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2156件中 1401~1450件 を表示しています。
55点
増築を重ねすぎた異形の建築物のような映画

年々味が落ち、行列こそできるがリピーターは激減中という、どこかの人気ラーメン店のごとき『ソウ』シリーズの最新作。毎年一本のハイペースで続編を作り続け、4作目まで続いたホラーシリーズというのはこれまでに例が無いらしい。まさにホラー界の「男はつらいよ」だ。

2作目からの担当のくせして、シリーズの生みの親のごとき態度があちこちで顰蹙を買っているダーレン・リン・バウズマン監督は、『ソウ』シリーズは一生続けたいなどと語っている。いつかジグソウにお仕置きされると思う。

※注意 作品の性質上、この先1〜3作目までのネタバレを避けることができません。本作に興味がある人は1から3まで順番にご覧になった上で、以下の記事をお読みください。

55点
柳楽優弥の押尾学化に驚く

柳楽優弥は、『誰も知らない』(04年)で、カンヌ国際映画祭男優賞を史上最年少(14歳)で受賞した華麗な経歴を持つ。ピュアな風貌のこの子供が、この先どんな方向に進むのか、当時の映画関係者は期待と不安をもってみていたものだ。あれからわずか3年、彼は本作で早くも役者としてのターニングポイントを迎えた。そして、あのときのあどけない少年は、意外な方向へと歩き始めた。

病院の屋上にひとりたたずんでいるワラ(石原さとみ)をみて、自殺を心配したディノ(柳楽優弥)は声をかける。インチキな関西弁を話すディノは、やがて「手当てや」などといい包帯を屋上のフェンスに巻きつける。その奇妙な行動にしかし癒されたワラは、親友のタンシオ(貫地谷しほり)やメル友のギモ(田中圭)らと共に、包帯クラブを結成する。

奇妙な役名と思うかもしれないがこれは友人間で呼び合うニックネームで、その実態はごく普通の現代青春ドラマである。彼ら包帯クラブは、何かに傷ついた人をネットで募集し、その原因となる場所に包帯を巻きつけ写真を送付してあげる活動を行う。たとえばサッカーの試合でオウンゴールをして落ち込む少年のために、サッカーゴールを包帯でぐるぐる巻きにした写真を撮影、彼にメール送信するといった具合だ。

55点
小沢真珠のひとり濡れ場

江戸川乱歩といえば、大正から昭和にかけて活躍した、日本ミステリ界黎明期の大作家。少年向けのシリーズものも有名だが、マニア好みの怪奇趣味を生かしたダークな作品も数多い。抜群の知名度があることから、平成になった今でも映像化される事は珍しくない。

この「人間椅子」は、ラストの衝撃度の高さでミステリファンの間ではあまりにも有名な作品。何度か映像化されているが、なにしろこのトリックは映像向きではない。また、有名すぎるということもあってか、本作では設定とストーリーが変更されている。

大御所作家・大河内の弟子だった佳子(小沢真珠)は、今では失踪した彼に代わって人気女流作家として鳴らしていた。新しく担当になった真里(宮地真緒)は、佳子が大河内の愛人として変態プレイをしていたという噂に興味を示す。なぜなら真里も、有名人が使用したスプーンなどのゴミを集める性癖があったからだ。

55点
女優を綺麗に撮ろうという執念だけは凄い

さだまさしの小説はここ数年映画界で人気のようで、『精霊流し』『解夏』と立て続けに公開されている。どちらもさっぱり面白くないのだからもうよせばいいのに、人が入るとなれば懲りずにまたやるのがこの業界の常。今回は天下の松嶋菜々子を主演にした、堂々の映画化だ。

東京の旅行代理店でバリバリ働く咲子(松嶋菜々子)は、母(宮本信子)が入院したと聞き、急ぎ徳島へ帰郷する。母は末期ガンであった。しかし、元々神田の飲み屋の有名女将だった彼女は、相変わらずの江戸っ子気質で看護婦を元気にしかりつけている始末。そんな姿にあきれた咲子は、しかし母から死んだと聞かされていた父の生存を偶然知る。咲子は母が生きているうちに彼女の本当の人生を知りたいと、父の消息を探りはじめる。

この映画の途中のつまらなさときたら、凄まじいの一語につきる。開始後1時間くらいは何とかつきあったが、いいかげんさっさと話を先に進めろと、お客様相談室にクレーム電話のひとつもかけたくなった。久々に映画で見た母親役の宮本信子と、やはり圧倒的な存在感を放つ松嶋菜々子の魅力的な演技がなかったら、どうにもならないところであった。あとはクライマックスの阿波踊りの圧倒的な迫力。その3つしかみるところがない。

55点
一歩進んで二歩下がる

アメコミ原作の大人気アクションシリーズ第三弾である本作は、背負うプレッシャーもシリーズ最大。なにしろ、あれだけ面白かったパート1を上回るほど二作目の出来栄えが良かったのだ。数を重ねりゃネタは減る、しかしお客の期待は膨れ上がる。作り手の悩みどころだ。

いまやニューヨーク市民すべてのヒーローとなったスパイダーマン。その正体ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)も内心鼻高々だ。恋人の新人女優メリー・ジェーン=MJ(キルステン・ダンスト)との仲も好調で、いよいよプロポーズを考えている。しかしMJのほうは初の主演舞台を干され、どん底気分。そんな折、ピーターの叔父を殺した真犯人が脱獄したとの驚くべき知らせが入る。

この3におけるテーマは「復讐」。登場する敵は複数いるが、みなその一念を腹に持つことで共通している。そして毎度おなじみウジウジ君であるピーターの今回の悩みもまさにそれ。最強のパワーを手にした今、愛する叔父を殺した凶悪犯への復讐心を抑えることはできるのか。

55点
尻に魅力がない

『バベル』は多くの人々にとって、役所広司や菊地凛子といった日本人キャストが、ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェットら当代きってのハリウッドスターと共演するという点がもっとも気になる事だろう。そもそも映画とは、テレビでは味わえない何がしかの楽しみを与えてくれるべきもの。映画とテレビにほぼ同じ顔ぶれの俳優が並ぶわが国の現状をみれば、人々が本作のキャスト表を見て感じるそうしたワクワク感は当然のことと言えよう。

この映画の構成は、3カ国でそれぞれ進行するドラマを交互に描いていく群像劇。メインとなるのは、モロッコへやってきたアメリカ人夫婦(ブラッド・ピット&ケイト・ブランシェット)の物語。ある事情により夫婦仲の危機を迎えたこの二人は、子供をシッターに預けてゆっくり話し合うためここにやってきたが、現地の子供がいたずら半分で撃ったライフルの弾が、偶然妻に当たってしまう。辺鄙な山間部で十分な手当てもままならず、右往左往する夫の姿が描かれる。

一方アメリカでは、予定通り戻ってこないこの夫婦に業を煮やしたシッターが、息子の結婚式に間に合わないため預かった子供を連れて強引に祖国メキシコに戻ってしまう。

55点
新鮮味はないものの、いまどきの女性映画としてはそれなり

映画『さくらん』がどんな人に向けて作られた映画なのか、それはきわめてわかりやすい。まずは今回初監督となる写真家の蜷川実花、そして主演の土屋アンナ、音楽(主題歌だけでなく本編の映画音楽も)担当の椎名林檎、さらには原作の安野モヨコ。この4人の名前に反応する人に向けた作品だ。

彼女らは、若い女性の一部にとってある種のカリスマを持つアーチストであり、それが力をあわせてひとつの仕事をするとなれば、これは凄いものが出来上がるに違いない。そう期待するファンは少なくあるまい。実際本作は、彼女ら(主に20代の自立志向の高い女性?)にそれなりの満足を与えてくれるレベルには仕上がっている。

江戸時代、吉原遊郭の「玉菊屋」にきよ葉という名の一人の少女が売られてきた。古い慣習や女が金でどうにかなると思っているバカな男たちに決して屈服しない彼女は、やがてその美貌とまっすぐな性格で吉原のナンバーワンおいらんへと成長する。

55点
服を着てても意外に上手な蒼井そら

AV女優が芸能界にステップアップを狙う例は枚挙に暇がないが、成功例は飯島愛などほんのわずかしかなく、コースとしては狭き門だ。そんな中でも比較的健闘している蒼井そらの主演作が『聴かれた女』。彼女は一人暮らしの部屋に盗聴器を仕掛けられたヒロインを演じている。

雑誌編集の仕事をしている若者(大野慶太)は、毎夜アパートの薄い壁の向こうに耳を澄まし、隣室の女の子(蒼井そら)を盗聴している。彼氏と愛し合う声などに興奮しつつも男は、最近彼女が何者かによる脅迫電話に悩まされている事に心配を寄せていた。

盗聴・ストーカーものであるが、この男はこっそり聞いているだけではなく、職業柄のアングラ人脈を利用して彼女の部屋に侵入、盗聴器等をさぐってみたり、隣人という立場を利用して実際に彼女に近づいていったりする。

55点
傷ついた女性の再生物語

2003年に『死ぬまでにしたい10のこと』という作品が、ミニシアター系としては記録的な大ヒットとなった。本作はその監督&主演女優が再びタッグを組んだ人間ドラマ。『死ぬまでにしたい10のこと』については、作品の出来というより心に残る邦題が勝因だったのではないかと私は思っていたが、似たような邦題で公開するあたり、なるほどなと思う。

他人との交流を断ち、黙々と工場での仕事に打ち込むハンナ(サラ・ポーリー)。休みもとらないその異常な様子をみて、上司は半ば無理やり1ヶ月の休暇を与えた。無目的な旅に出たハンナはその途中、油田掘削所で介護士を募集していることを知る。心得があった彼女は、完全に外界から閉ざされた海上に浮かぶ掘削所で、事故で一時的に視力をなくしたジョゼフ(ティム・ロビンス)の介護を行うことにする。

正体のわからぬ子供の声でナレーションが入ったりする謎めいた進行。ヒロインのハンナはなにやら訳アリな様子だが、それがなぜなのかはわからない。異様なまでに勤勉な姿、毎昼まったく同じ弁当(しかもメニューがかなり変)、バスルームに積み上げられた一種類のみの石鹸……。そうしたディテールを丁寧に積み重ねることで、このヒロインが何か過去にとんでもない目に合い、精神に重大な傷を負った人物なのだと伝えてくる。

55点
日本人の被害者、関根さんの不在ぶりに泣けた

2001年、JR新大久保駅のホームに転落した人を助けるべく、韓国人留学生と日本人のカメラマンが線路におり、そのままやってきた電車にひかれ亡くなったという痛ましい事件があった。本作はその映画化。日韓合作で、両国の変わらぬ友情を願う気持ちを込めて製作されたという。

李秀賢=イ・スヒョン(イ・テソン)は、日本のバンドが好きな好青年。彼は母国韓国で兵役を終えた後、日本に留学した。やがて、音楽界を目指して道端で歌い続ける日本人少女(マーキー)と知り合い、付き合いはじめるが、理不尽なまでに韓国人を嫌う彼女の父(竹中直人)をはじめとする日韓の差別の壁に苦労することになる。

自分の命も顧みず、異国の名もなき他人を助けるためホームを飛び降りた勇気ある韓国人青年。その話に感銘を受けたプロデューサーの強い思い入れにより、映画化されたという。実名で登場する主人公は、しかし現実とは大きく異なるストーリーを歩む。

55点
史上最高のドラゴン萌え映画

『ロード・オブ・ザ・リング』の大成功のおかげで、ヨーロッパの伝統的ファンタジーが世界中の大勢の人に受け入れられた。せっかく出来たその土台を放っておく手はないということで、『ナルニア国物語』など有名長編も続々映画化されている昨今だが、この『エラゴン』も同じように期待される、大型ファンタジーシリーズのひとつだ。

15歳の少年エラゴン(エド・スペリーアス)は、森で輝く青い石を見つける。じつはその石は、エルフ族の娘アーリア(シエンナ・ギロリー)が敵の手に落ちる直前、空間転送したドラゴンの卵だった。やがてブルードラゴンのサフィラ(声:レイチェル・ワイズ)が生まれるが、同時に邪悪なドラゴンライダーのガルバトリックス王(ジョン・マルコヴィッチ)が差し向けた刺客により、エラゴンの家族が犠牲となる。

原作の『エラゴン』シリーズの作者のクリストファー・パオリーニは、なんとこれを17歳のころ書き上げたというのだからびっくり。日本の乙一(この人も17歳デビュー)を彷彿とさせる早熟な作家である。

55点
低年齢向きでごくごく普通、フェアウェイど真ん中を刻むゴルフのような映画

米国のアニメーション映画のほとんどは、見ての通りファミリー向けの無難な作品が多い。マーケティングをしっかり行えば比較的商売的に手堅く、家族みんなで見にくるから興行収入も期待でき、上映時間も短いから一日の回転数も多い。さらに、見に来られない人もDVDを買ってくれるというわけで、作り手側からすれば、どこから食べても美味しいジャンルだ。

となれば、大手のソニー・ピクチャーズがこの分野に参入するのも当然の成り行き。『オープン・シーズン』は、彼らがその第一弾として送り出した長編アニメーション映画だ。日本市場も重視しているようで、嘘かマコトかハリウッド本社自ら、吹き替え声優を指名したそうだ。

文明社会にすっかり慣れ親しんでいる熊のブーグ(声:石塚英彦)は、環境と動物たちを愛する女性森林警備隊のベス(声:木村佳乃)に飼われ、優雅に都市生活をエンジョイ中。ところが、あるとき知り合ったお調子モノの野生鹿エリオット(声:八嶋智人)と町で大暴れしたせいで、森に追放されてしまう。オープンシーズン(=狩猟解禁日のこと)が迫り、恐ろしいハンターが森にやってくる中、野生での生き方を何一つ知らないブーグは早速危機にさらされる。

55点
一番トクをしたのは宮崎あおい

矢沢あいの大ベストセラー漫画を実写化した第1作は、2005年9月に公開され大ヒットを記録、ちょっとした社会現象にまでなった。その後、少女漫画が商売になると踏んだ映画界はビッグタイトルを次々と実写化、その流れは今も続いている。

かように近年の日本のエンタテイメント業界に影響を与えた『NANA』。そのパート2である本作は、しかし波乱続きであった。何しろ主演女優が真っ先に降板、それに引っ張られるように主要なキャストが次々と交代、あれほどのヒット作の続編としては余裕のない製作期間ということもあって、ほとんど突貫工事のごとく、なんとか形にしたという印象だ。

東京で出会った同じ名前をもつ二人の少女「ナナ」。大崎ナナ(中島美嘉)はライバルバンド"TRAPNEST=トラネス"のレン(姜暢雄)との恋人関係が復活し、自身のバンド"BLACK STONES=ブラスト"にもメジャーデビューの話がくるなど順風満帆。しかしハチこと小松奈々(市川由衣)は、将来の見えぬバイト暮らしに焦るばかり。

55点
原作を読んでなければ補完しきれぬ矛盾多し

大場つぐみ&小畑健の超人気漫画の実写映画化第1弾は、予想通りの大ヒットとなった。同時に製作されたこの後編の出来栄えやいかに?

名前を書くとその人間が死ぬ"デスノート"で、自分なりの世直しを続けるキラこと夜神月(やがみらいと 藤原竜也)。犯罪の激減で世論もキラ寄りに流れる中、謎の天才探偵L(松山ケンイチ)率いる少数精鋭のキラ対策本部は懸命に捜査を続けていた。やがてLが、その抜群の推理力で月の正体に迫ったとき、二人目のキラが現れる。

この二人目のキラは、前編で示唆されていたとおり、そして原作と同じく、ライトにぞっこんのゴスロリ少女、弥海砂(あまねみさ 戸田恵梨香)だ。月が海砂を徹底的に利用し、邪魔なLを消そうとする展開も原作と同じ。この後編は、その3人の戦いが見所となる。

55点
前作とタイプは違えど、正統派のスプラッタホラー

先日、13年ぶりの復活をとげたバタリアンシリーズ。そのパート4と同時に撮影された続編がこの5だ。監督はもちろん同じで、主要なキャストも引き継がれている。これ一本で完結したホラー映画だが、そんなわけでなるべくならパート4を見た後に見ることが望ましい。

前作で、無事生還したジュリアン(ジョン・キーフ)は、亡くなった叔父の隠し部屋から「トライオキシン5」と書かれたドラム缶を発見する。異様な雰囲気を感じた彼は、ドラム缶を化学マニアのコーディー(コリー・ハードリクト)の研究室に運び込む。そこで内容物の確認を頼んだのだが、中身がドラッグだと勘違いしたコーディーらは、それを錠剤に加工、売人を通して学園中に売りさばいてしまうのだった。

さて、ご存知のとおり「トライオキシン5」を摂取した人間は、生きていようが死んでいようがゾンビになってしまう。折りしも時期はハロウィン。学園中の生徒が集まるパーティが始まる中、次々とゾンビ化する学生たちは、周りの友人らの脳みそにかぶりつく……。

55点
シナリオはひどいが宮崎はすばらしい

『ただ、君を愛してる』は、社会現象にまでなった大ヒット作『NANA』の続編の主演を蹴れるほど絶好調の、宮崎あおいが主演した恋愛ドラマ。以前『恋愛寫眞』(堤幸彦監督)という映画があったが、あれを元に市川拓司(「いま、会いにゆきます」原作)が書き下ろした、『恋愛寫眞 もうひとつの物語』を映画化したものだ。

主人公の大学生、誠人(玉木宏)は、入学式の日、妙に幼い雰囲気の同級生、静流(宮崎あおい)と出会う。社交性に乏しい誠人だったが、その子供っぽさから彼女を異性として意識せずにすんだおかげで、静流とだけは友人になれた。二人で裏の森に出かけ、誠人の趣味である撮影を楽しむ日々が続くが、学園のアイドル的存在(黒木メイサ)に片思いする誠人は、自分に思いを寄せる静流の気持ちに気づかない。

なぜか幼い風貌(理由はちゃんとある)のヒロインと、鈍感なオトコ、そして大人びた美人でクラスの人気者という、メリハリのある三角関係を描いた恋愛ドラマ。この作品の魅力は、なによりその映像美で、構図や風景など相当こだわっているのが見て取れ、そして成功している。

55点
アイドル映画としてはイマイチ、アクション映画としてはそこそこ

『スケバン刑事』とは、和田慎二の人気漫画であるが、30代以上のオジサンたちにとっては、かつての 80's 人気アイドルたちが出演していたアクションテレビドラマとしての記憶が強いだろう。本作は、原作者のご指名を受けた当代随一のアイドル、松浦亜弥主演で作られた、映画版としては3つめの作品となる。

爆弾事件に関わっている疑いの濃いアングラサイトを捜査中の、学生刑事が爆死した。その後、そのコードネーム"麻宮サキ"を受け継いだのは、ニューヨークで警察でも手がつけられぬほど暴れまくり、強制送還された筋金入りのスケバン(松浦亜弥)だった。米国で拘束されている母親を、国際司法取引で救うのと引き換えにスケバン刑事となった彼女は、持ち前の行動力と格闘術で、学園内での潜入捜査を進めていく。

『スケバン刑事』は、DVDも売れ、アニメ化もされている、2006年現在でもなかなかの人気コンテンツ。アイドルマニア的には、その時代のトップアイドルが、見た目やムードとは正反対の乱暴な言葉やふるまいをする、そのギャップを楽しむというシリーズだ。

55点
無理してお涙頂戴にしたことが問題

夏川りみが歌う同名曲は、森山良子が亡き兄を思って書いた詞と、BIGINによる感動的な旋律で、ロングセラーとなっている名曲。この人気に目をつけたTBSが、同じコンセプトでテレビドラマと映画を作った、その映画のほうがこれ。監督の体調不良による交代などで完成が遅れたが、『いま、会いにゆきます』で切れ味鋭いどんでん返しを見せた土井裕泰監督がなんとか引き継ぎ、無事公開にこぎつけた。

いつか自分の食堂を開くという夢に向かい、沖縄本島でがんばる兄(妻夫木聡)のもとに、新高校生となった妹(長澤まさみ)が引っ越してきた。久々の再会で、すっかり大人びた妹に驚いた兄だが、それでも相変わらず仲良しの二人は一緒に暮らし始める。やがて、偶然知り合った男の協力でついに念願の店を出すことにした兄は、しかしその男に騙され、長年貯めた開業資金を持ち逃げされてしまう。

さて、この二人は早くに両親と別れ、支えあって生きてきた唯一と言ってもよい家族。実は血がつながっていないのだが、兄は妹を本当の家族として扱い、すべてを捧げて彼女の将来を守ろうとしている。血がつながっていないのに、普通の家族よりはるかに強い絆。この家族愛が感動を呼ぶ。

55点
メインアイデアに溺れているが、韓国版よりは上

ネタ不足のハリウッドは、世界中の映画作品から新アイデアを求めているが、活況の韓国映画界もその有力な対象のひとつ。このファンタジックなラブストーリー『イルマーレ』も、2001年の同名韓国映画のリメイクだ。しかも、「リメイクはオリジナルより劣る」という鉄則を、見事に覆した珍しいパターンだ。

湖畔に建つ全面ガラス張りの瀟洒なデザイナーハウスにすむ女医(サンドラ・ブロック)は、ある日シカゴに引っ越すことになった。彼女は、引き払い時に郵便ポストに次の入居者あてメッセージを投函して去る。やがてシカゴのマンションに返事がくるが、驚くべきことに、その手紙は2年前の2004年に湖畔の家に住んでいた、彼女の前の入居者(キアヌ・リーブス)からだった。2年の時を越えた不思議な文通に夢中になる二人は、やがてお互いに好意をもち、2006年で待ち合わせてデートする事になるが……。

タイムマシン機能付きの郵便ポストというファンタジックなアイテムと、2年間の時間がずれたままの進行が生み出すミステリアスなオチ。それが映画『イルマーレ』の、米韓共通のメインアイデアだ。

55点
CGを駆使して作り上げたおとぎ話的世界観が面白い

ビビアン・スーといえば、テレビ番組「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」の企画バンドとして90年代後半に活躍した「ブラックビスケッツ」のメンバーとしての姿が記憶に新しい。当時、バラエティ番組での的確なボケや、台湾人の女の子特有の幼い顔立ちが、お茶の間で人気を博した。

最近の彼女は、母国台湾に戻って芸能活動を続けていたが、このたび主演映画が日本でも公開される運びとなった。それがこの、おとぎ話的恋愛ドラマ『靴に恋する人魚』。公開中の『キンキーブーツ』同様、靴を題材にした、一風変わった作風の映画だ。

「人魚姫」を読んだ車椅子の少女ドドは、予定される手術によって足が治る期待とともに、その代わりに自分も何かを失うのではないかと不安を抱いていた。もちろんそんな事はなく、彼女は無事歩けるようになり、やがて靴が大好きな美しい女性(ビビアン・スー)へと成長した。素敵な歯科医のスマイリー(ダンカン・チョウ)とも出会い、幸せの絶頂にいるかと思われたドドの運命は、そこから大きく転換をはじめる。

55点
これを楽しめるかどうかは、前作をどう思っているか次第

前作『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』は、続編でもリメイクでもない、オリジナルの新作映画としては、驚くべき大ヒットを記録した。登場した週に、まだ3週目だった『踊る大捜査線2』をランキング首位から引き摺り下ろし、映画関係者を驚愕させた事件も記憶に新しい。

前作の大ホームランは本国アメリカでも同じで、このPart2にかける期待は日米ともに並々ならぬものがある。今回の『パイレーツ・オブ・カリビアン2』は、必勝を義務付けられた期待のドル箱コンテンツだ。

ちなみに一足早く公開された米国では、その大きな期待をさらに上回る特大ヒットを記録。商業的には、週末の興収記録でなんと映画史上最高額を更新し、年間ベストワンも狙える立場にいる。

55点
とても高度なことをやっているが、見せ方が悪い

最近のお客さんは目が肥えてるから、月並みなアクション映画では満足しない。そこでハリウッドはたくさんお金をかけて、CGやワイヤーワークを使った華麗な画面作りに没頭し、タイの俳優トニー・ジャーはそうした上げ底なしの、リアル肉体アクションにこだわる。

そんな中、フランス映画『アルティメット』は、後者に近いコンセプト。製作者リュック・ベッソンが、自身の作品で使ってきたスタントマン、シリル・ラファエリと、映画『YAMAKASI ヤマカシ』のモデルとなった、ビルを素手で登ったりするパフォーマンス集団の創始者ダヴィッド・ベルをダブル主演にして作った、純粋アクションムービーだ。

舞台となる近未来のパリには、治安悪化のため市内から隔離されたバンリュー13という地区がある。無法地帯と化したこの地区に、盗まれた政府の爆弾が運び込まれた。爆弾の解除任務を与えられた捜査官(シリル・ラファエリ)は、バンリュー13で生まれ育ったチンピラ(ダヴィッド・ベル)をガイドに雇い、侵入する事にした。

55点
ミラ・ジョヴォヴィッチをたっぷり楽しもう

2002年のアメリカ映画に『リベリオン』というのがあるのだが、これがなかなかよくできたSF映画であった。監督の長年の夢を入れ込んだだけあって、そこらのお手軽エセSFとは一味ちがう本物風味で、当時は私も絶賛したものだ。

そしてその監督カート・ウィマーが今回、人気女優ミラ・ジョヴォヴィッチ(『バイオ・ハザード』シリーズ主演など)をヒロインに想定して書き上げた、オリジナルSFストーリーが、『ウルトラヴァイオレット』。オールデジタルビデオ撮影、VFX満載のアクションものだ。

この未来世界の設定は、人類の一部があるウィルスに感染し、ファージと呼ばれる超能力を得た新人類になってしまい、旧人類から危険視され、迫害されているというもの。ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるヒロインは、ファージ最強の殺し屋で、人類側の最終兵器の強奪という、重要な任務につく。

55点
女性向きの、良質時代劇ロマコメ

ジャコモ・カサノバは、18世紀に実在した人物。作家や政治家、スパイなど、多彩な顔をもつが、なんといっても歴史上最高のプレイボーイとしてその名を知られている。映画『カサノバ』は、彼を主人公に、多分にフィクションの要素を取り入れ、いわゆるラブコメに仕上げた一本である。

歴史的なイケメンとされるカサノバを演じるのは、先日『ブロークバック・マウンテン』でも主演したヒース・レジャー。これまでこの人物を演じてきた映画俳優は数多いが、個性が強くない分、万人に好かれそうなカサノバ像を作り出している。

修道女と寝るなど、奔放すぎるふるまいで教会から追われるカサノバは、次のカーニバルが終わるまでに結婚相手を見つけねば、ヴェネチアを追放すると宣告される。そこで彼は、ヴェネチア一の美人といわれる良家の子女(ナタリー・ドーマー)に目をつけるが、同時に彼女を狙っていた男(チャーリー・コックス)に決闘を申し込まれてしまう。

55点
坂上香織のハダカをたくさん見られる

杉本彩が体当たりでSMシーンを熱演した『花と蛇』シリーズは、大物のグラビアネタに飢えていた週刊誌等を巻き込み、(オジサマたちの間で)けっこうなブームとなった。

これはいけるということで、今度は同じく元アイドルの坂上香織が、SM演技に体当たりでチャレンジしたのがこの『紅薔薇夫人』。原作は、『花と蛇』同様、このジャンルの大家、団鬼六の『肉の顔役』である。ちなみにこの原作、後編は『花と蛇』以上に過激といわれている。

坂上香織が演じるのは、没落した名家の奥様。奥ゆかしく清純な大和なでしこだ。ところが、彼女と処女の一人娘(永瀬光)は、なんと借金のかたに売られてしまう。悪どい男どもの前につれてこられた母は、容赦ない陵辱、恥辱の限りを尽くされてしまうのだった。

55点
ばんえい競馬の面白さを教えてくれる

大抵の人は、自分の興味ある題材を扱った映画を観に行くわけだが、中に新たな出会い、人生の刺激を求めて、ジャンルにこだわらずたくさんの映画を観る人も少なくは無い。そうした人々にとって、これまで見たことも無いモノを映画の中で見、疑似体験できるというのは、大きな魅力だ。

『雪に願うこと』は、ばんえい競馬(ばんえい競走)をテーマにした人間ドラマ。ばんえい競馬とは、北海道でのみ行われる独特のレース。一般に想像する競馬とは全く違うものだ。たとえば、登場する馬はサラブレッドの倍くらいの体重がある、マッチョな農耕馬たちで、コースは2箇所の障害(坂道)を設けた200mの直線コースだ。この、シンプルなコースを、馬たちは鉄製で合計500kgにもなる重く巨大なそりに、騎手と荷物を乗せ、時に休みながらも、のっしのっしと1歩ずつ歩く。スピードではなく、持久力とパワーを競う競技なのだ。

ノロノロしててつまんないんじゃないの、なんて思うかもしれないが、それは違う。気温が低いため、馬の鼻息が豪快に白く目視でき、いかに彼らが全力で筋肉を収縮させているかがよくわかる。見るからに重そうな荷物を、野生味溢れる身のこなしで、真っ向から引いていく姿は、人間には想像もできないパワフルな迫力に満ちている。上り坂では、その太い筋肉にも乳酸がたまりきり、多くの馬たちがついに力尽きる様子も実感できる。それでも最も強い馬は、見事にそれを上りきり、ゴールするのだ。その姿には、感動さえ覚える。

55点
リアルで現代的なテーマを扱った若者向きミュージカル

この映画の原作となったミュージカルは、ピューリッツァー賞も取ったブロードウェイの大ヒット作。歌とドラマの融合たるミュージカルという、非常にクラシカルな雛型に、HIVや同性愛といった現代的なテーマを盛り込んであるのが特徴で、ロックやゴスペルなど、使われる曲も若者向けとなっている。

話の始まりは89年のクリスマスイブで、そこから1年間に起こる、仲間たちの悲喜こもごもを描いた群像劇。登場人物は個性的で、みなミュージシャンや映画作家、ダンサーなど、芸術志向の若者ばかり。分かれたカノジョが今度は女とつきあっていたり、親友はドラッグクイーンとつきあっていたりと、あたりまえのように同性愛がそこには存在する。

そうした三角関係や、新しい恋、または、かつて仲間だったヤツが、今は玉の輿に乗って、自分たちを家主と一緒に追い出そうとする側にいるなど、様々なドラマが交錯する。

55点
日本の観客に遠慮しているように見えるが、実はそうでもない

今週は、ジャッキー・チェン(『THE MYTH 神話』)とジェット・リーの新作が揃い踏みという、両クンフースターのファンにはこたえられない週となった。とくにこの『SPIRIT』は、主演のジェット・リーが「最後のマーシャル・アーツ映画」と語ったこともあり、彼の格闘アクションを見たい方にとっては、絶対にはずせない一本となっている。(この場合、マーシャル・アーツとは武術全般をさすと思われる)

武闘家の父をもつフォ・ユァンジアは、自ら修練をつみ、やがて武術の達人(ジェット・リー)へと成長する。あるとき彼は、自らの精神的未熟さから、戦った相手を殺してしまう事件を起こし、その結果として家族を失う。だが、その悲しみから大きく成長したフォは、世界初の異種格闘技大会に、単身挑むのだった。

フォ・ユァンジア(霍元甲)とは、20世紀初頭に実在した中国の武術家。つまり本作は、その伝記映画の形をとった武術映画だ。とはいえ、中身は史実とは大幅に異なるフィクション。なにしろこの伝説的人物は、過去に何度も映画化、小説化されており(たとえばブルース・リーの『ドラゴン怒りの鉄拳』(71年)は、この人物の架空の弟子が主人公という設定だ)、それらの内容が中国人の間でもごちゃ混ぜになっている。『SPIRIT』が描く霍元甲の死に方や、その後日談も、実際とは大きく異なるという事を、まずはお知らせしておこう。

55点
一見ティーン向けアクションに見えるが、その本質は……

つい先日、「スタンドアップ」に今週のオススメをつけた覚えがあるシャーリーズ・セロンの主演作が、続けて公開となる。この『イーオン・フラックス』は、彼女のキャリアの中ではめずらしいティーン向けSFアクションで、アメリカのMTVで放映されていた短編アニメーションを実写映画化したものだ。

西暦2011年、人類はウィルスによりその99%が死滅したが、2415年の現在、生存者は城塞都市ブレーニャに集まり、高度な科学技術により理想郷を築いていた。しかし、過剰な管理社会と頻発する謎の失踪事件に不信感を抱く反政府組織モニカンは、最精鋭のひとり、イーオン(S・セロン)に君主暗殺を命じるのだった。

アカデミー主演女優賞を獲得し、いくらでもお上品な映画を選べるはずのシャーリーズ・セロンが、なぜこんなお気楽娯楽映画に出るのか。一見奇妙ではあるが、何の事はない。よくよく中身をみれば、これはレジスタンスが政府と戦う、典型的な左翼政治映画。SFジャンルであるとはいえ、いかにも彼女が好みそうな内容なので、何の不思議もないのである。

55点
新キャストたちによるドラえもん、新規出発

声優、スタッフが一新され、ほぼ1年。そろそろ視聴者にも「新ドラえもん」が浸透してきただろうということで、いよいよ映画版の登場である。選ばれたのは記念すべき劇場用第1作のリメイク。新キャスト、スタッフに「ここから再び伝説を作るのだ」と気合を入れてもらうためにも、良い選択だったのではないかと思う。オリジナルは80年の作品だから、そろそろリメイクしてもバチはあたるまい。

しずかちゃん(声:かかずゆみ)の前でスネ夫(声:関智一)に恐竜の化石を自慢され、対抗心から化石を探しはじめるのび太(声:大原めぐみ)。ひょんな事から恐竜の卵を発見し、見事に首長竜の子供をかえすことに成功する。ピー助(声:神木隆之介)と名づけ、愛情を注ぎ込んで育ててはいたが、徐々に巨大に育つのを見て、もとの時代に戻すことを決意する。ところがドラえもん(声:水田わさび)とタイムマシンで移動中、突然首長竜を狙う恐竜ハンターが現れ、銃撃を受ける。

ストーリーはオリジナルに忠実。テレビの新ドラえもんになじんだ子供たちは、恐竜の時代における大冒険を大いに楽しみ、普段はいじめっ子であるジャイアン(声:木村昴)やスネ夫たちと、のび太の友情に感動できるだろう。

55点
いまさら湾岸戦争か、という気持ちにはなれど

アメリカ映画界というのは興味深いところで、戦争が起きるとこぞって愛国心を煽るような映画を作る。そして一応の終戦をみると、その数年後には先ほどの戦争を反省するかのような内容の映画が作られる。そのパターンで最も記憶に新しいのはベトナム戦争であるが、あれだけの数の反省映画が作られ、少しは進歩したかと思いきや、湾岸戦争でまた同じ事をやっている。要するにアメリカ人というのは、反省しているようで、本質的な部分は何も変わっちゃいないのである。

この『ジャーヘッド』は、いわゆる第一次湾岸戦争(1991年)を舞台にした戦争映画だ。その流れで巻き起こった第二次湾岸戦争(2003年〜)がようやく落ち着いてきたということで、いつものパターンにより、こうした反省モノ映画が公開されるというわけである。ここんところ公開が集中している他の社会派映画(『ミュンヘン』や『シリアナ』など)も、基本的にはこの流行の中にある。

『ジャーヘッド』は、戦争映画としては異質な作品だ。主人公は血気盛んな若者で、荒くれ者揃いで知られる海兵隊の特殊部隊訓練に飛び込み、ついにスナイパーとしてイラクに配属される。ところが時は戦争末期。彼は戦闘とは無縁の退屈な砂漠の中で、ただひたすら時が過ぎるのを待ち、水を飲み、訓練し、そしてまた待つという、想像とはまったく違った戦場を体験することになる。

55点
誰もがとっくに気づいていることを、改めて明言しただけ

本作品は、スティーヴン・スピルバーグ監督久々の本格社会派ドラマということで、大きな注目を浴びている。また、ユダヤ系である彼が、イスラエルに対するテロ事件を題材に描いた作品ということで、各所に大きな波紋を呼んでいる。イスラエル側、パレスチナ側、鑑賞者がどちらの立場に立つかによって、賛否両論に分かれる内容であるためだ。

『ミュンヘン』で題材となるテロ事件「ミュンヘン五輪虐殺事件」とは、72年のオリンピック選手村にパレスチナのテロリスト数名が侵入、コーチと選手の2名を殺し、残りのイスラエル選手団9名を誘拐した事件のこと。『黒い九月』(ブラックセプテンバー)と名乗る犯人グループは、イスラエルに投獄されている仲間234名の釈放を求めて立てこもったが、ドイツ当局の対応のミスにより、のちに人質全員が殺害された。

ちなみに映画は、事件そのものではなく、その後イスラエルが報復として密かに実行した暗殺プロジェクトの様子と、そのリーダーの苦悩を描いた人間ドラマだ。この主人公を、『トロイ』でブラッド・ピット演じるアキレスと、激しい戦いを繰り広げて注目を浴びた、エリック・バナが演じる。

55点
カップルを怖がらせる程度の役には立つが

「悪魔の棲む家」は、79年に映画化されて以来、長きにわたって続いてきたホラーシリーズだ。といっても、日本での人気はイマイチで、よほどのホラー映画ファン以外からはほとんど忘れられたシリーズとなっている。本作は、実話を元にしたオカルト映画という、独特のムードが米国で大受けしたオリジナルの、26年ぶりのリメイクとなる。

1974年、ニューヨーク州ロングアイランド・アミティビルのその「家」で、事件は起こった。一家の長男が、両親と兄弟たちを次々と射殺したのだ。彼はその後自首したが、「家の声」に命じられたという、謎めいた証言を残した……。それから1年後、格安で売りに出されていたこの物件を、ある一家が買い取ったその日から、第2の悲劇が始まるのだった。

のろわれた「家」のパワーにより、恐ろしい目に会う一家のお話だ。ホラー映画として基本がしっかりとしていて、真面目に恐怖演出をやっているため、「怖さ」は結構ある方だ。オカルトらしい不気味さは、霊と通信できる少女や、徐々に狂っていく父、必死に抗う母、幽霊少女などといった、今となっては何の新味もないが、出しておけばそれなりに格好がつく定番要素によって盛り上げられる。

55点
爽快感に欠ける

快傑ゾロを題材にした作品はいくつかあるが、この『レジェンド・オブ・ゾロ』は同じ監督、キャストによる98年の映画『マスク・オブ・ゾロ』の続編だ。

ときは1850年のアメリカ。カリフォルニア州が31番目の州になるか否かを決める、重大な投票がいま、行われようとしている。貧しい者のヒーロー、ゾロことアレハンドロ(アントニオ・バンデラス)は、息子が大きくなりつつあることもあって、ヒーローを引退するはずであったが、選挙を邪魔せんとする勢力から守るため、あと少しだけ"ゾロ"を続ける事を妻(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)に告げる。

古典的かつベーシックな、冒険活劇である。わざわざ7年前の作品の続編を作るからには、何か特別なアイデアでもあるのかと思ったが、そういうことはないようだ。よく言えば定番モノの安心感、悪く言えば単なる二番煎じ続編だ。

55点
大スター初共演の、能天気なカップル映画

大スターひしめくハリウッドを見回していると、ときおり「この未競演の二人で映画を撮ったら、いったいどうなるんだろう?」と思わせる組み合わせがある。この『Mr.&Mrs スミス』に主演しているアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットなどまさにその好例で、その微妙なキャラクターの違いから、どうしても同じ映画に出ているところが想像できない、というパターンのひとつである。つまりは、共演したこと自体がウリになってしまう二人ともいえる。

そんな彼らの初顔合わせは、ラブコメ風味のアクション作品。気楽に笑い、ロマンスにウットリして帰ってね、というカップル映画だ。

最近、ちょっぴりすれ違い気味なスミス夫妻には、お互い絶対に明かせない秘密があった。二人はなんと、対立する別組織に所属する腕利きの殺し屋だったのだ。あるとき、いつもどおり妻(A・ジョリー)が暗殺作戦を遂行していると、偶然同じターゲットを追っていた夫(B・ピット)と接近遭遇してしまう。しかも、それを知った組織からは、現場を見られた相手を殺せとの命令が出てしまう。

55点
独特な世界観がしっかりと構築されている

探偵とは、男の子の多くにとっては夢ある職業である。警察にもお手上げの難事件を、クールな名探偵が飄々と解決してしまう、そんなシチュエーションは永遠の憧れだ。相互リンクしている「探偵ファイル」だって日本一の人気ページだ。やはり、「探偵」という響きには、何か特別な魅力があるのだ。まあそんな男の子たちも、成長して悪いお父さんになったりすると、探偵を何より恐れるようになったりもするのだが。今日も奥さんの手先が背後をつけてないか、みんなも気をつけよう。

さて、この『探偵事務所5” 5ナンバーで呼ばれる探偵達の物語』という長いタイトルの映画における「探偵」は、まだ純情な男の子が憧れる「名探偵」に近い。浮気調査を主とする現実のそれとは違う、夢のある世界である。彼らは、社会の悪をこらしめるのだ。

映画は、二部構成になっていて、前半は成宮寛貴が新米探偵の591(この探偵事務所では5から始まる3桁のコードネームで活動するのだ)を演じ、会長の孫娘の友達の失踪事件を追う。

55点
巨大ボカシが物語世界を断ち切ってしまっている

米国の作家ジョン・アーヴィングの自伝的な要素を含めた作品『未亡人の一生』の前半部分を映画化したもの。あるトラウマを抱えた一家の悲しみと再生を、コメディタッチも含めた穏やかな描写で綴った人間ドラマ。

成功した児童文学作家(ジェフ・ブリッジス)とその妻(キム・ベイシンガー)は、4歳の一人娘(エル・ファニング)と海辺の自宅で裕福に暮らしていたが、数年前のある事件以来、妻は心を閉ざしてしまっていた。やがて彼らは町なかにもう一つ部屋を借り、一日交代で2箇所ですごすという別居生活をはじめることにした。さらに夫は作家志望の高校生を助手として雇うが、あろう事かその少年は作家の妻にひと目ぼれしてしまう。

作家が少年を雇った真の目的や、タイトルが象徴する人生の暗黒面(=誰しも床下に秘密を持っている→それにつながるドアがタイトルの意味)、それに主人公がどう対峙するかがわかる結末まで、少々淡々としたドラマが続く。

55点
娼婦たちに共感を持つことができる

売春婦という職業にスポットをあて、さまざまなインタビューを中心としたドキュメンタリーと、一部ドラマも挿入したスペインの実録作品。短いドラマ部分にはダリル・ハンナら有名俳優も登場する。

さて、映画の大部分は実際の娼婦へのインタビューがしめる。ここに登場する娼婦たちは、年齢、性別、人種、そして高級娼婦から路上で客を取る最底辺の売春婦まで、じつにバラエティに富んでいる。美人もいれば男の子もいる。日本人もいれば黒人もいる。若い子もいれば当然その逆もいる。やせた子もいれば太った人もいる。金持ちもいれば貧乏人もいる。まさに人間社会の縮図だ。

また、娼婦に限らずその周辺の人々、たとえば客や、ポン引きのような男、組織をまとめるボスのような連中にも、話を聞いている。こうしたインタビューは、断片的につなげられ、CGをふんだんに使った背景と組み合わされ、独特の不思議なムードで繰り広げられる。合間には娼婦たちのヌードも多数挿入される。ほとんど無修正なのでヘアも丸見えである。

55点
からくり屋敷でバカ若者が大騒ぎ

ブルース・ウィリス主演のアクション映画。監督は彼のオススメということでフランスのフローラン・エミリオ・シリが起用され、この手のハリウッド大作にしてはちょっとした個性を与えられている。

かつてロス市警きっての交渉人だった主人公(B・ウィリス)は、任務の失敗によるトラウマから現在では平和な田舎町の署長に異動し、静かな日々を過ごしている。そんなある日、完璧な防犯設備を持ち丘のてっぺんに建つ、要塞のような富豪の屋敷に犯罪者が篭城する事件が起きる。

原作はアマゾンドットコムの2000年度のベストミステリに選ばれた作品で、それを読んだブルースがたいそう気に入ったことから始まった企画らしい。彼は翌朝から交渉をはじめ、夕方にはすでに映画化権を買っていたというのだからすごい。映画版では登場人物やエピソードを大幅に削り、シンプルな物語に構成しなおしてある。こじんまりとうまくまとめたが、終わってみれば予想通りのお話といった平凡な印象であった。

55点
アレンお得意の会話の応酬もやや不発気味

恋愛模様を絡めたコメディには定評のある映画監督ウディ・アレンによる2002年の作品。

かつてオスカーを手にしたこともある映画監督(W・アレン)は、いまや落ちぶれてろくな仕事もこない。そんなある日、プロデューサーの元妻(ティア・レオーニ)から大作の話が舞い込むが、その製作会社の担当役員は、よりにもよって妻を寝取った男だった。重なる心労から主人公は、クランクイン直前に心因性の失明になってしまう。

例によって監督のアレン自身が主演するコメディドラマだ。ハリウッドのしがらみと背に腹は変えられない経済的な事情により、よりにもよって娯楽大作を撮る羽目になってしまう主人公。映画作家として思うように仕事を進められない苦悩やストレスを、軽快な笑いに変えてしまうあたりが、いかにもこの監督らしい業界への皮肉といったところだ。

55点
ビョン様最新作はクールなバイオレンス映画

いまや日本でもっとも人気があるといっても過言ではない韓国スター、イ・ビョンホンの最新作。日韓同時公開の犯罪ドラマ。

ソウルの高級ホテルのマネージャー(イ・ビョンホン)は、信頼されるボスから留守中に愛人(シン・ミナ)を見張れと命じられる。彼は、万が一彼女が不貞をはたらいていた場合、殺すか連絡せよといわれていたが、案の定女は若い男を招き入れていた。現場に踏み込んだ彼は、彼女の思わぬ魅力に制裁を躊躇し、男を逃がし、事件をもみ消そうとするが、それはボスへの裏切りにほかならなかった。

この作品でイ・ビョンホンは、先日最終回を迎えた『美しき日々』で妹役を演じていたシン・ミナの魅力にハマってしまうクールな男を演じる。闇社会をそつなく渡り歩いてきた主人公が、一人の女のために道を踏み外し、彼らから復讐を受けることになる。壮絶なバイオレンス描写は本作の見所のひとつだ。

55点
元気いっぱいの美少女ヒーローアニメーション

いたいけな子供たちからオトナのオトモダチまで大人気の美少女アニメ映画版。なぜかはよくわからないが、方々から「お前が書かないでどうする」といわれたので、がんばって書くことにした。

勉強よりもスポーツが好きな美墨なぎさ(声:本名陽子)と、成績優秀ながらも天然という雪城ほのか(声:ゆかな)、二人は同じ中学校に通う友達同士だ。彼女たちは光の園からやってきた可愛らしい小動物のようなメップルとミップルによって変身能力を与えられ、光の使者プリキュアとして邪悪な敵を倒しつづけている。

さて、映画版ではこの二人がいわゆる傭兵として「希望の園」へ行き、その国の宝物を悪から守るというお話だ。もちろん「マックスハート」であるから、九条ひかり=シャイニールミナスも二人と一緒にそこへ向かう。(でもあまり見せ場はない)

55点
この上ないリラックス気分に浸る事ができる

良質な小品を送り出すことでファンの多いジム・ジャームッシュ監督の最新作。10数年にわたって撮りためた「コーヒーとタバコにまつわる短編」11篇を97分間にまとめたオムニバス作品。

11篇の内容は、本プロジェクトのきっかけとなったロベルト・ベニーニ出演の『変な出会い』をはじめ、撮影された時代も、撮影監督も、ストーリー(らしきもの?)も、そして出演者も様々なショートストーリー。共通しているのは、どの登場人物もやたらとタバコを吸い、コーヒー(ときに紅茶)を飲みながら(ほとんどが)くだらない会話をしているという事。喫茶店で隣に座った見知らぬ人間の会話をこっそり聞いているような気分になれる映画、とでもいっておこうか。

「とりとめのない会話なんぞ聞いてて飽きないのか?」と問われれば、そりゃ11篇もあるのだから途中で眠くなることもあるだろう。そういう時は遠慮なく眠ったら、と思えるほど、リラックスさせてくれる一本だ。

55点
新味ない予定調和の物語だが、それなりに見れる家族映画

実写とCGの合成で描いた動物ドラマ。

舞台はアメリカ、ケンタッキー州の牧場。心やさしい農場主に拾われたシマウマの赤ちゃん(声:フランキー・ムニッズ)は、仲間の動物たちに見守られてたくましく成長する。彼は、隣の牧場で訓練を続けるサラブレッドたちを見ながら育ったため、自分も見た目がちょっと違うだけで、同じ馬だと思い込んでいる。走るのが好きな彼は、やがて自分もレースに出たいと言い出すのだが……。

CGの力を借りて動物たちが人間のように演技をする、楽しいファミリー映画だ。セリフをあてるのはハリウッドスターによる豪華声優陣。キャスト表にはウーピー・ゴールドバーグ、ダスティン・ホフマンといったといった大御所も名前を連ねる。

55点
アレキサンダーはゲイだった?!

歴史上初めて世界を統一した英雄といわれるマケドニアのアレキサンダー大王(ギリシャ語形アレクサンドロス)の生涯を、総製作費200億円を費やして描いた歴史超大作。

ときは大王の死後40年、世界中の知性を集めたアレキサンドロス図書館で口述筆記をしているのは、大王のもと側近でありファラオのプトレマイオス(アンソニー・ホプキンス)。彼がアレキサンダー(コリン・ファレル)の生涯とその死の謎を語る形で映画は始まる。

アレキサンダー大王といえば、紀元前356〜前323年までのわずか32年間の生涯で、史上最大の大帝国を築いた歴史上の英雄。なかでもこの映画では8年間に渡る東方遠征の、戦いに明け暮れた日々を中心に描いている。当時無敵を誇ったペルシャ帝国の軍を圧倒的に少ない軍勢で倒し、西はギリシャから東はインドまで勝ち進んでいった彼の進撃の様子を、「プラトーン」のオリバー・ストーン監督が斬新な解釈で描いているのが特徴だ。

55点
女性が年上のカップルにオススメだ

43歳の黒木瞳が、ジャニーズ岡田准一と共演するラブ・ストーリー。熟女×イケメン若者という、企画モノ恋愛映画といっていいだろう。

若き実業家の夫を持ち、自身もショップ経営者として成功する41歳のヒロイン(黒木)は、友人の18歳の息子(岡田)と恋に落ち、東京タワーの見えるマンションでデートを重ねている。一方、彼の悪友(松本潤)も年上の人妻(寺島しのぶ)と、エスカレートしていく過激な恋愛を楽しんでいた。

上記2カップルとも、いわゆる「年上好きの若者」と「熟女」の組み合わせであり、当然のこと世間で言う「不倫」である。とはいえ、その背景は微妙に異なる。

55点
リアリティがやや欠如しているのがネック

オスカー俳優デンゼル・ワシントン&天才子役ダコタ・ファニング競演の、少女誘拐と復讐のドラマ。原作はA・J・クィネルの小説『燃える男』。

長い間、米軍で暗殺の任務をこなしていた主人公ジョン・クリーシー(D・ワシントン)は、その血なまぐさい仕事に嫌気がさし、同時に自らの人生にも無気力になっていた。そんなある日、メキシコで活躍中の米国人実業家の娘(D・ファニング)のボディガード職を紹介された彼は、純粋でやさしい少女と交流していくうちに、心を開くようになる。ところが、凄腕の彼が護衛していたにもかかわらず少女は武装集団に誘拐され、自らも瀕死の重傷を負ってしまう。

演技派キャストをそろえた重厚なアクションバイオレンス作品だ。舞台はメキシコだが、誘拐事件が頻発する犯罪大国の側面を重点的に描き、劇中の少女もついにビジネス誘拐団の魔の手にかかってしまう。前半は主人公と少女の交流を、後半は主人公が鬼のように豹変するすさまじい復讐の旅をじっくりと描く。

55点
差別など吹っ飛ばす勢いの明るい映画

結合双生児(俗にいうシャム双生児)が主人公という、きわどいネタのドタバタコメディ。人気スターのマット・デイモンが主演。

主人公は腰の部分で体がくっついている結合双生児の兄弟。弟(マット・デイモン)は奥手で、長年のメルトモにはいまだに自分の境遇を打ち明けられない。社交的でナンパもお手の物の兄がカジュアルセックスにふける横で、今日もさびしくメルトモを思っている。そんなある日、映画スターを目指す兄は、ついにハリウッド行きを決意するのだが……。

フリークスを思い切りネタにした、すごい映画の登場だ。日本での公開にはさすがにどの会社も躊躇したようだが、なんとか配給会社も決まり無事封切られることになった。それにしてもこの邦題はすごい。なんといっても文字通りクギづけなのは兄弟二人なんだから。

55点
大作感たっぷりの重厚な一本

高村薫のベストセラーである社会派ミステリを映画化。原作は、お菓子に青酸を混入するといって企業を脅した「グリコ・森永事件」を発想のベースにしている事で知られる。

ビール業界トップの会社社長(長塚京三)が誘拐された。誘拐犯たちは自らをレディ・ジョーカーと名乗る5人組。大胆な要求を行う彼らだが、その正体は小さな薬局の店主(渡哲也)やトラック運転手、信用金庫職員ら、社会の片隅で生きる平凡な男たちだった。

レディ・ジョーカーとは、メンバーの一人の娘で重度の障害をもつ車椅子の少女につけられた愛称「レディ」からとっている。決して金目当ての悪党ではない、愛すべきこの誘拐集団の真の目的が何なのか、やがて明らかになって行く。

55点
5億円をかけた豪華な自主映画

アダルトビデオ最大手ソフト・オン・デマンドの社長高橋がなりが、テリー伊藤らと製作した自主映画。上映劇場募集のTVCMが話題を呼んだが、このたびめでたく新宿シネマミラノでの上映が決定した(R-15指定)。

人気レスラーの獅子王(橋本真也)の自宅新築パーティーで、彼に恨みを持ったレスラー(ニコラス・ペタス)の乱入を契機に大乱闘が始まる。出席していたレスラーたちが大暴れし、やがて新居は大破。しかも獅子王の愛妻が負傷し、彼はその治療費と自宅の再建のため大借金を背負うはめになる。

自主映画といいながらも総製作費は5億円、現役プロレスラーの橋本真也やK1選手のニコラス・ペタス、映画初出演のアイドルソニン、そして演技派の佐野史郎などのキャストをそろえた、ある意味贅沢な作品。ゲスト的に顔を出す著名な出演者も何名かいて、時折おやっと思わせる。

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