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2121件中 1351~1400件 を表示しています。
55点
CATVで火がついた学園ミュージカルが日本上陸

この映画が、あの「マンマ・ミーア!」のオープニング成績を抜く特大ヒットを本国でぶちかましたと聞いて、アメリカってのは相変わらずCATVの国なんだなあと強く思わされた。

高校最後の年、バスケチームのエース、トロイ(ザック・エフロン)は、早くも強豪大学への進学を決めていた。だが、それは父が望み続けた道でもあり、内心は複雑。ガールフレンドのガブリエラ(ヴァネッサ・ハジェンズ)と、遠距離恋愛になってしまうことも問題だった。そんなある日、恒例行事の学内ミュージカルのオーディションが開催される。ジュリアード奨学生の選考もかねたこのイベントに、なぜかトロイの名前も記されていて……。

私が冒頭のようなことを思ったのは、本作が少々変わった成り立ちの企画だから。

55点
乳癌をテーマにした感動ドラマ

女性がもっとも関心を寄せる病気といえば、乳がんをおいてほかにない。女性にとって、がんの中で最も多い死因という事実も重大だが、手術で乳房を失うケースがあることも、その理由のひとつだろう。心理的に、これほど恐ろしい病もあまりないから、30代以降、定期的に検診を受ける人も多い。

谷村志穂による感動小説『余命』は、そんな乳がんを題材とした作品。「手紙」(2006)の生野慈朗監督による、真剣味あふれる本格ドラマとして、このたび映画化された。

外科女医の百田滴(ももたしずく)は、結婚10年目にして待望の妊娠が判明する。売れないフリーカメラマンで、いまは妻の収入をあてに暮らす夫・良介(椎名桔平)も大喜び。ところが滴は、すぐに自らの胸の異常に気づく。それは、かつて手術で右胸を摘出した彼女がもっとも恐れていた、全身性乳癌の再発だった。

55点
クラスで飼った豚を最後に皆で食べる?!

大阪の小学校の話。クラスでブタを数年間飼育し、最後にみんなで食べるという、ぶっとんだ授業を実践した教師がいた。「いのちの教育」というやつだが、手法がエキセントリックだったため、3年後の93年にはドキュメンタリーとして放映された。『ブタがいた教室』は、その実話をドラマ映画化したものだ。

6年2組を担任することになった新任教師(妻夫木聡)は、1年間クラスで豚を飼育する授業を考えた。校長(原田美枝子)の許可を得てはじまったこの試み。子供たちも大喜びで、豚にPちゃんと名づけ、苦労しながら世話をはじめた。やがて彼らの卒業が近づいてくると、最後にPちゃんを本当に食べるべきか否か、クラスは真っ二つに割れるのだった。

この映画の見所は一点、この最後の大激論である。そこをしっかり理解していると思われる妻夫木聡は、最初から撮影外でも妻夫木の名を一切子供たちに呼ばせないという、リーダーシップあふれる役作りをした。

55点
YOUTUBEや監視カメラ、ブログ等々の再現で描く米兵レイプ事件

『リダクテッド 真実の価値』は、誰もがビデオカメラを操り、インターネットの動画サイトを楽しむ今だからこそ出来る映像表現に挑戦した異色の反戦映画だ。

イラク戦争時のサマラ駐屯地。映画業界を目指す若き兵士サラサール(イジー・ディアス)は、持参したビデオカメラで仲間の日常を撮っている。検問担当の彼らは戦時とはいえ退屈な日々だったが、あるとき自爆テロと思しき暴走車がつっこんでくる。

識字率50パーセントの国で、ゲートに立ち入り禁止と書いて気休めとしている兵士も間抜けだが、それ以上にこの車の行動は理解しかねる。のっけからリアリティを欠いた展開にげんなり。

55点
11歳の小学生が妊娠!

『コドモのコドモ』をめぐる騒動を見ていると、フィクションに対する許容範囲の低い人がこれほど多いのかと驚かされる。

見ていない作品に対し、「ローティーンの妊娠出産を映画にするとは何事だ」という一部の人々による主張は、いくらなんでも説得力に欠ける。見て本気にする人がいたら大変との親心はわからぬでもないが、ならば自分の娘息子に見せなければ良いだけの話。センセーショナルな問いかけで問題提起するやり方は、別に本作の専売特許ではなく、問われているのは受け取る側のリテラシーにすぎない。

小学5年生、11歳の持田春菜(甘利はるな)は、仲の良いヒロユキ(川村悠椰)と"くっつけっこ"なるオリジナル遊びをはじめた。のちに担任の八木先生(麻生久美子)の性教育授業を受け、春菜はそれが性行為で、自分はどうやら妊娠しているらしいと知る。だが周りの大人たちは、よもや小学生が妊娠など本気で考えてもいない。誰ひとり異変に気づかぬまま、やがて春菜のお腹は大きくなり……。

55点
ホリプロとケータイ小説大手サイトの連動企画

『恋空』のようにケータイ小説が映画になり、場合によっては大ヒットする時代であるが、同ジャンルの『愛流通センター』の成り立ちはかなり凄い。大手携帯小説サイト内で、なんと201万人から選ばれた原作コンテスト最優秀作品を映像化したというのだ。しかも主演は5万人以上参加のアイドルオーディションで選ばれた金の卵。莫大な数の少年少女の夢と憧憬がつまった映画というほかない。

彼氏募集中の女子高生チカコ(足立梨花)は、携帯のスパムメールに誤って登録してしまう。『愛流通センター』なるそのサイトは、失った愛を有料で取り戻すことができるという。バカバカしいと相手にもしなかったが、そんなチカコの前にセンターの営業マンを名乗る男(水橋研二)が実際に現れる。

ワンクリック詐欺をクリックしても、せいぜい頭の悪そうな支払い催促メールが来るだけなので放置しておけば良いが、生身の人間が目の前に現れるとはずいぶん手の込んだ話である。

55点
あれから1300年が過ぎたナルニア国は滅亡の危機に瀕していた

映画「ナルニア国物語」シリーズは見た目が子供じみているため、宗教的教訓要素を見出し楽しもうといった大人っぽい味わい方がどうもやりにくい。

摂政ミラースにより命を狙われたカスピアン王子(ベン・バーンズ)が伝説の角笛を吹くと、人間界からペベンシー家の4兄弟がやってきた。彼らが君主として君臨した頃(前作のラスト)から1300年経つナルニア国は、人間であるテルマール民族により荒らされ、それ以外の種族は森の奥に追いやられ滅亡寸前であった。ピーター(ウィリアム・モーズリー)やスーザン(アナ・ポップルウェル)は生存者を結集してテルマール軍との決戦に備える一方、末っ子のルーシー(ジョージー・ヘンリー)は姿を隠した創造主アスランを探しに行く。

4兄弟が長いこと王様としてナルニアを統治した経験があることは、前作をみて頭ではわかっている。民衆の前で堂々たる態度を発揮するのも当然だろう。

55点
イーサン・ホークの自伝的小説を映画化

個性的な作品に出演し続ける俳優で、小説や脚本も書けば監督もできる。そんな多才なイーサン・ホークの、集大成のような映画が『痛いほどきみが好きなのに』だ。

ニューヨークで新米俳優として暮らすウィリアム(マーク・ウェバー)は、行きつけのバーで出会ったサラ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)と恋に落ちる。ウィリアムは新作映画の撮影地メキシコにサラを連れて行き、わずか1週間で結婚まで誓う仲になる。だが先に帰国した彼女に再会すると、まるで別人のようなよそよそしい態度に変わっていた。

『痛いほどきみが好きなのに』は、失恋の危機を前に混乱に陥る男の心理を描く恋愛ドラマ。主人公はわずか二十歳の若者で、これまではせいぜい気軽な女遊び程度の恋愛経験しかなく、本気でのめりこむのは始めてだ。

55点
ラブホテルの屋上にちっぽけな公園が?!

カンヌ、トロントに並ぶ世界三大映画祭のひとつベルリン国際映画祭(08年)で、日本人初となる最優秀新人作品賞を受賞した『パーク アンド ラブホテル』は、熊坂出(くまさかいずる)監督の長編デビュー作。

ポラロイドカメラを手に街を徘徊する家出少女(梶原ひかり)は、ホテル街で奇妙な光景を目にする。古びた和風のラブホテルに、似つかぬ子供たちや老人が次々と入っていくのだ。好奇心から彼らについていった彼女は、その屋上に手作りの公園が存在し、人々の癒しの場となっていることを知る。

デパートの屋上にプレイランドがあるのは昭和らしい風景のひとつだが、ラブホの上に公園というのは聞かない。とくに地方の感覚では、高速の出口付近などもともと辺鄙なところに建つものであるから、これほど奇妙な取り合わせはないだろう。住宅地と繁華街が混在する建物密集地にホテル街が存在する都市部ならではの発想といえる。

55点
安良城紅が、音楽に発情する女子高生を好演

『ブラブラバンバン』は、(俳優でなく)歌手の安良城紅(あらしろべに)を主演に起用したことで、異様な迫力を持つ音楽映画になった。

県立高校生の白波瀬歩(しらはせあゆむ)(福本有希)は、ある夜『ボレロ』を吹く少女と出会う。とっさに自分のトランペットで合奏すると、不思議なことに彼女は空に舞い上っていった。後日、彼は学校の音楽室でその少女(安良城紅)を見つける。同じように演奏をはじめると、突然彼女は欲情し、白波瀬の服を脱がして襲い掛かるのだった。

良い音楽には人並みはずれて興奮(発情?)し、思わず脱いだり脱がしたりする特異体質の女子高生。そんな不思議なヒロインを中心にした、一風変わった青春ブラスバンド映画だ。

55点
ネットで話題の"犬の十戒"を実写映画化

『犬と私の10の約束』は、良くも悪くも昔ながらの犬(動物)映画、である。

北海道、函館。大学病院の勤務医師の父(豊川悦司)と母(高島礼子)と3人で暮らす14歳の少女あかり(福田麻由子)。彼女の家の庭に、ある日一匹の子犬が迷い込む。その愛らしいゴールデンレトリーバーをいたく気に入ったあかりは、ソックスと名づけて飼うことにする。

そこからソックスとあかり、そして父母との、(決して長くない)かけがえのない時間が始まる。引越しや家族との永遠の別れ、就職、そして恋と、あかりの人生にソックスは寄り添い、忘れえぬ思い出の一部となる。映画はそれをほのぼのと、そしてせつなく描いていく。

55点
小島可奈子がすべてを脱ぎ捨てる

脱ぐか否かのボーダーラインにいる女優さん(および関係者)にとって、どうせ裸を見せるなら文芸作品で……、と考えるのはごく当然のこと。見る側にとっては、映画のジャンルなんてどうでも良いのだが、オンナノコには納得できる理由を与えてやるのが大人の優しさというものである。

その理由として丁度いいのが、毎度おなじみ渡辺淳一原作もの。『失楽園』(97)の黒木瞳から『愛の流刑地』(07)の寺島しのぶまで、幾多の作品で主演女優の"体当たり熱演"が話題にされてきた。

この最新作では、写真集がバカ売れしている人気グラビアアイドル小島可奈子が、その系譜に連なることになる。しかも、監督はかつてピンク映画四天王の一人といわれた瀬々敬久(ぜぜたかひさ)。おのずと期待は高まる。

55点
夢のようなおもちゃ屋さん……?

子供の目で見たおもちゃ屋さんは、こんな風に見えるのだろうか。『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』をみると、きっとそう思うはず。

御年243歳のマゴリアムおじさん(ダスティン・ホフマン)が経営するおもちゃ屋は、都市のビルの谷間にありながら内部はまるで別世界。紙ひこうきや動物たちが飛びまわり、世界中のあらゆるおもちゃがまるで生きているかのように輝いている。そこで働く若者モリー(ナタリー・ポートマン)も、この店とマゴリアムが大好きだった。ところがある日、彼が唐突に引退宣言。しかもモリーに跡継ぎになってくれという。

このモリーは元天才ピアノ少女だが、成長して才気が鈍り、自信を失っていることがやがて観客に知らされる。子供たち相手に堂々と笑顔をふりまく彼女の素顔は、まるでマゴリアムのもとでリハビリをしているがごとき、壊れやすい少女だったのだ。

55点
キャリアウーマンと帝国軍人の、時をこえた恋物語

『恋する彼女、西へ。』は、明るい話を作ろうというコンセプトのもとに作られた。なぜかというと、この映画の舞台が広島だから。これまでヒロシマの映画というと、どうしても原爆被害の悲惨なイメージがつきまとう、暗いムードのものばかりであった。だからこの映画の制作者たちは、本作では前向きで暖かいドラマを作りたかったのだ。

建築会社で働くキャリアウーマンの杉本響子(鶴田真由)は、出張中の広島でバイクと事故を起こしそうになった男を救う。「矢田貝少尉」と名乗る白軍服を着たその若者は、昭和20年8月3日から突然ここに来た、などと狼狽している。あきれる響子ではあったが、病院などの世話をするうちに、矢田貝のヨタ話を信じざるをえない出来事が起こる。

古いフィルム映画風の外見ではあるが、中身はバブル期のトレンディドラマのごときロマコメ。不思議な作品である。

55点
ブラッド・ピットをストーキング

ジェシー・ウッドソン・ジェイムズといえば、西部開拓時代を古きよき……と表現するようなアメリカ人の間で、一種のヒーローとして扱われる伝説のギャング。南北戦争の生き残りの荒くれ男たちをまとめ上げ、列車強盗や銀行強盗など華やかな犯罪を繰り返した無法者のリーダーだ。本作はその悲劇的な一生を、人気スター、ブラッド・ピット主演で描く伝記映画。

19世紀のアメリカ。南北戦争で負けた南部の人々は、北軍政府の圧政に苦しんでいた。彼らの間では、大犯罪を繰り返す有名な賞金首、ジェシー(ブラッド・ピット)は英雄であった。兄フランク(サム・シェパード)と次の計画を練っていたジェシーの前に突然現れ、自分を売り込むロバート(ケイシー・アフレック)も、伝説の男にあこがれる一人。渋るフランクに対し、心の広いジェシーは快くロバートを仲間に迎え入れるのだったが……。

ケイシー・アフレック演じる気弱な若者と、その憧れの人ブラッド・ピット、という二人の関係を中心に構成される。地味で淡々としたドラマであり、決してジェシーの英雄的活躍を描く痛快な西部犯罪ムービー、というわけではない。ちょっとしたアクションもあるが、あくまで見所は英雄的ガンマンの大らかで奔放な生き方、そして潔い死に様である。

55点
あのショッキング日本ホラーをハリウッドがリメイク

黒沢清監督の「回路」(2000年、日本)という映画がある。世界の終わりを描いたホラームービーの傑作で、異様な雰囲気で観客を盛り上げる手法は、多くの人々をうならせた。とくに、予測できないショックシーンの見せ方などは、はじめて見た人にある種のトラウマを残すほどであった。

この『パルス』はその待望のハリウッドリメイク。幸いオリジナルと大きく異なるため、こちらを先に見ても(個人的には黒沢版を先に見てほしいが)破壊的なネタバレで興味を失うといった事にはなるまい。オリジナルのファンにとっても、いかにもアメリカ映画らしい、VFXを多用したにぎやかな映像をそこそこ楽しめる。

ハッキングが趣味のオタク学生ジョシュが音信普通になった。不安になったガールフレンドのマティ(クリステン・ベル)が訪ねると、部屋は荒れ果て、やつれきったジョシュがいた。目はうつろで会話はまるで成り立たない。そして混乱するマティの前で、彼は信じられない行動に出るのだった。

55点
韓国社会のタブーに挑む

1979年10月26日に実際におきた、韓国大統領暗殺事件。その当夜の様子をコミカルに描いた本作は、案の定、遺族からソウル地裁に訴えられた。

パク・チョンヒ=朴正煕大統領(ソン・ジェホ)は、日課となった小宴会を今日も開催。チュ課長(ハン・ソッキュ)が手配した二人の美少女をはべらせ、彼女らに大好きな日本の演歌を歌わせ悦に入っている。だがそのすぐそばには、不満と殺意が満水位に達した中央情報部=KCIAのキム部長(ペク・ユンシク)の姿があった。

ソウル地裁の判断により、冒頭から4分間映像はなし。プレス試写会では真っ黒な画面に意味不明の音声だけ流れるという、異常事態であった。本筋に影響は無さそうだから、むしろ話題づくりの意味で最高だったが、裁判が進んだ結果、日本公開版では世界で初めてすべての映像が写るらしい。

55点
「こんな子がホントに脱ぐの?」

職業柄、この手のエロティック作品にx麻痺している身としては、いまさら見たところで何の刺激も感じないのが普通。しかし『マリッジリング』は違った。それは本作のヒロイン、小橋めぐみのせいだ。

25歳のOL千波(小橋めぐみ)は、多忙な恋人とすれ違いの日々に寂しさが募っている。そんなある日、新任課長の桑村(保阪尚希)から残業帰りに食事に誘われる。おしゃれなレストランにエスコートされ、久々に女を意識した千波は、桑村のマリッジリングに罪悪感を覚えながらも、強く惹かれていくのだった。

原作は渡辺淳一の短編。エッチな小説ばかり書いていると思われている渡辺淳一だが、元は医学博士として医療ものも書いていた。しかし映画化されるのはやっぱりエロばかり。本作でもバッチリ、期待にこたえてくれる。

55点
ハリー・ポッター童貞喪失

ダニエル・ラドクリフといえば、ご存知ハリー・ポッター役で知られる子役スター(……といっても、もう18歳)。彼が、ハリポタ新作の撮影前に、どうしても出ておきたかったという脚本がこれ。メガネっ子魔法使い以外の役を演じる主演映画としては、もちろん初めてとなる。

ダニエルが演じるのは、孤児院の仲良し4人組の一人。12月生まれという共通点を持つ彼ら"ディセンバー・ボーイズ"は、真夏(12月)のオーストラリアの海辺の集落で、夏休みを過ごすことに。カトリック系の厳しい戒律の元で暮らしていた彼らにとって、これは初めての"バカンス"。この映画は、そうした少年たちの"忘れられない特別な夏"をほろ苦く描いた青春ドラマだ。

この映画は、家族の形態と家族愛という、普遍的なテーマを扱う感動作。しかし、表面的にはかなりケレン味ある設定となっている。

55点
社会派というより宗教プロパガンダ

『マイティ・ハート/愛と絆』は、ある理由により妙に腰の落ち着かない映画となった。

フランスのラジオ局記者のマリアンヌ(アンジェリーナ・ジョリー)は、ウォール・ストリート・ジャーナル特派員の夫と二人、パキスタンにやってきた。だが、この国での最後の取材にでかけた夫ダニエルが、夜になっても戻ってこない。彼は、そのまま神隠しにあったように消えてしまった。やがて夫婦の事務所兼自宅には、現地捜査官やアメリカ領事館のスタッフ、夫のインド人の部下など、さまざまな人種、文化的背景を持つ人々が集結。ダニエルの救出というひとつの目的に向かって、全力をつくす体制が整いつつあった。

この作品は実話をもとにしている。ダニエル・パール誘拐事件は、その後の驚きの展開や奥さんの意外な発言などから、今では全米中に知れ渡っている。そこでブラッド・ピットが映画化権を買い取り、私生活でのパートナー、アンジェリーナ主演で映画化した。

55点
竹内結子と吉田栄作に55点

つまり、それ以外の合計はプラマイ0点ということだ。

戦場カメラマンの西崎(大沢たかお)は、北アルプスに墜落する謎の光を目撃する。反射的にシャッターを押した彼は、後日それが米軍のステルス機と知る。死に別れた妻の妹で週刊誌記者の慶子(竹内結子)にその事実を知らせたあと、彼は盟友の新聞記者、落合(玉木宏)と共に入山、墜落現場を目指す。

高嶋哲夫の原作はよくできたポリティカルサスペンスで、かつ安全保障や戦争の矛盾をきっちり描いた小説であった。この映画版のもっともまずい点は、その「矛盾」という大テーマを正反対に捻じ曲げてしまった点にある。

55点
日本版『エイリアンズvs.プレデター』誕生か

絶世の美貌と不死身の肉体で、男たちを悩ませる美少女富江。美人も不老不死となれば迷惑この上ないという事がよくわかる、人気ホラーシリーズの7作目にして完結編。

恋人が目の前で殺された一樹(八戸亮)は、ようやくそのトラウマから立ち直りつつあった。ところが就職したマネキン工場の秘密部屋には、その恋人そっくりの富江(あびる優)なる女がおり、工場長ら大の男たちをあごで使っていた。一方そこの従業員の同居人にも同じ名の美少女(松岡恵望子)がおり、なぜか工場の富江の血液を狙っていた。

今年(2007年)の年末には、人気ホラー映画のキャラクター同士が戦う第二弾『エイリアンズvs.プレデター』が公開されるが、本作はその日本版ということらしい。もっともこちらはどちらも富江だが。

55点
犯罪者が犯罪者になりすます?!

ドン・ウィンズロウの原作をポール・ウォーカー主演で映画化。そんな触れ込みもタイトルの吸引力も、日本ではまずヒットに結びつくことはないであろうと最初からわかりきっているあたりが気の毒だ。

もちろんミステリファンにとってドン・ウィンズロウは、『ストリート・キッズ』シリーズでニール・ケアリーというキャラクターを生み出した名作家であり、映画ファンにとってポール・ウォーカーは『ワイルド・スピード』の顔、そこそこの人気スターだ。よって、日本国内での知名度はイマイチでも質的には期待できるはずなのだが、それにしてもこの押し出しの弱さはいかがなものか。

元海兵隊員の主人公ティム(ポール・ウォーカー)は、服役中に別の囚人とトラブルを起こし、いまや塀の中でも命を狙われていた。そんなある日、DEA(麻薬取締局)がたずねて来て、刑の免除と引き換えに麻薬王のボビー・Zになりすまし、捜査協力せよとの取引を持ちかけてきた。

55点
増築を重ねすぎた異形の建築物のような映画

年々味が落ち、行列こそできるがリピーターは激減中という、どこかの人気ラーメン店のごとき『ソウ』シリーズの最新作。毎年一本のハイペースで続編を作り続け、4作目まで続いたホラーシリーズというのはこれまでに例が無いらしい。まさにホラー界の「男はつらいよ」だ。

2作目からの担当のくせして、シリーズの生みの親のごとき態度があちこちで顰蹙を買っているダーレン・リン・バウズマン監督は、『ソウ』シリーズは一生続けたいなどと語っている。いつかジグソウにお仕置きされると思う。

※注意 作品の性質上、この先1〜3作目までのネタバレを避けることができません。本作に興味がある人は1から3まで順番にご覧になった上で、以下の記事をお読みください。

55点
柳楽優弥の押尾学化に驚く

柳楽優弥は、『誰も知らない』(04年)で、カンヌ国際映画祭男優賞を史上最年少(14歳)で受賞した華麗な経歴を持つ。ピュアな風貌のこの子供が、この先どんな方向に進むのか、当時の映画関係者は期待と不安をもってみていたものだ。あれからわずか3年、彼は本作で早くも役者としてのターニングポイントを迎えた。そして、あのときのあどけない少年は、意外な方向へと歩き始めた。

病院の屋上にひとりたたずんでいるワラ(石原さとみ)をみて、自殺を心配したディノ(柳楽優弥)は声をかける。インチキな関西弁を話すディノは、やがて「手当てや」などといい包帯を屋上のフェンスに巻きつける。その奇妙な行動にしかし癒されたワラは、親友のタンシオ(貫地谷しほり)やメル友のギモ(田中圭)らと共に、包帯クラブを結成する。

奇妙な役名と思うかもしれないがこれは友人間で呼び合うニックネームで、その実態はごく普通の現代青春ドラマである。彼ら包帯クラブは、何かに傷ついた人をネットで募集し、その原因となる場所に包帯を巻きつけ写真を送付してあげる活動を行う。たとえばサッカーの試合でオウンゴールをして落ち込む少年のために、サッカーゴールを包帯でぐるぐる巻きにした写真を撮影、彼にメール送信するといった具合だ。

55点
小沢真珠のひとり濡れ場

江戸川乱歩といえば、大正から昭和にかけて活躍した、日本ミステリ界黎明期の大作家。少年向けのシリーズものも有名だが、マニア好みの怪奇趣味を生かしたダークな作品も数多い。抜群の知名度があることから、平成になった今でも映像化される事は珍しくない。

この「人間椅子」は、ラストの衝撃度の高さでミステリファンの間ではあまりにも有名な作品。何度か映像化されているが、なにしろこのトリックは映像向きではない。また、有名すぎるということもあってか、本作では設定とストーリーが変更されている。

大御所作家・大河内の弟子だった佳子(小沢真珠)は、今では失踪した彼に代わって人気女流作家として鳴らしていた。新しく担当になった真里(宮地真緒)は、佳子が大河内の愛人として変態プレイをしていたという噂に興味を示す。なぜなら真里も、有名人が使用したスプーンなどのゴミを集める性癖があったからだ。

55点
女優を綺麗に撮ろうという執念だけは凄い

さだまさしの小説はここ数年映画界で人気のようで、『精霊流し』『解夏』と立て続けに公開されている。どちらもさっぱり面白くないのだからもうよせばいいのに、人が入るとなれば懲りずにまたやるのがこの業界の常。今回は天下の松嶋菜々子を主演にした、堂々の映画化だ。

東京の旅行代理店でバリバリ働く咲子(松嶋菜々子)は、母(宮本信子)が入院したと聞き、急ぎ徳島へ帰郷する。母は末期ガンであった。しかし、元々神田の飲み屋の有名女将だった彼女は、相変わらずの江戸っ子気質で看護婦を元気にしかりつけている始末。そんな姿にあきれた咲子は、しかし母から死んだと聞かされていた父の生存を偶然知る。咲子は母が生きているうちに彼女の本当の人生を知りたいと、父の消息を探りはじめる。

この映画の途中のつまらなさときたら、凄まじいの一語につきる。開始後1時間くらいは何とかつきあったが、いいかげんさっさと話を先に進めろと、お客様相談室にクレーム電話のひとつもかけたくなった。久々に映画で見た母親役の宮本信子と、やはり圧倒的な存在感を放つ松嶋菜々子の魅力的な演技がなかったら、どうにもならないところであった。あとはクライマックスの阿波踊りの圧倒的な迫力。その3つしかみるところがない。

55点
一歩進んで二歩下がる

アメコミ原作の大人気アクションシリーズ第三弾である本作は、背負うプレッシャーもシリーズ最大。なにしろ、あれだけ面白かったパート1を上回るほど二作目の出来栄えが良かったのだ。数を重ねりゃネタは減る、しかしお客の期待は膨れ上がる。作り手の悩みどころだ。

いまやニューヨーク市民すべてのヒーローとなったスパイダーマン。その正体ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)も内心鼻高々だ。恋人の新人女優メリー・ジェーン=MJ(キルステン・ダンスト)との仲も好調で、いよいよプロポーズを考えている。しかしMJのほうは初の主演舞台を干され、どん底気分。そんな折、ピーターの叔父を殺した真犯人が脱獄したとの驚くべき知らせが入る。

この3におけるテーマは「復讐」。登場する敵は複数いるが、みなその一念を腹に持つことで共通している。そして毎度おなじみウジウジ君であるピーターの今回の悩みもまさにそれ。最強のパワーを手にした今、愛する叔父を殺した凶悪犯への復讐心を抑えることはできるのか。

55点
尻に魅力がない

『バベル』は多くの人々にとって、役所広司や菊地凛子といった日本人キャストが、ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェットら当代きってのハリウッドスターと共演するという点がもっとも気になる事だろう。そもそも映画とは、テレビでは味わえない何がしかの楽しみを与えてくれるべきもの。映画とテレビにほぼ同じ顔ぶれの俳優が並ぶわが国の現状をみれば、人々が本作のキャスト表を見て感じるそうしたワクワク感は当然のことと言えよう。

この映画の構成は、3カ国でそれぞれ進行するドラマを交互に描いていく群像劇。メインとなるのは、モロッコへやってきたアメリカ人夫婦(ブラッド・ピット&ケイト・ブランシェット)の物語。ある事情により夫婦仲の危機を迎えたこの二人は、子供をシッターに預けてゆっくり話し合うためここにやってきたが、現地の子供がいたずら半分で撃ったライフルの弾が、偶然妻に当たってしまう。辺鄙な山間部で十分な手当てもままならず、右往左往する夫の姿が描かれる。

一方アメリカでは、予定通り戻ってこないこの夫婦に業を煮やしたシッターが、息子の結婚式に間に合わないため預かった子供を連れて強引に祖国メキシコに戻ってしまう。

55点
新鮮味はないものの、いまどきの女性映画としてはそれなり

映画『さくらん』がどんな人に向けて作られた映画なのか、それはきわめてわかりやすい。まずは今回初監督となる写真家の蜷川実花、そして主演の土屋アンナ、音楽(主題歌だけでなく本編の映画音楽も)担当の椎名林檎、さらには原作の安野モヨコ。この4人の名前に反応する人に向けた作品だ。

彼女らは、若い女性の一部にとってある種のカリスマを持つアーチストであり、それが力をあわせてひとつの仕事をするとなれば、これは凄いものが出来上がるに違いない。そう期待するファンは少なくあるまい。実際本作は、彼女ら(主に20代の自立志向の高い女性?)にそれなりの満足を与えてくれるレベルには仕上がっている。

江戸時代、吉原遊郭の「玉菊屋」にきよ葉という名の一人の少女が売られてきた。古い慣習や女が金でどうにかなると思っているバカな男たちに決して屈服しない彼女は、やがてその美貌とまっすぐな性格で吉原のナンバーワンおいらんへと成長する。

55点
服を着てても意外に上手な蒼井そら

AV女優が芸能界にステップアップを狙う例は枚挙に暇がないが、成功例は飯島愛などほんのわずかしかなく、コースとしては狭き門だ。そんな中でも比較的健闘している蒼井そらの主演作が『聴かれた女』。彼女は一人暮らしの部屋に盗聴器を仕掛けられたヒロインを演じている。

雑誌編集の仕事をしている若者(大野慶太)は、毎夜アパートの薄い壁の向こうに耳を澄まし、隣室の女の子(蒼井そら)を盗聴している。彼氏と愛し合う声などに興奮しつつも男は、最近彼女が何者かによる脅迫電話に悩まされている事に心配を寄せていた。

盗聴・ストーカーものであるが、この男はこっそり聞いているだけではなく、職業柄のアングラ人脈を利用して彼女の部屋に侵入、盗聴器等をさぐってみたり、隣人という立場を利用して実際に彼女に近づいていったりする。

55点
傷ついた女性の再生物語

2003年に『死ぬまでにしたい10のこと』という作品が、ミニシアター系としては記録的な大ヒットとなった。本作はその監督&主演女優が再びタッグを組んだ人間ドラマ。『死ぬまでにしたい10のこと』については、作品の出来というより心に残る邦題が勝因だったのではないかと私は思っていたが、似たような邦題で公開するあたり、なるほどなと思う。

他人との交流を断ち、黙々と工場での仕事に打ち込むハンナ(サラ・ポーリー)。休みもとらないその異常な様子をみて、上司は半ば無理やり1ヶ月の休暇を与えた。無目的な旅に出たハンナはその途中、油田掘削所で介護士を募集していることを知る。心得があった彼女は、完全に外界から閉ざされた海上に浮かぶ掘削所で、事故で一時的に視力をなくしたジョゼフ(ティム・ロビンス)の介護を行うことにする。

正体のわからぬ子供の声でナレーションが入ったりする謎めいた進行。ヒロインのハンナはなにやら訳アリな様子だが、それがなぜなのかはわからない。異様なまでに勤勉な姿、毎昼まったく同じ弁当(しかもメニューがかなり変)、バスルームに積み上げられた一種類のみの石鹸……。そうしたディテールを丁寧に積み重ねることで、このヒロインが何か過去にとんでもない目に合い、精神に重大な傷を負った人物なのだと伝えてくる。

55点
日本人の被害者、関根さんの不在ぶりに泣けた

2001年、JR新大久保駅のホームに転落した人を助けるべく、韓国人留学生と日本人のカメラマンが線路におり、そのままやってきた電車にひかれ亡くなったという痛ましい事件があった。本作はその映画化。日韓合作で、両国の変わらぬ友情を願う気持ちを込めて製作されたという。

李秀賢=イ・スヒョン(イ・テソン)は、日本のバンドが好きな好青年。彼は母国韓国で兵役を終えた後、日本に留学した。やがて、音楽界を目指して道端で歌い続ける日本人少女(マーキー)と知り合い、付き合いはじめるが、理不尽なまでに韓国人を嫌う彼女の父(竹中直人)をはじめとする日韓の差別の壁に苦労することになる。

自分の命も顧みず、異国の名もなき他人を助けるためホームを飛び降りた勇気ある韓国人青年。その話に感銘を受けたプロデューサーの強い思い入れにより、映画化されたという。実名で登場する主人公は、しかし現実とは大きく異なるストーリーを歩む。

55点
史上最高のドラゴン萌え映画

『ロード・オブ・ザ・リング』の大成功のおかげで、ヨーロッパの伝統的ファンタジーが世界中の大勢の人に受け入れられた。せっかく出来たその土台を放っておく手はないということで、『ナルニア国物語』など有名長編も続々映画化されている昨今だが、この『エラゴン』も同じように期待される、大型ファンタジーシリーズのひとつだ。

15歳の少年エラゴン(エド・スペリーアス)は、森で輝く青い石を見つける。じつはその石は、エルフ族の娘アーリア(シエンナ・ギロリー)が敵の手に落ちる直前、空間転送したドラゴンの卵だった。やがてブルードラゴンのサフィラ(声:レイチェル・ワイズ)が生まれるが、同時に邪悪なドラゴンライダーのガルバトリックス王(ジョン・マルコヴィッチ)が差し向けた刺客により、エラゴンの家族が犠牲となる。

原作の『エラゴン』シリーズの作者のクリストファー・パオリーニは、なんとこれを17歳のころ書き上げたというのだからびっくり。日本の乙一(この人も17歳デビュー)を彷彿とさせる早熟な作家である。

55点
低年齢向きでごくごく普通、フェアウェイど真ん中を刻むゴルフのような映画

米国のアニメーション映画のほとんどは、見ての通りファミリー向けの無難な作品が多い。マーケティングをしっかり行えば比較的商売的に手堅く、家族みんなで見にくるから興行収入も期待でき、上映時間も短いから一日の回転数も多い。さらに、見に来られない人もDVDを買ってくれるというわけで、作り手側からすれば、どこから食べても美味しいジャンルだ。

となれば、大手のソニー・ピクチャーズがこの分野に参入するのも当然の成り行き。『オープン・シーズン』は、彼らがその第一弾として送り出した長編アニメーション映画だ。日本市場も重視しているようで、嘘かマコトかハリウッド本社自ら、吹き替え声優を指名したそうだ。

文明社会にすっかり慣れ親しんでいる熊のブーグ(声:石塚英彦)は、環境と動物たちを愛する女性森林警備隊のベス(声:木村佳乃)に飼われ、優雅に都市生活をエンジョイ中。ところが、あるとき知り合ったお調子モノの野生鹿エリオット(声:八嶋智人)と町で大暴れしたせいで、森に追放されてしまう。オープンシーズン(=狩猟解禁日のこと)が迫り、恐ろしいハンターが森にやってくる中、野生での生き方を何一つ知らないブーグは早速危機にさらされる。

55点
一番トクをしたのは宮崎あおい

矢沢あいの大ベストセラー漫画を実写化した第1作は、2005年9月に公開され大ヒットを記録、ちょっとした社会現象にまでなった。その後、少女漫画が商売になると踏んだ映画界はビッグタイトルを次々と実写化、その流れは今も続いている。

かように近年の日本のエンタテイメント業界に影響を与えた『NANA』。そのパート2である本作は、しかし波乱続きであった。何しろ主演女優が真っ先に降板、それに引っ張られるように主要なキャストが次々と交代、あれほどのヒット作の続編としては余裕のない製作期間ということもあって、ほとんど突貫工事のごとく、なんとか形にしたという印象だ。

東京で出会った同じ名前をもつ二人の少女「ナナ」。大崎ナナ(中島美嘉)はライバルバンド"TRAPNEST=トラネス"のレン(姜暢雄)との恋人関係が復活し、自身のバンド"BLACK STONES=ブラスト"にもメジャーデビューの話がくるなど順風満帆。しかしハチこと小松奈々(市川由衣)は、将来の見えぬバイト暮らしに焦るばかり。

55点
原作を読んでなければ補完しきれぬ矛盾多し

大場つぐみ&小畑健の超人気漫画の実写映画化第1弾は、予想通りの大ヒットとなった。同時に製作されたこの後編の出来栄えやいかに?

名前を書くとその人間が死ぬ"デスノート"で、自分なりの世直しを続けるキラこと夜神月(やがみらいと 藤原竜也)。犯罪の激減で世論もキラ寄りに流れる中、謎の天才探偵L(松山ケンイチ)率いる少数精鋭のキラ対策本部は懸命に捜査を続けていた。やがてLが、その抜群の推理力で月の正体に迫ったとき、二人目のキラが現れる。

この二人目のキラは、前編で示唆されていたとおり、そして原作と同じく、ライトにぞっこんのゴスロリ少女、弥海砂(あまねみさ 戸田恵梨香)だ。月が海砂を徹底的に利用し、邪魔なLを消そうとする展開も原作と同じ。この後編は、その3人の戦いが見所となる。

55点
前作とタイプは違えど、正統派のスプラッタホラー

先日、13年ぶりの復活をとげたバタリアンシリーズ。そのパート4と同時に撮影された続編がこの5だ。監督はもちろん同じで、主要なキャストも引き継がれている。これ一本で完結したホラー映画だが、そんなわけでなるべくならパート4を見た後に見ることが望ましい。

前作で、無事生還したジュリアン(ジョン・キーフ)は、亡くなった叔父の隠し部屋から「トライオキシン5」と書かれたドラム缶を発見する。異様な雰囲気を感じた彼は、ドラム缶を化学マニアのコーディー(コリー・ハードリクト)の研究室に運び込む。そこで内容物の確認を頼んだのだが、中身がドラッグだと勘違いしたコーディーらは、それを錠剤に加工、売人を通して学園中に売りさばいてしまうのだった。

さて、ご存知のとおり「トライオキシン5」を摂取した人間は、生きていようが死んでいようがゾンビになってしまう。折りしも時期はハロウィン。学園中の生徒が集まるパーティが始まる中、次々とゾンビ化する学生たちは、周りの友人らの脳みそにかぶりつく……。

55点
シナリオはひどいが宮崎はすばらしい

『ただ、君を愛してる』は、社会現象にまでなった大ヒット作『NANA』の続編の主演を蹴れるほど絶好調の、宮崎あおいが主演した恋愛ドラマ。以前『恋愛寫眞』(堤幸彦監督)という映画があったが、あれを元に市川拓司(「いま、会いにゆきます」原作)が書き下ろした、『恋愛寫眞 もうひとつの物語』を映画化したものだ。

主人公の大学生、誠人(玉木宏)は、入学式の日、妙に幼い雰囲気の同級生、静流(宮崎あおい)と出会う。社交性に乏しい誠人だったが、その子供っぽさから彼女を異性として意識せずにすんだおかげで、静流とだけは友人になれた。二人で裏の森に出かけ、誠人の趣味である撮影を楽しむ日々が続くが、学園のアイドル的存在(黒木メイサ)に片思いする誠人は、自分に思いを寄せる静流の気持ちに気づかない。

なぜか幼い風貌(理由はちゃんとある)のヒロインと、鈍感なオトコ、そして大人びた美人でクラスの人気者という、メリハリのある三角関係を描いた恋愛ドラマ。この作品の魅力は、なによりその映像美で、構図や風景など相当こだわっているのが見て取れ、そして成功している。

55点
アイドル映画としてはイマイチ、アクション映画としてはそこそこ

『スケバン刑事』とは、和田慎二の人気漫画であるが、30代以上のオジサンたちにとっては、かつての 80's 人気アイドルたちが出演していたアクションテレビドラマとしての記憶が強いだろう。本作は、原作者のご指名を受けた当代随一のアイドル、松浦亜弥主演で作られた、映画版としては3つめの作品となる。

爆弾事件に関わっている疑いの濃いアングラサイトを捜査中の、学生刑事が爆死した。その後、そのコードネーム"麻宮サキ"を受け継いだのは、ニューヨークで警察でも手がつけられぬほど暴れまくり、強制送還された筋金入りのスケバン(松浦亜弥)だった。米国で拘束されている母親を、国際司法取引で救うのと引き換えにスケバン刑事となった彼女は、持ち前の行動力と格闘術で、学園内での潜入捜査を進めていく。

『スケバン刑事』は、DVDも売れ、アニメ化もされている、2006年現在でもなかなかの人気コンテンツ。アイドルマニア的には、その時代のトップアイドルが、見た目やムードとは正反対の乱暴な言葉やふるまいをする、そのギャップを楽しむというシリーズだ。

55点
無理してお涙頂戴にしたことが問題

夏川りみが歌う同名曲は、森山良子が亡き兄を思って書いた詞と、BIGINによる感動的な旋律で、ロングセラーとなっている名曲。この人気に目をつけたTBSが、同じコンセプトでテレビドラマと映画を作った、その映画のほうがこれ。監督の体調不良による交代などで完成が遅れたが、『いま、会いにゆきます』で切れ味鋭いどんでん返しを見せた土井裕泰監督がなんとか引き継ぎ、無事公開にこぎつけた。

いつか自分の食堂を開くという夢に向かい、沖縄本島でがんばる兄(妻夫木聡)のもとに、新高校生となった妹(長澤まさみ)が引っ越してきた。久々の再会で、すっかり大人びた妹に驚いた兄だが、それでも相変わらず仲良しの二人は一緒に暮らし始める。やがて、偶然知り合った男の協力でついに念願の店を出すことにした兄は、しかしその男に騙され、長年貯めた開業資金を持ち逃げされてしまう。

さて、この二人は早くに両親と別れ、支えあって生きてきた唯一と言ってもよい家族。実は血がつながっていないのだが、兄は妹を本当の家族として扱い、すべてを捧げて彼女の将来を守ろうとしている。血がつながっていないのに、普通の家族よりはるかに強い絆。この家族愛が感動を呼ぶ。

55点
メインアイデアに溺れているが、韓国版よりは上

ネタ不足のハリウッドは、世界中の映画作品から新アイデアを求めているが、活況の韓国映画界もその有力な対象のひとつ。このファンタジックなラブストーリー『イルマーレ』も、2001年の同名韓国映画のリメイクだ。しかも、「リメイクはオリジナルより劣る」という鉄則を、見事に覆した珍しいパターンだ。

湖畔に建つ全面ガラス張りの瀟洒なデザイナーハウスにすむ女医(サンドラ・ブロック)は、ある日シカゴに引っ越すことになった。彼女は、引き払い時に郵便ポストに次の入居者あてメッセージを投函して去る。やがてシカゴのマンションに返事がくるが、驚くべきことに、その手紙は2年前の2004年に湖畔の家に住んでいた、彼女の前の入居者(キアヌ・リーブス)からだった。2年の時を越えた不思議な文通に夢中になる二人は、やがてお互いに好意をもち、2006年で待ち合わせてデートする事になるが……。

タイムマシン機能付きの郵便ポストというファンタジックなアイテムと、2年間の時間がずれたままの進行が生み出すミステリアスなオチ。それが映画『イルマーレ』の、米韓共通のメインアイデアだ。

55点
CGを駆使して作り上げたおとぎ話的世界観が面白い

ビビアン・スーといえば、テレビ番組「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」の企画バンドとして90年代後半に活躍した「ブラックビスケッツ」のメンバーとしての姿が記憶に新しい。当時、バラエティ番組での的確なボケや、台湾人の女の子特有の幼い顔立ちが、お茶の間で人気を博した。

最近の彼女は、母国台湾に戻って芸能活動を続けていたが、このたび主演映画が日本でも公開される運びとなった。それがこの、おとぎ話的恋愛ドラマ『靴に恋する人魚』。公開中の『キンキーブーツ』同様、靴を題材にした、一風変わった作風の映画だ。

「人魚姫」を読んだ車椅子の少女ドドは、予定される手術によって足が治る期待とともに、その代わりに自分も何かを失うのではないかと不安を抱いていた。もちろんそんな事はなく、彼女は無事歩けるようになり、やがて靴が大好きな美しい女性(ビビアン・スー)へと成長した。素敵な歯科医のスマイリー(ダンカン・チョウ)とも出会い、幸せの絶頂にいるかと思われたドドの運命は、そこから大きく転換をはじめる。

55点
これを楽しめるかどうかは、前作をどう思っているか次第

前作『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』は、続編でもリメイクでもない、オリジナルの新作映画としては、驚くべき大ヒットを記録した。登場した週に、まだ3週目だった『踊る大捜査線2』をランキング首位から引き摺り下ろし、映画関係者を驚愕させた事件も記憶に新しい。

前作の大ホームランは本国アメリカでも同じで、このPart2にかける期待は日米ともに並々ならぬものがある。今回の『パイレーツ・オブ・カリビアン2』は、必勝を義務付けられた期待のドル箱コンテンツだ。

ちなみに一足早く公開された米国では、その大きな期待をさらに上回る特大ヒットを記録。商業的には、週末の興収記録でなんと映画史上最高額を更新し、年間ベストワンも狙える立場にいる。

55点
とても高度なことをやっているが、見せ方が悪い

最近のお客さんは目が肥えてるから、月並みなアクション映画では満足しない。そこでハリウッドはたくさんお金をかけて、CGやワイヤーワークを使った華麗な画面作りに没頭し、タイの俳優トニー・ジャーはそうした上げ底なしの、リアル肉体アクションにこだわる。

そんな中、フランス映画『アルティメット』は、後者に近いコンセプト。製作者リュック・ベッソンが、自身の作品で使ってきたスタントマン、シリル・ラファエリと、映画『YAMAKASI ヤマカシ』のモデルとなった、ビルを素手で登ったりするパフォーマンス集団の創始者ダヴィッド・ベルをダブル主演にして作った、純粋アクションムービーだ。

舞台となる近未来のパリには、治安悪化のため市内から隔離されたバンリュー13という地区がある。無法地帯と化したこの地区に、盗まれた政府の爆弾が運び込まれた。爆弾の解除任務を与えられた捜査官(シリル・ラファエリ)は、バンリュー13で生まれ育ったチンピラ(ダヴィッド・ベル)をガイドに雇い、侵入する事にした。

55点
ミラ・ジョヴォヴィッチをたっぷり楽しもう

2002年のアメリカ映画に『リベリオン』というのがあるのだが、これがなかなかよくできたSF映画であった。監督の長年の夢を入れ込んだだけあって、そこらのお手軽エセSFとは一味ちがう本物風味で、当時は私も絶賛したものだ。

そしてその監督カート・ウィマーが今回、人気女優ミラ・ジョヴォヴィッチ(『バイオ・ハザード』シリーズ主演など)をヒロインに想定して書き上げた、オリジナルSFストーリーが、『ウルトラヴァイオレット』。オールデジタルビデオ撮影、VFX満載のアクションものだ。

この未来世界の設定は、人類の一部があるウィルスに感染し、ファージと呼ばれる超能力を得た新人類になってしまい、旧人類から危険視され、迫害されているというもの。ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるヒロインは、ファージ最強の殺し屋で、人類側の最終兵器の強奪という、重要な任務につく。

55点
女性向きの、良質時代劇ロマコメ

ジャコモ・カサノバは、18世紀に実在した人物。作家や政治家、スパイなど、多彩な顔をもつが、なんといっても歴史上最高のプレイボーイとしてその名を知られている。映画『カサノバ』は、彼を主人公に、多分にフィクションの要素を取り入れ、いわゆるラブコメに仕上げた一本である。

歴史的なイケメンとされるカサノバを演じるのは、先日『ブロークバック・マウンテン』でも主演したヒース・レジャー。これまでこの人物を演じてきた映画俳優は数多いが、個性が強くない分、万人に好かれそうなカサノバ像を作り出している。

修道女と寝るなど、奔放すぎるふるまいで教会から追われるカサノバは、次のカーニバルが終わるまでに結婚相手を見つけねば、ヴェネチアを追放すると宣告される。そこで彼は、ヴェネチア一の美人といわれる良家の子女(ナタリー・ドーマー)に目をつけるが、同時に彼女を狙っていた男(チャーリー・コックス)に決闘を申し込まれてしまう。

55点
坂上香織のハダカをたくさん見られる

杉本彩が体当たりでSMシーンを熱演した『花と蛇』シリーズは、大物のグラビアネタに飢えていた週刊誌等を巻き込み、(オジサマたちの間で)けっこうなブームとなった。

これはいけるということで、今度は同じく元アイドルの坂上香織が、SM演技に体当たりでチャレンジしたのがこの『紅薔薇夫人』。原作は、『花と蛇』同様、このジャンルの大家、団鬼六の『肉の顔役』である。ちなみにこの原作、後編は『花と蛇』以上に過激といわれている。

坂上香織が演じるのは、没落した名家の奥様。奥ゆかしく清純な大和なでしこだ。ところが、彼女と処女の一人娘(永瀬光)は、なんと借金のかたに売られてしまう。悪どい男どもの前につれてこられた母は、容赦ない陵辱、恥辱の限りを尽くされてしまうのだった。

55点
ばんえい競馬の面白さを教えてくれる

大抵の人は、自分の興味ある題材を扱った映画を観に行くわけだが、中に新たな出会い、人生の刺激を求めて、ジャンルにこだわらずたくさんの映画を観る人も少なくは無い。そうした人々にとって、これまで見たことも無いモノを映画の中で見、疑似体験できるというのは、大きな魅力だ。

『雪に願うこと』は、ばんえい競馬(ばんえい競走)をテーマにした人間ドラマ。ばんえい競馬とは、北海道でのみ行われる独特のレース。一般に想像する競馬とは全く違うものだ。たとえば、登場する馬はサラブレッドの倍くらいの体重がある、マッチョな農耕馬たちで、コースは2箇所の障害(坂道)を設けた200mの直線コースだ。この、シンプルなコースを、馬たちは鉄製で合計500kgにもなる重く巨大なそりに、騎手と荷物を乗せ、時に休みながらも、のっしのっしと1歩ずつ歩く。スピードではなく、持久力とパワーを競う競技なのだ。

ノロノロしててつまんないんじゃないの、なんて思うかもしれないが、それは違う。気温が低いため、馬の鼻息が豪快に白く目視でき、いかに彼らが全力で筋肉を収縮させているかがよくわかる。見るからに重そうな荷物を、野生味溢れる身のこなしで、真っ向から引いていく姿は、人間には想像もできないパワフルな迫力に満ちている。上り坂では、その太い筋肉にも乳酸がたまりきり、多くの馬たちがついに力尽きる様子も実感できる。それでも最も強い馬は、見事にそれを上りきり、ゴールするのだ。その姿には、感動さえ覚える。

55点
リアルで現代的なテーマを扱った若者向きミュージカル

この映画の原作となったミュージカルは、ピューリッツァー賞も取ったブロードウェイの大ヒット作。歌とドラマの融合たるミュージカルという、非常にクラシカルな雛型に、HIVや同性愛といった現代的なテーマを盛り込んであるのが特徴で、ロックやゴスペルなど、使われる曲も若者向けとなっている。

話の始まりは89年のクリスマスイブで、そこから1年間に起こる、仲間たちの悲喜こもごもを描いた群像劇。登場人物は個性的で、みなミュージシャンや映画作家、ダンサーなど、芸術志向の若者ばかり。分かれたカノジョが今度は女とつきあっていたり、親友はドラッグクイーンとつきあっていたりと、あたりまえのように同性愛がそこには存在する。

そうした三角関係や、新しい恋、または、かつて仲間だったヤツが、今は玉の輿に乗って、自分たちを家主と一緒に追い出そうとする側にいるなど、様々なドラマが交錯する。

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