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2166件中 1301~1350件 を表示しています。
55点
インフレ一段落

17年ぶりに復活した劇場版前作「DRAGON BALL Z 神と神」(13年)が、興収およそ30億円の大ヒットとなったのを受けて今年も作られたドラゴンボールZ最新作。タイトル通り、人気悪役フリーザが復活する。

フリーザの復活を狙うフリーザ軍の残党ソルベとタゴマは、ドラゴンボールを擁する地球へと向かっていた。おりしも孫悟空(声:野沢雅子)とベジータ(声:堀川りょう)は破壊神ビルスの付き人ウイスのもとで修行中で留守であった。

ドラゴンボールと言えば、アベノミクスがうらやむほどの敵インフレ路線を堂々と突き進む、まさに週刊少年ジャンプイズム最強の具現者である。

55点
作品賞だが地雷映画

米アカデミー賞は設立時からねぎらい空気というか、功労賞としての役割が強い賞である。ならば12年間も企画を継続させた「6才のボクが、大人になるまで。」でもいいだろうと予想していたが、結果としてはそれ以上にマイケル・キートンをねぎらう空気が盛り上がったようだ。

娯楽映画『バードマン』でスターになったリーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、その後イメージチェンジに失敗し、いまや落ちぶれていた。再起をかけるべく彼が力を入れているのが自ら脚色した舞台「愛について語るときに我々の語ること」。だが、他のキャストや娘との確執に苦しむ彼は、本番を前にさらに追い詰められていくのだった。

撮影賞もとった本作だが、巷で言われているほどワンカット長回しをほめたたえる気にはならない。ヒッチコックの昔ならいざ知らず、デジタル技術全盛の今、こうしたルックの映画を作るのはそれほど難しいことではあるまい。

55点
演技や映像はいいのだが

原作ものの映画化において、監督以下スタッフは当然ながら原作を読んでから挑む。それが有名だったりベストセラーだったり大御所の作品だったりするほど、そのエッセンスをどう映像化しようと頭を悩ませることになる。そしてそこに、ぽっかりと落とし穴があいている。

雪のクリスマスの朝。登校した涼子(藤野涼子)は同級生・柏木卓也(望月歩)の落下死体を発見する。警察や学校の調査により自殺かと思われたが、何者かによる告発状は、彼の死が同級生によるイジメ殺人であることを示唆していた。

原作を読み込めば読み込むほど、未読者の気持ちからは離れていく。これはやむを得ないことだが「ソロモンの偽証 前篇・事件」はその落とし穴に片足が落ちており、未読者が映画版だけを見るといろいろな不具合に遭遇する。

55点
ヒロイン二人ががんばる

モノクロパートカラーのスタイリッシュな映像美で世界を揺るがした「シン・シティ」から9年。革新的だったビジュアルも、いまやどことなくレトロを感じさせるようになった。なかなか趣きある続編である。

荒くれ者が集う街シン・シティの癒しの女神、ナンシー(ジェシカ・アルバ)は、かつて自分を救ってくれた刑事ハーティガンの仇をうつため、密かに怒りをたぎらせていた。だがその相手、ロアーク上院議員(パワーズ・ブース)の勢力は拡大する一方で、街の腐敗も進んでいくのだった。

まず、悪党どもの中で魅力を振りまくヒロイン陣の中でエヴァ・グリーンのはじけっぷりが群を抜く。ハードボイルドな探偵ドワイト・マッカーシーをセックスで翻弄する悪女役。ヌードも辞さず、どころか脱ぎまくりで男どもを虜にする。かつての超ナイスバディも30代半ばに差し掛かり、私には断じてよくわからない分野ではあるが、いわゆる熟女ファンにはたまらないところであろう。

55点
原作のいいところ全部入りだが

ピクサー超えまで視野にいれ、日本最良というべき原作のCGアニメ化に挑んだ「STAND BY ME ドラえもん」だが、彼らの前にはピクサー以前に藤子・F・不二雄という高い壁が立ちふさがっていた。

ダメ少年のび太(声・大原めぐみ)の前に、22世紀から子孫を名乗るセワシ(声・松本さち)がタイムマシンに乗って現れた。なんでも大人になったのび太のこしらえた借金のせいでひどい目に合っているのだという。そこで彼は、嫌がるネコ型ロボットドラえもん(声・水田わさび)を強制的にプログラムしてのび太の世話役に置いていくというのだった。

この映画の問題点ははっきりしていて、それは総集編では決してないのに総集編感がきわめて強く感じられるという一点にある。

55点
大人の気晴らしでしかない

「アナと雪の女王」が空前の代ヒットを記録したディズニーアニメーションの、注目された次回作「ベイマックス」は、海外市場で群を抜いた興収を記録した日本に感謝するかのごとき、日本推しの内容である。

14歳のヒロ(声:ライアン・ポッター)は、愛するキャスおばさんのもと、兄のタダシ(声:ダニエル・ヘニー)と幸せに暮らしていた。ヒロには天才的な科学の才能があり、兄の通う大学の研究室でも仲間たちの研究に目を輝かせていた。ところがあるときタダシの身に大変なことが起こり、彼の運命は一変する。

日本スタッフ主導の主題歌推しプロモーションでアナ雪が大ヒットしたため、個人的には「ベイマックス」の宣伝戦略に注目していたが、意外なほどにアメコミ色を消した宣伝に再び驚かされることになった

55点
イブ専用映画

「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」は、恋愛映画の名手・犬童一心監督と、クリスマスソングの代名詞・山下達郎(音楽監修)、中村航(「100回泣くこと」ほか)の原作、そして相葉雅紀&榮倉奈々主演という、まさに対カップル完全武装によるクリスマス専用ラブストーリー。

漫画家の夢を持ちながら書店バイトでくすぶっている光(相葉雅紀)。そんな彼が偶然街で出会い、恋をした相手は自分とは不釣り合いなセレブで照明アーティストのソヨン(ハン・ヒョジュ)だった。そんな話を幼馴染でオブジェ作家の卵の杏奈(榮倉奈々)に相談すると、彼女は複雑な表情を見せつつも彼の恋に協力を申し出てくれるのだった。

クリスマスデート専用というコンセプトがこれだけはっきりしているのに、肝心のユーザーの動線への思いが至らない点が、本作のダメなところである。

55点
足るを知らない大国人

クリストファー・ノーラン監督はデビュー作「フォロウィング」(98年)以来、「メメント」(00年)から、超大作であるバットマン三部作に至るまで凝りに凝った──ひらたくいえば少々ややこしい作風を続けている映画監督である。製作費170億円クラスの「インターステラー」にしても、それは変わらないのだから凄いことだ。

未来の地球では、かつての肥沃なアメリカ大陸でさえ、食糧難と環境破壊で居住環境が著しく低下していた。そこで、宇宙に新天地を求めるミッションが計画され、元テストパイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)らが抜擢される。彼には幼い娘と息子がいたが、高速航行する宇宙時間よりはるかに早く流れる地球時間との差を考えると、子供たちが存命中に地球に戻れるかどうかはかなり微妙なところだった。

「インターステラー」は、理論物理学者キップ・ソーンを製作総指揮に迎え、彼の最新理論によるブラックホールほか宇宙の風景を楽しめる本格SF作品である。フィルム撮影などアナログ&ローテクを好むこの監督らしく、宇宙船や同行するナビゲーションロボットなど、普通ならCGで処理するようなものも、セットや小道具を製作して撮影。そのため、「2001年宇宙の旅」(68年)はじめ往年のSFの傑作をほうふつとさせるルックスの、どこか懐かしい不思議な最新作となっている。

55点
勇気あるラストと及川奈央の温泉シーン

SF作品「ヲ乃ガワ-WONOGAWA-」は、低予算ながらなかなかよくできたディストピアものである。

21世紀におきた、大崩壊と呼ばれるカタストロフィを経た31世紀。残存する人類はそれぞれ小さなコミュニティで暮らしていた。ある温泉地に建設された小国家「ヲ乃ガワ」の考古学者・月山ヲノガ(前田希美)は禁じられた前文明の遺跡調査中、古い携帯電話と画像データを発見する。だがそのとたん、彼女たちは命を狙われ始めるのだった。

おそらく映画はハリウッド作品しか見ない、なんて人がこれを見たら仰天するほどチープに見えることだろう。

55点
Vシネマ25周年記念作

Vシネマを劇場で見るニーズがどれほどあるのかは読みにくい。昔は極道ものを皆で映画館に見に行ったりしたが、今の日本人にそうした習慣はないだろう。リアリティや豪華な映像を見たいわけではない。あえていえば、フィルムに込められた情熱。そんなものを共有したいと考える人々の足が、東映Vシネマ25周年記念作品「25 NIJYU-GO」に向いているのだろう。

西池袋警察署の桜井慎太郎(哀川翔)と日影光一(寺島進)は、自他ともに認める悪徳警官。今日も押収した金が足りないと上司に呼び出されている。その返済を暗に強制されたことで追い詰められた二人だが、偶然にも巨額横領事件の容疑者・九十九信夫(温水洋一)を発見、色めきだつ。九十九はいまだ残金25億を隠していたが、しかしそれを狙うのは刑事二人だけではないのだった。

哀川翔はワルっぽい見た目とは裏腹に家族主義で知られ、子供が小さい頃から子供の方が疲れて眠るくらい遊びにつきあうという、良き父親である。

55点
女優のカリスマに頼りすぎ

ほんの数年の間にわずか11本の映画に出ただけなのに、その名を永遠としたオスカー女優がいる。「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」の主人公グレイス・ケリーのことだが、いわずと知れたのちのモナコ公妃であり、若くして交通事故で世を去った、まさに映画のような人生を生きた女、でもある。

モナコ大公レーニエ3世(ティム・ロス)と結婚した女優グレース・ケリー(ニコール・キッドマン)は、二人の子供に恵まれながらも王室内に友人もなく孤立していた。それでも変わらず接してくれるヒッチコック(ロジャー・アシュトン=グリフィス)と再会し、久しぶりに笑顔を取り戻した彼女に、この映画監督は自作の主演と復帰話を持ちかけるが……。

古い時代の女優の中でもグレース・ケリーの美貌は別格で、「裏窓」あたりの彼女はスチールで見ても動画でみても非の打ちどころのない美人女優といえる。ヒッチコックが愛したブロンドの中でも群を抜いていて、だから本物の姫様になった逸話も納得であろう。

55点
肩透かしを食らおうとセガールについていく男のためだけの映画

スティーヴン・セガールといえば世界最強。ハリウッドの枠を、いやフィクションの枠すら悠々と乗り越え、いまや恐怖のメキシコマフィアから国境を警備する警官、保安官として、あるいはアリゾナの州知事候補として現実の悪と戦う男である。

そんなセガールの沈黙シリーズといえば、泣く子も黙る痛快アクション。むしろ悪党が気の毒になったり、どう見てもお前のほうが多く殺しているだろうと誰もが突っ込みたくなる彼の代表シリーズである。各作品の内容にまったくつながりはないし、セガール演じる主人公の職業もまちまちだが、コックだろうが環境運動家だろうがとにかく強くて、悪を全滅させるのは同じである。

そんなセガールにはもうひとつ、ローマ字題名シリーズ(?)といって、こちらもセガールが相手をコテンパンにぶちのめすアクションシリーズがあるわけだが、「沈黙のSHINGEKI/進撃」はなんとその両者を融合させた話題作。これはどう考えても、歴代セガール出演作の中でも必見の、何かが起こる予感プンプンの最新作と言わざるを得ない。

55点
エメリッヒ版とは雲泥の差だが

日本版一作目「ゴジラ」(54年)の「そのうち行き過ぎた科学技術によりしっぺ返しを食らうぞ」とのメッセージはまぎれもなく先見性があるものであったが、それをハリウッドが二度目の実写化でようやく言及したからといって、日本の愛国的映画批評家たる私が手放しで傑作と褒め称えるなどと思ったら大間違いである。

科学者ジョー(ブライアン・クランストン)は、職場である日本の原発事故で愛する妻を失った。15年後、米海軍の爆発物処理隊員である息子のフォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)は父とその事故現場を訪れることになるが、そこでは原発の廃墟どころか、想像を絶する極秘研究が行われていたのだった。

98年のローランド・エメリッヒ監督版「GODZILLA ゴジラ」こと、トカゲ捕獲ムービーの出来があんまりだったがために、今回のギャレス・エドワーズ監督版を見るオールドファンの多くは、随所に感じられる日本版への愛情表現を喜ぶことだろう。たしかに前作(?)にくらべると雲泥の差、よくできている。

55点
腹筋より大事なものがある

アメリカ人は旧日本軍の特攻隊に対する劣等感が根強いため、ハリウッド映画では登場人物が自己犠牲を選ぶ展開が多い。自分たちがやれないことを目の前でやられたので、戦勝国だというのにコンプレックスを抱いているのである。

こうした苦手意識は100年たっても消えるものではない。確かにある意味、常軌を逸した作戦であり、単純に美化していいものではないが、結果的に子孫たちに誇りと「日本」継続への鉄の意志を遺した点においては、現代日本人は彼らに感謝し続けなくてはなるまい。

強大なペルシャ軍にわずかな精鋭を率いてスパルタのレオニダス王が対峙しているころ、アテナイのテミストクレス将軍(サリヴァン・ステイプルトン)は、一般市民の寄せ集め兵ながらギリシャ連合軍を組織し、同じく立ち向かおうとしていた。だが、ペルシャ海軍指揮官アルテミシア(エヴァ・グリーン)は冷酷な女戦士。戦況は不利きわまりない様子であった。

55点
宣伝が最大の問題

「ミッション:15」の何が一番いけないかといえば、上映開始後45分間も伏せられている重要事項のネタバレを、宣伝効果のために映画会社が連呼している点である。

このジャンルで有名なカルト作のタイトルを宣伝に使いたい気持ちは痛いほど分かる。少しでも周知しないとこの手の小さな映画のビジネスは厳しい。そうした事情は承知しているものの、私は批評家だから申し訳ないが無視する。やはり大事な秘密を事前に伝えてしまっては、観客の楽しみの多くは減ってしまう。

首都ワシントンにある米軍医療施設に、3人のPTSD患者である兵士が通院している。診療の帰り、偶然同じエレベーターに乗り合わせたのは、中東で拷問を受けた女性士官のホワイト(ジェニファー・モリソン)、誤爆のトラウマを持つ無人機操縦士オールズマン(ジョシュ・スチュワート)、仲間を見殺しにせざるを得なかったディエゴ(スティーヴン・ライダー)。3人を乗せた箱は、途中で突然停止。慌てる三人だが、やがて断片的情報からワシントンが核攻撃を受けたらしいことを知る……。

55点
ローランドゴリラがプロ野球で大活躍

野球映画には傑作が多い。同時に、変化球というべき変わった作品も多い。日本でいえば、かわいい女の子が中日ドラゴンズのピッチャーになって活躍する話とか、そんな感じだ。

だが韓国は違った。彼らは美少女の代わりに、ゴリラを助っ人外人として活躍させる野球映画を作った。

中国の僻地に、つぶれかけの雑技団があった。そこでゴリラに芸を仕込む少女ウェイウェイ(シュー・チャオ)は、ゴリラと話せるとのふれこみだったが、それを見た敏腕スカウトのソン(ソン・ドンイル)は、そのゴリラを斗山ベアーズの助っ人としてスカウトする。かくして韓国球界にあらわれたゴリラの"ミスターゴー"は、打率9割9分、長打率10割の代打の切り札として、とてつもない活躍を見せるのだが……。

55点
うまくマンネリを打破した

もはや何匹目のどじょう、いや蛇なのかわからぬほど繰り返し映画化されてきた団鬼六「花と蛇」だが、こうした作品群を監督する人も大変だろうと思う。なにしろ杉本彩が過激さではすでに頂点を極めてしまっている。いったいその後に何を付け足せばいいというのだろう。

女性を監禁・調教する闇SMサイト。そこで人気の人妻・静子(濱田のり子)は夫の借金のカタにはめられたということだ。そしてそのサイトの過激さに、ズブズブとはまる欲求不満の主婦・瑠璃(桜木梨奈)。さらには違法行為を見逃す気のない女性警部・雨宮美咲(天乃舞衣子)。3人の運命は、やがて闇サイトを交点に激しく交わっていく。

さて「花と蛇 ZERO」だが、トリプルヒロインでマンネリ打破に挑むコンセプトを持ってきた。清楚な静子さんが縛られ落ちていくおなじみの展開はそのうち一つにさらりと潜り込ませ、残り2名のお色気担当で楽しませながら、驚愕のどんでん返しに持っていく荒技を見せてくれる。

55点
杉下右京がネトウヨ批判

該当記事に書いた通り「テルマエ・ロマエII」はいまの流行に沿った愛国保守ムービーだが、同週公開にその逆の思想背景を持つ「相棒 -劇場版III- 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ」があるというのは面白い。どちらもそれぞれの映画会社のキラーコンテンツであり、GWにガチンコ対決というわけだ。

警視庁特命係の杉下右京(水谷豊)と甲斐享(成宮寛貴)は、かつて杉下の相棒だった神戸尊(及川光博)の誘いで太平洋の孤島でおきた死亡事故の調査に向かう。杉下にとっては取るに足らない案件と思われたが、神戸の真の目的は、この島で軍事訓練体験ツアーを行っている民兵グループの調査であった。

日本にも軍事訓練を体験できるツアーが現実にあるが、この映画のそれはさらに本格的。伊原剛志や釈由美子らが演じる民兵グループは元自衛隊との設定。人目につかない、この場合は孤島でサバイバル的共同生活をしている様子は、なんだか連合赤軍ぽい? なんて思ったりもするが、あくまで国防の一環たる行動だから思想的には逆だ。

55点
縮小再生産

東京で暮らしているとわかりにくいが、ちょっと地方に行くと今でも時代が止まったような風景に出くわし驚かされる。たとえば先日映画祭の取材で滞在した沖縄本島では、レッドカーペットの最前列でキャーキャーいう東京と大差ないオサレな夏ギャルがいたかと思うと、いつの昭和だよと思わせる暴走族が夜中の国道をかっ飛ばしていた。その服はいったいどこで売っているのかと思うようなファッションだが、少なくともこうしたマーケットは確実に、それもかなりのボリュームで存在するのである。

激しい抗争から時がたち、鈴蘭高校では新たなトップ争いが勃発していた。実力は折り紙つきながらそこから距離を置く鏑木旋風雄(東出昌大)は、凶暴な新入生・加賀美遼平(早乙女太一)とのいざこざからやがて戦いに巻き込まれていく。

「クローズEXPLODE」は高橋ヒロシの人気コミックを原作とする学園アクションドラマ。こうした不良もの作品は、ストリートレースを題材にしたクルマ映画などと共に、地方都市のヤンキー文化層の市場を視野に入れていると、以前関係者に聞いたことがある。劇場公開後もDVD市場で高稼働するのが特徴だという。

55点
ビールでも飲みながら

あらすじからは、ただのおバカえいがにしかみえない「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」は、しかしそう単純なものではない。だが、あえてそうした先入観をもってみる程度がちょうどいい。

イギリス郊外で生まれ育ったゲイリー・キング(サイモン・ペッグ)は、学生時代に失敗した12軒のバーのはしごに再び挑戦しようとかつての悪友たちを招集した。すでにアラフォーとなった中年男たちのバカげた挑戦が、いま再び始まる。

大して笑えないし、笑わそうともしていない。なんだこりゃ、と観客は戸惑うだろう。逆に言えば、この序盤を大笑いしている人よりは、そんな違和感を持った観客はするどい。やがて4軒目のバーから、ストーリーは仰天の大転換をみせる。

55点
現実のインパクトにもっと近づきたい

人気女優が風俗嬢などを演じることが、この日本でもよくある。だが本人に役柄のことを聞こうとすると、偉い人からそのことはあんまり聞かないでくださいねー、などと言われたりするそうだ。じゃあ何を聞けばいいのかと思ってしまうが、色々と大人の事情があるのでどうしようもないらしい。

敬虔なカトリックの家で育った21歳のリンダ(アマンダ・セイフライド)は、バーを経営するチャック(ピーター・サースガード)と出会い、あっという間に恋に落ちる。と同時にめくるめく性の世界を教えられた彼女は、よりチャックにはまり込んでいくが、やがて彼の金銭問題に巻き込まれる。

さすがはアメリカ、アマンダ・セイフライドほどの人気女優が、伝説のポルノ女優ラヴレースを、ヌードなど当然よといわんばかりにひょうひょうと演じきっている。

55点
どこまでもピントが合う世界

三部作の2作目はしっかりオチない宿命にあるが、それにしても「ホビット 竜に奪われた王国」の尻切れ感はひどい。

ホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)は、魔法使いガンダルフ(イアン・マッケラン)に誘われドワーフたち一行とともに旅を続けていた。彼らは邪悪なドラゴンが待つはなれ山に向かうが、途中でオークらの襲撃によりピンチに陥るのだった。

ドワーフの王国を取り戻す旅のくせに、ドワーフのほとんどがその他大勢扱いだったり、大ボスであるドラゴンがどこか大味で怖さを感じなかったりと、上映時間が161分もあるわりには前作同様、首を傾げるクオリティ。

55点
猪瀬事件も早く映画化したら

法律や慣例、常識といったものは、長い間の社会生活の中で人が暮らしやすく、トラブルを防止して穏やかに過ごせるよう、工夫を重ねられた結果生まれたものだ。

だからほとんどの場合、それらは有効に機能するが完全ではない。いつの世もそれら「きまりごと」の枠をはみ出す人間が存在し、彼らは自らの価値観にあわない「きまりごと」からの攻撃に耐えながら生きている。

詐欺師アーヴィン(クリスチャン・ベイル)と愛人のシドニー(エイミー・アダムス)は、ついに年貢の納め時でFBIに逮捕されるが、担当捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)は彼らに意外な提案をする。それは、罪のおとがめなしを条件に、カジノ利権に群がる政治家とマフィアを架空の投資話に引き込み、一斉逮捕するおとり捜査への協力であった。

55点
不完全な世界で生きている人間たち

男の子には、成長の過程で師匠が必要なのだという。それは父親ではない、外部の人でなくてはならない。だとするならば、父親と息子の距離というものは、人生において一度は必ず離れるということなのか。

ピアニストとして成功したティモ(サムリ・エデルマン)は、しかし代償として家庭を失ってしまった。そこに3歳で生き別れて以来の父親レオ(ヴェサ=マッティ・ロイリ)がいきなり訪ねてくる。会わせたい人物がいると強引にドライブに連れ出すレオに、当初はうんざりするティモだったが、飲んだくれのダメ人間ながら底抜けに明るく前向きなその姿に、徐々に影響を受けていく。

この映画の二人のように、一度は離れた父子が再び近づくのは考えてみれば幸運なことだ。ほとんどは巣立った鳥のように、息子は勝手に遠くに飛んでいくだけ。それを邪魔しないのが粋な父親というもの、というわけだ。

55点
予算規模の割には魅せる

ウエンツ瑛士が主演でタイガーマスクを実写化する。そんな企画案を聞いて真っ先に思うのは、プロレスシーンをどうするつもりなんだ、という点であろう。その後、ビジュアルイメージで全身を衣装で覆ったタイガーマスクの姿が発表されたときは、なるほどこれなら身体を見せずにすむよね、と妙な説得力を感じた人も多いはずだ。本物の初代タイガーだっていまや全身タイツだし、まあいいかと、そんなところだ。

ミスターXお手製のマスクをつけると潜在能力の多くが引き出され、超人的な戦いを繰り広げる。そんな虎の穴の戦士として頭角を現してきた伊達直人(ウエンツ瑛士)。児童養護施設ちびっこハウスで育った彼は、それでも優しい心を失わずにいたが、あるとき非道なやり方で親友を奪われてしまう。

この映画を実際に見て驚いたのは、そもそもプロレス設定が消え去っているということだ。考えてみれば、初の実写版タイガーマスクとはいうものの、佐山タイガーの一連の活躍こそが実写版そのものと考えているファンは多い。いまさら普通に映画にしたところで、その二番煎じは免れない。そんな作り手の認識は、確かに間違ってはいまい。

55点
チェーン店のランチセット

アメリカ映画はいまでも人種差別問題の映画を作り続けている。だがそれを見たからといって、昔はひどかったけど今はよくなったね、と思えないところが一番の皮肉である。

ブルックリン・ドジャースのGMであるブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)は、戦力補強をニグロリーグに求めた。若く、差別に対して強い反抗心をもつタフガイであるジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)を気に入ったリッキーは、さっそくスカウト。だが時代は黒人差別が強く残っていた1947年。MLB初の黒人選手となるジャッキーのまえに立ちはだかる苦難は、予想を超える激しいものであった。

メジャーリーグが白人だけでおこなわれていた時代、史上初の黒人選手として迫害を受けながらも不屈の闘志で乗り切った野球殿堂入りのスター、ジャッキー・ロビンソンの伝記ドラマ。

55点
消費者レベルでできることはあまりない

公開中の「もったいない!」といい、ゴミ問題の映画が花盛りである。いまや、世界に名だたる放射性ゴミ排出国家に落ちぶれてしまったこの日本で、こういう公開ブームが起きるのもやむなし。ここは謙虚にお・も・て・な・し、の心で歓迎するべきであろう。

廃棄食品にスポットを当てた「もったいない!」と比べ、こちらはもう少し広い意味での廃棄物、ゴミ問題を追いかける。世界中に存在するこうした話題を集めて紹介し、こちらをたっぷりと絶望させたあとに、いくらかの画期的な挑戦を紹介することでほのかな希望をいだかせる。社会問題ドキュメンタリーとしては王道のつくりである。

驚くのは、まるでパニック大作かアクション映画のようなオープニング。本編も出ずっぱりで各地を取材して回る名優・ジェレミー・アイアンズのナレーションがじつにシブい。さらに、エイリアンか何かの大規模侵略を受け人類は壊滅寸前……なんてシチュエーションを思わせるスリリングなスコアは、なんと「南極物語」(1983)や「ブレードランナー」(1982)、「炎のランナー」(1981)でおなじみのヴァンゲリスときた。根本的にドキュメンタリー映画の人選じゃないだろうと、思わず苦笑する。

55点
ファン向け限定品

フジテレビ「ノイタミナ」枠は、深夜ということもあって視聴者が大人に限定されるため、意欲的な企画が出てくることで評価されている。「あの花」「花の名前」などと略される本作もそこから出てきた人気作で、なかなか異色のドラマながら泣けると評判。この映画版も期待通りの大ヒットとなっている。

じんたん(入野自由)、めんま(茅野愛衣)ら仲良し6人組は超平和バスターズと名乗り、山の中の秘密基地で遊んでいた。ところがめんまが急死したことで、残りのメンバーの間には修復しきれぬ亀裂が入る。時は過ぎ、高校生となったじんたんはひきこもりとなっていたが、突然目の前にあの時のめんまが現れる。自分以外に見えないめんまはじんたんに、願いをかなえてほしいというが、彼にはその願いがなんなのかが思い出せないのだった。

テレビ版ストーリーの集大成に加えさらなる感動のエンディングを擁すると評判の本作。テレビ版を見ていないものにとっては謎だらけの展開となる。

55点
肯定されたい人に

運命や境遇はそれとして前向きに受け入れ、気楽にいこうぜ──との価値観はラテン的とされるが、案外世界中のあちこちにあるものという気がする。なんくるないさーとか、ケセラセラとか、似たようなニュアンスの言葉もいろいろあるが、最近ではSCIALLA!、とのスラングがイタリアあたりで流行中らしい。本作は、そのシャッラ!をタイトルに持つ、国境をこえて広く受け入れられた、観客に愛されるタイプの作品である。

元教師で、いまはしがないゴーストライターにまで落ちぶれた男ブルーノ(ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ)は、あるとき日銭稼ぎの家庭教師で教えているルカ(フィリッポ・シッキターノ)の母親から、留守にする半年間ルカを預かってくれとのぶしつけな依頼をされる。彼女によると、なんとルカは15年前にブルーノとの間にできた実の息子だというのだ。

主人公はもう老境だというのに、社会に反発していつも不満ばかり抱えて生きている。その結果、生活はツケすら満足に支払えぬほど困窮。そのくせ自らの悪いところを決して認めない、じつに面倒くさい頑固老人である。かつては高い理想のもとに学問の道に進んだというのに、今ではポルノ女優の伝記本を、彼女の尻に敷かれつつ書かされる始末で、だれがどう見てもこの人生が好転する気配はない。そこに持ってきて、子供ができたことを15年も知らなかったとの絶望的な事実まで知らされる。こりゃひどい、とだれもが感じる序盤である。

55点
評価は高いが停滞を感じさせる

今年のアカデミー賞はCIAイヤーだと別の記事で書いたが、「奴隷制度を扱った映画」が複数ノミネートされている点も特徴的だった。「ジャンゴ 繋がれざる者」もその一つで、異才クエンティン・タランティーノが10年間も構想を続けたマカロニ・ウェスタン(風)冒険活劇である。

南北戦争の直前、1859年のアメリカ南部。ドイツ人賞金稼ぎのキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)は、道中で奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)を半ば強引に我が物とする。当初は彼の持つターゲットの情報が目当てだったが、聡明かつ行動力にあふれたジャンゴを気に入ったシュルツは、彼をパートナーとして扱うようになる。

さて、シュルツは合理主義のドイツ出身なので、アメリカ南部の風習など屁とも思わず、当時この地で劣等人種とさげすまれていた黒人ジャンゴの才能をいち早く見抜く。一方ジャンゴは、別れた妻を何としても探し出したいとの執念を心に秘めている。二人の活躍を、タランティーノ得意の容赦ない、だけどどこかコミカルなバイオレンス描写で描く。

55点
青春小説は映画化が難しい

意外と映画にすると難しいのが青春小説で、『パレード』『悪人』の原作者・吉田修一による「横道世之介」を映画化した本作もその一つ。平均以上の出来栄えなのに、どこかもやっとした印象なのはなぜなのか。

横道世之介(高良健吾)は、東京の大学に通うべく生まれ故郷の長崎県から上京してきた。素朴で純粋で、憎めない魅力のある彼の周りには多くの個性的な人物が集まってきた。お嬢様なのに貧乏金なしの世之介にべったりな祥子(吉高由里子)もその一人だが、彼には彼で片思いの年上女性がおり、二人の恋はあきれるほどに進展しないのだった。

若者の日常を描くこの手の小説は、作中のあちこちに共感を覚えながら読者の脳内で心地よい世界観として最終的に仕上げていくのが魅力である。だから映画のように、最初から完成品をビジュアルとしてバーンと目の前に出されてしまうと、どこか戸惑ってしまう。

55点
ディープなインドを疑似体験

世界を旅する人たちに聞くと、インドは特別な国らしい。たとえば人生で行き詰った時、ひきこもりになったりニートになったり、あるいはうつ病になったり。そういうときはインドに行くと何かに開眼し、生き返るらしい。

なにしろ川に遺体が流れてくる国である。欧米とも、日本を含む東アジアともまったく異なるその価値観が、結果的に自分自身の寛容と肯定感を与えてくれるというわけだ。

そんな憧れのインド旅行だが、その生まれ変わりを疑似体験させてくれるのが「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(11年、英・米・アラブ)。しかもインドを訪れるのが、英国人の老人グループときた。ガチガチの頑固者の英国人とくれば、世界で一番変わりそうにない人種。そこに本作の設定の面白さがあるわけだ。

55点
悪くはないが、アレはティム・バートンにとっても苦渋の選択だったのでは

最近、いろいろと復活する人が多い。自民党の総裁とか、コケても高得点なフィギュアの金メダリストとか、麻薬と逃亡劇でおなじみの美人タレントとか枚挙にいとまがない。

そんな中公開されるディズニーアニメ冬の勝負作「フランケンウィニー」のテーマもまさに「復活」。先ほど挙げたのは永遠に戻ってこないほうがいい連中ばかりだが、本作で復活するのは交通事故で死んだ愛犬。そのせつないファンタジーは、あなたの心の中にさざ波を立てるだろう。

アメリカのどこか、郊外の住宅街。科学が大好きな少年ヴィクターは、友達はいなかったが愛犬スパーキーがいたので寂しくはなかった。だが、不幸なことに交通事故でスパーキーはこの世から去ってしまう。悲観に暮れる中、学校の授業で筋肉が電気で動くことを知った彼は、ある方法をひらめき、スパーキーを甦らせようと決意する。

55点
豪華コスプレ劇

原稿を書き上げておきながらアップロードが遅れたせいで、渾身の書き出しを全部削除することほどむなしいものはない。ともあれ本作も公開後、かなり時間がたっているので速やかに本題に入ろう。

幕末の戦場で「人斬り抜刀斎」と恐れられた剣客、緋村剣心(佐藤健)は、しかし新しい時代の訪れとともに殺さずの誓いをたて、逆刃刀を腰に旅を続けていた。そんな折、神谷道場の若き師範代、薫(武井咲)を助けたことで、彼はそこに居候することになる。

5000万部突破の大ヒットコミック、待望の実写映画化である。しかし真っ先に思うのは、なぜ今ごろになってコイツを実写映画化するのかという点。その納得いく理由を描いてくれなければ、10年前でもよかったじゃんという事になってしまう。

55点
レイトショーにはいい感じだが

同じ映画鑑賞でもレイトショーにおける期待というのはちょっぴり他と異なる。残業で遅くなった男性や、デートで少し飲んだカップルなどがその途中で立ち寄る。そんな気軽さというものがレイトショー鑑賞にはある。

何人もの美女がロンドンとニューヨークの街をかけ巡るお気楽なサスペンスは、そうした用途にピッタリではないかと期待しつつ「4.3.2.1」を鑑賞した。

シャノン(オフィリア・ラヴィボンド)は家庭内環境の悪化に耐えかね、衝動的に自殺を考えている。いままさに飛び降りようというそのとき、彼女の手にはなぜか大量のダイヤモンドが握られていた。次の瞬間、シャノンの3人の女友達が現場に到着。いったいなぜ今夜はこんなコトになってしまったのか。4人それぞれの、複雑に絡み合った謎解きの物語がいま始まる。

55点
三島ファンも納得の出来

「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」(2007)で新左翼運動を描いた若松孝二監督は、次は「右」も撮らなくてはとの思いから今回、三島由紀夫の割腹自殺事件を新作の題材に決めた。「自分は決して左翼ではない」と、世間の認識を否定する若松監督だが、少なくともこの映画における事件認識からは、私が見た限り極端に偏ったものは感じられない。

文豪、三島由紀夫(井浦新)はいまやノーベル文学賞候補になるほど世界的な人気を博していたが、当の本人は文学への情熱を失いつつあった。代わりに彼の頭の中を占めていたのは憂国の思いであり、やがて三島は私財をつぎ込んで民兵組織「楯の会」を結成する。日本学生同盟の持丸博(渋川清彦)、森田必勝(まさかつ)(満島真之介)ら熱心な若者たちによって運営された「楯の会」だが、自衛隊の体験キャンプを繰り返すうち、やがて法でがんじがらめにされたその実情に失望を感じ始める。と同時に、おさまらない森田らの情熱は、三島を決起の方向へと煽りはじめるのだった。

何にも知らない方にざっくり説明すると、当時三島由紀夫は今のままでは日本はダメになると判断し、とくに手足を縛られた自衛隊の現状に強い危機感を持っていた。そこで文字通り命を懸けて彼ら(と国民)の目を覚ますため、市ヶ谷の駐屯地で演説した後、壮絶な割腹自殺を遂げた。この作品は、その事件を三島を中心とした純粋なる愛国者たちのドラマとして映画化したものだ。

55点
世界は広い

この世の中で、あらゆるビデオカメラに最も多く撮られている被写体といえばおそらく赤ん坊であろう。それまで撮影に興味のなかった人でも、子供が生まれれば記録に残しておきたいものである。

とはいえ、同じ赤ちゃんでも素人が撮ったホームビデオは5分とみていられないが、プロ製はやはり違う。ドキュメンター作家のトマ・バルメ監督が5年間の月日をかけて世界4か国の赤ちゃんの誕生以降を追いかけた「ベイビーズ-いのちのちから-」は、多様な価値感を実感できるすぐれた作品となっている。

本作はドキュメンタリーとしては異例の大ヒット、アメリカでは興収ベスト10にも入った。多くの人が興味を持つ「赤ちゃん」を被写体に選択したのがその要因の一つだが、ユニークなのがアフリカのナミビア、日本、モンゴル、そしてアメリカといった4か国4人の赤ちゃんを選んだこと。文化も政治体制も異なる国を選んだあたりがなかなかのバランス感覚だ。世界の縮図とまでは言わないが、この4つを比べるだけでも随分と違いがあることに驚かされる。

55点
≪途中でばれてしまってはすべてがパー≫

純粋な人ほどだまされやすいとよく言われる。自称情報強者な人たちでさえ、純度が上がればバカ度も上がる。韓国がねぶた祭りの起源を主張と聞けば沸騰し、自衛隊の戦車にウィンカーがついているのは平和憲法のせいだと激怒する。デマや誤報を疑うことすら忘れている。

『容疑者、ホアキン・フェニックス』を見たのがもしこうした人たちばかりだったならば、もっと長く人々をだまし続けることができただろう。

アカデミー賞2度のノミネートを誇る名優ホアキン・フェニックスが、突如引退を表明した。その後彼は、うまくもないラップでミュージシャンを目指すなど奇行を繰り返し、世間からはトチ狂ったかとさえ思われていた。そんな彼を見守り続けた親友のケイシー・アフレックは、その様子をカメラに納め続けるのだが……。

55点
≪死体不法投棄の名所≫

AKB48の前田敦子が卒業宣言をしてから、あらゆるメディアが彼女の話題一色になったように、ハリウッドでも話題の人、人気者には仕事が集中するのが普通である。この映画の主演サム・ワーシントンもそうで、公開時期のズレなどもあって、日本では今年、彼の映画が立て続けに5本も公開される状況になっている。

中でもこの『キリング・フィールズ 失踪地帯』は、リアリティーにこだわった犯罪ドラマ。『アバター』(09年)や『タイタンの戦い』(10年)などスーパーヒーロー的なイメージがある彼としては珍しい、地道に捜査を続ける刑事の役を演じている。

テキサスにはキリングフィールズと呼ばれる殺害死体発見の多発地帯がある。気の荒い刑事マイク(サム・ワーシントン)は、NYからやってきた相棒のブライアン(ジェフリー・ディーン・モーガン)とその近くで起きた連続少女失踪事件を捜査していた。そんな折、別の少女殺人事件の協力を依頼されたブライアン。これもまたキリングフィールズに引き寄せられるように発生した関連事件なのだろうか……。

55点
≪期待が大きすぎて不発≫

ディズニー生誕110周年記念作品、社運をかけた超大作として登場した本作は、しかし興業的には悲劇の一本となってしまった。

1868年、元南軍のジョン・カーター(テイラー・キッチュ)の日記を手にしたバローズ(ダリル・サバラ)は、その内容に驚愕する。そこには高度な文明のもと、多民族が暮らすバルスームなる惑星でカーターが繰り広げた様々な冒険が描かれていた。なぜかそこに瞬間移動したカーターは、その惑星においては驚異的な運動能力を持っていたことで、星の運命がかかる戦いに参加することになったのだった。

映画「スター・ウォーズ」や「アバター」に多大な影響を与えた原作「火星のプリンセス」の実写化として期待されていた企画だが、完成してみれば映画「スター・ウォーズ」や「アバター」の二番煎じなどと言われる始末。いや、こっちが先なんだと作り手は言いだろうが、ビジュアル的には確かにそうとしか見えないのは気の毒なところである。

55点
アメリカ人が心安らぐメッセージ

映画「戦火の馬」は、構想から撮影開始までわずか7ヶ月で行われたスピード企画である。一つの企画が2年や3年泳いでいるのも珍しくないハリウッドにおいては、この速度は異例ともいえる。そしてその中身を見てみると、監督のスティーブン・スピルバーグが映画化をそれ程急いだのもよく理解できる、極めて今のアメリカ映画の流行に即した作品である。

第一次大戦前夜の英国。農家の息子アルバート(ジェレミー・アーヴァイン)が何より愛して育てた馬ジョーイは、不本意ながら様々な事情によりイギリス軍へ軍馬として売られてしまう。ジョーイは最前線を駆け抜け、敵味方の軍を行きかいながら、それでも必死に生き、走り続ける。その瞳は戦場で何を見、何を思うのだろうか……。

「戦火の馬」は、普通に見れば、何の変哲もないお馬さんの感動映画である。イギリスのダートムーアで撮影された雄大な自然、疾走する馬体、そんなネイチャーな映像美とは対照的なリアルな戦争シーン。どれをとっても平均以上の出来栄えだが、しかし群を抜いて心に残る要素があるとも言えないのが泣き所。

55点
≪人気キャストによるイクメンムービー≫

予期せぬ子育てを引き受ける中年男の物語は、チャップリンの昔から数多くあるが、そうした流れの中で『うさぎドロップ』はかなりの薄味で、物議をかもした原作の実写化としてはやや物足りない。

27歳のダイキチ(松山ケンイチ)は祖父の葬式のさなか、祖父の6歳の隠し子と初めて対面する。その娘りん(芦田愛菜)のことは親類一同誰も知らなかったようで、みな戸惑うばかり。その場で始まった親類会議でりんを押し付けあう大人たちの身勝手さに、思わずダイキチは自分が引き取ると宣言。だが突然はじまった育児生活は、働き盛りの独身会社員であるダイキチにとって、想像以上に過酷なものだった。

原作第一部のみを映画化したものなので、コンセプトはほのぼのイクメン話といったところか。もっともそうした、ハリウッドのシチュエーションコメディのようなライトなエンタテイメント映画に個性派のSABU監督というのは明らかにミスマッチで、この映画もなんだか中途半端な、目指すところがぼやけた薄味な印象になっている。彼を監督にするならコンセプトを変え、衝撃の原作ラストまで持っていったらよかったのに、なんだかやっている事がよくわからない。

55点
≪鈴木杏のヌードが話題≫

男と女は対等な関係を保ったまま愛し合えるのか。できる、と信ずる女の純愛を描いた『軽蔑』は、ヒロインを演じる鈴木杏の、初めてのヌードを含めた熱演が見もののドラマである。

新宿でばくちに明け暮れるチンピラ、カズ(高良健吾)は、歌舞伎町のダンスバーでナンバーワンの踊り子、真知子(鈴木杏)と惹かれあい駆け落ちする。「五分と五分だからね」と語った後に結ばれた二人は、その後カズの故郷へと向かう。しかしそこには、地元の名士で資産家のカズの両親や、彼にまとわりつく大勢の友人や女たちが待ち受けていた。

真知子が望むような関係は、このうざったい連中によって崩れゆき、二人の暮らしはやがて崩壊に向かう。逃亡先で徐々に明らかになる、互いを軽蔑しあう人間たちの構図。悲劇を予感させるこのドラマを、自身の代表作「ヴァイブレータ」(2003)をほうふつとさせる生々しいタッチで廣木隆一監督が描いてゆく。

55点
≪冷酷になりきれなかった男たちの青春≫

福島第一原子力発電所の事故は様々な方面に影響を与えているが、私が驚いたのはいわゆる保守業界(のうち原発擁護派)の狼狽ぶりであった。

普段は現実主義的視点で議論できる人々が、そろって感情に振り回され論理性を失っている。左翼憎しで目が曇ったか、異端の域を出ぬ低線量放射線有益論に、すがるように飛びついてしまう。平時に何を信じようと勝手だが、有事に珍奇な説を振り回すのは人の生き死にに関わる。

発言力、影響力の強い文化人や元軍人たちが、福島の子供たちの命で行うハイリスクノーリターンなギャンブルにお墨付きを与える恰好になっている。自分らが万が一間違っていたら、誰も責任などとれない悲惨な事態になる事にさえ、想像力が及ばないのだろうか。なぜ彼らは極論に走ってしまったのか。

55点
≪中国の不可解な行動を理解したい人に≫

バブル経済華やかりし頃、ジャパンマネーは世界を席巻し、その勢いの前には欧州も米国も歯が立たなかった。その邁進力たるや、現在でいえば絶好調の中国経済よりも上であったのではないか。

だがそんなイケイケドンドンの時代でも、日本人は軍備を増強しようとか隣国に進出しようとか、そんな考えは思いもしなかった。

だから最近、尖閣諸島問題で牙をむくお隣さんのふるまいが理解できない。かの国は、経済が好調になったとたん空母を作り、堂々と国境を拡大しようとふるまっている。

55点
≪ディテールの甘さで萎える≫

ハリウッドスタイルの撮影方法を導入し、脚本や役者の役作りに時間をかけるなど、邦画にしてはなかなかの意欲作『SP 野望篇』は、狙いはいい線いっているのに細部の甘さが目につく惜しい作品であった。

過去のトラウマにより危険に対する同調能力を得たセキュリティポリス(SP)の井上薫(岡田准一)。彼ら警視庁警備部警護課第四係は、六本木ヒルズのイベントに出席する国土交通大臣の行動を見守っていた。そんなとき、猛烈な悪意とテロリストの存在を察知した井上は、持ち前の行動力とチームワークで犯行阻止にいち早く動き、同時に犯人の追跡を開始した。

この冒頭から、本映画最大の売りである激しい肉体アクションが繰り広げられる。プレス資料にはフリー・ランニングとあるがこれは誤りで、岡田准一がやっているのはパルクールだ。ちなみにフリーランニングとは宙返りをわざと加えたりして魅せる移動技術のことで、パルクール(純粋な高効率移動技術)の中の一種。

55点
≪この落としどころしかないという現実が怖い≫

今年のノーベル経済学賞は、失業のメカニズムを解明し「求人があるのになぜ失業者が増えるのか」といった謎を解き明かしたノースウエスタン大のデール・モルテンセン教授らに与えられた。

続けても何のスキルも実績も労働の達成感も得られない、人生を無駄にしている感を味わうだけのクズ仕事しか無いのだから、求人が多くあるように見えても失業者が減らないのは当たり前だ。腹が減ってるからと言っても、差し出されたのが腐った果物ばかりなら、拒否する権利は誰にでもある。今後は経済理論からもこうした現状を、広く伝えてくれるようになればいいが。

人様のつくった映画に言いたい放題点数をつける仕事もろくなものではないが、それでも映画と支持する読者がいる限り、なんとか生きてはいける。とはいえ安定など皆無だから、もしこういう仕事をやりたいなら、いざという時のためダンボールハウスの組み立て方くらいは知っておく必要がある。

55点
≪食べずに生きている人たちのドキュメンタリー≫

女の子はそろって痩せたい痩せたいというものだが、その答えは簡単だ。食わなきゃいいのである。物事はかようにシンプルなものだが、それがなかなかできない。ピザやアイスクリームは食べたいが痩せたい。嫉妬深い独身のAちゃんを好きだが、人妻のBちゃんとも付き合いたい。そんな不条理を追い求めるから人は苦労するわけだ。

しかも面倒なことに、シンプルに見えた真理もじつはそう単純ではない現実がある。食わなきゃ確かに痩せるが、それはある程度まで。人間には基礎代謝量というものがあって、それは心臓やら脳みそやらがスムースに動くための、ようは生命維持に最低限不可欠なカロリーのことである。

食べなきゃ痩せると思って摂取カロリーを減らし、やがてこの限界ラインに近づいてくると何が起きるか。

55点
≪AV版、下妻物語≫

日本のアダルトビデオは一日に50本以上も作られており、もはや世界トップ級の映像産業といっても差し支えない。ファンの熱狂度も半端ではなく、そうしたマニアが集まる掲示板等で無名女優の写真を一枚見せると、それだけで即座に出演作から名前まで返答があるほど。くれぐれも、ふざけ半分で奥さんの若いころの写真などは見せないことである。知らぬが仏という、えらい人の言葉もある。

ともあれ、この業界では年間のべ数万人の女優たちが働いているわけで、ちょっと想像しただけでも人間ドラマの宝庫だとわかる。中でも、様々な理由(身内バレ防止、容姿がイマイチ等)で名前を出さない、いわばその場限りの「企画女優」の存在は、誰もが多少なりとも興味を持つところ。『名前のない女たち』は、そんな彼女たちの内面に迫るドラマである。

人並み以下の服装センスと引っ込み思案な性格のせいで、誰からも本気で愛されたことの無い平凡なOL純子(安井紀絵)。そんな彼女が、偶然街でAV女優にスカウトされた。「人生を変えたくない?」の一言に惹かれた彼女は、そのまま企画女優として集団学園ものAVに出演する。そのショッキングな体験は、しかし彼女に大きな満足感を与えるものだった。

55点
≪デニーロ主演、プロデューサーはつらいよ≫

スレンダーな黒髪ロングの美女とめくるめく夜をすごす濡れ場が映画の中であったとすれば、男の観客は相手の男を羨ましく、幸せな奴だと思うだろう(むろん、美女の修飾語句は各自の好みに読み替えていただいて結構だ)。

だが実際のところ、その男がノーテンキに幸せを感じているとは限らない。その美女は浮気者かもしれないし、そのセックスとて疲れている所を強要されているのかもしれない。つまり、見た目とは裏腹に、案外不幸というパターン。

『トラブル・イン・ハリウッド』は、まさにそんな映画。主人公であるプロデューサーは、この映画の中でほとんど何一ついい思いをすることが無い。これはそんな男の一週間を描いたドラマだ。

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