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2156件中 1201~1250件 を表示しています。
60点
韓国人はリアリティという言葉を知らんのか?

韓国エンタテイメントの大ヒット作『シュリ』で脚本を担当した監督の初長編作品。地下鉄を舞台にしたスーパーアクション娯楽作だ。

空港での銃撃事件で刑事チャン(キム・ソックン)は、テロリストのリーダーが元国家機密諜報員のギテクだと視認する。チャンは、かつて彼に恋人を殺されたという過去があった。やがてギテクは地下鉄ハイジャック事件を起こし、チャンも現場に駆けつける。二人の因縁の対決が始まった。

どこからどうみても“やりすぎ”な韓国エンタテイメントがまたひとつ誕生した。イマドキこんなばかげたアクション映画は、この国以外では作れまい。そんな『TUBE』最大の特徴は、それぞれのアクションシーンに、リアリティがまったく存在しないという点だろう。

60点
大スターのゲスト出演もあるアドベンチャー

SF作家ジュール・ヴェルヌの「80日間世界一周」の映画化作品。数々の大スターをゲスト的に出演させる豪華なつくりは56年の映画『80日間世界一周』と同じ。だが、原作を多少アレンジした設定、内容になっている。

舞台は19世紀のロンドン、まだ飛行機もない時代。発明家のフォッグ(スティーブ・クーガン)は、王立アカデミーにおいて仲の悪い科学大臣と言い争い、思わず「80日間もあれば世界一周できる」と口走ってしまう。やがて彼は使用人(ジャッキー・チェン)を引きつれ、自らの進退を賭けて挑戦する羽目になるが……。

120億円をつぎ込んで作られた、全世代向けのアドベンチャー大作だ。物語はよく知られた原作をもとにテンポよくアレンジされたもので、カップルからファミリーまで安心して楽しめるというもの。

60点
竹内結子ファン製造映画

市川拓司の同名ベストセラーの映画化。原作は口コミを中心に30万部突破というロングランヒット中であり、そんな背景からこの映画も『世界の中心で、愛をさけぶ』の再来などといわれている。(別名二番煎じ)

主人公は愛する妻(竹内結子)に先立たれ、小学生の息子と二人で暮らしている父親(中村獅童)。彼は障害を持っているため家事が満足にできないが、理解ある息子と支えあって生きていた。そんなある日、息子の遊び場である廃屋に死んだはずの妻が一切の記憶を失って現れる。

妻が生前息子に残した絵本には、「私は雨の季節に現れ、雨の季節の終わりとともに去るの」と書いてある。彼女は梅雨の季節の間だけ、二人の前に戻ってきたのだ。この「奇跡」について、ストーリー上しっかりとした理由付けがしてあり、映画的なリアリティをもって成立しているところが上手い。

60点
ドリフ的ギャグに大爆笑

アメリカの国民的人気テレビアニメの実写映画化PART2。主人公である犬、スクービーはよくできた3Dアニメで描かれ合成される。スタッフもキャストもほぼそのままで作られた続編だ。

モンスター退治に活躍するミステリー社の4人(と一匹?)は、いまや全米中で大人気。鳴り物入りでオープンした犯罪学博物館のセレモニーにも得意満面で出席していた。ところがそこに謎の仮面男とモンスターが乱入、ミステリー社の面々はテレビの前でメンツをつぶされる。

アメリカの人気アニメを、アメリカの人気アイドル出演で楽しく作った娯楽映画。ワイヤーワークによるアクションあり、CG多用の見せ場あり、そして有名曲をたくさん使ったサントラありと、大衆の期待にこたえる派手でポップなつくり。ちなみにエンディングテーマは、日本のデュオ、PUFFYが歌っている。映画の中身に比べても違和感がなく、とてもいい感じだ。

60点
満遍なくディテールにこだわったマニアックな映画

「劇団大人計画」の松尾スズキ初監督作品。羽生生純の同名コミックを松田龍平主演で映画化した。

二十歳になってもいまだ貧乏童貞の蒼木門(松田龍平)は、石に漫画をかく自称“漫画芸術家”。ひょんな事から出会ったOLの恋乃(酒井若菜)といい感じになるが、彼女は実は超オタクでコスプレイヤーだった。門は同じ“マンガ”でも180度違う恋乃の世界に衝撃を受けながらも、なんとか歩み寄ろうとするが……。

主人公の門をはじめ、登場してくるのは誰も彼もナンセンスなキャラクター。前半はコメディタッチで、彼ら“変な”登場人物の様子を描く。映画というより演劇をみている気分で、大笑いしながら楽しむことができる。このへんの笑いのセンス、テンポのよさはさすが松尾スズキといったところか。

60点
とっぴな設定の中に普遍的なテーマを感じさせる

緒形拳主演のヒューマンドラマ。ややコミカルなタッチを織り交ぜ、定年間際で家庭崩壊目前となった男の苦悩と再生を描く。

定年間際の会社員(緒形拳)は、車で人身事故を起こしてしまう。被害者の少女は幸い軽傷だったが、その家族が執拗に家を訪れ金を要求するようになり、やがて会社へもいけず鬱状態になってしまう。家族との関係が徐々に悪くなる中、彼は突如事故現場のカーブミラーを皮切りに、日本中のミラーを拭き上げるため、一人旅に出てしまう。

苦悩する寡黙な男を、名優緒形拳が好演。ほとんどセリフはないが、存在感ある見事な表情で難しい役どころをこなしている。

60点
私は感動したが、万人にすすめはしない

ハリウッドトップ女優として日本でも人気の高いジュリア・ロバーツ約2年ぶりの主演作品。保守的な名門女子大にやってきたリベラル教師の奮闘ぶりと、個性的な生徒たちとの交流を描いた人間ドラマ。

1953年ニューイングランド。主人公の美術教師(J・ロバーツ)は、全米一保守的といわれる名門女子大に赴任してきた。ところが、教師を容赦なく見下す高慢な生徒たちや、社会進出よりよき妻を目指す教育方針など、新天地への彼女の期待は初日に早くも打ち砕かれる。彼女は旧来の女性教育を打ち破ろうと、学校、生徒双方に対して訴えかけるのだが……。

表面的には一見、女性解放バンザイ的な底の浅い映画に見えるがさにあらず。なかなかどうして、よく計算されたストーリーだ。

60点
舞台に忠実かと思わせつつ、ラストに見事に“映画”を見せる

井上ひさしの原作による舞台劇を、宮沢りえ主演で忠実に映画化した作品。「TOMORROW 明日」「美しい夏キリシマ」に続く、黒木和雄監督の戦争レクイエム三部作の完結編にあたる。……とはいっても、これらは全く別作品なので、前二作を見ていなくても何の問題もない。ただ静かに、しかし強く反戦を訴える点が共通する、テーマ性の強い作品である。

原爆投下から3年後の広島。図書館で働く主人公の美津江(宮沢りえ)は、心に傷を抱えながらも毎日を生きている。ある日彼女は一人の青年(浅野忠信)と出会い、淡い恋心を抱くが、原爆で愛する父を失ったトラウマから、幸せになることを心が拒否してしまう。それを見た父(原田芳雄)は、幽霊となって彼女の前に現れ、なんとかこの恋を成就させようと説得をはじめるが……。

登場人物は基本的に3名。物語のほとんどは、主人公の宮沢りえと、その父役の原田芳雄の会話劇となる。3人とも演技力は確かなものであり、こうした演技合戦が好きな人には見ごたえがあるだろう。

60点
素直なつくりのベーシックな感動ドラマ

伊集院静原作、坂口憲二初主演の感動ドラマ。以前にアニメーションで映画化されており、今回は初の実写化となる。

舞台は瀬戸内海に浮かぶ小さな島、葉名島。ひとつしかない小学校に主人公の臨時教師が赴任してくる。彼はかつて剣道の名選手だったが、対戦中の事故が原因で声を失った。やがて口が「きけない」ことから「機関車先生」と名づけられた彼と子供たち、そして島民らの暖かな交流が始まる。

文部科学省選定の冠がついていることでわかるように、最近では珍しいまっすぐな感動ドラマだ。主人公が何も話せないという点以外、奇をてらった設定も展開もなく、ごくごくベーシックに田舎の人情味や子供たちの純粋さを伝えようとする。彼らと、誠実で優しい機関車先生との交流が2時間かけてじっくりと描かれる。

60点
前作を気に入った人なら楽しめるだろう

アカデミー長編アニメ賞を受賞した前作を持つ、話題のファンタジーアニメPART2。米国では『ファインディング・ニモ』のもつ興行記録を塗り替え、アニメ映画史上最高記録を目下更新中だ。

ドリームワークス製の『シュレック』シリーズは、ディズニー作品との差別化のため、ちょっと辛口のユーモアとパロディが満載、米国の大作アニメとしてはやや大人向けで、ちょっぴり毒のある内容が特徴だ。

PART1が成功したことで、この続編はその味付けをさらに強めている。結果、ディズニーアニメの偽善的な予定調和が嫌いな大人のファンをさらにたくさん取り込んで、興行的には1を超える大成功を収めたというわけだ。

60点
はじめて丹下左膳を見る人に向く

1920年代後半から60年代にかけて日本映画界のヒーローとして君臨した隻眼隻腕の凄腕剣士、丹下左膳の活躍を描いた時代劇。歴代の丹下左膳を演じた役者リストに今回新たに名を連ねるのは豊川悦司。その他の出演者には和久井映見、野村宏伸など。

命を救ってくれた女性、お藤(和久井映見)の営む矢場(弓矢遊びのできる夜の遊び場)の用心棒として暮らす主人公の丹下左膳(豊川悦司)は、ひょんな事から孤児の少年を預かることに。ところが、少年が持っていた“こけ猿の壺”には実は莫大な価値があり、彼らはやがて大騒動に巻き込まれて行く。

『丹下左膳 百万両の壺』は、1935年の『丹下左膳餘話 百萬両の壷』のリメイクである。オリジナルは、数ある丹下左膳シリーズの中では異色作として知られ、あまりにイメージの違う左膳をみて、原作者がクレジットから自分の名を外すよう要請したという逸話がある。

60点
大人もOKの“ちゃんとした映画”だ

夏恒例の人気アニメ、ピカチュウ・ザ・ムービーことポケットモンスター劇場版最新作。前作がなかなかのヒットだったこともあり、力の入った出来となっている。

極地方観測隊の目前に突如隕石が落下、中からうちゅうポケモンのデオキシスが誕生する。そこに縄張りを荒らされ怒り猛るてんくうポケモンのレックウザが現れ、壮絶なバトルが始まる……。その事件の4年後、主人公のサトシとピカチュウご一行様は、観測隊隊長がデオキシス研究を行うハイテク都市、ラルースシティへ偶然やってきた。

4年前の事件に遭遇し、ポケモン恐怖症となっている少年トオイが、レギュラーキャラクターとの交流を通じ、徐々にトラウマを解消してゆく感動的なストーリーが核となっている。

60点
トスカーナの魅力をたっぷり味わえる観光ガイド的映画

傷ついた30代のヒロインが、本当の生き方と真の家族を異国で見つけるまでを感動的に描いた人間ドラマ。離婚のショックから立ち直るための傷心旅行で、イタリアのトスカーナ地方に出かけたヒロインは、築300年の荒れ果てた家と美しい風景に魅了され、突然移住を決意する。

イタリアのトスカーナは、その絶景と味わいのある街並み、そして料理の美味しさから、世界でもっとも魅力的な場所のひとつとされる。この町の魅力をふんだんに紹介しながら、希望に満ちたストーリーが展開する。

旅行ガイド的な魅力と、シングル女性を肯定するストーリーは、自立心の高い行動的な女性から共感を得ること間違いない。劇中のヒロインは、実は外国で家を買った以外にたいした決断はしていないのだが、それでも人生は確実に前に進み、よい事もおきる。「今は苦しくとも、必ずいいことがあるよ」というメッセージが優しく、とくに傷ついている人々にとってはありがたい。

60点
シリーズのファンのみ見ればよしか

J・K・ローリングによる世界的ベストセラーのファンタジー小説の映画化第三弾。監督は変更になったが、背景世界の映像イメージは前二作と変わらない。あえていうなら、このPART3が一番地味なストーリーを持つといったところか。

音楽や美術は相変わらず素晴らしいが、3回目ともなればさすがに観客も慣れている。VFXに関しても、海上飛行の場面など、今時の映画にしては嘘っぽいチャチなシーンもある。魔法世界の映像化自体に驚くといった事は、もはやほとんどないだろう。

物語はどうかというと、今回はシリーズのヒロイン、ハーマイオニーが鍵を握る。序盤からさりげなく伏線が張られ、終盤に意外性のあるストーリーが展開するという楽しみは味わえるものの、いつもながらお話が動き出すまでが長い。

60点
“ハニメーション”のおかげで、ただのおバカ映画ではなくなった

大ヒットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で知られる庵野秀明監督による実写アクション映画。永井豪の原作マンガを知る者も、知らない者も楽しめる楽しいつくりになっている。

ナンセンスな展開とキャラ、原色使いの派手な画面はまさにアニメ的。安っぽいVFXやバカバカしい展開を楽しめる人向きの映画だ。随所に庵野監督らしい持ち味が発揮されており、監督のファンをニヤリとさせる。勢いに任せた序盤の展開が中盤以降にだれてしまい、妙に説教くさいテーマ性が顔を覗かせるあたりもこの監督らしいといえるか。

主人公の“お尻の小さな女の子”如月ハニーを演じる佐藤江梨子も役柄にぴったりだ。ノーテンキでどこかネジの外れた変身前の天然少女っぷりと、変身後の勇ましい戦う女っぷりの落差が激しく、見ていて楽しい。ファンにとっては、この両者の違いが専門用語(?)でいう“萌え”というやつだろう。庵野ハニーは、まさに彼女の魅力をもって完成した。

60点
ミステリを期待せぬほうが良い

フランス製アクション+ミステリ映画の第二弾。猟奇殺人事件の謎に、人気俳優ジャン・レノ扮する刑事が挑む。

壁に埋め込まれた死体、狂信的な宗教集団、大戦時代の遺物……ビジュアル的にインパクトあるアイテムを散りばめ、シリーズ独特の陰鬱なムードを高めている。

この続編ではアクションシーンの派手さがパワーアップ。派手な爆発や銃撃戦、狭いトンネルの中押し寄せる水からの脱出劇等、フランス映画ながらアメリカ映画的な派手さを持つあたり、いかにもリュック・ベッソンの脚本らしい。こうした中で、主演のジャン・レノの渋い魅力も存分に発揮されている。

60点
女優が魅力的なまとまりの良いロマコメ

メグ・ライアンをロマコメの女王に押し上げた『恋人たちの予感』の監督によるロマンティック・コメディ。同じ日公開の『ル・ディヴォース パリに恋して』にも主演したケイト・ハドソンが、こちらでもその明るい魅力を存分に発揮している。

彼女が演じるのは、スランプ中の新進作家に雇われたタイピスト。恋愛観の違う作家に、女性の立場から意見をどんどんアドバイスして作品をすすめてしまうという役柄だ。劇中劇の小説のヒロインとしても登場し、その物語同様、作家とラブラブになるのだが……というストーリーである。

ケイト・ハドソンは、普段はぱっとしない顔立ちだが、笑うと花が咲いたように可愛いらしく、スクリーンを明るくしてくれる女優さん。女性の共感を得る必要があるロマコメのヒロインとしての素質を、十分に備えている。このへん、名コメディエンヌだった母親のゴールディ・ホーンの遺伝子を見事に受け継いでいるというわけか。

60点
日本という異文化の中で感じる孤独

日本を舞台にした恋愛コメディで、アカデミー脚本賞を受賞した作品。日本のスタッフを多数参加させ、日本を愛する(?)監督さんが大好きな街、東京を舞台に作り上げた。

物語の核は、異文化の中で孤独を感じていた男女が、一生忘れられない出会いをするというもの。舞台となる東京は、欧米の人々から見れば、同じ先進国の中でもっとも”ヘン”な人々(=日本人)が住む街。この物語の重要な要素である“そこにいるだけで孤独を感じるほどの異文化”にはピッタリだ。さらに、ミステリアスなまでに美しく撮られた夜の東京の街は、一風変わった恋の物語の舞台としての説得力がある。『ロスト・イン・トランスレーション』が日本を舞台に選んだのは大正解だと私は感じる。

ところでこの映画、英語圏の観客が見た場合、コメディとしてかなりウケていると聞く。日本人の習慣や外見が意図的に“ヘンなもの”としてやや強調して描かれているので、似たような経験のある観客の笑いを誘うというわけだ。

60点
雄大な自然を舞台にした馬と人間の愛の物語

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで、旅の仲間アラゴルンを演じたヴィゴ・モーテンセンが、初めて主演を張ったアクション時代劇。西部開拓時代、アラブの砂漠横断馬レースに参戦したアメリカ人カウボーイの感動実話。

要するに、自然と馬をこよなく愛するカウボーイが、死者続出の過酷なレースに参戦したというお話だが、このレースは砂漠を何日もかけて馬に乗って横断するという長期戦なので、その間には現地のお姫様とのロマンスめいた話や、略奪者の襲撃など、いくつものアクシデントやエピソードが起こる。そのたびに、派手なVFXの見せ場があったり、銃撃戦があったりするので、2時間16分と上映時間が長いわりには飽きずに見られる。これらのエピソードのほとんどに主演のヴィゴさんがでずっぱりなので、印象としてはすっかり彼のヒーロー映画となっている。

このカウボーイの話が実話かどうかという点は大いに議論の余地があるらしい。とはいえ、我々日本人にとって、そんなことはどうでもよい気がする。もともと人気スターが主演した、エンターテイメント性の高い、”楽しむ”映画として作ってあるわけで、そういう意味で『オーシャン・オブ・ファイヤー』は、平均以上のクォリティを持っていることは確かなのだから。

60点
30代のためのお気軽なデートムービー

さえない田舎町に生まれた女の子が、なんとか人生を変えたいとスチュワーデスに挑戦するコメディドラマ。人気女優主演の80数分のお気軽映画というわけで、細かいことは考えずに鑑賞するべき作品だ。

主人公の背景は冒頭の10分間でサラっと説明し、成功までの道のりもありえないほどトントン拍子、まったくストレスなく見ることができる。「そんなんあるわけねーよ」といわれればそうなのだが、すべてがそんな調子なのでバランスはよい。もともとこの映画にリアリティなどというものを求める人はいまい。

「成功のためには男を捨てるべきか?」という、都市で働く女性たちが悩みがちな、わかりやすいテーマを扱っているが、主演の女の子が親しみやすく、好感度たっぷりなので、同じ悩みを持つ女性ならずとも共感をもてるだろう。フェミニストへの安易な迎合をしていない点も現代女性にマッチしている。ターゲットとなる客層の求めるものを的確に把握しており、この時点で、「ハッピー・フライト」という映画はほぼ成功が決まったといえる。

60点
おしゃれな会話劇を目指しても、他人の財産を奪い合う姿はスタイリッシュからは程遠い

金持ち男を騙しまくって計画離婚し、巨額の慰謝料を奪い取る悪女と、離婚訴訟専門の腕利き弁護士が騙し合う恋愛コメディ。二人はやがて惹かれ合うものの、そこは恋愛沙汰を金にするプロ同士、一筋縄では行かない壮絶な駆け引きが繰り広げられる。

「頭の切れる男女のスマートな会話の応酬を見ると、フッと鼻で笑いつつ楽しくなってしまう」という方に向いている映画だ。とはいえこの手の会話劇は、ある程度の英語力がないと十分に楽しめるとは言いがたいのも事実。字幕では所詮、「わかった気になる」程度で終わってしまいがちだ。

人気スター二人が競演するが、二人とも「いつもの彼ら」そのもので、観客が思い描く俳優イメージ通りの演技を見せている。つまり彼らを好きな人にはいいが、たとえばジョージ・クルーニーのスカしたキャラが嫌いな人には向かないといえる。

60点
54歳女と63歳男のロマンティックコメディ

オスカー受賞俳優が豪華に競演するロマンティック・コメディ。タイトルのとおり、「人はいつまで恋ができるのか?」すなわち、恋と年齢という普遍的なテーマに挑んだ内容となっている。

そんなわけでこの映画のヒロインはなんと54歳、劇中ではヌードもセックスシーンもこなすという大盤振る舞いだ。……なんて事を書くと、若い男性諸氏は一目散に劇場から遠ざかってしまうかもしれないが、なかなかどうして、『恋愛適齢期』はオトナの人のみならず、若い人が見てもなかなか楽しめる出来映えである。

主人公の初老のプレイボーイと同じように、最初は「女は若い子に限るのう、ホッホッホ」と思っていた観客は、ストーリーが進行していくと、徐々にその考えが改まってくる。そうした意識変化を無理なく実現させたのは、巧みな演出と、ユーモアあふれる感情移入しやすいキャラクター造形の賜物だ。特に後者においては、主演二人のオスカー俳優の魅力と実力が大いに寄与しているのはいうまでもない。彼らのセリフや行動には芝居じみたところはなく自然だが、とくに、久々に男性との熱烈なセックスを終えた直後のヒロインの演技は必見だ。この場面の彼女の気持ちに共感できる女性は、きっと多いであろう。

60点
どこかで見た設定と思うなかれ

チェーンソーを持った殺人鬼に、若者たちが次々虐殺されるホラームービー。「ああ、よくあるお気楽系ホラーだね」と、誰もが思う設定である。

しかしこの『テキサス・チェーンソー』は、シャレにならないくらいに怖い。この手の殺人鬼もの、サバイバルホラーというジャンルは、たいてい怖いというより滑稽なものと相場が決まっており、出てくる奴ら(たいていセックスとドラッグにふける若者たち)が残酷な殺され方をするほど、観客は思わず笑ってしまうというような楽しみ方をするパターンが多い。

ところが『テキサス・チェーンソー』にそのような”遊び”は一切ない。この殺人鬼が実在した事を知らせるニュース映像が冒頭に流れたときから、映画は不穏な空気に包まれる。

60点
独特の雰囲気の中に、日本アニメとの共通点を感じる

フランスが作った、ヨーロッパ初のフル3D-CG製長編アニメーション作品。3D-CGアニメでもっとも有名なのは『ファインディング・ニモ』等で知られるピクサー社だが、当然ながら印象はまったく違う、個性的な作品である。

人間の動きには、当初やや不自然さを感じるだろう。ゆらゆらとゆったりめの動きは、骨がなさげな人体とでも言ったところだ。肌はのっぺりした質感で、CGであることを隠そうとはしていない。

しかし、その辺はすぐに慣れる。特に若い世代の日本人はアニメを見慣れており、キャラクターを一種の記号として認識する癖がちゃんとついているから、見た目の違和感はすぐに消えてなくなる。やがては、お尻の割れ目が半分見えているヒロインの服のデザインが、とてもセクシーに感じられてくるから不思議だ。

60点
こんな個性を持ったシリーズが続くのもいいなと感じる

ラテン風味のガンアクションムービー『デスペラード』の続編。監督も主要キャストも共通だが、アクの強い新登場のキャラクターが続々と登場する。

カッコは良いが、どう考えても理にかなっていないポーズで撃ちまくるバンデラスの魅力は健在。どんな態勢からだろうが、彼の弾丸は百発百中で敵を貫く。逆に、ザコが何千発彼に銃撃を行おうが、弾はすべて彼をよけてゆく。そんな滑稽かつ痛快なガンアクションを堪能できる。

ヒロインのサルマ・ハエックは、相変わらずのトランジスタ・グラマー(死語)ぶりを見せ付けるヘソ出しの服でアクションを決める。大人気のジョニー・デップは完全に主演扱いで、劇中でも最高の見せ場を用意され、スクリーンから飛び出そうなほどの、お顔の超アップショットで女性ファンをウットリさせる。”過去の人”と思われていたミッキー・ロークさえもおいしい役を与えられ、その存在感を光らせる。

60点
超本格アイドル&アクション映画

香港のモーニング娘。こと人気ユニットのツインズ主演のアイドル映画。とはいっても中身は相当本格的なアクション映画だ。

このツインズというグループ、映画のタイトルにまでユニット名が入ってるのだから、いかにあちらで人気があるか想像がつくだろう。実際、彼女らの映画は大ヒット確実なので、あちらの映画業界では引っ張りだこらしい。

ある意味洗練された日本のアイドルにくらべれば、ずいぶん田舎くさい雰囲気の娘二人のグループだが、『ツインズ・エフェクト』で見せるアクションの数々には、はっとするような危険なものもあったりして、こちらを驚かせる。決してアイドル業の片手間とは思わせない本格的な仕事ぶりには好感が持てる。

60点
重厚で大作感ある一本だが……

常盤貴子主演の邦画ドラマ。全体的に薄い色調の、重厚な雰囲気を漂わせる歴史大作だ。原作者が、自分の母をモデルにしたという主人公を常盤が演じる。

終戦まぎわの混乱した時代をたくましく、奔放に生きた女性の生き様が描かれる。例えばこの女性は、まだ小さい子供に恋人とのH現場を見られても堂々としている。この時代の空気に似合わぬ、愛に生きた自由人というわけだ。

その直後、父親以外と恋をする母(常盤)を見てすねる子供に常盤が、「(こんな悲惨な時代を)生きていくためには愛する人が必要なの!」と逆ギレ(?)する場面がある。戦争で夫も財産も使用人も邸宅も、つまり成功の証をすべて失った彼女が、それでもたくましく生きる、感動的な宣言シーンというわけだ。

60点
ホントに怖い

携帯電話を題材にしたホラー映画。この手の和製ホラームービーが量産される中、『着信アリ』はそこそこ怖くて面白い一本だ。この流行の原点のひとつには『リング』という名作があるが、あれほどの意外性や完成度の高さはないものの、なかなかよくできている。

携帯の着メロ、電車、テレビ番組など、身近なものを上手に恐怖のネタとして使っており、特に若者にとってはとっつきやすい映画になっている。とにかく「観客を怖がらせる」という一点を突き詰めており、その明快さが好ましい。

主演の柴咲コウは、女を感じさせない美人であるが、そんなところが本作の雰囲気にはぴったりで好感が持てる。以前知り合いと「日本で一番の美人は誰か?」という話題で議論したことがあるが、私の推す仲間由紀恵と相手の推す柴咲コウで最後まで結論が出なかったことがある。

60点
あのロード・オブ・ザ・リング完結編を一部凌駕する迫力映像

タイムスリップ感動もの。SFならではのVFXたっぷりの見せ場が多い、大作感のある一品。印象深い伏線をきっちり張って、ラストで感動させるというタイプの物語は、万人受けするものといえる。

その終盤、泣かせるシーンが連続するが、その多くは「とっくにみんな気づいてたよ……」と言いたくなるほど伏線がわかりやすいので、むしろ客のほうが興ざめしないか心配になるくらいだ。その点、あまりスマートな映画ではない。ストーリーの骨格はよくできているのだから、なにもそんなオオゲサな演出をしなくてもいいのになあと、老婆心ながら思う。これみよがしにアピールしすぎで品がない。まあ、これがこの監督の味といえば味なのだが。ノーテンキなまでの家族愛賛美なので、そういうものを好む方には向くだろう。

サイエンスフィクションとして、タイムスリップに関しての科学的なアプローチをある程度の説得力をもって見せてくれるかと期待したが、それはなかった。極端に言えば、ド演歌風の泣きがあるだけの映画だ。

60点
マッチョ神父とドラキュラの対決の行方は……?

ドラキュラとの戦いを描くアクションホラームービーPART2。アメリカではすでに3作目も作られている人気シリーズだ。

新ヒーローとして出てくる神父がいるが、これがどう見ても神父に見えないところが笑える。あやしげな武器を持ち、逃げ惑うドラキュラたちの首を刈る。マンガチックな決めゼリフを持ち、なぜか上半身裸になったりする、マッチョ神父なのだ。

対するドラキュラの大将は、何しろ一回死んでいるのでまるで元気なし。でも、学生たちが用意してくれた血液お風呂に入ったとたん、お肌もスベスベ元気百倍。とはいえ今は、大学教授チームの研究対象として紫外線ライトをガンガンあてられている身なので、そう簡単には復活できない状況。さあ、急がないとマッチョ神父に首チョンパされちゃうぞ。どうするどうする……というお話。

60点
フランス製おばか映画

美人巨乳女優として定評のあるモニカ・ベルッチがクレオパトラに扮した、フランスのコメディ大作。シーザーの鼻をあかすため、わずか3ヶ月で豪華宮殿を造ると豪語した彼女の命令で、あわれ無理なミッションを押し付けられたエジプト人の建築家を中心に話は進行する。

砂漠に立てられた数々のセットや、膨大なエキストラ、CGの多用など、フランス映画にしてはかなりの製作費をかけた作品だが、スター女優の起用もあって、本国では無事に大ヒットを記録した。

中身はいわゆるおバカ映画で、CGの使い方も本当に馬鹿らしくて涙が出てくるほど。ギャグも、ウィットに富んだお洒落なジョークなんてものの対極にある、くだらないチープな笑いだ。無駄に豪華なセットとの対比が笑える。

60点
ファンを楽しませるという一念で作られた楽しい作品

高橋留美子原作のTVアニメの映画版。継続中のストーリーを邪魔しない上で、ファンをたっぷり楽しませるという目的の元に作られた映画である。

というわけで、犬夜叉の赤ちゃん時代のカワイイ姿や、その出生の秘密、ライバルの兄、殺生丸との対決やちょびっと生まれる友情(兄弟愛?)らしきものなど、たくさんの「萌え」要素にあふれた内容となっている。

そもそもこの作品自体、非常に狙い済ましたキャラクター設定を感じることのできる漫画である。主人公からして、「美少年+犬」である。女性の好きなものを組み合わせれば、そりゃ魅力も2乗、3乗というものだろう。

60点
亀有出身の私としては、無条件で支持したいシリーズ

日本最長寿クラスの連載マンガの、テレビアニメの映画版。われらが両さんが、今回は映画ということで、普段より大きなスケールのドタバタ騒ぎを巻き起こす。ハワイでアメリカンポリスのパトカー相手に大チェイスを繰り広げたかと思うと、日本ではUFOに乗り込んで東京を大破壊したりする。おおむね実在の建物や地名が出てくるので、土地鑑のある人にとっては格別(?)だ。

特に、亀有をよく知るものにとっては、中川大橋だの常磐線だのといったローカルなネタが出てきて大いに笑える。

まあ、何を隠そうこの私も浅草生まれの亀有育ちという、両さんと似たような経歴なので、このシリーズを応援する気持ちは非常に強い。なんと言っても彼は地元の星なのである。

60点
新薬アルバイトの実態とは?

新薬の投与実験アルバイト。都市伝説に近いこのアルバイトの話は、だれでも一度くらいは耳にしたことがあるだろう。この映画は、実際にそれを体験した事のある監督が、ドキュメントタッチで作ったホラーサスペンスである。

仲間同士でこのアルバイトに参加した映画好きが、隠しカメラでその一部始終を撮影、という設定である。だから、全編手持ちのデジタルカメラ撮影。臨場感のある作風となっている。

まあ、そのわりにはありえないカメラアングルが多々見られて興味をそぐが、これはもう、みなかったふりをするしかない。あまり細かいことを考えても仕方がない。そんなことより、題材の面白さだけで、ぐいぐいと引っ張っていく邦画というのは、いまどき貴重ではないか。個人的には、映画は監督名や役者ではなく、題材とストーリーで勝負してほしいと思っているので、私はこの作品を高く評価したい。

60点
暗いトコに入ると殺されます

「闇」を恐怖の題材にしたホラー映画。タイトルは、「また和風テイストの洋モノ恐怖映画?」と思わせるが、実際はそうではない。「恨み」がモンスター誕生の原因ではあるが、それは映画の冒頭でさらっと触れるだけ。何の伏線にもなっていない。『黒の怨』は、伝統的な化け物からのサバイバルホラーである。

ルールはただひとつ、「光の中は安全」。日が落ちてくるとトゥースフェアリーなる化け物がやってきて、主人公たちを襲う。彼らには、何か襲われる理由があったようだが忘れた。たぶん、見ているお客さんも誰も覚えていないだろう。

まずは、天井のダウンライトが壊れ、非常灯も徐々に光量が減って行く。懐中電灯の電池は弱り、最後はポキっと折ってボヤ〜ンと光るスティックライトだけとなる。画面から明るい部分が少なくなるたびに、お客さんの恐怖度がアップするというわけだ。ルールが単純なだけに迷いがなく、スッキリとしていてわかりやすい。「とにかく、俺たちの作ったびっくり箱を楽しんで帰ってくれよ」という、コンセプトの明確な作品である。全編70分(エンドロール除く)を、すべてビックリシーンに使っている。

60点
役者に個性があるし、すんなり物語にも入っていける

アメリカのニュー・ロスト・ジェネレーション作家、ブレット・イーストン・エリス原作による、『レス・ザン・ゼロ』『アメリカン・サイコ』の間にはいる、3部作のちょうどPART2にあたる映画。

『ルールズ・オブ・アトラクション』が、一番最後に映画化された理由は、この原作小説の構成が、いくつかの物語を同時進行させるという複雑なものだったためだそうだ。だから、これを映像化するにあたっては、演出面でも、ちょっと変わったアイデアが使われている。

時間軸を大胆に交互させるこのアイデアは、この映画の監督が『パルプ・フィクション』の脚本家であるときけば、なんとなく納得が行く。あちらも、時間軸を大胆に入れ替えた構成が有名な映画である。

60点
不人気な原作を選んだ事が成功の要因

日本を代表するといってもいい実力派推理作家、東野圭吾原作の、恋愛サスペンス。

……といっても、原作は決して恋愛ものではない。奇抜な構成のミステリで、結末一発逆転系の話である。それを今回の映画化にあたって、恋愛要素をメインにして構成しなおしたと言うわけである。

本来、こうした「原作を大きく変える」パターンは、失敗する事が多い。原作に思い入れのあるファンの反感を買いやすいし、熟考を重ねた完成度の高い小説を、安直に映画で変えれば、上手くいかないのは当然である。

60点
ライトなファンにとっては、不満の残る出来だろう

映画業界関係者にとっても『マトリックス』はひときわ特別な存在だ。なんたってマスコミ向けの試写会も一度しかやらないし、入口の荷物チェックは厳しいしで、見る前から「ああ、自分はこれからすごいモノを見るんだ」と、気分が盛りあがる。

もしかすると『マトリックス・リボリューションズ』の一番の魅力は、その部分かも知れない。つまり、「見るまでの間が、とってもワクワクする」という部分。というのも、おそらく『レボリューションズ』は、多くの方が「なんだよ、これでおわりかよ」と、不満を持つような内容だからだ。

知っての通り、『レボリューションズ』は、『マトリックス』『マトリックス・リローデッド』と続いてきた三部作の完結編。だから、最大の注目は、この壮大なストーリーにどう結末をつけるかという一点にあった。だが、『リローデッド』で話を広げすぎたためなのか、『レボリューションズ』で提示される結末は意外とわかりにくく、説明不足な感じがする。

60点
物語はよいが、演出がいまいち

動脈瘤で仕事を失った若い男が、依頼主を鹿児島まで連れて行くという運転手のバイトを引きうけるというロードムービー。

この依頼主のオジサンの目的がなんなのか、なぜクルマで向かうのか、なぜ鹿児島なのか、そのへんの謎が徐々に明かされていくと共に、大きな感動が観客を襲うというドラマである。

初の監督作品という事でか、ストーリーは◎、演出は×といった印象である。主演の二人(大沢たかお、柄本明)はどちらも演技派で、存在感のあるいい俳優だが、肝心なシーンでのセリフが赤面ものだったりなど、持ち味を演出の悪さに殺されている。

60点
充分楽しいティーン向けデート映画

アメリカで人気急上昇中の若手俳優二人を競演させたロマンティック・コメディ。

ハイスクールの放課後、ちょっとシャイな男の子が、あまり目立たないけど実は案外かわいい顔立ちの同級生の女の子を、思い切ってデートに誘ってみる、そんな時のための映画である。一言で言えば、ティーン向けデート映画という事だ。

ひょんな事で恋に落ち、スピード結婚した若いカップルが、ハプニング続きの新婚旅行でだんだん気まずくなってゆく。結婚の現実を思い知り、さあ二人はいったいどうなるか? ……という話である。

60点
信者以外が見てこそ最高に楽しめる一本だ

大川隆法率いる新興宗教団体、幸福の科学による長編アニメーション映画。中身は、ようするにこの団体の解釈による歴史を、タイムマシンで旅する少年少女の冒険に託して描くというものである。東映によって全国で公開されるので、何かの間違いで信者以外の子どもたちがこれを見て、これが本当の歴史だと勘違いしたら大変という作品である。

ただし、信者向けのPR映画だという1点をしっかり理解した上でみれば、こんなに面白い映画はそうそうない。何を考えて毎回この団体の映画を公開しているんだか知らないが、東映も実に面白い会社である。おかげで、こういう珍妙な映画を、我々一般人も見る事が出来る。

まず、宣伝文句が凄い。

60点
100年以上前の原作を上手く脚色した

カトリック教会を舞台にした禁断の恋を描く、スキャンダラスな恋愛ドラマ。本国のメキシコでは、大変な話題になり、オープニング記録を作ったほどの大ヒット。アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。

100年以上前の原作を、メキシコ一の人気作家が脚色した。ここで描かれる教会の不正行為などは、情報がOPENになっている今となっては大して珍しい事では無いが、それでも飽きずに上手く見せてくれる。

メインストーリーは、神父と少女の肉体的な(=宗教的に禁じられた)恋。聖職者という主人公の職業が、作品のテーマである人生の無常、エゴといったものをより鮮やかに浮きあがらせる。見る前はもっと地味かな、と思っていたが、案外退屈せずに見れた。

60点
海軍全面協力の本格的な映像がいい

韓国の海軍に実在する、海難救助部隊SSUを舞台にしたドラマ。オオゲサな音楽と演出、臆面もなく登場するお涙頂戴など、最近の韓国映画に多い、大衆向けのエンタテイメントに徹した作りの映画である。

タイトルから期待するような、軍事モノっぽいアクションは無く、中身はいかにも韓国映画らしいメロドラマだ。ただ、下手に政治色をいれず、SSU隊員の恋愛沙汰とアクションの2本柱に見せ場を絞り、万人向けでわかりやすくした点には好感が持てる。ターゲットとする客層がはっきりしており、潔い。

韓国には徴兵制があるから、こうした軍事ものを作ると、(軍人役の)役者の動きにリアリティがある映画になる。軍経験がある観客を相手にする以上、極端にインチキなものは作れないわけだ。とくに本作は、韓国海軍全面協力ということで、より本物っぽい雰囲気が画面から伝わってくる。

60点
原作コミックと、もとネタ小説のファン専用

19世紀の名作小説の主人公や、有名な登場人物たちが集まってチームを結成し、世界制服を企む大ボスと戦うという、ファンタジックなアドベンチャー。原作はアメコミである。

設定が設定だけに、誰向きの映画かが非常にハッキリしている。つまり、新作ガイドを書く身としては楽な映画といえる。『リーグ・オブ・レジェンド』は、原作のアメコミファンを除けば、登場人物全員に思い入れのある、各小説の熱烈なファン向けという、案外ニッチなマーケットへ向けた映画である。

そんなわけで、それぞれのキャラクターが活躍する、19世紀の各小説を1度も読んだことの無い方へは、私としては本作をあまりオススメしない。それは、ロボットアニメを1つも知らない人が、いきなりゲームの「スーパーロボット大戦」をプレイするようなもので、少々無謀だからだ。

60点
美男美女ぞろいのキャストが満足度を押し上げる

フランスのサスペンス・アクション映画。全編英語による、全世界向け作品という事もあって、比較的わかりやすい娯楽作品になっている。

戦争で少年を誤射したことがトラウマになっている元傭兵が、偶然出会った12歳の少女を殺し屋から守るというストーリーは、ちょいとどこかで見たような構図ではあるが、まあ、普通に面白い。

スナッフビデオ(本物の殺人場面を収めたビデオ)やユーロマフィアといった、興味深い題材を使ってはいるものの、それほど深く突っ込んで描くことはせず(そこまでの余裕はなかったか?)、平凡な出来なのが惜しい。

60点
『2LDK』の面白さが収穫

『あずみ』の北村監督と、『恋愛寫眞』の堤監督による、短編映画のコラボレート企画。60分という時間制限のなかで、堤監督が「女同士の対決」、北村監督が「男同士の対決」をテーマにした作品を作り、2本立てにして公開するというものである。

邦画界の誇る、個性的な二つの才能が、同じテーマで競い合う。なかなか面白い企画である。『2LDK』『荒神』というタイトルのそれぞれの作品は、なるほど各監督の個性がしっかりと濃縮された、(同じテーマにもかかわらず)対称的な映画になっている。

『荒神』は、北村監督らしい、荒唐無稽な雰囲気の、男くさい時代劇アクション。ギャグセンスの寒さも相変わらずだが、ワイヤーワークを駆使した動きで、若若しいセンスのチャンバラを見せる。

60点
言いたい事は1つだけ、「ボカシを入れないでくれ」

公式サイトのトップ写真がクンニシーンという事からわかる通り、直接的な表現手法を売りにしたドラマ。

少年3人と少女1人、そしてその父母達の日常をリアルに描いている。リアルとは言ってもロサンゼルスの話だから、平均的日本人が見たらビックリして飛びあがるくらいの過激さである。

自殺あり、犯罪あり、親子丼ぶり(?)あり、観客が「世も末だねぇ」と嘆くひまも無く、過激描写が次々繰り出される。そんなわけで『KEN PARK ケンパーク』は、日本以外ですんなり公開できた国は1つもない。

60点
陣内ファンなら楽しめる

タレントの陣内孝則がはじめてメガホンを取った自伝的作品。亡くなったバンド仲間に捧げられている。バンドで一旗あげようと悪戦苦闘する若者の姿を、勢い良く描く。

陣内監督のカラーが非常に強く出た映画である。下品ながらも明るい下ネタ、スラップスティックなギャグが連発されるあたり、ラジオやテレビで見られる、彼の個性そのものといった感じを受ける。まあ、なんと言ってもこれは自伝なのだから、それも当然なのだが。タレントとしての彼のファンならば、期待を裏切られる事なく、楽しんで見られる映画である事は間違いない。

逆に言えば、彼のファンで無い観客にとっては、あえて見に行くほどの何かがあるわけではない。『ロッカーズ』はまさに陣内孝則そのものであり、彼を受け入れられるかどうかが、本作を楽しめるかどうかの全てと言ってよい。

60点
リアリティには目をつぶって気軽に楽しむのがコツ

『トゥルーマンショー』や『ガタカ』など、風刺の効いた近未来ファンタジーを描かせると上手いアンドリュー・ニコル監督による、コメディドラマ。

CG製の女優に世間が騙されるという設定は、いくら技術が進んでもそう上手くはいかないとわかっているものの、なかなか面白い。主人公にアル・パチーノという演技派を持ってきたことで、アホらしくなりがちなこの物語を、強引にまとめているのは見事と言えよう。

『シモーヌ』は、CG女優役のレイチェル・ロバーツの名前をクレジットから外すなど、「もしやホントにCG?」と思わせる話題作りが空回りし、米国での成績が平凡に終わった。また、日本でも、諸般の事情で公開時期が前倒しになり、宣伝もろくに出来ないうちに(女性誌ではまだ、ろくに紹介さえされていないはずだ)公開するという憂き目にあった不運な作品だが、中身は決して悪くない。普通に見にいって、普通に楽しめる映画である。

60点
オチはイマイチだが、見所はたくさんある大人のサスペンス

エンターテイメントの巨匠、ブライアン・デ・パルマ監督(『ミッション・インポッシブル』)によるサスペンス。やたらと凝る特徴的なカメラワークは、スタイリッシュと評される。ちなみに音楽は坂本龍一。

品はいいが、イマイチ芸のないサスペンスである。『ファム・ファタール』は、パリの素晴らしい風景、この世のものとは思えないほど美しいプロポーションを持った女性たちに彩られ、監督の美的センスがいかんなく発揮されたゴージャスな映像美を持つが、サスペンスの最重要点であるオチが弱いのである。

見てもらえばわかるが、「これだけ話を進めておいてそのオチかよ」、と文句の1つも言いたくなる。しかも、そのネタには必然性というものがなく、単に驚かせるためだけの仕掛けなのである。これだと、どうしてもミステリとしての評価は下がる。

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