐"の自分探しの物語、ということである。

40点
これからの定番「糖質制限」

2015年の健康シーンでもっとも衝撃的だったのは、コレステロール神話の崩壊だろう。これまでコレステロールは食事療法で下げるのが常識とされ、医師もそう指導するのが当たり前だった。ところがアメリカで食事におけるコレステロール摂取量の上限が撤廃されたのに続き、日本動脈硬化学会が「食事内容で体内のコレステロール値は変化しない」と、常識を覆す発表をした。

ゆで卵から黄身だけ抜いたり、卵は一日一個までなどという「神話」を信じてきた人たちはきっと仰天したことだろう。それは文字通り神話であった。

こうした「神話の崩壊」は、コレステロールを下げる薬の特許が切れた(のでコレステロール悪玉プロパガンダを流す必要がなくなった)ことが裏事情としてあるわけだが、何十年も信じていた人にしてみればひどい話である。無駄なことをし続けて彼らが失った金と時間(下手をすると健康も)は戻ってこない。

40点
お涙ちょうだいすぎる

安倍首相きもいりで製作・公開される愛国映画「海難1890」だが、首相の盟友というべき合作相手のトルコのエルドアン大統領はいまやISの庇護者として悪名が広まっている有様である。アベノミクス外交映画として大々的に保守派に広めたかった映画会社としては、きっと頭を抱えていることだろう。

1890年トルコの使節団を乗せた軍艦エルトゥールル号が、帰国途中に和歌山県沖で座礁する。闇夜の嵐の中、命がけで船員を助けたのは医師の田村(内野聖陽)をはじめとする近くの貧しい漁村の人々だった。それから95年後、彼ら無名の日本人の活躍をトルコは忘れていなかった。85年のイランイラク戦争で窮地に陥ったとき、日本人は彼らの友情の深さを知ることになる……。

「海難1890」のだめな点は明らかで、日本とトルコの両方に気を使いすぎているという事である。協力してくれた政治家の顔を立てたいから、こういう手の縮んだ偽善的なものができあがる。「海難1890」のお涙ちょうだい、とくに後半のそれは悲しいほどにチープである。

40点
青春映画風味だが

週刊少年ジャンプというものがいかに特別ですばらしいかを世に示した大場つぐみ&小畑健の漫画「バクマン。」だが、その映画版は期待と実現ポイントが微妙にずれる残念な結果となった。

クラスメイト高木秋人(神木隆之介)に「一緒に漫画家になろう」と誘われた真城最高(佐藤健)。彼らは漫画家だった最高の亡き叔父の仕事部屋と道具を使い、作品を仕上げ、漫画界の頂点週刊少年ジャンプの編集部へと持ち込みする。向こう見ずな二人の長きチャレンジは、今始まったばかりだ。

観客、読者、映画監督と、それぞれにこの原作漫画のどこをおもしろく読んだか、映画になにを期待しているかが微妙に異なるのは当然のこと。私は、人気原作はそれを育てたファンのためにあるべきという立場なので、その見地から映画版を評価するわけだが、結論としてはちょっと違うな、という印象である。

40点
二階堂ふみのヌード

戦後70年ということで各社から戦争映画が公開されるが「この国の空」は芥川賞作家・高井有一の谷崎潤一郎賞受賞作を映画化したもの。戦争が一人の若い女にどんな影響を与えたかを見つめる文芸作品だ。

終戦も間近な東京の外れ。母(工藤夕貴)と暮らす19歳の里子(二階堂ふみ)は、妻子を疎開させている隣人・市毛(長谷川博己)の身の回りの世話をするようになる。周囲にいる唯一の若い男である市毛を、里子はやがて意識するようになるが……。

戦争というものは、当事者以外にとっては滑稽でばからしいものであると気づかせてくれる点でこの映画にはある種の価値があろう。しかし、このどこかノーテンキなシュール感は好みが分かれるはずだ。なんといってもまずはヒロインの二階堂ふみの顔が、あまりに"ザ・沖縄!"すぎるから、観客は違和感を感じざるをえない。斬新なラストショットでもそれは感じられる。

40点
映像面の優位を活かせぬもどかしさ

「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」は、マンガをそのまま実写にするといろいろとリアルじゃなくなるから、そうならないよう時には大胆に変えていこう、とのコンセプトで作られたそうである。

なるほど、原作者自身も関わって脚本づくりなどを行った理由としては、それは大いに理解できる。そういうことなら大幅な改変もやむを得まい。

100年以上前、あらわれた巨人に人々は食われ、滅びかけたという。いまや、残った人類は高い3重の壁の中でひそかに暮らしている。それでも外の世界が気になる冒険心あふれるエレン(三浦春馬)を、優しいミカサ(水原希子)はいささかの心配を持って見守るのだった。そんなとき、衝撃とともに壁の向こうに何かが現れる。

40点
二人の競演に的を絞れていれば

かつて空手チャンピオンの肩書きをひっさげアクション映画界に殴り込んだドルフ・ラングレンも、気づけばはや57歳。近年のアクションスター再生ブームにのって主演映画が続いているが、タイのガチアクション俳優トニー・ジャーとの競演は、さすがに肉体的にかなり苦しそうだ。

刑事ニック(ドルフ・ラングレン)は、マフィアのボス、ドラゴビッチ(ロン・パールマン)を追い詰めるも逆に家族を殺されてしまう。怒り狂ったニックは殺戮マシーンと化し、タイに渡って復讐を開始するが、そんなニックを現地の刑事トニー(トニー・ジャー)は必死に止めようとする。

往年のファンとしてはちょっとつらい部分であるが、トニーが手加減しているようにしか見えない対戦場面、とくにスピードの違いは歴然である。ラングレンは巨大な体と無骨な顔つきから想像される打たれ強さだけは表現できているものの、かつてのキレ味を知るものとしては、できればもう少し早くこの二人の顔合わせが実現していれば、と思わざるを得ない。

40点
アイデア先行型

いろいろと仕掛けを施した映画は趣があるものだが、やりすぎるとついていけずに途中下車する観客が増える。そのさじ加減が難しいところだ。

マサチューセッツ工科大学の学生ニック(ブレントン・スウェイツ)とジョナス(ボー・ナップ)は、学内にハッキングしてきた相手の正体を探るうち、ネバダ州に向かうことに。自分たちも高度なIT技術を駆使していよいよクラッカーの場所を特定するが、そこで彼らは何者かにさらわれてしまう。

「シグナル」は典型的な仕掛け型娯楽映画で、いかにも82年生まれのウィリアム・ユーバンク監督らしい若々しい野心に満ちた意欲作といえる。

40点
ごまかし切れない予算不足

私のように本編を知る者が「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」の予告編を見ると、映画作りにおいて予算というものは大事なのだなと改めて痛感させられる。

リストラ寸前でレイバーも長らく動かす機会のない警視庁特車二課パトレイバー中隊。だが自衛隊の光学迷彩ヘリ「改グレイゴースト」がテロリストに強奪され、隊長の後藤田(筧利夫)は色めき立つ。自衛隊も警察も翻弄される完全武装のヘリに、果たしてレイバーは有効打を与えることができるのだろうか。

アニメ界の重鎮として名をとどろかす押井守監督が、自身の代表作を実写化する。早くから期待を一身に集めていた「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」。だがふたを開けてみれば、そんな話題作でも予算不足丸出しの、痛々しい出来映えであった。

40点
かわいげのない無知

先月、WHOの専門組織がグリホサートに発ガン性のおそれがあると発表した。グリホサートとは遺伝子組み替え作物を推進してきた大企業モンサントの看板商品ラウンドアップのことで、彼らはこの農薬とラウンドアップ耐性作物のペア売りで莫大な利益を得、市場の独占を広げてきた。

そんな彼らにとって、GMOではなく、もともとの事業の大本たる農薬の危険性を指摘されたのはショックだったろう。これまで莫大な資金による米国政府への影響力をバックにそうしたマイナス面を押さえてきた彼らの、これは終わりの始まりなのか。

そんな緊迫した状況下の昨今、「パパ、遺伝子組み換えってなぁに?」の生ぬるさはいかがなものだろう。

40点
ジェイソン・ステイサムの幅の狭さ

チャック・ローガンの犯罪小説をシルヴェスター・スタローン脚色した本作は、元々彼が主演する予定で書いていたもの。ランボーの完結編的な意味合いも持たせたかったというが、もしそうだとするならば、なかなか奥深いテーマを語っている作品であるl。

元麻薬潜入捜査官のフィル(ジェイソン・ステイサム)は、まだ小さな娘マディ(イザベラ・ヴィドヴィッチ)のため、危険な仕事からの引退を決意する。亡き妻の故郷で慎重に隠遁生活を始めた彼らだったが、ふとしたトラブルから麻薬密売人ゲイター(ジェームズ・フランコ)に目をつけられてしまう。

ズバリこの映画のユニークな点を言うならば、武力よりもコミュニケーションが平和維持の鍵である、と語っている点だ。

40点
変わらぬ河瀬節

自覚があるのかどうか知らないが、河瀬直美という監督ほどブレなく自分流を貫いている人はあまりいない。墓の中から過去の巨匠が表れてなにか彼女にアドバイスしたとしても、きっと彼女はブレないだろう。そんな風に思わせる強さが作品からは毎度感じられる。出来不出来は別にして、その自己主張と自己愛については、私は高く評価している。

奄美大島に暮らす高校生の界人(村上虹郎)は、あるとき海岸で溺死体を発見する。思わず逃げてしまった彼を、彼に思いを寄せる同級生の杏子(吉永淳)が目撃していた。そのことを屈託なく問いかける彼女。その母イサ(松田美由紀)が余命わずかだということ。自分の母親岬(渡辺真起子)と恋人との性的な雰囲気。そうした生と死の様々な奔流から逃れるように、界人は東京に住む父親を訪ねるが……。

監督があれほど願っていたパルムドールの栄冠は、チャイルドポルノになりかねないクライマックスの濡れ場のインパクトを考えればどう考えてもこのご時世、無理だろう。それでも迷わず吉永淳を全裸に脱がしてしまうのだから、この監督にブレはない。本人は「最高傑作」と満足しているのだから、それでいいのである。そのうち世界の倫理観やカンヌ審査員のほうが彼女に追いつく……のかもしれない。

40点
105歳の現役映画監督

105歳の現役映画監督が存在することだけでもすごいことだが、その新作のテーマが「貧困」だときいてさらに驚く。実際「家族の灯り」で描かれる貧困老人の姿は、これを同じ老人が撮っていると思うとあまりの容赦のなさに圧倒される。

帳簿係でつましく暮らすジェボ(マイケル・ロンズデール)は、今日も妻ドロテイア(クラウディア・カルディナーレ)、失踪中の息子の嫁ソフィア(レオノール・シルヴェイラ)の3人で言い争いをしている。8年前に息子ジョアンがいなくなってからというもの、貧しい3人はいつもこの話題で先の見えない不安に包まれているのだった。だが、そんなとき意外な展開が訪れる。

20年前の戯曲が元というのもあるのだろうが、演出もストーリーもきわめてシンプル。無駄をそぎ落としたような、なかなかほかでは見られない作風といえる。

40点
アイデアに振り回されている

最近、アニメーション映画が好調である。映画館のアベレージ成績では興収1位の大作を上回るほどの成績をあげることも珍しくなく、映画業界でもそうとう力を入れてきている。実写映画ではほぼ必須となりつつある「有名原作」や「有名タレント起用」がなくとも、十分な集客を見込めるという点が特徴的で、これはアニメーション映画のファンが日本で一番「まっとうな」観客層であることを示していると私は考える。

そうした観客に支えられているから、「サカサマのパテマ」のように意欲的なオリジナル企画が立ち上がる。「イヴの時間」が高評価を得た吉浦康裕監督による、不思議な世界観をベースにした純愛物語だ。

かつて異変がおき、人々が「空に」落ちていったアイガ国。やがて時は過ぎたが、いまだに人々は空を忌み嫌っている。そんな中、大空を見上げるのが好きな変わり者の少年エイジ(声:岡本信彦)は、ある日崖下から空へと「落ちてきた」少女パテマ(声:藤井ゆきよ)を救う。彼女は重力の方向が正反対な地底世界の住人だったが、二人は心通じ、やがて惹かれあう。だがアイガ国の治安警察が、そんな二人の交流を許すはずがなかった。

40点
タイムリーな経済ネタ

時事性を高めようとすれば製作スピードをあげるほかはなく、それは質の低下につながる。映画は時代を映す鏡とはいうものの、実際は「タイムラグがある鏡」というのが現状である。

いまどきM資金詐欺を生業とする詐欺師の真舟(佐藤浩市)に、石(森山未來)という青年が接触してきた。彼が紹介した本庄(岸部一徳)は、真舟に50億円の報酬で、とんでもない詐欺の依頼をもちかける。それは、本物のM資金をだまし取れというものだった。

映画「人類資金」は脚本と原作を同時進行、最新の経済情勢をもストーリーにとりこんだ意欲作である。原作脚本は福井晴敏、監督は阪本順治と「亡国のイージス」(05年)と同じ骨太な布陣だ。

40点
リメイクする必然性はどうか

リメイクはオリジナルをリスペクトしすぎると失敗しやすいというのが私の持論だが、日本版「許されざる者」にもそんな傾向が感じられる。李相日監督長年のオリジナルへの慕情は、硫黄島シリーズでクリント・イーストウッドの信頼を勝ち得た渡辺謙の協力を得たことでこうして形になったものの、その出来はどこか中途半端である。

1880年の北海道。幕末の戦いで大活躍をして「人斬り十兵衛」と恐れられた釜田十兵衛(渡辺謙)も、一敗地にまみれた今は二人の幼い子供とつつましく暮らしていた。ある日、そこに現れたかつての仲間、金吾(柄本明)は、一攫千金の賞金首の話を持ちかけてくる。

わざわざ別の国の優良コンテンツをリメイクしたいというからには、本来「俺ならもっとうまくやる」とか、「こんないいネタを日本でやればさらによくなる」「やる価値がある」との野心があってしかるべきである。

40点
登場人物がおバカさんばかり

アメリカは巨大な国なので、「アメリカ」と一緒くたにして語るのは本来あまり意味がない。景気一つとっても、極端にいいところと自治体が破産するようなところがまだら模様に存在している。ハリウッドは好調でもシカゴは死にかけ。そんな容赦ない落差の国というのが本質である。

警察官のジョン(チャニング・テイタム)は大統領(ジェイミー・フォックス)警護官になるのが夢だがなかなか面接試験に合格できずにいた。そんな折、官邸マニアの娘を連れホワイトハウス見学にやってくるが、テロリストの襲撃を受け離れ離れになってしまう。

さて、そうはいっても米国民の共通認識のようなものもあるわけで、それは「そろそろ国内テロもありうるよね」との予感だったりする。だからホワイトハウス襲撃映画が別会社で同時に作られたりするわけだが、その一つ「エンド・オブ・ホワイトハウス」(13年、米)に比べるとこいつは相当落ちる。

40点
北乃はもっと濡れ場を真面目に演じるべき

長崎や広島を舞台にすると、多くの場合原爆がモチーフというか背景としてでてくるが、それがうまく機能した例を私はあまりみたことがない。

女子大生の清水(北乃きい)は、あるとき最愛の母を突然失う。いざこざを抱えたまま彼氏とのデートを優先したことでぬぐえぬトラウマとなってしまった彼女は、同じように深い心の傷から立ち直れない女性(稲森いずみ)と出会う。彼女は1年前に子供を亡くした悲しみから立ち直る前に、再び妊娠が発覚して精神の平衡を失いつつあった。

谷崎潤一郎賞の連作短編集をベースにした感動ドラマ。

40点
偉業の陰に内助の功

サスペンスの神様ことアルフレッド・ヒッチコック──といっても、下手をすると今の30歳以下の人には何のことやら、と言ったところかもしれない。私たち映画にかかわる人間にとっては文字通り神様のような巨匠、ドラマチックな無冠の帝王だが、はたしてこの2013年にその伝記映画を公開して今の世の人々にどうアピールするつもりなのか。そんなことを考えながら私は試写室に向かった。

イギリス出身の映画監督アルフレッド(アンソニー・ホプキンス)は、ハリウッドでも成功をおさめ、注目の次回作「サイコ」に取り掛かろうとしている。ところが惚れぬいた原作の内容は、映画会社には「残酷すぎる」とダメ出しをされ、肝心の制作費のめどがつかない。おまけに彼の監督作品を陰で支えてきた妻のアルマ(ヘレン・ミレン)は、別の男との共同脚本の仕事に夢中になっている。高まる名声とは裏腹に、彼とその精神はいまや追いつめられているのだった。

今、ヒッチコックの伝記映画を見たい人というのはどんな人たちだろう。冒頭に書いた若い人たちは別として、アラフォー世代以上ならテレビのヒッチコック劇場などに親しんだ機会もあるだろうから「大衆に魅力的な謎とスリルを与え続けた職人監督」の裏話などを期待するだろうか。あるいはその、知られざる天才性とか、すさまじい演出の技とか、そんなものだろうか。

40点
水準以上のテレビドラマ映画ではあるが

たとえテレビ畑の人間だろうが、ひとたび映画で高い評価を受けたからには映画監督としての誇りを持つのは自然なこと。そうした評価を一度でも受けた人間なら、テレビドラマの映画化を依頼されたとしても、そりゃ相当頑張るに違いない。

佐藤祐市監督(「キサラギ」(2007)ほか)の「ストロベリーナイト」を、私はそんな期待感を持って鑑賞した。

男勝りの警部補、姫川玲子(竹内結子)が所属する警視庁捜査一課の管轄内で連続殺人事件がおきた。被害者が暴力団構成員だったことから組織犯罪対策第四課(=広域暴力団対策を任務とする)と捜査会議を開いたものの、荒くれぞろいの四課からは小娘扱いされ疎まれる始末。そんな姫川は、偶然にも犯人を名指しする匿名のタレこみ電話を受ける。だが警察上層部は、その情報に対し不可解な動きを見せるのだった。

40点
素材はいいが、それだけでは不足

ドキュメンタリーが難しいのは、良い素材を撮れば傑作になるとは限らないからである。

その素材を、何をテーマにして編集するか。その作り手の想定するテーマと、観客の興味が一致した時にドキュメンタリーは初めて傑作となる。素材が良くても編集が良くてもそれだけではだめだ。そこに時代性や、世間の求めるものとの幸運な一致があるかないかが大事な要素となって関わってくるのである。

その意味で「ニッポンの嘘〜報道写真家 福島菊次郎90歳〜」は、最後の部分でわずかなズレが生じてしまったなと私は感じた。

40点
意欲的な試みも不協和に終わる

細田守監督の最新作は、おとぎ話のなかにリアルな出産子育ての物語を入れ込むという、極めて意欲的な作品である。

これを監督は、子供たちにとっては楽しいおとぎ話、若者にとっては、子育ての驚きと憧れ、そして親たちには子供の成長を懐かしがれるようにと、全年齢向けにアピールすべく脚本を作り上げた。

だが、それらはもともと混ざり合うことのできない要素であった。また、その試みにアニメーションというジャンルや彼のタッチが適切だったかについても疑問が残る。

40点
マンネリ打破への工夫が裏目

昔、いわゆるシナソバ的なラーメンしかなかった時代、あるラーメン店に連れて行ってもらった。堀切にあるその昭和的な店がまえの店は、今でいう背油チャッチャ系というやつで、初めて食べたときはこんな旨いラーメンがこの世にあるのかと感動したものだ。しかし時が過ぎ、あらゆるアイデアラーメンが出尽くした今、再びそこのラーメンを食べてもノスタルジー以外の感動はない。決して味が衰えたわけではないのだろうが、客の舌が進化してしまう。ティム・バートン監督最新作『ダーク・シャドウ』を見たとき私は、どこかそれに似た感想を得た。

魔女アンジェリーク(エヴァ・グリーン)にによって望まぬヴァンパイアにさせられたバーナバス(ジョニー・デップ)は、ふとしたことから200年ぶりに目覚める。名家だった一族が没落し、屋敷が荒れ果てる惨状を見た彼は、コリンズ家の再建のため奮起する。だが長年のブランクはいかんともしがたく、時代遅れの言動はまわりをときに呆れさせてしまう。

「唯一の財産は家族」をモットーにする一族の再建物語。これもまた、家族マンセーの不況アメリカらしい安直企画である。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  11. 11
  12. 12
  13. 13
  14. 14
  15. 15
  16. 16
  17. 17
  18. 18
  19. 19
  20. 20
  21. 21
  22. 22
  23. 23
  24. 24
  25. 25
  26. 26
  27. 27
  28. 28
  29. 29
  30. 30
  31. 31
  32. 32
  33. 33
  34. 34
  35. 35
  36. 36
  37. 37
  38. 38
  39. 39
  40. 40
  41. 41
  42. 42
  43. 43