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2121件中 1401~1450件 を表示しています。
55点
日本の観客に遠慮しているように見えるが、実はそうでもない

今週は、ジャッキー・チェン(『THE MYTH 神話』)とジェット・リーの新作が揃い踏みという、両クンフースターのファンにはこたえられない週となった。とくにこの『SPIRIT』は、主演のジェット・リーが「最後のマーシャル・アーツ映画」と語ったこともあり、彼の格闘アクションを見たい方にとっては、絶対にはずせない一本となっている。(この場合、マーシャル・アーツとは武術全般をさすと思われる)

武闘家の父をもつフォ・ユァンジアは、自ら修練をつみ、やがて武術の達人(ジェット・リー)へと成長する。あるとき彼は、自らの精神的未熟さから、戦った相手を殺してしまう事件を起こし、その結果として家族を失う。だが、その悲しみから大きく成長したフォは、世界初の異種格闘技大会に、単身挑むのだった。

フォ・ユァンジア(霍元甲)とは、20世紀初頭に実在した中国の武術家。つまり本作は、その伝記映画の形をとった武術映画だ。とはいえ、中身は史実とは大幅に異なるフィクション。なにしろこの伝説的人物は、過去に何度も映画化、小説化されており(たとえばブルース・リーの『ドラゴン怒りの鉄拳』(71年)は、この人物の架空の弟子が主人公という設定だ)、それらの内容が中国人の間でもごちゃ混ぜになっている。『SPIRIT』が描く霍元甲の死に方や、その後日談も、実際とは大きく異なるという事を、まずはお知らせしておこう。

55点
一見ティーン向けアクションに見えるが、その本質は……

つい先日、「スタンドアップ」に今週のオススメをつけた覚えがあるシャーリーズ・セロンの主演作が、続けて公開となる。この『イーオン・フラックス』は、彼女のキャリアの中ではめずらしいティーン向けSFアクションで、アメリカのMTVで放映されていた短編アニメーションを実写映画化したものだ。

西暦2011年、人類はウィルスによりその99%が死滅したが、2415年の現在、生存者は城塞都市ブレーニャに集まり、高度な科学技術により理想郷を築いていた。しかし、過剰な管理社会と頻発する謎の失踪事件に不信感を抱く反政府組織モニカンは、最精鋭のひとり、イーオン(S・セロン)に君主暗殺を命じるのだった。

アカデミー主演女優賞を獲得し、いくらでもお上品な映画を選べるはずのシャーリーズ・セロンが、なぜこんなお気楽娯楽映画に出るのか。一見奇妙ではあるが、何の事はない。よくよく中身をみれば、これはレジスタンスが政府と戦う、典型的な左翼政治映画。SFジャンルであるとはいえ、いかにも彼女が好みそうな内容なので、何の不思議もないのである。

55点
新キャストたちによるドラえもん、新規出発

声優、スタッフが一新され、ほぼ1年。そろそろ視聴者にも「新ドラえもん」が浸透してきただろうということで、いよいよ映画版の登場である。選ばれたのは記念すべき劇場用第1作のリメイク。新キャスト、スタッフに「ここから再び伝説を作るのだ」と気合を入れてもらうためにも、良い選択だったのではないかと思う。オリジナルは80年の作品だから、そろそろリメイクしてもバチはあたるまい。

しずかちゃん(声:かかずゆみ)の前でスネ夫(声:関智一)に恐竜の化石を自慢され、対抗心から化石を探しはじめるのび太(声:大原めぐみ)。ひょんな事から恐竜の卵を発見し、見事に首長竜の子供をかえすことに成功する。ピー助(声:神木隆之介)と名づけ、愛情を注ぎ込んで育ててはいたが、徐々に巨大に育つのを見て、もとの時代に戻すことを決意する。ところがドラえもん(声:水田わさび)とタイムマシンで移動中、突然首長竜を狙う恐竜ハンターが現れ、銃撃を受ける。

ストーリーはオリジナルに忠実。テレビの新ドラえもんになじんだ子供たちは、恐竜の時代における大冒険を大いに楽しみ、普段はいじめっ子であるジャイアン(声:木村昴)やスネ夫たちと、のび太の友情に感動できるだろう。

55点
いまさら湾岸戦争か、という気持ちにはなれど

アメリカ映画界というのは興味深いところで、戦争が起きるとこぞって愛国心を煽るような映画を作る。そして一応の終戦をみると、その数年後には先ほどの戦争を反省するかのような内容の映画が作られる。そのパターンで最も記憶に新しいのはベトナム戦争であるが、あれだけの数の反省映画が作られ、少しは進歩したかと思いきや、湾岸戦争でまた同じ事をやっている。要するにアメリカ人というのは、反省しているようで、本質的な部分は何も変わっちゃいないのである。

この『ジャーヘッド』は、いわゆる第一次湾岸戦争(1991年)を舞台にした戦争映画だ。その流れで巻き起こった第二次湾岸戦争(2003年〜)がようやく落ち着いてきたということで、いつものパターンにより、こうした反省モノ映画が公開されるというわけである。ここんところ公開が集中している他の社会派映画(『ミュンヘン』や『シリアナ』など)も、基本的にはこの流行の中にある。

『ジャーヘッド』は、戦争映画としては異質な作品だ。主人公は血気盛んな若者で、荒くれ者揃いで知られる海兵隊の特殊部隊訓練に飛び込み、ついにスナイパーとしてイラクに配属される。ところが時は戦争末期。彼は戦闘とは無縁の退屈な砂漠の中で、ただひたすら時が過ぎるのを待ち、水を飲み、訓練し、そしてまた待つという、想像とはまったく違った戦場を体験することになる。

55点
誰もがとっくに気づいていることを、改めて明言しただけ

本作品は、スティーヴン・スピルバーグ監督久々の本格社会派ドラマということで、大きな注目を浴びている。また、ユダヤ系である彼が、イスラエルに対するテロ事件を題材に描いた作品ということで、各所に大きな波紋を呼んでいる。イスラエル側、パレスチナ側、鑑賞者がどちらの立場に立つかによって、賛否両論に分かれる内容であるためだ。

『ミュンヘン』で題材となるテロ事件「ミュンヘン五輪虐殺事件」とは、72年のオリンピック選手村にパレスチナのテロリスト数名が侵入、コーチと選手の2名を殺し、残りのイスラエル選手団9名を誘拐した事件のこと。『黒い九月』(ブラックセプテンバー)と名乗る犯人グループは、イスラエルに投獄されている仲間234名の釈放を求めて立てこもったが、ドイツ当局の対応のミスにより、のちに人質全員が殺害された。

ちなみに映画は、事件そのものではなく、その後イスラエルが報復として密かに実行した暗殺プロジェクトの様子と、そのリーダーの苦悩を描いた人間ドラマだ。この主人公を、『トロイ』でブラッド・ピット演じるアキレスと、激しい戦いを繰り広げて注目を浴びた、エリック・バナが演じる。

55点
カップルを怖がらせる程度の役には立つが

「悪魔の棲む家」は、79年に映画化されて以来、長きにわたって続いてきたホラーシリーズだ。といっても、日本での人気はイマイチで、よほどのホラー映画ファン以外からはほとんど忘れられたシリーズとなっている。本作は、実話を元にしたオカルト映画という、独特のムードが米国で大受けしたオリジナルの、26年ぶりのリメイクとなる。

1974年、ニューヨーク州ロングアイランド・アミティビルのその「家」で、事件は起こった。一家の長男が、両親と兄弟たちを次々と射殺したのだ。彼はその後自首したが、「家の声」に命じられたという、謎めいた証言を残した……。それから1年後、格安で売りに出されていたこの物件を、ある一家が買い取ったその日から、第2の悲劇が始まるのだった。

のろわれた「家」のパワーにより、恐ろしい目に会う一家のお話だ。ホラー映画として基本がしっかりとしていて、真面目に恐怖演出をやっているため、「怖さ」は結構ある方だ。オカルトらしい不気味さは、霊と通信できる少女や、徐々に狂っていく父、必死に抗う母、幽霊少女などといった、今となっては何の新味もないが、出しておけばそれなりに格好がつく定番要素によって盛り上げられる。

55点
爽快感に欠ける

快傑ゾロを題材にした作品はいくつかあるが、この『レジェンド・オブ・ゾロ』は同じ監督、キャストによる98年の映画『マスク・オブ・ゾロ』の続編だ。

ときは1850年のアメリカ。カリフォルニア州が31番目の州になるか否かを決める、重大な投票がいま、行われようとしている。貧しい者のヒーロー、ゾロことアレハンドロ(アントニオ・バンデラス)は、息子が大きくなりつつあることもあって、ヒーローを引退するはずであったが、選挙を邪魔せんとする勢力から守るため、あと少しだけ"ゾロ"を続ける事を妻(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)に告げる。

古典的かつベーシックな、冒険活劇である。わざわざ7年前の作品の続編を作るからには、何か特別なアイデアでもあるのかと思ったが、そういうことはないようだ。よく言えば定番モノの安心感、悪く言えば単なる二番煎じ続編だ。

55点
大スター初共演の、能天気なカップル映画

大スターひしめくハリウッドを見回していると、ときおり「この未競演の二人で映画を撮ったら、いったいどうなるんだろう?」と思わせる組み合わせがある。この『Mr.&Mrs スミス』に主演しているアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットなどまさにその好例で、その微妙なキャラクターの違いから、どうしても同じ映画に出ているところが想像できない、というパターンのひとつである。つまりは、共演したこと自体がウリになってしまう二人ともいえる。

そんな彼らの初顔合わせは、ラブコメ風味のアクション作品。気楽に笑い、ロマンスにウットリして帰ってね、というカップル映画だ。

最近、ちょっぴりすれ違い気味なスミス夫妻には、お互い絶対に明かせない秘密があった。二人はなんと、対立する別組織に所属する腕利きの殺し屋だったのだ。あるとき、いつもどおり妻(A・ジョリー)が暗殺作戦を遂行していると、偶然同じターゲットを追っていた夫(B・ピット)と接近遭遇してしまう。しかも、それを知った組織からは、現場を見られた相手を殺せとの命令が出てしまう。

55点
独特な世界観がしっかりと構築されている

探偵とは、男の子の多くにとっては夢ある職業である。警察にもお手上げの難事件を、クールな名探偵が飄々と解決してしまう、そんなシチュエーションは永遠の憧れだ。相互リンクしている「探偵ファイル」だって日本一の人気ページだ。やはり、「探偵」という響きには、何か特別な魅力があるのだ。まあそんな男の子たちも、成長して悪いお父さんになったりすると、探偵を何より恐れるようになったりもするのだが。今日も奥さんの手先が背後をつけてないか、みんなも気をつけよう。

さて、この『探偵事務所5” 5ナンバーで呼ばれる探偵達の物語』という長いタイトルの映画における「探偵」は、まだ純情な男の子が憧れる「名探偵」に近い。浮気調査を主とする現実のそれとは違う、夢のある世界である。彼らは、社会の悪をこらしめるのだ。

映画は、二部構成になっていて、前半は成宮寛貴が新米探偵の591(この探偵事務所では5から始まる3桁のコードネームで活動するのだ)を演じ、会長の孫娘の友達の失踪事件を追う。

55点
巨大ボカシが物語世界を断ち切ってしまっている

米国の作家ジョン・アーヴィングの自伝的な要素を含めた作品『未亡人の一生』の前半部分を映画化したもの。あるトラウマを抱えた一家の悲しみと再生を、コメディタッチも含めた穏やかな描写で綴った人間ドラマ。

成功した児童文学作家(ジェフ・ブリッジス)とその妻(キム・ベイシンガー)は、4歳の一人娘(エル・ファニング)と海辺の自宅で裕福に暮らしていたが、数年前のある事件以来、妻は心を閉ざしてしまっていた。やがて彼らは町なかにもう一つ部屋を借り、一日交代で2箇所ですごすという別居生活をはじめることにした。さらに夫は作家志望の高校生を助手として雇うが、あろう事かその少年は作家の妻にひと目ぼれしてしまう。

作家が少年を雇った真の目的や、タイトルが象徴する人生の暗黒面(=誰しも床下に秘密を持っている→それにつながるドアがタイトルの意味)、それに主人公がどう対峙するかがわかる結末まで、少々淡々としたドラマが続く。

55点
娼婦たちに共感を持つことができる

売春婦という職業にスポットをあて、さまざまなインタビューを中心としたドキュメンタリーと、一部ドラマも挿入したスペインの実録作品。短いドラマ部分にはダリル・ハンナら有名俳優も登場する。

さて、映画の大部分は実際の娼婦へのインタビューがしめる。ここに登場する娼婦たちは、年齢、性別、人種、そして高級娼婦から路上で客を取る最底辺の売春婦まで、じつにバラエティに富んでいる。美人もいれば男の子もいる。日本人もいれば黒人もいる。若い子もいれば当然その逆もいる。やせた子もいれば太った人もいる。金持ちもいれば貧乏人もいる。まさに人間社会の縮図だ。

また、娼婦に限らずその周辺の人々、たとえば客や、ポン引きのような男、組織をまとめるボスのような連中にも、話を聞いている。こうしたインタビューは、断片的につなげられ、CGをふんだんに使った背景と組み合わされ、独特の不思議なムードで繰り広げられる。合間には娼婦たちのヌードも多数挿入される。ほとんど無修正なのでヘアも丸見えである。

55点
からくり屋敷でバカ若者が大騒ぎ

ブルース・ウィリス主演のアクション映画。監督は彼のオススメということでフランスのフローラン・エミリオ・シリが起用され、この手のハリウッド大作にしてはちょっとした個性を与えられている。

かつてロス市警きっての交渉人だった主人公(B・ウィリス)は、任務の失敗によるトラウマから現在では平和な田舎町の署長に異動し、静かな日々を過ごしている。そんなある日、完璧な防犯設備を持ち丘のてっぺんに建つ、要塞のような富豪の屋敷に犯罪者が篭城する事件が起きる。

原作はアマゾンドットコムの2000年度のベストミステリに選ばれた作品で、それを読んだブルースがたいそう気に入ったことから始まった企画らしい。彼は翌朝から交渉をはじめ、夕方にはすでに映画化権を買っていたというのだからすごい。映画版では登場人物やエピソードを大幅に削り、シンプルな物語に構成しなおしてある。こじんまりとうまくまとめたが、終わってみれば予想通りのお話といった平凡な印象であった。

55点
アレンお得意の会話の応酬もやや不発気味

恋愛模様を絡めたコメディには定評のある映画監督ウディ・アレンによる2002年の作品。

かつてオスカーを手にしたこともある映画監督(W・アレン)は、いまや落ちぶれてろくな仕事もこない。そんなある日、プロデューサーの元妻(ティア・レオーニ)から大作の話が舞い込むが、その製作会社の担当役員は、よりにもよって妻を寝取った男だった。重なる心労から主人公は、クランクイン直前に心因性の失明になってしまう。

例によって監督のアレン自身が主演するコメディドラマだ。ハリウッドのしがらみと背に腹は変えられない経済的な事情により、よりにもよって娯楽大作を撮る羽目になってしまう主人公。映画作家として思うように仕事を進められない苦悩やストレスを、軽快な笑いに変えてしまうあたりが、いかにもこの監督らしい業界への皮肉といったところだ。

55点
ビョン様最新作はクールなバイオレンス映画

いまや日本でもっとも人気があるといっても過言ではない韓国スター、イ・ビョンホンの最新作。日韓同時公開の犯罪ドラマ。

ソウルの高級ホテルのマネージャー(イ・ビョンホン)は、信頼されるボスから留守中に愛人(シン・ミナ)を見張れと命じられる。彼は、万が一彼女が不貞をはたらいていた場合、殺すか連絡せよといわれていたが、案の定女は若い男を招き入れていた。現場に踏み込んだ彼は、彼女の思わぬ魅力に制裁を躊躇し、男を逃がし、事件をもみ消そうとするが、それはボスへの裏切りにほかならなかった。

この作品でイ・ビョンホンは、先日最終回を迎えた『美しき日々』で妹役を演じていたシン・ミナの魅力にハマってしまうクールな男を演じる。闇社会をそつなく渡り歩いてきた主人公が、一人の女のために道を踏み外し、彼らから復讐を受けることになる。壮絶なバイオレンス描写は本作の見所のひとつだ。

55点
元気いっぱいの美少女ヒーローアニメーション

いたいけな子供たちからオトナのオトモダチまで大人気の美少女アニメ映画版。なぜかはよくわからないが、方々から「お前が書かないでどうする」といわれたので、がんばって書くことにした。

勉強よりもスポーツが好きな美墨なぎさ(声:本名陽子)と、成績優秀ながらも天然という雪城ほのか(声:ゆかな)、二人は同じ中学校に通う友達同士だ。彼女たちは光の園からやってきた可愛らしい小動物のようなメップルとミップルによって変身能力を与えられ、光の使者プリキュアとして邪悪な敵を倒しつづけている。

さて、映画版ではこの二人がいわゆる傭兵として「希望の園」へ行き、その国の宝物を悪から守るというお話だ。もちろん「マックスハート」であるから、九条ひかり=シャイニールミナスも二人と一緒にそこへ向かう。(でもあまり見せ場はない)

55点
この上ないリラックス気分に浸る事ができる

良質な小品を送り出すことでファンの多いジム・ジャームッシュ監督の最新作。10数年にわたって撮りためた「コーヒーとタバコにまつわる短編」11篇を97分間にまとめたオムニバス作品。

11篇の内容は、本プロジェクトのきっかけとなったロベルト・ベニーニ出演の『変な出会い』をはじめ、撮影された時代も、撮影監督も、ストーリー(らしきもの?)も、そして出演者も様々なショートストーリー。共通しているのは、どの登場人物もやたらとタバコを吸い、コーヒー(ときに紅茶)を飲みながら(ほとんどが)くだらない会話をしているという事。喫茶店で隣に座った見知らぬ人間の会話をこっそり聞いているような気分になれる映画、とでもいっておこうか。

「とりとめのない会話なんぞ聞いてて飽きないのか?」と問われれば、そりゃ11篇もあるのだから途中で眠くなることもあるだろう。そういう時は遠慮なく眠ったら、と思えるほど、リラックスさせてくれる一本だ。

55点
新味ない予定調和の物語だが、それなりに見れる家族映画

実写とCGの合成で描いた動物ドラマ。

舞台はアメリカ、ケンタッキー州の牧場。心やさしい農場主に拾われたシマウマの赤ちゃん(声:フランキー・ムニッズ)は、仲間の動物たちに見守られてたくましく成長する。彼は、隣の牧場で訓練を続けるサラブレッドたちを見ながら育ったため、自分も見た目がちょっと違うだけで、同じ馬だと思い込んでいる。走るのが好きな彼は、やがて自分もレースに出たいと言い出すのだが……。

CGの力を借りて動物たちが人間のように演技をする、楽しいファミリー映画だ。セリフをあてるのはハリウッドスターによる豪華声優陣。キャスト表にはウーピー・ゴールドバーグ、ダスティン・ホフマンといったといった大御所も名前を連ねる。

55点
アレキサンダーはゲイだった?!

歴史上初めて世界を統一した英雄といわれるマケドニアのアレキサンダー大王(ギリシャ語形アレクサンドロス)の生涯を、総製作費200億円を費やして描いた歴史超大作。

ときは大王の死後40年、世界中の知性を集めたアレキサンドロス図書館で口述筆記をしているのは、大王のもと側近でありファラオのプトレマイオス(アンソニー・ホプキンス)。彼がアレキサンダー(コリン・ファレル)の生涯とその死の謎を語る形で映画は始まる。

アレキサンダー大王といえば、紀元前356〜前323年までのわずか32年間の生涯で、史上最大の大帝国を築いた歴史上の英雄。なかでもこの映画では8年間に渡る東方遠征の、戦いに明け暮れた日々を中心に描いている。当時無敵を誇ったペルシャ帝国の軍を圧倒的に少ない軍勢で倒し、西はギリシャから東はインドまで勝ち進んでいった彼の進撃の様子を、「プラトーン」のオリバー・ストーン監督が斬新な解釈で描いているのが特徴だ。

55点
女性が年上のカップルにオススメだ

43歳の黒木瞳が、ジャニーズ岡田准一と共演するラブ・ストーリー。熟女×イケメン若者という、企画モノ恋愛映画といっていいだろう。

若き実業家の夫を持ち、自身もショップ経営者として成功する41歳のヒロイン(黒木)は、友人の18歳の息子(岡田)と恋に落ち、東京タワーの見えるマンションでデートを重ねている。一方、彼の悪友(松本潤)も年上の人妻(寺島しのぶ)と、エスカレートしていく過激な恋愛を楽しんでいた。

上記2カップルとも、いわゆる「年上好きの若者」と「熟女」の組み合わせであり、当然のこと世間で言う「不倫」である。とはいえ、その背景は微妙に異なる。

55点
リアリティがやや欠如しているのがネック

オスカー俳優デンゼル・ワシントン&天才子役ダコタ・ファニング競演の、少女誘拐と復讐のドラマ。原作はA・J・クィネルの小説『燃える男』。

長い間、米軍で暗殺の任務をこなしていた主人公ジョン・クリーシー(D・ワシントン)は、その血なまぐさい仕事に嫌気がさし、同時に自らの人生にも無気力になっていた。そんなある日、メキシコで活躍中の米国人実業家の娘(D・ファニング)のボディガード職を紹介された彼は、純粋でやさしい少女と交流していくうちに、心を開くようになる。ところが、凄腕の彼が護衛していたにもかかわらず少女は武装集団に誘拐され、自らも瀕死の重傷を負ってしまう。

演技派キャストをそろえた重厚なアクションバイオレンス作品だ。舞台はメキシコだが、誘拐事件が頻発する犯罪大国の側面を重点的に描き、劇中の少女もついにビジネス誘拐団の魔の手にかかってしまう。前半は主人公と少女の交流を、後半は主人公が鬼のように豹変するすさまじい復讐の旅をじっくりと描く。

55点
差別など吹っ飛ばす勢いの明るい映画

結合双生児(俗にいうシャム双生児)が主人公という、きわどいネタのドタバタコメディ。人気スターのマット・デイモンが主演。

主人公は腰の部分で体がくっついている結合双生児の兄弟。弟(マット・デイモン)は奥手で、長年のメルトモにはいまだに自分の境遇を打ち明けられない。社交的でナンパもお手の物の兄がカジュアルセックスにふける横で、今日もさびしくメルトモを思っている。そんなある日、映画スターを目指す兄は、ついにハリウッド行きを決意するのだが……。

フリークスを思い切りネタにした、すごい映画の登場だ。日本での公開にはさすがにどの会社も躊躇したようだが、なんとか配給会社も決まり無事封切られることになった。それにしてもこの邦題はすごい。なんといっても文字通りクギづけなのは兄弟二人なんだから。

55点
大作感たっぷりの重厚な一本

高村薫のベストセラーである社会派ミステリを映画化。原作は、お菓子に青酸を混入するといって企業を脅した「グリコ・森永事件」を発想のベースにしている事で知られる。

ビール業界トップの会社社長(長塚京三)が誘拐された。誘拐犯たちは自らをレディ・ジョーカーと名乗る5人組。大胆な要求を行う彼らだが、その正体は小さな薬局の店主(渡哲也)やトラック運転手、信用金庫職員ら、社会の片隅で生きる平凡な男たちだった。

レディ・ジョーカーとは、メンバーの一人の娘で重度の障害をもつ車椅子の少女につけられた愛称「レディ」からとっている。決して金目当ての悪党ではない、愛すべきこの誘拐集団の真の目的が何なのか、やがて明らかになって行く。

55点
5億円をかけた豪華な自主映画

アダルトビデオ最大手ソフト・オン・デマンドの社長高橋がなりが、テリー伊藤らと製作した自主映画。上映劇場募集のTVCMが話題を呼んだが、このたびめでたく新宿シネマミラノでの上映が決定した(R-15指定)。

人気レスラーの獅子王(橋本真也)の自宅新築パーティーで、彼に恨みを持ったレスラー(ニコラス・ペタス)の乱入を契機に大乱闘が始まる。出席していたレスラーたちが大暴れし、やがて新居は大破。しかも獅子王の愛妻が負傷し、彼はその治療費と自宅の再建のため大借金を背負うはめになる。

自主映画といいながらも総製作費は5億円、現役プロレスラーの橋本真也やK1選手のニコラス・ペタス、映画初出演のアイドルソニン、そして演技派の佐野史郎などのキャストをそろえた、ある意味贅沢な作品。ゲスト的に顔を出す著名な出演者も何名かいて、時折おやっと思わせる。

55点
黒沢あすかのヌードが見所?

奥田瑛二がホームレスの画家を、黒沢あすかがオールヌードのモデルを演じる異色のラブストーリー。

もと画家のホームレス(奥田瑛二)が、拾ったダンボール板に墨汁で描いた絵を、毎日必ず買っていく女(黒沢あすか)がいた。女は有名画廊のバイヤーで、男に大作を描いてほしいと頼むが、なぜか彼はかたくなに拒む。そんなある日、男は発作を起こして病院にかつぎこまれてしまう。

ホームレスがダンボールに絵を描き、売って暮らすという発想は面白い。映画的だし、いいアイデアだ。この男を演じるのは画家としても活躍する奥田瑛二で、劇中の絵はすべて本人が描いている。どの絵も独特の個性を感じさせる見事な作品で、その制作課程を見ているだけである程度は楽しめる。

55点
セガール、容赦せん!

『少林サッカー』『HERO』『LOVERS』のアクション監督が、人気アクションスター、スティーブン・セガールを主演にメガホンを取ったアクション映画。

タイでバカンス中の少女二人が誘拐された。一人はアメリカ上院議員の娘、そしてもう一人は主人公の元CIA局員ジェイク(S・セガール)の愛娘だった。仲間の釈放を要求する犯行グループに対し、ジェイクはCIA組織を頼らず、自らの手で娘を奪還することを決意する。

セガール主演映画なので、過去の出演作とは何の関連もないにもかかわらず、自動的にタイトルが『沈黙の〜』になっている。まあ、内容がいつもどおりの「無敵セガールの独壇場」的映画なのだからある意味仕方がない。こうなったら、意地でも最後まで沈黙シリーズとして続けていただきたい。

55点
よく工夫された続編だが……

不況だった香港映画界久々のスマッシュヒットとなった前作の、物語上の時代としては過去にあたるPART2。『インファナル・アフェア』シリーズは3部作なので、近々完結編も日本で公開される。このパート2では、前作の主人公二人がそれぞれスパイになるまでの過程、若き日の様子が描かれている。ちなみに、前作を盛り上げた主演のスター二人(アンディ・ラウ&トニー・レオン)は残念ながら出てこない。

舞台は前作からさかのぼった1991年。香港マフィアのボス、クワンが暗殺された。この暗殺劇は、クワンの部下サムの妻マリーが、彼女を慕うチンピラのラウを使って勝手に行ったものだった。ラウはやがてサムの命令で警察学校へ侵入させられることになる。一方、暗殺されたクワンの私生児であると発覚した警察学校の生徒ヤンは、上司のウォン警部により、マフィア組織への潜入を命じられる。

数多い登場人物は、前作の設定をそのまま受け継いでいる。前作を見ていないとストーリーも登場人物もさっぱりだから、まずはビデオ・DVD等で予習しておきたい。

55点
見た目はゲームに似てきたが、ホラー映画本来の面白さは減った

日本発の人気ホラーゲームの映画化第二弾。前作同様、人気女優ミラ・ジョヴォヴィッチが映画版のオリジナルヒロインを演じる、スタイリッシュなゾンビ映画だ。(ヒロインその他の衣装など、ビジュアル面には、元モデルであるミラの意見が結構反映されているそうだ……本人談)

アンブレラ社の秘密地下施設からなんとか生還したヒロイン(ミラ・ジョボヴィッチ)だが、地上のラクーンシティは無残に荒らされていた。彼女は、特殊部隊S.T.A.R.Sの伝説的な隊員であり、数少ない生存者であるジル・バレンタインらと街からの脱出を試みるが、出口は核兵器により街を消滅させようと企む政府軍によって固められていた。絶体絶命の彼女たちに、「娘を救出してくれれば脱出法を教える」と、謎の電話がかかってくる。

ミラが半裸で街に立つパート1のラストシーンからこの続編は始まる。ストーリーは前作とスムースにつながっており、違和感のないものだ(もちろん、前作の鑑賞は必須となる)。ただし、映画版オリジナルキャラであるアリス(ミラが演じるヒロイン)が、『バイオハザード2 アポカリプス』においてはあまりにムテキ風味なので物語に緊張感が乏しい。

55点
類を見ない強烈さ、本当に世界公開する気なのか?!

藤子不二雄(A)の人気漫画『忍者ハットリくん』を、SMAPの香取慎吾を主演に実写映画化した話題作。

伊賀忍者の服部カンゾウ(香取慎吾)は、父ジンゾウから最後の修行を命じられる。それは、現代の江戸(=東京)で主(あるじ)を見つけ、忍者の掟を破らずに仕えきるというものだった。さっそく江戸にむかったカンゾウは、ひょんなことから小学生の三葉ケンイチに仕えることに決める。

いやはや……なんともすごい映画を作ってしまったものである。「マジで実写でやるのか?!」と、以前から一部で話題となっていた『実写映画版・忍者ハットリくん』は、予想以上にインパクトのある、とんでもない映画であった。

55点
若きカカシ先生の登場にファンも満足?!

週刊少年ジャンプに連載中の人気テレビアニメの初めての劇場版。忍者アカデミーを卒業したばかりの主人公と仲間たちの、友情と成長を描く子供アニメ。11分間の短編『木の葉の里の大うん動会』と2本立て上映となる。

最強忍者、カカシ先生のもと、日々修行を続けるナルトたち。今回の任務は人気映画女優の護衛という退屈なもの。だが、ロケ地が「雪の国」だとしった彼女は態度をなぜか豹変させ、なんと撮影現場から逃亡してしまう。彼女と「雪の国」の、隠された深い関係とは……?!(以上は長編『大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!』のストーリー)

初の映画化は忍術戦闘シーンもたくさん、われらがナルト一味(?)が一致協力、映画オリジナルの悪者キャラチームと死闘を演じる心踊るアクションとなっている。

55点
原作の知名度不足が致命的か

アメリカの人気コミックの映画化作品。人気アメコミといっても、『X-MEN』や『スパイダーマン』『バットマン』といったヒーローものジャンルとは正反対の、ややマニアックなカルト的人気の原作を映画化したものだ。低予算映画ながら本国では思わぬヒットを飛ばし、いくつもの映画賞を受賞した。

主人公は、妻に愛想をつかされ逃げられたさえない中年男。仕事は病院の書類係で、何の面白味もない平凡な日々を送っているダメオヤジだ。そんな彼があるとき一念発起、さえない風貌の自分自身を主人公に、日常の出来事や不満をコミックの脚本に書きなぐる。アングラコミック作家の友人に絵をつけてもらって出版したその『アメリカン・スプレンダー』は、思わぬ人気を呼び、彼の人生をちょびっとだけ上向かせるかに見えたが……。

ダメ中年の波乱万丈人生を笑わせながら、「誰の人生にも輝く幸せがあるものだ」といったテーマを浮きあがらせる個性的なドラマ。アングラコミック風のアクの強い絵柄がアニメで動き出す演出が楽しい。

55点
日本人にはわかりにくい題材だが……

ハリウッドトップスターのニコール・キッドマン主演のヒューマン・ドラマ。授業中に発した一語が差別語と取られて職を追われたユダヤ人元大学教授と、夫から虐待を受け逃亡中の掃除婦の悲恋を中心にした物語。

クリントン元大統領と噂になり、社会問題にまでなったモニカ・ルインスキーネタが何度も出てくることでわかるとおり、1990年代後半〜のアメリカが舞台。今以上に人種差別問題がデリケートだったころのお話だ。『白いカラス』は、壮絶で根の深いこの問題を知る事のできる一本ともいえるだろう。

主人公の大学教授は、差別主義者のレッテルを貼られてクビになるわけだが、実はもう一つ彼には大きな秘密がある。この秘密を守ってきたために彼はここまで出世できたのだが、同時に大きな心の闇を抱えてしまったという設定だ。

55点
特徴的な演出技法と美しい映像が心に残る

コロンバイン高校銃乱射事件直前の一日の少年たちの様子を描いた青春映画。カンヌ国際映画祭のパルムドール(最優秀賞)と監督賞を受賞したというだけあって、じつに丁寧に作られたことがわかる優れた映画作品だ。

多数の登場人物(少年少女)たちはみな素人で、役名はイコール本名でもある。セリフはほとんどが即興という、特殊な演出方法で作られている。カメラワークも、時間軸が重なる構成も凝っている。静かに静かに進行する日常の物語の中で、観客ははっとするような美しいカットをいくつも見つける事ができるだろう。

かように特殊な映画だから、明確なストーリーなどがあるわけでなく、観客へ訴えかけたい明確な主題があるわけでもない。同じ事件を扱った『ボウリング・フォー・コロンバイン』とはまったく違った形で、事件を理解しようと試みた作品といえる。ただ淡々と少年たちの姿を背後から映し出し、その理解と解釈は観客にゆだねている。決して解答を提示しようとはしていない。

55点
出来のいい戦闘シーンとお馬鹿な展開

中井貴一主演の中国映画。アクション満載の時代劇だ。ハリウッドが日本市場に目を向けて『ラスト・サムライ』を作ったように、アジア各国も日本人俳優を主演に据えて、日本でのヒットを狙うケースが最近増えているが、本作もその一本だ。『ラスト・サムライ』でのトム・クルーズ的役回りを、中井が演じる。とてもおいしい役で、彼のファンが見たら最高に幸せな映画だ。

最初は敵だった凄腕剣士が仲間になり、やがて厚き友情で困難な旅を続けるようになる。わかりやすい少年ジャンプ的ストーリーだ。情厚き仲間たちは、一人一人けれん味たっぷりの見せ場を作って死んでゆく。ここは深い突っ込みはせず、感動の涙を持って楽しむのが粋というものだ。中にはギャグにしか見えない死に方もあるが、恐らく作っている当人たちにそんな意識は無いだろう。そこが痛いといえば痛いが、見ている分には面白い。

旅の仲間たちには、中国で大人気のアイドル、ヴィッキー・チャオがお姫様として加わり、男性の観客の目を飽きさせない。彼女は現代的な顔立ちの女の子なので、どう考えてもこの時代劇にはミスキャストだが、入浴シーンや戦装束のコスプレという、この映画を成立させるにあたって非常に重要な役割があるので、小さな違和感には目をつぶることが肝要だ。

55点
一人の女性をシェアする男性たちの心理とは

3人の男性と暮らす女性と、その奇妙な同居生活を描いたブラジル映画。カンヌなど、各地の映画祭で評判になった。

この女性、決して美人というわけではなく、失礼ながらただの太ったオバサンにみえる。それでも母性豊かで明るい彼女のもとには、年齢も見た目もまったく違う3人の男が集まってくる。やがて彼らが共同生活を送りはじめるというのは、我々の目にはかなり奇妙に写るだろう。

ちなみにこの女性、もちろん3人全部と肉体関係があり、最初の一人とは子供もいるが、その実際の父親は実は二人目の男で……と、なかなか複雑だ。

55点
アイドル映画としてはまあまあ

松田聖子の娘のSAYAKAちゃんが初主演したSF映画。同名のベストセラーマンガの映画化である。なかなか高い点数の理由は、特撮含む映像の出来が良いというのが理由だ。逆にいうと、それ以外は……、という事でもある。

オールウズベキスタンロケということで、日本での撮影では難しい、スケールの大きな映像が出来あがった。爆発シーン1つとっても、日本の法律に縛られないので、火薬の量なども大盤振る舞いできたそうである。また、まるごと新幹線や、渋谷駅前の街並を、セットで作ったというのもすごい。迫力満点である。

ストーリーも、「修学旅行中に新幹線がトンネルで事故った。生き残ったカップル(SAYAKA&妻夫木聡)がトンネルの外に出てみたら、世界が崩壊してた」というアイデアが抜群で、一気に観客の興味を引きこむ。

55点
役者もプロットも同じに作ったロマンティック・コメディ

ハリウッドでは、ロマンティック・コメディというジャンルが、ドル箱として昔から大人気であるが、現在までに作られたそのジャンルの作品全部を足して、総作品数で割ると出来あがるのが、この『トゥー・ウィークス・ノーティス』である。

主演は、38歳にはとても見えないサンドラ・ブロック。この人の事を、私は昔から隣のお姉さんと呼んでいるが、それくらい嫌味の無いルックスで、感じのいいひとである。

相手役は、ヒュー・グラントという、ロマコメの87%くらいに出演しているんじゃないかといわれる、タレ目のナイスガイだ。

55点
字幕で見る日本人にはすすめにくい

本年度アカデミー賞の主演女優賞を取った、ニコール・キッドマン主演のドラマ。その他もメリル・ストリープ、ジュリアン・ムーアといった芝居上手の役者がそろう。

実際、彼女らの演技力には惚れ惚れするものがあり、特にニコールなどは、本物のうつ病患者じゃないかと見まがうほどの役作り。演技に対するその真摯な態度が伝わってくる。

しかし、だからといって面白くなるとも限らないのが映画の難しいところ。英国エセックスの風景、美術、音楽、どれも魅力たっぷりだが、筋書きに華がなく、すべてぶち壊しになりかねない勢いだ。しっとりとしたムードに浸りながら画面を見ていても、どうも先の展開に対する興味が湧いてこない。

55点
俳優が上手いので、なかなか泣ける

現代中国を舞台に、ヴァイオリンを通じて父と子の強い絆を描いた感動ドラマ

中国のある田舎町が舞台。父と2人暮らしのチュンは、幼いころに亡くした母の形見であるバイオリンを上手に弾き、周囲で好評を得ていた。父はそんな息子に本格的な教育を受けさせ、なんとか一流の演奏者してやろうと、貧しいながらも必死に貯金に励んでいた。やがて2人は、コンクール出場のため北京へと向かう。優勝こそ逃したチュンだったが、その才能を確信した父は、有名な音楽教師に預けるため、北京への移住を決意する。

あまり細部にこだわらず観るべき映画だ。そうでないと、終盤に出てくる重要キャラであるリンの問題が未消化だったり、なんでバイオリンを隠していたのかなど、細かい不審点が気になって後味が悪い。

55点
前作よりは相当劣るが前半の緊迫感は楽しい

『CUBE2』は、14週ロングランヒットを記録したショック・ホラーの5年ぶりの続編。

ケイト(ケリー・マチェット)は、目覚めると立方体の部屋にいた。6つの面には一つずつ扉があり、先には全く同じ部屋が続いている。やがて7名の見知らぬ男女と出会うが、ここがどこで、なぜここにいるのかは誰も知らない。出口を求める彼らに、やがて死の罠が襲いかかる。

理由もわからず、襲いくるトラップに一人一人殺されてゆく恐怖、わずかなヒントから脱出法を探る面白さ。そんな前作の魅力を、ほぼ同じストーリーで踏襲する。

55点
ベッカムもワンシーンだけ出る

インド系のパーミンダ・ナーグラ主演の青春映画。いきなりだが、ひどい邦題だと思う。まあ、確かに主人公の女の子の憧れの人はベッカムだが、別に彼に恋しているってわけじゃないと思うのだが。実際別の男との恋愛沙汰もあるわけで。

まあ、それはいいとして、この映画はかなりサッカーシーンに力を入れている。新アイデアの撮影機械を使った、超ローアングルの映像は、なかなか新鮮で、最初に見たときは「おやっ」と思う。

迫力もあるし、いい絵だと思うのだが、少々これに頼りすぎている。多用しすぎなので、こちらの目がだんだん慣れてくる。俳優にサッカーのテクニックを教えるのは大変だと思うが、やはりボールを蹴る瞬間のショットが無くては迫力は出ない。インパクトの瞬間にシーンが切り替わってしまうと、客としては欲求不満になる。

55点
キングの小説世界を忠実に再現したホラー大作

スティーブン・キングが原作の、オカルトホラー。といっても、予告編だけではジャンルすら特定できないと思った人は多かっただろう。テレビ版の予告ではそうでもないが、劇場版の予告は本当に意味不明だった。

『ドリームキャッチャー』は、自分の原作映画を絶対誉めない事で有名なS・キングが、「今までの私の小説の映画化では1番いい」とまでいったという、とんでもない映画だ。

確かに、彼の小説の持つあの独特の雰囲気、どこかこの世から隔絶されたような不思議な世界(実際、メイン州とはいえ舞台は架空の街なのだが)を、この映画は非常に忠実に映像化していると感じる。私もキングの小説のファンだから、これはよくわかる。

55点
SF映画の定番商品

37年も続くスタートレックシリーズの、劇場版最新作(10作目)。ピカード艦長が活躍するネクストジェネレーションシリーズの完結編にあたる。

原題にあるスタートレックの文字が邦題では省略されている事から考えてもわかる通り、基本的に、スタートレックシリーズについて知らない人でも楽しめるような作りになっている。

ただ、今回の舞台となるロミュラス星というのは、シリーズに詳しい人なら「あ、あの星か!」とぴんとくる名前であるし、シリーズキャラクター同士がついにめでたく結婚したり、重要なキャラがお亡くなりになってしまったりと、それなりに内輪なネタも混じってはいる。

50点
ダメ若者がダメ中年になった

前作「トレインスポッティング」は、当時オサレ人が集まる渋谷ミニシアターの中心だったシネマライズで連続33週ロングランの最高記録を叩き出した大ヒット作。「T2 トレインスポッティング」は、それから現実と同じ約20年が過ぎた設定の、正当なる続編である。

麻薬の売買で得た大金を持ち逃げしたレントン(ユアン・マクレガー)が20年ぶりに故郷スコットランドのエディンバラに戻ってきた。悪友4人組の中で、レントンがその人柄の良さから唯一深い友情を感じていたスパッド(ユエン・ブレムナー)を訪ねると、驚くべきことに彼は今まさに自殺を図ろうとしていた。

前作には、ヘロインに溺れるダメ若者たちが、それでもあがきながら停滞感を打ち破る痛快さと、ほのかな希望を鑑賞後に残すさわやかな青春ドラマの一面があった。

50点
黒木瞳初監督は普通の女性映画

女優・黒木瞳の初監督作品が「嫌な女」と聞けば、なんの自虐ギャグかと思いそうになるが、これは桂望実の同名ベストセラーの実写映画化である。

弁護士の石田徹子(吉田羊)は、学生時代にしっかり勉強をして司法試験にもすんなり合格、20代のうちに結婚もした。だが、はたからみると順風満帆な彼女の人生は、実際には孤独と満たされぬ日々であった。そこに、同い年の従姉・小谷夏子(木村佳乃)が突然現れる。聞くと、婚約破棄したら多額の慰謝料を要求されたたからてっちゃん助けて、と身勝手な理屈を振り回す。堅物だった徹子は、じつはこの従姉が昔から大の苦手であった。

久々の嫌な女との再会は、ヒロインの人生を一体どう変えるのか。ちょっとしたスリルとコメディを楽しめる軽快なドラマである。

50点
ディオールらしからぬ?

第一次大戦の物資不足の中、やっとこさ手に入ったジャージー生地で婦人服を作り、活動する=自立する女のブランドイメージを作り上げたのがココ・シャネル。一方、第二次大戦後に颯爽と登場したクリスチャン・ディオールは、同じ物資不足をふきとばす大量の生地使いのドレスで、対照的なゴージャス世界観を表現した。

「ディオールと私」はそんなディオール謹製のドキュメンタリーだが、スポットライトを当てられたのは裏方のお針子たち。これにまず驚かされる。

通常ファッション映画といえば、ヴォーグの名物編集者だとかモデルやセレブ、そういった人たちのインタビューで彩られる。ところがこれは、裏で縫っている、洋服を作っている人の証言、ドキュメントだ。絢爛豪華なディオールが、こういう裏方の地味なドキュメンタリーを作る。こんな泥臭いイメージをつけてしまっていいのか?!

50点
オサレなエロ映画

日本では、ガラケー全盛時代にケータイ小説なるジャンルが一時期はやったことがある。解像度の低い画面と、解像度の低いオンナノコの頭にぴったりな、エログロ満載文学的表現皆無の娯楽作品で、いくつかは映画化されたこともあった。

時は過ぎ、一周まわってその傾向はアメリカで「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」として花開いた。原作は主婦の間で大ヒット、電子書籍でこっそり読める「ママたちのポルノ」として一世を風靡した。映画「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」は、満を持したその映画版である。

女子大生アナ・スティール(ダコタ・ジョンソン)は、ルームメイトの代理で若き大富豪クリスチャン・グレイ(ジェイミー・ドーナン)のゴージャスなオフィスに出向く。学校新聞の取材インタビューだったが、ドジばかりふむアナに興味を持ったクリスから、やがて奇妙な契約を持ち出される。

50点
海賊の夢、再びとはいかないか

米映画業界には、長らく「海賊映画は当たらない」とのジンクスがあった。その最たるものが「カットスロート・アイランド」(95年、米)で、100億円超の製作費に対し興収わずか10億円。あわれ製作会社は倒産、冗談みたいな損失額は、ギネスにまで載った。

それを「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで覆したのがゴア・ヴァービンスキー監督とジョニー・デップだったわけだが、「ローン・レンジャー」はそれと同じことを西部劇ジャンルでやってやろうという意欲作である。二人にとっては前作「ランゴ」(11年、米)も同じジャンルであり、これは満を持しての実写大作ウエスタン、ということになる。

正義感あふれる郡検事ジョン(アーミー・ハマー)は、無法者ブッチの凶弾に倒れたところをインディアンの悪霊ハンター、トント(ジョニー・デップ)の怪しげな術に救われる。ジョンは死んだこととし、マスクをかぶったローン・レンジャーとなった彼は、トントにとっても不倶戴天の敵であるブッチを追いかけるが……。

50点
3Dで例の世界観をツアー

最近の娯楽映画は続編ばかりとよく揶揄される。ヒット作なら無条件で見に行く固定客が見込めるし、話題性があるからパブリシティも楽。そうした作り手側にとっての安定志向が背景にはあるわけだが、「サイレントヒル:リベレーション3D」はちょいと異なる。

19歳になるヘザー(アデレイド・クレメンス)は、かつて父母の手によりサイレントヒルから救い出された経験を持つ。教団の追っ手を撒くため父(ショーン・ビーン)と各地を転々としてきた彼女はいまだ悪夢にうなされている。そんなある日、ついに父親が失踪。そしてあのおぞましい、サイレントヒルへ来いとのメッセージが残されていた。

日本のゲーム会社コナミによるホラーゲームを原作に、仏米加で作り上げた本作は、たしかに出来のいい一作目を持っている続編。だがその公開からは6年もたっており、先述した固定客も話題性もさほど望めない。ハリウッドのメジャー会社なら難色を示しそうな企画だが、やはりその不安を跳ね返すところまではいっていない。

50点
父親、娘、どちらに感情移入してみるか

この映画の舞台となる南大東島というのは、沖縄からさらに400kmも東にある離島。島に高校がないから、この島の若者は中学校を卒業すると必然的に島を出る。ある意味、ドラマチックな場所である。

中学二年生の優奈(三吉彩花)はさとうきび農家の父(小林薫)のもと暮らしている。高校生の姉とともに母親が島を出てから家庭内の空気は変わった。それでも民謡グループのリーダーとして、あるいは島人として生きることを決めた同級生と恋をするなど地域と密接にかかわりながら、1年後の進路について優奈は悩み続ける。

舞台となる島はなんともすごい場所で、外洋に面しているからアオリイカのような高級食材があたりまえのようにポンポン釣れるし、沖縄県とはいっても、住民はもともと小笠原からの開拓民だから文化のベースは本土のそれ。中盤で出てくる相撲大会の場面には、そういう背景があるわけだ。

50点
心の弱った女の子に

「きいろいゾウ」は、開始1秒で宮崎あおいの全裸走りがみられる史上初の映画だが、だからといって世のスケベな紳士たちに積極的にすすめられるというわけではない。

植物や動物の声が聞こえる力を持つツマ(宮崎あおい)と、売れない小説家の夫ムコ(向井理)は、出会ってすぐに意気投合、結婚したため互いの過去については疎かった。ツマはムコの背中の刺青の理由もよくは知らない。だからムコに差出人不明の手紙が届いたとき、仲良し夫婦のはずの彼らの間に、不穏な空気が流れ始めるのだった。

愛し合う男と女。相手の過去は知りたいけれど、全部知るには勇気が必要。私ほどのレベルになればそれはむしろ珠玉の金脈であり、内容豊富で波乱万丈なほど楽しめるわけだが、普通の男女は相手があまりにとっぴな経験を積んできた事を知ったらドン引きする。そのまま別れとなってしまうことも珍しくはない。

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