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2142件中 1101~1150件 を表示しています。
60点
『恋空』を超えるケータイ小説がついに映画化

ケータイ小説『赤い糸』は、あの『恋空』よりも面白く、そしてエロシーンが過激だという話を聞いていた。あらすじを聞かせてもらったが、あまりにも色々と無茶が起きるので、途中で爆笑する羽目になった。これは期待できる。

初恋に破れた中学2年生の芽衣(南沢奈央)は、次に優しいアツシ(溝端淳平)と出会った。運命的なつながりを感じた二人は急激に惹かれあう。やがて修学旅行の季節がやってきた。大好きな同級生の仲間たちとの楽しい旅行になるはずだったが、芽衣の不用意な行動が誤解を招き、悲劇が起きてしまう……。

南沢奈央や相手役の(いろいろな意味で)カッコよすぎる少年たちを見ると到底信じられないが、一応中学生のお話である。ただしこんなご時世であるから、原作で話題を呼んだエロ関連はまったくない。

60点
仁科仁美が大胆演技に挑戦した初主演作

仁科亜季子の端正な横顔にかぶさるように、よく似た若い女性が現れる。本作の主演女優、仁科仁美の登場場面は思わせぶりで目を引かれる。二人は劇中と同じく実の母子。娘の仁科仁美にとっては初主演作となる。

女子大生の奈々子(仁科仁美)は7年前、幼い弟が死んだショックからいまだ立ち直れずにいる。そのせいで父母との関係がぎくしゃくしていることを、感受性の豊かな彼女は誰よりも深く理解していた。思い悩む彼女の前に、ある思い出と関わるピエロが現れたときから、止まっていた奈々子の時計が動き出す。

ある若い女性の再生と成長を描く物語。なんといってもヒロインが抱える強烈なトラウマの正体を描く場面が圧巻。具体的には弟のためにお弁当を作るところだが、このシークエンスにおける弟役(嘉数一星)の演技力、劇伴音楽との親和性などは、まれにみる出来映えといえる。

60点
監視カメラの映像を集めた問題作

人は、誰も見ていないところでは予想外のバカをやる。それをのぞき見ると、ときにはコメディ、ときにはエッチな、そしてときには恐怖の犯罪ドラマを味わうことになる。

『LOOK』が始まると、スクリーンに下着の試着室の映像が映し出される。そこにいかにも頭の弱そうな女子高生二人が入ってくると、ためらいもなく服を脱ぎ始め、少々過激なブラやTバックに着替え出す。やがて互いのカラダの品評会が始まり、尻の穴をもっと白くしたいなどと、親が聞いたら2歳くらいから教育をやりなおしたくなるような、どうしようもない会話をし始める。

ここまでで観客はすでに気づいているが、これは姿見の裏側に設置された監視カメラによる盗撮映像。

60点
好きな女との初夜を50年以上待ち続けた男

コロンビアの小説家、ガブリエル・ガルシア=マルケスは、日本の大江健三郎や筒井康隆らを含む世界中の知識人に影響を与えたノーベル賞受賞作家。これまで幾多の誘いを断ってきた彼を、本作の制作会社スタッフは3年間にわたり説得。ついにその代表作『コレラの時代の愛』の映像化に成功した。

1897年、コロンビア。電報配達人フロレンティーノ(ハビエル・バルデム)は、配達先の令嬢フェルミナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)に一目ぼれ。熱烈な手紙を契機に、二人は恋に落ちる。ところがそれをよしとせぬ彼女の父親により、二人は離れ離れに。数年後、フェルミナは医師のフベニル(ベンジャミン・ブラット)と結婚。それを知ったフロレンティーノは悲嘆にくれるが、フベニルが死に、再度愛を告白できる日まで彼女を待ち続けることを心に誓う。

この作品のストーリーは、ありそうでありえない、リアルだが荒唐無稽とでもいうべきメインアイデア(50年以上も待ち続ける男)に支えられている。エピソードの多くがマルケス本人や近しい人の体験談を基にしており、それが作り物と切り捨てられない質感を作品に与えているのではないかと言われている。

60点
パンダによる本格カンフーアクション

カンフー映画が大好きなお父さんも、動物好きの女の子も、アニメ好きの少年も、あるいは吹き替え声優のファンたちも、全部まとめてとりこもうという『カンフー・パンダ』は、目論見どおり全米では大ヒットを記録した。

カンフーオタクだが実技は丸っきり素人のパンダ、ポー(声:ジャック・ブラック、山口達也)は、偶然の積み重ねにより、修行者たちが目指す最高峰"龍の戦士"に選ばれてしまう。シーフー老師(声:ダスティン・ホフマン、笹野高史)や弟子の筆頭マスター・タイガー(声:アンジェリーナ・ジョリー、木村佳乃)は不満と不安を感じるが、脱獄した最強最悪の戦士タイ・ラン(声:イアン・マクシェーン、中尾彬)を迎え撃つため、皆でポーの突貫修行を開始する。

ドリームワークスの長編アニメーションとしては、大成功の部類に入る話題作。声の出演には上記のほかジャッキー・チェンやルーシー・リューといった大物が顔をそろえた。そんなわけで字幕版には興味があったのだが、私が見たときは日本語吹き替え版が上映されていた。

60点
男女を越えた仲と思っていた女の子が"オンナ"に見えるとき

『近距離恋愛』は一見よくあるラブコメだが、その内容はいかにもリセッション時代のアメリカらしいもので、大変興味深いものがあった。

遊び人のトム(パトリック・デンプシー)に対し、いつでも誠実なハンナ(ミシェル・モナハン)。性格は対照的だが二人は毎週末ごとに仲良く出かける。学生時代から続き、今では互いの恋愛遍歴まで語り合う、男女を越えた親友同士なのだ。ところがハンナがスコットランドへ長期出張し、あえない日々が続くと、トムは自分が彼女を女性として愛していたことに気づく。だがときすでに遅し、ハンナは出張先で地元の貴族と出会い即婚約、トムの気も知らず結婚式の花嫁付添い人=MADE OF HONOR を頼んでくるのだった。

親友として信頼されているからこそのMOH依頼なわけだが、すでに恋愛感情に変わった男にとってこれは地獄。よりにもよって最愛の女性とどこの馬の骨とも知らぬ男の結婚式を成功させねばならないとは! そんなマヌケな立場に追いやられ、しかし必死に二人の仲を裂こうとする男が滑稽だ。

60点
ファンの熱烈な署名嘆願によりついに日本公開決定

『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』は日本以外でいち早く評判になり、その面白さを知った評論家らが呼びかけた署名運動の結果、遅れていた日本公開がめでたく決まったコメディー映画。同様のケースに『ホテル・ルワンダ』という傑作があるが、はたしてこちらの出来やいかに。

首都ロンドンで大活躍、治安悪化を一人でくいとめている優秀な警官ニコラス(サイモン・ペッグ)は、あまりにガチガチな性格と有能さを同僚に妬まれ、田舎町に左遷されてしまう。ロンドンと違って何の事件もおこらぬのどかなこの場所で、彼は能天気な警察映画マニアのダニー(ニック・フロスト)と組まされる。そんな凸凹コンビの前で次々と変死事件がおき、ニコラスは捜査を開始する。だが住人たちは、どんなに異常な状況を前にしても、ただの事故だと思い込んでいるのだった。

単純な100%おバカ映画というわけではない。警察アクションものを中心とする過去作品への尊敬をこめた引用が随所に見られる、作り手の熱い情熱を感じられる一本。こういう映画は業界関係者やディープなファンににウケる傾向があり、絶賛評が多いのも理解は出来る。

60点
虫が体内に入る妄想にとりつかれた男の崩壊過程

妄想と現実の境目はどこにあるのか。マトリックスの仮想現実を人々は本物と信じ過ごしたように、たとえ幻でも信じるものには主観的に現実との差異はない。三枚目の男性でも、恋人の目にはハンサムな王子様に映るのだ。その様子は幻(現実?)の外側の人間にとっては、どこか滑稽だったりする。

オクラホマ州のレストランでウェイトレスをするアグネス(アシュレイ・ジャッド)は、同僚の友人から最近知り合ったピーター(マイケル・シャノン)という男を紹介される。元夫からDV被害にあっていたアグネスは、どこか陰のあるピーターとうまがあった。ピーターが語るには、自分は人に見えないほど小さい"虫"に長年悩まされているという。

ヒロインが住むモーテルにもその虫はやってきた。アグネスには虫じたいは見えないが、ピーターの体には刺された無数の痕があり、その数は日々増えていく。アグネスはピーターの語る"真実"の世界に取り込まれ、外界から徐々に孤立。体内に侵入する虫との闘いにあけくれる二人の姿は、やがて狂気そのものの様相を呈していく。

60点
大きなオッパイが好きな人のためのフルコース

巨乳はバカだなどと良く言われるが、あれはむしろ、「おバカな巨乳の女の子はカワイイ」という男性心理を誰かが誤解して受け取ったのではないかと思う。

警察組織では解決できぬ難事件を担当する、えりすぐりの秘密潜入捜査官「ワイルドキャッツ」。今回も腕利きのコンビ、クールな先輩捜査官ハニー(かでなれおん)と、おっとり型のバニー(森下悠里)の前に、とてつもない謎が襲い掛かる。なんと清純派アイドル(中村知世)が、イベント中に無意識のうちに服を脱いで全裸になり、引退を余儀なくされたというのだ。

どうやらストリップ光線を浴びたんではないかなどと推理する展開からわかるとおり、思い切りナンセンスなセクシードラマ。お目当てのアイドルが出ている男性が、レイトショーで楽しむノーテンキ娯楽だ。

60点
2000万もの本物の命が殺しあう姿を延々と映す衝撃の"戦争映画"

最近、ネイチャー系なる映画が若い婦女子に人気という。『ディープ・ブルー』(03年)や『アース』(07年)といった、大自然体感型のドキュメンタリー作品のことだ。以前はこの手の作品は商売的に難しいと考えられており、買取ったもののどの程度のヒットが見込めるのか、担当者さえもわからなかったという。だが今はもう違う。自然映画はウケる、これはひとつの定理となりつつある。

……が、その流れにある(と思われがちな)『バグズ・ワールド』は、どう考えても女性ウケはしないだろう。ムシキングに夢中の子供たちならいざ知らず、足が何本もウネウネするシロアリの映画を、癒し大好きスイーツ女性に提供するのは無謀というもの。宣伝対象は子供メインにシフトしたほうが良いと思う。

だいたいこの映画、コンセプトからして凄い。

60点
是枝裕和監督の「あるある」ホームドラマ

カンヌ国際映画祭最優秀男優賞をとった「誰も知らない」に続く是枝裕和監督最新作は、ある家族の一日を描いた現代劇。大それた事件が起こるわけでなく、とりわけ面白いストーリーがあるわけでもないのに、その人間観察力の鋭さだけで2時間持たせる力技には舌を巻く。

長男の命日のため、横山良多(阿部寛)は妻(夏川結衣)とその連れ子とともに自分の実家にやってきた。頑固者の父親(原田芳雄)とそりが合わぬ良多にとって気の進まぬ帰郷だったが、案の定彼らはのっけから重苦しい空気を味わうことになる。

日本のどこにでもいそうな一家の24時間。開業医として人々の尊敬とそれなりの成功を得た父親は、老いてなお"独裁者"として君臨する(したがっている)。一方、いい年をして安定した職に就けぬ主人公は、父の威光、優秀だった亡き長男の存在がいまだ大きなコンプレックスとなっている。結婚したばかりの妻につれ子がいる事もまた、無関係ではないだろう。

60点
"財布が主人公"の宮部みゆきミステリを映像化

日本を代表するミステリ作家、宮部みゆき。その文章は比較的癖がない方だが、彼女はときおり強烈な変化球を投げる。本作の原作『長い長い殺人』もそのひとつで、11章立ての連作短編はすべて誰かの"財布"による一人称で語られる。各短編の主人公が異なるだけでも難しい構成だが、それが全部無生物の財布というのだから驚かされる。

ひき逃げ事件で死亡した男には、妻(伊藤裕子)を受取人とした3億円もの保険金がかけられていた。妻には愛人(谷原章介)がおり、その婚約者(西田尚美)も殺されていた。見るからに怪しすぎる二人は一躍マスコミの寵児となるが、二つの事件当時、彼らには鉄壁のアリバイがあるのだった。

すわ、交換殺人かといったところだが、この一連の事件の背後はもっと入り組んでおり、巻き込まれた私立探偵(仲村トオル)と刑事(長塚京三)らが謎を追う。ロス疑惑を髣髴とさせるワイドショー報道の加熱ぶりには苦笑する。

60点
天才奇術師はハプスブルグ家を騙せるか

実在の人物や事件を大胆に織り交ぜた『幻影師アイゼンハイム』は、この時代のもろもろが好きな人にはたまらない魅力がある。

長きにわたり隆盛を誇ったハプスブルグ家も斜陽にさしかかった19世紀末のオーストリア、ウイーン。天才イリュージョニストのアイゼンハイム(エドワード・ノートン)のショーを観に、皇太子レオポルド(ルーファス・シーウェル)が許婚のソフィ(ジェシカ・ビール)とやってくる。出し物に参加させるためソフィを舞台にあげたアイゼンハイムは、彼女がかつて自分とかけおちを誓った幼馴染だと気づく。

さて、アイゼンハイムは身分の差により引き裂かれた彼女との恋をずっと忘れられずに生きてきた男。一方ソフィも、傲慢なDV男のレオポルドとの政略結婚などイヤイヤ。今でもアイゼンハイムだけを愛している。キツい監視下で再び互いを求めあう二人だが、その先には過酷な運命が……。

60点
ジャーナリスト3人が踏み込んだ先は……

チベット問題について一貫して中国批判の態度をとり、積極的に発言もしているリチャード・ギアの日本最新作は、その社会派としての面を強調する作品となった。

かつて人気テレビリポーターだったサイモン(リチャード・ギア)は、放送中にキレて今では酒代にも事欠く日々。一方その相棒の元戦場カメラマン、ダック(テレンス・ハワード)は大出世を遂げていた。あるとき、久々にダックの前に姿を現したサイモンは、NATOや国連が血眼になって探す戦争犯罪人フォックスの居所を知っているぞと、ド級のスクープを持ちかけてくる。

こうしてかつての盟友は、若きプロデューサー(ジェシー・アイゼンバーグ)を加えた3人で、命の保障などまったくない危険地帯へと乗り込んでいく。無鉄砲な男どもがイケイケでスクープに迫る姿を描く社会派ムービー、ズッコケ三人組のジャーナリスト宣言だ。

60点
スキンヘッドな暗殺者・全員集合

『ヒットマン』は、(ヒット作だが)洋物ゲームが原作という、日本では集客面での不利を抱えている。そのため「女子を助ける暗殺者」との共通点をむりやりこじつけ、「名作『レオン』を彷彿とさせるエモーショナルドラマ」などと宣伝

されている。担当者の苦悩が垣間見える瞬間である。

孤児を暗殺者に育てあげる闇組織でダントツの能力を誇った"ナンバー47"(ティモシー・オリファント)は、ロシアの政治家の暗殺依頼を受ける。首尾よく狙撃に成功したと思ったが、組織からの報告では相手は生きており、おまけに娼婦ニカ(オルガ・キュリレンコ)に現場を目撃されたので消せという。不審を抱いた47は命令を無視、自分と似た境遇のニカを守りながら、真相解明に挑むのだった。

60点
NYの未曾有の大災害を記録した奇跡のホームビデオ映像

徹底した秘密主義で公開まで突っ走ってきた『クローバーフィールド HAKAISHA』。もしあなたがこの映画を映画館で楽しみたい

なら、少しでもネタバレを食らう前に見に行く必要がある。

もともとこれ、アメリカでは今年2008年の1月に公開されたもの。超話題作『トランスフォーマー』上映前の匿名予告編を皮切りに、

60点
裏卓球界ナンバーワンを決めるピンポンデスマッチ

ハリウッド史上初?の卓球エンタテイメント『燃えよ!ピンポン』を見ると、いまのアメリカ映画界の変態っぷりがよくわかる。

かつての天才卓球少年で、今はメタボ中年のランディ(ダン・フォグラー)。彼は場末のステージで曲芸ピンポンを披露して糊口をしのいでいたが、ある日FBI捜査官から中国系マフィア組織の開催する卓球大会に出てくれと頼まれる。そこで組織のボス(クリストファー・ウォーケン)を逮捕する段取りだというのだ。しぶしぶ承諾したランディは、しかしさび付いた腕を磨きなおすため、まずは盲目の老師とそのセクシーな教え子(マギー・Q)に弟子入りする。

目が見えない卓球の達人とか、4人の男を同時に相手にして圧倒する女卓球選手とか、のっけからバカげている。しかもランディが目指す大会とやらは、裏卓球界のトップを決める大イベントで、敗北=即死のデスマッチときた。ほとんど漫画バキの世界である。

60点
アル・パチーノ先生の命はあと88分

『88ミニッツ』は、作り手の努力と熱意のわりにその凄さが伝わらない、一人相撲なサスペンスだ。

FBI異常犯罪分析医ジャック・グラム(アル・パチーノ)が、9年前に決定的な判断を下して有罪に追い込んだ連続猟奇殺人犯フォースター(ニール・マクドノー)の死刑執行直前、同手口の殺人事件がおきた。被害者はジャックの教え子で、しかもフォースターは犯人ではないとのメッセージが残されていた。捜査当局やマスコミが騒然とする中、ジャックの携帯が鳴り「お前の命はあと88分だ」と宣告される。

哀れなアルパチーノ先生は、しかしまぎれもない切れ者。冷静かつ論理的な推理力により、卑劣な脅迫犯および殺人犯へ逆に迫っていく。よくよく考えてみると、単に手当たり次第に周りを犯人扱いして右往左往しているだけに見えるが、あえてそこは大人のスルー。

60点
伊坂幸太郎の魅力全開! だそうだ

いまや映画界で大人気の作家・伊坂幸太郎の連作短編集『死神の精度』が、ついに実写化された。映画化を何度も断り続けた伊坂氏が、金城武主演ならと承諾したとのこと。結果、"Sweet Rain"というイカす題名がついた、見事な珍作に仕上がった。

不慮の死を遂げる人間の前に現れ、7日間の観察のあと、実際に死なすか否かを決める死神のチバ(金城武)。今回の対象は、27歳のネクラなOL藤木一恵(小西真奈美)だ。いつもは迷わず"実行=死"を選択するチバだったが、あまりに薄幸な彼女の姿を見て、ほんの少し"見送り=生かす"へ心を動かされる。

ファンにとって念願となる傑作の映画化は、伊坂ワールドの魅力全開! と喧伝されている。B級ラブコメくずれが伊坂ワールドだと言うのなら、まことに的確な表現である。

60点
瞬間移動で、お金も女の子もゲットしまくり

望むところへどこへでも行ける瞬間移動=テレポーテーションの能力があったらどんなにいいか。『ジャンパー』の主人公は、そんな私たちの(ちょっとイケナイ)妄想を、次々とやってのける。

主人公デヴィッド(ヘイデン・クリステンセン)は高校生時代、自分に瞬間移動の能力が備わっていることを偶然知る。やがて成長した彼は、銀行の金庫室からせしめた大金で、実家を出て自由気ままに暮らしはじめた。今では、毎日エジプトのスフィンクスの上でコーヒーブレイク、パリもローマも行き放題。しかし、まだデヴィッドは知らなかったが、この世には彼のような"ジャンパー"の存在を許さず、ひたすら命を狙う集団がいるのだった。

この主人公は、高畑くんのいないエスパー魔美のようなもの。後先考えず超能力を使いまくり、バカ行動に歯止めがかからずあら大変、となる。主人公がアホすぎる上、まったく成長しないので、違った意味でギャグ映画にしか見えない。

60点
友人の違法な人工妊娠中絶につきあう女子大生の一日

ルームメイトの中絶手術を手助けする女子大生の、長い一日を描いた『4ヶ月、3週と2日』は、ルーマニア映画として初めてカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞した。

1987年のルーマニア。大学生オティリア(アナマリア・マリンカ)は、同室のガビツァ(ローラ・ヴァシリウ)の中絶手術を手伝うべく、二人で準備をしていた。恋人から金を借り、安ホテルに向かったオティリアは、予約したはずの部屋が取れておらず狼狽する。しかも体調不良のガビツァからは、手術を頼んだモグリの医者を代わりに迎えにいってくれと頼まれる。オティリアにとって、想像以上につらく苦しい一日が始まった。

中絶する本人ではなく、友達として彼女の世話をする女の子の物語。彼女が、本人以上に苦しい思いをするのはなぜなのか。どうしてそこまで尽くすのか。そもそも妊娠させた相手は誰なのか。なぜ出産ではなく、怪しげなヤミ医者で中絶するのか。

60点
華やかな芸能界から悲惨な戦場まで

全裸のジョン・レノンが服を着たオノヨーコに抱きついている、誰もが一度は見たであろう有名な写真がある。あれは1980年12月8日の朝に撮影した写真で、ジョンはその4時間後に銃撃されこの世を去った。本作はこの"最期の日の写真"を撮影した女流カメラマン、アニー・リーボヴィッツの半生を描くドキュメンタリー。

彼女は世界中の有名人の間でもっとも人気のあるカメラマンの一人であり、作中の関係者の言葉を借りれば、ニコール・キッドマン(いわずと知れたハリウッドのトップ女優)を撮影したい場合、彼女以外の撮影者が依頼すると翌月になるが、アニーであればその日の夜にやってくる、というほど尊敬を受けている。

ジョン・レノンのポートレート以外の代表的な仕事としては、ヴァニティ・フェア誌の表紙を飾った女優デミ・ムーアの妊婦ヌード、ゴルバチョフ元ソ連大統領を起用したルイ・ヴィトンの広告など、世間を騒然とさせる作品で知られている。

60点
心臓手術中に殺人事件発生?!

現役のお医者さんという強力な武器をひっさげて2005年に登場した作家、海堂尊は、デビュー作の『チーム・バチスタの栄光』から日本ミステリ界を快進撃。はやくも今回、初の映画化に恵まれた。

拡張型心筋症に有効な"バチスタ手術"において、天才的な腕を持つ外科医・桐生恭一(吉川晃司)。彼が率いる医大の専門チームは、"チーム・バチスタの栄光"と称され、通常6割の成功率といわれるこの手術で26連勝の快挙を達成していた。ところがここ数例、彼らは立て続けに失敗してしまう。女医・田口公子(竹内結子)は原因調査にあたるが、突然現れた厚生労働省の高級官僚・白鳥(阿部寛)は、「これは殺人である」などと言い出すのだった。

さて、中村義洋監督というと、前作『アヒルと鴨のコインロッカー』(06年)のヒットが記憶に新しい。伊坂幸太郎の代表作に続き、今回も(広義の)ミステリの映画化を担当することになったわけだ。どちらも平均よりやや上の映像化といって良いが、この人はどうも詰めが甘い部分がある。

60点
両親が突然左翼活動家になってしまった9歳少女の受難

タイトルのフィデルとはキューバの国家元首フィデル・カストロのこと。フランスのアッパーミドル一家のお嬢様だった9歳の少女が、共産主義にのめりこんだ両親のせいでその暮らしが一変してしまい、その不満を一言にしたタイトルだ。

1970年のフランス、パリ。雑誌記者の母(ジュリー・ドパルデュー)と弁護士の父(ステファノ・アコルシ)、無邪気な弟(バンジャマン・フイエ)となに不自由なく暮らす9歳のアンナ(ニナ・ケルヴェル)は、カトリック女子小学校に通う優秀な生徒だ。そんな我が家にあるとき、父の故郷スペインのフランコ独裁政権から逃げるように叔母と従姉妹がやってくる。彼女らの影響で共産主義活動に目覚めた両親は、子供たちをほっぽらかしてチリで左翼政権樹立のため奔走。やがて暮らしは貧窮し、アンナたちは狭いアパートで他の活動家と共同生活するハメになる。「前の暮らしが大好きだったのに、私たちどうしてこんな目にあわなきゃならないの?!」

70年代の混沌とした世界情勢、そして左翼運動に興味がある人向け。親のワガママに振り回される少女の成長物語としても見られるが、ジュリー・ガヴラス監督は初長編とあってか、不器用で中途半端な印象。

60点
パラダイスに住むエンジェルの、ほろ苦い人生

男性でありながら、オンナ以上に女性の内面を鋭く描くフランソワ・オゾン監督。その類まれな感性は、もしかしたら彼自身ゲイである事が寄与しているのかもしれない。この最新作『エンジェル』も、多くの共感を集めそうな女性映画だが、オゾン作品としては珍しく全編英語で、25億円もの予算をかけたコスチュームプレイ(豪華衣装が見所の時代ドラマ)となっている。

20世紀初頭の英国。上流階級に憧れる少女エンジェル(ロモーラ・ガライ)は、貧しい現実から目をそむけるようにロマンス小説を書き綴る。それはやがて有力な発行人(サム・ニール)の目に留まり、出版された作品はベストセラーに。望んだ暮らしを手に入れたエンジェルだが、はたしてその先に幸せな人生が待っているのだろうか。

読書嫌いの下層階級の少女が、リサーチもせず想像だけでセレブな暮らしを書いた小説だけに、「シャンパンをコルクスクリューで抜く」といったおかしな描写を指摘される場面がある。ところがエンジェルは、「句読点ひとつ書き換えない」と言い張り、発行人と観客を仰天させる。その傲慢な性格(かつ世間知らずっぷり)がよく現れた瞬間だ。

60点
フルチンヒーロー大活躍

映画が大ヒットしたこともあって、本格ファンタジーというと『指輪物語』を思い浮かべる人が多いと思うが、その作者J・R・R・トールキンは、現存する最古の英語叙事詩「ベオウルフ」の研究者であり、作品にそのエッセンスを生かしたといわれている。『ベオウルフ 呪われし勇者』は、過去にも何度か映画化されているその英雄叙事詩を、パフォーマンス・キャプチャーの技術を用いて映像化した作品。

パフォーマンス・キャプチャーとは、役者の動きをコンピュータに取り込むモーションキャプチャーを、より精密緻密にしたものと考えればよいだろう。平たく言えば、気持ち悪いくらい実写そっくりなCGアニメ、だ。ロバート・ゼメキス監督は、04年に『ポーラー・エクスプレス』でも、同じ技術を使っている。

デンマーク王(アンソニー・ホプキンス)の宮殿に、宴の騒ぎを嫌った巨大な化物グレンデルが襲い掛かった。甚大な被害を受け途方にくれる王たちの前に、海の向こうから勇者ベオウルフ(レイ・ウィンストン)が仲間とともにやってくる。誇り高いベオウルフは、栄誉のため怪物退治に名乗りを上げ、おとりとして再び宴を開くことを提案する。

60点
国連・国際刑事裁判所の活動現場に興味がある人に

国際連合という組織に対し「国家の枠組みを超えて世界平和の実現を目指している」などと幻想を抱いている人たちにとって、このドキュメンタリーはいくらか期待にこたえてくれる。

タイトルのカルラとは、カルラ・デル・ポンテという女性の名前。彼女は旧ユーゴスラヴィア国際戦犯法廷(ICTY)という国連組織の検事長として活躍する人物だ。ICTYとは旧ユーゴで起きた戦争犯罪人を裁くために作られた国際刑事裁判所で、彼女は日夜世界中を駆け巡って『カルラのリスト』に載った犯人たちの手がかりを探している。

人道に対する罪、というと近代史に多少詳しい日本人にとっては、あの悪名高い東京裁判での事後法を思い出すが、それを堂々と対象犯罪に入れているこの組織も本質的には変わらない。彼女らが追う犯罪人は、それを匿う当事国の政府や組織にとっては、犯罪者どころか逆に英雄扱い。そんな連中をテロ支援国家と決め付けるのもひとつの正義だが、現実には彼らにもまた別の正義が存在する。

60点
抜群のストーリーテリング

家族には大きく分けて2種類ある。いわゆる遺伝子上のつながりがある肉親と、血はつながっていないが家族同然の存在。養子の類もこちらに含まれるだろうか。赤ちゃんポストの概念を発明したり、不妊というわけでもない有名人が積極的に養子を迎えるなど、後者を受け入れる土壌が広まっている欧米に比べると、現代日本は比較的血縁を重視する印象だ。婚外子への相続差別など、法律上にもその痕跡が残っている。

また、国や民族の違いに限らず、収入や家柄によっても"血"にこだわる度合いは違ってこよう。『アフター・ウェディング』は、そんな富豪のきまぐれに振り回される、ある中年男の物語だ。

万年貧乏なインドの孤児院で働くデンマーク人のヤコブ(マッツ・ミケルセン)。ある日、彼のもとに本国の実業家から巨額の寄付金の申し出が届く。条件はヤコブ本人との面談。怪訝に思いつつ帰国した彼は、そのまま実業家の娘の結婚式にむりやり出席させられるが、会場には意外な人物が立っていた。

60点
外見はいい、内面があと少し

遠い未来、クローン技術が普及した社会における仮定の話。顔面を含めた体のほとんどが機械になってしまったオリジナル彼氏と、100%生身のクローンが同時に存在したとしたら、あなたはどちらを選ぶだろうか。『APPLESEED アップルシード』(04年、日)の続編となる本作のヒロインは、そのような三角関係に巻き込まれる。

前作から7年後の西暦2138年、中立都市オリュンポスでは人間、サイボーグ、そしてバイオロイド(クローン)が共存していたが、いまだテロリズムを根絶するにはいたっていなかった。ヒロインのデュナン(声:小林愛)は、最新鋭のサイボーグであり恋人のブリアレオス(声:山寺宏一)と特殊部隊ES.W.A.T.でコンビを組み、治安維持にあたっていた。ところがある日、新パートナーのテレウス(声:岸祐二)の顔をみてデュナンは激しく動揺する。彼は人間だったころのブリアレオスの遺伝子から作られたバイオロイドだったのだ。

デュナンの恋人ブリアレオスは、戦闘中の負傷により人間だったころの面影などまったくない機械的な人工ボディになってしまっている。だが、テレウスは違う。彼の性格、外見は、かつて普通の恋人同士として愛し合ったブリアレオスそのものだ。デュナンにとって、いまでもオリジナルのサイボーグ・ブリアレオスとの心の結びつきは強い。だが、まだ若い女の子である彼女には、肌を寄せ合った時のぬくもりなど、決してそれだけで埋められぬ要素も少なくあるまい。

60点
とても食べあわせが悪い

『HERO』や『リーサル・ウェポン4』などの大ヒット作に出演、本物の少林拳の使い手として人気のジェット・リー。一方『トランスポーター』等で、元水泳の飛び込みトップアスリートらしい華麗な身のこなしを見せたジェイソン・ステイサム。この二人のアクションスターが共演となれば、かつてない凄いものを見せてくれるに違いない。本作品を見る前に多くの人が思うであろうそうした期待は、しかしいろいろな意味で裏切られる。

サンフランシスコのFBI捜査官クロフォード(ジェイソン・ステイサム)は、3年前に相棒とその家族を殺した裏社会の伝説的な殺し屋ローグ(ジェット・リー)が、再びこの街に舞い戻ってきたことを知る。中国マフィアと日本ヤクザの抗争が激化する今、ローグの真の狙いは何なのか。復讐に燃えるクロフォードは、徐々にローグに迫っていくが……。

日本のヤクザ社会が主な舞台となるので、日本人の観客にとっては退屈しない映画だ。しかも、洋画にありがちな"ヘンな描写"が多数。ヤクザの親分を演じる石橋凌以外、日本語の台詞すら怪しいという有様であるから、ほかは推して知るべし。奇妙なセットや風習など、それは見てのお楽しみだ。

60点
次は製作費100億円の大作で

わが国の安倍晋三首相は、美しい国にはあまりふさわしくない、みっともない格好で退陣してしまったが、もしアメリカ大統領が何者かに暗殺され、突然いなくなってしまったらどうだろう? この映画は、そんな不謹慎な想定のもとに、米国内の情勢を予測した擬似ドキュメンタリー(=モキュメンタリー)だ。

映画は大統領警護主任や補佐官、容疑者の妻らへのインタビューを中心に構成される。役者はみな無名、しかも脚本の全容を知らされずに撮影したとあってやたらとリアリティがある。途中にはさまれる実際のニュース映像の画質などは、監督の偏執的なまでの微調整によって、新規撮影部分との違和感が徹底して埋められている。

そうそう、この映画は『大統領暗殺』という邦題だが、宣伝会社は『ブッシュ暗殺』にすべく最後まで頑張ったという。結局、映倫の審査拒否によりその夢は破れたが、じっさい本作の内容は、アメリカ合衆国第43代大統領、ジョージ・ウォーカー・ブッシュを映画の中で(本人にはもちろん無断で)ブチ殺してしまうという、とんでもないものである。

60点
面白くて飽きないが、それだけ

スリラーやサスペンスでは、脚本が映画そのものの出来を大きく左右することについては異論のないところだろう。ベテラン脚本家のラリー・コーエンの場合、このサイトでもオススメした『フォーンブース』(02年)、『セルラー』(04年)と、近年その分野で変わらぬアイデアマンぶりを発揮しており、その最新作である本作にかかる期待もおのずと大きいものになる。

トップモデルのジェニファー(エリシャ・カスバート)は、見覚えのない部屋で目覚める。彼女は何者かに拉致、監禁されてしまったのだ。必死に脱出を試みるが部屋は密室で、しかも犯人がどこかから監視しているらしい。八方ふさがりの状況下、ジェニファーは剥がれ落ちた壁の塗料の先に、意外なものを発見する。

謎だらけの冒頭から、見るものをひきつけて離さない。美人でスタイル抜群のヒロインが味わう恐怖と、必死に抵抗する姿に観客は思い切り感情移入し、その行方を固唾を飲んで見守る体験型スリラーだ。

60点
端々から感じられる不気味な違和感の正体とは?

アメリカで製作の話が進む『新世紀エヴァンゲリオン』実写版に先駆け、オリジナルテレビアニメ版の主要スタッフ・キャストによる"リビルド"3部作が作られることになった。その期待の一作目がこの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』。

テレビ版ダイジェストの劇場用Zガンダム3部作がヒットしたため、エヴァンゲリオンで二番煎じをするのかなと、当初私は思っていた。実際普通にみれば、「なんだよ、テレビん時と同じじゃん、見る価値無し」で終わってしまいかねないほど、ストーリーも絵柄も同じである。

映画版ストーリーの具体的な流れとしては、シンジが召集されるトコから始まり、日本中の電力を戦略自衛隊の長距離砲に集中させ、使徒ラミエル(青いプリズム体みたいなヤツね)を狙撃するヤシマ作戦までが描かれる。

60点
火災を経て不気味さを増した伽椰子屋敷が必見

『呪怨 パンデミック』は、清水崇監督が日本人監督として史上初の全米興行成績一位を取った『THE JUON/呪怨』の続編だが、その副題の意味するところも含め、終わってみれば現在製作中のパート3へのつなぎ的位置づけの作品ということがよくわかる。しかし、だからといって退屈ということはまったく無く、見ている間大いに楽しめる(怖がれる?)優れたホラー作品である。

インターナショナル・スクールに通うちょっとイケてない少女アリソン(アリエル・ケベル)は、正反対のタイプの同級生ヴァネッサとミユキ(宇野実彩子)に連れられ、幽霊屋敷と評判の一軒屋にやってくる。火災の跡も痛々しいその家の押入れにふざけて閉じ込められたアリソンは、そこで恐ろしいものを見る。じつはその家こそ、かつて佐伯伽椰子(藤貴子)とその息子の俊雄が虐殺された、怨念に満ちた家であった。

呪怨シリーズではおなじみ、いくつかのエピソードを平行して描き、マシンガンのようにテンポよくつないでいくパターンだが、今回はそれぞれの話が有機的なつながりを持ち、ちょっとした仕掛けもあって楽しませてくれる。

60点
海嫌いを増やすシリーズ第2弾

2年前、当サイトでもオススメしたシチュエーションスリラーに「オープン・ウォーター」という作品があった。ダイビングツアー側が人数を数え間違えたため、大海原のど真ん中に取り残されてしまった哀れなカップルの、とてつもなく怖い話であった。

『オープン・ウォーター2』は、あの傑作の続編……というわけではまったくなく、タイトル以外中身は何の関係もない独立したスリラーである。

メキシコ湾に集まった旧友たち6人は、出世頭のダン(エリック・デイン)の豪華ヨットでクルーズに出かけた。やがてヨットははるか沖に達し、はしゃぎまわる若者たちは一人また一人とエメラルドグリーンの海へと飛び込んでいく。そして最後の一人が海に入ったとき、彼らは甲板に戻るためのハシゴをおろし忘れていたことに気づくのだった。

60点
そうは見えないが、実際のところは偏った内容

夏になると戦争映画の公開が増えてくるのは、8月15日を終戦記念日とする日本の特徴だ。しかしこの特攻映画の監督は意外なことにアメリカ人。これはいったいどうしたことか。答えは簡単、この映画の監督リサ・モリモトは、その名から想像できる通り日系人。自らのルーツと決して無関係でないこのテーマを選び、今回ドキュメンタリーとしてまとめたというわけだ。

そんなわけで本作最大の見所、特徴は、「9.11テロを体験した典型的アメリカ価値観を持つ日系人、それも若い女性から見た特攻隊の解釈」ということになる。

取材形式と構成は昔ながらの伝統的な方法。すなわち多くの関係者へのインタビューを複合的に交えていくというものだ。唯一ユニークなのは、映画の最後に短めの再現アニメがくっついている点。このアニメーションはなかなか良くできていて、出撃の恐怖感、臨場感がよく伝わってくる。

60点
反日ではない、これは反在日映画だ

井筒和幸監督といえば、かつては青春エンタテイメントの名手とのイメージが強かった。その後、紆余曲折を経て毒舌評論家としてお茶の間で人気となったのはご存知のとおり。しかし、拉致問題で北朝鮮を擁護するような発言をするなど、最近では朝鮮半島寄りの左翼映画人としても知られている。

その印象を強める原因ともなった前作『パッチギ!』(04年)では、在日少女と日本人青年のロミオとジュリエット的恋愛を描き、好評を得た。タイトルは朝鮮のことばで頭突きの意味。その言葉どおり迫力ある喧嘩シーンが見所のパワフルな青春ムービーだったが、その主人公一家の6年後を描く続編がこれだ。

ときは1974年、番長格で鳴らした朝鮮学校を卒業して、今では幼い息子チャンス(今井悠貴)を男手ひとつで育てる主人公の在日青年アンソン(井坂俊哉)。彼はチャンスの難病を治すため、一家と共に東京にやってきた。妹のキョンジャ(中村ゆり)は治療費を稼ぐため芸能界に入り、出自すら明かせぬ差別社会の中で必死の努力を続けている。一方アンソンは、自分を助けるため国鉄をクビになった気のいい日本人佐藤(藤井隆)を連れ、危険な裏の商売に手を染めはじめる。

60点
前半は良かったが徐々に失速

二ノ宮知子の漫画『のだめカンタービレ』と、それを原作にしたアニメ、ドラマのヒットに代表されるとおり、昨今はクラシック音楽ブームといわれている。そんな『のだめ』以前に「漫画アクション」で連載されていたさそうあきらによる音楽漫画が「神童」、本作の原作である。

音大を目指す浪人生の和音=ワオ(松山ケンイチ)は、毎日実家の八百屋の二階で下手なピアノを練習して、近所からどなり倒される日々。そんなとき商店街を通りがかった恐れ知らずな14歳の少女うた(成海(なるみ)璃子(りこ))は、勝手に部屋に上がりこんでプロ級の演奏を披露する。その日から、なぜかワオの家を気に入り通いつめるようになる彼女。言葉より先に楽譜を覚えた天才少女のうたは、指の怪我を恐れて体育すら受けさせない母やまわりの大人たちにウンザリしていたのだった。

大学生と14歳少女の交流の物語だ。怒鳴られる青年と過保護にされる少女。才能の有無により両極端な環境で過ごす二人は、互いの持ち物をうらやみながらも、補完的なその境遇のおかげで急速に距離を縮めていく。良い影響を与え合い、二人とも成長していく様子が伝わってくる(どちらかというと、影響を受けているのはむしろワオの方ばかりであるが……)。

60点
ゴージャスなオフザケ映画

『大帝の剣』は、CG技術が進んだ今でなくては作れない、逆に言えば今だからこんなにサラリと作れたんだなと思わせる一本だ。原作は夢枕獏の同名小説。奇想天外を突き詰めたようなぶっ飛んだ展開で、作者自身も続きが思いつかなくなったのか、長年未完のまま放置されているシリーズである。

ときは3代将軍家光の時代。古くから、3種の神器を手にしたものは世界を制するといわれてきた。そのひとつであるオリハルコン製の巨大な剣を手に各地を放浪する剣士、万源九郎(よろず げんくろう 阿部寛)は、いまだ幕府に抵抗する豊臣方の姫(長谷川京子)と出会い、そのボディガードがてら行動を共にする。ところが美しきこの姫は、神器を狙う謎の宇宙人に寄生されていたのだった。

時代劇かと思いきや、スタートレックも真っ青の宇宙戦争の場面から映画は始まる。さあさあ皆さん、この映画はジャンルを超えた滅茶苦茶をやるよ、と宣言しているわけだ。

60点
イメージを壊さず昔ながらの鉄人の魅力を伝えてくれる

横山光輝による漫画「鉄人28号」は何度も映像作品になっており、上は50代から下は10代まで幅広いファン層を持つ。こうしたコンテンツは、たいへん貴重かつ優良だ。たとえば、普段は映画など見ない家庭で子供がケロロ軍曹を見に行きたいと言っても、お父さんはなかなか重い腰を上げようとはしないだろう。しかしそれが鉄人28号であれば、「ほう、そういえばオレが子供の頃もやってたな。どうせ子供につき合わされるならこっちの方を見るか」となる。そんなわけでこうした吸引力のあるコンテンツは、大事に大事に育てていかなくてはならない。

しかし、最新のCG技術をふんだんに使い、満を持して公開された2004年の実写映画版は、雑な脚本と原作を大きく逸脱した世界観により、あらゆる年齢層のファンからそっぽを向かれた稀代の失敗作となった。

今回公開されるこのアニメーション版は、ちょうどそのころ放映されていた鉄人フリークの今川泰宏監督によるテレビアニメ版の劇場用となる。予定より大幅に公開が遅れてしまったのは残念だが(子供向けアニメは放映終了から間がたつほど視聴者が成長して離れていってしまう)、テレビアニメ版の評判がすこぶる良かったため、本作は大きな期待を寄せられている。

60点
主演4人の誰かのファンの人に

いまどきラブストーリーなどというものは、その骨格はどれも同じであとはどう装飾するかだけが勝負といっても過言ではない。とくにハリウッドには、この手の映画にぴったりな世界的人気のあるスターが多数いるから、あとはいかに変わった(ロマンティックな)シチュエーションを用意するかが問題となる。

当代きっての4大人気俳優によるWカップルラブストーリー「ホリデイ」は、その題材として「ホームエクスチェンジ」を前面に持ってきた。これは、遠く離れた他人同士がインターネットを介在し、お互いの家を一定期間交換しあうという旅行形態の事だ。

ヒロインの一人アイリス(ケイト・ウィンスレット)はロンドン郊外に住む新聞記者。便利な女扱いされながらも、いまだに元カレへの未練が捨てきれない。もう一人のヒロインアマンダ(キャメロン・ディアス)は、ビバリーヒルズ在住の会社社長。イケメン彼氏の浮気が発覚して別れたばかり。二人はネット上で知り合い、ホームエクスチェンジを行うことに。

60点
ちょいと予備知識が必要なミュージカル

今年の米アカデミー賞には、ブラッド・ピット主演『バベル』で印象深い演技を見せた日本の菊地凛子が助演女優賞にノミネートされ、大きな期待を集めている。しかし、彼女以上の本命といわれるのがこのミュージカル映画『ドリームガールズ』で圧倒的な歌唱力を見せつけるジェニファー・ハドソンだ。さて、主演のビヨンセ・ノウルズをさえ食ったと評判のその演技力はいかなるものか。

1962年のアメリカ、デトロイト。成功を夢見る少女3人のグループ「ドリーメッツ」が、人気歌手(エディ・マーフィ)のバックコーラスに抜擢された。メジャークラスの実力を持つリードボーカルのエフィー(ジェニファー・ハドソン)を中心にした3人に、無限の可能性を見たカーティス(ジェイミー・フォックス)は、全財産を「ドリーメッツ」のマーケティングにつぎ込むのだった。

さて、その甲斐あって彼女らは全米から注目を集めていくわけだが、あるときカーティスはエフィーにクビを宣告する。彼女は自分の恋人でもあったのだが、時代の先を読むカーティスは、伝統的でソウルフルなエフィーの歌より、キュートなルックスと声質のディーナ(ビヨンセ)をリードボーカルにグループを再編成することを企んでいたのだ。

60点
韓国中を席巻したドタバタラブコメ

本国において大ウケした映画が、日本ではまったく受けない。その映画を買ってきた映画会社にとってはせつない事だが、そんな事がこの世界ではままある。『家門の危機』も、韓国で記録的なヒットとなったコメディシリーズの第2弾だが、本国でのブームに比べたら、日本ではまったくといっていいほど話題になっていない。

家門の安泰を願う暴力団組織の女ボスは、いつまでも独身でいる長男(シン・ヒョンジュン)を心配している。しかし、じつは長男は女嫌いというわけではなく、かつての恋人(キム・ウォニ)を事故で失ったショックで、恋に臆病になっているのだ。そんなある日、駐車場で彼女にそっくりな女(キム・ウォニ…2役)を偶然助け、それを契機に二人は恋に落ちる。ところが彼女の職業はソウル地裁の検事。しかも暴力団対策のエースだった。

『大変な結婚』(2002年、韓国でのタイトルは『家門の光栄』)に続く、"身分違いの恋"をテーマにしたラブコメの第2弾だが、両者の邦題に関連がない事で想像できるとおり、両者はまったく独立した作品とみて問題はない。せめて前作が日本で大ヒットしていれば、本作の邦題もまた違ったのであろうが……。

60点
抜群に面白い設定

人が映画館に行こうと決意する理由はさまざまだ。スターが出ているとか、有名な監督の作品とか、この夏一番の話題作とか、それぞれであるが、そのどれでもない『unknown アンノウン』の場合は間違いなく、その奇抜なストーリー設定に惹かれて出向く方が大多数のはずだ。

主人公の男(ジェームズ・カヴィーゼル)が目を覚ますと、そこは廃工場だった。まわりには彼を含め、同じように眠っていた5人の男たちがいた。二階の手すりに手錠でつながれた瀕死の男、椅子に拘束された中年男、そして激しく争った形跡や、大量の血痕……。工場はすべての窓、出入口にカギがかけられており、彼らは完全に閉じ込められていた。どう見ても、尋常な状況ではなかったが、最大の問題は、全員が記憶喪失であるという点であった。

このなぞめいた、あまりに魅力的な密室状況。そこに一本の電話がかかってくるのだが、主人公が適当に話を合わせた結果、どうやらこの5人のうち何人かは誘拐犯の一味で、残りは誘拐された被害者であることがわかる。誘拐犯のボスらは日暮れ頃ここにやってくる。それまでにこの状況を打開しなくては、彼らのうち何名かには死、あるのみだ。

60点
最近の韓国映画としては珍しい、まっとうな恋愛ドラマ

今週は実話を元にした映画ばかりであるが、本作もそのひとつ。韓国で話題になった「HIV感染を知らなかった売春婦と、それでも彼女を愛しつづけた田舎の青年」の物語だ。

農村で牧畜業を営む素朴な中年男(ファン・ジョンミン)は、嫁不足の土地柄、結婚は半ばあきらめていたが、あるときスクーターで颯爽と走るさわやかな女の子(チョン・ドヨン)に一目ぼれ。近所のコーヒーショップに勤める彼女に、ストーカーも真っ青な猛烈なアタックを開始する。暗い過去を持ち、自分を汚れきった女と思っている彼女は、まっとうな人生を歩んできた彼との結婚に躊躇するが、やがてついにその愛を受け入れる。しかし、二人の前に彼女の元旦那が現れると、幸せな生活は音を立てて崩れ始める。

韓流恋愛映画は、不自然なまでにドラマティックな展開や、過剰なお涙頂戴がデフォルトとしてあるために、ここ日本ではごく一部のファン以外にはまったく相手にされていないが、この『ユア・マイ・サンシャイン』はそうした作品とは一味違う。

60点
ストーリーがもっと緻密に組み上げられていれば

浅田次郎は多作の作家で、『鉄道員』などその著作のいくつかは映画にもなっているが、1994年の『地下鉄に乗って』の評価は特に高い。地下鉄を重要な道具として展開するこのお話を、営団地下鉄改め東京メトロ全面協力で映画化したものが本作だ。

真次(堤真一)は、父親が倒れたとの報を受ける。実業家として世界的な成功を手にした父に、長年反発してきた彼が丸の内線を降りると、そこはなんと昭和39年の中野新橋だった。しかもその日は、兄が車にひかれて亡くなった日。やがて真次は地下鉄に乗ることで、現代と過去を行き来するようになる。不倫中の恋人(岡本綾)とともに、昭和を何度もさかのぼる中で、彼らは自分の親たちの生き様、本当の心と隠された愛情を知る。

タイムスリップを繰り返し、衝撃的かつ感動的なラストに向かって進む「時間超越もの」だ。ラストの驚きと、そこでの行動のもととなる心情の切なさはかなりのもので、高く評価したいところ。

60点
気軽にみられる政治サスペンス

合衆国秘密警察局、シークレット・サービスとは、大統領やその家族など、要人警護を主任務とする警察機関。映画でも何度も登場しているが、この『ザ・センチネル/陰謀の星条旗』も、そこを舞台にした政治アクションドラマ。中規模の予算による、娯楽性の高い作品だ。

レーガン大統領を暗殺から救ったベテランシークレットサービス(マイケル・ダグラス)に、大統領暗殺計画の容疑がかかる。その捜査を行うのは、彼と長年の確執を抱えた凄腕の同僚(キーファー・サザーランド)。壮絶な追跡劇の中、主人公は自身の濡れ衣を晴らすため、独自に真犯人を探し始める。

『ザ・センチネル』は気軽な娯楽映画で、適度なリアリティをもつアクションを、バランスよく配合してある。そのほかにも、恋愛あり、政治シミュレーション的な面白さありと、色々詰め込んである。

60点
外国映画を見る醍醐味を味わえる一本

近代的装備を身につけた現代の陸軍が、16世紀にタイムスリップしたらどうなるか。そんな、いまだかつてない斬新なアイデアを、ミン・ジョンギ監督は(千葉真一の映画ではなく)朝鮮の古い歴史書から思いついたという。彼はやがてそれを、歴史SF軍事アクションとして映画化した。それが韓国の『天軍』だ。

この映画、冒頭から凄い。北朝鮮と韓国が歴史的和解をし、金正日と金大中が仲良くしている映像から始まるのだが、その後なんと彼らは、南北連合軍として極秘地下施設で核ミサイルの共同開発に成功する。やがてその、米国の早期警戒システムでさえ探知できない(!)世界最高のハイテクミサイルシステムの完成を知った悪の大国、日米中は、強大な軍事力に物を言わせ、その引渡しを要求してくるのだ。相変わらず韓国映画界は、妄想のスケールがでかい。もちろん、反日、反米発言も目白押しだ。

その後、色々あって(これもまた面白いので、ぜひ皆さんご自身の目でお確かめになってほしい)この南北連合軍は、新型核弾頭と共に1572年の朝鮮時代にタイムスリップ。そこで彼らは、民族の英雄、李舜臣(り・しゅんしん=イ・スンシン と読む)の若いころに出会う。

60点
お涙頂戴がくどすぎ

福島県いわき市に、かつて常磐ハワイアンセンターと呼ばれた温泉リゾート施設があった。現在でも、スパリゾート・ハワイアンズとしてリニューアルし、全国のこの種の施設が軒並み苦戦する中、活況を呈している。

なぜいわき市なのにハワイなんだと、その名を聞くたびに突っ込みたくなるが、実はこの施設のはじまりには、時代から消え行く炭鉱業のみで生きてきた町の人々が、新たな人生のために大きな賭けをした、感動的なドラマがあった。その実話の映画化が『フラガール』。これを見た後じゃ、ハワイを名乗るとは安直だなあ、なんて感想は二度といえない。

時代は、エネルギー源が石炭から石油に代わりつつある昭和40年。いわき市の常磐炭田も、閉山が相次ぐ全国の他の炭鉱同様、大不況を呈していた。町の人々も、長年町の経済を支えてきた炭鉱業にしがみつく保守的なグループと、湯量豊富ないわき湯本温泉を利用したリゾート施設の建設に賭けるグループに分かれていた。後者の人々は、名門の松竹歌劇団にいたダンサー(松雪泰子)を東京から呼び寄せ、町の少女たちにフラを教え、施設の目玉にしようと画策する。

60点
ハダカの女子高生が丸焼けになるのを爆笑して楽しむ、とにかく悪趣味な映画

『ファイナル・デスティネーション』(2000)、『デッドコースター』(2003)に続くシリーズ第3弾。このショックホラーシリーズは、まったくもってシャレにならない危険な映画であり、心臓を患っている方や妊婦の方は、絶対に見てはいけない。特に第2弾の『デッドコースター』は最悪だ。歩いていて後ろから突然意地の悪い友人に「わっ!」と驚かせられるような、寿命の縮むショックシーンが連発。数々の事故シーンは最新鋭のCG技術を駆使した超リアル志向で、経験者はトラウマ確実だ。

シリーズの基本的展開はすべて同じで、予知夢で事故を予測した主人公が、とっさの機転でいったんは自分と友人らを救うところから始まる。しかし死の運命からは決して逃れられず、すぐに一人ずつ、順々に残酷な事故死を遂げていく。自分の順番が迫りくる中、果たして主人公は助かるのか? というもの。

このパート3もその点は同じ。主人公はウェンディという女子高生で、ジェットコースターの凄惨な脱線事故から一度は生還する。その後、忍び寄る死の運命に対峙するわけだが、前作までと違うのは、彼女はひとつ、大きな武器を得るという点。それは「被害者が写った写真には未来の事故のヒントが隠されている」という事実を知ったこと。この情報を最大限に利用し、ウェンディは運命を変えようと試みる。

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