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2156件中 951~1000件 を表示しています。
65点
読みにくい結末はなかなかだが……

『本の雑誌』が選ぶ2000年度ベストテン第一位となった原作の映画化。何の前触れもなく、突然恋人に失踪された男の側のドラマを描いたミステリだ。私はこの原作は読んでいないが、この設定は面白いと感じる。グイグイ……とまではいかないが、それなりに観客を引っ張っていく魅力がある。ただ全体的には、淡々と話が進む静かな映画だ。

よくよく考えると無理のある話なのだが、鑑賞中は気づかせない。ミステリらしい意外な結末も、スクリーンに漂うのどかな雰囲気のせいで気が緩んだか、私はまったく読めなかった。

『ジャンプ』で唯一気になるのは音楽だ。個人的には、ちょっとだけ映像との不協和を感じる。役者では、牧瀬里穂の存在感と魅力が大きく目を引く。

65点
二人のキャラを楽しめる人なら満足できる

人気子役ダコタ・ファニングがタカビーな子供を得意げに演じるハートウォーミングコメディ。相手役は、アメリカでは大人気のブリタニー・マーフィ。この人は、コメディをやらすとなかなか上手い。

急に公開が決まった作品のため、宣伝が浸透していない印象だが、主演二人は完璧に役柄はまっており、意外なほど楽しめる。この手のライトなコメディとしては、文句無いレベルといえる。

二人のスターの個性と役柄が重なっており、演技する側もやりやすかっただろうと思わせる。とくにダコタの演じる「大人子供」的役柄は、今演じるとしたら彼女しかおるまいというキャラクターだから、その一挙一動に観客は沸くことだろう。

65点
主人公が最後まで一言もしゃべらないドラマ

主人公が、さまざまな事件に出会いつつもただただ歩いてゆく、教訓的なお話のドラマ。今週は洋画の傑作がそろったので、この地味な邦画は目立ってこそいないが、なかなかよくできている作品である。

主人公には一切セリフが無いため、とてもシンプルな映画だという印象を与える。それだけに、どうやら物語を語る役目を一手に担った”映像”に、より力を入れたようだ。撮影がすばらしく、とても美しい映像を見せてくれている。

職場の工場が閉鎖され、ただ無言でその場を立ち去り、街を歩いて行く主人公。彼の前には、意図せぬさまざまな出来事が立ちはだかるが、淡々と流れに身を任せているうちに、なんだか予想もしない方向へと、物語は展開して行くことになる。

65点
音楽、ファッション、主演スターを楽しむ映画

レニー・ゼルウィガー&ユアン・マクレガーという、人気者2人が競演する、ちょっぴりセクシーなラブコメディ。この2人の名前に反応するのは、月刊の女性誌なんかをよく読んでいる、ちょっとおしゃれな30代の女性といったところだろう。そう考えてみると、『恋は邪魔者』は、そうした客層が喜ぶ要素を兼ね備えた映画といえる。

60年代のファッション、インテリア、音楽、これらの要素がなにより目を引く。カラフルでノー天気で、とても楽しい映画である。レニーが着替える30着以上といわれるファッションを見ているだけでも、それなりに満足できるだろう。鳴りっぱなしの音楽に身をゆだね、テンポ良く進んでいく物語を堪能するのも悪くない。

ただ、ストーリーがひっくり返る、ある1点から先が、どうも引っかかるというか、筋が通らないなあと感じる。これが、『恋は邪魔者』唯一の難点といえる。ずっと楽しかった気持ちが、この時点から一瞬すっと引いてしまう人も多い事だろう。

65点
実は面白かった、マフィア版・はじめてのおつかい

ハリウッド新ハゲ御三家の一人、ヴィン・ディーゼル(『トリプルX』)が出演するクライムムービー。一言でこの映画を説明するなら、「マフィア版・はじめてのおつかい」である。おつかいの途中で主人公のさっちゃん(5歳)が、あわれ50万ドルを落としてしまいさあ大変、というストーリーである。ヴィン・ディーゼル氏は、弱り果てたさっちゃんを助け、なんとかお金を取り戻そうと頑張る親友役で出演する。

そんなわけで、肝心のディーゼル氏は、どう考えても主演とはいえないのであるが、この映画にはそこしか売りがないためか、まるで彼の主演映画であるかのように宣伝されている。パブリシティ担当者の苦悩がかいまみえる瞬間である。

とはいえ、さすがは新御三家の一画、ヴィン・ディーゼルである。そんな脇役でも、1番目立っているのはさすがである。独特の低い声が良く通り、本物の500人斬りの悪党のような迫力を見せてくれる。もちろん服装は白のランニングシャツか、白の長袖Tシャツである。彼はどの映画でもこの服なのだ。

65点
大衆が楽しめるベーシックな娯楽映画

脚本やバラエティ番組出演など、マルチに活躍する宮藤官九郎が主演のコメディ。

彼にとりつく幽霊を演じているのが田中国衛。この配役は上手い。この幽霊は、田中国衛という役者の持つイメージをそのまま生かしたキャラクターなので、すんなりとお客さんが感情移入できるのである。

この手のコメディは、やりすぎてドタバタ色が強まると、見ているほうが白けてしまうというパターンが多いのだが、『福耳』はその辺のバランスが良い。笑いも泣きも過剰さがなく、おさえ気味にしているのは美点である。

65点
米軍を素手で蹴散らす、究極のマッチョ映画

アメコミを原作とした、アクション超大作。『ハルク』がほかのアメコミ映画と違うのは、主人公がオールCGという点であろう。つまり、役者が演技をするのは変身前まで。変身後の巨人は、全部アニメである。

そんなわけだから、『ハルク』最大の見所は、『ジュラシック・パーク』以来といわれる、革新的なVFXだ。コミックの中にしか存在しなかった巨人ハルクが、実写の映画でちゃんと動く。現代の映像技術の”凄さ”を、たっぷり体感できる映画である。

ボディビルダーの10倍くらい巨大な筋肉をまとった、ハルクの迫力は半端ではなく、これは究極のマッチョ映画とも言えるだろう。何しろ、主人公のハルクは、素手でアメリカ軍と渡り合うという、範馬勇次郎も真っ青の活躍ぶりである。

65点
付き合いたてのカップルにすすめたい

人気フランス女優シャルロット・ゲンズブールが、実生活でのパートナーであるイヴァン・アタルの妻役(役名もシャルロット)を、劇中で演じるパロディチックなドラマ。

もちろんこれはフィクションだから、シャルロット=シャルロット・ゲンズブールというわけではないが、そんなふうにとる事も出来なくはないように作られており(何しろ監督もイヴァン・アタル自身なのだ)、妙にリアルなセリフやシーンの数々を楽しむ事ができる映画である。

ファンには今更いうまでも無かろうが、彼女はスクリーン上で、とても可愛らしく写る女優である。美人というよりキュートな顔立ちだが、本作ではえらく形のいいお尻を含め、オールヌードまで公開しており、男性ファンは必見であろう。少女っぽい雰囲気が実にエロい。

65点
個性を感じられる短編ガン・アクション集

月刊『GUN』誌という、鉄砲マニアな方が購読する雑誌のライターが主宰した、自主映画コンテストに応募した中から、骨のある新人を2名選んで、押井守らと共に5本の短編オムニバスとして製作したガン・アクション映画。

各20分の短編は、600万とも400万ともいわれる統一の製作費を割り当てられ、各監督がその制限の中で趣向を凝らした。

こうした低予算短編集を見ていると、中には「この10倍の製作費を預けてみたい」と思わせる才能を時折見付けられたりして、楽しいものである。

65点
見応えのある二転三転サスペンス

モーガン・フリーマンとジーン・ハックマンという2大演技派と、モニカ・ベルッチが共演する、サスペンスドラマ。

映画のほとんどは、刑事と容疑者の取調べシーンの会話で進行する。時折、事件当時の回想シーンが挿入されるという構成である。

そして、この会話劇が進んで行くと、やがてとんでもない大どんでん返しが待っている……という映画であるが、オチが読めてしまうので、少々満足度は低い。

65点
非常に現代的なロマンティック・コメディ

メグ・ライアンから『ラブコメの女王』の称号を奪いとった、リース・ウィザースプーン主演のロマンティック・コメディ。

これで現在公開中のラブコメは、『トゥー・ウィークス・ノーティス』、『メイド・イン・マンハッタン』と合わせて3本という事になる。

『メラニーは行く』は、そのなかでは、メイドイン……よりは下だが、トゥーウィークス……よりはちょっと上、といった印象である。興行収入と、採点順位が正反対という点が泣けてくる。

65点
過去に寝た男性の○○○写真コレクションが最高

オスカー俳優3人が共演する、気軽に見れるハートフルドラマ。

まるで、古いアメリカ映画を見るような、懐かしいオープニング。永遠に続くかのような砂漠のハイウェイと汚いスタンドの風景が、ノスタルジックでいい感じである。

そんなわけで、前半は名作の予感がしたが、トリ肉を投げるシーンあたりから、唐突な展開に引き離され、ちょっとダメになった。惜しい。

65点
ラップの魅力が良くわかるクールな一本

アメリカではカリスマ的人気を誇る白人ラッパー、エミネム主演のラップ映画。あちらじゃ、入場にすごい行列を覚悟しなくちゃならないほどの好評判だ。

アイドル映画的な側面も強く、エミネム君のハンサムな顔と素敵な声、見事なラップテクニックを堪能を十分に堪能できる。あとオマケに、かわいい女優さんとの対面立位シーンまで見れてしまう。

私は、ことさらラップミュージックのファンというわけでは無い。聞いてる分には楽しいが、正直今まで、ラップのどこがどう面白いのか、イマイチ良く分からなかったという部類にはいる。

65点
単純な泣き映画としてみればなかなか

オスカー俳優デンゼル・ワシントンが初めてメガホンを取った感動ドラマ。

脚本のアントワン・フィッシャーの実話が元になっているが、この映画は、裏話が結構面白い。

たとえば、脚本のフィッシャーは、もともとソニーピクチャーズの警備員をしていたが、偶然彼の身の上話を知ったプロデューサーが、脚本の書き方も知らない彼に、映画の脚本を依頼したという逸話がある。

65点
盲目世界をどう表現しているかが見所

『スパイダーマン』が世界中で大ヒットして、乗りに乗ってるマーヴェル社が今回出してきたのが、スパイダーマンのオトモダチという設定のデアデビル。アメコミでは、こんな風に各作品同士の背景世界はつながっているのが普通だ。

で、そのデアデビルは、普段は眼の見えない弁護士という設定。で、夜になると悪を退治するヒーローに変身する。主演は『アルマゲドン』に出てから日本でも人気のベン・アフレック。というわけで、日本でもこの映画、結構受けるのではないかと思う。彼は盲人の演技も上手い。

デアデビルは、正義のためとは言え、法律を無視して私刑を与えることを、倫理的に悩む、いわゆるウジウジ君だ。だけどいい女に出会って変わっていくという、正統派の成長物語。

60点
日本の香りが残るヒーローアクション

東映が奥ゆかしいのか、ほとんど宣伝しないものだからあまり日本人には知られていないが、93年から日本のスーパー戦隊シリーズをアメリカで放映したパワーレンジャーは、あちらでは記録的な大ブレイクとなり今に至る。

ドラマ部分を現地の役者で再撮影し、日本版のアクションシーンと組み合わせる。そんなハイブリッドコンテンツとして始まったパワーレンジャーが、いま堂々たる実写映画となっていよいよ逆輸入される。

アメリカのエンジェル・グローブという小さな町。ジェイソン(デイカー・モンゴメリー)ら5人の高校生は、奇妙なコインを手にしたことで超人的なパワーを身に着ける。彼らはかつて地球を守ったパワーレンジャーの一人ゾードン(ブライアン・クランストン)とコンタクトし、彼らが封印した悪の戦士リタ(エリザベス・バンクス)の復活を止めるよう言われるが……。

60点
共謀罪成立前に見ておきたい社会派ドラマ

インターネットが普及して、ニュースはそれで見れば十分という人が増えている。だがよく警告されているようにネットだけで情報収集する人は、得てして自分の見たい、読みたい情報ばかりを集めるようになり、やがて偏った人間になる。私は名匠オリヴァー・ストーンがスノーデン事件を描いたドラマ「スノーデン」をみて、思わずそんなことを考えた。

9.11同時多発テロを見たエドワード(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は愛国心の強い若者だった。彼はそれを機に軍へ志願するが、訓練中に負傷し除隊する。だが次の職場のCIAでは持ち前のIT知識で一目置かれるようになり、徐々に重要な情報にアクセスできるようになる。

つい半年ほど前にドキュメンタリー映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」が公開されており、それを見た人には多くの部分がネタかぶりになる作品である。あちらが傑作だっただけに、あの後こちらを見るモチベーションは大きく下がるだろうし、それも個人的には理解できる。

60点
生々しいエロス

サラ・ウォーターズのミステリ「荊の城」を「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督が映画化した「お嬢さん」。高い評価を受ける原作だが、それだけでは少々アピールにかけるところを、舞台をヴィクトリア時代のロンドから日本統治下の朝鮮半島に変更したことで、我々日本人にとってもとっつきやすい作品となった。

1930年代の朝鮮半島。少女スッキ(キム・テリ)は詐欺師(ハ・ジョンウ)らに育てられた。彼女は日本人富豪の令嬢・秀子(キム・ミニ)の家政婦として屋敷に忍び込み、詐欺師と彼女を結婚させることで財産をのっとる計画を知らされる。優秀なスッキは、首尾よく秀子の寵愛を受けるようになるが……。

原作のストーリーなどはあまり変えず、舞台だけを移したというこの映画版。スッキと令嬢、主演二人それぞれの激しい官能シーンが多々あるため、日本でもR18+指定となっている。

60点
リア充向けおとぎ話

フランス発の原作で、これまで何度も映画、アニメ化されている「美女と野獣」。2017年実写版である本作は、日本でもヒットした91年版のディズニーアニメ版を実写リメイクしたもの。アニメ版と同じシーンがあったり、LGBTのキャラクターが出てきたりと何かと話題になっている作品である。

傲慢だった王子(ダン・スティーヴンス)は、魔女の呪いで野獣に変えられてしまう。呪いを解くにはある一本のバラが散るまでに、野獣である自分を本気で愛してくれる女性を見つけること。だが、醜い野獣を愛するどころか、今では近づくものさえいない。かつての使用人たちも、日用品に姿を変えられてしまい、今では城そのものがまるで廃墟のようにひと気のない有様であった。

自他ともに認めるイケメンで他人の心に注意を払わず生きてきた王子が、この上なくブサイクに変えられてしまいやがて悔い改める有名なロマンスだ。

60点
強烈な才気

湯浅政明監督13年ぶりの劇場用長編アニメ映画である「夜は短し歩けよ乙女」は、普通の作品じゃ飽き足らないマニア向けの斬新なアニメーション作品である。

京都の大学で自堕落な日々を過ごす"先輩"は、サークルのかわいい後輩"黒髪の乙女"にずっと恋心を抱いていた。でも先輩は、思いが強すぎて延々と遠回しに距離を縮めようとするばかり。ところがたくさんのお酒と偶然に満ちたある夜、いよいよ運命の事件が起こるのだった。

他に類を見ない世界観と見た目、素っ頓狂な展開。そういうものに期待して出かけるべき作品である。13年ぶりの長編というが、まさにそのくらいレアな、めったにこういう作品は世に出てこない。特異なアニメと言えるだろう。

60点
美少女が独特の世界観で繰り広げる残酷劇

突然、幸福の科学へ出家することを発表した清水富美加。ここ最近、心が折れるような残酷系の映画撮影が続いたことが引き金となったなどと報じられているが、それが真実なら間違いなく「暗黒女子」はその一本であろう。

聖母マリア女子高等学院の経営者の娘で学園の人気者だった女子高生いつみ(飯豊まりえ)が屋上から落下死した。この事件、もしくは事故をめぐり、いつみが主宰する文学サークルの面々はそれぞれ独自の見解の短編小説を発表しあう。いつみの跡を継いだサークル会長の澄川小百合(清水富美加)は、メンバーそれぞれの視点や犯行説が矛盾に満ちた点を指摘しつつ、不敵な笑みを浮かべるのだった。

秋吉理香子によるミステリ小説を映画化した本作は、このサークルにおける短編小説の発表を、章立てで繰り返す構成となっている。それぞれが回想ドラマのていで、同じ役者、同じ登場人物によって作られる。唯一違うのは、いつみの死の真相部分、つまり犯人ということになる。

60点
不幸の特盛状態

「ラ・ラ・ランド」をくだしてアカデミー作品賞をとった「ムーンライト」は、なるほどほとんどの人が「なかなかいいね」と思うタイプの作品である。

マイアミの麻薬地区で、ジャンキーで売春婦の母親に育てられた少年シャロン(アレックス・R・ヒバート)。学校でもいじめられ、口数も少なくなってしまった彼は、偶然出会った地域の麻薬組織のボス、ホアン(マハーシャラ・アリ)夫妻と仲良くなる。

アカデミー作品賞は賛否が分かれる作品よりも、平均的にポイントを稼ぐ映画が有利な集票方式なので、一部の絶賛と多くの期待外れに分かれたであろう「ラ・ラ・ランド」が落選したのも無理はない。一方本作は、だれが見ても平均以上には気に入るであろう、良質のドラマである。

60点
体調が万全の時にみるべき

「たかが世界の終わり」はグザヴィエ・ドランという若き監督の思想、個性が色濃く出た作品で、それを理解していないと作品のいわんとすることが非常にわかりにくい。だが後述するが、現在においては珍しい視点を持つ監督なので、理解者による絶賛が多いのはよく理解できる。

成功した作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)が12年ぶりに帰郷した。彼が疎遠だった家族に会いに来たのには、大きな理由があった。じつはレイは病に侵されており、余命わずかであったのだ。だが過去のある出来事を理由に一度空中分解した家族たちは、表面上は友好を取り繕ってはいるものの、簡単に秘密を打ち明ける雰囲気には程遠く、レイはなかなか言い出せないのだった。

グザヴィエ・ドラン監督は、家族のことを「まるで傷跡」と表現する。だからこの映画は家族についての物語でありながら、家族愛マンセーとか無条件で揺るがぬ絆、みたいな明るい視点で描かれることはない。彼の映画を見る時の、基本中の基本でもある。

60点
アメリカの変態仮面

他者を激しく攻撃する政治家はカリスマを感じさせ、信者のような支持者を増やすことがある。だが、だからこそヘタを打つとかっこ悪さ100倍でたたかれまくる。

最近では、「国会にプラカードを掲げても何も生まれない」と、だれがどう見ても民進党のことを皮肉った安倍首相に抗議した蓮舫代表に対し、別に民進党なんて一言も言ってないよと首相みずからうまいこと切り返した事件が思い浮かぶ。

ここで終わっていれば良かったが、完全論破の陶酔感に浸ってしまった油断か、彼は直後に「訂正でんでん」などと痛恨の恥ずかしミスをしでかしてしまった。当然、翌日から全マスコミでこのみっともない失敗を報道されまくることになってしまった。教祖様のあまりにカッコ悪い姿に、信者たちも頭を抱えたことだろう。

60点
天才一人では世に出ることはできないという真理

ノーベル賞を取った大隅良典教授には、共同受賞も期待された研究パートナーがいたという。また、米国で活動していた彼を東大に呼び戻した安楽泰宏氏もまた、大隅教授の研究人生におけるある種のターニングポイントだったかもしれない。

1914年のイギリス、ケンブリッジ大学の数学者G・H・ハーディ(ジェレミー・アイアンズ)のもとに、インドから手紙が届く。それによると港湾事務局で働く元路上生活者のラマヌジャン(デヴ・パテル)が、画期的な研究成果を上げたという。それが自らの研究を否定するものだったにもかかわらず、才能を感じたハーディはラマヌジャンを大学に呼び寄せる。

大隅良典にしろ、数学界の巨人ラマヌジャンにせよ、天才はその才能を見出す誰かによってチャンスを与えられ、初めて世に出ることができる。また研究にしても一人でできることには限りがあり、優れた助力者によるブースト効果というものは無視できない。

60点
闇を歩く17歳の視点

17歳をテーマにした映画は数多い。それだけ人間にとって節目の年、あるいは何か言及したくなるようなユニークな年代ということであろう。湊かなえ原作小説の映画化「少女」もそんな17歳の女の子二人を中心としたドラマだが、これをいったい誰に見せるのか、という点があやふやなために傑作になり損ねた印象である。

幼馴染の女子高生、由紀(本田翼)と敦子(山本美月)。かつては明るかった二人は、今は暗い高校生活を送っている。由紀は少女時代に負った醜い傷跡のトラウマを上書きするかのように自作の小説執筆に明け暮れる。敦子は特技だった剣道でミスをして同級生に迷惑をかけ、未だひどいいじめにあっている。ありふれた二人の悩みは、しかし閉塞的な世界で生きる17歳には死の影すら感じさせるものだった。

主演の本田翼が素晴らしい演技を見せる。無表情で大人びた様子は一見女子高生には見えないが(実際の年齢もかなり上だが…)、大事なものがなくなったときや性的な危機に対する狼狽の様子や、自分が大きなミスをしてしまったことへの絶望の叫びなど、その「強さ」が崩れる瞬間、もろさのような感情の発現が秀逸である。誰もが認める整いすぎた顔立ちは、本作では近寄りがたさを感じさせるが、これも17歳の不気味さ、理解不能さを表現するにはふさわしい。

60点
完成度は下がったが見られるのはうれしい

映画史上稀に見るテンションを保ったまま完結したボーンシリーズ三部作。しかしその後、世界観を同じくするスピンオフ的作品「ボーン・レガシー」(2012)は、三部作に比べればいまいちな反応であった。

やはりファンはマット・デイモンのボーンを待ち望んでいたわけだが、その希望がかない、このたびポール・グリーングラス監督による堂々の続編、新章が始まることとなった。

世間から隠れてひっそり暮らすジェイソン・ボーン(マット・デイモン)の前にかつての同僚ニッキー(ジュリア・スタイルズ)が重大な情報を持ってくる。彼女の情報には、ボーンの父親に関する事柄が含まれていたのだった。彼は、CIAから追われることになりながらも新たな戦いへと旅だつのだった。

60点
ライアン・レイノルズも歓喜のブレイク推しサメ映画

安直な邦題、安っぽいCGサメ、いかにも金のかかっていない少数キャストのワンシチュエーションもの……。「ロスト・バケーション」は、ブレイク・ライヴリーの名前がなければ「マツコ&有吉の怒り新党」の新3大サメ映画あたりにノミネートされそうな鮫パニックである。

秘境のビーチにやってきた医学生でサーファーのナンシー(ブレイク・ライヴリー)。沖合にある奇妙な物体をみつけた彼女は、そこで突然サメに襲われ負傷する。必死に近くの岩場に泳ぎ着くが、血液の臭いからか、サメは彼女のそばを離れない。まもなく満潮になり、彼女の岩場は水面下に沈む。岸は目に見えるほど近い。残された時間はわずか。はたして彼女の運命は……。

件の番組でサメブームを仕掛けた張本人の映画批評家としては、「ロスト・バケーション」のようなキワモノパニック映画は外せない。喜び勇んで見に行くと、なかなかどうして、ギャグ抜き、超真剣につくられたガチンコのサバイバルドラマであった。

60点
CGキャラとの演技合戦

夏の大作群に先駆けて公開される「ウォークラフト」は、プレイヤーの登録数がギネス記録を持つ超人気オンラインゲームの実写化。圧倒的知名度と期待を背負った実写版だけに、早くも世界19か国で興収トップを記録した大ヒット作だ。

人間が住む王国アゼロスに、故郷を失ったオークの軍団が侵略してきた。全面戦争の危機の中、ひとりのオーク氏族長だけは共存の可能性を探っていたが……。

ジャンルは「ゼルダの伝説」や「ドラゴンクエスト」、映画でいえば「ロード・オブ・ザ・リング」と同じく中世ファンタジーに属する。エルフやドワーフ、ゴブリンが闊歩する定番の世界観は比較的なじみやすい。

60点
IMAX-3Dの最高の環境で見てもこのくらい

20年前に公開された前作「インデペンデンス・デイ」は、日本でも113億円もの興収を記録。アメリカ万歳な内容から、ハリウッド史上まれにみる成功を収めた米軍プロパガンダ映画、などと評価されたりもしたが、この続編「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」も、専門家でさえ予想できなかったブレグジット直前に英国で公開されていたことから、同様の評価(?)を得ることになるかもしれない。

96年のエイリアン襲撃から20年、人類は次なる戦いに備えていた。エイリアンのテクノロジーを利用した動力システムやシールドをはじめ、月面基地には強力な母艦迎撃用の主砲も備え付けた。そしてついに「彼ら」はやってきた。だがその宇宙船のデザインは大きく異なっていた。前回の襲撃を知る技術者(ジェフ・ゴールドブラム)は、とっさに「攻撃するな」と進言するが……。

本作が英国紳士たちの独立心をどれほど刺激したのかはともかく、これみよがしな中国人キャラクターなど、相変わらず政治的な香りの高いエンタメ映画である。とくに大統領が「女」という設定は、前作をホワイトハウス試写会で絶賛してくれた民主党クリントン大統領(当時)への、まるで恩返しのようだ。

60点
シャーリーズ・セロンの境遇と似すぎ

「ダーク・プレイス」は、「ゴーン・ガール」の大好評が記憶に新しいギリアン・フリン原作「冥闇」のミステリードラマである。私は「ゴーン・ガール」クオリティの作品がこんなにも早く見られるなんてと期待して見に行ってみたのだが、あちらほど万人には進めがたい内容であった。

85年にカンザス州の田舎でおきた凄惨な事件。家族を次々と惨殺されながらも当時8歳の少女リビーの証言が決め手となり、兄のベンが逮捕された。それから28年後、生活に困窮するリビー(シャーリーズ・セロン)のもとに、過去の事件の再検証を行う同好会「殺人クラブ」から事件の話を会合でしてくれないかとの誘いが来る。

まず、シャーリーズ・セロン演じるリビーの役柄が面白い。幼い頃、ひどい事件の被害者となった彼女の元には、全米から億単位の寄付が寄せられた。その大金によってなに不自由なく暮らせた彼女だが、しかしその金は28年間でつきてしまった。気づけばリビーは、なんのスキルもない中年女というおよそ社会のヒエラルキーのなかでも最下層に放り込まれてしまっていたのである。

60点
ディズニーの自信を感じる一本

かつてはドリームワークスアニメの得意技だったアンチディズニー的なるものを、今や本家がやっていると私は何年も前に指摘した。それほど自らの築き上げてきた世界観、ポリシーに自信を持ち始めているわけだが、この最新作「ズートピア」もそうした最近のディズニーらしさがよく出た作品である。

あらゆる動物たちが生きられるよう、エリアごとに気候を調整した動物たちの楽園ズートピア。ここでは肉食草食とわず、動物たちが共存している。そしてウサギのジュディは必死に努力し、ついにここで警官になる夢を果たした。そんな新人警官ジュディはキツネの詐欺師ニックと出会い、ひょんなことから一緒にある事件を追いかけることになるが……。

怖いもの知らず&ちょいと世間知らずだからこそ、猪突猛進で夢をかなえてきたジュディ。対照的に、夢も善意も信じず、その見返りに抜群に世渡りがうまくなったニック。この二人が補完しあい、互いによい影響を与えていく。まあ、子供向けアニメとしてはありがちな大筋である。

60点
機械人形が目指す夢?

コンピュータが自らを改良することができたら、彼らはどこまで進化するのだろう。少なくとも人類のポテンシャルを、あっという間に越えてしまうことは間違いない。それは古くから技術者、SF作家たちが考え続けている魅力的な思考実験でもある。そして映画「オートマタ」は、そうした妄想が好きな人におすすめの、静かで世界観重視のSF映画である。

環境破壊と砂漠化が進んだ2044年。オートマタと呼ばれる人型汎用ロボットは、社会生活に欠かせない存在となっていた。厳密に管理、プログラムされたオートマタだが、ある場所で一体のロボットが予期せぬ挙動を見せ始めるのだった。

この作品に出てくる人型ロボットオートマタには、二つのプロトコルが実装されている。アシモフの昔からお馴染みの、ロボットに必須の制限ルールというやつだ。本作では一つ目が「生命体に危害を加えない」、二つ目が「自分で自分を修理改造しない」となっている。

60点
漂流物原型

ハーマン・メルヴィルの「白鯨」の真実に迫るノンフィクション「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」を基に描いたドラマ「白鯨との闘い」は、「白鯨」未読者でも十分に楽しめる海洋アクションの一面も持つ。

19世紀初頭、鯨油の獲得を目指すエセックス号の一等航海士オーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)は、平民出身ながら船員の信頼も厚いたたき上げの実力派。だが名家の息子である船長(ベンジャミン・ウォーカー)は、そんな彼のアドバイスを聞かず無理な命令を強行し、船を窮地に追い込んでしまう。

漂流物の原型のようなお話で多くの類似品が存在するがために、この手の作品はストーリーへの興味だけではなかなか難しい。そこで本作でもいろいろと膨らませてはいるが、「白鯨」の裏話実話という付加価値がないと少々厳しいであろうレベル。

60点
いまアメリカが求めるリーダー像

2016年のいま、こういう映画がハリウッド大手から出てくると、ああこの映画の裏テーマは「いまあるべき理想のリーダー像」なんだろうなと予想がつく。なにしろ今年はそういうものにアメリカ人が興味を持つ、4年に1度の特殊な年なのだから。

1950年代、北大西洋上で遭難した巨大タンカー、SSペンドルトン号はSOSを出すが、運悪く当夜は大嵐で救助船は出払っていた。残っていたのは定員わずか12名の小型救助艇のみ。しかもとても船を出せるような天候ではない。果たしてこの状況の中、沿岸警備隊員たちはどういう選択をするのだろうか。

混戦模様の大統領選真っ只中にこういう映画を見せられると、はたしてアメリカ人はどう思うのだろう。そんな風に考えながら見るとなかなかおつな一本である。

60点
倉科カナがあんなセリフを……

人気女優、倉科カナがお下劣セリフを連発する「珍遊記」は、山口雄大監督らしいおバカ度たっぷりな不条理劇に仕上がっている。

乱暴者として知られていた山田太郎(松山ケンイチ)は、天竺を目指す玄奘(倉科カナ)に屈服させられその旅に同行することになる。だがその旅路は波乱に満ちており……。

あのきれいな顔をした倉科がつるっぱげ状態で、ちんこだの放屁だのと明瞭な発音で語るたびに、自分はなんてくだらない絵図を見ているのだろうと思わず笑いが漏れそうになる。それでも、そんなばかばかしいものに笑わされることにある種のプライドで抵抗しているところを、山口監督は必死にこじ開けようとする。やがて、じじい(田山涼成)とばばあ(笹野高史)の気持ち悪いラブシーンを見せつけられたあたりで、完全にこちらの我慢は崩壊する。

60点
天才を生み出すというのは非人間的なことなのか

天才とは、誰がどう見ても貴重でかけがえのない存在だが、その才能が本人を幸せにするとは限らない。15年最大の傑作の一つ「セッション」もそうだが、今年最後の公開作品「完全なるチェックメイト」もまた、そんな苦い後味と想像をかきたてる良作である。

天才的なチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)は、現チャンピオンのソ連人ボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)との対戦を切望していた。ところがときは冷戦中、仮想敵国に長年チャンピオンを奪われ続けていた米国世論はボビーの思惑を超え、ほとんど代理戦争のごとき盛り上がりを見せるのだった。そんな異様な状況下、ボビーの脳は限界近くまで酷使され、やがて彼の行動は常軌を逸してゆく……。

将棋と違ってチェスが早い時期からコンピュータに勝てなくなったのは、この競技が些細なミスを許さず、リカバリがしにくいシビアなものだから、との説がある。劇中のボビーも言っているが、銀河の星ほどの選択肢があるように見えながら勝つためのルートは一つだけ。それを一刻も早く探し出し、先読みし、ミスせずに打ち込めるか。それがこの競技の神髄だという。

60点
こんな時代があったのか

1981年というと多くのアメリカ人は、非常に治安が悪かった年、とのイメージを持つという。NYの地下鉄は落書きだらけ、銃声が聞こえるのも日常茶飯事。そんな乱世はしかし、底辺からのしあがる成功物語が似合うときでもある。

独立系の石油会社を経営する移民のアベル(オスカー・アイザック)は、一か八かの事業拡大のためユダヤ人から将来性ある土地を購入するため頭金に全財産をつぎ込むことを決めた。ところがその途端、会社に災難が降りかかり、銀行融資の雲行きが怪しくなる。ライバル社のような違法行為に手を染めたくない潔癖の価値観を持つアベルは、はたして自分の会社とポリシーを守り切れるのだろうか。

「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」は、重苦しい映像がよく似合う不穏な時代に不穏な業界で一発当てようとする男の物語である。

60点
愛がある人間の物語は心を打つ

「シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人」は、タイトルにもなっている二人の婆さんが、今の殺伐とした時代を嘆き、なぜこんなことになってしまったのかを知るためにウォール街の偉い人に質問しに行くドキュメンタリーである。

シアトルに暮らす86歳のヒンダは口が悪く、テレビや新聞を見ては悪態をつく毒舌婆さん。親友のシャーリー92歳はそんなヒンダをなだめつつ、穏やかに見守るお婆さんだ。そんな二人に共通するのは、なぜアメリカはこんなせちがらい国になってしまったのだろうと疑問を持っていること。

その彼女らなりの予想は、経済成長至上主義が元凶ではないかというものだ。効率を求め、労働や社会から人間味を排除するこのシステムは、アメリカのいいところを徐々に削っていったのではないか。本当に経済成長とは、必要不可欠なものなのか。

60点
ジャンル読みしにくい点がいい

「THE JUON/呪怨」でハリウッドを制した清水崇監督の新作は、旅客機を舞台にしたシチュエーションスリラーである。もっとも、清水監督のことだから単なるパニックムービーにはなるまいと警戒しつつ、私たちは彼の敷いたお化け屋敷へのレールを進むことになる。

ロサンゼルス発東京行きの旅客機の中には、どこかクセのある乗客が乗っている。そんな不穏な空気の中、機体が乱気流に巻き込まれたことをきっかけに、次々と奇妙な事件が巻き起こる。

夜便とはいえ、こんな飛行機あるのかねと思わせるほどに機内照明が暗くて不気味である。離陸時からその調子だから、どこかホラーっぽさを感じさせる。この監督らしさといってもいい。

60点
究極の「自分探し」

「どこにもアタシの居場所がない気がする……」と悲劇のヒロインを気取って自分探しの旅に出る。そんな若いムスメの話ときけば、何を甘ったれたことを言ってんだ、そんなことより働け! と一喝したくなる。

その手の「オンナノコの自分探し」モノにはウンザリだというそうした男性たちも、『奇跡の2000マイル』にはぶったまげるはずだ。

24歳のロビン・デヴィッドソン(ミア・ワシコウスカ)は、母国オーストラリアの自然やアポリジニの文化に興味があったこと、そして何より都市での生活に疎外感を感じていたことから町を離れる決心をする。持ち金6ドルで中部の町アリススプリングスに到着した彼女は、手近な店に飛び込んでこう言う。「仕事はない?」

60点
せっかくのアイデアも先を越され

中国の新作アニメが「カーズ」をパクったとのニュースは、同情とともにさすがはピクサーだと人々を感心させた。だがそんなことより、自分のところの最新作が極東のマンガ映画のアイデアの二番煎じであることのほうが、よほど深刻な問題である。

11歳の少女ライリーの頭の中には5人の感情が日々会議をしてライリーの行動を決めていた。リーダー格のヨロコビ(声:エイミー・ポーラー)はライリーが大好きで、彼女が幸福でいられるように奮闘している。ところが常にマイナス思考のカナシミ(声:フィリス・スミス)が、いつも足を引っ張ってくる。いったいぜんたい、なぜカナシミみたいな何の役にも立たない感情がここにいるのだろうか。

アイデアが似ている程度の作品は数あれど、脳みその中で数名が会議をして紛糾するプロットは、偶然にしてはあまりに……と思われても無理はない。公開時期が近すぎるてんもまたしかり、だ。親会社のディズニーも似たような疑惑を繰り返しているのでなおさらである。

60点
印象に残るも、もう少し突き抜けたい

「新宿スワン」(2014)、「リアル鬼ごっこ」(2015)、「映画 みんな!エスパーだよ!」(2015)と立て続けに監督作が続く園子温監督。公開頻度もハイペースとなっているが、そんな中でも「ラブ&ピース」は、監督自身のパーソナルな好みが色濃く出た印象のシュールなドラマだ。

ミュージシャンの夢もやぶれさり、しがないヒラ社員で生きる鈴木良一(長谷川博己)。同僚の寺島裕子(麻生久美子)の思いは打ち明けられぬ引っ込み思案な彼は、あるときカメ売りから手に入れたミドリガメに心奪われる。ピカドンと名付けたそのカメに話しかけるのが心の平安となった彼だが、あるときそれを職場に見つかってしまい……。

コミュ障のごとき青年が、ミドリガメと痛々しい交流(というより一方的な語りかけ)を描く前半と、なぜか怪獣映画になる後半。いったいその二つがどうつながるのか、見る前はさっぱりわからないであろう。そんなナンセンスな物語である。

60点
非現実風味を消せていないが面白い

「予告犯」は今の日本の重大な社会問題であるワーキングプアを扱っている意欲的な社会派エンターテイメント。だが、この問題の重大さをいまいち伝え切れていない点が惜しい一本である。

新聞紙で覆面した男がネットの動画サイトで不気味な予告をした。それはずさんな管理で集団食中毒をおこした食品会社への制裁であった。当初はまったく見向きもされなかったが、その予告通りに会社が炎上し、世間は騒然とする。

「予告犯」は、すばらしいアイデアとストーリーを兼ね備えた、邦画としてはなかなかの一本。

60点
映画に騙される面白さ

世界一のスリと称される本物の詐欺師が監修しただけあって、「フォーカス」の犯行手口のディテールは興味深い。

だが終わってみれば、むしろこの映画全体にうまくだまされていただけだなと気づく。ある意味壮大な詐欺映画だった点には感服せざるを得ない。

美人だが経験不足の詐欺師ジェス(マーゴット・ロビー)は、今日もバーでカモを探して美人局にひっかけようと企んでいた。だが彼女が声をかけたのは、よりにもよって超一流の詐欺師ニッキー(ウィル・スミス)だった。

60点
脚本重視の企画には好感

最近の日本の映画ファンは見応えある脚本に飢えている。それも当然、これだけ製作・公開本数が多ければ、作る側としてもじっくり脚本を練り上げる時間などそう確保できない。結果、よくできたミステリのように複雑に組み上げられたストーリーが登場する確率はどんどん減っていく。

自他ともに認めるモテ男で外科医の亘(松坂桃李)は、はずみで一度だけ抱いた対人恐怖症のあゆみ(戸田恵梨香)から、突然妊娠を告げられる。今日が4月1日ということもあり、相手にもしなかったところ、なんとあゆみは亘がいるレストランに武装して踏み込んでくるのだった。

実績ある脚本家古沢良太によるオリジナルストーリー「エイプリルフールズ」は、前述のような良質脚本飢餓組にとっては期待の作品である。なにしろいまだに映画ファンの語り草となっている「キサラギ」(07年)以来、古沢良太の手による脚本には佳作が多い。

60点
ディスニー的なもののスクラップ・アンド・ビルド

大ヒット作「アナ雪」など、近年のディズニーは王道崩しが王道になっているという奇妙な状況にある。主だったコンテンツホルダーを買収しつくした帝国の余裕といったところだが、中でも「イントゥ・ザ・ウッズ」はきわめつけだ。

魔女(メリル・ストリープ)の呪いで子供に恵まれないパン屋の夫婦。魔女がいうには、4つのアイテムを森から持ち帰ることで呪いが解けるという。それらを集める過程で、赤ずきん、ラプンツェル、ジャック、シンデレラといった奇妙な連中と深くかかわっていく彼らだが……。

ディズニーランドが大好きなメルヘン少女がみたら仰天確実な、ディズニー自らによるディズニー壊し。数々のお姫様物語の幻想を完全崩壊させる、破壊力抜群の実写ミュージカルである。

60点
ホーキング博士の(奥様執筆の)自伝

スティーヴン・ホーキングは、おそらく世界で一番有名な物理学者だろう。だが、車いすに乗って人工音声で話す彼の、過去の半生は案外知られていない。「博士と彼女のセオリー」は、そんな天才博士の伝記物語である。

ケンブリッジ大学院生のスティーヴン(エディ・レッドメイン)は、将来を期待された若者だったが、あるときジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い恋に落ちる。ところが直後にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症。余命2年を宣告されてしまう。

この映画は、人生の節目というものを的確に描いている。我々が想像しうる彼の人生の節目とは、たとえば病気を発病する瞬間、そして重度障害者となるとき、結婚などいくつかある。

60点
2本で一つの物語

「ラブストーリーズ コナーの涙」「ラブストーリーズ エリナーの愛情」はそれぞれ独立した映画作品だが、2本ともみていただくことが大前提の企画のため、特例として2本分を一つの記事で取り扱うことにする。

大恋愛の末に結ばれたエリナー(ジェシカ・チャステイン)とコナー(ジェームズ・マカヴォイ)は、しかし愛する子供を失って以来、笑いのない生活を送っていた。エリナーの心にコナーがなかなか踏み込めないうちに、彼女はどんどん病んでいく。はたしてこの二人の行方はどうなるのだろうか。

ひとつの恋愛の始まりから終わりまでを、男女それぞれの視点で2本の映画にする。観客はどちらの映画からみてもかまわない。男と女それぞれの観客がいることを考えたら、少なくとも4つの感じ方ができるというユニークな企画である。

60点
これでも大ブーム中

「ミュータント・タートルズ」はアメリカでえらいブームとなっていて、おもちゃの世界一を決める「トイ・オブ・ザ・イヤー賞」も受賞したほど。自費出版から始まったキャラクターものがここまで育つというのは、ある意味なかなか健全な話かもしれない。

シュレッダー率いる犯罪組織フット軍団により、ニューヨークの治安は悪化する一方であった。テレビレポーターのエイプリル(ミーガン・フォックス)は彼らを硬派な報道で追いたかったが、回ってくる仕事はナンパなヒマネタばかり。だが、そんな彼女は偶然にもフット軍団を成敗する謎の亀ヒーローを目撃、追い始める。

プロデューサーとして名を連ねるマイケル・ベイの強い意向で映画化された本企画は、なるほど彼らしい大仰なスペクタクルシーンとユーモア満載の、お気楽娯楽超大作である。

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