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50点
アメリカ人の気持ちを考えて楽しむコメディ

アメリカ人は、コメディ映画が大好きだ。最近の日本人は、純粋なコメディを映画館で見るという習慣があまりないので、ともするとこれが日米映画業界における、最大の相違かもしれない。ちなみにそのアメリカで、コメディ映画史上、興収ナンバー1を取ったものすごい作品がこの『ミート・ザ・ペアレンツ2』だったりする。

ストーリーは前作の続きから始まる。ようやく恋人の父親(ロバート・デ・ニーロ)から結婚の承諾を得た主人公(ベン・スティラー)。しかし、次は自分の両親に、彼女側の家族を引き合わせるという試練が待っていた。

主人公の両親を演じるのが、ダスティン・ホフマン&バーブラ・ストライサンドという、前作に出てきたカノジョ側のお父上を上回る個性派キャラ。この二人はいわゆるユダヤ系ラジカルリベラルというやつで、たとえばお母さんはセックステラピーなんて講座を自宅で開いており、そうした話題(両親の間のセックスライフとか)も家族の間ではまったくタブーなし。さらに父親は、なんと専業主夫。とにかく開放的で反権力という、典型的な自由主義家庭である。

50点
いち労働者の美しい姿を描いたお話

実在のボクサー、ジム・ブラドックの半生を描いた伝記映画。監督、主演は『ビューティフル・マインド』と同じくロン・ハワード&ラッセル・クロウ。

主人公のジム(ラッセル・クロウ)は愛する妻、3人の子供と幸せに暮らしながら、将来を期待されるボクサーだった。ところが拳の負傷から負けが込み、やがてライセンスを剥奪され失業者となってしまう。経済的な困窮から家族はやがて離れ離れになってしまうが、ある日元マネージャーから一夜限りの復帰選の話がくる。強豪ボクサーの相手がおらず、ジムに白羽の矢が立ったのだった。しかしそれは、単にKO経験の無い彼が滅多打ちにされるという筋書きを期待されてのことだった。

さて、しかしそこでジムは一念発起、噛ませ犬どころかそのボクサーを食ってやろうと猛トレーニングを開始する。そしてその意外な試合結果とは……。ボクシングを題材にした非常にマジメな伝記映画だ。144分間かけ、誠実にジム・ブラドックの人生や思想を描いている。

50点
呪いモノは平凡

SF・ホラー作家リチャード・マシスンの名作『渦まく谺』を、「スパイダーマン」「宇宙戦争」の脚本家デヴィッド・コープが監督して映画化。主演は「インビジブル」「ミスティックリバー」などで知られる性格俳優ケビン・ベーコン。

ある配線工(K・ベーコン)は、妻と息子の平凡な3人家族で幸せに暮らしていた。ところがある日、お遊びで受けた催眠術により予知夢や霊魂の存在を感じるように体質が一変してしまう。やがて彼はその能力で、半年前に行方不明となった少女サマンサが、実は何者かに殺されていたことを知る。

「エコーズ」は不思議な映画である。なにしろ本国アメリカでは1999年に公開された作品ということで、なんと6年近くも前の映画なのである。そんな映画をわざわざ公開するからには、相当な傑作なのかと思いきや、どこからどうみても平凡そのものといったホラー映画である。なぜ今これを公開する必要があるのかとまずは思う。

50点
一部のお年寄り向け映画

女性の陰な内情をありのままに描くことで定評のある岩井志麻子の、島清恋愛文学賞受賞作品を映画化したもの。

舞台は大正初期の日本。女学生時代には「自由恋愛を貫こう」と誓い合った生徒たちだが、しかし現実はそう簡単にはいかなかった。とはいえヒロインの明子(長谷川京子)は磐井商会の次男坊・磐井優一郎(豊川悦司)の妻となり、優雅な暮らしを満喫していた。明子はある日同級生であった千鳥(瀬戸カトリーヌ)と再会し、友人だった清子(木村佳乃)が離縁したとのうわさを聞く。同情した彼女は清子を磐井商会で雇ってやろうと重い、面接用の着物まで調達してやる。その無邪気な親切は清子のプライドをいたく傷つけたが、結局その着物を身につけ面接に挑んだ彼女は、その美貌で明子の夫を魅了してしまうのだった。

大正時代、まだ男女関係が保守的な考えに支配されていたころのお話である。「自由恋愛」を誰よりも強く標榜していた主人公が専業主婦になってしまうといところから物語は始まる。このヒロインは無邪気というかのんきというか、不幸な境遇にたっている同級生に対し、おせっかいにも夫の会社を紹介したばかりか、貧乏な彼女に面接用の立派な着物まで貸してしまうのだ。ところがどっこい、その女性はもとが綺麗なものだから、立派な着物なんぞを着た瞬間、女の魅力を最大限発揮、明子はあわれ夫を寝取られてしまう。

50点
二人の子供が登場

人形が殺戮を繰り広げる人気ホラーシリーズの第五弾。監督はこれまでシリーズの脚本を担当していたドン・マンシーニで、前作で生まれたチャッキーの子供を登場させ、シリーズのファンを楽しませる。

英国の見世物小屋で、インチキ腹話術師の道具としてこき使われていた人形(声:ビリー・ボイド)は、TVでハリウッドの都市伝説=チャッキーとティファニーという名の人形による大量殺戮、を知る。チャッキーの腕に自分と同じ文字があるのを見て彼らが自分の両親だと確信した彼は、見世物小屋を脱走してハリウッドに向かうのだった。

シリーズも回を重ねてきて、いよいよコメディに近いものとなってきた。この第5作は、シリーズ中もっともばかばかしく、ふざけていて、品が悪い。映画の冒頭は女性器内を泳ぎ回る精子の映像から始まり、エンドロールもまたじつにえげつない。シリーズを見てきた人たちが楽しめるための仕掛けが随所に見られ、笑えるようになっている。

50点
社会派ドラマとしてはまあまあ、スポーツ感動ものではない

カルフォルニアのリッチモンド高校に実在するバスケットコーチの実話に基づいた教育ドラマ。そのコーチ・カーターを、個性派黒人俳優サミュエル・L・ジャクソンが演じる。

立地する街は治安が悪く、生徒の進学率も悪いリッチモンド高校。バスケ部の成績も惨憺たるものだった。そんなチームを立て直すため、かつて同校で名選手といわれたコーチ(サミュエル・L・ジャクソン)がやってきた。ところが彼がもっとも重視したのはバスケットボールではなく、学業をしっかりやれという事だった。

この映画はいわゆるスポ根とは違う。米国のある社会問題を鋭く描いた社会派のドラマである。その問題とは、かの国における多くの貧しい地域では、この映画に出てくるほど才能豊かなスポーツ選手でも、そのほとんどは高校を卒業すると生きる道がなく、刑務所行きの悲惨な人生を送るという過酷な現実である。

50点
ある意味、ありえない“内容”に泣けなくないが……

『アイス・エイジ』のスタッフによるCGアニメーション長編映画の最新作。オリジナルの世界観によるロボット社会を舞台に、ひとりの少年ロボットの成長と他のロボたちとの友情を描く。

貧しい家庭に育ち、体も中古部品の集まりで出来た主人公のロドニーは、偉大な発明家になるのが夢。やがて大都会に旅立った彼は、幼いころから憧れる大発明家に会いに行くが、彼の会社では儲け主義一辺倒の新経営者が、町にあふれる中古ロボの一掃を狙う陰謀を画策していた。

この映画の世界には、人間が出てこない。というよりは、人間社会をロボット社会に投影した構図になっている。主人公ら貧乏ロボットは、いつも中古のオンボロ部品で体を構成していてみすぼらしく、一部の金持ちロボットは、最新のピカピカでデザインもかっこいい体を持っている。まあ、貧富の激しい現在のどこかの先進国を誇張して表現したものと思っていい。

50点
この手のお気楽娯楽にしては平均的

『パール・ハーバー』『アルマゲドン』など豪華なアクション大作で知られるマイケル・ベイ監督による近未来SF大作。主演は公開中の『スター・ウォーズ エピソード3』でオビワンを演じているユアン・マクレガー。

舞台は近未来。地上は汚染され、生き残った主人公らは徹底的に管理されたコロニーで暮らしている。そこで暮らす人々の唯一の夢は、地上でただ一箇所汚染されずに残された自然たっぷりの島“アイランド”へ移住すること。そして今日もまたアイランド当選者の抽選が行われるのだった。

さて、主人公らは妙に清潔で完璧に管理された生活をしているが、観客同様「これって変だぞ」と疑問を持つようになる。そりゃそうだ、多少清潔なだけで、これでは刑務所暮らしとかわらない。誰だってギモンに思うだろう。やがて彼は、映画進行上の理由から仲良くなった女の子(スカーレット・ヨハンソン)と一緒にその“施設”の真相に挑むというわけである。

50点
毒にも薬にもならない平凡な一本

ウディ・アレン監督によるニューヨークを舞台にしたラブコメディ。ここんところ、日本では結構短い間隔で彼の作品が公開されている。さすがは多作でしられるアレン監督といった印象で、ファンにはうれしいところだろう。

舞台はあるレストランから始まる。そこでは劇作家とその仲間たちが激論を交わしている。その内容は「人生は悲劇か喜劇か」というたわいもないものだったが、それをめぐって彼らは一人の女性メリンダを主人公にした物語を別々の切り口で語り始めるのだった。

映画は、悲劇版メリンダの物語と、喜劇版メリンダの物語が交互に展開され、それぞれにオチがつくという「一本の映画に二本の劇中劇」の構成になっている。なかなかしゃれたアイデアで、それぞれが監督の得意な小粋なラブコメディとなっている。

50点
テレビ版のファンにおくる第1章

伝説的な人気を誇るテレビアニメ「機動戦士ガンダム」の続編となる「機動戦士Zガンダム」全50話を、ダイジェストとして3部作の映画にしたその1作目。

主にエリート階級の支持をうける地球連邦軍内の組織「ティターンズ」と、スペースノイドの独立自治権運動組織「エゥーゴ」の対立が深まる中、反骨精神あふれる主人公の少年カミーユ(声:飛田展男)は、ふとしたトラブルからティターンズの新型モビルスーツをハイジャックしてしまう。彼はクワトロ(池田秀一)と名乗る男の言うままに、やがてエゥーゴに身を投じていく。

テレビ版は今となっては驚異的な全50話という長編で、この映画版ではそれを編集、新カットも加えてあらたに3部作に組みなおすという。前作『機動戦士ガンダム』も同様に3部作で映画化され、爆発的なヒットを記録した。私としても、リアルタイムで楽しんだガンダムはこの『Z』までなので、懐かしい思いでスクリーンに没頭した。確かテレビ版の最初(注)の主題歌は、森口博子のデビュー曲だった気がする。注…5/24追加:前期でなく後期のオープニング曲でした(とある読者様より)

50点
なぜナタリー・ポートマンのヌードをカットしてしまうのか

全米の各映画賞をにぎわせた、ジュリア・ロバーツ(「プリティ・ウーマン」ほか)主演の大人向け恋愛ドラマ。英国発、日本を含む世界中で人気を博した舞台劇の映画化だ。

小説家志望の男(ジュード・ロウ)は、ロンドンで出会ったストリッパー(ナタリー・ポートマン)と恋に落ち、同棲をはじめる。しかし、やがて彼は魅力的な写真家(J・ロバーツ)に出会い、そちらにひかれてゆく。

さらにもう一名、写真家と出会う医者の男(クライヴ・オーウェン)という人物が後から出てきて、この合計4人の恋愛ドロドロ模様が描かれるというお話だ。

50点
国連ロケが切っ先を鈍らせたか

トップ女優ニコール・キッドマン(「ムーラン・ルージュ」ほか)が演技派ショーン・ペン(「アイ・アム・サム」の父親役など)と競演した政治サスペンスドラマ。

主人公の国連通訳(N・キッドマン)は、某国の大統領暗殺計画を国連本部内で偶然耳にする。通報を受けやってきたシークレットサービス(S・ペン)は早速彼女の警護にあたるが、やがて彼女が何か隠していることを察知する。

いくつもの言語を操る通訳である事から、言葉による平和解決を信じる主人公と、力による解決を信奉する現実派のボディガード。この二人の対照的な登場人物のぶつかり合いを軸に、暗殺計画を防ぐストーリーが進行していくのかと思いきや、主人公の過去が徐々に明らかになるにつれ、話は意外な方向に進展していく。

50点
少年虐待の描写が残酷かつ衝撃的

J.T.リロイの同名小説を、アーシア・アルジェントが監督、主演で映画化。J.T.リロイという人は、わずか10代で衝撃的な自伝的小説を発表し、ハリウッドスターら著名人から多くの尊敬を受ける天才的な作家として知られている。そして彼の熱狂的ファンの一人でもある監督アーシア・アルジェントは、同時に「トリプルX」のヒロイン役などで知られる女優でもあり、数々のホラー作品で知られるダリオ・アルジェント監督の娘さんだ。

やさしい里親に恵まれ、幸せに暮らしていた主人公の少年(7歳)。ところがある日、見るからにあばずれな母親(A・アルジェント)がやってきて、彼を強引に引き取ってしまう。ドラッグや売春に明け暮れる母親の姿にショックを受けながらも、やがて少年は実母への愛を自覚していく。

この映画の原作は、小説でいうと2作目にあたる。小説の1作目は男娼である主人公の生活が描かれており、2作目でその過去が描かれるという流れになっている。ところが映画版ではその2作目からはじまるので、与えるインパクトの種類が変わってしまっている。

50点
子供向けファンタジー、そつのない作り

世界中で3000万部の大ベストセラー「世にも不幸なできごと」の実写映画化。子供向けファンタジー大作だ。

富豪のボードレール一家の3人姉弟は幼いながらも賢く仲がいい。長女は発明の天才で、その弟は桁外れの読書家、末っ子の妹は何であろうと一度噛んだら離さない赤ちゃん。幸せに暮らしてた3人だが、ある日自宅が火事になり両親が死亡、莫大な遺産を目当てに後見人になろうとするオラフ伯爵(ジム・キャリー)に狙われることになる。

特殊効果や豪華な衣装、セット……とにかくお金をかけたファンタジー超大作だ。内容は3人の個性的な子供たちにふりかかる災難と、彼らがそれをうまい事くぐりぬけていく様子を、ユーモアを交えて見せる娯楽作品。その災難てのは、悪役のオラフ伯爵があの手この手で彼らの遺産を横取りするために起こしている。しかし3人の子供たちの方が常に上手なので、そのたびに地団太を踏むのは伯爵の方、という構図になっている。

50点
テニスには期待せず、お気軽ロマコメとして見るべき

『スパイダーマン』シリーズで主人公の恋人を演じる若手女優キルスティン・ダンストをヒロインにしたロマンティック・コメディ。主演はイギリスの個性派俳優ポール・ベタニー(「マスター・アンド・コマンダー」の船医役など)。

かつて世界ランキング11位だったベテランテニス選手(P・ベタニー)は、今では119位まで落ち込んでいた。招待選手として参加する今回のウィンブルドン選手権を最後に引退を決意した彼は、ふとしたきっかけで女子テニス界の風雲児、優勝候補の若手選手(K・ダンスト)と出会い、一夜を共にする。

ヒロインの方は、いかにも上り調子で怖いもの知らずといった若手選手で、ベテラン主人公とはただの遊びで寝たつもりだったが、彼は違っていた。しかもそれがきっかけなのか、本業のテニスも絶好調、見事に初戦を勝ち抜いてしまったからさあ大変。鬼コーチでもある彼女の父親の目をすりぬけて、なんとか再びデートに誘おうとするのであるが……という展開。

50点
杉本彩には“旬”を感じる

極道の世界を、妻たちの視点から描いた家田荘子の原作を映画化した人気シリーズの最新作。「情炎」は、4年ぶり15作目となる。主演はこのシリーズ5作目となる高島礼子。共演には「花と蛇」でのエロティックな熱演が記憶に新しい杉本彩。

夫である菅沼組若頭の不審な死の真相には、組の跡目争いの怨恨が絡んでいるはずと波美子(高島礼子)はにらんでいた。組長が病に伏したいま、菅沼組の水面下では跡目をめぐる熾烈な争いが繰り広げられていたのだ。

東映らしい泥臭いアクションあり、血の噴出する残酷描写あり、適度なお色気ありと、シリーズの構成要素を適切に入れ込んだ最新作。高島の姐さん役は板についていて、たんかをきる姿などはずいぶんと似合う。とりまく極道たちの、ファミリーを思う姿も魅力たっぷりに描かれ、この手の映画のファンには喜ばしいところ。

50点
意外にもそこそこ見れる低予算ドラマ

集団強盗(?)疑惑で話題のアイドルあびる優主演、ニッポン放送買収で話題のホリエモンこと堀江貴文(ライブドア社長)プロデュースという、偶然にも時の人ダブルネームとなった話題作ホラー。

主人公(あびる優)が転入してきてからというもの、彼女のクラスメートが次々と失踪する事件が起きる。彼女は霊感が強く、やがて校内で謎の幽霊をチラチラと見ることになる。その幽霊はどうやら1年前に無念の自殺を遂げた女生徒ということがわかったのだが……。

『恋骨』は、都心の大型ビジョンで各5分の連続ドラマとして放映されたものをまとめて映画化したものであるが、そうした背景うんぬんよりも、主演のあびる優と製作者のホリエモンの二人に注目が集まってしまった作品である。

50点
あの美しい世界にもう一度、って方へ

若手女優アン・ハサウェイと往年のミュージカルスター、ジュリー・アンドリュース(「メリー・ポピンズ」)共演のティーン向けロマンティックコメディ。タイトルのとおり「プリティ・プリンセス」の続編となる。

ただのドン臭いアメリカ少女だったミア(A・ハサウェイ)がプリンセスとしてジェノヴィア国にやってきてから5年、彼女はゴージャスな暮らしを満喫していた。ところが、21歳になったミアが王位を継承するためには、なんと「30日以内に相手を探して結婚する」という条件がつけられていた。

監督が大ヒット作『プリティ・ウーマン』のゲイリー・マーシャルなので、本作もプリティな邦題がつけられ、確信犯的な宣伝マンによって「プリティシリーズ3作目」なんていわれているが、原題は「THE PRINCESS DIARIES 2」なので当然なんの関連もない。関連があるのは前作「プリティ・プリンセス」だけで、これはもう完全な続編だ。舞台は前作のラストから5年後ということで、キャストも設定も丸ごと受け継いでいる。

50点
アメリカ人専用ではあるが

日本の幽霊のおどろおどろしさを重視した、清水崇監督のライフワーク的ホラーシリーズのハリウッドリメイク版。『THE JUON 呪怨』は主演がアメリカで大人気のサラ・ミシェル・ゲラー(「スクービー・ドゥー」シリーズほか)だったこともあり、見事米国で一位を獲得した。これは日本人監督の映画としては史上初の快挙。

日本の大学で福祉を学ぶ留学生(サラ・ミシェル・ゲラー)は、ある米国人一家の痴呆の母の介護をすることになった。訪れるとそこは古い日本的家屋で、呼びかけても返事がない。やむなく彼女は家の中に入っていくが……。

さて米国版『呪怨』だが、基本的には劇場版の『呪怨』をベースに、ビデオシリーズ版のエピソードを盛り込んだ集大成的な作品になっている。監督は清水崇で、撮影や美術監督も日本人スタッフ、しかも日本での撮影ということで、ハリウッド映画といっても見た目は日本映画そのものだ。白人の出演者が出ている点と、エンドロールが英語ってのが逆に不思議なくらいだ。

50点
普通過ぎてどうにも……

スティーブン・セガールやジャン=クロード・ヴァン・ダムらに続けとばかりに、最近はB級(?)アクションスターへの道を進んでいるウェズリー・スナイプス主演のアクション映画。

ボスニア紛争参加時のある事件がトラウマとなっている元特殊部隊隊員(W・スナイプス)は、戦死した戦友の妹と待ち合わせたレストランで何者かに人違いされ、薬物を打たれてしまう。それは「XE」という、潜在能力を覚醒させる幻覚剤で、8時間以内に解毒剤を投与せねば、死の副作用が訪れる代物だった。

タイムリミットまでに解毒剤をもつワルを調べだし、組織へ殴りこんで対決する……という、どこからどうみてもよくあるパターンのアクション映画。ありがちな格闘アクションや銃撃戦に、ちょっぴり拷問シーンをトッピング。ド定番のレディメイド的映画である。

50点
社会道徳上、じつに不健全な“新・制裁者”誕生編

アメコミ原作のアクション復讐劇。同名のコミックは、89年にドルフ・ラングレン主演で一度映画化されているが、それとは別キャスト別ストーリーの新規作品となる。

裏社会の顔役(ジョン・トラボルタ)の息子が麻薬取引中、FBIによって射殺された。怒り狂った顔役は事件を徹底的に調査、潜入捜査官(トーマス・ジェーン)の存在を突き止めると、その家族を皆殺しにする。

で、次はその捜査官が怒り狂ってマフィアに復讐するというわけである。黒ヤギさん白ヤギさんのおてがみの歌よろしく、終わりのない復讐連鎖というヤツだ。

50点
秋吉久美子の綺麗な裸は、ぜひ中年カップルにすすめたい

谷崎潤一郎賞を受賞した、高樹のぶ子の同名小説を秋吉久美子と永島敏行による濃厚なラブシーン満載で映画化。

舞台は古き町、金沢。主人公のCM制作会社社長(永島敏行)は、かつて思いを寄せた女性(秋吉久美子)と25年ぶりに再会する。彼女は変わらず美しかったが、借金と寝たきりの父に生活を圧迫されていた。援助を申し出る彼に彼女は、「私を買ってください」とこたえる。

援助交際オジサンオバサン版のごときオープニングが目を引く。元々大好きだった彼女をそんな形で抱くところから始まる不思議な恋愛のお話だ。文学作品の映画化らしく、心に残るすばらしい台詞があり、金沢の透き通る空気を感じられる美しい映像がある。それでもストーリー自体は一歩間違うと破綻しかねない荒唐無稽な内容だが、語り口がうまいため、退屈せず見ることができる。

50点
トラ好きの人がファミリーで見る作品

二頭の子トラの運命をドラマチックに描いた英仏合作の動物映画。

1920年代のカンボジア、アンコールワット。元気ものの兄とおとなしい弟の二頭のトラは、両親トラとともに元気に育っていた。ところがある日、仏像盗掘のためやってきたイギリス人一行にみつかってしまい、兄弟は別れ別れに連れ去られてしまう。

最近はやりのドキュメンタリーではなく、あくまでトラを主人公にした劇映画である。人間の都合で連れ去られ、離れ離れになりながらも、懸命に生き抜くたくましいトラの一生を描いている。人間はあくまで脇役、トラの視点がメインとなっている。はたして兄弟は感動の再会をはたせるのか?!

50点
古典的な雰囲気ただようSFミステリ

アイザック・アシモフによるSF短編小説『われはロボット』をヒントに作られたオリジナルストーリーの映画化作品。人気黒人俳優ウィル・スミス主演、100億円超のビッグバジェットSFムービーという事もあり、アメリカでは大ヒットした。

舞台は2035年のシカゴ。いまや一家に一台、ロボティクス社の万能ロボットが普及しているが、ある日、同社の開発担当博士が急死する事件が起きる。ロボット嫌いの主人公刑事(W・スミス)は、同社の最新型ロボット“サニー”に疑いを向けるが、『ロボット三原則』を理由に相手にされず、やがてそのサニー型が一般発売されてしまう。

『ロボット三原則』というのは、アイザック・アシモフが自分の小説の中で提案した「ロボットが必ず守らなくてはならないルール」で、

50点
政治家の回想録レベル

ケネディ及びジョンソン政権下で国防長官をつとめたロバート・S・マクナマラのロングインタビューを中心に構成されたドキュメンタリー。ほとんど彼の一人語りで、インタビュアーが口を挟むことはあまりない。よって肝心のドス黒い部分はソフトになっているし、驚愕の暴露!といったレベルの内容もない。

『フォッグ・オブ・ウォー』は、そんなマクナマラ氏の回想録に当時の映像をかぶせ、BGM(これはとても良い)をつけたドキュメンタリーだ。彼以外に対しては、さほど取材もしていないように見えるし、いくら米国の映画業界が民主党系リベラルに牛耳られているとはいえ、この程度のインタビューフィルムがアカデミーのドキュメンタリー長編賞を受賞するというのはいかがなものか。

もちろん、これだけの大物政治家のワンマンショーを撮る以上、アチラの意図せぬものを作るわけにはいかないという事情はあるだろう。「キューバ危機」をはじめとした歴史的事件の当事者の証言としては、たいへんに価値があるし興味深い点も多いが、それでも彼の言い分のみを一方的に伝えるだけでは、観客にとっては彼の著書を読むのと大差がない事になってしまう。

50点
大人にも子供にもサービスしようと頑張っている

TVの子供向け人気特撮アクションドラマの映画版。2本立ての上映で、B面的存在のデカレンジャーが約39分、二本あわせれば約2時間の興行となる。

まずデカレンジャーだが、レスリー星の人々の体を機械化して壊滅させた悪の軍団が、同じウィルスで地球を狙うという設定。レスリー星からやってきたSPD(スペシャル・ポリス・デカレンジャー)役として、アイドル女優の新山千春が映画版ゲストとして出演している。

こちらは長い上にストーリーが平板でいまいちだ。ライダーよりも低年齢層向け(取材した某男子小学生談)という事もあって、大人にとってはやや退屈な時間である。

50点
つっこみ所は多いが、VFXの力技で押し切られる132分間

『X-MEN』シリーズの主人公ウルヴァリン役で知られるヒュー・ジャックマン主演でおくる、アクションファンタジー大作。ヴァンパイア、ウルフマン、フランケンシュタインといったユニバーサル映画の誇るモンスターが総登場し、主人公の怪物ハンター、ヴァン・ヘルシングと壮絶な戦いを繰り広げる。

舞台は19世紀のヨーロッパ。世界各地で怪物狩りを行っているヴァン・ヘルシング(H・ジャックマン)は、バチカンからドラキュラ伯爵を抹殺せよとの命令を受ける。早速その居城に向かったヘルシングは、そこで数百年に渡り伯爵と戦ってきた一族最後の生き残りの王女と出会う。

「5分に1回の驚愕映像!」というコピーとTVCMから想像されるとおり、最新のVFXがあらゆるシーンに使われたファンタジー作品だ。狼男やフランケンシュタイン、ドラキュラなどの有名モンスターを総登場させ、それぞれを絡み合わせた新設定(たとえば、あるモンスターは別のモンスターの存命に深くかかわっている等)がなかなか新鮮。2時間12分という長い上映時間をかけて、じっくりとヴァン・ヘルシングの対決を描いている。

50点
古き良き西部劇の興奮をもう一度

ケビン・コスナーが監督・製作・主演した本格西部劇大作。本国のアメリカでは西部劇としてはなかなかのヒットを飛ばした。

舞台は開拓時代の末期。主人公ら4人は、いまや絶滅寸前となったフリー・グレイザー(牛をつれ、草原を移動しながら大自然の中で家族同然に暮らすカウボーイの小集団)だ。ある日、彼らの一人が町に買出しにいったまま帰らず、リーダー(ロバート・デュヴァル)と主人公(K・コスナー)が迎えに行くと、悪どい町の顔役のもと、なんと仲間は留置場にいれられていた。

昔からのウェスタンの雰囲気と、現代的なテーマを含んだストーリーが魅力の本格的な作品だ。主人公が、町を牛耳る悪者を退治するという構成はクラシカルなムードたっぷり。クライマックスにはリアル志向の銃撃戦があり、ケビン・コスナーのファンも西部劇ファンも共に満足できるだろう。決してアクション重視の作品ではないが、無音の町並みに乾いた銃声が鳴り響く緊迫感には、西部劇ならではの興奮がある。

50点
突込みどころ満載で楽しい

『ラッシュアワー3』でハリウッド進出が噂されるイーキン・チェン出演のアクション映画。催眠術を使ったと思われる事件が発生。主人公の刑事は犯罪心理のエキスパートである元セラピストの服役囚の協力を得て解決にあたる。……とまあ、中途半端に『羊たちの沈黙』のレクター博士を思わせる設定が笑える香港映画である。

“催眠術”がメイン題材になっているこの映画の中では、実力ある催眠術師は、相手の目を見るだけでその人物を支配してしまうほどの非……いや、超科学的能力を持つ。犯罪に催眠術が使われたと聞いて、何の疑いも無く受け入れる香港警察が素敵である。

劇中、味方がある場所に閉じ込められるシーンがある。その小さな部屋がいったい何の目的でそこにあったのかはさっぱり不明であるが、それはともかく、主人公らはその小さな扉をこじ空けるのに四苦八苦するわけである。ところが、見ればわかるがそのドアにはガラスの小窓がついている。観客誰もが(お手持ちの拳銃で窓をお割りになってはいかがですか)と教えてあげたくなるあたり、心にくい演出である。

50点
コンセプトは斬新ながら出来上がったものはやや平凡

「四次元の物語の展開図」とうたった実験的な映画作品。バンコクの安ホテルを舞台に、一見無関係に見える登場人物たちの奇妙に絡みあう運命を斬新な映像で描く。3つの別ストーリーの関連を読者だけが“神の視点”で楽しむことができるという斬新なプロットを持つ原作小説の映画化となる。

タイトルの“テッセラクト”とは四次元立方体の意味。四次元というのは、三次元に時間軸を追加した概念で、三次元に存在する我々が見ることは不可能とされる。よって、4次元の“展開図”を3次元のこの世界に表現するというのが、この映画が挑戦したテーマだそうだ。

これを具体的に説明すると、細切れの断片的映像、シークエンスを不規則に並べ、それを鑑賞者が脳内で組み立てて見るというものだ。似たような手法の映画はほかにもたくさんあり、この構成自体はさほど新鮮というものではない。無関係な人物たちの運命が、あるひとつのアイテムないし出来事を中心にひとつに重なるというストーリーも同様。斬新なオープニングからは、もっとインパクトのある中身を期待したが、少々拍子抜けといった感じがする。

50点
凝ったプロットの必然性が感じられない

出会うはずのなかった3人の人生が、心臓移植というひとつの出来事をきっかけに絡みだし、意外な結末を迎えるという人間ドラマ。ショーン・ペン、ナオミ・ワッツといった演技派の役者が出演する。

それぞれの場面を細切れにし、時間も場所もばらばらに並べるという変わった趣向のため、何気なく見ると最初は混乱する。観客は、頭を使って自分の脳内でそれぞれの人物たちのドラマを構成して見なくてはならない。やがて結末が近づいたころ、ようやく今まで「???」だった各シーンの意味がわかるという仕組みだ。集中力が必要な映画だから、睡眠不足の人には勧めない。

それにしても、このプロットにはあまり必然性が感じられない。「ある特定の事件が、一見無関係の人々の運命を結びつける」というお話は意外とありがちだから、見せ方を工夫したいというのもわかるが、これではただわかりにくいだけだ。この仕掛けによって結末の意外性を際立たせるとか、描きたいテーマを浮き彫りにするといった、何らかの目的があれば評価してあげたいが、そういう印象はあまり受けない。

50点
ごく普通のティーン向けホラー

ホラー映画『ジーパーズ・クリーパーズ』の続編。監督や製作等のメインスタッフは共通、前作の4日後という設定のPART2だが、基本的には前作を見ていなくても楽しめるようには作られている。そのため邦題も、観客の間口を狭めぬよう、あえて続編とはわからぬようにしている模様だ。

高校生を乗せたスクールバスが、空飛ぶ恐ろしい怪物“クリーパー”の徘徊する辺鄙な土地の路上で立ち往生する。やがて、わけもわからぬうちに、一人、また一人と犠牲になってゆく。誰もがフツーに怖がることのできる身近な設定が面白い。

上空を飛び回り、闇夜からアタックしてくるクリーパーの恐怖を、優れたサウンドデザインによって倍増させている。怪物の羽音がブンブンとあちこち動きまわるので、観客も登場人物同様、バスに閉じ込められている気分になる。個人的には、こういう趣向をもっとつきつめてやってほしいと思う。

50点
芸術の粋に達した近未来デザインに驚く

主要人物3名のみ実際の俳優を使って撮影し、残りの登場人物すべてと、背景のほとんどをCGで作成して合成した近未来SF映画。天上界で死刑を宣告されたある神様が、わずかな残り時間を使って人間のヒロインを探し出そうとする。彼の目的と、ヒロインに隠された秘密とは?!

今回、個性的なビジュアルを作り上げた監督は、バンド・デ・シネ(フランスのコミック)の巨匠として知られるエンキ・ビラル。この人の近未来デザインは、『フィフス・エレメント』や『ブレードランナー』、『マトリックス』等、多くのSF作品に影響を与えた事でマニアの間では知られている。『ゴッド・ディーバ』は、彼のオリジナルストーリーを自身の手で映画化した本格的な意欲作だ。

映画『ゴッド・ディーバ』は、そんな芸術の粋にまで達した近未来デザインが最大の見所。大胆な試みである人間とCGキャラクターの共演は、CGの質感と本物の俳優の差が少々大きすぎるが、SFというジャンルのせいか、さほどの違和感は感じない。コンピュータの技術が進んでいけば、そうした違和感はどんどん解消されていくに違いない。そのとき、この映画でスタッフが積んだ経験は、必ずや独自のノウハウとして役に立つだろう。

50点
大人向け、かつフェルメールファン向けの特殊な映画

画家フェルメールの代表作『真珠の耳飾りの少女』(青いターバンの少女)の制作秘話を、フィクションで再現した作品。フェルメールの絵のように美しい映像で、ミステリアスな制作時の背景を見せてくれる。

この映画の格調を高めているのは、19歳の主演女優スカーレット・ヨハンソンの存在感。本物の青いターバンの少女を彷彿とさせる顔立ちと、憂いのある眼差しが忘れがたい。彼女は今年公開予定の超話題作『ロスト・イン・トランスレーション』の主演女優でもあるので、日本でもブレイクするかもしれない。

それにしても、本作に出ていたころの彼女はとても清楚な美少女といった感じだったが、実際は「カーセックスにあこがれる」だの「エレベーターでHした」だのと、とんでもないお騒がせ女優へと成長した。にんげん、見た目ではわからない。

50点
アメリカ向きに作られており、日本では難しいだろう

怪優ジャック・ニコルソンと、人気コメディアン、アダム・サンドラー共演のコメディドラマ。

アダム・サンドラー主演映画のアメリカでの集客力はすさまじく、いつも軽々と全米ナンバー1ヒットをゲットする。もちろん、彼のギャラもハリウッドトップクラスだ。そのわりに、日本での知名度は低いが、その理由は彼の映画が、常にアメリカ人向きに特化したつくりで、いわゆる内輪ウケのギャグも積極的に採用するという点にある。

そしてこの、『N.Y.式ハッピー・セラピー』もその例に漏れない。たとえばサンドラーの豊富な人脈による数多くのカメオ出演、これは彼の映画の特徴であり大きな魅力であるが、その多くは「アメリカ国内における有名人」だから、普通の日本人にはなかな感覚を共有できない。

50点
映画も恋愛もタイミングが大事なのに、それを外している

『ノッティングヒルの恋人』『ブリジットジョーンズの日記』を製作したスタジオが満を持して送る、ロマンティックコメディの集大成。男女合わせて9カップル、総勢19名という膨大な登場人物が、クリスマスの夜にチュッチュする恋愛群像劇である。

……とはいっても、普通のカップルが何組も出てくれば観客も飽きるので、同性愛あり、不倫あり、長年の片思いあり、小学生の初恋あり、そして親子愛ありと、同じ「愛」にもたくさんのバリエーションを持たせて楽しませてくれる。

出演者も豪華だが、中でもロマコメの帝王ことヒュー・グラントは、いよいよ今回英国首相という、これ以上ないゴージャスな役柄を演じることになった。とはいえそこはヒュー・グラント氏であるから、首相の癖に手近な田舎娘の秘書嬢にひと目ぼれ。身分違いもいいところな恋愛をしてしまう。

50点
お客を選ぶマニアックな映画だが、それなりによく出来ている

60年代(っぽい)フォークソングを題材にした、嘘んこドキュメンタリー。ようするに、ドキュメンタリーっぽくみせかけた劇映画という事だ。かつて時代を風靡したフォーク歌手、グループらの現在を追い、最後に全員が一堂に会して復活コンサートを行うというのがおおまかなストーリーだ。

演技はすべて即興、脚本には台詞ひとつ書いていないアドリブ大会だ。こんな作風だから、この監督についてこれる俳優はそうそうおらず、主要なキャストは常に似通っている。これはこれで一つの壮大な「芸」だとは思うが、はて、日本人の我々にとってはどうだろう。

本作を楽しむためには、まず、あちらのフォーク文化に詳しいということが必須。ちりばめられたパロディネタを、そうでないと楽しめない。満員だった試写室のギャグシーンでの無反応ぶりがそれを証明している。

50点
アメリカ版・こんな刑事がいたら嫌だ

ベテラン刑事と若手のデコボココンビをコメディチックに描く、ハリソン・フォード主演のアクション映画。演出には元ロス市警の刑事がアドバイザーに付き、作品にリアリティを出している。

この映画の特徴は、刑事たちがみな副業を持っているという点にある。日本で副業を持つ警察官といえば「こち亀」の両さんくらいなものだが、そのアドバイザーによれば、アメリカの警察においては普通のことだという。そういえばプロボディビル史上最高のチャンピオンとして知られるロニー・コールマンも本業はアメリカの警官だったし、ボブ・サップを「イタイイタイ」と泣かせたおっかないミルコ・クロコップもクロアチアの警察の特殊部隊隊員であった。

『ハリウッド的殺人事件』に出てくる二人の刑事も、それぞれ不動産仲介業とヨガの先生という、およそ本業とかけ離れた副業を持っている。そして、シリアスな殺害現場での捜査中だろうが、命がけの銃撃戦の最中だろうが、マヌケな着メロが鳴り出すと、副業用の携帯を握ってペコペコお客に頭を下げ出すのだ。このギャップでお客を笑わせるというのが本作の基本パターンである。

50点
主人公の新入社員(?)になりきって楽しむといい

CIAの新人採用と育成をテーマにしたサスペンス。新入社員(?)採用から教育まで、CIAの内幕がわかる興味深い一本だ。

前半は、かの組織がどうやって新入社員を採用し、育てるのか、その過程をじっくり見せてくれる。よく考えると絶対あるわけないようなムチャクチャぶりなのだが……いいや、スパイたちはこんなにも厳しいOJTをきっとやっているのだ! 何しろ本物のCIAの広報部が、「映画史上、もっとも正確にわが組織を描いた作品だ」とまで語ったんだから、ここは彼らを信じきって見るとしよう。

純情な主人公のコリン・ファレル君は、同期入社の女の子に一目惚れ。ムフフな社内恋愛を成就させるため、労働基準法無視のひどい研修にだって耐えたのに、鬼上司(A・パチーノ)から与えられた初仕事は「彼女を裏切れ」。ああ、何という理不尽! おまけになんだか変な事件に巻き込まれ……ここから映画は急展開を見せる。

50点
ネームバリューに惑わされがちだが

同名のミステリが原作のドラマ。まず、この物語は悲劇なので、映画で感動して泣きたいとか、爽快感を得たいとか、そういう人にはまったく向いていない。また、事件の犯人や結末などは、ごくごく平凡で、あまり優れたものではない。要するにこの物語の魅力は、小説版も映画版も、登場人物の深い人物造形と心理描写という点にあるわけだ。

人間一人一人をしっかり描くため、映画も2時間18分という長大さを誇るが、だからといってうまくいくとは限らないのが映画の難しいところ。

少年時代〜現在の”失われた25年間”は劇中では描かれないので、役者がうまく演技力で埋めねばならないわけだが、少年時代と成長後の間には大きな溝が感じられる。そもそも、役者の実年齢が高すぎて、36歳の設定には老けすぎている。ミスキャストとまでは言わないが、いかに実力のある役者たちとはいえ、この役柄は少々難しすぎたとはいえまいか。

50点
たくさんの良質なアイデアや設定が生かされていない

新しい形の誘拐テクニックで完全犯罪をもくろむチームと、狙われた3人家族の戦いを描く本格サスペンス。さらわれる子供役はハリウッドの子役としてはたぶん一番ギャラ(と精神年齢)の高い、ダコタ・ファニングという美少女である。今回は、喘息をわずらう少女という難しい役柄を、まだまだ余裕たっぷりといった感のある、見事な演技力で演じている。

さて、誘拐犯たちの新しい手口とは、「親子3人まとめて誘拐・監禁する」というぶっ飛んだものである。これなら警察に通報のしようが無いというわけだ。しかも、3人とも別の場所に監禁し、それぞれの見張番が30分ごとに電話連絡をしなければ、あわれダコタちゃんがぶち殺されるというルールである。タイトルの「コール」とは、ここからきている。

このアイデアは面白いし、ラストの壮絶なアクションシーンなども、見るからにお金がかかっていて見ごたえがあるのだが、全体的にあまり良い出来とは言えないところがつらい。

50点
クルマ好きがデート用として鑑賞するのに適している

ヨーロッパ圏で45年間も続く長寿コミック初の実写映画化。日本語では今まで出版されていなかったそうだ。というわけで、大スターが出ていなくとも、あちらではタイトルだけで話題を呼べるが、日本では商業的に苦戦が予想されるという一本である。

では、ヨーロッパでの『ミシェル・ヴァイヨン』とは、どのくらいの知名度がある原作なのだろう。私が宣伝会社の美人のお姉さんに聞いてみたところ、日本で言うサザエさん並であるとの事であった。

それほどの原作の映画化であるから、フランス映画としてはかなりお金もかけた力作となっている。レースシーンの迫力はなかなかのもので、なんとこの映像は、ル・マン24時間耐久レースに実際に参戦して、レース中に撮影したものだそうである。しかも『ミシェル・ヴァイヨン』チームは、実際に良い成績を収め、観客の喝采を浴びたそうだ。

50点
アメリカ向けにチューンされたコメディをどこまで楽しめるか

日本でも人気のあるコメディアン出身のジム・キャリー主演のハートフル・コメディ。この俳優さんは、出演作によってお笑いに徹したり、演技派としてシリアスに徹したりと分かれる人だが、今回はその両面がバランス良く発揮され、どちらのジム・キャリーも楽しめる内容になっている。

極論すれば、彼の主演する映画を楽しめるかどうかは、スマイリー・キクチ並のウソ笑顔を許せるかどうかにかかっているといって良いだろう。OKなら本作も大丈夫。要するに、彼のコメディとしては、及第点に達しているということだ。パロディや物まね、顔芸と、こちらもバランス良く彼のネタ(?)がちりばめられ、楽しませてくれる。

作品の狙いとしては、前半たっぷり笑わせて、ラストにホロリとさせるというものであるが、いかんせんテーマが「結局大事なのは愛なのよ」というお定まりのものであるために、イマイチ成功していない。いつものお気楽娯楽とはいえ、あまりに簡単に先が読めすぎて満腹感が得にくい。

50点
医師団の活動紹介&おまけの不倫ドラマ

人気女優アンジェリーナ・ジョリー主演の感動ドラマ。『トゥームレイダー2』のララ・クロフト役での肉体派アクション女優ぶりから打って変わって、今回は演技力で勝負する一面をみせてくれる。

この女優さんは、性根が純粋なのか、私生活で何かにはまると、わき目も振らず突っ走る印象がある。たとえば、恋人ができればその名の刺青を彫ってみたりする(別れるかもしれないなんてことは考えてないのかね……)。最近彼女がはまっているのは慈善活動で、そのきっかけとなったのが本作の出演である。

もともと別の監督、役者で撮られるはずであった本作は、その完成までに幾多の困難にとらわれてきた。その中で彼女は、作品完成のためにもっとも精力的に働いた一人であるといわれる。その熱意の源は、「難民たちの実情を世界中に知らせたい」という思いだったそうだ。

50点
10代向けにきっちりとチューンされた映画だ

アメリカで大人気のティーンアイドルが主演のちょっと感動的な親子愛コメディ。

主演の女の子は、あちらでは大人気という事で、この映画もなかなかお金をかけた、豪華な作りになっている。……こんなにベタな映画なのに。

まだ16歳と言う事で、幼さが残る顔立ちには、子供らしい無邪気さと純粋さが感じられる。ファッションはポップでとても似合っているのに(スタイル抜群!)、メークはコギャル風で品が悪い。ティーンと言うのは、こんな所まで世界共通なのだろうかと、つくづく感心である。

50点
ハメ撮りプレイのパイオニアの悲惨な末路

実在のテレビスター、ボブ・クレインのスキャンダラスな人生を描いた伝記的ドラマ。謎の死についても、それとなく真相をほのめかしている。

巨乳好き、乱交・相互鑑賞プレイ好き、ハメ撮り大好きというわかりやすい性癖を持つ彼。偶然出会った同好の士(ウィレム・デフォー)のおかげで、女達や機材を揃える手段を得たボブは、どんどん暴走して行く。そして最後は、非業の死を遂げるというわけである。

まあ、この手の性癖を持つ人は、いまではさほど珍しいものではなく、実際経験のある方も多いだろうが、ホームビデオすら普及していなかったこの当時では、彼らはまさに先駆け、パイオニアである。ましてテレビスターがこんなことをしているとわかったら、そりゃもう大変なスキャンダルだったことだろう。

50点
少々都合がいいな、と感じる部分がある

スペイン・カナダ合作の、静かな雰囲気のドラマ。幸せな専業主婦が、余命わずかと診断され、夫にも内緒にして「死ぬまでにしたい事リスト」を作るというストーリー。30〜40代くらいの女性、とくに主婦に向けたお話といっていいだろう。

主人公の主婦は、夫婦仲もいいし、理想的なしあわせ家族だと言うのに、「死ぬまでにしたい事リスト」のなかには、「夫以外の男性とセックスする」などという項目が入っている。ここいらあたりが、冒険欲求を隠し持つ、世のマジメな主婦層の心理をうまくついた設定というわけである。

製作総指揮が『トーク・トゥ・ハー』の監督、ペドロ・アルモドバルという点も、そのへんの客層を引き付ける要素になろう。何しろ今は女性たちの間で、スペイン映画がちょっとしたブームであり、ペドロ氏は、その中でもビッグネームなのだから。このストーリーとスタッフ、キャストを、上手く女性誌が紹介するだけで、そこそこヒットが望めそうな映画である。

50点
歴史の暗部をわかりやすく描いている

アルメニア人の大殺戮という、歴史事実を描いたカナダ製の重厚なドラマ。いわゆる、虐殺の被害者側からのメッセージである。

この映画を作るにあたっては、題材が題材だけに、虐殺の加害者側であるトルコ政府からの圧力があったようで、製作中止を求めて裁判沙汰寸前までいったという。また、アメリカの配給元であるミラマックス社や監督本人にも、脅迫メールが殺到したそうだ。

なにしろ、まだトルコ政府は、公式に虐殺を認めていないのだから、反応も過敏になるというわけである。

50点
中学1年生はタダ! 必見だヨ

警察の特殊部隊スワットを主役に取り上げたアクション映画。いまでは警察特殊部隊の代名詞になっている“S.W.A.T.”発祥の地、ロス市警が舞台になっている。一応、1975年の『特別狙撃隊SWAT』というテレビシリーズが元になっている。

ハリウッドのアクション映画でS.W.A.T.に焦点を当てたものは初めて。というわけで、前半はこの組織についての説明的シーンが続く。本物にこだわった装備品や身のこなしを、ここはたっぷり楽しむとしよう。手首を掴んで銃を撃つような、インチキな動きは一切ない。これならガンマニアも納得の出来だろう。

ただ、映画『S.W.A.T.』の魅力はここまで。そこから先は、組織は描けど人物が描けず、の典型的末路をたどる。

50点
低予算のわりに安っぽさは全く無い、品の良い映画

パリで一人暮らしの老女を主人公に、老いというテーマを、血のつながりの無い中年女性とのつながりのなかで描くドラマ。岩波ホールで公開される事からわかる通り、通好みのしっとりとした、格調高い作品である。

しかし、実はこの映画、かなり低予算で作られたものである。主人公の老婆役は、新聞広告で一般公募して決定。もう一人の主人公である中年女性役は、監督の住むアパートの隣の住人。音楽担当者も、ギターが趣味の同じ住民。撮影場所となるアパートの部屋は、女優の私室を使って撮影したそうである。デジタルビデオ撮影で、編集も自前でやったそうだ。監督自身や息子も出演しており、まさに手作りの映画といえる。

しかし、後から聞かされなければ、そうした金銭面での苦労という事情には気づかなかっただろう。出来あがった映画はちゃんとしており、まったく安っぽさは感じられない。これはパリのもつ街並の美しさと、監督の美的センスのおかげといえよう。

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