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2121件中 1201~1250件 を表示しています。
60点
独特の雰囲気の中に、日本アニメとの共通点を感じる

フランスが作った、ヨーロッパ初のフル3D-CG製長編アニメーション作品。3D-CGアニメでもっとも有名なのは『ファインディング・ニモ』等で知られるピクサー社だが、当然ながら印象はまったく違う、個性的な作品である。

人間の動きには、当初やや不自然さを感じるだろう。ゆらゆらとゆったりめの動きは、骨がなさげな人体とでも言ったところだ。肌はのっぺりした質感で、CGであることを隠そうとはしていない。

しかし、その辺はすぐに慣れる。特に若い世代の日本人はアニメを見慣れており、キャラクターを一種の記号として認識する癖がちゃんとついているから、見た目の違和感はすぐに消えてなくなる。やがては、お尻の割れ目が半分見えているヒロインの服のデザインが、とてもセクシーに感じられてくるから不思議だ。

60点
こんな個性を持ったシリーズが続くのもいいなと感じる

ラテン風味のガンアクションムービー『デスペラード』の続編。監督も主要キャストも共通だが、アクの強い新登場のキャラクターが続々と登場する。

カッコは良いが、どう考えても理にかなっていないポーズで撃ちまくるバンデラスの魅力は健在。どんな態勢からだろうが、彼の弾丸は百発百中で敵を貫く。逆に、ザコが何千発彼に銃撃を行おうが、弾はすべて彼をよけてゆく。そんな滑稽かつ痛快なガンアクションを堪能できる。

ヒロインのサルマ・ハエックは、相変わらずのトランジスタ・グラマー(死語)ぶりを見せ付けるヘソ出しの服でアクションを決める。大人気のジョニー・デップは完全に主演扱いで、劇中でも最高の見せ場を用意され、スクリーンから飛び出そうなほどの、お顔の超アップショットで女性ファンをウットリさせる。”過去の人”と思われていたミッキー・ロークさえもおいしい役を与えられ、その存在感を光らせる。

60点
超本格アイドル&アクション映画

香港のモーニング娘。こと人気ユニットのツインズ主演のアイドル映画。とはいっても中身は相当本格的なアクション映画だ。

このツインズというグループ、映画のタイトルにまでユニット名が入ってるのだから、いかにあちらで人気があるか想像がつくだろう。実際、彼女らの映画は大ヒット確実なので、あちらの映画業界では引っ張りだこらしい。

ある意味洗練された日本のアイドルにくらべれば、ずいぶん田舎くさい雰囲気の娘二人のグループだが、『ツインズ・エフェクト』で見せるアクションの数々には、はっとするような危険なものもあったりして、こちらを驚かせる。決してアイドル業の片手間とは思わせない本格的な仕事ぶりには好感が持てる。

60点
重厚で大作感ある一本だが……

常盤貴子主演の邦画ドラマ。全体的に薄い色調の、重厚な雰囲気を漂わせる歴史大作だ。原作者が、自分の母をモデルにしたという主人公を常盤が演じる。

終戦まぎわの混乱した時代をたくましく、奔放に生きた女性の生き様が描かれる。例えばこの女性は、まだ小さい子供に恋人とのH現場を見られても堂々としている。この時代の空気に似合わぬ、愛に生きた自由人というわけだ。

その直後、父親以外と恋をする母(常盤)を見てすねる子供に常盤が、「(こんな悲惨な時代を)生きていくためには愛する人が必要なの!」と逆ギレ(?)する場面がある。戦争で夫も財産も使用人も邸宅も、つまり成功の証をすべて失った彼女が、それでもたくましく生きる、感動的な宣言シーンというわけだ。

60点
ホントに怖い

携帯電話を題材にしたホラー映画。この手の和製ホラームービーが量産される中、『着信アリ』はそこそこ怖くて面白い一本だ。この流行の原点のひとつには『リング』という名作があるが、あれほどの意外性や完成度の高さはないものの、なかなかよくできている。

携帯の着メロ、電車、テレビ番組など、身近なものを上手に恐怖のネタとして使っており、特に若者にとってはとっつきやすい映画になっている。とにかく「観客を怖がらせる」という一点を突き詰めており、その明快さが好ましい。

主演の柴咲コウは、女を感じさせない美人であるが、そんなところが本作の雰囲気にはぴったりで好感が持てる。以前知り合いと「日本で一番の美人は誰か?」という話題で議論したことがあるが、私の推す仲間由紀恵と相手の推す柴咲コウで最後まで結論が出なかったことがある。

60点
あのロード・オブ・ザ・リング完結編を一部凌駕する迫力映像

タイムスリップ感動もの。SFならではのVFXたっぷりの見せ場が多い、大作感のある一品。印象深い伏線をきっちり張って、ラストで感動させるというタイプの物語は、万人受けするものといえる。

その終盤、泣かせるシーンが連続するが、その多くは「とっくにみんな気づいてたよ……」と言いたくなるほど伏線がわかりやすいので、むしろ客のほうが興ざめしないか心配になるくらいだ。その点、あまりスマートな映画ではない。ストーリーの骨格はよくできているのだから、なにもそんなオオゲサな演出をしなくてもいいのになあと、老婆心ながら思う。これみよがしにアピールしすぎで品がない。まあ、これがこの監督の味といえば味なのだが。ノーテンキなまでの家族愛賛美なので、そういうものを好む方には向くだろう。

サイエンスフィクションとして、タイムスリップに関しての科学的なアプローチをある程度の説得力をもって見せてくれるかと期待したが、それはなかった。極端に言えば、ド演歌風の泣きがあるだけの映画だ。

60点
マッチョ神父とドラキュラの対決の行方は……?

ドラキュラとの戦いを描くアクションホラームービーPART2。アメリカではすでに3作目も作られている人気シリーズだ。

新ヒーローとして出てくる神父がいるが、これがどう見ても神父に見えないところが笑える。あやしげな武器を持ち、逃げ惑うドラキュラたちの首を刈る。マンガチックな決めゼリフを持ち、なぜか上半身裸になったりする、マッチョ神父なのだ。

対するドラキュラの大将は、何しろ一回死んでいるのでまるで元気なし。でも、学生たちが用意してくれた血液お風呂に入ったとたん、お肌もスベスベ元気百倍。とはいえ今は、大学教授チームの研究対象として紫外線ライトをガンガンあてられている身なので、そう簡単には復活できない状況。さあ、急がないとマッチョ神父に首チョンパされちゃうぞ。どうするどうする……というお話。

60点
フランス製おばか映画

美人巨乳女優として定評のあるモニカ・ベルッチがクレオパトラに扮した、フランスのコメディ大作。シーザーの鼻をあかすため、わずか3ヶ月で豪華宮殿を造ると豪語した彼女の命令で、あわれ無理なミッションを押し付けられたエジプト人の建築家を中心に話は進行する。

砂漠に立てられた数々のセットや、膨大なエキストラ、CGの多用など、フランス映画にしてはかなりの製作費をかけた作品だが、スター女優の起用もあって、本国では無事に大ヒットを記録した。

中身はいわゆるおバカ映画で、CGの使い方も本当に馬鹿らしくて涙が出てくるほど。ギャグも、ウィットに富んだお洒落なジョークなんてものの対極にある、くだらないチープな笑いだ。無駄に豪華なセットとの対比が笑える。

60点
ファンを楽しませるという一念で作られた楽しい作品

高橋留美子原作のTVアニメの映画版。継続中のストーリーを邪魔しない上で、ファンをたっぷり楽しませるという目的の元に作られた映画である。

というわけで、犬夜叉の赤ちゃん時代のカワイイ姿や、その出生の秘密、ライバルの兄、殺生丸との対決やちょびっと生まれる友情(兄弟愛?)らしきものなど、たくさんの「萌え」要素にあふれた内容となっている。

そもそもこの作品自体、非常に狙い済ましたキャラクター設定を感じることのできる漫画である。主人公からして、「美少年+犬」である。女性の好きなものを組み合わせれば、そりゃ魅力も2乗、3乗というものだろう。

60点
亀有出身の私としては、無条件で支持したいシリーズ

日本最長寿クラスの連載マンガの、テレビアニメの映画版。われらが両さんが、今回は映画ということで、普段より大きなスケールのドタバタ騒ぎを巻き起こす。ハワイでアメリカンポリスのパトカー相手に大チェイスを繰り広げたかと思うと、日本ではUFOに乗り込んで東京を大破壊したりする。おおむね実在の建物や地名が出てくるので、土地鑑のある人にとっては格別(?)だ。

特に、亀有をよく知るものにとっては、中川大橋だの常磐線だのといったローカルなネタが出てきて大いに笑える。

まあ、何を隠そうこの私も浅草生まれの亀有育ちという、両さんと似たような経歴なので、このシリーズを応援する気持ちは非常に強い。なんと言っても彼は地元の星なのである。

60点
新薬アルバイトの実態とは?

新薬の投与実験アルバイト。都市伝説に近いこのアルバイトの話は、だれでも一度くらいは耳にしたことがあるだろう。この映画は、実際にそれを体験した事のある監督が、ドキュメントタッチで作ったホラーサスペンスである。

仲間同士でこのアルバイトに参加した映画好きが、隠しカメラでその一部始終を撮影、という設定である。だから、全編手持ちのデジタルカメラ撮影。臨場感のある作風となっている。

まあ、そのわりにはありえないカメラアングルが多々見られて興味をそぐが、これはもう、みなかったふりをするしかない。あまり細かいことを考えても仕方がない。そんなことより、題材の面白さだけで、ぐいぐいと引っ張っていく邦画というのは、いまどき貴重ではないか。個人的には、映画は監督名や役者ではなく、題材とストーリーで勝負してほしいと思っているので、私はこの作品を高く評価したい。

60点
暗いトコに入ると殺されます

「闇」を恐怖の題材にしたホラー映画。タイトルは、「また和風テイストの洋モノ恐怖映画?」と思わせるが、実際はそうではない。「恨み」がモンスター誕生の原因ではあるが、それは映画の冒頭でさらっと触れるだけ。何の伏線にもなっていない。『黒の怨』は、伝統的な化け物からのサバイバルホラーである。

ルールはただひとつ、「光の中は安全」。日が落ちてくるとトゥースフェアリーなる化け物がやってきて、主人公たちを襲う。彼らには、何か襲われる理由があったようだが忘れた。たぶん、見ているお客さんも誰も覚えていないだろう。

まずは、天井のダウンライトが壊れ、非常灯も徐々に光量が減って行く。懐中電灯の電池は弱り、最後はポキっと折ってボヤ〜ンと光るスティックライトだけとなる。画面から明るい部分が少なくなるたびに、お客さんの恐怖度がアップするというわけだ。ルールが単純なだけに迷いがなく、スッキリとしていてわかりやすい。「とにかく、俺たちの作ったびっくり箱を楽しんで帰ってくれよ」という、コンセプトの明確な作品である。全編70分(エンドロール除く)を、すべてビックリシーンに使っている。

60点
役者に個性があるし、すんなり物語にも入っていける

アメリカのニュー・ロスト・ジェネレーション作家、ブレット・イーストン・エリス原作による、『レス・ザン・ゼロ』『アメリカン・サイコ』の間にはいる、3部作のちょうどPART2にあたる映画。

『ルールズ・オブ・アトラクション』が、一番最後に映画化された理由は、この原作小説の構成が、いくつかの物語を同時進行させるという複雑なものだったためだそうだ。だから、これを映像化するにあたっては、演出面でも、ちょっと変わったアイデアが使われている。

時間軸を大胆に交互させるこのアイデアは、この映画の監督が『パルプ・フィクション』の脚本家であるときけば、なんとなく納得が行く。あちらも、時間軸を大胆に入れ替えた構成が有名な映画である。

60点
不人気な原作を選んだ事が成功の要因

日本を代表するといってもいい実力派推理作家、東野圭吾原作の、恋愛サスペンス。

……といっても、原作は決して恋愛ものではない。奇抜な構成のミステリで、結末一発逆転系の話である。それを今回の映画化にあたって、恋愛要素をメインにして構成しなおしたと言うわけである。

本来、こうした「原作を大きく変える」パターンは、失敗する事が多い。原作に思い入れのあるファンの反感を買いやすいし、熟考を重ねた完成度の高い小説を、安直に映画で変えれば、上手くいかないのは当然である。

60点
ライトなファンにとっては、不満の残る出来だろう

映画業界関係者にとっても『マトリックス』はひときわ特別な存在だ。なんたってマスコミ向けの試写会も一度しかやらないし、入口の荷物チェックは厳しいしで、見る前から「ああ、自分はこれからすごいモノを見るんだ」と、気分が盛りあがる。

もしかすると『マトリックス・リボリューションズ』の一番の魅力は、その部分かも知れない。つまり、「見るまでの間が、とってもワクワクする」という部分。というのも、おそらく『レボリューションズ』は、多くの方が「なんだよ、これでおわりかよ」と、不満を持つような内容だからだ。

知っての通り、『レボリューションズ』は、『マトリックス』『マトリックス・リローデッド』と続いてきた三部作の完結編。だから、最大の注目は、この壮大なストーリーにどう結末をつけるかという一点にあった。だが、『リローデッド』で話を広げすぎたためなのか、『レボリューションズ』で提示される結末は意外とわかりにくく、説明不足な感じがする。

60点
物語はよいが、演出がいまいち

動脈瘤で仕事を失った若い男が、依頼主を鹿児島まで連れて行くという運転手のバイトを引きうけるというロードムービー。

この依頼主のオジサンの目的がなんなのか、なぜクルマで向かうのか、なぜ鹿児島なのか、そのへんの謎が徐々に明かされていくと共に、大きな感動が観客を襲うというドラマである。

初の監督作品という事でか、ストーリーは◎、演出は×といった印象である。主演の二人(大沢たかお、柄本明)はどちらも演技派で、存在感のあるいい俳優だが、肝心なシーンでのセリフが赤面ものだったりなど、持ち味を演出の悪さに殺されている。

60点
充分楽しいティーン向けデート映画

アメリカで人気急上昇中の若手俳優二人を競演させたロマンティック・コメディ。

ハイスクールの放課後、ちょっとシャイな男の子が、あまり目立たないけど実は案外かわいい顔立ちの同級生の女の子を、思い切ってデートに誘ってみる、そんな時のための映画である。一言で言えば、ティーン向けデート映画という事だ。

ひょんな事で恋に落ち、スピード結婚した若いカップルが、ハプニング続きの新婚旅行でだんだん気まずくなってゆく。結婚の現実を思い知り、さあ二人はいったいどうなるか? ……という話である。

60点
信者以外が見てこそ最高に楽しめる一本だ

大川隆法率いる新興宗教団体、幸福の科学による長編アニメーション映画。中身は、ようするにこの団体の解釈による歴史を、タイムマシンで旅する少年少女の冒険に託して描くというものである。東映によって全国で公開されるので、何かの間違いで信者以外の子どもたちがこれを見て、これが本当の歴史だと勘違いしたら大変という作品である。

ただし、信者向けのPR映画だという1点をしっかり理解した上でみれば、こんなに面白い映画はそうそうない。何を考えて毎回この団体の映画を公開しているんだか知らないが、東映も実に面白い会社である。おかげで、こういう珍妙な映画を、我々一般人も見る事が出来る。

まず、宣伝文句が凄い。

60点
100年以上前の原作を上手く脚色した

カトリック教会を舞台にした禁断の恋を描く、スキャンダラスな恋愛ドラマ。本国のメキシコでは、大変な話題になり、オープニング記録を作ったほどの大ヒット。アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。

100年以上前の原作を、メキシコ一の人気作家が脚色した。ここで描かれる教会の不正行為などは、情報がOPENになっている今となっては大して珍しい事では無いが、それでも飽きずに上手く見せてくれる。

メインストーリーは、神父と少女の肉体的な(=宗教的に禁じられた)恋。聖職者という主人公の職業が、作品のテーマである人生の無常、エゴといったものをより鮮やかに浮きあがらせる。見る前はもっと地味かな、と思っていたが、案外退屈せずに見れた。

60点
海軍全面協力の本格的な映像がいい

韓国の海軍に実在する、海難救助部隊SSUを舞台にしたドラマ。オオゲサな音楽と演出、臆面もなく登場するお涙頂戴など、最近の韓国映画に多い、大衆向けのエンタテイメントに徹した作りの映画である。

タイトルから期待するような、軍事モノっぽいアクションは無く、中身はいかにも韓国映画らしいメロドラマだ。ただ、下手に政治色をいれず、SSU隊員の恋愛沙汰とアクションの2本柱に見せ場を絞り、万人向けでわかりやすくした点には好感が持てる。ターゲットとする客層がはっきりしており、潔い。

韓国には徴兵制があるから、こうした軍事ものを作ると、(軍人役の)役者の動きにリアリティがある映画になる。軍経験がある観客を相手にする以上、極端にインチキなものは作れないわけだ。とくに本作は、韓国海軍全面協力ということで、より本物っぽい雰囲気が画面から伝わってくる。

60点
原作コミックと、もとネタ小説のファン専用

19世紀の名作小説の主人公や、有名な登場人物たちが集まってチームを結成し、世界制服を企む大ボスと戦うという、ファンタジックなアドベンチャー。原作はアメコミである。

設定が設定だけに、誰向きの映画かが非常にハッキリしている。つまり、新作ガイドを書く身としては楽な映画といえる。『リーグ・オブ・レジェンド』は、原作のアメコミファンを除けば、登場人物全員に思い入れのある、各小説の熱烈なファン向けという、案外ニッチなマーケットへ向けた映画である。

そんなわけで、それぞれのキャラクターが活躍する、19世紀の各小説を1度も読んだことの無い方へは、私としては本作をあまりオススメしない。それは、ロボットアニメを1つも知らない人が、いきなりゲームの「スーパーロボット大戦」をプレイするようなもので、少々無謀だからだ。

60点
美男美女ぞろいのキャストが満足度を押し上げる

フランスのサスペンス・アクション映画。全編英語による、全世界向け作品という事もあって、比較的わかりやすい娯楽作品になっている。

戦争で少年を誤射したことがトラウマになっている元傭兵が、偶然出会った12歳の少女を殺し屋から守るというストーリーは、ちょいとどこかで見たような構図ではあるが、まあ、普通に面白い。

スナッフビデオ(本物の殺人場面を収めたビデオ)やユーロマフィアといった、興味深い題材を使ってはいるものの、それほど深く突っ込んで描くことはせず(そこまでの余裕はなかったか?)、平凡な出来なのが惜しい。

60点
『2LDK』の面白さが収穫

『あずみ』の北村監督と、『恋愛寫眞』の堤監督による、短編映画のコラボレート企画。60分という時間制限のなかで、堤監督が「女同士の対決」、北村監督が「男同士の対決」をテーマにした作品を作り、2本立てにして公開するというものである。

邦画界の誇る、個性的な二つの才能が、同じテーマで競い合う。なかなか面白い企画である。『2LDK』『荒神』というタイトルのそれぞれの作品は、なるほど各監督の個性がしっかりと濃縮された、(同じテーマにもかかわらず)対称的な映画になっている。

『荒神』は、北村監督らしい、荒唐無稽な雰囲気の、男くさい時代劇アクション。ギャグセンスの寒さも相変わらずだが、ワイヤーワークを駆使した動きで、若若しいセンスのチャンバラを見せる。

60点
言いたい事は1つだけ、「ボカシを入れないでくれ」

公式サイトのトップ写真がクンニシーンという事からわかる通り、直接的な表現手法を売りにしたドラマ。

少年3人と少女1人、そしてその父母達の日常をリアルに描いている。リアルとは言ってもロサンゼルスの話だから、平均的日本人が見たらビックリして飛びあがるくらいの過激さである。

自殺あり、犯罪あり、親子丼ぶり(?)あり、観客が「世も末だねぇ」と嘆くひまも無く、過激描写が次々繰り出される。そんなわけで『KEN PARK ケンパーク』は、日本以外ですんなり公開できた国は1つもない。

60点
陣内ファンなら楽しめる

タレントの陣内孝則がはじめてメガホンを取った自伝的作品。亡くなったバンド仲間に捧げられている。バンドで一旗あげようと悪戦苦闘する若者の姿を、勢い良く描く。

陣内監督のカラーが非常に強く出た映画である。下品ながらも明るい下ネタ、スラップスティックなギャグが連発されるあたり、ラジオやテレビで見られる、彼の個性そのものといった感じを受ける。まあ、なんと言ってもこれは自伝なのだから、それも当然なのだが。タレントとしての彼のファンならば、期待を裏切られる事なく、楽しんで見られる映画である事は間違いない。

逆に言えば、彼のファンで無い観客にとっては、あえて見に行くほどの何かがあるわけではない。『ロッカーズ』はまさに陣内孝則そのものであり、彼を受け入れられるかどうかが、本作を楽しめるかどうかの全てと言ってよい。

60点
リアリティには目をつぶって気軽に楽しむのがコツ

『トゥルーマンショー』や『ガタカ』など、風刺の効いた近未来ファンタジーを描かせると上手いアンドリュー・ニコル監督による、コメディドラマ。

CG製の女優に世間が騙されるという設定は、いくら技術が進んでもそう上手くはいかないとわかっているものの、なかなか面白い。主人公にアル・パチーノという演技派を持ってきたことで、アホらしくなりがちなこの物語を、強引にまとめているのは見事と言えよう。

『シモーヌ』は、CG女優役のレイチェル・ロバーツの名前をクレジットから外すなど、「もしやホントにCG?」と思わせる話題作りが空回りし、米国での成績が平凡に終わった。また、日本でも、諸般の事情で公開時期が前倒しになり、宣伝もろくに出来ないうちに(女性誌ではまだ、ろくに紹介さえされていないはずだ)公開するという憂き目にあった不運な作品だが、中身は決して悪くない。普通に見にいって、普通に楽しめる映画である。

60点
オチはイマイチだが、見所はたくさんある大人のサスペンス

エンターテイメントの巨匠、ブライアン・デ・パルマ監督(『ミッション・インポッシブル』)によるサスペンス。やたらと凝る特徴的なカメラワークは、スタイリッシュと評される。ちなみに音楽は坂本龍一。

品はいいが、イマイチ芸のないサスペンスである。『ファム・ファタール』は、パリの素晴らしい風景、この世のものとは思えないほど美しいプロポーションを持った女性たちに彩られ、監督の美的センスがいかんなく発揮されたゴージャスな映像美を持つが、サスペンスの最重要点であるオチが弱いのである。

見てもらえばわかるが、「これだけ話を進めておいてそのオチかよ」、と文句の1つも言いたくなる。しかも、そのネタには必然性というものがなく、単に驚かせるためだけの仕掛けなのである。これだと、どうしてもミステリとしての評価は下がる。

60点
フリーダの一生を描く、サルマ・ハエックムービー

サルマ・ハエックが、母国メキシコの画家、フリーダ・カーロの生涯を演じたドラマ。彼女は、この役を無名時代から狙っており、相当な思い入れがあるらしく、プロデューサーも兼ね、金策にも奔走するなど、深く関わっている。

絵画的な色使いと演出で、フリーダの一生を追う本作は、この画家をよく知る人にも、名前程度しか知らない人にも興味深い内容となっている。伝記映画のわりには、退屈もせずにそこそこ見れる。そしてその最大の理由は、主演女優の頑張りである。フリーダを演じるサルマ・ハエックの、本作の熱演ぶりは半端ではない。間違いなく、『フリーダ』は、彼女の代表作となるだろう。

そんなわけで、サルマ・ムービーと化した本作では、彼女は女子高生から死ぬ寸前、男装まで、コスプレ街道まっしぐら。フリーダは両性愛者だったので、黒人レズ女との熱烈な絡みシーンもあるが、堂々と全裸大公開で演じている。

60点
超大作のわりに、俳優の魅力ばかりが印象に残るのが寂しい

ディズニーランドの『カリブの海賊』をモチーフにした海賊アクション映画。プロデューサーは、手がけた映画の総売り上げが一兆円を超えている、ハリウッド最強の男、ジェリー・ブラッカイマーである。

ブラッカイマー作品と言えば、徹底した娯楽主義であるが、本作も期待にそぐわぬピュア娯楽映画である。サービス精神たっぷりに、我々を楽しませてくれる。

ただ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』は、”脅威のVFX映像”という触れこみで宣伝されているが、普通に見ていると余りそういう印象は受けない。むしろ、同じ日公開の『ハルク』のほうが、VFXを見せる映画、という感じがする。

60点
玄人好みの、大人向け恋愛映画

『マグノリア』『ブギーナイツ』のポール・トーマス・アンダーソンが、初めて95分という”彼にしちゃ短い”時間で作り上げたラブストーリー。カンヌ国際映画祭の監督賞受賞作でもある。

上の2作品を見ればわかるのだが、ポール・トーマス・アンダーソンという人は、あれだけの群像劇をわずか20代で作ったという、とんでもない才能を持った監督である。本作では、コメディアンのアダム・サンドラーを主演にしつつ、彼の役者としてのいい部分を引きだし、一味もふた味も違った不思議な恋愛映画を作り上げた。

冒頭のショッキングな事故シーンで、監督は観客の心を一気につかみとる。この映画のストーリーの冒頭にこのシーンを持ってくるセンスが、はっきりいって普通ではない(←誉めている)。また、彼はシネスコサイズの画面の使い方が非常に上手く、風景を写すだけのシーンでさえ、「この映画は何か違う」と感じさせる。

60点
美人秘書、お尻叩かれ、あらカイカン!

『コンフェッション』『アダプテーション』といった話題作が、この後控えており、日本でもブレイクが期待される女優、マギー・ギレンホールが、マゾに目覚める秘書を演じて、サンダンス映画祭で大きな話題を読んだ映画。サンダンス映画祭と言うのは、ロバート・レッドフォードが主催する、インディペンデント映画を集めた映画祭。個性的な作品を輩出することが多く、若手作家の登竜門としても知られる。

『セクレタリー』を一言でいえば、「美人秘書、お尻叩かれあら快感。マゾに目覚めて人生開花」というような映画である。就職の経験もなく、恋愛もセックスの経験もなく、自傷癖があってうつ気味という、まあいってみればダメ人間を、マギーさんが見事に演じる。

彼女の、尻を叩かれているときの恍惚とした表情は、普通なかなかできるものではあるまい。恐らく彼女はこの一本で、ananの”今年、一番尻を叩きたい女優”に選ばれることになるだろう。(ありません)

60点
個性的で万人向けではないが、見て損はない

9人の脱獄囚が、それぞれ生きる目的をつかむまでをユーモアを交えて描く、ヒューマンドラマ。

原田芳雄やマメ山田、松田龍平といった、個性派の役者たちがいい味を出しているドラマで、こちらを笑わせたり泣かせたり、安定した演技で見せてくれる。

松田龍平君は、相変わらずセリフを話すと危うい感じだが、表情には独特の雰囲気があり、なかなか悪くない。脇役では、グラビアアイドルから女優になってブレイク気味の伊東美咲が、ストリッパー役で出演しているのがちょっとした話題である。スレンダーなボディで、隠微なストリップダンスを披露してくれるシーンは必見だ。

60点
夏休みの思い出に、大人も退屈せずに見られる作品

超人気子供アニメの夏休み劇場版作品。短編と合わせて2本同時上映となる。前作は海外での日本映画の興行記録を持っており、世界的な人気アニメシリーズである。つまりポケモンは、邦画のフラッグシップなのである。(これでいいのか……?)

ポケモンは、結構息の長いシリーズなので、ファンの年齢層も縦に長い。短編のほうは、そうしたファンの中でも低年齢層を狙ったもので、ミュージカル仕立てでニャースらポケモンが、歌って踊るという楽しい作品になっている。

長編のほうは、しっかりとしたストーリーを持ったドラマで、どちらかというと高学年向けのちゃんとした”映画”である。

60点
前半のマンガな展開についていけるかがカギ

沖縄を舞台に送る、個性的な群像劇。若き飯塚健監督が、沖縄中を金策に走って完成させた、初監督作品である。

マンガチックな設定と、ナンセンスな笑いで突っ走り、最後にシリアスな見せ場を作って泣かせる、というパターンである。よく、池袋グリーンシアターあたりでやってる、小劇団の演劇みたいな展開のドラマだ。

この監督は、24歳という若さだが、妙にじじむさいセンスの映画である。さらに、前半のあまりに馬鹿馬鹿しく、わざとらしい展開に、多くの方が脱落しかかるであろう。

60点
大作を見るよりずっと面白い

一般公募による自主製作映画コンクール「ぴあフィルムフェスティバル」で選ばれた監督が、そのプロデュースのもとに長編映画を製作するシステム「PFFスカラシップ」による作品。

高校生の周史は、将来に絶望して不満を募らせていた。宮路は中年なのに、いまだ組の集金係に甘んじているヤクザ。宮路と生き別れた娘はるかは援助交際で警察に補導されてしまった。主婦の美佐は、息子のいじめや夫のリストラに悩まされ、精神的に弱っている。アル中のタクシー運転手、黒崎は今日もビールを飲みながら運転。そして自転車をはねてしまう。その自転車に乗っていたのが周史だった。黒崎は、周史が自宅があるという北海道までタクシーに乗せて送ることにするが……。

低予算だから、大手によるプロ監督の映画のように洗練されたものではないが、邦画の場合、大作に限って客との距離感がつかめていない傾向があるので、下手にそうした作品を見るより、こういう小品のほうが、案外面白かったりする。

60点
可もなく不可もない、ごく普通の週末ムービー

イギリスの自動車メーカー、ローバー社の人気小型車、MINIが大活躍する、カーアクション・ムービー。同名作品のリメイクになる。本作では、(ローバー社が買収されたため)BMWが製造する新型ミニ・クーパーが登場する。

ストーリーは単純で、50億円相当の大量金塊を、主人公率いる窃盗チームが盗み出すという話。

「狭い所でも走れる超小型車で、建物内へ突入する計画」がミソというわけだが、その肝心の突入計画が実行直前でボツになるという、よくわからない展開のおかげで、観客は「アンタたち、いまさらミニを使う理由がどこにあるんだ?」 と突っ込みたくなる事、間違いない。

60点
ゴージャスな40年代セレブたちによる殺人劇

実際におきた事件であり、今もって真相が闇の中という、ハリウッド最大の謎「オネイダ号事件」を描いたミステリー・ドラマ。

登場人物は、1942年当時の有名人、チャーリー・チャップリンや新聞王W・R・ハーストなど、そうそうたる顔ぶれ。舞台となる客船では、私のような最下層庶民からは想像もつかない、豪華なパーティーが開かれる。

そして、そのパーティである人が殺されるのだが、被害者の名前はマル秘事項なので、ここでは書けない。その殺人事件の真相を、映画はズバっと描くのである。

60点
映像一流、演技は二流、ラストのアクション三流以下

タイトルは、『恋愛写真』と読む。広末涼子主演の恋愛ドラマだが、途中からジャンルが変わって違和感が味わえる、強烈な変調を味わえる一本。

ただ本作を一言でいうと、映像一流、演技は二流、ラストのアクション三流以下、というもの。

まず映像、とくに静止画の部分は、文句無しにすばらしい。綺麗な映像を見るというのも、映画の楽しみの一つだから、これは高く評価したい。

60点
『シュリ』を期待していってはいけない

『シュリ』『JSA』に続く、南北分断の悲劇を描いた、ハン・ソッキュ主演の韓国映画。

ハン・ソッキュという俳優は、韓国においては、すべての脚本はハンを通るということわざがあるくらい(ちょっと嘘)の大スターだ。

本人はいたって平凡な優等生タイプの人で、たぶん歌舞伎町ですれ違っても気づかないんじゃないかと思うくらい親しみやすそうな感じの俳優さんだが、記者会見なんかにいくと、質問する記者(多分韓国人)の声が歓喜に震え、やたらと上ずっていて「ああ、彼は本当に本国ではカリスマなんだなあ」としみじみ思わされる。

60点
先進国の映画には無い驚きがある

1964発表のベストセラーを映像化したタイ映画。タイでは、誰でも知っているくらい有名なお話である。

国民の9割が仏教徒であるタイでは、セックスは長年タブー視されている。この映画の主演女優も、たくさんヌードやエッチシーンがあるから、タイ国内では結局見つけられず、外国人を起用したという経緯がある。タイでは、ヌードシーンを演じたことが社会的にマイナスになるという事らしい。

当然、この手のH描写も本来ご法度で、映画化されたあとも大量の修正を加えられたという。だが、日本で公開されるのは修正前の完全版である。さすがわが国は、世界に名だたるH大国である。政治も外交も3流だが、エロだけは負けないという気概を感じるではないか。

60点
本物のストロンゲストマンのパワーにビックリ!

ナチス時代に実在した、二人の『無敵の男』ことハヌッセンとジシェ。彼らの波乱の人生を、実話をもとに描く、人間ドラマである。

ユダヤ人にとって、歴史的な人物、英雄として記憶されるこの名前も、我々日本人にとっては、あまりなじみはない。だから、この映画を見ても多くの人は、ぴんとこないだろう。

そんなわけで、ごく一部の客層を対象にした、しみじみと味わう地味なドラマである。

60点
ただのタクシーがこんなにカッコイイ映画はほかにない

フランスでの『TAXI』シリーズは、国民的な大人気映画らしく、プレミア試写にはとんでもない数の人が集まったと聞く。

シリーズ第3弾である本作は、これまで同様、くだらないギャグと超一流のカーアクションのカップリングという、独特の個性を持つフランス映画だ。

毎作、非常識さがエスカレートするこのシリーズ、今回は、タクシーがキャタピラを出して雪山を爆走するという、おバカ度満点の展開が売りとなる。

60点
オバサンたちの演劇初挑戦を描く人情ドラマ

笑って泣ける、一般向けファミリードラマ。

カメラが中々いい。望遠を多用し、映画らしい奥行きある風景を作っている。見ているだけで飽きない、視覚的快楽を与えてくれる。

基本的に前半に吸引力がなく、期待して見に行く観客をなかなか引っ張ってくれない。セリフは大げさでわざとらしいし、だからこそ俳優の演技も嘘っぽく見える。舞台劇としてはちょうどいいが、映画としてはどうか。

60点
独特の味がある、フィリピン製感動ドラマ

『anak』という、日本でも加藤登紀子がカバーしたフィリピンの名曲を原作とした映画。世界中に出稼ぎに行く、フィリピン人メイドを描く。

日本では、非常に珍しいフィリピン映画だが、実はフィリピンは映画大国で、自国で製作される映画の数も多く、国内での興行もハリウッド作品に負けないくらい好調という、世界的にも珍しい国なのである。

国民は皆英語をしゃべれるというのに、ハリウッド映画だけでなく、あえて自国語で作られた国産映画のほうを国民が見に行くというのは、とても素晴らしい事だと思う。

55点
全編iPhoneで撮影したスタイリッシュムービー

最近のiPhoneのCMには、妙に美麗な画像映像を流した後に「iPhone7で撮影」などとネタ晴らしする、というものがある。いまどきの若い人には想像もできないことだろうが、中年以上のユーザーにとってスマホのカメラ機能はいまだに「電話のオマケ」と思われがちである。ああしたCMはそうした層に、その凄まじい高性能ぶりをアピールする狙いもある。

ロサンゼルスの街角、クリスマスイブ。短期間ながら服役を終えた娼婦のシンディは、同僚のアレクサンドラに浮気性の恋人の愚痴をぶちまけている。それを聞くアレクサンドラは、うんざりしつつも自分のライブの集客のことを考えている。誰も気に留めることのない、街の片隅で繰り広げられる奇妙なイブのドラマが今、始まる。

いきなりクラシックな雰囲気のシネスコ画面に面食らうが、「タンジェリン」はなんと特注のアナモルフィックレンズを装着した3台のiPhone5sのみで撮影された低予算映画である。

55点
未曾有の大事故をスペクタクルに

2010年メキシコ湾原油流出事故は、環境汚染の意味でも、損賠賠償の金額の意味でも、史上最大級のものであった。ところが場所があまりに日本からは遠かったがために、日本企業も一部関わっていたにもかかわらず、いまだに日本での印象は薄いものがある。

メキシコ湾沖合に浮かぶ石油掘削施設ディープウォーター・ホライゾン。電気技師のマイク(マーク・ウォールバーグ)は、社会と隔絶した孤島というべきここに、家族を残して赴任する。ところが施設はずさんな管理が行われており、マイクは上司のジミーを通して大本のBP社に抗議する。だが彼らは利益追求のため、あろうことか安全管理手順の省略まで指示。やがて史上最大の原油流出事故につながる大爆発が起こってしまう。

「バーニング・オーシャン」は、まさにそのメキシコ湾原油流出事故を映画化したものである。この事件は2015年にも「コンテンダー」として映画になっているが、本作は現場で起きた再現ドラマの意味合いが強く、爆発や流出を必死で食い止めようとした男たちの感動のドラマにもなっている。

55点
オタク製怪獣映画

当サイトではずっと指摘しているようにハリウッドでは今、強いヒロインが流行している。個人的にはもうそれも終わりだろうと思っているが「キングコング:髑髏島の巨神」もそんな流行品のひとつ。囚われの姫君の代名詞のようなキングコング映画も2017年に作れば真逆のカタチになる。

コンラッド(トム・ヒドルストン)は、未知なる生物を探すためパッカード(サミュエル・L・ジャクソン)ら軍人を巻き込み未踏の地「髑髏島」へとヘリ部隊で向かう。島を破壊するような乱暴な調査を開始すると、彼らの前に巨大すぎるキングコングが出現、部隊は激しい攻撃を受けるのだった。

中国資本に買収されたレジェンダリー・ピクチャーズによる、今年公開される超大作の一つ。

55点
一般人の感覚とズレた業界人が過大評価

アマチュアの映画ファンは「これはボクのために作られた映画だ!」と感じた時、盲目的なまでに絶賛しがちである。我々プロはそういう映画評は見ればすぐにわかるし、自分が書くときはそうならないよう、気に入った作品ほど距離を置いて冷静にみつめる癖がついている。

しかし「ラ・ラ・ランド」は一部、いやそうとうな数のプロたちのそうした習性を突き破ってしまった点で、特筆すべき作品といえるだろう。

女優志望のウェイトレス、ミア(エマ・ストーン)は、ジャズバーでピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会う。決して素敵な出会い、ではなかったが彼らは再会し、夢を追う過程の中で互いの距離を縮めてゆく。

55点
一般向けではないバカ映画

ソーセージを擬人化したキャラクターたちが、太いほうがイイだの長いほうがイイだの下ネタを飛ばす映画「ソーセージ・パーティー」。これを見て、ああソーセージからそういうものを想像するのは外人も一緒なのか、つまりこれって人類共通の言語なんだな、などと考えたりしたところで、あまりの虚しさに帰りたくなった。

食材たちにとって、にぎやかに暮らすわが街「ショップウェル」。このスーパーマーケットでソーセージのフランクは、いつか恋人であるパンのブレンダと合体することを夢見ている。そのために、人間に買われることを切望しているのは他の食材たちも同じ。だが、先に買われながらもほんの偶然から店に戻ってきたある食材は、それが幻想であることを青ざめた表情で皆に語るのだった。

ソーセージとチンコネタで引っ張るには、79分という短い上映時間ですら厳しかったのだろう。結果、本作の「笑い」は激しく中だるみするし、イスラムのホモネタとかサルマ・ハエックのレズキャラとか、場当たり的かつ混沌を極めてゆく。どれもこれも狙いすぎかつ思いつきの域を出ていない。最初はシュールで笑えたものの、すぐに失速してとほほ感を醸し出している。

55点
王道の西部劇だが逆に新鮮

「ジェーン」は、女性が主人公という以外は、基本的にはそれほど奇をてらっていない西部劇映画だが、その王道ぶりが現代では逆に新鮮に見える。

ジェーン(ナタリー・ポートマン)は、夫(ノア・エメリッヒ)が負傷し、さらに悪党たちから命を狙われていることを知って家に籠城することを決意する。だが自分一人では勝ち目がない。彼女は意を決してかつての恋人ダン(ジョエル・エドガートン)に助けを請う。

女性推しな今年のアメリカ映画らしく、善人の主人公が悪い奴らと戦うシンプルな西部劇「ジェーン」の主人公も女の子、それもナタリー・ポートマン演じるやせっぽちでか弱いそれである。

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