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2121件中 1551~1600件 を表示しています。
50点
ケイト・ウィンスレットの妊婦姿は特殊メーク無しだと思う

第2次世界大戦中のイギリスを舞台にした、軍事サスペンス映画。

前半は会話ばかりで軍事用語に疎い人などには退屈かもしれないが、後半には見せ場の暗号解読シーンがあり、ダイナミックな演出によってエンタ性も高まる。ただ全体としてみると、物語に抑揚がない点は、少々不満の残るところ。

当時の雰囲気を再現した美術は見事で、クラシックな車同士によるカーチェイスまである。ノロノロした動きがまた、ノスタルジックを感じさせる。スピードは遅いが、緊迫感はなかなかのもの。

50点
田舎の方言がいい味を出している、のどかなサスペンス

警官が、ある日起きたら拳銃をなくしたことに気づき、捜索を始めるという中国映画。

なんか、アメリカ人が大都市を舞台に作りそうなストーリーだ。だが、この映画は中国映画だし、舞台はのどかな田舎である。このアンバランス加減は、口では説明しようのない不思議感覚だ。

で、主人公の警官は、昨日出席した村の結婚式の会場に落としたのかと探しにいったり、村人(全員知り合い)に聞きまわったりする。

50点
孤高のデザイナーとしての存在が際立つドキュメンタリー

ファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニを1年間追ったドキュメンタリー。

一言で言えば、ファッション通信拡大版といったところ。オシャレな音楽や、絵作りもなんだか似ている。あの番組が好きな人なら、それなりに楽しめるだろう。

アルマーニの普段の生活や考え方、どんな交友関係があるのかなどが、わかるようになっておりファッション業界に興味ある方には、とくに楽しめる内容になっている。

45点
無理な設定をうまくカバーしてくれないと

思わずタイトル買いしてしまいそうな目を引く題名だが、肝心のその理由を納得させることができなかったため、最後まで乗り切れずに終わってしまった。

バラエティー番組の放送作家・三村修治(織田裕二)は、末期のすい臓がんで余命半年と宣告されしまう。持ち前のテレビマン精神で、人生の最期をこそ明るく演出したいと考えた修治は、残された家族のため自分の代わりによき夫、よき父となってくれる男を探し始める。

不幸でさえエンタテイメントに変える、変えたい。そういうテレビマンならではの理由付けはギリギリ納得できなくもない。だがそのために浮気の狂言までするのはやりすぎというものだ。

45点
タワーマンション住民間の格差とは

タワーマンション在住といえば聞こえはいいが、じつは住民の間では上層階と低層階で明らかな格差問題が存在する。上の住民は下々の人々を見下し、ありとあらゆる場で低層階住民は劣等感にさいなまれることになる。その見えざる人間関係のドロドロが究極にエスカレートしたら……? 映画「ハイ・ライズ」は、そんなタワマンの悲劇をシニカルに描いた社会派の寓話的ドラマである。

ロンドン郊外にそびえたつタワーマンションの一群。その一つの中層階に越してきた独身医師のラング(トム・ヒドルストン)は、さっそく住民のパーティーに誘われる。だがそんな華やかな暮らしの陰に、住民間で軋轢が生じていることに気付く。生活のあちこちでいざこざが起き、やがてその不満の臨界点を超す日がやってくる。

日本では偶然、同テーマのテレビドラマの放映も予定されていることもあって、これは現代の物語だと思う人がほとんどだろうが実は違う。J・G・バラードの原作は40年以上も前に発表されたものであり、映画もその時代を舞台にしている。

45点
監督の急死が悔やまれる

前作「シンドバッド 空とぶ姫と秘密の島」を私は、幼児から小学生低学年向けの映画としてはきわめて良質だということで各地でオススメした。本作はその続きにあたるが、今回の出来はイマイチである。3部作の真ん中の宿命といえばその通りだが、1作目を強く推してきた身としては、思わず肩を落とした。

魔法族の姫サナ(声 田辺桃子)たちと共にバハル号で海の旅に出たシンドバッド少年(声 村中知)は、悪神殿とから見知らぬ島へと上陸する。やがて彼らはサナの言葉を頼りに、この島で魔法のランプを探すことになるが……。

少年の独立心と母からの旅立ちを重ね合わせ、腰の重い演出で描いた一作目。だが本作は単なる見せ場の連続といった感じで、よくある単純な子供向けアニメになってしまった。

45点
人物に焦点をあてたドキュメンタリー

「一献の系譜」は、能登を舞台に伝統的酒造りを行う杜氏の世界を、人物に焦点を当てて描くオムニバス形式のドキュメンタリーである。

日本人ならば、日本酒の魅力は多かれ少なかれ知っているものだ。お正月や結婚式には、子供たちでさえ杯を持つくらいはするし、独特の香りは原体験として私たちの鼻腔に残っている。

あらゆるお酒の中でも特別なものである上に、その繊細な味わい、酒造りの職人的側面も興味深い。だからドキュメンタリーの素材としては、多くの人が追いかけたいと思っているはずだ。

45点
序盤がもたつく

興行収入がいいからといって、出来がいいとは限らない。要の東西問わずそれは一つの真実だが、全米オープニング興収歴代ダントツトップをたたき出した「ジュラシック・ワールド」ですら例外ではない。

本物の恐竜を再現したジュラシック・ワールド。若き運営者のクレア(ブライス・ダラス・ハワード)はDNAを操作した新種の肉食恐竜をパークの目玉として作り出すが、飼育員オーウェン(クリス・プラット)は自然の摂理を無視したそんな商業主義に強く反対する。

ダメ作の誉れ高いシリーズの途中作をすっ飛ばして、傑作たる一作目の続きからリブートする。「ターミネーター:新起動/ジェニシス」と同じく、最近流行のやり方だ。

45点
不要な原作改変部分が多い

「土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI」(2014)、「クローズZERO」(2007)などコミック作品の映画化には定評ある三池崇史監督だが、「神さまの言うとおり」では珍しくその腕が鈍った印象である。

高畑瞬(福士蒼汰)が通う高校のクラスで授業中、突然教師の頭が爆発した。その亡骸から登場した謎のダルマは、その場でいきなり「ダルマさん転んだ」を開始。わずかでも動いた生徒たちも次々と爆裂死する。瞬の退屈な日常はその瞬間に終わると同時に、命がけのサバイバルゲームが始まるのだった。

映画版「神さまの言うとおり」には原作からの重要な変更箇所がある。それはいわゆる「小便小僧編」以降の展開で、ここから先は映画オリジナル。結末に至るまでの後半もまるっきり異なる。

45点
意欲作だが失速

アーノルド・シュワルツェネッガーという俳優は昔から、自らの筋肉量に振り回されてきた印象がある。全盛期にはそうしたアクション専門のレッテルを打破するべく、無理やりコメディをやってみたりするが、いまいち乗り切れなかった。

およそ全スポーツの中で、もっとも知識と忍耐力、計画性を問われるであろうボディビルのチャンピオンだった彼にとって、筋肉バカなどと揶揄されるのはたまらないことだったろう。政治家への挑戦もそうした反骨精神が根底にあると思われる。カリフォルニア州知事を経て映画界に復帰した後も、ファンサービスに徹するスタローンとは異なり、新しい挑戦を続けている。

そんな彼が選んだ「サボタージュ」は、なるほど過去の出演作とはずいぶん異なる、相当な異色作であった。

45点
コンセプトが不明瞭

未来の記憶を持ったまま過去にいけば、それはほとんど万能感に近いものがあるだろう。そんな逆ドラえもんとでもいうべき設定の物語はいくつもあるが、「幕末高校生」は、幕末の江戸時代にタイムスリップする歴史SFである。

1868年の江戸にタイムスリップしてしまった高校歴史教師の未香子(石原さとみ)と3人の生徒たち。彼女は勝海舟(玉木宏)と出会うが、毎日することもなさそうに、のほほんとした彼からは危機感がまったく感じられない。歴史上、新政府軍による江戸総攻撃が間近に迫っていると知る未香子は、無血開城のカギとなる勝のそんな能天気さにやがて不安を感じ始める。

どうもいろいろとずれを感じる企画である。あんなにかわいらしい歴史教師を出していながら色気ゼロ。ということは、ようするに男性よりも歴女向けということなのだろうが、かといって男性キャラにさほど魅力的な人物が配されているわけでもなく。

45点
映画らしさがほしいところ

映画とテレビの違い。それをすっきり説明するのは難しい。映像作品という点では同じであり、アメリカと違って日本の場合は出ている役者もほぼ同じだ。だが両者を並べると、やはりどこか違いがあるわけである。

東城医大の田口(伊藤淳史)と厚生労働省の白鳥(仲村トオル)も参加する、日本初のオートプシー・イメージング(Ai)センター発足プロジェクト。それは死因究明を巨大なMRI「リヴァイアサン」の画像などから、これまでにない精度で行うというものだった。ところがそのオープンに合わせ、センターを標的とする犯行予告が届き、関係者は騒然となる。

竹内結子と阿部寛共演の映画版から始まった海堂尊原作の医療ミステリドラマだが、こちらは2作品つくられた映画版とは異なり、同時進行で人気を博したテレビドラマ版の映画化となる。

45点
どうシリーズの個性を出していくか

大勢のヒーローが世界観を共有するマーベル・シネマティック・ユニバースも8作目。ようやくヒーローも出そろった感があるが、一番強いはずのソーが、一番パッとしない印象なのはなぜなのか。

アベンジャーズとして活躍、地球の危機を救ったソー(クリス・ヘムズワース)。あれから1年、今度はロンドンで謎の重力異常が起き、調査に行った恋人の物理学者ジェーン(ナタリー・ポートマン)の身にある事故が起きてしまう。彼女を救うため、ソーは自分の世界であるアスガルドへ連れていくが、その軽率な行動がアスガルドに壊滅的な危機をもたらしてしまう。

北欧神話でハンマー片手に勇ましく立つ戦神トールをモデルとするソーは、このアメコミ設定でも最強の戦神として圧倒的な戦闘力を誇る。演じるクリス・ヘムズワースの肉体もいままさに全盛期で、丸みを帯びた大胸筋に甘いマスクは、マッチョ好き女性の理想形といえるだろう。

45点
日韓合作の良いところも悪いところも

韓流熱は急速に冷え込み、政治家は挑発を繰り返す。かつて無いほどギスギスしている日韓関係だが、映画会は何のその。サントリーミステリー大賞読者賞を受賞した司城志朗のサイエンスミステリ小説『ゲノムハザード』の映画化は、日韓合作、それも企画から配給まで密接に共同作業を行う密着型で製作された。

石神武人(西島秀俊)は帰宅した自室で妻の死体を発見する。ところがそこで鳴った受話器をとると、何も変わらない妻の声が聞こえてくる。混乱する彼のもとに、怪しげな男たちが現れる。危険を察知して逃げる石神は、目の前にいた韓国人女性ジウォン(キム・ヒョジン)の車に乗り込み逃走を図るのだった。

何かの理由で記憶がおかしくなった男の、自分を取り戻す戦いを描くサスペンス。

45点
監督交代でパワーダウン

アメリカ映画において、シリーズものの途中で監督が替わるのはよくあること。一作目を大御所が軌道にのせ、離陸したシリーズを新人や中堅に任せるのは王道でもある。そうして様々なリソースを節約しつつ、人材も育てながら最大限の効果をあげるというわけだ。

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(10年、米)の続編である本作もそんなひとつ。はたして吉と出るか凶と出るか。

海神ポセイドンと人間のハーフであるパーシー(ローガン・ラーマン)は、完全なる安全地帯であるはずのハーフ訓練所で結界を破った怪物に襲われる。原因は結界を守る大木が敵の策謀により枯れ始めていること。大木復活のために「黄金の毛皮」が必要だと知ったパーシーとアナベス(アレクサンドラ・ダダリオ)、グローバー(ブランドン・T・ジャクソン)らは魔の海へと旅立つことにしたが、そこに意外な人物が同行を申し出てくる。

45点
お下劣テディベア

全世界の子供たちに愛されるテディベア。あの、もふもふの可愛らしいぬいぐるみとおしゃべりできたらどんなに幸せだろう……。そんな子供たちのささやかな夢が実現する「テッド」は、しかしブラックジョークたっぷりの、決して夢見る子供たちには見せられないきつい一本だ。

少年時代に奇跡が起こり、大好きなぬいぐるみのテディ(声:セス・マクファーレン)と文字通りの親友になれたジョン(マーク・ウォールバーグ)。だが、片時も離れず27年経った今では、テディは不良中年と化し、ジョンも引きずられてダメ人間に成り下がっていた。

持ち主もテディベアも中年になり、毒舌お下品なやりとりを繰り広げる。見た目のかわいらしさとしゃべりのアンバランスに、おもわず顔をしかめながらも笑ってしまう、インパクト抜群のコメディ映画だ。

45点
男女で評価が分かれるスリリングな女性映画

いまは世界中が不安定な時代である。こういうときにはそこに生きる人間も不安になるのか、最近はメンヘラ女子などという言葉まで生まれるほど、精神的に病んだ人々が増えている。「テイク・ディス・ワルツ」は、そうした気質の女の子の悩みや行動原理を、極めてリアルに描いた珍しい映画。理解するためには、現代的な感性が必要となる作品である。

フリーライターのマーゴ(ミシェル・ウィリアムズ)は、取材先でダニエル(ルーク・カービー)という青年に出会う。自分の心を的確に言い当てる彼に好意を持った彼女は、タクシー相乗りで帰宅しようとするが、驚くべきことにダニエルは向かいの家に住む隣人だった。結婚5年目のルー(セス・ローゲン)とは変わらず仲良しだったが、その日以来マーゴの心はさざ波に揺れ始める。

映画の前半は、ごく普通の恋愛ドラマのように進行する。取材先で出会った男の子と偶然隣人だったというロマンチックな展開。夫がいながら新しい男にひかれていくさまが、スリリングに描かれる。

45点
不況時代にはこういうものが受ける

最近アメリカでは、家族の絆を描いた映画が大人気である。ここまで国民にカネがなくなると、無条件で賛美できて誰でも簡単に手に入れることのできる、もしくはすでに持っている家族を賛美しておくのが一番無難。家がなくなっても金がなくなっても家族さえいれば幸せ。そうした主張は、貧乏人の不満をそらしたい金持ちにとっても、家族以外に何も持ち物がなくなってしまった貧乏人にとっても、どちらにとっても都合がいい。結果、そうしたテーマの企画ばかり、グリーンライトをともされる。マーケティングの鬼であるアメリカ映画業界を見ていれば、あの国の本質が透けて見える。そろそろ投資しているみなさんは要注意、である。

由緒ある原住民の末裔としてハワイで暮らすマット(ジョージ・クルーニー)は、こん睡状態で眠り続ける妻が浮気していたことを知りショックを受ける。さらに彼は、先祖から託された土地をどこに売るかという大問題も早急に解決しなくてはならなかった。

主人公が不幸な出来事に直面し、そこから立ち直るため、現代アメリカ人・不動のよりどころたる「家族の絆」に立ち返る物語。舞台がハワイの上流階級の話であるといった以外は取り立てて何の変哲もない話である。

45点
パワーダウン続編

前作「タイタンの戦い」(10年)は、なかなかいい映画だったが3D版がイマイチという弱点があった。もっとも3Dは鑑賞する劇場や席の位置によって印象が大きく変わるもの。そこで今回私は、なるべく良い視聴環境で試してみようとこの続編を都内のIMAX 3D劇場で鑑賞してみた。

全能の神ゼウス(リーアム・ニーソン)と人間の間に生まれた半神の勇者ペルセウス(サム・ワーシントン)は、怪物クラーケンを倒したのち、一人息子と穏やかな日常を送っていた。だがそこにゼウスが現れ、現在天上界のパワーバランスが崩れ、ゼウスらが封じ込めていたクロノスの復活が近いと告げる。人間として、息子と平和な日々を過ごしたいペルセウスはゼウスからの援軍の頼みを断るが、それが取り返しのつかぬ悲劇を招いてしまう。

この映画は冒頭のキメラ戦、クライマックスのクロノス戦ともに重要な戦いの見せ場が昼間の屋外におけるシーンなので、林立するデジタル3Dの中でももっとも画面が明るいとされるIMAX 3Dが適しているだろうと思って鑑賞したのだが、その期待は空振りに終わった。

45点
サッチャーの素顔に迫る

イギリス労働者階級にとって、賃金低下と格差の拡大をもたらした新自由主義は不倶戴天の敵、その評価はボロボロである。その強力な推進者であったマーガレット・サッチャー元首相もまた然り。

しかし、この人物が良くも悪くも世界中に影響を与えた20世紀を代表する大政治家のひとりであることに変わりはない。

だから、彼女を好意的に描いた「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」のような作品ができたとしても、それはそれで形になる。そこが薄味の政治家しかいない日本に住む身としては少々うらやましい。

45点
≪タイトルは爆笑だが≫

「ジョニー・イングリッシュ」(03年、英)の続編である本作には、「気休めの報酬」とのサブタイトルがついている。007シリーズのファンであれば思わずくすっと笑ってしまうであろう。題名ひとつで笑わせてくれるとは、とりあえず掴みはオッケー、である。

かつてイギリスのピンチを救ったイングリッシュ(ローワン・アトキンソン)だが、今では手ひどい失敗がもとでチベットの僧院に引っ込んでいた。そんな彼の前に再びMI7の指令が下る。イングリッシュに託されたのは、英中会談を控えた中国首相の暗殺計画阻止。久々の大仕事に奮起するイングリッシュだったが、案の定、やることなすことすべてが裏目。大事な任務をことごとく失敗し、場を混乱させるばかりという始末であった。

前作同様、ローワン・アトキンソン得意の身体を張ったギャグの数々が楽しめる。ミスター・ビーン役で彼のファンになった人にとっては、そのコミカルな動きをたっぷり味わえる。

45点
こんなにもしっかりしているのに、映画としては足りていない

NHKにしてはちょっぴりセクシーだった話題のドラマの映画版『セカンドバージン』のあまりの無難な仕上がりを見て私は、日本の芸能界の相変わらずの志の低さに失望した。これだから日本の映画はダメなのだ。こんな生ぬるい出来ではまるで、邦画を見る人は高いお金を払ってがっかりしに行くようなものではないか。なおこの段落の文章について、鈴木京香の裸が見られなかったから書いているわけでは決してない事を最初に申し上げておく。

出版業界で名を知られたキャリアウーマンのるい(鈴木京香)は、かつて燃え上がるような不倫愛の相手だったが5年間も音信不通になっていたコウ(長谷川博己)をマレーシアで発見する。思わず追いかけたるいの目前で、コウはマフィアの銃弾に倒れる。外界と隔絶されたかのような森の中の病室で孤独な看病を続けるるいは、二人の出会いから回想をはじめる……。

ドラマの総集編というわけではないが、続編でもない。すでに本編ではコウとるいの運命は決しているが、二人の最後の数日間を改めて丁寧に描きなおした形の脚本である。よって、ドラマ未見の人はおことわり。かといって見ていれば無条件で楽しめるかというとそうでもない、なんとも地味なコンセプトである。

45点
≪少子化対策によい映画≫

映画におけるキャスティングはもちろん重要で、ときにはそこから企画が始まることもある。ハリウッドなどでは出資者を説得するための、企画者にとっての最大の武器でもある。

泣けるギャグ漫画と評判の西原理恵子の代表作の実写化『毎日かあさん』は、そのキャスティング面において、群を抜く話題性を誇る作品といえる。

漫画家で二児の母でのあるサイバラリエコ(小泉今日子)は、6歳の息子や4歳の娘に振り回され、大忙しの毎日を送っている。戦場カメラマンの夫カモシダ(永瀬正敏)はアルコール依存症でろくに仕事もせず、さらに悩みを大きくさせる存在。しかも彼の病状は悪化の一途をたどっていた。

45点
≪行ってくだちい≫

結論から言う。『GANTZ』は奥浩哉の同名大ヒットコミックの、満を持しての実写映画化だが、相変わらずの邦画のダメっぷりが表れた残念賞である。ただし、希望はある。

就活中の大学生、玄野計(二宮和也)は、幼なじみの加藤勝(松山ケンイチ)と地下鉄のホームで偶然再会する。その後、ホームに落下した男を成り行きで助けようとした二人は、運悪く突入してきた列車にはねられてしまう。ところが次の瞬間、二人は天国ではなく、どこかのマンションの一室に"転送"されていた。

さて、その部屋にはどうやら同じようにどこかで命を落とした連中が次々と集まってくる。部屋の奥には、正体不明の真っ黒で巨大な球体が鎮座している。このシュールな冒頭から、予測できない命がけのサバイバルドラマが開始される。謎だらけの世界設定が魅力のSFアクションドラマである。

45点
≪苦労がうかがえるが、これで満足しろというのは厳しい≫

『踊る大捜査線 THE MOVIE』のような特別なブロックバスターは、いわば邦画ビジネスの頂点に位置する存在としてあらゆる人々の目を「映画」に向ける重要な役割を担っている。これをきっかけに人々は久々に映画館へと足を運び、そこでさまざまな宣材、予告編、あるいは映画館独特のムードに触れる。そして「次はあれを見に行ってみるか」と感じてくれるのである。そうやってビジネスの裾野が広がる。この流れはどこの国でも同じだ。

だからこの映画を作るスタッフは、きっと大きなプレッシャーを感じていたはずである。ましてこのシリーズは前2作とも100億円という、現在の景況では達成が極めて困難な興行収入を易々と記録している。今回も、そのラインを下回ることはまず許されない雰囲気だ。

チャンピオンだからこその苦悩。その上、邦画界の未来まで背負わされるのでは、たまったものではないかもしれない。

45点
平凡な時代劇だが、庶民を安心させるにはちょうどいい

いまは皆が苦しい時代である。ろくな仕事はなく、結婚も出来ない。ブログを書けば暇人に荒らされ、つぶやきを書き込んでもだれもフォローしてくれない。人々は時代のせいだという。いまの世の中が悪いのだ、と。

そんな庶民の不満はやがて、「昔は良かった(はず)」との思考へ短絡的につながり、「俺が子供のころは……」「いや戦前の日本は……」「いやいや江戸時代の武士道ってのは」と、どんどんさかのぼって見たこともない時代を美化し、憧れの対象とする。

もちろん、苦しいのは今の時代だけでなく、バブル期も江戸時代もみなそれなりに苦しかったに違いない。倫理と道徳と博愛に満ちた理想的な時代など一度も、世界のどこにもありはしなかっただろう。

45点
カラヴァッジョの全集などとぜひ一緒に

休み時間のたびに女の子と図書室へ行って美術全集を眺めるという、奇妙な高校時代をすごした私であるが、そのとき本の中でひとり異彩を放つ画家がいた。素人目にもわかる、その異様な迫力は長く心に焼き付いていたが、いうまでもなくそれこそが、現在ブームでもあるカラヴァッジョであった。

16世紀のイタリア。若くしてあふれる才能をもてあましていたカラヴァッジョ(アレッシオ・ボーニ)は、パトロンのコロンナ侯爵夫人(エレナ・ソフィア・リッチ)の支えで本場のローマへと向かう。のちに親友となるマリオ(パオロ・ブリグリア)や、愛を交し合う娼婦フィリデ(クレール・ケーム)と出会い、次々と作品を生み出していくが、気性の激しさからやがて致命的なトラブルを起こしてしまう。

映画が始まって驚くのは、この映画がまさにカラヴァッジョ的な、明暗の差が激しい絵作りをしていること。撮影地となったヨーロッパには古い建物が多数残っていることもあって、こういう絵画のような映画をさらりとつくってのけてしまう。うらやましい限りだ。

45点
多国籍スタッフによるが、中身はいかにも日本的

3DCGアニメーションというものは、本来映画作りのフォーマットの一つに過ぎないはずだった。ところがピクサーという会社が、その分野であまりに凄いものを連発してしまったために、逆に後発のクリエイターから自由を奪ってしまったのではないかと私は考えている。

ペンギンの着ぐるみをかぶっての夜のお散歩が大好きな少女ココ(声:森迫永依)。ある夜、散歩中に奇妙なフィギュアと遭遇した彼女は、それに導かれゴブリンの世界へと連れて行かれる。そこで彼女は世界を救う勇者と間違われ、村人を悩ますある存在について相談を受けることに。

『よなよなペンギン』は、日本アニメ界の重鎮りんたろう監督による3D作品だが、何とかピクサーとの違いを打ち出そうとしているような印象を受ける。あえて省略幅を増やした動きとか、無生物的な質感であるとか、その大胆なチャレンジは随所に見られる。

45点
30日間逃げ場なし!

吸血鬼が日光に弱いというのは、今では広辞苑に載ってもいいほどの常識。しかしよく考えてみると、この地球の地軸は傾いているため、地域によっては一日中まったく日が昇らないケースが存在する。それは白夜の反対=極夜といって、主に極圏で見られる現象。つまり、ここにこそ吸血鬼たちの安全地帯があったというわけだ。

北米最北端、アラスカ州のバロウが極夜を迎えた。町の人々は30日間も続く闇夜に備え、準備を怠らない。ところがその初日、貴重な労働力でもある犬たちが何者かに惨殺される。続いて停電、通信の遮断が巻き起こり、この地区は外部から孤立。保安官のエバン(ジョシュ・ハートネット)とステラ(メリッサ・ジョージ)は異変の解明に駆け回るが、事態は彼らの想像を超えた最悪のものだった。

気づいたときにはときすでに遅し。吸血鬼たちはひさびさのご馳走にありつこうと、時間無制限食べ放題タイムを、てぐすね引いて待っていたのだ。かくして、町の人々の、30日間にわたるサバイバルが始まった。

45点
本格社会派作品を期待してはいけない

オリバー・ストーン監督のスケジュールに急遽空きが発生したため、オバマ就任100日少々というこんなに早い時期に、前大統領の伝記映画が登場する面白い状況が生まれた。だが、急ぎ作ったとは思えない安定したクォリティは、さすが名うての社会派監督だ。

名門ブッシュ家の息子W(ジョシュ・ブローリン)は、政治家の父ジョージ(ジェームズ・クロムウェル)と有能な弟の間に挟まれ、裕福ながら悩み多き青春時代を過ごしていた。野球の仕事がしたいと密かに考えていた彼は、父親の紹介による石油採掘の仕事もすぐに放り投げてしまう。そんなとき、Wは父から大統領選の手伝いをしてくれと頼まれ心動かされる。

ブッシュ前大統領が映画界で扱われるときは、たいていバカにされるか、強烈な批判にさらされるかのいずれかだ。ところが本作に、そうしたあからさまな反ブッシュ色はない。オリバー・ストーンは有名なアンチ・ブッシュ派だから、これは意外であった。

45点
上映時間4時間の純愛叙事詩&パンチラ

「自殺サークル」(02年)、「紀子の食卓」(05年)など、作家性を"むきだし"にする作品群で知られる園子温(そのしおん)監督の最新作は、上映時間237分、タイトルが出るのが開始1時間後という、これまたとんでもない純愛エンタテイメントであった。

母を早くに亡くし、神父の父(渡部篤郎)と暮らすユウ(西島隆弘)。ところが、ある事件によって温厚な性格を一変させた父は、ユウを虐待しはじめる。教会での懺悔を日々強要されるようになったユウは、いつしか父親に告白するための"罪"をつくるため、わざと女性の股間の盗撮を繰り返すようになる。

この4時間のドラマには、様々なテーマというか要素が盛り込まれる。父と子の、というより親と子の愛情。その不足が引き起こす異常。宗教と癒し、そして愛。

45点
西田敏行がハリウッドデビュー

『ラーメンガール』は、西田敏行のハリウッドデビュー作品だが、その使い方を完全に間違っているなど、作り手の認識不足があらゆる面で目立つ。

恋人を追いかけ日本にやってきたアビー(ブリタニー・マーフィ)。ところが肝心の彼氏はそんなアビーがウザったくて、あっさり振ってしまう。途方にくれたアビーは、赤提灯に誘われるように目の前の薄汚いラーメン店に入る。ところがそのラーメンのあまりの美味しさに感激、言葉がまったく通じないのに翌日から無理やり弟子入りする。ガンコにもほどがある店主(西田敏行)の理不尽なシゴキにも耐え、彼女は必死に修行に励むのだが……。

西田敏行の小技が冴え渡り、彼がボヤクだけで場内は大笑。ところがこの監督はそんな西田の持ち味を生かすことができず、彼の生来持つ好感度を下げるようなことばかりする。西田演じるガンコ店主は、ヒロインが思わず訴えるとおり「虐待」の限りを尽くし、何の説得力もないイジメのような修行をおしつける。

45点
学徒出陣前、最後の早慶戦を感動の映画化

日本人にとって夏とくれば野球、あるいは戦争。両方一緒ならなおさらということで、学徒出陣により夢をくじかれた大学球児の実話が映画化された。

戦況悪化の1943年、敵性スポーツとみなされた六大学野球連盟は解散、中止となる。徴兵猶予も停止され、いよいよ日本は学徒出陣に追い込まれる。死地に赴く部員たちを思いやる慶應義塾の小泉塾長(石坂浩二)は、早稲田大学野球部・飛田(柄本明)に最後の早慶戦を申し入れるが、早大学長の田中(藤田まこと)の猛反対にあう。

戦争と不運な時代に翻弄される野球大好き純粋少年たちの悲劇、というやつだ。たっぷりのお涙頂戴をまぶし、感動的に作ってある。

45点
この映画の題名を紹介することはできません

この映画のタイトルは、主にアメリカを中心とした英語圏では最も低俗とされる4文字言葉で、公の場では通常口にするのもはばかられる。日本にも(主に差別に関するワードを中心とした)放送禁止用語なるものがありマスコミはその表記を自粛するが、それに近いものといえるだろう。

ただし決定的に違うのは、「Fuck」は使い方によって正反対の意味にもなる、すなわち他人を侮蔑する攻撃的な意図から単なる悪態、ギャグにまで姿を変えるという事。その幅広さ、オールマイティー性を含めた的確な訳語というと、なかなか思いつかない。

映画『FUCK』は、そんな不思議でお下劣な単語に関するドキュメンタリー。その語源、用法から実際の用例まで、あらゆる事例を打ち並べ、大勢の識者にインタビューした力作である。ハリウッド映画で初めて使ったのは70年の『M★A★S★H』だとか、過激アニメ『サウスパーク/無修正映画版』(99年)では227回も使っているとか、まったくもってどうでもいい知識が豊富に得られる。

45点
ゾンビ映画の名作が立体映画になった……ん?

日本と違ってアメリカでは、立体映画というジャンルが市民権を得ている。家族と、友達と、映画館で大いに盛り上がる習慣が根付いているあちらでは、手軽なエンタテイメントのひとつとして認識されている。本作はゾンビ映画のパイオニア的名作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を3Dでリメイクした正統派ホラーだ。

叔母の葬儀のため墓地を訪れた兄妹は、なぜか人っ子一人いない状況に困惑する。とりあえず教会に向かおうと話し合っていた刹那、彼らは生ける屍に襲われる。すんでのところで逃げ出した妹は、途中でバイクにのった若者に救われ、彼の友人一家の家へと避難する。

オリジナル版に比肩するほどの低予算作品であり、この規模で立体映画を作ること自体、いかにもアメリカ的といえる。ホラー映画史に残るあの傑作を、なぜこんなチンケな形でリメイクしたのかといえば、結局のところオリジナルの著作権が期限切れになっているからに他ならない。なにしろネット上でDVD用の高画質版が誰でもダウンロードできるようになっているくらいなのだから、(確実に巻き起こるロメロファンからの非難さえ恐れなければ)こんな企画を実現させることだって容易だろう。

45点
ハイテンションな阿部サダヲが見所

『さくらん』で蜷川実花監督が江戸吉原・花魁の世界を華々しく描いたかと思えば、ハリウッド映画『SAYURI』ではチャン・ツィイーが京都の舞妓を演じた。そして今回は宮藤官九郎脚本で同じく舞妓をテーマにした娯楽映画が作られる。最近は伝統的な女性の様式美が人気のようだ。

東京の食品会社に勤めるサラリーマン、鬼塚(阿部サダヲ) は、自他共に認める舞妓オタク。彼女(柴咲コウ)そっちのけでマニアックなファンサイトを運営していた。彼は、給料の多くが頻繁な京都通いの交通費で消えるほどだったが、ある日自分の掲示板で何者かに、"実際は一度も茶屋遊びをしたことがない"事を見抜かれてしまう。

「舞妓と野球拳がしたい」との壮大な夢を持つ鬼塚はここで一念発起、お座敷の常連である自社の社長(伊東四朗)に認めてもらい茶屋に連れて行ってもらうため、インスタントラーメンの新商品開発に命を懸ける。

45点
ヘンな一家の話に2時間ひきつけた監督の手腕は評価したい

たとえ演技力に難がある女優であっても、日本語のわからない観客からなら絶賛を受ける可能性がある。だから、海外の映画祭に狙いを定めた『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』のような映画に佐藤江梨子が主演することは、戦略的視点からみて正しい。

北陸の山間部、うだるような暑さの山村。ここで暮らす和合家の父母が同時に事故で亡くなり、東京で女優をやっている澄伽(佐藤江梨子)が戻ってきた。澄伽は才能も仕事も無いくせに、「自分は他人と違う」と思い込んでいる自意識過剰女。和合家についた彼女は、かつて自分の乱れた生活をネタにしたホラーマンガを描き発表するという、澄伽が村にいられなくなった原因を作った妹(佐津川愛美)に、案の定強烈なイジメを開始するのだった。

この映画に出てくる登場人物は、おしなべて変な人間ばかり。勘違いきわまるヒロインはもとより、彼女を観察してマンガのネタにする妹。なぜかヒロインに頭の上がらない兄と、肉体関係の無いその妻。思わせぶりな設定が冒頭から連発し、観客は興味をそそられる。

45点
監督の入れ込みようにドン引き

ロバート・F・ケネディといえば、兄のJFK政権時代にはキューバ危機の解決や数々の犯罪対策に手腕をふるい、大統領選の民主党有力候補として市民の期待を集めていたさなかに暗殺された悲劇の政治家。移民や被差別人種ら弱きものたちの英雄として、今でも絶大な人気を誇る。

そんな彼の暗殺事件は、同時期のジョン・F・ケネディやマーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺事件とともに、一種のトラウマとして米国民の間にくすぶっている。『ボビー』はそうしたアメリカ人の心の琴線を刺激するアンサンブルドラマだ。

68年6月5日。ボビーことロバート・F・ケネディが暗殺される16時間前。彼が倒れることになるアンバサダーホテルには様々な人々が集まっていた。引退した元ドアマン(アンソニー・ホプキンス)はかつての同僚とチェスを楽しみ、若い花嫁(リンジー・ローハン)とその結婚相手(イライジャ・ウッド)は何やら特殊な事情を抱えている。ボビーの前座で歌う予定の人気歌手(デミ・ムーア)はホテルの美容師(シャロン・ストーン)に、スターとしての孤独を語る。人種も年齢も立場もまったく違う22人の登場人物がそれぞれのドラマを繰り広げる中、やがてホテルにボビーがやってくる。

45点
難易度の高い技に挑戦はしたが

『スターフィッシュホテル』は、いくつかの意欲的なチャレンジを行った個性的なドラマだ。すでに海外のいくつかの映画祭では高評価も得ている。在日英国人の監督と、同じく外国人撮影監督によるちょっと変わった日本の風景にも注目。

佐藤浩市演じるサラリーマンは、設計事務所で働く妻と二人、なんら生活に不自由することなく優雅に暮らしている。妻とは熱烈に愛し合っている風ではないが、それなりに安定した関係を保っているように見える。彼の趣味はある作家のミステリー小説を読むことであったが、最近よく見る悪夢はそのせいだと妻に揶揄される始末であった。そんなある日、突然妻が失踪し、主人公は残された彼女のバッグからある探偵社の名刺を発見する。

この映画を一言で説明するのは難しい。ミステリ的な失踪事件の謎解きを軸としつつ、夫自ら妻の行方を捜索するくだりはハードボイルド的。主人公が悪夢に悩まされ、現実との境界があいまいになっていく展開は不条理なダークファンタジーともいえる。

45点
VFXと妻夫木聡と柴咲コウを見る映画、ではあるが

「どろろ」は根強いファンを持つ手塚治虫の同名原作を、20億円という邦画としては巨額の予算をかけ、VFXの見せ場たっぷりで作られた妖怪アクション映画だ。大作だけに妻夫木聡&柴咲コウという金看板二枚を主演に据える万全の体勢。ヒットしてくれないと困りますよ、というわけだ。

どこか日本の戦国時代を思わせる異世界、野心あふれる武将、醍醐景光(中井貴一)は天下取りの力と引き換えに、我が子の体を幾多の魔物へと差し出す。やがて48の部位を失って生まれてきた赤ん坊は、そのまま川に捨てられてしまうが、心優しい医者の秘術により人工の体で補完され、やがて立派な青年百鬼丸(妻夫木聡)へと成長する。

さて、そんな悲しい出生をもつこのヒーローは、一体の魔物を倒すたび、失われた自分の肉体をひとつ取り戻すことができる。やがて、両腕に仕込まれた無銘刀で戦う百鬼丸の姿を見たコソ泥のどろろ(柴咲コウ)は、その刀に見惚れて無理やり同行することにする。この二人の奇妙な道中が物語のメインロードとなる。

45点
万人向けではないが好きな人はたまらない、メキシカンプロレスコメディ

皆さんは、フライ・トルメンタというメキシコのプロレスラーをご存知だろうか。のちに暴風神父とあだ名されるこの人物は、小さいころひどい境遇に育った。やがて彼は、自分のような不幸な非行少年を少しでも減らそうと神父になった。積極的に孤児たちを受け入れた彼は、資金不足で多くの少年たちに貧乏暮らしを強いている今の生活を何とかしようと、すでに中年だったにもかかわらず、ルチャ・リブレ(メキシコの国技的スポーツであるプロレスのこと)の新人覆面レスラーとしてリングに立つ。

全く格闘技の素養がない彼は連戦連破だったが、やがてそうしたエピソードが国民の間に伝わり、相手レスラーもそんな彼を盛り立て、国民的な人気者になる。そして彼は、そのファイトマネーを注ぎ込み、ついに孤児院を建てることができたのだ。

孤児院にファイトマネーを寄付するために戦う、梶原一騎原作漫画のタイガーマスクを地でいくこの神父の物語は、プロレスファンなら誰もが耳にしたことがある実話だが、漫画や映画にもなり、テレビでも扱われるようになって一般の人々の間にも浸透するようになった。そしてこの『ナチョ・リブレ 覆面の神様』も、おそらくこのフライ・トルメンタの物語にヒントを得て作られた作品である。

45点
各エピソードは良いが、構成はいまいち

この映画は、実際におきた心温まるエピソードを映画化したものだ。ターゲットとしては中高年向きで、映画に刺激を求めない、穏やかな気持ちで椅子に座っていたい人々のための作品といえよう。

雪深い東北の山間部の駅、石油ストーブが暖かいオレンジの炎を灯す小さな待合室に、一冊のノートがおかれている。いつしか"命のノート"と名づけられたそれには、旅人たちの悩みや想いがぎっしりと書かれていた。そして、その一つ一つに丁寧な返事を書き続けるのが、駅前で酒屋を営んでいるおばちゃんこと夏井和代(富司純子)だった。

彼女は40数年前にこの地に嫁いできたのだが、その時代の和代を演じるのが寺島しのぶ。いうまでもなく、彼女は富司純子の実娘。本作は、二人にとって映画初の母娘共演ということになる。親子だけに顔は確かに似ているが、あまりにこの二人は女優としてキャラが違い、どう見ても同じ人物を演じているように見えないのが面白い。しかしいずれにせよ、寺島しのぶが近年、目覚しい成長を遂げたおかげで、本作ではたいへん豪華な二大女優の共演を楽しむことが出来る。

45点
話は子供っぽいが、ダンスシーンは鮮やか

『バックダンサーズ!』は、ダンスを踊ることや見ることが好きな、主に10代から20代前半くらいの若者向きの、気軽な青春ドラマだ。元SPEEDのhiro、平山あや、ソニン、サエコの4人が演じるダンスユニットの努力と友情を、ライブ感あふれる映像で描く。

永山耕三監督は、公開中の『東京フレンズ The Movie』の監督でもあるが、この2本はやはり雰囲気が似通っている。(30代以上の方には、ドラマ『東京ラブストーリー』の演出をやった人、といえばなんとなく伝わるだろうか)

夜の街で踊りまくっていたよしか(hiro)とミウ(平山あや)は、ともえ(ソニン)や愛子(サエコ)とともにアイドルのバックダンサーとしてデビューする。しかし、肝心のアイドルが電撃引退し、残された彼女たちは窮地に立たされる。やがて4人は、新米マネージャー(田中圭)の提案で、落ち目のベテラン歌手(陣内孝則)率いるロックバンドと組んでツアー先を回ることにするが。

45点
うどんで2時間超の大作は無理がある

香川県民は一年間で全国平均の2.5倍のうどんを食べる、日本一のうどん好きな人たちだ。彼らが広めた手軽でおいしい讃岐うどんは、いまや全国区のブームを経て、愛すべき庶民の日本食として定着した感もある。

この映画の監督、本広克行も香川県出身であり、だからこそこの最新作は讃岐うどんをテーマにしたのだという。つまり映画『UDON』とは、誰の心にもある故郷を思い出させる食べ物、ソウルフードを描いた作品というわけだ。また、亀山千広プロデューサー+フジテレビ製作という、「踊る大捜査線」シリーズ以来の手堅い布陣で、大ヒットを狙う話題作でもある。

讃岐うどん職人の息子(ユースケ・サンタマリア)は、夢破れてNYから帰国した。渡米による借金返済のため、地元香川のタウン情報誌の記者として働き始めた彼は、編集員(小西真奈美)とともに新連載として地元の隠れ家的うどん店を紹介するコラムをはじめる。これが大受けし、やがて讃岐うどんブームは全国に広がっていくが、それでも昔かたぎの職人である父親との確執は続いていた。

45点
長澤まさみのスタイルの良さは異常

昨年の夏は『タッチ』で、今年は『ラフ』。どちらもあだち充原作の人気漫画の映画化だが、一般的に原作の評価は『ラフ』の方が高いとされる。そんな、大きな期待を引き受ける監督は、『NANA』映画版で、コミックの映像化に優れた手腕を見せつけた大谷健太郎。主演は『タッチ』同様、東宝が誇る映画女優、長澤まさみ19歳。

二ノ宮亜美(長澤まさみ)と大和圭介(速水もこみち)は、それぞれライバル同士だった和菓子屋の家に生まれ、やがて同じ高校に進学した。最初はいがみ合っていた二人だが、やがて打ち解け、惹かれあう。しかし亜美には、仲西弘樹(阿部力)というお兄ちゃん的な幼馴染がいた。それを知った瞬間、競泳選手である圭介にとって、同種目の日本チャンピオンである仲西は、同時に恋のライバルとなったのだった。

物語は、この3人の関係に焦点を絞ったものになっている。大和圭介には、ひそかに思いを寄せる女子高飛び込み日本チャンピオンの同級生(市川由衣)という設定もあるのだが、こちらはほとんど触られもしない。

45点
雰囲気は悪くないが、構成が雑で薄っぺらい

デビュー作『リアル鬼ごっこ』のヒットで知られる山田悠介は、10代に人気のある小説家だ。本作は、彼の同名小説の映画化となる。

久しぶりの同窓会で友人たちと再会した武(三宅健)は、12歳のとき行方不明となった女友達の由美子を探すため、当時の仲間たちに相談する。彼は、由美子がいなくなった原因となった遊び"親指さがし"を、再びやってくれというのだ。たわいもないオカルト遊びだったはずの親指さがしは、由美子を失った彼らにとってトラウマの原因だったが、武の強い懇願により、みな渋々つきあうのだった。

映画『親指さがし』は、アイドルが主演しているからといって、よくある怨霊系お気軽ティーンホラーとはちょっと違う。V6の三宅健は意外にも演技がしっかりしているし、全編とってもシリアスなムードだ。ベーシックな展開と意外なオチを持つ、正統派のミステリードラマでもある。

45点
子供に見せるには最高の映画だが……

『ロード・オブ・ザ・リング』がとてつもない大商いを記録したので、伝統的なファンタジージャンルは大きく見直されるようになった。そして、その原作『指輪物語』とあわせ「3大ファンタジー」などと称される『ナルニア国ものがたり』『ゲド戦記』も、相次いで映画化されることになった。とくにこの『ナルニア国物語』は、ディズニーによって『ロード・オブ・ザ・リング』と同じく実写で映画化されることになり(すでにシリーズ化も視野)、大きな期待を寄せられている。

舞台は第二次大戦下の英国から始まる。ロンドンの親元を離れ、田舎の教授の家に疎開してきた4兄妹が主人公。古く、そして広大な屋敷の中には、空き部屋がいっぱい。そこでかくれんぼをしている最中、末娘のルーシー(ジョージー・ヘンリー)はある空き部屋に巨大な衣装ダンスを見つける。ロングコートでいっぱいのその中へ隠れ、奥へと進んでいくと、その先にはなんと雪に包まれたナルニア国が広がっていた。

かくれんぼや、突然相手の旦那さんが帰宅したときなど、洋服ダンスの中に隠れた経験は誰しもあるかと思うが、あの独特のにおいが伝わってくるかのような、臨場感あふれるオープニングだ。そして、その奥に秘密の入り口があるのではないかという空想も、多くの人々がしたことがあるだろう。じつに夢のあるお話だ。

45点
邦題はマヌケだが、いたってマジメな伝記映画

セックスに関する様々な調査結果をまとめた「キンゼイレポート」で知られる実在の動物学者アルフレッド・キンゼイ博士を描いた伝記映画。

インディアナ大学の動物学の助教授、アルフレッド・キンゼイ(リーアム・ニーソン)は、教え子のクララ(ローラ・リニー)と結婚したが、童貞&処女の二人はうまくセックスすることができない。なんとか専門家の助言でその危機を乗り越えたものの、キンゼイはこの分野の知識がいかに未開拓なものか思い知る事になる。やがて彼は、膨大な数のアメリカ人をインタビューし、性についての徹底調査を行うべきだと考えるようになる。

この作品はいたってマジメな伝記映画であり、ついてはこの邦題はアホとしかいいようのないセンス無きものである。感動のドラマでもなければ恋愛モノでもない、これはキンゼイ博士の人柄と、その偉大な研究を淡々と私たちに教えてくれる映画作品なのである。彼の少年時代からその相当変わった結婚生活、研究における苦労や挫折、希望といったものを丁寧に追っていく。

45点
奥さまは魔女、である必要があまり感じられない

かつての同名人気TVドラマのリメイク。主演はトップ女優ニコール・キッドマン、共演はコメディアンのウィル・フェレル。

落ち目のハリウッド俳優(ウィル・フェレル)のもとに、TVドラマ「奥さまは魔女」のリメイク企画が舞い込んできた。この作品で復活をたくらむ彼は、自分が演じるダーリン役を引き立てるために、言いなりになる新人女優を探していた。そこに、イメージぴったりの女性(ニコール・キッドマン)が現れ、彼は喜んで抜擢する。ところが彼女は、なんと本物の魔女であった……。

このあらすじを見てわかるとおり、リメイクとはいってもオリジナルとはまったく異なる筋書きである。劇中作としてオリジナルのリメイクを作るというメインストーリーを軸に、魔女と一般人の男の恋愛というシリーズの基本設定を踏襲するとは、よく思いついたなあと感心する。

45点
せっかく本物を貸してもらったのだが、生かしきれなかった印象

福井晴敏の人気小説を海上自衛隊全面協力で映画化。「ローレライ」「戦国自衛隊1549」と、今年続々公開されている邦画軍事アクション大作のひとつだ。

あるとき、東京湾沖で訓練航海中のイージス艦が、某国工作員と副長(寺尾聰)ら裏切り者の自衛官との合同チームにのっとられてしまう。艦には沖縄米軍から盗み出した強力な化学兵器がつみこまれ、それを搭載したミサイルは東京各地に標準をあわせてある。日本政府に激震が走る中、犯人らの退避命令に背き、ただ一人艦内に残った先任伍長(真田広之)の孤独な戦いが始まった。

『亡国のイージス』の見所は、本物のイージス艦でのロケや、実物大に近いセットを組んで撮影した艦内での人間ドラマだ。各登場人物については、決して十分に内面描写を尽くしたとはいえないが、なんといっても役者がいいので見ごたえがある。膨大な小説を映画化したことによる人物描写の浅薄化を、よく補っているといえる。

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