「前田有一の超映画批評」をランキング形式で紹介するサイトです。 週末の映画選びなどにご利用ください。

2121件中 1101~1150件 を表示しています。
60点
スキンヘッドな暗殺者・全員集合

『ヒットマン』は、(ヒット作だが)洋物ゲームが原作という、日本では集客面での不利を抱えている。そのため「女子を助ける暗殺者」との共通点をむりやりこじつけ、「名作『レオン』を彷彿とさせるエモーショナルドラマ」などと宣伝

されている。担当者の苦悩が垣間見える瞬間である。

孤児を暗殺者に育てあげる闇組織でダントツの能力を誇った"ナンバー47"(ティモシー・オリファント)は、ロシアの政治家の暗殺依頼を受ける。首尾よく狙撃に成功したと思ったが、組織からの報告では相手は生きており、おまけに娼婦ニカ(オルガ・キュリレンコ)に現場を目撃されたので消せという。不審を抱いた47は命令を無視、自分と似た境遇のニカを守りながら、真相解明に挑むのだった。

60点
NYの未曾有の大災害を記録した奇跡のホームビデオ映像

徹底した秘密主義で公開まで突っ走ってきた『クローバーフィールド HAKAISHA』。もしあなたがこの映画を映画館で楽しみたい

なら、少しでもネタバレを食らう前に見に行く必要がある。

もともとこれ、アメリカでは今年2008年の1月に公開されたもの。超話題作『トランスフォーマー』上映前の匿名予告編を皮切りに、

60点
裏卓球界ナンバーワンを決めるピンポンデスマッチ

ハリウッド史上初?の卓球エンタテイメント『燃えよ!ピンポン』を見ると、いまのアメリカ映画界の変態っぷりがよくわかる。

かつての天才卓球少年で、今はメタボ中年のランディ(ダン・フォグラー)。彼は場末のステージで曲芸ピンポンを披露して糊口をしのいでいたが、ある日FBI捜査官から中国系マフィア組織の開催する卓球大会に出てくれと頼まれる。そこで組織のボス(クリストファー・ウォーケン)を逮捕する段取りだというのだ。しぶしぶ承諾したランディは、しかしさび付いた腕を磨きなおすため、まずは盲目の老師とそのセクシーな教え子(マギー・Q)に弟子入りする。

目が見えない卓球の達人とか、4人の男を同時に相手にして圧倒する女卓球選手とか、のっけからバカげている。しかもランディが目指す大会とやらは、裏卓球界のトップを決める大イベントで、敗北=即死のデスマッチときた。ほとんど漫画バキの世界である。

60点
アル・パチーノ先生の命はあと88分

『88ミニッツ』は、作り手の努力と熱意のわりにその凄さが伝わらない、一人相撲なサスペンスだ。

FBI異常犯罪分析医ジャック・グラム(アル・パチーノ)が、9年前に決定的な判断を下して有罪に追い込んだ連続猟奇殺人犯フォースター(ニール・マクドノー)の死刑執行直前、同手口の殺人事件がおきた。被害者はジャックの教え子で、しかもフォースターは犯人ではないとのメッセージが残されていた。捜査当局やマスコミが騒然とする中、ジャックの携帯が鳴り「お前の命はあと88分だ」と宣告される。

哀れなアルパチーノ先生は、しかしまぎれもない切れ者。冷静かつ論理的な推理力により、卑劣な脅迫犯および殺人犯へ逆に迫っていく。よくよく考えてみると、単に手当たり次第に周りを犯人扱いして右往左往しているだけに見えるが、あえてそこは大人のスルー。

60点
伊坂幸太郎の魅力全開! だそうだ

いまや映画界で大人気の作家・伊坂幸太郎の連作短編集『死神の精度』が、ついに実写化された。映画化を何度も断り続けた伊坂氏が、金城武主演ならと承諾したとのこと。結果、"Sweet Rain"というイカす題名がついた、見事な珍作に仕上がった。

不慮の死を遂げる人間の前に現れ、7日間の観察のあと、実際に死なすか否かを決める死神のチバ(金城武)。今回の対象は、27歳のネクラなOL藤木一恵(小西真奈美)だ。いつもは迷わず"実行=死"を選択するチバだったが、あまりに薄幸な彼女の姿を見て、ほんの少し"見送り=生かす"へ心を動かされる。

ファンにとって念願となる傑作の映画化は、伊坂ワールドの魅力全開! と喧伝されている。B級ラブコメくずれが伊坂ワールドだと言うのなら、まことに的確な表現である。

60点
瞬間移動で、お金も女の子もゲットしまくり

望むところへどこへでも行ける瞬間移動=テレポーテーションの能力があったらどんなにいいか。『ジャンパー』の主人公は、そんな私たちの(ちょっとイケナイ)妄想を、次々とやってのける。

主人公デヴィッド(ヘイデン・クリステンセン)は高校生時代、自分に瞬間移動の能力が備わっていることを偶然知る。やがて成長した彼は、銀行の金庫室からせしめた大金で、実家を出て自由気ままに暮らしはじめた。今では、毎日エジプトのスフィンクスの上でコーヒーブレイク、パリもローマも行き放題。しかし、まだデヴィッドは知らなかったが、この世には彼のような"ジャンパー"の存在を許さず、ひたすら命を狙う集団がいるのだった。

この主人公は、高畑くんのいないエスパー魔美のようなもの。後先考えず超能力を使いまくり、バカ行動に歯止めがかからずあら大変、となる。主人公がアホすぎる上、まったく成長しないので、違った意味でギャグ映画にしか見えない。

60点
友人の違法な人工妊娠中絶につきあう女子大生の一日

ルームメイトの中絶手術を手助けする女子大生の、長い一日を描いた『4ヶ月、3週と2日』は、ルーマニア映画として初めてカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞した。

1987年のルーマニア。大学生オティリア(アナマリア・マリンカ)は、同室のガビツァ(ローラ・ヴァシリウ)の中絶手術を手伝うべく、二人で準備をしていた。恋人から金を借り、安ホテルに向かったオティリアは、予約したはずの部屋が取れておらず狼狽する。しかも体調不良のガビツァからは、手術を頼んだモグリの医者を代わりに迎えにいってくれと頼まれる。オティリアにとって、想像以上につらく苦しい一日が始まった。

中絶する本人ではなく、友達として彼女の世話をする女の子の物語。彼女が、本人以上に苦しい思いをするのはなぜなのか。どうしてそこまで尽くすのか。そもそも妊娠させた相手は誰なのか。なぜ出産ではなく、怪しげなヤミ医者で中絶するのか。

60点
華やかな芸能界から悲惨な戦場まで

全裸のジョン・レノンが服を着たオノヨーコに抱きついている、誰もが一度は見たであろう有名な写真がある。あれは1980年12月8日の朝に撮影した写真で、ジョンはその4時間後に銃撃されこの世を去った。本作はこの"最期の日の写真"を撮影した女流カメラマン、アニー・リーボヴィッツの半生を描くドキュメンタリー。

彼女は世界中の有名人の間でもっとも人気のあるカメラマンの一人であり、作中の関係者の言葉を借りれば、ニコール・キッドマン(いわずと知れたハリウッドのトップ女優)を撮影したい場合、彼女以外の撮影者が依頼すると翌月になるが、アニーであればその日の夜にやってくる、というほど尊敬を受けている。

ジョン・レノンのポートレート以外の代表的な仕事としては、ヴァニティ・フェア誌の表紙を飾った女優デミ・ムーアの妊婦ヌード、ゴルバチョフ元ソ連大統領を起用したルイ・ヴィトンの広告など、世間を騒然とさせる作品で知られている。

60点
心臓手術中に殺人事件発生?!

現役のお医者さんという強力な武器をひっさげて2005年に登場した作家、海堂尊は、デビュー作の『チーム・バチスタの栄光』から日本ミステリ界を快進撃。はやくも今回、初の映画化に恵まれた。

拡張型心筋症に有効な"バチスタ手術"において、天才的な腕を持つ外科医・桐生恭一(吉川晃司)。彼が率いる医大の専門チームは、"チーム・バチスタの栄光"と称され、通常6割の成功率といわれるこの手術で26連勝の快挙を達成していた。ところがここ数例、彼らは立て続けに失敗してしまう。女医・田口公子(竹内結子)は原因調査にあたるが、突然現れた厚生労働省の高級官僚・白鳥(阿部寛)は、「これは殺人である」などと言い出すのだった。

さて、中村義洋監督というと、前作『アヒルと鴨のコインロッカー』(06年)のヒットが記憶に新しい。伊坂幸太郎の代表作に続き、今回も(広義の)ミステリの映画化を担当することになったわけだ。どちらも平均よりやや上の映像化といって良いが、この人はどうも詰めが甘い部分がある。

60点
両親が突然左翼活動家になってしまった9歳少女の受難

タイトルのフィデルとはキューバの国家元首フィデル・カストロのこと。フランスのアッパーミドル一家のお嬢様だった9歳の少女が、共産主義にのめりこんだ両親のせいでその暮らしが一変してしまい、その不満を一言にしたタイトルだ。

1970年のフランス、パリ。雑誌記者の母(ジュリー・ドパルデュー)と弁護士の父(ステファノ・アコルシ)、無邪気な弟(バンジャマン・フイエ)となに不自由なく暮らす9歳のアンナ(ニナ・ケルヴェル)は、カトリック女子小学校に通う優秀な生徒だ。そんな我が家にあるとき、父の故郷スペインのフランコ独裁政権から逃げるように叔母と従姉妹がやってくる。彼女らの影響で共産主義活動に目覚めた両親は、子供たちをほっぽらかしてチリで左翼政権樹立のため奔走。やがて暮らしは貧窮し、アンナたちは狭いアパートで他の活動家と共同生活するハメになる。「前の暮らしが大好きだったのに、私たちどうしてこんな目にあわなきゃならないの?!」

70年代の混沌とした世界情勢、そして左翼運動に興味がある人向け。親のワガママに振り回される少女の成長物語としても見られるが、ジュリー・ガヴラス監督は初長編とあってか、不器用で中途半端な印象。

60点
パラダイスに住むエンジェルの、ほろ苦い人生

男性でありながら、オンナ以上に女性の内面を鋭く描くフランソワ・オゾン監督。その類まれな感性は、もしかしたら彼自身ゲイである事が寄与しているのかもしれない。この最新作『エンジェル』も、多くの共感を集めそうな女性映画だが、オゾン作品としては珍しく全編英語で、25億円もの予算をかけたコスチュームプレイ(豪華衣装が見所の時代ドラマ)となっている。

20世紀初頭の英国。上流階級に憧れる少女エンジェル(ロモーラ・ガライ)は、貧しい現実から目をそむけるようにロマンス小説を書き綴る。それはやがて有力な発行人(サム・ニール)の目に留まり、出版された作品はベストセラーに。望んだ暮らしを手に入れたエンジェルだが、はたしてその先に幸せな人生が待っているのだろうか。

読書嫌いの下層階級の少女が、リサーチもせず想像だけでセレブな暮らしを書いた小説だけに、「シャンパンをコルクスクリューで抜く」といったおかしな描写を指摘される場面がある。ところがエンジェルは、「句読点ひとつ書き換えない」と言い張り、発行人と観客を仰天させる。その傲慢な性格(かつ世間知らずっぷり)がよく現れた瞬間だ。

60点
フルチンヒーロー大活躍

映画が大ヒットしたこともあって、本格ファンタジーというと『指輪物語』を思い浮かべる人が多いと思うが、その作者J・R・R・トールキンは、現存する最古の英語叙事詩「ベオウルフ」の研究者であり、作品にそのエッセンスを生かしたといわれている。『ベオウルフ 呪われし勇者』は、過去にも何度か映画化されているその英雄叙事詩を、パフォーマンス・キャプチャーの技術を用いて映像化した作品。

パフォーマンス・キャプチャーとは、役者の動きをコンピュータに取り込むモーションキャプチャーを、より精密緻密にしたものと考えればよいだろう。平たく言えば、気持ち悪いくらい実写そっくりなCGアニメ、だ。ロバート・ゼメキス監督は、04年に『ポーラー・エクスプレス』でも、同じ技術を使っている。

デンマーク王(アンソニー・ホプキンス)の宮殿に、宴の騒ぎを嫌った巨大な化物グレンデルが襲い掛かった。甚大な被害を受け途方にくれる王たちの前に、海の向こうから勇者ベオウルフ(レイ・ウィンストン)が仲間とともにやってくる。誇り高いベオウルフは、栄誉のため怪物退治に名乗りを上げ、おとりとして再び宴を開くことを提案する。

60点
国連・国際刑事裁判所の活動現場に興味がある人に

国際連合という組織に対し「国家の枠組みを超えて世界平和の実現を目指している」などと幻想を抱いている人たちにとって、このドキュメンタリーはいくらか期待にこたえてくれる。

タイトルのカルラとは、カルラ・デル・ポンテという女性の名前。彼女は旧ユーゴスラヴィア国際戦犯法廷(ICTY)という国連組織の検事長として活躍する人物だ。ICTYとは旧ユーゴで起きた戦争犯罪人を裁くために作られた国際刑事裁判所で、彼女は日夜世界中を駆け巡って『カルラのリスト』に載った犯人たちの手がかりを探している。

人道に対する罪、というと近代史に多少詳しい日本人にとっては、あの悪名高い東京裁判での事後法を思い出すが、それを堂々と対象犯罪に入れているこの組織も本質的には変わらない。彼女らが追う犯罪人は、それを匿う当事国の政府や組織にとっては、犯罪者どころか逆に英雄扱い。そんな連中をテロ支援国家と決め付けるのもひとつの正義だが、現実には彼らにもまた別の正義が存在する。

60点
抜群のストーリーテリング

家族には大きく分けて2種類ある。いわゆる遺伝子上のつながりがある肉親と、血はつながっていないが家族同然の存在。養子の類もこちらに含まれるだろうか。赤ちゃんポストの概念を発明したり、不妊というわけでもない有名人が積極的に養子を迎えるなど、後者を受け入れる土壌が広まっている欧米に比べると、現代日本は比較的血縁を重視する印象だ。婚外子への相続差別など、法律上にもその痕跡が残っている。

また、国や民族の違いに限らず、収入や家柄によっても"血"にこだわる度合いは違ってこよう。『アフター・ウェディング』は、そんな富豪のきまぐれに振り回される、ある中年男の物語だ。

万年貧乏なインドの孤児院で働くデンマーク人のヤコブ(マッツ・ミケルセン)。ある日、彼のもとに本国の実業家から巨額の寄付金の申し出が届く。条件はヤコブ本人との面談。怪訝に思いつつ帰国した彼は、そのまま実業家の娘の結婚式にむりやり出席させられるが、会場には意外な人物が立っていた。

60点
外見はいい、内面があと少し

遠い未来、クローン技術が普及した社会における仮定の話。顔面を含めた体のほとんどが機械になってしまったオリジナル彼氏と、100%生身のクローンが同時に存在したとしたら、あなたはどちらを選ぶだろうか。『APPLESEED アップルシード』(04年、日)の続編となる本作のヒロインは、そのような三角関係に巻き込まれる。

前作から7年後の西暦2138年、中立都市オリュンポスでは人間、サイボーグ、そしてバイオロイド(クローン)が共存していたが、いまだテロリズムを根絶するにはいたっていなかった。ヒロインのデュナン(声:小林愛)は、最新鋭のサイボーグであり恋人のブリアレオス(声:山寺宏一)と特殊部隊ES.W.A.T.でコンビを組み、治安維持にあたっていた。ところがある日、新パートナーのテレウス(声:岸祐二)の顔をみてデュナンは激しく動揺する。彼は人間だったころのブリアレオスの遺伝子から作られたバイオロイドだったのだ。

デュナンの恋人ブリアレオスは、戦闘中の負傷により人間だったころの面影などまったくない機械的な人工ボディになってしまっている。だが、テレウスは違う。彼の性格、外見は、かつて普通の恋人同士として愛し合ったブリアレオスそのものだ。デュナンにとって、いまでもオリジナルのサイボーグ・ブリアレオスとの心の結びつきは強い。だが、まだ若い女の子である彼女には、肌を寄せ合った時のぬくもりなど、決してそれだけで埋められぬ要素も少なくあるまい。

60点
とても食べあわせが悪い

『HERO』や『リーサル・ウェポン4』などの大ヒット作に出演、本物の少林拳の使い手として人気のジェット・リー。一方『トランスポーター』等で、元水泳の飛び込みトップアスリートらしい華麗な身のこなしを見せたジェイソン・ステイサム。この二人のアクションスターが共演となれば、かつてない凄いものを見せてくれるに違いない。本作品を見る前に多くの人が思うであろうそうした期待は、しかしいろいろな意味で裏切られる。

サンフランシスコのFBI捜査官クロフォード(ジェイソン・ステイサム)は、3年前に相棒とその家族を殺した裏社会の伝説的な殺し屋ローグ(ジェット・リー)が、再びこの街に舞い戻ってきたことを知る。中国マフィアと日本ヤクザの抗争が激化する今、ローグの真の狙いは何なのか。復讐に燃えるクロフォードは、徐々にローグに迫っていくが……。

日本のヤクザ社会が主な舞台となるので、日本人の観客にとっては退屈しない映画だ。しかも、洋画にありがちな"ヘンな描写"が多数。ヤクザの親分を演じる石橋凌以外、日本語の台詞すら怪しいという有様であるから、ほかは推して知るべし。奇妙なセットや風習など、それは見てのお楽しみだ。

60点
次は製作費100億円の大作で

わが国の安倍晋三首相は、美しい国にはあまりふさわしくない、みっともない格好で退陣してしまったが、もしアメリカ大統領が何者かに暗殺され、突然いなくなってしまったらどうだろう? この映画は、そんな不謹慎な想定のもとに、米国内の情勢を予測した擬似ドキュメンタリー(=モキュメンタリー)だ。

映画は大統領警護主任や補佐官、容疑者の妻らへのインタビューを中心に構成される。役者はみな無名、しかも脚本の全容を知らされずに撮影したとあってやたらとリアリティがある。途中にはさまれる実際のニュース映像の画質などは、監督の偏執的なまでの微調整によって、新規撮影部分との違和感が徹底して埋められている。

そうそう、この映画は『大統領暗殺』という邦題だが、宣伝会社は『ブッシュ暗殺』にすべく最後まで頑張ったという。結局、映倫の審査拒否によりその夢は破れたが、じっさい本作の内容は、アメリカ合衆国第43代大統領、ジョージ・ウォーカー・ブッシュを映画の中で(本人にはもちろん無断で)ブチ殺してしまうという、とんでもないものである。

60点
面白くて飽きないが、それだけ

スリラーやサスペンスでは、脚本が映画そのものの出来を大きく左右することについては異論のないところだろう。ベテラン脚本家のラリー・コーエンの場合、このサイトでもオススメした『フォーンブース』(02年)、『セルラー』(04年)と、近年その分野で変わらぬアイデアマンぶりを発揮しており、その最新作である本作にかかる期待もおのずと大きいものになる。

トップモデルのジェニファー(エリシャ・カスバート)は、見覚えのない部屋で目覚める。彼女は何者かに拉致、監禁されてしまったのだ。必死に脱出を試みるが部屋は密室で、しかも犯人がどこかから監視しているらしい。八方ふさがりの状況下、ジェニファーは剥がれ落ちた壁の塗料の先に、意外なものを発見する。

謎だらけの冒頭から、見るものをひきつけて離さない。美人でスタイル抜群のヒロインが味わう恐怖と、必死に抵抗する姿に観客は思い切り感情移入し、その行方を固唾を飲んで見守る体験型スリラーだ。

60点
端々から感じられる不気味な違和感の正体とは?

アメリカで製作の話が進む『新世紀エヴァンゲリオン』実写版に先駆け、オリジナルテレビアニメ版の主要スタッフ・キャストによる"リビルド"3部作が作られることになった。その期待の一作目がこの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』。

テレビ版ダイジェストの劇場用Zガンダム3部作がヒットしたため、エヴァンゲリオンで二番煎じをするのかなと、当初私は思っていた。実際普通にみれば、「なんだよ、テレビん時と同じじゃん、見る価値無し」で終わってしまいかねないほど、ストーリーも絵柄も同じである。

映画版ストーリーの具体的な流れとしては、シンジが召集されるトコから始まり、日本中の電力を戦略自衛隊の長距離砲に集中させ、使徒ラミエル(青いプリズム体みたいなヤツね)を狙撃するヤシマ作戦までが描かれる。

60点
火災を経て不気味さを増した伽椰子屋敷が必見

『呪怨 パンデミック』は、清水崇監督が日本人監督として史上初の全米興行成績一位を取った『THE JUON/呪怨』の続編だが、その副題の意味するところも含め、終わってみれば現在製作中のパート3へのつなぎ的位置づけの作品ということがよくわかる。しかし、だからといって退屈ということはまったく無く、見ている間大いに楽しめる(怖がれる?)優れたホラー作品である。

インターナショナル・スクールに通うちょっとイケてない少女アリソン(アリエル・ケベル)は、正反対のタイプの同級生ヴァネッサとミユキ(宇野実彩子)に連れられ、幽霊屋敷と評判の一軒屋にやってくる。火災の跡も痛々しいその家の押入れにふざけて閉じ込められたアリソンは、そこで恐ろしいものを見る。じつはその家こそ、かつて佐伯伽椰子(藤貴子)とその息子の俊雄が虐殺された、怨念に満ちた家であった。

呪怨シリーズではおなじみ、いくつかのエピソードを平行して描き、マシンガンのようにテンポよくつないでいくパターンだが、今回はそれぞれの話が有機的なつながりを持ち、ちょっとした仕掛けもあって楽しませてくれる。

60点
海嫌いを増やすシリーズ第2弾

2年前、当サイトでもオススメしたシチュエーションスリラーに「オープン・ウォーター」という作品があった。ダイビングツアー側が人数を数え間違えたため、大海原のど真ん中に取り残されてしまった哀れなカップルの、とてつもなく怖い話であった。

『オープン・ウォーター2』は、あの傑作の続編……というわけではまったくなく、タイトル以外中身は何の関係もない独立したスリラーである。

メキシコ湾に集まった旧友たち6人は、出世頭のダン(エリック・デイン)の豪華ヨットでクルーズに出かけた。やがてヨットははるか沖に達し、はしゃぎまわる若者たちは一人また一人とエメラルドグリーンの海へと飛び込んでいく。そして最後の一人が海に入ったとき、彼らは甲板に戻るためのハシゴをおろし忘れていたことに気づくのだった。

60点
そうは見えないが、実際のところは偏った内容

夏になると戦争映画の公開が増えてくるのは、8月15日を終戦記念日とする日本の特徴だ。しかしこの特攻映画の監督は意外なことにアメリカ人。これはいったいどうしたことか。答えは簡単、この映画の監督リサ・モリモトは、その名から想像できる通り日系人。自らのルーツと決して無関係でないこのテーマを選び、今回ドキュメンタリーとしてまとめたというわけだ。

そんなわけで本作最大の見所、特徴は、「9.11テロを体験した典型的アメリカ価値観を持つ日系人、それも若い女性から見た特攻隊の解釈」ということになる。

取材形式と構成は昔ながらの伝統的な方法。すなわち多くの関係者へのインタビューを複合的に交えていくというものだ。唯一ユニークなのは、映画の最後に短めの再現アニメがくっついている点。このアニメーションはなかなか良くできていて、出撃の恐怖感、臨場感がよく伝わってくる。

60点
反日ではない、これは反在日映画だ

井筒和幸監督といえば、かつては青春エンタテイメントの名手とのイメージが強かった。その後、紆余曲折を経て毒舌評論家としてお茶の間で人気となったのはご存知のとおり。しかし、拉致問題で北朝鮮を擁護するような発言をするなど、最近では朝鮮半島寄りの左翼映画人としても知られている。

その印象を強める原因ともなった前作『パッチギ!』(04年)では、在日少女と日本人青年のロミオとジュリエット的恋愛を描き、好評を得た。タイトルは朝鮮のことばで頭突きの意味。その言葉どおり迫力ある喧嘩シーンが見所のパワフルな青春ムービーだったが、その主人公一家の6年後を描く続編がこれだ。

ときは1974年、番長格で鳴らした朝鮮学校を卒業して、今では幼い息子チャンス(今井悠貴)を男手ひとつで育てる主人公の在日青年アンソン(井坂俊哉)。彼はチャンスの難病を治すため、一家と共に東京にやってきた。妹のキョンジャ(中村ゆり)は治療費を稼ぐため芸能界に入り、出自すら明かせぬ差別社会の中で必死の努力を続けている。一方アンソンは、自分を助けるため国鉄をクビになった気のいい日本人佐藤(藤井隆)を連れ、危険な裏の商売に手を染めはじめる。

60点
前半は良かったが徐々に失速

二ノ宮知子の漫画『のだめカンタービレ』と、それを原作にしたアニメ、ドラマのヒットに代表されるとおり、昨今はクラシック音楽ブームといわれている。そんな『のだめ』以前に「漫画アクション」で連載されていたさそうあきらによる音楽漫画が「神童」、本作の原作である。

音大を目指す浪人生の和音=ワオ(松山ケンイチ)は、毎日実家の八百屋の二階で下手なピアノを練習して、近所からどなり倒される日々。そんなとき商店街を通りがかった恐れ知らずな14歳の少女うた(成海(なるみ)璃子(りこ))は、勝手に部屋に上がりこんでプロ級の演奏を披露する。その日から、なぜかワオの家を気に入り通いつめるようになる彼女。言葉より先に楽譜を覚えた天才少女のうたは、指の怪我を恐れて体育すら受けさせない母やまわりの大人たちにウンザリしていたのだった。

大学生と14歳少女の交流の物語だ。怒鳴られる青年と過保護にされる少女。才能の有無により両極端な環境で過ごす二人は、互いの持ち物をうらやみながらも、補完的なその境遇のおかげで急速に距離を縮めていく。良い影響を与え合い、二人とも成長していく様子が伝わってくる(どちらかというと、影響を受けているのはむしろワオの方ばかりであるが……)。

60点
ゴージャスなオフザケ映画

『大帝の剣』は、CG技術が進んだ今でなくては作れない、逆に言えば今だからこんなにサラリと作れたんだなと思わせる一本だ。原作は夢枕獏の同名小説。奇想天外を突き詰めたようなぶっ飛んだ展開で、作者自身も続きが思いつかなくなったのか、長年未完のまま放置されているシリーズである。

ときは3代将軍家光の時代。古くから、3種の神器を手にしたものは世界を制するといわれてきた。そのひとつであるオリハルコン製の巨大な剣を手に各地を放浪する剣士、万源九郎(よろず げんくろう 阿部寛)は、いまだ幕府に抵抗する豊臣方の姫(長谷川京子)と出会い、そのボディガードがてら行動を共にする。ところが美しきこの姫は、神器を狙う謎の宇宙人に寄生されていたのだった。

時代劇かと思いきや、スタートレックも真っ青の宇宙戦争の場面から映画は始まる。さあさあ皆さん、この映画はジャンルを超えた滅茶苦茶をやるよ、と宣言しているわけだ。

60点
イメージを壊さず昔ながらの鉄人の魅力を伝えてくれる

横山光輝による漫画「鉄人28号」は何度も映像作品になっており、上は50代から下は10代まで幅広いファン層を持つ。こうしたコンテンツは、たいへん貴重かつ優良だ。たとえば、普段は映画など見ない家庭で子供がケロロ軍曹を見に行きたいと言っても、お父さんはなかなか重い腰を上げようとはしないだろう。しかしそれが鉄人28号であれば、「ほう、そういえばオレが子供の頃もやってたな。どうせ子供につき合わされるならこっちの方を見るか」となる。そんなわけでこうした吸引力のあるコンテンツは、大事に大事に育てていかなくてはならない。

しかし、最新のCG技術をふんだんに使い、満を持して公開された2004年の実写映画版は、雑な脚本と原作を大きく逸脱した世界観により、あらゆる年齢層のファンからそっぽを向かれた稀代の失敗作となった。

今回公開されるこのアニメーション版は、ちょうどそのころ放映されていた鉄人フリークの今川泰宏監督によるテレビアニメ版の劇場用となる。予定より大幅に公開が遅れてしまったのは残念だが(子供向けアニメは放映終了から間がたつほど視聴者が成長して離れていってしまう)、テレビアニメ版の評判がすこぶる良かったため、本作は大きな期待を寄せられている。

60点
主演4人の誰かのファンの人に

いまどきラブストーリーなどというものは、その骨格はどれも同じであとはどう装飾するかだけが勝負といっても過言ではない。とくにハリウッドには、この手の映画にぴったりな世界的人気のあるスターが多数いるから、あとはいかに変わった(ロマンティックな)シチュエーションを用意するかが問題となる。

当代きっての4大人気俳優によるWカップルラブストーリー「ホリデイ」は、その題材として「ホームエクスチェンジ」を前面に持ってきた。これは、遠く離れた他人同士がインターネットを介在し、お互いの家を一定期間交換しあうという旅行形態の事だ。

ヒロインの一人アイリス(ケイト・ウィンスレット)はロンドン郊外に住む新聞記者。便利な女扱いされながらも、いまだに元カレへの未練が捨てきれない。もう一人のヒロインアマンダ(キャメロン・ディアス)は、ビバリーヒルズ在住の会社社長。イケメン彼氏の浮気が発覚して別れたばかり。二人はネット上で知り合い、ホームエクスチェンジを行うことに。

60点
ちょいと予備知識が必要なミュージカル

今年の米アカデミー賞には、ブラッド・ピット主演『バベル』で印象深い演技を見せた日本の菊地凛子が助演女優賞にノミネートされ、大きな期待を集めている。しかし、彼女以上の本命といわれるのがこのミュージカル映画『ドリームガールズ』で圧倒的な歌唱力を見せつけるジェニファー・ハドソンだ。さて、主演のビヨンセ・ノウルズをさえ食ったと評判のその演技力はいかなるものか。

1962年のアメリカ、デトロイト。成功を夢見る少女3人のグループ「ドリーメッツ」が、人気歌手(エディ・マーフィ)のバックコーラスに抜擢された。メジャークラスの実力を持つリードボーカルのエフィー(ジェニファー・ハドソン)を中心にした3人に、無限の可能性を見たカーティス(ジェイミー・フォックス)は、全財産を「ドリーメッツ」のマーケティングにつぎ込むのだった。

さて、その甲斐あって彼女らは全米から注目を集めていくわけだが、あるときカーティスはエフィーにクビを宣告する。彼女は自分の恋人でもあったのだが、時代の先を読むカーティスは、伝統的でソウルフルなエフィーの歌より、キュートなルックスと声質のディーナ(ビヨンセ)をリードボーカルにグループを再編成することを企んでいたのだ。

60点
韓国中を席巻したドタバタラブコメ

本国において大ウケした映画が、日本ではまったく受けない。その映画を買ってきた映画会社にとってはせつない事だが、そんな事がこの世界ではままある。『家門の危機』も、韓国で記録的なヒットとなったコメディシリーズの第2弾だが、本国でのブームに比べたら、日本ではまったくといっていいほど話題になっていない。

家門の安泰を願う暴力団組織の女ボスは、いつまでも独身でいる長男(シン・ヒョンジュン)を心配している。しかし、じつは長男は女嫌いというわけではなく、かつての恋人(キム・ウォニ)を事故で失ったショックで、恋に臆病になっているのだ。そんなある日、駐車場で彼女にそっくりな女(キム・ウォニ…2役)を偶然助け、それを契機に二人は恋に落ちる。ところが彼女の職業はソウル地裁の検事。しかも暴力団対策のエースだった。

『大変な結婚』(2002年、韓国でのタイトルは『家門の光栄』)に続く、"身分違いの恋"をテーマにしたラブコメの第2弾だが、両者の邦題に関連がない事で想像できるとおり、両者はまったく独立した作品とみて問題はない。せめて前作が日本で大ヒットしていれば、本作の邦題もまた違ったのであろうが……。

60点
抜群に面白い設定

人が映画館に行こうと決意する理由はさまざまだ。スターが出ているとか、有名な監督の作品とか、この夏一番の話題作とか、それぞれであるが、そのどれでもない『unknown アンノウン』の場合は間違いなく、その奇抜なストーリー設定に惹かれて出向く方が大多数のはずだ。

主人公の男(ジェームズ・カヴィーゼル)が目を覚ますと、そこは廃工場だった。まわりには彼を含め、同じように眠っていた5人の男たちがいた。二階の手すりに手錠でつながれた瀕死の男、椅子に拘束された中年男、そして激しく争った形跡や、大量の血痕……。工場はすべての窓、出入口にカギがかけられており、彼らは完全に閉じ込められていた。どう見ても、尋常な状況ではなかったが、最大の問題は、全員が記憶喪失であるという点であった。

このなぞめいた、あまりに魅力的な密室状況。そこに一本の電話がかかってくるのだが、主人公が適当に話を合わせた結果、どうやらこの5人のうち何人かは誘拐犯の一味で、残りは誘拐された被害者であることがわかる。誘拐犯のボスらは日暮れ頃ここにやってくる。それまでにこの状況を打開しなくては、彼らのうち何名かには死、あるのみだ。

60点
最近の韓国映画としては珍しい、まっとうな恋愛ドラマ

今週は実話を元にした映画ばかりであるが、本作もそのひとつ。韓国で話題になった「HIV感染を知らなかった売春婦と、それでも彼女を愛しつづけた田舎の青年」の物語だ。

農村で牧畜業を営む素朴な中年男(ファン・ジョンミン)は、嫁不足の土地柄、結婚は半ばあきらめていたが、あるときスクーターで颯爽と走るさわやかな女の子(チョン・ドヨン)に一目ぼれ。近所のコーヒーショップに勤める彼女に、ストーカーも真っ青な猛烈なアタックを開始する。暗い過去を持ち、自分を汚れきった女と思っている彼女は、まっとうな人生を歩んできた彼との結婚に躊躇するが、やがてついにその愛を受け入れる。しかし、二人の前に彼女の元旦那が現れると、幸せな生活は音を立てて崩れ始める。

韓流恋愛映画は、不自然なまでにドラマティックな展開や、過剰なお涙頂戴がデフォルトとしてあるために、ここ日本ではごく一部のファン以外にはまったく相手にされていないが、この『ユア・マイ・サンシャイン』はそうした作品とは一味違う。

60点
ストーリーがもっと緻密に組み上げられていれば

浅田次郎は多作の作家で、『鉄道員』などその著作のいくつかは映画にもなっているが、1994年の『地下鉄に乗って』の評価は特に高い。地下鉄を重要な道具として展開するこのお話を、営団地下鉄改め東京メトロ全面協力で映画化したものが本作だ。

真次(堤真一)は、父親が倒れたとの報を受ける。実業家として世界的な成功を手にした父に、長年反発してきた彼が丸の内線を降りると、そこはなんと昭和39年の中野新橋だった。しかもその日は、兄が車にひかれて亡くなった日。やがて真次は地下鉄に乗ることで、現代と過去を行き来するようになる。不倫中の恋人(岡本綾)とともに、昭和を何度もさかのぼる中で、彼らは自分の親たちの生き様、本当の心と隠された愛情を知る。

タイムスリップを繰り返し、衝撃的かつ感動的なラストに向かって進む「時間超越もの」だ。ラストの驚きと、そこでの行動のもととなる心情の切なさはかなりのもので、高く評価したいところ。

60点
気軽にみられる政治サスペンス

合衆国秘密警察局、シークレット・サービスとは、大統領やその家族など、要人警護を主任務とする警察機関。映画でも何度も登場しているが、この『ザ・センチネル/陰謀の星条旗』も、そこを舞台にした政治アクションドラマ。中規模の予算による、娯楽性の高い作品だ。

レーガン大統領を暗殺から救ったベテランシークレットサービス(マイケル・ダグラス)に、大統領暗殺計画の容疑がかかる。その捜査を行うのは、彼と長年の確執を抱えた凄腕の同僚(キーファー・サザーランド)。壮絶な追跡劇の中、主人公は自身の濡れ衣を晴らすため、独自に真犯人を探し始める。

『ザ・センチネル』は気軽な娯楽映画で、適度なリアリティをもつアクションを、バランスよく配合してある。そのほかにも、恋愛あり、政治シミュレーション的な面白さありと、色々詰め込んである。

60点
外国映画を見る醍醐味を味わえる一本

近代的装備を身につけた現代の陸軍が、16世紀にタイムスリップしたらどうなるか。そんな、いまだかつてない斬新なアイデアを、ミン・ジョンギ監督は(千葉真一の映画ではなく)朝鮮の古い歴史書から思いついたという。彼はやがてそれを、歴史SF軍事アクションとして映画化した。それが韓国の『天軍』だ。

この映画、冒頭から凄い。北朝鮮と韓国が歴史的和解をし、金正日と金大中が仲良くしている映像から始まるのだが、その後なんと彼らは、南北連合軍として極秘地下施設で核ミサイルの共同開発に成功する。やがてその、米国の早期警戒システムでさえ探知できない(!)世界最高のハイテクミサイルシステムの完成を知った悪の大国、日米中は、強大な軍事力に物を言わせ、その引渡しを要求してくるのだ。相変わらず韓国映画界は、妄想のスケールがでかい。もちろん、反日、反米発言も目白押しだ。

その後、色々あって(これもまた面白いので、ぜひ皆さんご自身の目でお確かめになってほしい)この南北連合軍は、新型核弾頭と共に1572年の朝鮮時代にタイムスリップ。そこで彼らは、民族の英雄、李舜臣(り・しゅんしん=イ・スンシン と読む)の若いころに出会う。

60点
お涙頂戴がくどすぎ

福島県いわき市に、かつて常磐ハワイアンセンターと呼ばれた温泉リゾート施設があった。現在でも、スパリゾート・ハワイアンズとしてリニューアルし、全国のこの種の施設が軒並み苦戦する中、活況を呈している。

なぜいわき市なのにハワイなんだと、その名を聞くたびに突っ込みたくなるが、実はこの施設のはじまりには、時代から消え行く炭鉱業のみで生きてきた町の人々が、新たな人生のために大きな賭けをした、感動的なドラマがあった。その実話の映画化が『フラガール』。これを見た後じゃ、ハワイを名乗るとは安直だなあ、なんて感想は二度といえない。

時代は、エネルギー源が石炭から石油に代わりつつある昭和40年。いわき市の常磐炭田も、閉山が相次ぐ全国の他の炭鉱同様、大不況を呈していた。町の人々も、長年町の経済を支えてきた炭鉱業にしがみつく保守的なグループと、湯量豊富ないわき湯本温泉を利用したリゾート施設の建設に賭けるグループに分かれていた。後者の人々は、名門の松竹歌劇団にいたダンサー(松雪泰子)を東京から呼び寄せ、町の少女たちにフラを教え、施設の目玉にしようと画策する。

60点
ハダカの女子高生が丸焼けになるのを爆笑して楽しむ、とにかく悪趣味な映画

『ファイナル・デスティネーション』(2000)、『デッドコースター』(2003)に続くシリーズ第3弾。このショックホラーシリーズは、まったくもってシャレにならない危険な映画であり、心臓を患っている方や妊婦の方は、絶対に見てはいけない。特に第2弾の『デッドコースター』は最悪だ。歩いていて後ろから突然意地の悪い友人に「わっ!」と驚かせられるような、寿命の縮むショックシーンが連発。数々の事故シーンは最新鋭のCG技術を駆使した超リアル志向で、経験者はトラウマ確実だ。

シリーズの基本的展開はすべて同じで、予知夢で事故を予測した主人公が、とっさの機転でいったんは自分と友人らを救うところから始まる。しかし死の運命からは決して逃れられず、すぐに一人ずつ、順々に残酷な事故死を遂げていく。自分の順番が迫りくる中、果たして主人公は助かるのか? というもの。

このパート3もその点は同じ。主人公はウェンディという女子高生で、ジェットコースターの凄惨な脱線事故から一度は生還する。その後、忍び寄る死の運命に対峙するわけだが、前作までと違うのは、彼女はひとつ、大きな武器を得るという点。それは「被害者が写った写真には未来の事故のヒントが隠されている」という事実を知ったこと。この情報を最大限に利用し、ウェンディは運命を変えようと試みる。

60点
日本人、愛国心、国旗、国歌、そんなテーマを問い掛ける

熱い愛国者、森田健作が、長年温めつづけた企画を映画化。今の堕落した日本を嘆き、現代人に日本の本当の良さを再認識してもらうという、強いメッセージをこめた作品だ。

主人公の日系3世エミー(森本クリスティーナ)は、祖父の影響で大の日本びいき。高校卒業と同時に、彼女はついに憧れの日本に留学にやってきた。昔ながらの人情が残る下町の商店街で、八百屋を営む親戚(森田健作)の元に居候し、日本を見て回った彼女は、祖父から聞いた「礼儀と美の国」と現代日本、および日本人が、大きく異なっているのにショックを受ける。

冒頭20分間は、あまりに直接的でひねりのない、NHK教育テレビのような恥ずかしいドラマ演出にイタタな気分になるが、これに無理やり自分を慣らすことができれば、エミーが日本のヘンなとこに違和感を持っていくあたりから、なかなか面白くなってくる。

60点
普通に面白い子供アニメ

最大手ディズニーのライバル、ドリームワークス製作による、アメリカ製フルCGアニメーション映画。『シュレック』シリーズで知られるドリームワークスのアニメは、『シャーク・テイル』『マダガスカル』など、動物を主人公にしたものが多いが、本作もその例に漏れず、動物を擬人化した作品だ。

登場人物?は、とある森の動物たち。彼らは家族思いのカメ、ヴァーン(声:武田鉄矢、ギャリー・シャンドリング)を中心に、昔ながらの暮らしをはぐくんでいる。ところがある年、冬眠から目覚めてみると、森の周りは新興住宅地になっていた。エサ不足に悩む彼らの前に現れた、流れ者のアライグマ(声:役所広司・ブルース・ウィリス)は、自分と一緒に、うまい食べ物があふれる人間の家に忍び込み、盗めばいいと語る。危険を直感したヴァーンは反対するが、今まで食べたこともない美味なるスナック菓子をふるまうアライグマの口車に、ヴァーン以外の素朴な森の仲間たちは乗せられてしまう。

いま、人間の生活圏に野生動物が現れる問題が各地で起こっているが、その理由はこの映画のように、人間がとめどなく彼らのテリトリーを破壊し、侵しているためとされる。『森のリトル・ギャング』は、この問題を動物側の視点で描くことで人間社会を風刺し、同時にコメディとして成立させている。

60点
誤った歴史認識はどちらなのだろうか?

テポドンをはじめとするミサイル数発が北朝鮮から発射され、いま、東アジアの緊張は極度に高まっている。日本と朝鮮半島が抱える諸問題を中心に扱うドキュメンタリーとして、偶然にも、そんなタイミングで公開される映画が『あんにょん・サヨナラ』。日韓の市民が、共同で作り上げた作品だ。

内容は、先の戦争で、父親を亡くした李熙子(=イ・ヒジャ)さんという朝鮮人女性を追う形で展開する。彼女は、父親が自分の知らぬ間に靖国神社に祀られている事実を知り、ショックを受ける。そして分祀を求めて活動をはじめる。

この映画は、日本が韓国、北朝鮮、中国との間に抱えている歴史問題のほとんどを網羅した、盛りだくさんの内容になっている。靖国問題はもちろん、従軍慰安婦問題、南京大虐殺、強制連行などなど、歴史問題のフルコースといった趣きである。

60点
笑いと楽しさ満載の、なつかしゾンビホラー

『バタリアン4』なんていわれても、3作目からはもう13年も経っている。すっかり忘れていたところに、突然のシリーズ復活である。おまけに5もほぼ同時に作られ、あちらではすでに公開、大好評という。はてさて、これはどうした事だろうと思い、見に行ったところ、これがなかなか面白い。

廃棄されたはずの米軍の秘密化学兵器「トライオキシン5」が、チェルノブイリ原発の事故現場に隠されていた。やがて、ゾンビ兵士を開発して一儲けをたくらむ米企業がそれを入手、死者をよみがえらせる実験を繰り返す。主人公の高校生(ジョン・キーフ)は、バイク事故のあと行方不明になった友人が、この会社に運び込まれたことを突き止め、仲間とともに進入するが、すでに会社ビルの中はゾンビだらけであった。

この映画、チェルノブイリ原発ロケなどという快挙を成し遂げたにもかかわらず、情けないほどストーリーに生かせていないあたりが笑える。やはりB級ホラーたるもの、こういう無駄がなくてはならぬ。

60点
悪くはないが、ピクサー作品と同時期公開ではきつい

長編アニメーション映画『ブレイブ ストーリー』には、妙な悲壮感を感じてしまう。この作品の周りには、「とにかくヒットしたい、勝ちたい、負けられない、なんとしても、なんとしても!」という空気が漂っている気がするのだ。思うに制作会社のGONZOやフジテレビの頭の中には、常にディズニー&ピクサーや、ジブリ&日本テレビといった、業界の勝ち組たちの姿があったのではないか。

物語は、主人公の少年(声:松たか子)が、離婚のショックで倒れた母を救うため、願いをかなえてくれる女神さまを探すファンタジー。廃ビルの屋上にある扉を開くと、そこはまるで、剣と魔法のRPGの世界。彼はここで、ライバルの謎めいた同級生とすれ違いながら、女神さまを探すのだ。

ドラゴンボールよろしく、一つ一つキーとなるアイテムを集める過程で、彼は様々なモンスターや味方と出会い、成長する。女神に出会うころには、自身も気づかぬほど、少年は大人になっている。すなわち、誰もが受け入れねばならない、人生のある真実に気づくわけだ。それが感動を呼ぶ。

60点
予告編の反則度合いの高さも、十分楽しまねばならない

『君に捧げる初恋』には、なぜかのっけから男の尻ばかり出てくる。さらに、チン○だのなんだのといった下ネタや、やたらと殴る蹴る場面が続く品のなさに、何人かの観客は、観始めて30分もたつと早くも席を立ちたくなるであろう。韓国映画界のコメディスター、チャ・テヒョンと、『私の頭の中の消しゴム』で知られる清純派女優ソン・イェジンが共演した話題作にしては、意外なほど、つまらない出だしである。

しかし、である。できればもう少しがんばって、席に座っていてほしい。そこから数十分後にこの映画は大きく変貌を遂げ、韓国映画ファンを大喜びさせる王道の展開へと突き進んでいくからだ。

チャ・テヒョンが演じるのは、普段の優柔不断キャラとはちょっと違い、好きな女の子には頭が上がらないものの、思い込んだら一直線の、猪突猛進直情型の男の子だ。対するヒロインのソン・イェジンは、好きな男のためには水着姿で誘惑することもいとわない、これまでのおとなしい清純派とはかなり違ったコメディエンヌぶりを見せる。

60点
忠実なリメイクだが、オリジナルを上回る点なし

今週の作品はたいてい10日(土)公開であるが、この『オーメン』だけは6日(火)公開だ。なぜかといえば、この日が06年6月6日であるからにほかならない。そう、本作の公開日は、1000年に一度の6並びの日、なのである。『オーメン』を公開するなら、この日を置いてほかにない。

66年6月6日も6が並んでるじゃねえか、50年に1度だろ、という声もあるかもしれないが、6が3つだけ並ぶというのがこの映画のポイントだし、1000年期に1度だけと思えばありがたみも増すので、あまり深くは考えまい。

さて、ではなぜ6が並ぶとオーメンなのかといえば、この映画の主人公が、キリスト教の不吉な数字、「獣」をあらわす「666」の刻印を身に受けた「悪魔の子」であるからだ。6月6日6時に誕生したこの呪われた子供、ダミアンの周りで巻き起こる、不気味な事故、事件、現象のたぐいをショックシーン満載で描くのが、この恐怖映画「オーメン」である。

60点
いい線行っているが、終盤に失速

近年人気の若きミステリ作家、伊坂幸太郎の同名小説を映画化したもの。二転三転する終盤の展開と、日本離れした登場人物たちが魅力が娯楽映画だ。

ある銀行で、爆弾騒動が巻き起こる。ところが、そこに偶然居合わせた4人の男女はいとも簡単に騒動の真相を見抜いてしまう。彼らは互いの才能を認め、「俺たちが組んだら、もっと上手くやれる」と話を進め、やがて史上まれに見る鮮やかな手口の強盗犯罪チームとして、頭角をあらわしていく。

この4人の設定が面白い。他人の嘘を一発で見抜く男(大沢たかお)、秒単位まで正確な体内時計を持つ女(鈴木京香)、天才的なスリ(松田翔太)、そして、24時間でも話しつづけられるんではないかと思うほど演説達者な男(佐藤浩市)。最後の一人は、果たして特殊能力といえるのかどうかよくわからないが、ともかくこの4人が各自の才能を活かした銀行強盗を行うというのが、この映画のメインストーリーである。

60点
メリーさんは都市伝説ではなかった

90年代半ばあたりまでの時代、横浜界隈に出かけたことがあるならば、顔を真っ白に塗り、薄汚れたドレスに身を包み、荷物を持って歩いていた老婆を見た事のある人は少なくないはずだ。かくいう私も、何度か見かけたことがあり、「あの人は何なんだろう」と不思議に思っていた。

そのときの疑問が、まさかその後10年以上経ち、こうして映画批評家となり、都内の小さな試写室で一本の映画を観たときに氷解するとは、夢にも思わなかった。

じつは彼女こそ、ハマのメリーと呼ばれた伝説的な娼婦。映画『ヨコハマメリー』は、彼女の生きた昭和の時代を描くため、たくさんの証言者のインタビューで構成されたドキュメンタリーである。

60点
ファンタジー+ロマコメ?!

イギリスに、エマ・トンプソンという女優がいる。「ハワーズ・エンド」(93年)でアカデミー主演女優賞を、「いつか晴れた日に」(95年)では同じく脚色賞を受賞したという、才色兼備の人だ。

『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』は、クリスチアナ・ブランドによる原作童話『ふしぎなマチルダばあや』を気に入った彼女が、自ら脚本を書き、主演もして作り上げた感動的なファンタジードラマだ。またこの映画、製作スタジオが「ブリジットジョーンズの日記」や「ラブ・アクチュアリー」など、幸せいっぱいのロマコメを得意とするワーキングタイトルという点もポイントだ。

主人公は、7人の子供たちと彼らに振り回される父親(コリン・ファース)。子供らの母である妻を1年前に亡くした父は、次々と新しいナニー(乳母)を雇うが、常軌を逸した悪ガキぶりを発揮する子供たちのいたずらにより、全員がやめていってしまった。ところが、最後にやってきたナニー・マクフィー(エマ・トンプソン)は、不思議な魔法を使い、あっという間に子供たちを静めてしまう。

60点
姉萌え&自分視点を取り入れたエポックメーキング的アクション映画

ハリウッドではビデオゲームの映画化が大人気で、本作もその流れのひとつ。元となったゲーム、「Doom」シリーズ(映画版は3を原作としている)は、まだインターネットが普及する前から大人気の、パソコン用SFシューティングゲームだ。

ゲーム画面はプレイヤーの視点そのもので、敵を倒したりアイテムを探したりといった冒険を、臨場感を味わいながら楽しめるようになっている。このタイプのゲームは、今ではゲームセンターでも大人気だが、DOOMはそうした後発の作品にも大きな影響を与えたといわれている。米国ではあまりの人気に、ネットワークがパンク寸前になったり、宗教団体から残酷描写を非難されるなど社会問題にもなったほどだ。

さて、そのDOOMがいったいどんな映画になったかというと、これがまた実に見所たっぷりのバカ映画。まずはストーリーから紹介しよう。

60点
橋本真也、最後のファイトに号泣

プロレスラー力道山は、戦後の日本人にとってヒーローだった。彼は、アメリカ人レスラーを小さな体でなぎ倒し、街頭テレビで応援する日本人の観客に敗戦気分を忘れさせてくれた。彼が設立した団体、日本プロレスは、やがてアントニオ猪木の新日本プロレスとジャイアント馬場の全日本プロレスに分かれ、今もその戦いのDNAは受け継がれている。

そんな表の姿とは裏腹に、彼には様々な裏の顔があった。日本プロレスの役員の顔ぶれをみれば、昭和を代表する、名だたる裏社会の重鎮たちが顔をそろえているし、彼自身じつは朝鮮国籍をもつ朝鮮人であった。本作は、韓国映画界が渾身の力で送り出す、彼の伝記映画である。

映画は、国籍差別を受けていた力士時代から栄光のプロレスラー時代、そして有名な悲劇的最期まで、順に描いていく。力道山を演じるのは韓国俳優ソル・ギョング。『オアシス』で脳性麻痺のヒロインを愛する主人公を演じた本物の演技派だ。

60点
社会派映画ではなく歴史映画

冷戦終了後、最大の敵国を失ったアメリカの中央情報局(CIA)は、自らのアイデンティティーをも失いつつあった。衛星等からのシギント(電子情報)に頼り、ヒューミント(人的情報)を軽視、同時に中央政府との駆け引きのうまい官僚的な人間たちに牛耳られていったこの諜報機関は、9.11米国本土テロを許すほどに、没落していったのだという。

かつてこの組織のエース諜報員として、中東で命がけの任務に就いていたロバート・ベアが、自らの著書『CIAは何をしていた?』で明かす上記のような事実は、全米に衝撃を与えた。その著書をもとに、米国と中東産油国をめぐる、報道の表に出ない泥沼の関係、国際社会にひしめく陰謀を暴くのが、映画『シリアナ』。ハリウッドのリベラル映画俳優たちが、こぞって出演を希望した話題作だ。

ストーリーは非常に複雑で、ボーっとしているとあっという間においていかれる。何人かの機軸となる人物たちがいて、それぞれの物語が並行して進む。

60点
出し惜しみなしで『トップガン』以上の映像を

『トップガン』をはじめとするスカイアクションムービーは、航空マニアならずとも根強い人気がある。なかでも、一切の無駄を排した戦闘機のデザインは、兵器ならではの機能美があり、それが画面を飛び回る映像を見られるとなれば、誰しも興味を引かれるものだろう。

『ナイト・オブ・ザ・スカイ』は、フランス映画界が気合を入れて作った、本格戦闘機アクション映画。ハリウッド映画でしょっちゅう見かける、F-16、F/A-18、F-111といった米軍機でも、悪役として登場するロシア製のそれでもなく、フランス空軍の主力戦闘機ミラージュ2000が大活躍する。

物語は、英国の航空ショーから始まる。各国の戦闘機が並ぶ絢爛な会場から、仏空軍のミラージュ2000が盗まれる。迅速な調査の結果、飛行中の該当機を発見。空軍の戦闘機が即追尾し、やがて撃墜するが、撃墜した主人公パイロット(ブノワ・マジメル)は、なぜか軍から理不尽な処分を受けてしまう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  11. 11
  12. 12
  13. 13
  14. 14
  15. 15
  16. 16
  17. 17
  18. 18
  19. 19
  20. 20
  21. 21
  22. 22
  23. 23
  24. 24
  25. 25
  26. 26
  27. 27
  28. 28
  29. 29
  30. 30
  31. 31
  32. 32
  33. 33
  34. 34
  35. 35
  36. 36
  37. 37
  38. 38
  39. 39
  40. 40
  41. 41
  42. 42
  43. 43