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60点
フリーダの一生を描く、サルマ・ハエックムービー

サルマ・ハエックが、母国メキシコの画家、フリーダ・カーロの生涯を演じたドラマ。彼女は、この役を無名時代から狙っており、相当な思い入れがあるらしく、プロデューサーも兼ね、金策にも奔走するなど、深く関わっている。

絵画的な色使いと演出で、フリーダの一生を追う本作は、この画家をよく知る人にも、名前程度しか知らない人にも興味深い内容となっている。伝記映画のわりには、退屈もせずにそこそこ見れる。そしてその最大の理由は、主演女優の頑張りである。フリーダを演じるサルマ・ハエックの、本作の熱演ぶりは半端ではない。間違いなく、『フリーダ』は、彼女の代表作となるだろう。

そんなわけで、サルマ・ムービーと化した本作では、彼女は女子高生から死ぬ寸前、男装まで、コスプレ街道まっしぐら。フリーダは両性愛者だったので、黒人レズ女との熱烈な絡みシーンもあるが、堂々と全裸大公開で演じている。

60点
超大作のわりに、俳優の魅力ばかりが印象に残るのが寂しい

ディズニーランドの『カリブの海賊』をモチーフにした海賊アクション映画。プロデューサーは、手がけた映画の総売り上げが一兆円を超えている、ハリウッド最強の男、ジェリー・ブラッカイマーである。

ブラッカイマー作品と言えば、徹底した娯楽主義であるが、本作も期待にそぐわぬピュア娯楽映画である。サービス精神たっぷりに、我々を楽しませてくれる。

ただ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』は、”脅威のVFX映像”という触れこみで宣伝されているが、普通に見ていると余りそういう印象は受けない。むしろ、同じ日公開の『ハルク』のほうが、VFXを見せる映画、という感じがする。

60点
玄人好みの、大人向け恋愛映画

『マグノリア』『ブギーナイツ』のポール・トーマス・アンダーソンが、初めて95分という”彼にしちゃ短い”時間で作り上げたラブストーリー。カンヌ国際映画祭の監督賞受賞作でもある。

上の2作品を見ればわかるのだが、ポール・トーマス・アンダーソンという人は、あれだけの群像劇をわずか20代で作ったという、とんでもない才能を持った監督である。本作では、コメディアンのアダム・サンドラーを主演にしつつ、彼の役者としてのいい部分を引きだし、一味もふた味も違った不思議な恋愛映画を作り上げた。

冒頭のショッキングな事故シーンで、監督は観客の心を一気につかみとる。この映画のストーリーの冒頭にこのシーンを持ってくるセンスが、はっきりいって普通ではない(←誉めている)。また、彼はシネスコサイズの画面の使い方が非常に上手く、風景を写すだけのシーンでさえ、「この映画は何か違う」と感じさせる。

60点
美人秘書、お尻叩かれ、あらカイカン!

『コンフェッション』『アダプテーション』といった話題作が、この後控えており、日本でもブレイクが期待される女優、マギー・ギレンホールが、マゾに目覚める秘書を演じて、サンダンス映画祭で大きな話題を読んだ映画。サンダンス映画祭と言うのは、ロバート・レッドフォードが主催する、インディペンデント映画を集めた映画祭。個性的な作品を輩出することが多く、若手作家の登竜門としても知られる。

『セクレタリー』を一言でいえば、「美人秘書、お尻叩かれあら快感。マゾに目覚めて人生開花」というような映画である。就職の経験もなく、恋愛もセックスの経験もなく、自傷癖があってうつ気味という、まあいってみればダメ人間を、マギーさんが見事に演じる。

彼女の、尻を叩かれているときの恍惚とした表情は、普通なかなかできるものではあるまい。恐らく彼女はこの一本で、ananの”今年、一番尻を叩きたい女優”に選ばれることになるだろう。(ありません)

60点
個性的で万人向けではないが、見て損はない

9人の脱獄囚が、それぞれ生きる目的をつかむまでをユーモアを交えて描く、ヒューマンドラマ。

原田芳雄やマメ山田、松田龍平といった、個性派の役者たちがいい味を出しているドラマで、こちらを笑わせたり泣かせたり、安定した演技で見せてくれる。

松田龍平君は、相変わらずセリフを話すと危うい感じだが、表情には独特の雰囲気があり、なかなか悪くない。脇役では、グラビアアイドルから女優になってブレイク気味の伊東美咲が、ストリッパー役で出演しているのがちょっとした話題である。スレンダーなボディで、隠微なストリップダンスを披露してくれるシーンは必見だ。

60点
夏休みの思い出に、大人も退屈せずに見られる作品

超人気子供アニメの夏休み劇場版作品。短編と合わせて2本同時上映となる。前作は海外での日本映画の興行記録を持っており、世界的な人気アニメシリーズである。つまりポケモンは、邦画のフラッグシップなのである。(これでいいのか……?)

ポケモンは、結構息の長いシリーズなので、ファンの年齢層も縦に長い。短編のほうは、そうしたファンの中でも低年齢層を狙ったもので、ミュージカル仕立てでニャースらポケモンが、歌って踊るという楽しい作品になっている。

長編のほうは、しっかりとしたストーリーを持ったドラマで、どちらかというと高学年向けのちゃんとした”映画”である。

60点
前半のマンガな展開についていけるかがカギ

沖縄を舞台に送る、個性的な群像劇。若き飯塚健監督が、沖縄中を金策に走って完成させた、初監督作品である。

マンガチックな設定と、ナンセンスな笑いで突っ走り、最後にシリアスな見せ場を作って泣かせる、というパターンである。よく、池袋グリーンシアターあたりでやってる、小劇団の演劇みたいな展開のドラマだ。

この監督は、24歳という若さだが、妙にじじむさいセンスの映画である。さらに、前半のあまりに馬鹿馬鹿しく、わざとらしい展開に、多くの方が脱落しかかるであろう。

60点
大作を見るよりずっと面白い

一般公募による自主製作映画コンクール「ぴあフィルムフェスティバル」で選ばれた監督が、そのプロデュースのもとに長編映画を製作するシステム「PFFスカラシップ」による作品。

高校生の周史は、将来に絶望して不満を募らせていた。宮路は中年なのに、いまだ組の集金係に甘んじているヤクザ。宮路と生き別れた娘はるかは援助交際で警察に補導されてしまった。主婦の美佐は、息子のいじめや夫のリストラに悩まされ、精神的に弱っている。アル中のタクシー運転手、黒崎は今日もビールを飲みながら運転。そして自転車をはねてしまう。その自転車に乗っていたのが周史だった。黒崎は、周史が自宅があるという北海道までタクシーに乗せて送ることにするが……。

低予算だから、大手によるプロ監督の映画のように洗練されたものではないが、邦画の場合、大作に限って客との距離感がつかめていない傾向があるので、下手にそうした作品を見るより、こういう小品のほうが、案外面白かったりする。

60点
可もなく不可もない、ごく普通の週末ムービー

イギリスの自動車メーカー、ローバー社の人気小型車、MINIが大活躍する、カーアクション・ムービー。同名作品のリメイクになる。本作では、(ローバー社が買収されたため)BMWが製造する新型ミニ・クーパーが登場する。

ストーリーは単純で、50億円相当の大量金塊を、主人公率いる窃盗チームが盗み出すという話。

「狭い所でも走れる超小型車で、建物内へ突入する計画」がミソというわけだが、その肝心の突入計画が実行直前でボツになるという、よくわからない展開のおかげで、観客は「アンタたち、いまさらミニを使う理由がどこにあるんだ?」 と突っ込みたくなる事、間違いない。

60点
ゴージャスな40年代セレブたちによる殺人劇

実際におきた事件であり、今もって真相が闇の中という、ハリウッド最大の謎「オネイダ号事件」を描いたミステリー・ドラマ。

登場人物は、1942年当時の有名人、チャーリー・チャップリンや新聞王W・R・ハーストなど、そうそうたる顔ぶれ。舞台となる客船では、私のような最下層庶民からは想像もつかない、豪華なパーティーが開かれる。

そして、そのパーティである人が殺されるのだが、被害者の名前はマル秘事項なので、ここでは書けない。その殺人事件の真相を、映画はズバっと描くのである。

60点
映像一流、演技は二流、ラストのアクション三流以下

タイトルは、『恋愛写真』と読む。広末涼子主演の恋愛ドラマだが、途中からジャンルが変わって違和感が味わえる、強烈な変調を味わえる一本。

ただ本作を一言でいうと、映像一流、演技は二流、ラストのアクション三流以下、というもの。

まず映像、とくに静止画の部分は、文句無しにすばらしい。綺麗な映像を見るというのも、映画の楽しみの一つだから、これは高く評価したい。

60点
『シュリ』を期待していってはいけない

『シュリ』『JSA』に続く、南北分断の悲劇を描いた、ハン・ソッキュ主演の韓国映画。

ハン・ソッキュという俳優は、韓国においては、すべての脚本はハンを通るということわざがあるくらい(ちょっと嘘)の大スターだ。

本人はいたって平凡な優等生タイプの人で、たぶん歌舞伎町ですれ違っても気づかないんじゃないかと思うくらい親しみやすそうな感じの俳優さんだが、記者会見なんかにいくと、質問する記者(多分韓国人)の声が歓喜に震え、やたらと上ずっていて「ああ、彼は本当に本国ではカリスマなんだなあ」としみじみ思わされる。

60点
先進国の映画には無い驚きがある

1964発表のベストセラーを映像化したタイ映画。タイでは、誰でも知っているくらい有名なお話である。

国民の9割が仏教徒であるタイでは、セックスは長年タブー視されている。この映画の主演女優も、たくさんヌードやエッチシーンがあるから、タイ国内では結局見つけられず、外国人を起用したという経緯がある。タイでは、ヌードシーンを演じたことが社会的にマイナスになるという事らしい。

当然、この手のH描写も本来ご法度で、映画化されたあとも大量の修正を加えられたという。だが、日本で公開されるのは修正前の完全版である。さすがわが国は、世界に名だたるH大国である。政治も外交も3流だが、エロだけは負けないという気概を感じるではないか。

60点
本物のストロンゲストマンのパワーにビックリ!

ナチス時代に実在した、二人の『無敵の男』ことハヌッセンとジシェ。彼らの波乱の人生を、実話をもとに描く、人間ドラマである。

ユダヤ人にとって、歴史的な人物、英雄として記憶されるこの名前も、我々日本人にとっては、あまりなじみはない。だから、この映画を見ても多くの人は、ぴんとこないだろう。

そんなわけで、ごく一部の客層を対象にした、しみじみと味わう地味なドラマである。

60点
ただのタクシーがこんなにカッコイイ映画はほかにない

フランスでの『TAXI』シリーズは、国民的な大人気映画らしく、プレミア試写にはとんでもない数の人が集まったと聞く。

シリーズ第3弾である本作は、これまで同様、くだらないギャグと超一流のカーアクションのカップリングという、独特の個性を持つフランス映画だ。

毎作、非常識さがエスカレートするこのシリーズ、今回は、タクシーがキャタピラを出して雪山を爆走するという、おバカ度満点の展開が売りとなる。

60点
オバサンたちの演劇初挑戦を描く人情ドラマ

笑って泣ける、一般向けファミリードラマ。

カメラが中々いい。望遠を多用し、映画らしい奥行きある風景を作っている。見ているだけで飽きない、視覚的快楽を与えてくれる。

基本的に前半に吸引力がなく、期待して見に行く観客をなかなか引っ張ってくれない。セリフは大げさでわざとらしいし、だからこそ俳優の演技も嘘っぽく見える。舞台劇としてはちょうどいいが、映画としてはどうか。

60点
独特の味がある、フィリピン製感動ドラマ

『anak』という、日本でも加藤登紀子がカバーしたフィリピンの名曲を原作とした映画。世界中に出稼ぎに行く、フィリピン人メイドを描く。

日本では、非常に珍しいフィリピン映画だが、実はフィリピンは映画大国で、自国で製作される映画の数も多く、国内での興行もハリウッド作品に負けないくらい好調という、世界的にも珍しい国なのである。

国民は皆英語をしゃべれるというのに、ハリウッド映画だけでなく、あえて自国語で作られた国産映画のほうを国民が見に行くというのは、とても素晴らしい事だと思う。

55点
二番煎じ感がひどい

ミイラやドラキュラ、透明人間といったユニバーサル映画のクラシックモンスターたちを一つ一つ復活させて映画にし、同じ世界観の中で共演させる。いわば「懐かしの化け物版アベンジャーズ」。ユニバーサルスタジオがそんな"ダーク・ユニバース"の構想を発表し、それぞれの作品の主演スターを集めた集合写真を見た時には驚かされた。

ジョニー・デップ(透明人間)にハビエル・バルデム(フランケンシュタイン)、ラッセル・クロウ(ジキル博士)……。とくに普段は一枚看板の印象が強いトム・クルーズの姿は異彩を放っていた。「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」は、そんなダークユニバースの第一弾である。

米軍に所属するニック(トム・クルーズ)は、中東で戦いながら遺跡や遺物の横流しに手を染めている。そんな彼は地中の巨大遺跡を偶然発見、完璧な保存状態の王女アマネットのミイラと遭遇する。考古学者のジェニー(アナベル・ウォーリス)と調査するうち、ニックは水銀で封じられていたアマネットの封印を解いてしまう。

55点
始まる前から意味深

「ちょっと今から仕事やめてくる」は、それこそ本編が始まる前から誰もがおやっ?と思う、そんな要素を持った映画である。そういう仕掛けはやりようによってはとても効果があるのだが、この映画はそのあたりがうまくない。ミステリ好きのいち鑑賞者としては、少々残念である。

ブラック会社のサディスティックな上司(吉田鋼太郎)から、日々激烈なパワハラ虐待を受けている新入社員の青山隆(工藤阿須加)。150時間を超えるサービス残業、無謀なノルマ、無意味な朝礼や社訓。常軌を逸した雰囲気の職場の中、隆は疲れ果て駅のホームに入構した電車に思わず倒れこんでしまう。だが衝突の直前、小学生時代の同級生ヤマモト(福士蒼汰)が彼の腕を力強く引くのだった。

第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞した北川恵海の小説を、プロデューサーが読んだ瞬間思いついたという主演二人で映画化。いわゆるブラック企業に勤めて疲弊した若者が、人生をズタズタにされる現代的なドラマである。

55点
30巻をまとめた力技

木村拓哉主演の時代劇「無限の住人」は、大人の事情というか、しがらみの非常に多い企画だったと思われるが、それが必ずしも良いほうに働かず、興行成績は散々な状況である。

万次(木村拓哉)は最愛の妹を失い、失意の中無謀な戦いに挑む。死を覚悟した行動だったが、謎の老婆によって永遠の命と回復能力を与えられ「死ねない人間」となってしまう。やがて時がたち、彼の前に仇討ちの協力を依頼する少女・浅野凛(杉咲花)が現れる。逸刀流の首領、天津影久(福士蒼汰)に父親を奪われた凛に亡き妹の姿を重ねた万次は、彼女を守り抜くことを心に決める。

沙村広明の原作は全30巻の人気コミックだが、この映画版はとんでもないことにそれを2時間21分にまとめるコンセプトになっている。三池崇史監督は原作モノの経験が豊富であり、映画一本で描けるのはせいぜい3巻だけ、との言葉も残している。だからその無謀さについては、誰よりもよく知っていたと思われるが、それでも挑んだ。

55点
ギャング映画の魅力

ギャングスターの栄枯盛衰というのは、今の日本人にとってどれだけ興味がある題材だろうか。「夜に生きる」は非常に良くできたギャング映画ではあるが、その点だけが気にかかる。

禁酒法時代のボストン。警視正の息子ジョー(ベン・アフレック)は、厳しく育てられた反動か、成長するとギャングになった。リーダーシップと強い上昇志向で頭角を現していったジョーは、敵対組織のボスの女(シエナ・ミラー)と恋することで窮地に陥るが、それは彼の波乱万丈な人生のほんの幕開けに過ぎないのだった。

監督のベン・アフレックは、ゴールデングローブ賞で監督賞をとった「アルゴ」など、役者だけでなくその演出家としての手腕も広く認められている。本作でも主演を同時にこなす余裕を見せ、じっさい演技も演出もけなす部分はまるでない。とても面白く見られるし、印象に残るセリフやシーンもたくさん出してくる。ギャング映画は古いジャンルだが、その魅力を十分に思い起こさせてくれる。

55点
全編iPhoneで撮影したスタイリッシュムービー

最近のiPhoneのCMには、妙に美麗な画像映像を流した後に「iPhone7で撮影」などとネタ晴らしする、というものがある。いまどきの若い人には想像もできないことだろうが、中年以上のユーザーにとってスマホのカメラ機能はいまだに「電話のオマケ」と思われがちである。ああしたCMはそうした層に、その凄まじい高性能ぶりをアピールする狙いもある。

ロサンゼルスの街角、クリスマスイブ。短期間ながら服役を終えた娼婦のシンディは、同僚のアレクサンドラに浮気性の恋人の愚痴をぶちまけている。それを聞くアレクサンドラは、うんざりしつつも自分のライブの集客のことを考えている。誰も気に留めることのない、街の片隅で繰り広げられる奇妙なイブのドラマが今、始まる。

いきなりクラシックな雰囲気のシネスコ画面に面食らうが、「タンジェリン」はなんと特注のアナモルフィックレンズを装着した3台のiPhone5sのみで撮影された低予算映画である。

55点
未曾有の大事故をスペクタクルに

2010年メキシコ湾原油流出事故は、環境汚染の意味でも、損賠賠償の金額の意味でも、史上最大級のものであった。ところが場所があまりに日本からは遠かったがために、日本企業も一部関わっていたにもかかわらず、いまだに日本での印象は薄いものがある。

メキシコ湾沖合に浮かぶ石油掘削施設ディープウォーター・ホライゾン。電気技師のマイク(マーク・ウォールバーグ)は、社会と隔絶した孤島というべきここに、家族を残して赴任する。ところが施設はずさんな管理が行われており、マイクは上司のジミーを通して大本のBP社に抗議する。だが彼らは利益追求のため、あろうことか安全管理手順の省略まで指示。やがて史上最大の原油流出事故につながる大爆発が起こってしまう。

「バーニング・オーシャン」は、まさにそのメキシコ湾原油流出事故を映画化したものである。この事件は2015年にも「コンテンダー」として映画になっているが、本作は現場で起きた再現ドラマの意味合いが強く、爆発や流出を必死で食い止めようとした男たちの感動のドラマにもなっている。

55点
オタク製怪獣映画

当サイトではずっと指摘しているようにハリウッドでは今、強いヒロインが流行している。個人的にはもうそれも終わりだろうと思っているが「キングコング:髑髏島の巨神」もそんな流行品のひとつ。囚われの姫君の代名詞のようなキングコング映画も2017年に作れば真逆のカタチになる。

コンラッド(トム・ヒドルストン)は、未知なる生物を探すためパッカード(サミュエル・L・ジャクソン)ら軍人を巻き込み未踏の地「髑髏島」へとヘリ部隊で向かう。島を破壊するような乱暴な調査を開始すると、彼らの前に巨大すぎるキングコングが出現、部隊は激しい攻撃を受けるのだった。

中国資本に買収されたレジェンダリー・ピクチャーズによる、今年公開される超大作の一つ。

55点
一般人の感覚とズレた業界人が過大評価

アマチュアの映画ファンは「これはボクのために作られた映画だ!」と感じた時、盲目的なまでに絶賛しがちである。我々プロはそういう映画評は見ればすぐにわかるし、自分が書くときはそうならないよう、気に入った作品ほど距離を置いて冷静にみつめる癖がついている。

しかし「ラ・ラ・ランド」は一部、いやそうとうな数のプロたちのそうした習性を突き破ってしまった点で、特筆すべき作品といえるだろう。

女優志望のウェイトレス、ミア(エマ・ストーン)は、ジャズバーでピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会う。決して素敵な出会い、ではなかったが彼らは再会し、夢を追う過程の中で互いの距離を縮めてゆく。

55点
一般向けではないバカ映画

ソーセージを擬人化したキャラクターたちが、太いほうがイイだの長いほうがイイだの下ネタを飛ばす映画「ソーセージ・パーティー」。これを見て、ああソーセージからそういうものを想像するのは外人も一緒なのか、つまりこれって人類共通の言語なんだな、などと考えたりしたところで、あまりの虚しさに帰りたくなった。

食材たちにとって、にぎやかに暮らすわが街「ショップウェル」。このスーパーマーケットでソーセージのフランクは、いつか恋人であるパンのブレンダと合体することを夢見ている。そのために、人間に買われることを切望しているのは他の食材たちも同じ。だが、先に買われながらもほんの偶然から店に戻ってきたある食材は、それが幻想であることを青ざめた表情で皆に語るのだった。

ソーセージとチンコネタで引っ張るには、79分という短い上映時間ですら厳しかったのだろう。結果、本作の「笑い」は激しく中だるみするし、イスラムのホモネタとかサルマ・ハエックのレズキャラとか、場当たり的かつ混沌を極めてゆく。どれもこれも狙いすぎかつ思いつきの域を出ていない。最初はシュールで笑えたものの、すぐに失速してとほほ感を醸し出している。

55点
王道の西部劇だが逆に新鮮

「ジェーン」は、女性が主人公という以外は、基本的にはそれほど奇をてらっていない西部劇映画だが、その王道ぶりが現代では逆に新鮮に見える。

ジェーン(ナタリー・ポートマン)は、夫(ノア・エメリッヒ)が負傷し、さらに悪党たちから命を狙われていることを知って家に籠城することを決意する。だが自分一人では勝ち目がない。彼女は意を決してかつての恋人ダン(ジョエル・エドガートン)に助けを請う。

女性推しな今年のアメリカ映画らしく、善人の主人公が悪い奴らと戦うシンプルな西部劇「ジェーン」の主人公も女の子、それもナタリー・ポートマン演じるやせっぽちでか弱いそれである。

55点
初ヌード村川絵梨の頑張りが光る

花芯とは子宮の意味があるそうだが、そのタイトルが示唆するように、映画「花芯」は女としての本能を大切に生きたヒロインの半生を描く文芸作品である。

園子(村川絵梨)は親が決めた夫の雨宮(林遣都)と結婚した。雨宮は園子にぞっこんだったが園子はどこか日々の暮らしに満たされぬものを感じていた。そんなとき、夫とは違ったタイプの上司である越智(安藤政信)に強く惹かれてしまう。

文春に見つかると大変な、まさに今はやりの不倫ものである。

55点
セクシーな新ターザン

ジェーンと結ばれた後の物語である「ターザン:REBORN」は、奇しくも小説版ターザンが参考にしたという「ジャングル・ブック」と同時期に日本公開される。

19世紀末のロンドン。貴族生まれの野生児ターザン(アレキサンダー・スカルスガルド)は、家督を継ぎジョン・クレイトンとして妻ジェーンと暮らしていた。あるとき彼は外交の仕事で故郷のコンゴを訪れるが、そこでジェーンが連れ去られてしまう。再びジャングルへ戻る羽目になったジョンは、すぐにターザンとしての力を取り戻すが……。

ターザンはこれまで何度も映像化されてきた。とくに往年のファンにはジョニー・ワイズミュラーが演じたターザンが有名だろう。開催中のリオ五輪の競泳選手を見てもわかるとおり、ワイズミュラーのように(元)水泳選手の身体というのは行き過ぎたセパレーションやストリエーションが見られない自然な体つきなので、野生動物的なターザン役としてはイメージ通りというわけだ。

55点
本格山岳映画になり切れなかった

山岳映画には本格的なものが少なくないが、「エヴェレスト 神々の山嶺」は世界最高峰エベレストという舞台をえながら、いまひとつ高みに登り切れなかった。

イギリス人登山家ジョージ・マロリーはエベレスト登頂を果たしたのか否か……。登山愛好家の永遠の謎を解き明かすカギである彼のカメラが発見された。それを見つけたカメラマンの深町誠(岡田准一

)は、その謎を追ううちに登山家の羽生丈二(阿部寛)という人物に突き当たる。

55点
金融映画版ブラックホークダウン

アカデミー作品賞こそ「スポットライト 世紀のスクープ」にさらわれたが、欧州、米国、中国、そして日本と世界中が金融危機前夜の様相を呈しているいま、タイムリーさなら「マネー・ショート 華麗なる大逆転」も負けていない。

まるで観光客かヒッピーのような風体のトレーダー、マイケル(クリスチャン・ベイル)は信用度の低いサブプライムローンがそうは見えないよう、金融商品に組み込まれていることを見抜く。自分の判断に絶対的自信を持ってきた彼は、正規の空売りを仕掛けるが、それは祖国アメリカの崩壊に賭けるという意味でもあった。そして同じころウォール街の片隅には、マイケルと同じくわずかながら崩壊の兆しを嗅ぎ取った男たちがいた。

経済用語が躊躇なく飛び交うため、非専門家が予習なしで挑むのはなかなか難しい。少なくともリーマンショックのメカニズム、クレジット・デフォルト・スワップ、デリバティブ取引といった基礎的な部分についてはある程度仕組みを理解していないと、内容についていくのは困難だろう。

55点
そんな大事なモン郵送するな

石井あゆみの漫画をテレビドラマ化した、その映画版である本作は、TVドラマの映画化にありがちな悪い部分がふんだんに出てはいるが、歴史好きならギリギリ許せるレベルに仕上がっている。

戦国時代にタイムスリップし、信長を演じることになってしまった高校生サブロー(小栗旬)。彼は知らず知らずのうちに史実通りの道を歩んでいく。やがて妻・帰蝶(柴咲コウ)との結婚式をどうするかで頭を悩ますサブローだったが、その裏で明智光秀こと本物の信長は、サブローの命を狙い始めていたのだった。

さて、本能寺の変は起きるのか否か、というお話だが、誰が一体何歳の設定で、今が何年なのかさっぱりわからないまま話が進むという、たいへんな力技である。

55点
古きよき、昭和は遠くなりにけり

50代以上くらいのチョイワルな元若者たちをターゲットにした刑事ドラマシリーズの、正真正銘完結編。

潔い終わり方は、一抹の寂しさと共に清々しささえ感じさせる。

問題児と言われながらも、命がけで横浜の治安を守り続けてきたタカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭

55点
何か月で、このカラダ?

『眠りなき狙撃者』81年と、ちょいと古い原作をもとにした「ザ・ガンマン」だが、めっぽう強い主人公を演じたショーン・ペンが異様なまでの身体づくりをしているせいで、妙に本格感あふれる異色作に仕上がった。

コンゴ共和国で大臣暗殺の任務を終えたジム(ショーン・ペン)は、恋人アニー(ジャスミン・トリンカ)を置いたまま、涙を呑んで国外へと去る。8年がたち、殺しの仕事の贖罪のためNGOで井戸掘りの重労働にいそしんでいた彼は、明らかにプロとみられる連中の襲撃を受けるのだった。

映画の舞台となる昔のコンゴを今のどこかに当てはめて、そこで儲ける多国籍企業や利権にうごめく怪しい勢力の謎解きをすることもできなくはないが、そんなことより見るべきはショーン・ペンの肉体である。

55点
ドイツも戦後70年

今年は戦後70年だから、ドイツにおいても過去を振り返る戦争映画がたくさん作られている。ドイツであの戦争といえば、ヒトラー映画になるのは当然だが、ことこのネタについて彼らと我々外国人では基礎的な教養に大きな差がある。よって本作も、相当ヒトラーとかナチスというものに詳しい人でないと、十分に理解できない。

39年の11月。恒例のミュンヘンにおけるヒトラーの演説で、爆発物による暗殺未遂事件が起こった。偶然13分間早く切り上げたためヒトラーは難を逃れた。この事件の犯人は、平凡な家具職人のゲオルク・エルザー(クリスティアン・フリーデル)いったいなぜ彼はこんなことをしたのか。その過去がいま明らかになる。

欧州とくにドイツ人の、この問題に興味がある人をターゲットにしている映画なのでとにかく説明が少ない。

55点
前シリーズより下

マーベルヒーローの中でも登場が早く、ほとんど元祖的存在でありながら、映画化権を持つ会社が違うため映画界ではマイナーな存在に甘んじている「ファンタスティック・フォー」。05年から2作作られた前シリーズは、ジェシカ・アルバなど人気者をそろえ、それなりに出来のいいアクション映画だったが、結局尻すぼみでシリーズ消滅。しかしアイアンマンはじめ(映画版他社の)ライバルヒーローたちの大商いを見て、リブートという形で再び土俵に上がってきた。

発明少年だったリードは、小5にして親友ベンとともに物質転送装置の原型を発明する。ところが周囲ははなからバカにしてその本質を見ることもしない。唯一、バクスター財団のストーム博士のチームはその発明を高く評価し、リードを財団にスカウトするのだった。

さて、成長したリードはみずから仲間と転送装置に入り、異次元空間に行くわけだが、そこでトラブルが起き、おかしな能力を身に着けることになってしまう。同時に宿敵も誕生するわけだが詳しくは劇場で。

55点
ややアイデアに負けているが

「パージ」は55点と微妙な点数だが、このあと来月公開される続編の出来がすこぶる良いため、できれば皆さんに見てほしい。そんな映画である。

一年に一夜、12時間だけあらゆる犯罪行為が合法となる日を定めた「パージ法」が施行されたアメリカ。やがて治安は劇的によくなり、日常の暴力行為はゼロとなった。いまでは国民の多くがパージ法を支持して受け入れている。そして今夜、パージの日。一家の良き父ジェームズ・サンディン(イーサン・ホーク)は、防犯システムを導入したばかりの自宅で家族そろい、安心の夜を過ごすつもりだったが……。

さて、パージが始まるといろいろなことがわかってくる。その最たるものは、どうやらパージの特権を悪用して、殺人を楽しんでいる輩がいるらしいことだ。そして運命の時はやってくる。そんなキチガイ集団に追われた傷だらけの黒人が、家の前に現れたのだ。

55点
高齢者になるまでラブコメをやる気か

平均視聴率34%超えという人気を誇るテレビドラマ「HERO」。14年のセカンドシーズンはかなり数字を落としたが、それでも20%を超えてくるのだからあなどれない人気ぶりである。

映画版二作目となる「HERO」も、タイトルをまったく変えないことからも、作り手が相当な自信を本作に持っていることがうかがえる、東宝夏のキラーコンテンツである。

コンパニオンの女が交通事故死した事件を調べていた検事・久利生公平(木村拓哉)の前に、いまは大阪で検事をつとめるかつての部下、雨宮舞子(松たか子)が現れる。彼女の登場により、死んだ女が重要証人だったこと、現場がネウストリア大使館の裏だったことが判明し、事件は予想外の展開をたどる。

55点
小さい子を持つ父親の理想像

前作「おおかみこどもの雨と雪」で出産と育児の喜びを母親目線で描き、女性たちの絶大な支持を得た細田守監督は、新作「バケモノの子」でこんどは父子関係の映画を作った。「おおかみこどもの雨と雪」の次回作としては、無難な企画といってよい。

あてもなくうろつく家出少年(声:宮崎あおい)は、渋谷の路地で熊徹(声:役所広司)なる化け物に出会う。彼の言葉にひかれるように追いかけた少年は、いつしか「渋天街」というバケモノの世界へと迷い込むのだった。

「おおかみこどもの雨と雪」を見て期待してやってきたようなライトユーザーであれば、そこそこの満足と感動の涙を流して帰路につけるであろう、安定した出来のアニメーション映画である。

55点
後半は超難解

俳優の全身をスキャンし、その後はデジタル俳優としてスタジオ側がその権利を所有する──そんな恐

るべき設定のSF映画「コングレス未来学会議」は、しかしそのとっつきやすさと裏腹に、きわめて解釈

困難でシュールな難解映画である。

55点
最後の楽曲がいまいち

合唱映画は個性的なものが多いが、大学のアカペラ部で奮闘する女の子の成長もの「ピッチ・パーフェクト」もそのひとつ。現在パート2が本国で爆発的人気となっており、遅ればせながら日本でも1作目から公開されることになった。

大学教授の父を持つ音楽好きのベッカ(アナ・ケンドリック)は、父親の強い要望で父の大学に入ることになった。DJのバイトに精を出し、大学生活などつゆほどにも興味も持てないベッカだったが、シャワー中の鼻歌をアカペラ部のクロエ(ブリタニー・スノウ)に聞かれ、半ば強引にスカウトされてしまう。

続編も年内日本公開予定なので、とりあえずこのビッグウェーブに乗りたいひとは本作からみないといけない。

55点
よく盛り返した

期待をやや裏切る出来映えだった前編公開から5か月。早くも登場する完結編は、スタッフの頑張りによってかなかなかの盛り返しを見せた。

新一(染谷将太)は、広川市長(北村一輝)率いるパラサイトたちの組織だった動きに、ミギー(阿部サダヲ)とともに抗っていた。だがそのブレーンたる田宮良子(深津絵里)は、人間の子を出産、育児する流れの中で、人類との共存を模索していた。

この後編では、原作同様「寄生獣」の真の正体が明らかになる。現実世界へとつながるその哲学的なテーマと、ドラマチックな最終戦闘への流れをいかに盛り上げることができるかが、本作最大の期待ポイントといえる。

55点
インフレ一段落

17年ぶりに復活した劇場版前作「DRAGON BALL Z 神と神」(13年)が、興収およそ30億円の大ヒットとなったのを受けて今年も作られたドラゴンボールZ最新作。タイトル通り、人気悪役フリーザが復活する。

フリーザの復活を狙うフリーザ軍の残党ソルベとタゴマは、ドラゴンボールを擁する地球へと向かっていた。おりしも孫悟空(声:野沢雅子)とベジータ(声:堀川りょう)は破壊神ビルスの付き人ウイスのもとで修行中で留守であった。

ドラゴンボールと言えば、アベノミクスがうらやむほどの敵インフレ路線を堂々と突き進む、まさに週刊少年ジャンプイズム最強の具現者である。

55点
作品賞だが地雷映画

米アカデミー賞は設立時からねぎらい空気というか、功労賞としての役割が強い賞である。ならば12年間も企画を継続させた「6才のボクが、大人になるまで。」でもいいだろうと予想していたが、結果としてはそれ以上にマイケル・キートンをねぎらう空気が盛り上がったようだ。

娯楽映画『バードマン』でスターになったリーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、その後イメージチェンジに失敗し、いまや落ちぶれていた。再起をかけるべく彼が力を入れているのが自ら脚色した舞台「愛について語るときに我々の語ること」。だが、他のキャストや娘との確執に苦しむ彼は、本番を前にさらに追い詰められていくのだった。

撮影賞もとった本作だが、巷で言われているほどワンカット長回しをほめたたえる気にはならない。ヒッチコックの昔ならいざ知らず、デジタル技術全盛の今、こうしたルックの映画を作るのはそれほど難しいことではあるまい。

55点
演技や映像はいいのだが

原作ものの映画化において、監督以下スタッフは当然ながら原作を読んでから挑む。それが有名だったりベストセラーだったり大御所の作品だったりするほど、そのエッセンスをどう映像化しようと頭を悩ませることになる。そしてそこに、ぽっかりと落とし穴があいている。

雪のクリスマスの朝。登校した涼子(藤野涼子)は同級生・柏木卓也(望月歩)の落下死体を発見する。警察や学校の調査により自殺かと思われたが、何者かによる告発状は、彼の死が同級生によるイジメ殺人であることを示唆していた。

原作を読み込めば読み込むほど、未読者の気持ちからは離れていく。これはやむを得ないことだが「ソロモンの偽証 前篇・事件」はその落とし穴に片足が落ちており、未読者が映画版だけを見るといろいろな不具合に遭遇する。

55点
ヒロイン二人ががんばる

モノクロパートカラーのスタイリッシュな映像美で世界を揺るがした「シン・シティ」から9年。革新的だったビジュアルも、いまやどことなくレトロを感じさせるようになった。なかなか趣きある続編である。

荒くれ者が集う街シン・シティの癒しの女神、ナンシー(ジェシカ・アルバ)は、かつて自分を救ってくれた刑事ハーティガンの仇をうつため、密かに怒りをたぎらせていた。だがその相手、ロアーク上院議員(パワーズ・ブース)の勢力は拡大する一方で、街の腐敗も進んでいくのだった。

まず、悪党どもの中で魅力を振りまくヒロイン陣の中でエヴァ・グリーンのはじけっぷりが群を抜く。ハードボイルドな探偵ドワイト・マッカーシーをセックスで翻弄する悪女役。ヌードも辞さず、どころか脱ぎまくりで男どもを虜にする。かつての超ナイスバディも30代半ばに差し掛かり、私には断じてよくわからない分野ではあるが、いわゆる熟女ファンにはたまらないところであろう。

55点
原作のいいところ全部入りだが

ピクサー超えまで視野にいれ、日本最良というべき原作のCGアニメ化に挑んだ「STAND BY ME ドラえもん」だが、彼らの前にはピクサー以前に藤子・F・不二雄という高い壁が立ちふさがっていた。

ダメ少年のび太(声・大原めぐみ)の前に、22世紀から子孫を名乗るセワシ(声・松本さち)がタイムマシンに乗って現れた。なんでも大人になったのび太のこしらえた借金のせいでひどい目に合っているのだという。そこで彼は、嫌がるネコ型ロボットドラえもん(声・水田わさび)を強制的にプログラムしてのび太の世話役に置いていくというのだった。

この映画の問題点ははっきりしていて、それは総集編では決してないのに総集編感がきわめて強く感じられるという一点にある。

55点
大人の気晴らしでしかない

「アナと雪の女王」が空前の代ヒットを記録したディズニーアニメーションの、注目された次回作「ベイマックス」は、海外市場で群を抜いた興収を記録した日本に感謝するかのごとき、日本推しの内容である。

14歳のヒロ(声:ライアン・ポッター)は、愛するキャスおばさんのもと、兄のタダシ(声:ダニエル・ヘニー)と幸せに暮らしていた。ヒロには天才的な科学の才能があり、兄の通う大学の研究室でも仲間たちの研究に目を輝かせていた。ところがあるときタダシの身に大変なことが起こり、彼の運命は一変する。

日本スタッフ主導の主題歌推しプロモーションでアナ雪が大ヒットしたため、個人的には「ベイマックス」の宣伝戦略に注目していたが、意外なほどにアメコミ色を消した宣伝に再び驚かされることになった

55点
イブ専用映画

「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」は、恋愛映画の名手・犬童一心監督と、クリスマスソングの代名詞・山下達郎(音楽監修)、中村航(「100回泣くこと」ほか)の原作、そして相葉雅紀&榮倉奈々主演という、まさに対カップル完全武装によるクリスマス専用ラブストーリー。

漫画家の夢を持ちながら書店バイトでくすぶっている光(相葉雅紀)。そんな彼が偶然街で出会い、恋をした相手は自分とは不釣り合いなセレブで照明アーティストのソヨン(ハン・ヒョジュ)だった。そんな話を幼馴染でオブジェ作家の卵の杏奈(榮倉奈々)に相談すると、彼女は複雑な表情を見せつつも彼の恋に協力を申し出てくれるのだった。

クリスマスデート専用というコンセプトがこれだけはっきりしているのに、肝心のユーザーの動線への思いが至らない点が、本作のダメなところである。

55点
足るを知らない大国人

クリストファー・ノーラン監督はデビュー作「フォロウィング」(98年)以来、「メメント」(00年)から、超大作であるバットマン三部作に至るまで凝りに凝った──ひらたくいえば少々ややこしい作風を続けている映画監督である。製作費170億円クラスの「インターステラー」にしても、それは変わらないのだから凄いことだ。

未来の地球では、かつての肥沃なアメリカ大陸でさえ、食糧難と環境破壊で居住環境が著しく低下していた。そこで、宇宙に新天地を求めるミッションが計画され、元テストパイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)らが抜擢される。彼には幼い娘と息子がいたが、高速航行する宇宙時間よりはるかに早く流れる地球時間との差を考えると、子供たちが存命中に地球に戻れるかどうかはかなり微妙なところだった。

「インターステラー」は、理論物理学者キップ・ソーンを製作総指揮に迎え、彼の最新理論によるブラックホールほか宇宙の風景を楽しめる本格SF作品である。フィルム撮影などアナログ&ローテクを好むこの監督らしく、宇宙船や同行するナビゲーションロボットなど、普通ならCGで処理するようなものも、セットや小道具を製作して撮影。そのため、「2001年宇宙の旅」(68年)はじめ往年のSFの傑作をほうふつとさせるルックスの、どこか懐かしい不思議な最新作となっている。

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