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2166件中 1001~1050件 を表示しています。
60点
非現実風味を消せていないが面白い

「予告犯」は今の日本の重大な社会問題であるワーキングプアを扱っている意欲的な社会派エンターテイメント。だが、この問題の重大さをいまいち伝え切れていない点が惜しい一本である。

新聞紙で覆面した男がネットの動画サイトで不気味な予告をした。それはずさんな管理で集団食中毒をおこした食品会社への制裁であった。当初はまったく見向きもされなかったが、その予告通りに会社が炎上し、世間は騒然とする。

「予告犯」は、すばらしいアイデアとストーリーを兼ね備えた、邦画としてはなかなかの一本。

60点
映画に騙される面白さ

世界一のスリと称される本物の詐欺師が監修しただけあって、「フォーカス」の犯行手口のディテールは興味深い。

だが終わってみれば、むしろこの映画全体にうまくだまされていただけだなと気づく。ある意味壮大な詐欺映画だった点には感服せざるを得ない。

美人だが経験不足の詐欺師ジェス(マーゴット・ロビー)は、今日もバーでカモを探して美人局にひっかけようと企んでいた。だが彼女が声をかけたのは、よりにもよって超一流の詐欺師ニッキー(ウィル・スミス)だった。

60点
脚本重視の企画には好感

最近の日本の映画ファンは見応えある脚本に飢えている。それも当然、これだけ製作・公開本数が多ければ、作る側としてもじっくり脚本を練り上げる時間などそう確保できない。結果、よくできたミステリのように複雑に組み上げられたストーリーが登場する確率はどんどん減っていく。

自他ともに認めるモテ男で外科医の亘(松坂桃李)は、はずみで一度だけ抱いた対人恐怖症のあゆみ(戸田恵梨香)から、突然妊娠を告げられる。今日が4月1日ということもあり、相手にもしなかったところ、なんとあゆみは亘がいるレストランに武装して踏み込んでくるのだった。

実績ある脚本家古沢良太によるオリジナルストーリー「エイプリルフールズ」は、前述のような良質脚本飢餓組にとっては期待の作品である。なにしろいまだに映画ファンの語り草となっている「キサラギ」(07年)以来、古沢良太の手による脚本には佳作が多い。

60点
ディスニー的なもののスクラップ・アンド・ビルド

大ヒット作「アナ雪」など、近年のディズニーは王道崩しが王道になっているという奇妙な状況にある。主だったコンテンツホルダーを買収しつくした帝国の余裕といったところだが、中でも「イントゥ・ザ・ウッズ」はきわめつけだ。

魔女(メリル・ストリープ)の呪いで子供に恵まれないパン屋の夫婦。魔女がいうには、4つのアイテムを森から持ち帰ることで呪いが解けるという。それらを集める過程で、赤ずきん、ラプンツェル、ジャック、シンデレラといった奇妙な連中と深くかかわっていく彼らだが……。

ディズニーランドが大好きなメルヘン少女がみたら仰天確実な、ディズニー自らによるディズニー壊し。数々のお姫様物語の幻想を完全崩壊させる、破壊力抜群の実写ミュージカルである。

60点
ホーキング博士の(奥様執筆の)自伝

スティーヴン・ホーキングは、おそらく世界で一番有名な物理学者だろう。だが、車いすに乗って人工音声で話す彼の、過去の半生は案外知られていない。「博士と彼女のセオリー」は、そんな天才博士の伝記物語である。

ケンブリッジ大学院生のスティーヴン(エディ・レッドメイン)は、将来を期待された若者だったが、あるときジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い恋に落ちる。ところが直後にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症。余命2年を宣告されてしまう。

この映画は、人生の節目というものを的確に描いている。我々が想像しうる彼の人生の節目とは、たとえば病気を発病する瞬間、そして重度障害者となるとき、結婚などいくつかある。

60点
2本で一つの物語

「ラブストーリーズ コナーの涙」「ラブストーリーズ エリナーの愛情」はそれぞれ独立した映画作品だが、2本ともみていただくことが大前提の企画のため、特例として2本分を一つの記事で取り扱うことにする。

大恋愛の末に結ばれたエリナー(ジェシカ・チャステイン)とコナー(ジェームズ・マカヴォイ)は、しかし愛する子供を失って以来、笑いのない生活を送っていた。エリナーの心にコナーがなかなか踏み込めないうちに、彼女はどんどん病んでいく。はたしてこの二人の行方はどうなるのだろうか。

ひとつの恋愛の始まりから終わりまでを、男女それぞれの視点で2本の映画にする。観客はどちらの映画からみてもかまわない。男と女それぞれの観客がいることを考えたら、少なくとも4つの感じ方ができるというユニークな企画である。

60点
これでも大ブーム中

「ミュータント・タートルズ」はアメリカでえらいブームとなっていて、おもちゃの世界一を決める「トイ・オブ・ザ・イヤー賞」も受賞したほど。自費出版から始まったキャラクターものがここまで育つというのは、ある意味なかなか健全な話かもしれない。

シュレッダー率いる犯罪組織フット軍団により、ニューヨークの治安は悪化する一方であった。テレビレポーターのエイプリル(ミーガン・フォックス)は彼らを硬派な報道で追いたかったが、回ってくる仕事はナンパなヒマネタばかり。だが、そんな彼女は偶然にもフット軍団を成敗する謎の亀ヒーローを目撃、追い始める。

プロデューサーとして名を連ねるマイケル・ベイの強い意向で映画化された本企画は、なるほど彼らしい大仰なスペクタクルシーンとユーモア満載の、お気楽娯楽超大作である。

60点
沖縄らしい異色のヒーローもの

2011年から始まった特撮テレビドラマの映画化「ハルサーエイカー THE MOVIE エイカーズ」は沖縄のご当地ヒーローものだが、なるほど、東京のそれとは大きく違ってなかなかユニークな価値観の作品である。

ハルサーエイカーの末裔である田畑ハル(AKINA)は、すぐれたハルサーエイカーである妹アイの陰に隠れていた。だが神の宿る森で開発が強行されるとの話を聞いて、自分が現地に向かう。するとゴミから誕生した怪物、ドブーとチリーに遭遇するのだった。

「ハルサーエイカー THE MOVIE エイカーズ」の特徴は、主人公ハルが極力戦いを避け、話し合いで化け物たちと和解しようとする点である。

60点
退屈せずに教養を

子供と楽しく見られて教養になる映画というのはなかなかない。普段からそんな不満を持つ小学生の親御さんにとって「アマゾン大冒険〜世界最大のジャングルを探検しよう!〜」は、そこそこ役に立つ一本となるだろう。

フサオマキザルのサイは、人間の少女に飼われていたが、あるときアマゾンのジャングルに迷い込んでしまう。そこでサイはこれまで見たこともない野生動物や植物、想像を絶する自然の驚異に遭遇する。はたして彼の冒険の終着点はどこにあるのだろうか。

実際にアマゾンのジャングルで撮影した映像素材を使って、フィクションのドラマを作る。ユニークだが相当な編集力、演出力を問われる企画である。動物も昆虫もお望みどおりの動きをしてくれるわけじゃないが、いくらイラついたとしても踏み潰してしまうわけにはいかない。下手なドキュメンタリーを作るより苦労が多かったことだろう。

60点
スパイ映画好きな中高年向き

ジェームズ・ボンドが活躍する007シリーズを支えてきた中高年層には、伝統的というべきスパイアクション映画のニーズがあることを「スパイ・レジェンド」は改めて教えてくれる。

往年の凄腕CIAエージェントとしてレジェンド的な存在であるピーター・デベロー(ピアース・ブロスナン)は、スイスで引退生活を送っていた。ところがかつての同僚たちが次々と殺されていることを知らされ、かつ自分の大切な人まで失ったことで、事件の真相を探ることを決意する。

「スパイ・レジェンド」は、重要人物が真横で撃ち殺される場面をはじめ、映像面でいくつかはっとさせられる切れ味鋭いスパイ映画である。

60点
壊れた人間がつきつけるこの世の現実

全米最大の個人邸宅の建築ドキュメンタリーのはずがリーマンショックで頓挫。それどころか彼らの転落物語になってしまった「クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落」は、映画史上に残るダイナミックな「リアル」を記録した映画となった。

不動産で成功したデヴィッド・シーゲルと、元ミセスフロリダでその妻ジャッキーは、全米で最も大きな邸宅を作ることに夢中になっていた。総工費100億円のその夢は、リーマンショックではかなく頓挫するが……。

アメリカの富豪がいかに常軌を逸した金持ちか、前半はそのスケールに驚かされる。はじめて専用機ではなく民間の旅客機に乗ったティーンエイジャーの子供たちが「なんで知らない人が乗ってるの」とマジ顔で質問したり、訳知り顔で「アタイも昔は貧しかったわ」などと語っていたり。112へーべーの家に住んでいたことを貧乏などといわれたら、東京都民の圧倒的過半数が貧乏人になってしまうのだが……。

60点
女の子感涙映画

試写室で女の子たち(40代)が泣いているのを見て、確かにこの映画は悪くないが、自分は範疇外なのだなと痛感させられた。

どこにいても強い孤独感を感じていた14歳の宮市和希(能年玲奈)は、友達に連れられた暴走族の集会で春山洋志(登坂広臣)と出会い、惹かれあってゆく。

美化した湘南、美化したバイク、美化した族に美化した彼氏、そして忘れちゃいけない美化したアタシ。アラフォーな女性たちがはるか昔に生きた、これぞ青春時代。そんな80年代を描いた、まさに美化映画。ALWAYS 三丁目のヤンキーである。

60点
定番の幽霊もの

「想いのこし」は「黄泉がえり」のヒット以来、「天国の本屋〜恋火」(04年)「いま、会いにゆきます」(04年)「ツナグ」(12年)「トワイライト ささらさや」(14年)などといった類似作品にコンセプトだけ受け継がれている、「泣ける死後の世界」シリーズ最新作。

金と女にしか興味がないろくでなしのガジロウ(岡田将生)の前に、彼が遠因で事故死したポールダンサー(広末涼子)ら4人の幽霊が現れる。成仏できない彼女たちは、ガジロウにしか姿が見えぬことから、彼に生前「想いのこし」た事をやってくれと半ば無理やり頼み込む。

「想いのこし」は、観客にさわやかな涙を流してもらい、増税オタクの総理大臣のせいでよどみきった日常のストレスを洗い流すことを目的とする映画である。その意味では、そこそこ泣ける、コンセプトに忠実なつくりになっている。

60点
高級品の使い捨て

使い捨て傭兵の映画に、往年のアクションスターを集めて次々と出演・再生させる。企画自体が自虐的ジョークのようなエクスペンダブルズシリーズだが、今回も質量たっぷり。カリフォルニアのボディビルジム近くの食堂のような大盤振る舞いになっている。

傭兵集団エクスペンダブルズを率いるバーニー(シルヴェスター・スタローン)は、CIAのドラマー(ハリソン・フォード)から新たな依頼を受ける。それはかつての仲間ながら自らの手で倒したはずのストーンバンクス(メル・ギブソン)を拘束しろというもの。多数の犠牲を避けられないと予測したバーニーは、あえてチームを解散して彼らを遠ざけようとするが……。

お皿に載りきれないほどのアクションと筋肉量で、もはやストーリーなんていらないよ、てな声が聞こえてきそうな第3作。確かにひたすらアクションと爆発を見せてくれればいい気もするが、ちゃんと各出演者のファン歓喜の見せ場は細やかに用意されている。

60点
9.11後の諜報戦を描く

イスラム国、シリア、イラン、アフガニスタン……アメリカはいったい誰と戦っているのか。全員か、それとも誰とも戦っていないのか。多極化を絵にかいたような国際情勢の全貌が見えてくるのはいつになるのか。

ドイツのハンブルグで、チェチェン人青年(グリゴリー・ドブリギン)の密入国が当局にキャッチされる。イスラムのテロリストと疑う彼らは即座に逮捕しようとするが、テロ対策チームのリーダー、ギュンター・バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は彼を泳がせ、さらなる大物との関係を探るべきだと主張する。

元Mi6の原作者ジョン・ル・カレによる同名小説の映画化。映画では9.11事件によって大きく様変わりした諜報戦の現場を、リアリティたっぷりにみせる。フィクション作品ながら、他とは一線を画するディテールの丁寧な描写が見所のスパイドラマだ。

60点
贅沢なつくりの本格時代劇

本格から新味あるものまで、時代劇映画が久々に台頭してきた背景には、テレビ時代劇の減少による飢餓感と、愛国ドラマが金になるとのマーケティングの結果による。

城内で刃傷沙汰を起こしてしまった檀野庄三郎(岡田准一)は、家老から許される代わりに幽閉中の戸田秋谷(役所広司)の見張りを命ぜられる。戸田は不祥事を起こし、10年後の切腹を命じられるという前代未聞の罪に服していたが、その期限が3年後に迫っていたのであった。

時代劇というものは、基本的に日本マンセーというか、古き良き日本の良さを無条件でフィーチャーできる数少ないジャンルである。高齢のファンにくわえ、若者にもアピールできる要素がそこにはある。というわけで、大河ドラマ出演中の岡田准一のスケジュールを見事に押さえ、武士の覚悟の崇高さを描く本作は完成を見た。

60点
見た目が気持ち悪いヒーロー

「アベンジャーズ」でおなじみのマーベル・コミックス共通の世界観の中で、宇宙を舞台にした異色のヒーローもの。それが「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」だ。いわば宇宙版アベンジャーズといったところだが、だいぶとっちらかってきて途中参加のハードル高いアチラと違い、本作は誰もが笑って楽しめる気軽なアクションものに仕上がっている。

幼いころから宇宙で育ったピーター(クリス・プラット)は、今ではトレジャーハンター「スター・ロード」として宇宙を飛び回っていた。あるとき彼は宇宙の命運を握るパワーストーンを手にするが、それにより星間戦争に巻き込まれてしまう。

さて、そんな主人公が組むことになる仲間たちがユニーク。モンサントもびっくり、口の悪い遺伝子組み換えアライグマ(声:ブラッドリー・クーパー)やその用心棒的存在の歩く植物(声:ヴィン・ディーゼル)。女殺し屋(ゾーイ・サルダナ)に乱暴者(デイヴ・バウティスタ)ときた。誰一人まともなやつがいない、前科者と変わり者の集まりである。

60点
坂の会話が最大の見せ場

「るろうに剣心 伝説の最期編」の翌週に、浅田次郎の短編を映画化した「柘榴坂の仇討」が公開というのは、じつに鮮やかなコントラストを感じさせる。どちらも幕末から明治という比較的近い時代を舞台にしながら、次世代感たっぷりの「るろ剣」とは対照的に、こちらはオーソドックスな本格時代劇である。

安政七年(1860年)、桜田門外の変で大恩ある主君・井伊直弼(中村吉右衛門)を救えなかった志村金吾(中井貴一)。古き時代の武士そのものといえる忠義心ある志村は、切腹すら許されずその後の人生をひたすら実行犯の佐橋十兵衛(阿部寛)を探す、それだけに費やすことになる。

浅田次郎原作らしく、泣ける場面多数。短編の映像化だからか強引なダイジェスト感もない、無理ない作りの時代劇である。

60点
コテコテのフランス人情アクション

「すべて彼女のために」(08年)、「この愛のために撃て」(10年)で知られるフレッド・カヴァイエ監督は、ドストレート、電車道のようなアクション映画で高い人気がある。大切な人のため、愛するものを救うため。その迷いなき主題を高らかに歌いあげる潔さはアメリカ人の心をも撃ち抜き、次回作ではいよいよハリウッドデビューも予定される。

人身事故の不始末から立ち直れずいまだ荒んだ生活を送る元刑事シモン(ヴァンサン・ランドン)と、それを放っておけないかつての相棒フランク(ジル・ルルーシュ)。あるときシモンの息子がマフィアの殺人現場を目撃したことから、彼らは再びコンビを組み、悲壮な戦いに挑むことになるのだった。

全米進出を前に全勝で行きたかったフレッド・カヴァイエ監督だが、予告編の出来栄えの良さに比較して、本編は少々凡庸である。絶対伝えてはならない事項を売り文句にする一部の紹介も、期待を台無しにする要素の一つである。これはいってみば、友達にミステリを手渡しながら、「結末はもちろんいわないけど、叙述トリックだよ」というのに等しい(この作品がそうという意味ではない)。

60点
映像はいいのにもったいない

ディズニーアニメには、劇場公開はされずDVDのみの続編・スピンオフが多数存在する。そういう作品を専門に作るスタジオがあるからなのだが「プレーンズ」シリーズもその一つ。世界観を同じくする大本の「カーズ」(06年)とその続編はピクサーによるものだが、そんなわけで本シリーズは彼らが作っているわけではない。

超A級のスタッフと大予算を擁するピクサーに比べれば、質が大きく落ちるのは当然だが、それでも前作「プレーンズ」(13年)はなかなかよく出来たということで、劇場公開が決定した経緯がある。

世界一周レースを制した元農薬散布機のダスティ(声:デイン・クック)だが、致命的なギヤボックスの故障でもはやエンジンを全力で回すことができなくなってしまった。やけになって町の皆に迷惑をかけてしまった彼は、その責任をとるため山岳レスキューチームで新人研修を受ける羽目になる。消防のプロたちは、レース機のそれとはまったく違った逞しさを備えており、ダスティは彼らに一から根性を叩き直されることになるのだった。

60点
ディズニーの変化球

いつのころからか、おそらくドリームワークスがディズニーのパロディ的王道くずしで天下を取ってからだと思うが、ディズニー自身も変化球を投げてくるようになった。

その集大成がまさに話題の「アナと雪の女王」で、これにはなんと魔女も運命の王子様もでてこない。ディズニー自ら、自社製品の代名詞である王道を崩しているのであり、しかもそれが大受けしている。ウォルトさんがみたらびっくりしてしまいそうだが、そんなわけで近年の王道くずしは、ディズニー映画の重要な戦略方針として存在しているといって良い。

人間の王国に待望の姫、オーロラ(エル・ファニング)が誕生するが、そこに邪悪な妖精マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)が現れ、「16歳の誕生日までに姫は永遠の眠りに落ちる」と呪いをかけてしまう。なぜ彼女はそんなことをしたのだろうか。じつは、かつて彼女も美しい妖精であったが、愛した人間の男に裏切られた過去があったのだ──。

60点
すっきり整理されてはいるが

面白いストーリーは、誰しもリメイクしたくなる。ただし、国や場所を変えるだけで、そのストーリーが持つ輝きが鈍ることも、また珍しくない。

1993年。イケイケ状態の広告代理店重役ジョー(ジョシュ・ブローリン)は、致命的な失敗から泥酔。目覚めるとホテルらしき一室に監禁されていた。その監禁生活は、すぐに終わると思っていた。だがジョーの過酷な運命は、まだはじまったばかりなのだった。

韓国の名監督パク・チャヌクの同名作品のリメイクである本作は、舞台をアメリカに変更。それ以外はほとんど韓国版を踏襲している。

60点
やや長すぎる

中国は広大な内陸国家でかつ多民族国家であるから、気を抜くとすぐに内戦が起き分裂してしまう。だからそのリーダーは、のんきに民主主義などいっていられないとの事情がある。独裁国家などといわれようが、ぬるい態度では足下をすくわれ、よりひどい状況になるのだから仕方がないと、そういうわけだ。

貧しい雲南省の精神病院・隔離病棟では、200人以上もの人間が暮らしている。その多くはもちろん正当な病名がつけられているが、中には政府の意向に逆らったものも含まれているようだ。ワン・ビン監督はこの病院から撮影許可を得ることに成功、遠慮なく彼らの生活の中心に入り込み、その実態を記録し始める……。

ワン・ビンという監督は、こうした中国共産党の統治方法について、中国にいながらにして厳しい批判を投げ続けている映画監督である。だが彼は先述の事情をよく知っているから、けっしてストレートな批判はしない。中国内でそんなことをすれば、本気で命が危ない。だから芸術映画のごとき退屈でわかりにくい作風の中に、ちらりとその片鱗を伺わせるにとどめる。それでも中国内部からの情報発信は貴重で、かけがえがないものである。

60点
おもしろいがテレビ向き

本作がロケをしたルーヴル美術館など世界の有名どころは、誰もがいきたがるが簡単にいけるところばかりではない。ルーヴルひとつにしたって真面目に見れば何日もかかるほどだ。だからそこを舞台に映画を作って気軽に楽しむとの企画には、ある種の正義がある。

モナ・リザが40年ぶりに来日することが決まり、臨時のキュレーターとして万能鑑定士と称される莉子(綾瀬はるか)が採用される。彼女にこだわり密着取材している記者・悠斗(松坂桃李)を引き連れる形でパリに出向いた彼女は、同僚の美沙(初音映莉子)とともに贋作を見分ける訓練も難なくクリアしてゆく。だが、やがて原因不明の不調に見舞われ、持ち前の天才的な鑑識眼を失ってしまうのだった。

まず本作は「ダ・ヴィンチ・コード」(06年)以来、二作品目となるルーブルロケだが、もう少しかの地の魅力を伝えてほしかったところ。湯けむり温泉殺人事件並の観光案内を……とまではいわないが、本作も軽いテイストのミステリなのだから、単なる舞台装置以上に、そこはもう少しこだわってもらってかまわない。

60点
役者はそろった、あとは覚悟だけ

厳しすぎる現実が連載を秒速で追い越してしまったことで各方面から心配の声が挙がる真鍋昌平による人気コミック「闇金ウシジマくん」が、このたび再び映画版になった。

トゴ=10日で五割の暴利で知られる闇金、カウカウファイナンスのウシジマ社長(山田孝之)のもとに、いい年をして暴走族のヘッドを務める愛沢(中尾明慶)がやってきた。自分のバイクを盗み傷つけた慰謝料を払わせるため、マサル(菅田将暉)に金を貸せということだが、ウシジマは承知しないどころかマサルを自分の元で働かせることにするのだった。

キャストはテレビドラマ版から続投。原作と体型はちがえど、持ち前の演技力とカリスマでウシジマくんを演じきる山田孝之は、これはこれでありだなという映像版らしさを確立している。そのほか柄崎役やべきょうすけなどもハマっているし、この映画版から登場するウシジマのブレーン戌亥役・綾野剛、頭のネジが抜けたストーカー役・柳楽優弥あたりも悪くない。とくに柳楽の怪演は、この役者の良さを改めて感じさせた。

60点
BBCのすごみを感じさせる

撮影期間573日! とこの映画の宣伝文句にある。そんなに長期間かけて集めた貴重な映像素材の数々──といいたいのだろうが、私にいわせれば話は全く逆だ。573日かけて撮影したことが凄いのではなく、これだけの映像素材をたったの573日間で集める能力、それこそがBBCの凄味なのである。

ジャンルは文字通りネイチャー系ドキュメンタリー。「ディープ・ブルー」(2003)、「アース」(2007)などこの分野のトップランナーであるbbcが、2トン以上もの4K、5Kカメラ&3D機材を駆使して世界中で撮り集めた動物たちの生態だ。

映像こそすべての映画だから、内容をここで書き連ねてもどうにも魅力が伝わるはずはないのだが、印象深いものを紹介するならたとえばワニ。ネット動画なんかでは猫にも勝てないヘタレ動物のレッテルをはられているが、本作のそれは違う。怪力とローリング攻撃で、巨大な草食動物が犠牲になる。恐ろしい光景である。

60点
想像力の欠如という悲劇

「家路」の久保田直監督は、こいつを反原発の作品にしたくなかったと語っている。見終わった今となっては何の悪い冗談かと思うものの、じつは彼の態度こそ、原発という病巣の深さを物語っている。

誰がみたって「家路」は強烈きわまる反原発のメッセージドラマであり、それ以外の解釈の余地はない。

だが、それでもこうしたコメントを言わなくてはどこかに致命的な問題が起きる。それを恐れているから監督はあんな事を言う。映画は大勢から金を集め、公開劇場を決め、つつがなく初日を迎えなくてはならない。その複雑な過程のあちこちに、ちょっとしたアクシデントでお蔵入りになる危険が潜んでいる。たとえこうした松ケン主演の作品であっても、である。

60点
猫好きは世間の非常識?

猫好きというのはやっかいなもので、われわれ犬派のように一般的な社会常識というのが通じない。たとえば楽しくデートしていても、飼い猫が心配だからなどと言ってさっさと帰る。家に遊びに行きたいと言っても、猫が怖がるからだめなどと無茶苦茶な理屈で断る。

単にこちらが嫌われているだけという噂もあるが、かように猫好きというのはお猫様最優先で生活を組み立てている。

ときは幕末、かつて百人切りと恐れられた元加賀藩・剣術指南役の斑目久太郎(北村一輝)も、いまや傘張り浪人の身。そんな彼の元、江戸で敵対する二大勢力「犬派」「猫派」の前者から、敵親分の飼い猫暗殺の依頼が入る。金に目がくらんで思わず引き受けたものの、実際に愛らしい猫を見ると……。

60点
成金描写がステレオタイプすぎ

いまの時代は、カネを稼ぐほど偉いとの風潮がある。カネの価値に変わりはない、色は付いていないというわけだが、実際は違う。稼ぎ方によって、カネの価値は明らかに異なる。

テキトーぶっこいて大して価値のないものに大金を投資させて莫大な手数料をぶんどるなんてものは、もっとも「価値」の低いカネ=報酬である。それに比べ、人々を楽しませる文章を書いたり、楽しい映画を紹介して喜ばれたりして、そうして幸せになった人々からいただくお金というのは、大変な価値がある。50年もすれば、両者の幸福度の違いは人相に現れる。死ぬときに、堂々と生きたと満足して死ねるのはどちらか。自分の稼ぐカネの価値を考えて生きることは、かように重要である。

なおこの文章について、誰か特定の人物の経済的窮状を嘆いているわけでは絶対にないことを、ここに強調しておく。

60点
古臭いし平均的

「マラヴィータ」をみると、リュック・ベッソンの微妙なギャグセンスは相変わらずだなと改めて思うとともに、今となってはずいぶんオヤジくさく見えるものだなあと感じてしまう。むろん、書いている自分のことは棚に上げている。

舞台はフランスのノルマンディー地方。越してきたばかりのアメリカ人一家には秘密があった。一家の主フレッド(ロバート・デ・ニーロ)は元マフィアの大物で、FBIの証人保護プログラムによってこの地に隠れ住んでいるのだ。各地を転々としてきた一家は偽装生活には慣れたものだが、それでも妙に自己顕示欲が強く、回顧録なんぞを書き始めたフレッドの暴走によって、血眼になって彼らを探しているマフィアの殺し屋たちに居場所が知れようとしていた。

さて、このデ・ニーロ演じる主人公は、いい年をしてめっぽう血の気が多く、ちょいと気に障れば残酷きわまり無い方法でそいつをぶち殺す……のだが、今は隠れている身なので一応妄想だけにとどめている。マフィア映画のイメージ強いデ・ニーロが演じているからこそ笑える、セルフパロディというべきブラックジョークの数々である。

60点
時代性という意味では正反対

「四十九日のレシピ」は女性監督らしく、細やかな人間観察によるエピソードが心に響くドラマだが、まだまだ不器用で細部が荒っぽいのと、時代をみる大局的な視点が少々ずれているので傑作になれずにいる、惜しい一本である。

妻の乙美を失い気落ちしていた熱田良平(石橋蓮司)のもとに、乙美から面倒を見てくれと頼まれたと派手な少女イモ(二階堂ふみ)がやってくる。その異様な明るさに振り回されていると、ほどなく娘の百合子(永作博美)も戻ってくる。百合子は不妊治療中の夫(原田泰造)がよりにもよって不倫相手を妊娠させたことで深く傷つき、離婚届をおいて出てきたのだった。

傷ついた家族のもとに、死んだ妻からのメッセンジャーというべき少女がおかしな遺言を届けに来る。「四十九日の法要は思い切り楽しい宴会に」との非常識なそれをどうするか、残された人が頭を悩ませるのが大筋となる。

60点
細かいことを気にしなければ結構いける

ヨーロッパ発のトークゲームで、いまや日本の合コンシーンでもブームとなりつつある人狼ゲーム。テレビ番組などでその存在を知った人も多いだろうが、低予算映画にうってつけの素材だと気付いた映画人がいたのだろう。同時期に2本の実写映画が公開される、こちらはその一つ。デビュー作「パーク アンド ラブホテル」(07年)が好印象だった熊坂出監督作品ということで、私も期待して見てみた。

高校2年生の愛梨(桜庭ななみ)は、目覚めると見知らぬ建物の一室にいた。やがて同じ境遇の若者男女計10名が集まってくると、テレビモニターに不気味なメッセージが現れる。それによると、これから彼らは「人狼ゲーム」を行う必要があるらしい。だがこのゲームでは、実際に人狼か村人を「殺す」必要があるというのだった。

人狼ゲームとは、まず最初に各人の役割が記されたカードが伏せて配られる。「村人」の中に紛れ込んだ「人狼」を、全員のディスカッションで見つけ出し処刑せねば、毎晩一人ひとり村人が殺されていく。村人、人狼どちらが最後まで残るか。ある種のチーム戦が魅力の推理ゲームである。

60点
おもしろいが、業界人やよほど興味ある人以外には厳しい

デパートのドキュメンタリーとはなんとも珍しいが、この映画で描かれるデパートはなにからなにまで規格はずれ。アメリカが誇る最高級デパートことバーグドルフグッドマン。本作は、その紹介映像だが、ファッション好きにはたまらないことだろう。

バーグドルフグッドマンは、NYの老舗百貨店にしてあらゆるデザイナーがテナントを望むステイタスシンボルである。その審査はきわめて厳しく、ここに店を構えられればなによりの信用となる。とくに新興ブランドにとってみれば未来を約束されたようなもので、ある種のアメリカンドリームの到達点ともいえる。

もっとも、そうした予備知識なくでかけても、あなたがファッション好きならばそこそこ楽しめる映画である。ファッション映画のひな形通りというべき、派手な音楽にテンポのいい編集、めまぐるしく動くカメラ。これぞスタイリッシュでござい、といわばんかりの、見るのに体力がいるポップな映像美。椅子に座っているだけで心がうきうきしてくるだろう。

60点
おもしろいが終盤息切れ

狭い範囲内で物語を作るというのは、誰もが考えつくサスペンス映画のセオリーである。「フォーン・ブース」(02年)は電話ボックス、「ブレーキ」(12年)は車のトランク、「[リミット]」(10年)にいたっては棺桶の中と、その舞台の「狭さ」はエスカレートするばかりだ。

「アブダクティ」はそんな流れの中に現れた日本製ワンシチュエーションスリラー。うだつのあがらない中年男が、貨物輸送用コンテナに拉致監禁される不条理ドラマだ。

気の弱い中年男の千葉厚志(温水洋一)はガードマンの仕事中、拉致されコンテナの中に監禁される。移動しているようだが場所は全く分からない。身の回りの品はあるが、脱出に役立ちそうなのは携帯電話だけ。だが110番通報すると、なぜか奇妙な応対をされてしまう。

60点
やっかいすぎる最新作

松本人志監督最新作「R100」の興行成績が芳しくないと、あちこちで話題である。アクの強い映画を作って、うまいこと当たればなお良しと期待する部分も無いことはないだろうが、普通に考えればこれだけハチャメチャやり続けている松本映画に一般受けは期待できない。そんなことは業界人なら100も承知で、大コケ報道それ自体がパブリシティの一環ではとか、監督自身を追い込むMプレイじゃないかとか、いろいろと考えてしまう奇妙な事態である。

中年サラリーマン片山貴文(大森南朋)は、怪しげなSMクラブに入会する。それは、契約期間1年間の間は24時間いつ女王様がやってきてプレイ開始となるかわからないという、究極のプレイであった。さまざまなタイプの女王さまがやってきて過激プレイを繰り広げるサービスに、当初はM心を満足させられていた片山だが、やがて日常生活に支障が出るタイミングで彼女らが現れるようになってしまい……。

大森南朋演じるM男の前に現れる女王役は、大地真央、寺島しのぶ、片桐はいり、冨永愛、佐藤江梨子、渡辺直美と、様々なタイプがそろっている。露出やセクシーな場面はさほど期待できないが、その分、シュールな笑いに満ちた不条理ドラマである。

60点
二階堂ふみフェチの映画

映画監督の中には、一貫して同じ態度で映画作りを続ける者もいる。だがそんな彼らとて、突然息抜きのように、毛色の異なる作品を発表することがある。原発問題や東日本大震災、自殺問題など、社会派のテーマで映画作りを続けてきた園子温監督による、この娯楽一本やりなアクション映画「地獄でなぜ悪い」も、まさにそんな一本である。

池上(堤真一)率いるライバルの組と抗争を続けるヤクザの武藤(國村隼)。彼は愛する妻がシャバに戻る日を前にいま、焦りを感じていた。なぜなら彼女は元子役CMタレントの娘(二階堂ふみ)が主演する映画を武藤が制作していると思い込んでおり、それだけを希望に日々過ごしていたからだ。万策尽きかけた武藤の前に現れた平田(長谷川博己)は、実際はただの映画マニアだったがこれをチャンスととらえ、とんでもない映画の企画を武藤に話し始める。

かつて人気を博したCM子役の愛らしさに魅せられた男たちと、成長した彼女に魅せられた男たち。彼らがハチャメチャな争いを繰り広げる、問答無用の暴力アクションコメディである。

60点
映画の脚本という感じではない

NHKドラマ「あまちゃん」最終回という絶好のタイミングをねらって公開される「謝罪の王様」は、その宮藤官九郎のオリジナル脚本が話題のコメディードラマ。さらに水田伸生監督、阿部サダヲ主演という、「舞妓 Haaaan!!!」「なくもんか」に続くおなじみのチームは、まさに3匹目のどじょうを狙う布陣といえる。

やくざ相手のトラブルを見事解決してやった縁で、東京謝罪センター所長で「謝罪のプロ」こと黒島(阿部サダヲ)は典子(井上真央)を助手として雇うことになった。彼らのもとには、既存のやり方では解決が難しいトラブルが、次々と舞い込んでくる。黒島の鮮やかな謝罪テクニックは、はたしてどこまで通用するのだろうか。

似た設定の漫画があるということで公開前から少々揉めていたものの、「謝罪師」とはなかなか新鮮なアイデアである。通常ならばお手上げの「やくざ相手の交通事故」を、頭を下げるだけで解決に導く冒頭の土下座アクション(?)など、見せ場としてもじつにおもしろい。阿部サダヲの演技も、このキャラクターにぴったりで、思わず笑いを誘う。

60点
劇場版らしい何かがほしい

「事件は現場で起きてるんだ」といったのは青島刑事だが、会議ばかりしている上層部でなく現場で這いつくばる名もなき戦士たちに視線を向けたそのコンセプトは、「踊る大捜査線」シリーズを歴史に残るヒット作へと導いた。

NHKのドラマ「劇場版タイムスクープハンター」は、文字通り歴史ものでそんな視点を取り入れたヒット作。そのうえでフェイクドキュメンタリーの体裁をとりつつSF要素も盛り込むという、相当な異色作となっている。本作はその初の劇場版となる。

時空ジャーナリストの沢嶋(要潤)は、"本能寺の変"直後の京都へ取材に行く。ところが名もなき侍(時任三郎)に取材中、歴史上重要な意味を持つ茶器が未来人と思しき人物に奪われる事件が発生。沢嶋は急きょ新人ジャーナリストの細野ヒカリ(夏帆)と協力して事に当たるが……。

60点
まるで日本

住民の反対を押し退けゴミの処分場が建設されてしまう──。トルコの名もなき村でそんな騒動が起きていたなんて、この映画を見なければ一生知ることはなかったろう。もっというならば、ファティ・アキン監督がこの村にルーツを持ち、故郷が汚されるのをいてもたっても居られずカメラを回すことがなければ、である。

このドキュメンタリーは、90年代半ばに計画されやがて建設、運用、そして寿命を迎える直前までのあるゴミ埋め立て処分施設について、足掛け5年にわたってその顛末を追いかけた記録である。

見るといろいろなことがわかるが、興味深いのは一つのゴミ処理場ができると、すべてがリンクして次々とダメになるという一連の流れ。たとえば集められた大量のゴミを、どこからともなくやってきた鳥の大群があさりはじめる。やがて鳥たちはそこいらじゅうにフンをする。すると村の特産品だった茶畑もフンだらけになって壊滅する、といった具合だ。

60点
逆境からいかに立ち直るか

何度ケンカしても、いつの間にか元に戻るカップルがいるが、ほとんど年中行事になっている場合もあるので喧嘩中は仲が悪いように見えても、軽々しく「別れたら」などとアドバイスをしない方が良い。死ぬか生きるかの騒ぎでも、翌朝にはケロリとしているのがいつものパターンである。

しかしそんなしなやかな関係でさえ、限度を越えれば壊れることもある。『ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜』はそんな「壊れるはずのないものが壊れたとき」どうすればいいのか、その対処のヒントとなるかもしれない映画である。

ここは文明による秩序がまだほとんど届かぬ小さなコミュニティ。誰が呼んだのか、バスタブ島と称されるこの場所で、6歳の少女ハッシュパピーは大地の生き物の声を聴きつつ元気に生きていた。ところがあるときやってきた激しい嵐は、ささやかな集落を水没させてしまうのだった。

60点
偽善的にみえるがさにあらず

米民主党の熱心な支持者であるスティーヴン・スピルバーグが12年間の構想を経て、共和党最初の大統領であるエイブラハム・リンカーンの伝記映画をとる。いかにも政治的な匂いがプンプンする企画といえる。しかし終わってみれば、これが意外なほど公平性を感じさせる映画であった。

4年目に突入した南北戦争において、日々若者が犠牲になることに心を痛めるリンカーン大統領(ダニエル・デイ=ルイス)だったが、戦争の終結は奴隷制度継続を望む南軍に妥協することであり、コトは単純に進まないのであった。しかも奴隷制度撤廃を定めた憲法修正第13条の批准は、議会工作の不調によりさらに困難を極めていた。

思想的立ち位置を表明している身ゆえだろうが、政治的な問題についての描写はきわめて慎重。アカデミー主演男優賞をとったダニエル・デイ=ルイスの重厚感ある演技と面構えもあって、一見中立的な、偏りを感じさせない作品となっている。

60点
男優側に焦点を当てる

AVについて映画を作ろうというとき、まず女優に目が行くのが普通だ。だが、本当に面白いドラマが隠されているのは男優の側だろう。苦労も難しさもはるかにこちらが上なのに、世間(というか視聴者)からの目は冷たい。そんな報われない男たちの物語は、きっと味わい深いはずである。

「セックスの向こう側 AV男優という生き方」は、まさにそのAV男優についてのドキュメンタリー。総勢19名のさまざまな男優たちに、共通の質問をぶつけていく形式の回答集である。

登場する男優陣は上記データ箇所や公式サイトなどを見ていただきたいと思うが、顔ぶれも年齢もバラエティに富んでいる。若い人では80年生まれ。古くは50年生まれまで。父子共演をしたという、ほとんど家業みたいな男優もいれば、どこにニーズがあるのかと思いつつもあるかもしれないと思わされるブサメン男優等々、この業界の懐の深さを感じてしまう布陣である。

60点
再出発と癒しのメッセージ

躁鬱気質の女の子というのは厄介なもので、美人だったり、かわいらしいところがあったりと一見魅力的である。男としては、下手にはまると身を亡ぼすことになるわけだが「世界にひとつのプレイブック」を見ると、こうした男女関係の基本的常識というのはもしかして万国共通なのか、とうならされる。

妻に浮気され心が壊れたパット(ブラッドリー・クーパー)は、教職も住むところも失い両親のもとで療養中。だが、それでも妻を愛しなんとか元サヤを狙っている。そんな折、親友の奥さんの妹ティファニー(ジェニファー・ローレンス)と知り合うが、彼女も夫を亡くしたばかりで精神を病んでいた。奇妙なところで共通項を見出した二人だが、さっそく意気投合というわけにはいかず……。

この映画のヒロインティファニーは、美人なうえに巨乳であり、ルックスは男なら思わず視線が行ってしまうレベル。だが、行動は完全にメンヘラなそれ。寂しさとかなしみを紛らわすため、会社の同僚全員と寝てしまうような女である。

60点
ボートにトラと二人きり

漂流ものというのは、人気ジャンルというわけではあるまいが時折作られる定番ものである。「流されて…」(74年、伊)に「青い珊瑚礁」(80年、米)「キャスト・アウェイ」(00年、米)、最近では「東京島」(10年、日)などいろいろとある。

モノがあふれる現代人にとって、著しく物資が制限された状況下でのサバイバルは、もっとも実感しやすい非日常。映画があたえる興奮としては、理にかなっているというわけだ。

同時に、人にあふれた都会に住むものとしては、ブルック・シールズのごときかわいこちゃんと二人きりで無人島生活というのは、この上ない幸せな妄想、理想郷といえる。

60点
やや安直ながら確実に泣かせる

願いや望みは人それぞれである。最近では、やってもいないiPS細胞の手術をやったと言い張る自称研究員もいた。偉大なるノーベル賞の名誉が欲しかったか、あるいは賞品の冷蔵庫が欲しかったのかは不明だが、あれほど馬鹿げた嘘をつくからにはよほど強い動機があったのだろう。

「ツナグ」は、そんな人間の願望の中でもおよそ最強というべき「死んだ人に会いたい」希望をかなえる男の話。2週目で興収1位に輝いた、上り調子のファンタジック感動ドラマだ。

癌で死んだ母(八千草薫)に、ある事情からどうしても会いたかった中年男・畠田(遠藤憲一)は、半信半疑で「ツナグ」にコンタクトをとる。「ツナグ」とは、死んだ者を呼び出し会わせてくれる不思議な能力を持った者。だが、畠田の前に現れたのは華奢な男子高校生・歩美(松坂桃李)。あきれて帰ろうとする畠田を引き留め、歩美は説明を開始する。料金は不要、死者会うチャンスが行使できるのは一生に一度のみ。ただし死者側が拒否したら会えない。会えるのは満月の夜、夜明けまでの一晩きり──。

60点
オジサン感涙

日本では中高年が楽しめる映画が少ないと、かねてから言われている。確かに、海で救助ばかりしている体育会系男子の話とか、テレビ局みたいな警察署の話を彼らに楽しめといっても微妙なところか。

だが、ここに決定版が登場した。「エクスペンダブルズ2」がそれだ。

東欧の山中に墜落した輸送機からデータを回収する楽な仕事──。だがそこには落とし穴があった。バーニー(シルヴェスター・スタローン)が率いる傭兵部隊エクスペンタブルズは、この仕事で仲間を一人失ってしまう。殺ったのはヴィラン(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)率いる地元の武装グループ。バーニーは奪われた物資と仲間の復讐のため、ヴィランを追う。

60点
現代的に生まれ変わった

この原作と類似点を指摘されている寺沢武一の「コブラ」、映画「TIME/タイム」(11年)、そしてこの「トータル・リコール」と、最近映画化されるSF作品には、ある種の共通項があるように思う。特にこのリメイク版を前作と比較すると、よりそれらの作品と近いテーマに変更されていることがわかる。そこにこの映画を読みとく鍵があるといえるかもしれない。

近未来の地球は荒廃しており、人が住めるのはブリテン連邦とその裏側のコロニーの2か所のみ。両者をつなぐ直通エレベーターのごとき「フォール」を使い、労働者たちは日々地球内部を移動しては戻ってくる日々だ。その一人である工場労働者ダグラス(コリン・ファレル)は、そんな日々のストレスから逃れるため心躍る旅行の記憶を売るリコール社に出向くが、望むストーリーの記憶を買おうとしたまさにそのとき、連邦警察の襲撃を受ける。

さて、まず目を引くのはこの突飛な世界観。富裕層がくらすイギリス周辺地域と、奴隷のような労働者たちが暮らすオーストラリア大陸。この二つをつなぐ地球規模の縦断エレベーター。突拍子もない大がかりなシステムだが、地球を金持ち地区と貧乏人地区に物理的に分けるこの設定によって、映画が語りたいことをこれ以上なく明確に示している。

60点
現代に通じるものがある

今となっては信じがたい話だが、かつて終戦直後、ブラジルの日本人移民社会ではかなりの長期間、日本が戦争に勝ったと本気で思い込んでいた人たちがいた。

彼らは「勝ち組」と呼ばれ、真実の情報を得て日本が負けたとことを知っていた「負け組」と深く対立した。その対立と抗争はとどまるところを知らず、勝ち組は負け組を非国民と罵り、やがて悲惨な結末を招くことになる。

こうした史実は、現代の日本人にはあまり知られていない。だがブラジルではこの問題を扱った書籍がベストセラーになったこともあり、そこそこホットなテーマである。

60点
海開き前にぴったり

最近は自然派ドキュメンタリーが人気だが、「シャーク・ナイト」は46種類のサメが見られるというの

が売りのサメ映画。ただし、ネイチャードキュメンタリー好きの純粋な女のコを連れて行くと、間違い

なくアナタとの関係は崩壊する。

60点
ハイパーおっぱいクリエーター

アイドルや女優とは大変な職業である。目が出る人は少ないし、人気者になっても様々なプレッシャーとの戦いがある。人気を維持するためには壮絶な体作りをしなくてはいけないし、ライバルは次から次へと現れる。なかには元彼にH写真を流されて大宰府送りになる自滅型アイドルもいたりするが「ヘルタースケルター」のヒロインはさらに壮絶な体験をすることになる。

芸能界の頂点に立つ人気モデルりりこ(沢尻エリカ)には、重大な秘密があった。彼女の美貌のすべては、全身整形と多量の薬剤投与によって維持されていたのだ。だがあるときりりこは、自分の肉体がその後遺症で崩れ始めたことを知る。強力なライバルとなりそうな後輩モデル(水原希子)の登場による焦燥感もあって、精神のバランスまで崩壊しつつある彼女は、マネージャー(寺島しのぶ)にサディスティックな仕打ちをするなどおかしな行動をとり始める。

毎度お騒がせの沢尻エリカが、脱ぐ脱ぐ詐欺ではないかとの事前の心配をよそにすべてをさらけ出し、男性週刊誌界隈を騒がせている話題作。

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