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60点
日本人、愛国心、国旗、国歌、そんなテーマを問い掛ける

熱い愛国者、森田健作が、長年温めつづけた企画を映画化。今の堕落した日本を嘆き、現代人に日本の本当の良さを再認識してもらうという、強いメッセージをこめた作品だ。

主人公の日系3世エミー(森本クリスティーナ)は、祖父の影響で大の日本びいき。高校卒業と同時に、彼女はついに憧れの日本に留学にやってきた。昔ながらの人情が残る下町の商店街で、八百屋を営む親戚(森田健作)の元に居候し、日本を見て回った彼女は、祖父から聞いた「礼儀と美の国」と現代日本、および日本人が、大きく異なっているのにショックを受ける。

冒頭20分間は、あまりに直接的でひねりのない、NHK教育テレビのような恥ずかしいドラマ演出にイタタな気分になるが、これに無理やり自分を慣らすことができれば、エミーが日本のヘンなとこに違和感を持っていくあたりから、なかなか面白くなってくる。

60点
普通に面白い子供アニメ

最大手ディズニーのライバル、ドリームワークス製作による、アメリカ製フルCGアニメーション映画。『シュレック』シリーズで知られるドリームワークスのアニメは、『シャーク・テイル』『マダガスカル』など、動物を主人公にしたものが多いが、本作もその例に漏れず、動物を擬人化した作品だ。

登場人物?は、とある森の動物たち。彼らは家族思いのカメ、ヴァーン(声:武田鉄矢、ギャリー・シャンドリング)を中心に、昔ながらの暮らしをはぐくんでいる。ところがある年、冬眠から目覚めてみると、森の周りは新興住宅地になっていた。エサ不足に悩む彼らの前に現れた、流れ者のアライグマ(声:役所広司・ブルース・ウィリス)は、自分と一緒に、うまい食べ物があふれる人間の家に忍び込み、盗めばいいと語る。危険を直感したヴァーンは反対するが、今まで食べたこともない美味なるスナック菓子をふるまうアライグマの口車に、ヴァーン以外の素朴な森の仲間たちは乗せられてしまう。

いま、人間の生活圏に野生動物が現れる問題が各地で起こっているが、その理由はこの映画のように、人間がとめどなく彼らのテリトリーを破壊し、侵しているためとされる。『森のリトル・ギャング』は、この問題を動物側の視点で描くことで人間社会を風刺し、同時にコメディとして成立させている。

60点
誤った歴史認識はどちらなのだろうか?

テポドンをはじめとするミサイル数発が北朝鮮から発射され、いま、東アジアの緊張は極度に高まっている。日本と朝鮮半島が抱える諸問題を中心に扱うドキュメンタリーとして、偶然にも、そんなタイミングで公開される映画が『あんにょん・サヨナラ』。日韓の市民が、共同で作り上げた作品だ。

内容は、先の戦争で、父親を亡くした李熙子(=イ・ヒジャ)さんという朝鮮人女性を追う形で展開する。彼女は、父親が自分の知らぬ間に靖国神社に祀られている事実を知り、ショックを受ける。そして分祀を求めて活動をはじめる。

この映画は、日本が韓国、北朝鮮、中国との間に抱えている歴史問題のほとんどを網羅した、盛りだくさんの内容になっている。靖国問題はもちろん、従軍慰安婦問題、南京大虐殺、強制連行などなど、歴史問題のフルコースといった趣きである。

60点
笑いと楽しさ満載の、なつかしゾンビホラー

『バタリアン4』なんていわれても、3作目からはもう13年も経っている。すっかり忘れていたところに、突然のシリーズ復活である。おまけに5もほぼ同時に作られ、あちらではすでに公開、大好評という。はてさて、これはどうした事だろうと思い、見に行ったところ、これがなかなか面白い。

廃棄されたはずの米軍の秘密化学兵器「トライオキシン5」が、チェルノブイリ原発の事故現場に隠されていた。やがて、ゾンビ兵士を開発して一儲けをたくらむ米企業がそれを入手、死者をよみがえらせる実験を繰り返す。主人公の高校生(ジョン・キーフ)は、バイク事故のあと行方不明になった友人が、この会社に運び込まれたことを突き止め、仲間とともに進入するが、すでに会社ビルの中はゾンビだらけであった。

この映画、チェルノブイリ原発ロケなどという快挙を成し遂げたにもかかわらず、情けないほどストーリーに生かせていないあたりが笑える。やはりB級ホラーたるもの、こういう無駄がなくてはならぬ。

60点
悪くはないが、ピクサー作品と同時期公開ではきつい

長編アニメーション映画『ブレイブ ストーリー』には、妙な悲壮感を感じてしまう。この作品の周りには、「とにかくヒットしたい、勝ちたい、負けられない、なんとしても、なんとしても!」という空気が漂っている気がするのだ。思うに制作会社のGONZOやフジテレビの頭の中には、常にディズニー&ピクサーや、ジブリ&日本テレビといった、業界の勝ち組たちの姿があったのではないか。

物語は、主人公の少年(声:松たか子)が、離婚のショックで倒れた母を救うため、願いをかなえてくれる女神さまを探すファンタジー。廃ビルの屋上にある扉を開くと、そこはまるで、剣と魔法のRPGの世界。彼はここで、ライバルの謎めいた同級生とすれ違いながら、女神さまを探すのだ。

ドラゴンボールよろしく、一つ一つキーとなるアイテムを集める過程で、彼は様々なモンスターや味方と出会い、成長する。女神に出会うころには、自身も気づかぬほど、少年は大人になっている。すなわち、誰もが受け入れねばならない、人生のある真実に気づくわけだ。それが感動を呼ぶ。

60点
予告編の反則度合いの高さも、十分楽しまねばならない

『君に捧げる初恋』には、なぜかのっけから男の尻ばかり出てくる。さらに、チン○だのなんだのといった下ネタや、やたらと殴る蹴る場面が続く品のなさに、何人かの観客は、観始めて30分もたつと早くも席を立ちたくなるであろう。韓国映画界のコメディスター、チャ・テヒョンと、『私の頭の中の消しゴム』で知られる清純派女優ソン・イェジンが共演した話題作にしては、意外なほど、つまらない出だしである。

しかし、である。できればもう少しがんばって、席に座っていてほしい。そこから数十分後にこの映画は大きく変貌を遂げ、韓国映画ファンを大喜びさせる王道の展開へと突き進んでいくからだ。

チャ・テヒョンが演じるのは、普段の優柔不断キャラとはちょっと違い、好きな女の子には頭が上がらないものの、思い込んだら一直線の、猪突猛進直情型の男の子だ。対するヒロインのソン・イェジンは、好きな男のためには水着姿で誘惑することもいとわない、これまでのおとなしい清純派とはかなり違ったコメディエンヌぶりを見せる。

60点
忠実なリメイクだが、オリジナルを上回る点なし

今週の作品はたいてい10日(土)公開であるが、この『オーメン』だけは6日(火)公開だ。なぜかといえば、この日が06年6月6日であるからにほかならない。そう、本作の公開日は、1000年に一度の6並びの日、なのである。『オーメン』を公開するなら、この日を置いてほかにない。

66年6月6日も6が並んでるじゃねえか、50年に1度だろ、という声もあるかもしれないが、6が3つだけ並ぶというのがこの映画のポイントだし、1000年期に1度だけと思えばありがたみも増すので、あまり深くは考えまい。

さて、ではなぜ6が並ぶとオーメンなのかといえば、この映画の主人公が、キリスト教の不吉な数字、「獣」をあらわす「666」の刻印を身に受けた「悪魔の子」であるからだ。6月6日6時に誕生したこの呪われた子供、ダミアンの周りで巻き起こる、不気味な事故、事件、現象のたぐいをショックシーン満載で描くのが、この恐怖映画「オーメン」である。

60点
いい線行っているが、終盤に失速

近年人気の若きミステリ作家、伊坂幸太郎の同名小説を映画化したもの。二転三転する終盤の展開と、日本離れした登場人物たちが魅力が娯楽映画だ。

ある銀行で、爆弾騒動が巻き起こる。ところが、そこに偶然居合わせた4人の男女はいとも簡単に騒動の真相を見抜いてしまう。彼らは互いの才能を認め、「俺たちが組んだら、もっと上手くやれる」と話を進め、やがて史上まれに見る鮮やかな手口の強盗犯罪チームとして、頭角をあらわしていく。

この4人の設定が面白い。他人の嘘を一発で見抜く男(大沢たかお)、秒単位まで正確な体内時計を持つ女(鈴木京香)、天才的なスリ(松田翔太)、そして、24時間でも話しつづけられるんではないかと思うほど演説達者な男(佐藤浩市)。最後の一人は、果たして特殊能力といえるのかどうかよくわからないが、ともかくこの4人が各自の才能を活かした銀行強盗を行うというのが、この映画のメインストーリーである。

60点
メリーさんは都市伝説ではなかった

90年代半ばあたりまでの時代、横浜界隈に出かけたことがあるならば、顔を真っ白に塗り、薄汚れたドレスに身を包み、荷物を持って歩いていた老婆を見た事のある人は少なくないはずだ。かくいう私も、何度か見かけたことがあり、「あの人は何なんだろう」と不思議に思っていた。

そのときの疑問が、まさかその後10年以上経ち、こうして映画批評家となり、都内の小さな試写室で一本の映画を観たときに氷解するとは、夢にも思わなかった。

じつは彼女こそ、ハマのメリーと呼ばれた伝説的な娼婦。映画『ヨコハマメリー』は、彼女の生きた昭和の時代を描くため、たくさんの証言者のインタビューで構成されたドキュメンタリーである。

60点
ファンタジー+ロマコメ?!

イギリスに、エマ・トンプソンという女優がいる。「ハワーズ・エンド」(93年)でアカデミー主演女優賞を、「いつか晴れた日に」(95年)では同じく脚色賞を受賞したという、才色兼備の人だ。

『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』は、クリスチアナ・ブランドによる原作童話『ふしぎなマチルダばあや』を気に入った彼女が、自ら脚本を書き、主演もして作り上げた感動的なファンタジードラマだ。またこの映画、製作スタジオが「ブリジットジョーンズの日記」や「ラブ・アクチュアリー」など、幸せいっぱいのロマコメを得意とするワーキングタイトルという点もポイントだ。

主人公は、7人の子供たちと彼らに振り回される父親(コリン・ファース)。子供らの母である妻を1年前に亡くした父は、次々と新しいナニー(乳母)を雇うが、常軌を逸した悪ガキぶりを発揮する子供たちのいたずらにより、全員がやめていってしまった。ところが、最後にやってきたナニー・マクフィー(エマ・トンプソン)は、不思議な魔法を使い、あっという間に子供たちを静めてしまう。

60点
姉萌え&自分視点を取り入れたエポックメーキング的アクション映画

ハリウッドではビデオゲームの映画化が大人気で、本作もその流れのひとつ。元となったゲーム、「Doom」シリーズ(映画版は3を原作としている)は、まだインターネットが普及する前から大人気の、パソコン用SFシューティングゲームだ。

ゲーム画面はプレイヤーの視点そのもので、敵を倒したりアイテムを探したりといった冒険を、臨場感を味わいながら楽しめるようになっている。このタイプのゲームは、今ではゲームセンターでも大人気だが、DOOMはそうした後発の作品にも大きな影響を与えたといわれている。米国ではあまりの人気に、ネットワークがパンク寸前になったり、宗教団体から残酷描写を非難されるなど社会問題にもなったほどだ。

さて、そのDOOMがいったいどんな映画になったかというと、これがまた実に見所たっぷりのバカ映画。まずはストーリーから紹介しよう。

60点
橋本真也、最後のファイトに号泣

プロレスラー力道山は、戦後の日本人にとってヒーローだった。彼は、アメリカ人レスラーを小さな体でなぎ倒し、街頭テレビで応援する日本人の観客に敗戦気分を忘れさせてくれた。彼が設立した団体、日本プロレスは、やがてアントニオ猪木の新日本プロレスとジャイアント馬場の全日本プロレスに分かれ、今もその戦いのDNAは受け継がれている。

そんな表の姿とは裏腹に、彼には様々な裏の顔があった。日本プロレスの役員の顔ぶれをみれば、昭和を代表する、名だたる裏社会の重鎮たちが顔をそろえているし、彼自身じつは朝鮮国籍をもつ朝鮮人であった。本作は、韓国映画界が渾身の力で送り出す、彼の伝記映画である。

映画は、国籍差別を受けていた力士時代から栄光のプロレスラー時代、そして有名な悲劇的最期まで、順に描いていく。力道山を演じるのは韓国俳優ソル・ギョング。『オアシス』で脳性麻痺のヒロインを愛する主人公を演じた本物の演技派だ。

60点
社会派映画ではなく歴史映画

冷戦終了後、最大の敵国を失ったアメリカの中央情報局(CIA)は、自らのアイデンティティーをも失いつつあった。衛星等からのシギント(電子情報)に頼り、ヒューミント(人的情報)を軽視、同時に中央政府との駆け引きのうまい官僚的な人間たちに牛耳られていったこの諜報機関は、9.11米国本土テロを許すほどに、没落していったのだという。

かつてこの組織のエース諜報員として、中東で命がけの任務に就いていたロバート・ベアが、自らの著書『CIAは何をしていた?』で明かす上記のような事実は、全米に衝撃を与えた。その著書をもとに、米国と中東産油国をめぐる、報道の表に出ない泥沼の関係、国際社会にひしめく陰謀を暴くのが、映画『シリアナ』。ハリウッドのリベラル映画俳優たちが、こぞって出演を希望した話題作だ。

ストーリーは非常に複雑で、ボーっとしているとあっという間においていかれる。何人かの機軸となる人物たちがいて、それぞれの物語が並行して進む。

60点
出し惜しみなしで『トップガン』以上の映像を

『トップガン』をはじめとするスカイアクションムービーは、航空マニアならずとも根強い人気がある。なかでも、一切の無駄を排した戦闘機のデザインは、兵器ならではの機能美があり、それが画面を飛び回る映像を見られるとなれば、誰しも興味を引かれるものだろう。

『ナイト・オブ・ザ・スカイ』は、フランス映画界が気合を入れて作った、本格戦闘機アクション映画。ハリウッド映画でしょっちゅう見かける、F-16、F/A-18、F-111といった米軍機でも、悪役として登場するロシア製のそれでもなく、フランス空軍の主力戦闘機ミラージュ2000が大活躍する。

物語は、英国の航空ショーから始まる。各国の戦闘機が並ぶ絢爛な会場から、仏空軍のミラージュ2000が盗まれる。迅速な調査の結果、飛行中の該当機を発見。空軍の戦闘機が即追尾し、やがて撃墜するが、撃墜した主人公パイロット(ブノワ・マジメル)は、なぜか軍から理不尽な処分を受けてしまう。

60点
観るなら海老名か幕張で

『SIREN』というプレステ2のゲームソフトがある。ホラーゲーム史上、屈指の難度と恐怖度を誇る人気作品だ。本日、その期待の続編がいよいよ発売されたわけだが、その『SIREN2』の基本設定を使って作られた映画版がこの『サイレン』だ。ゲームの特徴でもある「他者の視点をジャックする」演出を盛り込み、サウンドデザインに力を入れた「サウンド・サイコ・スリラー」との触れ込みで、若者向けに公開される。

29年前、なぞめいたサイレン音をきっかけに、島民のほぼ全員が消失する事件がおきた。その舞台、夜美島に、病気療養のため主人公一家がやってくる。不気味なものを見るかのごとく、容赦ない視線をあびせる島民たちに戸惑いながらも、娘(市川由衣)は慣れない島での生活をはじめるのだった。

やがて彼女は隣人から、「サイレンが鳴ったら決して外に出てはならない」と忠告を受ける。そして、偶然発見した手記(29年前の事件の唯一の生存者が書き残したものらしい)の最後のページには、「3度目のサイレンで島民に変化……」と書いてあった。えも知れぬ恐怖を感じる中、朽ち果てた鉄塔から最初のサイレンが鳴り響く……。

60点
チャン・ドンゴンの扱いが気の毒

『プロミス』は、中国映画界の大物監督チェン・カイコー(『さらば、わが愛/覇王別姫』ほか)による、ファンタジーアクション大作だ。注目はそのキャスティングで、トリプル主演として日本の真田広之、韓国人気スターのチャン・ドンゴン、香港のセシリア・チャンと、東アジア各国の人気者、それも比較的国際的に名の通った人物を集めている。

物語の舞台は古き時代、アジアのどこか。戦場に倒れた死体から食料をあさる少女の前に、女神が現れる。決して真実の愛を得られぬ代わりに、不自由なく生きられるとの契約を交わした少女は、やがて美しく成長する。そして、自分を救ってくれた大将軍(真田)の寵愛を受け、幸せに暮らすかと思われたが、実は彼女を救ったのは、俊足を誇る大将軍の奴隷(チャン・ドンゴン)であった。致命的な誤解をはらんだまま、やがて3人の関係に破滅の予感が迫りくる。

韓流、華流の大スター夢の競演、との宣伝文句に素直に喜ぶか、日韓代表の男2人が中国系(厳密には香港だが)の女にメロメロになって屈服する話(冊封復活願望?)と見るかは人それぞれだが、いずれにせよ意味深な映画だ。映画自体は力の入った娯楽大作で、架空の世界を舞台にしたファンタジーながら、中国人民解放軍も撮影に協力した数々のスペクタクル映像が見所だ。

60点
一種のファンタジーと割り切って楽しむべき

中国一の人気監督チャン・イーモウ(「HERO」ほか)が、小さいころから憧れていた俳優、高倉健を主演に迎えた念願の作品。それが『単騎、千里を走る。』だ。かつて中国で海外の映画が解禁されたとき、真っ先に高倉健の主演映画が公開され、大ヒットしたことから、中国における高倉健の知名度は抜群に高い。その当時は、チャン・イーモウと同様、彼に魅了された中国人映画ファンが多数いたのだ。

その高倉健演じる父は、病床の息子がやり残した仕事を完遂するべく、中国大陸に発つ。実は、息子とは長年の確執があり、対面もままならない状態で、その罪滅ぼしの気持ちも彼の中にあったのだ。とはいえ、中国語がわからず、道も一切わからない状態では、最初の人探しすらままならない。ところが、主人公の息子への愛情に感動した現地の中国人たちは、彼に無償の協力を申し出てくれた。

一言でいうと、日中友好親善ドラマである。登場人物は、それぞれの国民性の"長所"のみを備えたステレオタイプで、たとえば中国人キャラクターはおしなべて素朴な人柄で、おおらかで親切、そして陽気だ。対する日本人(の代表たる高倉健)は、寡黙で誠実、義理人情の筋を通すタイプ。映画は両者の良いところを、これでもかというほどストレートに描写し、過剰なまでの親切の交換を行い、一切のいざこざもなく大団円という話だ。

60点
アレン最後のニューヨーク映画?

ウディ・アレンという映画作家は、自らの愛するニューヨークを舞台にした映画を撮る事で知られているが、本作を最後に活動の場をイギリス、ロンドンに移したという。ということで、下手をすると彼の最後のニューヨーク作品になるかもしれないのがこの『僕のニューヨークライフ』、彼自身で脚本も書いたロマンティックコメディだ。今回アレンは出演はするが脇役で、主演はジェイソン・ビッグス&クリスティーナ・リッチの若いカップル。

主人公の若きコメディ作家(J・ビッグス)は、同棲中のガールフレンド(C・リッチ)が、最近セックスに応じてくれず悩んでいる。おまけに彼女の母親は、二人のアパートに突然やってきて、居候をはじめる始末。また、長年の付き合いがあるエージェント(ダニー・デビート)は、ろくな仕事をもってこないくせに、契約更新を迫ってくる。行き詰まった彼は、先輩作家(W・アレン)に悩みを相談するが、ひときわエキセントリックな人物である彼からのアドバイスは、力強くも極端なものばかりで、頼りになるんだかならないんだかわからない。

他人に相談してばかりでなんにも解決できない優柔不断な若者が、アレンやクリスティーナ演じる、わがままで神経症気味で人騒がせな周りの人々に振り回されながら、人生について徐々に悟るというお話。たくさんの台詞と軽快なユーモアで展開する、アレンワールドはいつものとおり。ファンの期待に応える、おしゃれな雰囲気のコメディだ。

60点
マサイ族の人々自らが、全編マサイ語で演じた劇映画

同じ週公開の『天空の草原のナンサ』がモンゴルを舞台にした癒し系ムービーなら、アフリカを舞台にするそれが『MASAI マサイ』だ。

長い干ばつに襲われたマサイ族の村。雨を降らせるためには、伝説の獅子ヴィチュアを狩り、そのたてがみを神にささげるしかない。そこで長老は村から9人の戦士を選んだ。戦士たちはまだ、幼さすら残るほど若かったが、勇敢にも命がけの旅に出るのだった。

マサイとは、アフリカ、ケニア南部に住む部族。伝統を重んじ、文明社会からもっとも遠いところで暮らす誇り高い民だ。そんな彼らを役者にして、劇映画を撮るという、とんでもないプロジェクトがこの『MASAI マサイ』。構想12年、のべ撮影時間2000時間という力作だ。

60点
"日本"ではなく、和風のファンタジー映画

アーサー・ゴールデンの原作小説『さゆり』は、作者が日本の花柳界を10年以上の歳月をかけて取材、考証して書いた作品だ。主人公の芸者さゆりの一生を、詳細なタッチでドラマチックに描いている。

これを、「読んだ瞬間、映画化を決意した」スティーヴン・スピルバーグが製作、ロブ・マーシャル(『シカゴ』)が監督して映画化したものが『SAYURI』だ。

主人公の少女、千代(大後寿々花)は、姉とともに9歳で置屋(芸者たちが住み込みで所属する、プロダクションみたいなものだ)に売られる。そこで、人気ナンバー1芸者ながら意地悪な初桃(コン・リー)のひどいイジメに耐える千代は、ある日、街中で"会長"と呼ばれる紳士(渡辺謙)と出会う。その優しさに一目ぼれした千代は、再び会長に会いたい一心で、つらい芸者修行に挑むのだった。

60点
傑作になる可能性が感じられただけに、詰めの甘さが惜しい

日本という国は、世界でもっとも停電が起こらない国のひとつであろう。それは電力関連会社および、保守担当の人たちの仕事のクォリティの高さによるものと見て間違いはない。

しかしそんな日本で、しかも首都東京で、復旧のめどの立たない大規模な停電がおきたらどうなるか? そしてそれがクリスマスイブの夜に起こったら? ロウソクの明かりに薄暗く照らされた町の中で、人々はどんな思いで過ごすのだろう。

そんな設定を、ロマンティックな群像劇に仕立てたのが『大停電の夜に』。132分間の長尺の中で、12人の登場人物の"ちょっといい話"が繰り広げられる。

60点
オチはまあまあだが、そこに至るまでが退屈

アンディ・ラウ、エディソン・チャンら香港の新旧スターが競演した男くさいギャング映画。

しがないチンピラの若者(ショーン・ユー)とその親友(エディソン・チャン)は、暗殺実行者選びのためのくじ引きが今夜行われることを知る。組織で成り上がるため、なんとか当選を果たしたい二人はその会場に駆けつける。

一方、暗殺計画の存在を知った黒社会の大ボス(アンディ・ラウ)は、妻に子供が生まれたばかり。幸せをつかんだボスの今後を心配する組織のナンバー2(ジャッキー・チュン)は、長年の友情から、彼に引退を勧める。

60点
映画にうるさくない女性たちにすすめたい

『黄泉がえり』の塩田明彦監督が、同じく梶尾真治原作の『クロノス・ジョウンターの伝説』の中の『鈴谷樹里の軌跡』をもとに長編映画にしたもの。伊藤英明、ミムラ、宮藤官九郎らが出演。

2006年、主人公の会社員(伊藤英明)は、ふるさとの北九州、門司を訪れる。かつて暮らしていた場所をふと訪れると、不思議なことにそこには20年前の少年時代の自分がいた。どうやら東京からここまで来る航空機ごと、タイムスリップしてしまったらしい。彼は、事情を知るためその便の同乗者にコンタクトを取るとともに、忘れられない思い出の人"和美姉ちゃん"(ミムラ)を探しにいく。難病で若くしてこの世を去った彼女を、もしかしたら救えるのではないかと彼は考えていたのだ。

一言でいえば、お涙頂戴ファンタジードラマである。『黄泉がえり』の大ヒットに味を占めたえらい人たちが、ある種のマーケティング戦略の元に企画した類似映画といって良いだろう。ただ、二番、三番煎じだけあってタイトルも中身も少々甘いのは否めない。ただし、あまり映画にうるさくない、素人のお客さんを泣かせるには十分だ。

60点
見る人をかなり選ぶが、この個性は捨てがたい

「ロボコップ」シリーズの2、3や「デアデビル」「エレクトラ」といった作品の原案などで知られるフランク・ミラーの原作コミックを、本人がロバート・ロドリゲスと共同で監督したもの。しかも、劇中のあるシークエンスは特別監督としてクエンティン・タランティーノがギャラ1ドル(自称)で引き受けた。

この映画は、全編モノクロに部分着色した映像で、原作漫画のタッチと同じく、非常にコントラストの強い、独特な美的感覚のもとに作られている。原作ファンにいわせると、コマ割りまでもかなり忠実に再現した映画化になっているという。

物語は、大きく3つのパートに分かれたオムニバス形式で、それぞれにハードボイルドな主人公がいて、すべて「大切な女」のために、「巨悪」に戦いを挑むという構成になっている。3つのストーリーはある一点において交錯するが、それぞれの物語を視点が行き来することはなく、おのおの独立した短編として楽しむ形になっている。

60点
日本人のはずなのに全員吹き替え?!

「週刊ヤングマガジン」に連載中のしげの秀一の同名人気コミックを、『インファナル・アフェア』で知られる香港のスタッフ・キャスト陣で実写映画化した異色作。

豆腐屋を営む父(アンソニー・ウォン)と暮らす主人公の高校生、藤原拓海(ジェイ・チョウ)。彼は長年の豆腐配達と元最強の走り屋である父親のチューンしたハチロク(トヨタ・レビン/トレノAE86型)のおかげで、地元・秋名山の峠道において、郡を抜く実力を身につけていた。とはいえ彼は、巷の走り屋連中と一切関わりがなかったために無名であった。ところがある日、彼はクラスメートの女の子(鈴木杏)とのデートに使う車を借りるため、父親から命令されてやむなく出た峠道レースで、強豪をあっさり破ってしまい、一気にその名を轟かせることになる。

いやはや、ヘンな映画である。日本のコミックを、原作どおり群馬県を舞台に、日本人の登場

60点
デートムービーに最適な現代風忍者アクション

独自の世界観で忍者を描いた山田風太郎の「甲賀忍法帖」をもとに、最新のVFX満載で実写映画化したもの。

ときは徳川家康が天下を統一した後の1614年。伊賀と甲賀の二大忍者勢力は、互いの交流を断ち、争うことも禁じられていた。ところが両陣営の跡取りである朧(仲間由紀恵)と弦之介(オダギリジョー)は、それぞれの身分を知らぬまま偶然に出会い、恋に落ちる。さらに、家康からの非情な命令「両陣営から精鋭5名ずつが戦い、勝者により次期将軍が決せられる」が下され、二人はその、互いの存亡を賭けた殺し合いに参加を余儀なくされてしまう。

ストーリーはやや子供向けだが、映像はなかなか本格的。ハリウッドというよりは「HERO」「LOVERS」あたりの、ワイヤーワークを多用したアジアのアクション大作の影響を大きく受けたと思われる雰囲気になっている。オリジナリティがないのは大問題だが、CGもセットも良く出来ているため、安っぽさはない。

60点
演出がダメすぎだが、役者たちはよくがんばった

あまりにも有名なあだち充の青春コミックをはじめて実写映画化したもの。主演は東宝のイチオシ若手映画女優長澤まさみ、共演は斉藤祥太・慶太の双子兄弟。

双子の兄弟、上杉達也と和也、そして隣にすむ幼馴染の浅倉南(長澤まさみ)、3人は生まれたときから仲良しで、いつも一緒だった。やがて彼らは同じ高校に進み、スポーツ万能の弟和也は、南を甲子園に連れて行くという約束を果たすため、野球部のエースとして活躍していた。そして期待された地区予選の決勝戦、なぜか和也が試合会場に現れぬまま、試合は進んでいった。

単刀直入にいおう。映画『タッチ』は演出が悪い。映画に多少なりとも詳しく、原作に思い入れのある観客がみたら、目を覆わんばかりのなさけない出来である。いや、人によっては腹が立つことさえあるだろう。大ヒットコミックを映画化したという点で共通する先週の『NANA』の場合は、スタッフや監督が原作を心から尊敬し、尊重したつくりになっていたことが見ていてよくわかったが、『タッチ』はその逆である。原作の面白さ、魅力を十分に理解していない監督とスタッフが、流行にこびてチョチョイと作った“お手軽映画”である。

60点
リンジーのアイドル映画としては一級品

アメリカのアイドル、リンジー・ローハン(リンゼイ・ローハン)を主演にしたアイドル映画。69年の『ラブ・バッグ』以来、いくつか作られたディズニー映画のなかに登場する“意思をもつ車”ハービーが久しぶりに登場するシリーズの最新作でもある。撮影には、初期シリーズで実際にハービー役を演じた車両も参加したというから驚きだ。そして車ファンなら、何よりモデルとなったフォルクスワーゲンTYPE-1(ビートル)という車種のもつ魅力の普遍性にまずは感動だ。

主人公の少女(L・ローハン)は、父や兄のようにレーサーを夢見ていたが、数年前の事故以来、父からレースを禁じられていた。やがて彼女は大学を卒業し、そのお祝いに古いフォルクスワーゲンのレースカーを買ってもらうが、その不思議な車は意思があるかのごとく、彼女を乗せて勝手に走り出すのだった。

まあ、実際にこの車ハービーには人格?があり、しゃべりはしないもののとても可愛らしい活躍をするわけである。キュートな旧型ビートルでありながら、最新のレースカーにも負けない足の速さ、片輪走行だってお手の物。そんなハービーとヒロインとの友情を楽しくコメディとして描くという、ファンタジックなクルマ映画だ。

60点
クロマティ選手が怒り狂うほどのバカらしさがお見事

週刊少年マガジンで連載中の野中英次の人気ギャグ漫画を、『地獄甲子園』などおバカ映画作りに定評のある山口雄大監督が実写映画化したもの。

誰よりも真面目な少年神山高志(須賀貴匡)は、中学時代のカツアゲの危機を救ってくれた山本(坂口拓)に憧れ、彼と同じ都立クロマティ高校に入学した。だがそこは、高校生、いや人間とは思えない連中の巣窟であった。

山口監督らしい、ぶっとんだお馬鹿映画だ。今回はVFXも多用して、ふざけた笑いを連発する。とくに前半はコミック版の雰囲気をうまく生かしたギャグの切れがよく、原作ファンなら腹が痛くなるほどの爆笑を実現している。

60点
バランスのいいアドベンチャーと友情ドラマ

世界的な人気TVアニメ『ポケットモンスター』夏恒例の劇場版。

毎度おなじみ、相変らず旅を続けているサトシとピカチュウご一行様は、「波導伝説」で有名な町にやってくる。町はちょうど波導の勇者アーロンをたたえるお祭りの真っ最中で、サトシは見事ポケモンバトルでその年の“波導の勇者”に選ばれる。ところが突如現れた幻のポケモン、ミュウに、ピカチュウを連れ去られてしまう。

やがて困り果てたサトシの前に、数百年前の封印から解かれた、波導のポケモン“ルカリオ”が現れる。サトシは彼と協力し、その特殊能力を使ってピカチュウを探すことになるというお話。

60点
突込みどころ満載で笑えるホラー映画

韓国製怨霊系ホラー映画。

森の奥深くの怪しげな洋館に5人の男女が招待される。彼らはその館の主が作る人形モデルとして選ばれた者たちだった。等身大から小さいものまで、無数の人形たちに飾られた異様な館に驚きながらも興味津々だった彼らの前に、やがて最初の惨劇が起きる。

人形の怨念を描いた韓国のお気楽ホラー映画だ。これを見ると人形を軽々しく捨てられなくなるというオマケつき。

60点
マニアックさが抜けて、薄味のバディムービーになった

超一流のスナイパーの活躍を描くシリーズ第三弾。

米陸軍きっての狙撃手ベケット(トム・ベレンジャー)に、かつてのベトナムの戦友を抹殺せよとの指令が下る。彼はベトナムで悪事の限りを尽くし、テロリストの養成まで行っているという。他人の手に下るよりはと命令を受けたベケットは、現地の若手刑事でありNSA(米国家安全保障局)の局員でもある男(バイロン・マン)と協力し、調査をはじめる。

このシリーズは、銃声の方向やタイミング、リロードや狙撃銃調整の細かいやり方など、異様にマニアックなディテールにこだわったファン垂涎のスナイパー映画だ。今回も、のっけから50口径アンチマテリアル・ライフルの代表格、バレットM82A1や、アキュラシー・インターナショナル社の最新狙撃システム(銃のみならずスコープやらなにやらを含め、狙撃システムと呼ぶ)、AE Sniper Rifle L96が画面に登場する。(私はそれほど銃に詳しくないので確認ミスの可能性アリ)

60点
ディープな世界を垣間見る面白さはあるが

青木雄二の有名漫画『ナニワ金融道』を映画化。キャストもSMAPの中居正弘主演のテレビドラマから一新、主人公の灰原役を「ウルトラマンコスモス」で地球を守るヒーローを演じた杉浦太陽が演じている。

勤めていた都内の会社が倒産し、大阪に出てきた主人公(杉浦)。そこで出会った女の子(鈴木紗理奈)らと親しくするうちに、彼はいつのまにか怪しげな街金“帝国金融”で働くハメになる。

トーンを使わない独特な絵柄とディープな社会の裏側を描いたことが話題を呼び、この原作は大ヒットした。テレビドラマやビデオ化もされていたが、今回若々しい杉浦太陽を主演に、いよいよ映画化である。

60点
ありがちなキャラによるありがちな話なれど、それなりに見られるのはウォンビンの演技のおかげ?!

永遠の弟こと韓国のイケメンスター、ウォンビン主演の兄弟愛ドラマ。

女手ひとつで育てられた兄(シン・ハギュン)と弟(ウォンビン)は、おとなしい優等生の兄、ケンカっ早い不良の弟と、正反対の性格に育った。二人とも性根は家族思いのやさしい男なのだが、どうしても二人はそりがあわないのだった。

この二人と母親の物語を、時系列に追っていくベーシックな家族ドラマだ。ひ弱な兄をバカにしながらも、ケンカとなったら命がけで守るように戦う弟。そんな学生時代から、家の家計を救うために弟が危ない仕事をはじめるようになるまで、興味深いエピソードの数々でみせていく。二人が同じ女の子を好きになったり、ときには自分にない相手の性格に嫉妬したりと、まあよくあるものなのだが、結構楽しく見られる。

60点
若返り餃子の中身が気持ち悪い

韓国、香港、日本から一人ずつの映画監督が、それぞれ中篇映画を持ち寄って並べたオムニバス作品。日本篇は三池崇史、韓国篇がパク・チャヌク、香港篇はフルーツ・チャンといった、それぞれ個性派とされる各監督の競演となっている。ジャンルはどれもダークファンタジーとでもいうような、ちょいと不気味な物語だ。

日本篇の主演は長谷川京子。いまだに原稿を手書きするという謎の美人作家の役で、彼女は担当編集者の好意に対してもまったく心開く様子がない。じつは彼女にはかつて双子の姉がおり、その事故死に関して血塗られた秘密があった……という話。

三池監督のこの作品はかなり実験的な一本で、娯楽色の強い他の2本とはかなり違った印象。「静」なる映像を作りたかったという監督の言葉どおり、静かではりつめるような空気感を演出できているが、お話としては一番退屈で面白みがない。

60点
マッチョ好き、アクション好きを楽しませてくれる

アクション俳優ウェズリー・スナイプス最大のはまり役といわれるダークヒーロー、ブレイドの活躍を描いたアクション映画の第三弾。

人間とヴァンパイアの血を引くめっぽう強い男ブレイドは、今日も元気に吸血鬼退治に精を出していた。ところがどっこいそれは敵の罠で、彼は殺人犯としてFBIに逮捕される羽目に。しかしそれを機に人間のヴァンパイアハンター組織と知り合った彼は、彼らから恐るべき事実を聞かされる。

さて、今回ブレイドが戦うことになる相手は、全ヴァンパイアの始祖、ドラキュラである。相変わらずのスタイリッシュなアクションは健在。多カットでスピーディに演出される。銃を持っているのにパンチを出したり、妙な刀で切りつけるあたりの「見た目至上主義」も微笑ましい。それをやっちゃあおしまいよ、とばかりに、敵も飛び道具は極力使わない。

60点
ゲイや教会のタブーを題材に描いたラブストーリー

スペインの人気監督ペドロ・アルモドバル(『トーク・トゥ・ハー』など)の最新作。同性愛を題材に扱った、監督自身の半自伝的ドラマだ。

主人公は若くして成功した映画監督(フェレ・マルティネス)。彼のもとに、かつての親友(ガエル・ガルシア・ベルナル)を名乗る男が脚本を持ってくる。その変貌ぶりを最初はいかがわしく思う主人公だったが、やがて二人の少年時代を描いた脚本の魅力に取り付かれてゆく。

二人の少年時代に起きた、聖職者の絡んだ性的虐待や禁じられた恋(同性愛)のエピソードを、劇中映画の製作という形で追いながら、その脚本を書いた親友の真意と、自らの出演にこだわる意外な真相を最後に明らかにする。

60点
男性の理想、女性の理想、そのギャップがコメディになる

アイラ・レヴィン(「ローズマリーの赤ちゃん」)の原作を、1975年に映画化(日本未公開)したもののリメイク。現代にあわせた内容にすべく、ストーリーに大きなアレンジが加えられている。

ある不祥事でクビになったショックから立ち直れないテレビプロデューサー(ニコール・キッドマン)。彼女を癒すため、夫は理想的な町ステップフォードへ引越しを決意する。そこでは女性たちはすべて貞操な妻であり、男性たちは一家の主として威厳を保っている。夫はすぐに町のコミュニティに溶け込むが、不自然なまでに理想化された町の姿に、彼女は違和感を感じはじめる。

この作品は夫婦の理想的なあり方というものを皮肉ったブラックコメディであり、意外な結末をもつスリラーでもある。異常としか思えない犯人が登場するが、その理屈になんとなく納得してしまう自分自身に対し、思わずぞっとする恐怖を味わえる。

60点
痛すぎる残酷描写は特筆もの

『JSA』『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督による、韓国初の“ハードボイルド映画”と銘打たれたクライム・ドラマ。これと『オールド・ボーイ』と現在製作中の新作をあわせて、“復讐三部作”と呼ぶ。もちろん、テーマが同じだけで内容につながりはない。

聴覚障害を持つ主人公(シン・ハギュン)は、闘病中の姉のために腎臓移植を申し出るが不適合だった。やむなく彼はヤミ医者に頼み、自らの腎臓と引き換えに適合腎臓を譲り受けることにした。ところが摘出手術が終わり目覚めてみると、命銭の退職金と腎臓を盗まれ逃亡されていた。絶望した彼は、極左活動家の恋人(ぺ・ドゥナ)にそそのかされ、金持ちの子供の誘拐を実行する。

主人公を含め、主要3人ともマヌケそのものの行動をとる。「キミたちはただ映画を面白くしたいんだね」と突っ込みたくなるようなお馬鹿な動きをするので笑える。彼らの行動原理にリアリティはない。

60点
一人だけ歌の下手っぴな人が混じっている

作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの最高傑作といわれるミュージカルを、彼自身が製作・作曲・脚本した映画化作品。

1919年のパリ。かつては栄華を誇ったオペラ座も今や廃墟同然。わずかに残った備品や装飾品のオークションが開催されている。やがてそこに、かつての惨劇の象徴たる豪華なシャンデリアが出品される。

シャンデリアの覆いが取り除かれると、物語は1870年当時のシーンに移行する。この場面はCGを駆使した映画らしいダイナミックな演出で、廃墟のオペラ座が一気にゴージャスな全盛期に戻る様子は圧巻だ。このシーンをはじめ、何度もかかるアンドリュー・ロイド=ウェバーの主題曲(最新アレンジ版)もノリがいい。

60点
原作絵本を見事に膨らませた

クリス・ヴァン・オールズバーグ(『ジュマンジ』原作など)の名作絵本『急行「北極号」』を3Dアニメーションで映画化。主人公の少年をはじめ、主要なキャラクター5役をオスカー俳優のトム・ハンクスが演じている(器用ですなぁ)。私が見たのは字幕版だが、日本語吹き替え版では唐沢寿明が同じ役を演じるそうだ。

イブの夜、クリスマスとサンタクロースに疑いを持ち始めた年頃の主人公少年(声:T・ハンクス)の家の前に巨大な蒸気機関車が現れる。行き先は北極点だと告げる車掌(声:T・ハンクス)に誘われ少年が汽車に乗り込むと、そこにはたくさんの子供たちが乗っていた。

映画が始まると、きっとほとんどの方は「何だこりゃ、こんなにリアルならアニメである必要なんてあるのか?」と仰天するだろう。いわゆるモーションキャプチャー(俳優の顔や体に多数のマーカーをつけてその動きをコンピュータ上に取り込み、CG化して着色する)で作られたこのアニメ映画のキャラクターは、アニメといいながらもまるで実写のようななめらかに動く。

60点
韓国人はリアリティという言葉を知らんのか?

韓国エンタテイメントの大ヒット作『シュリ』で脚本を担当した監督の初長編作品。地下鉄を舞台にしたスーパーアクション娯楽作だ。

空港での銃撃事件で刑事チャン(キム・ソックン)は、テロリストのリーダーが元国家機密諜報員のギテクだと視認する。チャンは、かつて彼に恋人を殺されたという過去があった。やがてギテクは地下鉄ハイジャック事件を起こし、チャンも現場に駆けつける。二人の因縁の対決が始まった。

どこからどうみても“やりすぎ”な韓国エンタテイメントがまたひとつ誕生した。イマドキこんなばかげたアクション映画は、この国以外では作れまい。そんな『TUBE』最大の特徴は、それぞれのアクションシーンに、リアリティがまったく存在しないという点だろう。

60点
大スターのゲスト出演もあるアドベンチャー

SF作家ジュール・ヴェルヌの「80日間世界一周」の映画化作品。数々の大スターをゲスト的に出演させる豪華なつくりは56年の映画『80日間世界一周』と同じ。だが、原作を多少アレンジした設定、内容になっている。

舞台は19世紀のロンドン、まだ飛行機もない時代。発明家のフォッグ(スティーブ・クーガン)は、王立アカデミーにおいて仲の悪い科学大臣と言い争い、思わず「80日間もあれば世界一周できる」と口走ってしまう。やがて彼は使用人(ジャッキー・チェン)を引きつれ、自らの進退を賭けて挑戦する羽目になるが……。

120億円をつぎ込んで作られた、全世代向けのアドベンチャー大作だ。物語はよく知られた原作をもとにテンポよくアレンジされたもので、カップルからファミリーまで安心して楽しめるというもの。

60点
竹内結子ファン製造映画

市川拓司の同名ベストセラーの映画化。原作は口コミを中心に30万部突破というロングランヒット中であり、そんな背景からこの映画も『世界の中心で、愛をさけぶ』の再来などといわれている。(別名二番煎じ)

主人公は愛する妻(竹内結子)に先立たれ、小学生の息子と二人で暮らしている父親(中村獅童)。彼は障害を持っているため家事が満足にできないが、理解ある息子と支えあって生きていた。そんなある日、息子の遊び場である廃屋に死んだはずの妻が一切の記憶を失って現れる。

妻が生前息子に残した絵本には、「私は雨の季節に現れ、雨の季節の終わりとともに去るの」と書いてある。彼女は梅雨の季節の間だけ、二人の前に戻ってきたのだ。この「奇跡」について、ストーリー上しっかりとした理由付けがしてあり、映画的なリアリティをもって成立しているところが上手い。

60点
ドリフ的ギャグに大爆笑

アメリカの国民的人気テレビアニメの実写映画化PART2。主人公である犬、スクービーはよくできた3Dアニメで描かれ合成される。スタッフもキャストもほぼそのままで作られた続編だ。

モンスター退治に活躍するミステリー社の4人(と一匹?)は、いまや全米中で大人気。鳴り物入りでオープンした犯罪学博物館のセレモニーにも得意満面で出席していた。ところがそこに謎の仮面男とモンスターが乱入、ミステリー社の面々はテレビの前でメンツをつぶされる。

アメリカの人気アニメを、アメリカの人気アイドル出演で楽しく作った娯楽映画。ワイヤーワークによるアクションあり、CG多用の見せ場あり、そして有名曲をたくさん使ったサントラありと、大衆の期待にこたえる派手でポップなつくり。ちなみにエンディングテーマは、日本のデュオ、PUFFYが歌っている。映画の中身に比べても違和感がなく、とてもいい感じだ。

60点
満遍なくディテールにこだわったマニアックな映画

「劇団大人計画」の松尾スズキ初監督作品。羽生生純の同名コミックを松田龍平主演で映画化した。

二十歳になってもいまだ貧乏童貞の蒼木門(松田龍平)は、石に漫画をかく自称“漫画芸術家”。ひょんな事から出会ったOLの恋乃(酒井若菜)といい感じになるが、彼女は実は超オタクでコスプレイヤーだった。門は同じ“マンガ”でも180度違う恋乃の世界に衝撃を受けながらも、なんとか歩み寄ろうとするが……。

主人公の門をはじめ、登場してくるのは誰も彼もナンセンスなキャラクター。前半はコメディタッチで、彼ら“変な”登場人物の様子を描く。映画というより演劇をみている気分で、大笑いしながら楽しむことができる。このへんの笑いのセンス、テンポのよさはさすが松尾スズキといったところか。

60点
とっぴな設定の中に普遍的なテーマを感じさせる

緒形拳主演のヒューマンドラマ。ややコミカルなタッチを織り交ぜ、定年間際で家庭崩壊目前となった男の苦悩と再生を描く。

定年間際の会社員(緒形拳)は、車で人身事故を起こしてしまう。被害者の少女は幸い軽傷だったが、その家族が執拗に家を訪れ金を要求するようになり、やがて会社へもいけず鬱状態になってしまう。家族との関係が徐々に悪くなる中、彼は突如事故現場のカーブミラーを皮切りに、日本中のミラーを拭き上げるため、一人旅に出てしまう。

苦悩する寡黙な男を、名優緒形拳が好演。ほとんどセリフはないが、存在感ある見事な表情で難しい役どころをこなしている。

60点
私は感動したが、万人にすすめはしない

ハリウッドトップ女優として日本でも人気の高いジュリア・ロバーツ約2年ぶりの主演作品。保守的な名門女子大にやってきたリベラル教師の奮闘ぶりと、個性的な生徒たちとの交流を描いた人間ドラマ。

1953年ニューイングランド。主人公の美術教師(J・ロバーツ)は、全米一保守的といわれる名門女子大に赴任してきた。ところが、教師を容赦なく見下す高慢な生徒たちや、社会進出よりよき妻を目指す教育方針など、新天地への彼女の期待は初日に早くも打ち砕かれる。彼女は旧来の女性教育を打ち破ろうと、学校、生徒双方に対して訴えかけるのだが……。

表面的には一見、女性解放バンザイ的な底の浅い映画に見えるがさにあらず。なかなかどうして、よく計算されたストーリーだ。

60点
舞台に忠実かと思わせつつ、ラストに見事に“映画”を見せる

井上ひさしの原作による舞台劇を、宮沢りえ主演で忠実に映画化した作品。「TOMORROW 明日」「美しい夏キリシマ」に続く、黒木和雄監督の戦争レクイエム三部作の完結編にあたる。……とはいっても、これらは全く別作品なので、前二作を見ていなくても何の問題もない。ただ静かに、しかし強く反戦を訴える点が共通する、テーマ性の強い作品である。

原爆投下から3年後の広島。図書館で働く主人公の美津江(宮沢りえ)は、心に傷を抱えながらも毎日を生きている。ある日彼女は一人の青年(浅野忠信)と出会い、淡い恋心を抱くが、原爆で愛する父を失ったトラウマから、幸せになることを心が拒否してしまう。それを見た父(原田芳雄)は、幽霊となって彼女の前に現れ、なんとかこの恋を成就させようと説得をはじめるが……。

登場人物は基本的に3名。物語のほとんどは、主人公の宮沢りえと、その父役の原田芳雄の会話劇となる。3人とも演技力は確かなものであり、こうした演技合戦が好きな人には見ごたえがあるだろう。

60点
素直なつくりのベーシックな感動ドラマ

伊集院静原作、坂口憲二初主演の感動ドラマ。以前にアニメーションで映画化されており、今回は初の実写化となる。

舞台は瀬戸内海に浮かぶ小さな島、葉名島。ひとつしかない小学校に主人公の臨時教師が赴任してくる。彼はかつて剣道の名選手だったが、対戦中の事故が原因で声を失った。やがて口が「きけない」ことから「機関車先生」と名づけられた彼と子供たち、そして島民らの暖かな交流が始まる。

文部科学省選定の冠がついていることでわかるように、最近では珍しいまっすぐな感動ドラマだ。主人公が何も話せないという点以外、奇をてらった設定も展開もなく、ごくごくベーシックに田舎の人情味や子供たちの純粋さを伝えようとする。彼らと、誠実で優しい機関車先生との交流が2時間かけてじっくりと描かれる。

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