「前田有一の超映画批評」をランキング形式で紹介するサイトです。 週末の映画選びなどにご利用ください。

2156件中 901~950件 を表示しています。
65点
浮気相手と夫のガチンコ対決サスペンス

傑作戯曲の2度目の映画化である本作は、現代的な舞台設定と多少の結末変更があるため、72年版の映画を見た人も大いに楽しめる。むろん、未見の人ならなおさら面白いサスペンスドラマだ。

ベテランミステリ作家のアンドリュー(マイケル・ケイン)の豪邸に、売れない若手役者のマイロ(ジュード・ロウ)がやってくる。マイロはアンドリューの妻と不倫中であり、今日の招待はその件だろうと覚悟していた。マイロは堂々たる態度で逆に離婚を迫るが、そんな彼にアンドリューは意外な提案をするのだった。

舞台は一軒の屋敷。登場人物はほぼこの二人のみ。騙し、騙しあう若者と老人。彼らの、会話を中心とした演技合戦こそがすべて。この上ないミニマムさが魅力の、優れたサスペンスだ。

65点
ロシアで進化するガン=カタ・アクション

いま、ロシアは原油高騰による好景気に沸いており、壊滅寸前に追い込まれていた国内映画産業も活気を取り戻しつつある。この国では、アメリカ製アクションエンタテイメントが大人気であり、若者向け作品はおのずとその強い影響を受けている。ロシア製・特殊部隊アクションである本作が、ハリウッドのような娯楽一辺倒のつくりになっているのもまた、当然のことといえる。

軍縮が現実のものとなっている近未来。大雪に覆われたロシアの実験施設からの連絡が途絶えた。この地下にひそかに弾道ミサイルを配備していた軍当局は、機密保持と原因解明のためグッドウィン隊長(ユーリ・クッシェンコ)率いる特殊部隊を送り込む。そこで彼らは研究員の死体を次々と発見するが、同時に致死性のウィルスに感染してしまう。

レイトショー公開のロシア映画ということでか、チラシのあらすじ紹介がまったく本編の内容と異なっていたのには苦笑した。資料には、映画バイオハザードのように生物兵器と化した研究員と特殊部隊が戦うなどと書いてあるが、そんな話は出てこない。

65点
エジプトの音楽隊が、"敵国"イスラエルで迷子に

カンヌ映画祭で好評を得、東京国際映画祭の最高賞(東京サクラグランプリ)を受賞した本作は、ミニシアターで映画を見るのが好きな映画通にとって、この冬期待の一本だろう。

1990年代の初頭。エジプトの警察音楽隊が、イスラエルに招かれやってきた。だが手違いのためか、空港に迎えがいない。誇り高きベテラン楽団長(サッソン・ガーベイ)は、自力で目的地を目指すが、わずかな地名の聞き違いで見当違いな村に到着。翌朝のバス便まで動きが取れなくなってしまう。

エジプト(アラブ人)とイスラエル(ユダヤ人)といえば、しょっちゅう戦争しているまさに不倶戴天の敵。すわ、緊張か?! と思うとそうではない。この映画のポイントは90年代初頭という年代設定で、このとき両国は、和平進行中の数少ない「雪解け」のとき。舞台が辺鄙な集落ということもあり、住民たちものんびりしている。

65点
日本最強子役が挑む難病もの

神木隆之介といえば天才子役。デビュー当初よりその演技力は高く評価されている。個人的には演技うんぬんより、性別を超えた透明感溢れるルックスとムードこそが持ち味と思っている。誰もが一目で好感を抱いてしまう、このオーラこそ神木隆之介最大の武器であり、それは14歳になった本作でも衰える気配がない。

1977年の函館。野球とラジオが大好きな少年、太郎(神木隆之介)は、試合中に倒れ、そのまま入院することに。そこで"大先生"(原田芳雄)と知り合った彼は、そのはからいで翌日から院内放送のDJを任される。番組は好評で、すっかり院内で有名人となった太郎は、一人の少女(福田麻由子)と出会い、急速に惹かれていく。

小さな恋と不条理な運命、懸命に生きる少年の生きがいとなるDJ……。すべて予想の範囲内の物語ながら、どこか心ひかれる作品だ。これは本作が、脚本でなく画面と役者で魅せる映画だから。

65点
会話で笑わせる、沈黙シリーズ中でもかなりの佳作

全主演作で、無敗の大活躍を見せるスティーヴン・セガールの強さは、もはやギャグの粋に達している。実生活で、犯罪組織とのつながりを指摘されたFBIに対して、事実無根との抗議声明をだしたときにも、むしろ誰もが「これでFBIも壊滅だな」と思ったに違いない。

『沈黙の報復』は、そのセガール映画のあまりに非常識なムテキさ加減を、上手い具合に笑いに取り込んだ、ファンなら大ウケの一品。もちろん今回も、ストーリーやキャラクター設定そっちのけで、"スティーヴン・セガール"が大暴れするアクション映画であることは言うまでもない。

しかも本作では、"息子を殺された父親"という、これ以上ない理由付けにより、際限ない大暴力の正当化を行っている。復讐に燃えるセガールを相手にしたら、地球上のどんな巨大組織だってかなうわけがない。最初から全員死亡が決定しているのと同じだ。

65点
まわりに溢れる幸せに気づかせてくれる感動ドラマ

ものの本によれば、女性には2種類のタイプがいるという。それは、女王様型とボランティア型。(男に)つくされて喜ぶか、それともつくして喜ぶか。ブサメンなのに美人にモテる男たちは、アカギが捨て牌をエリアで分けるがごとく、ボランティアタイプを本能的に見分け、アプローチしている。

もっと具体的にいうと、酔っ払って強引に迫られると断れない、「きれいだね」より「いつもありがとう」と言われる方が嬉しい、歴代彼氏が俗に言うダメンズばかりというアナタは、間違いなくボランティアタイプである。運が悪いとヒモまがいのろくでなしを一生養い続ける事になるから要注意だ。

『自虐の詩』のヒロインもその典型で、ハタからみるとどうしようもないヤクザものの面倒をみている。この男ときたら、一切働かないどころか籍すら入れない。短気で暴力は振るう、酒とタバコとパチンコが好き、彼女のなけなしの給料は持っていってしまう。いったい何が楽しくて一緒に暮らしているのかと周囲は思うが、本人はこれが幸せという(あるいは思い込もうとしているのか)。

65点
あたふたする完璧女はかわいらしい

私たちの日常生活においては、出産にせよ恋人にせよその前段階で心の準備をする余裕があるものだ。たとえば、友人関係から徐々に盛り上がっていくとか、10ヶ月の妊娠期間中に精神的にも母となっていったりという具合に。しかし映画の中では、突然それらがやってくるシチュエーションを設定し、意図的にドラマを作り出していくのが常道である。ドイツ映画『マーサの幸せレシピ』(01年)を丁寧にリメイクした『幸せのレシピ』も、その例に漏れない。

NYで人気のフレンチレストランでシェフを務めるケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)。真面目一徹、完璧主義者の彼女は、ある日突然、姪っ子のポーラ(アビゲイル・ブレスリン)と暮らすことに。実母にジャンクフードを与えられて育ったポーラは、ケイトの繊細な料理には見向きもしない。おまけに久々に出勤すると、ラテンな性格のイタリア料理人(アーロン・エッカート)が新任の副シェフに。緊張感に満ちていたケイトの厨房は、彼によって妙にお気楽なムードに変えられてしまっていた。

まさに、ケイト受難の日々、である。キャリアを苦労して積み上げてきた彼女のような人物には、もともと完成された生活リズムというものがある。それを、突如やってきた二人によりかき乱されてしまう。ご飯を食べてくれない子供と、想像を絶する能天気男(しかも自分の大ファンときた)。どちらもケイトの経験では、とても対処しきれぬ難関だ。

65点
ただのスリラーと思えばまあまあ

名高いカルトムービーのリメイクである本作は、むしろオリジナルを知らない観客こそ楽しめるようなアレンジが加えられている。

誠実な性格の白バイ警官(ニコラス・ケイジ)は、ある交通事故現場で少女を救えなかった体験に悩まされていた。そんな折、突然姿を消したかつての婚約者(ケイト・ビーハン)から手紙が届く。それは、故郷のサマーズアイル島で産んだ彼女の娘が行方不明になり、手を貸してほしいとの内容だった。

ニコラス・ケイジ演じる警官は正義感が強く、また愛情深い男であり、自分の前から理由も告げずに姿を消した不誠実な恋人のため、単身この離れ小島にやってくる。どこからどうみても善人であり、物語の展開上、彼に落ち度はない。そこが大きなポイントとなってくる。

65点
こういう意欲作がどんどん増えたらいい

かつて『Returner リターナー』(02年、山崎貴監督)と『ピンポン』(02年、曽利文彦監督)をみたとき私は、明らかに世界レベルのエンターテイメントを志向するこの二人の監督が、やがて邦画界を変えてくれるかもしれないと大いに期待した。

作品はまだ荒削りではあったが、ともにCGなどVFXの専門畑から監督業に進出してきた彼らからは、従来の映画監督にはない発想と、それを形にするだけの実力が感じられたものだ。なにより既存の枠組みから脱することをいとわぬ怖いもの知らずな勇気、面白いものを見せてやろうというサービス精神が作品からにじみ出ていた。

その後、山崎貴監督のほうは『ALWAYS 三丁目の夕日』で、見事その年の日本の映画賞を総なめにした。そして曽利文彦監督の、『ピンポン』以来5年ぶりとなる最新作がこの『ベクシル 2077 日本鎖国』である。

65点
擬似父娘関係がせつないホラードラマ

世に吸血鬼映画は数あるが、『ブラッド』は父と娘の独特の距離感による愛情を描くことをベースにしたことで、大人の観客が注目するに足る一本になった。

敏腕記者セイディー(ルーシー・リュー)が、過去にカルト教団について取材した若い女性が殺された。不審に思ったセイディーは再度調査を始めるが、逆に教団関係者に拉致され殺されてしまう。だが、何らかの理由で吸血鬼として蘇生した彼女は、殺された娘の父親で刑事のローリンズ(マイケル・チクリス)と協力しながら、教団への復讐を開始するのだった。

この映画のみどころは、小型のボウガン片手にルーシーが跳び回るホラーアクションとしての立ち回りとか、あるいは彼女のスレンダーなヌードなどわかりやすい部分だけでもいくつかある。だがその最たるものは、無実の人間たちを(生き血をすするため)殺めなくては生存できない吸血鬼としての運命に葛藤するヒロインの姿。そして彼女とその宿命をはじめて理解した刑事との友情ドラマだ。

65点
デートのお供に最適なお気楽犯罪ムービー

オールスターキャストをスティーヴン・ソダーバーグ監督の軽妙な演出で見せる犯罪シリーズの第3弾である本作は、前作『オーシャンズ12』の悪い点をものの見事に修正し、コンテンツとしての延命を決定付けた一本といえる。

ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)率いる職人的な泥棒チーム"オーシャンズ"の中で、もっとも手堅く資産を増やしていたルーベン(エリオット・グールド)は、ホテル王バンク(アル・パチーノ)が提案するベガスの豪華ホテルの共同経営に参加する。ルーベンの人の良さを心配する仲間たちが警告していたにも関わらず、彼は狡猾なバンクにだまされ財産を失い、ショックによる心筋梗塞で倒れてしまう。復讐に燃えるオーシャンズは、ホテルのグランドオープンを滅茶苦茶にし、バンクを破産させるべく水面下で動き出した。

前作はあまりにオフザケがすぎ、「出演者とスタッフの自己満足が見苦しい」と厳しい批判にさらされた。今回も「これだけのメンバーに適当に気の利いたセリフをしゃべらせとけば、とりあえず客は入るだろう」との認識に基づいたお気楽映画であることに違いは無いが、少なくともごく普通の、ストーリーを楽しませる犯罪映画として成立している。

65点
田中麗奈の自然体演技が作品の質を高めた

夏になると戦争関連の映画が増えてくるが、原爆とその傷跡をテーマのひとつとしたこの『夕凪の街 桜の国』は、試写を見た周辺の映画関係者の評判がすこぶる高かったので、私も個人的に気になっていた。

原爆投下から13年経った広島。復興目覚しいこの街で、平野皆実(麻生久美子)は事務員として働いている。ある日彼女は同僚(吉沢悠)から告白されるが、それを機に将来を意識するようになり、同時に被爆者としてのコンプレックスと原爆症への怯えが表面化してくるのだった。

上記あらすじは、二部構成の前半である『夕凪の街』の冒頭部分。その主人公平野皆実の報われない愛を追うことで、投下からわずか13年後における被爆者たちが当時感じていた恐怖、疎外感を浮き彫りにする。原作漫画の構成にほぼ忠実なまま、映画も進行する。

65点
素朴な反米感情が描かれている

『イラク 狼の谷』は、アメリカ大嫌い! という人のために作られた反米アクション映画である。

この映画の製作国であるトルコはNATOの一員であり、古くから軍事を含む政治経済面では米国やイスラエル、ヨーロッパに協力する立場を取ってきた。しかし、国民のほとんどはイスラム教徒であり、同じイスラム文化圏の国々を自国の基地を利用して空爆する米国に対して、複雑な感情を抱いている。

しかも、当のEU(とくにイスラム人口の増加に頭を悩ませているフランス)からは、(トルコもイスラム教圏の国なので)あからさまに加盟を嫌がられている。米国にしても、トルコが中東とヨーロッパの境目に位置する地政学上の要衝ゆえ友好的なだけで、本音はフランスと同じ。イスラム人口の増加は欧米各国最大の悩みの種であり、内心では疎まれ、単なる駒として利用されているにすぎない。

65点
斜め構図と後半の唐突な展開はNG

心は自分のままで、カラダだけ異性と入れ替わる。しかも相手はクラスメートの可愛い幼馴染。……そんな、思春期の少年少女の琴線に触れる設定が有名な「転校生」は、いうまでもなく青春ファンタジーの名手、大林宣彦監督の代表作。今回は、自身の手による25年ぶりのリメイクとなる。

両親の離婚により、母親と信州に越してきた一夫(森田直幸)は、転校先で幼馴染の一美(蓮佛美沙子)と再会する。懐かしい思い出を語り合いながら、二人にとって大切な場所「さびしらの水場」にやってきた彼らは、足を滑らせて転落、岸に上がったときは身体だけ入れ替わっていた。

「大人になったらお嫁さんになってあげるって、キスしたじゃない」 すっかり美少女中学生へと成長した幼少期の幼馴染が恥じらいもせずそんな事をいう。相変わらず大林監督は、少年どもの心(と下半身)を刺激する小技が上手い。この瞬間、萌えは世代を超えた。

65点
殺人をお茶の間のエンタテイメントにした実在の殺人鬼の物語

ゾディアックといっても、若い日本人にはぴんとこないかもしれない。だが、一定以上の年齢の米国人にとって、この人物は相当な有名人だ。

1969年の独立記念日、カルフォルニア州をドライブ中のカップルが何者かに拳銃で襲われた。女性は9発の弾丸を受けて死亡。その後、犯人を名乗る男から警察に電話があった。さらに犯人は新聞社に犯行の詳細と奇妙な暗号文を送りつけてきた。紙面にそれを掲載しなければ、さらに誰かを殺すというのだ。こうして全米犯罪史上に残る、劇場型殺人事件が始まった。

自らをゾディアックと名乗るこの連続殺人犯による一連の事件は、いまだに未解決のまま。「セブン」「ファイト・クラブ」のデヴィッド・フィンチャー監督は、劇中の好奇心旺盛な若きイラストレーターの口を借りて、この謎解きに挑戦する。

65点
マジメに死を描く

特定のヒット曲をモチーフにした映画は数多い(最近では長澤まさみの『涙そうそう』など)が、人気と知名度をあてこんだお手軽映画である場合も少なくない。しかし、荒井由実の有名曲と同じ名を持つ本作は、幸いにしてその手の安直な作品ではない。

末期がんで余命半年とされる元報道カメラマン(津田寛治)が、故郷である福岡県久留米市のホスピスへ転院してきた。中学時代からの親友らが多数訪れる中、彼の脳裏にはどうしても思い出せない少女の姿があった。

自分に写真の楽しさを教えてくれたこの少女についての詳細を必死に思い出しながら、主人公は故郷の風景や人々を撮った写真集の作成に余生をかける。

65点
撃たれても平気で動き回る

日本には「ゴルゴ13」があるおかげで、全年齢的に狙撃者ものを受け入れる層が一定数存在する。戦士の中でもっとも天才的で職人気質の印象が強いスナイパーは、日本人の性にも合うのだ。

この『ザ・シューター/極大射程』もそんな狙撃者もののひとつ。宝島社の伝統あるランキング「このミステリーがすごい!」2000年の海外部門で一位となったスティーヴン・ハンターの原作を映画化したものだ。

かつてエリトリアでの軍事作戦中、上層部から見捨てられた米海兵隊の凄腕狙撃手ボブ・リー・スワガー(マーク・ウォールバーグ)は、生還後世捨て人となって山中でひっそり暮らしていた。そんな彼を、ある日ジョンソン大佐(ダニー・グローヴァー)らがたずねてくる。大佐によると、何者かによる大統領暗殺計画が発覚、遊説先のどこに警備の穴があるか、スワガーに調べてほしいというのだ。

65点
気の弱い女の子(エクステ装着済み)を誘うに最適な一本

ボディビルダーが行う大腿四頭筋の伸展運動であるレッグエクステンションとは、少なくともまったく無関係であろうとは思っていたが、ここでいう『エクステ』とは「ヘアーエクステンション」、すなわちお洒落な女の子がつける付け毛のこと。私などは、某ディレクターが見るたび鈴木みのるカットなどと呼ぶ、後頭部だけ長い坊主頭なのでまったく無縁なアイテムだが、巷では結構流行っているそうだ。

『エクステ』は、その題名どおり付け毛をめぐる恐怖体験を描くホラームービー。人毛で作ることもあるヘアエクステだが、もしもその材料となる毛髪の持ち主が恐ろしい怨念を持って死んだ少女だったとしたら……。これは、愛用者にはたまらない設定であろう。

横浜港のコンテナから、髪の毛に埋もれた少女の死体が発見された。死体安置所の管理人(大杉漣)は、そのあまりに美しい直毛に見惚れ、そのまま切断してエクステを作る。男は大の髪の毛フェチで、これまでも同様にして美容院に卸すなどしていた。そんなある日、男はその死体にも負けないほど美しい髪の少女(栗山千明)を街で見かけ、彼女が美容師だと突き止める。

65点
優等生的に作りすぎて、不自然な印象を受ける

阪神・淡路大震災を真っ向から描いた大作映画。震災を生き残ったあとに常識はずれの高齢でプロデビューし、今でも活躍する古市忠夫の原作を実話映画化したものだ。

神戸市で写真館を営む古市忠夫(赤井英和)は、1995年1月17日未明、自宅で大地震に遭遇する。必死の思いで外に出ると、商店街は壊滅、地獄の様相を呈していた。地域の消防団員でもある忠夫は、妻(田中好子)と娘らを公園に避難させると、生き埋めとなった生存者を探しに中心部へと戻っていく。

前半40分間かけて描かれる震災シーンの迫力がハンパじゃない。以前、阪神・淡路大震災の直後に作られた『マグニチュード 明日への架け橋』という映画があったが、同じ震災シーンのために用意されたのが、火事になる家屋セット1軒のみという、低予算にもほどがある内容であった。しかし今回は、まったくそんなことはない。

65点
いかにもアメリカ人が作った、いいかげんなニッポン描写が楽しい

『ワイルド・スピード』シリーズは、一言でいえばハリウッド製ヤンキー映画。毎回どこぞの街を舞台に、チョイワルな若者たちが改造車の公道レースに命をかける。シリーズのどれを見ても、ピカピカのカラフルなレースカーが爆音をあげる、迫力満点のチェイスシーンが見所になっている。クルマ好きのカップル向き娯楽映画だ。

このパート3最大の話題は、舞台が東京ということだろう。アメリカ映画界が日本を舞台にした映画を作ると、妙な勘違いによる独特の奇妙なムードが生まれることがよくあるが、この映画もまさにそれ。この映画を世界で一番楽しめるのは、おそらく日本人、それも東京をよく知る人だろう。

主人公はカリフォルニアの高校生(ルーカス・ブラック)。無類のクルマ好きを自認する彼は、今日も引き際を知らぬ無茶なレースで愛車をつぶしてしまった。いよいよ少年院行きかと思われたが、町を出ることを条件になんとか処分保留となる。彼は在日米軍基地に勤める父親を頼り、東京にやってくるが、彼の興味を引いたのはやはり公道レース。それも、日本ならではの狭い場所で行うドリフトレースだった。

65点
感動的な親子愛の物語

漫画家の一色まことがミスターマガジンに連載していた『花田少年史』は、かつて深夜枠でTVアニメ化されたことがあるが、このたびオリジナルエピソードを中心としたストーリーで実写映画化されることになった。

主人公の腕白少年、花田一路(須賀健太)は、凶暴ながら根は愛情深い母親(篠原涼子)、タクシー運転手をしている温厚な父親(西村雅彦)らとともに、少々度を越えて明るい花田家の一員として暮らしている。ある日一路は交通事故に遭い、天国に上りかけたところを女子高生の幽霊(安藤希)により救われる。その日以来、大の苦手だった幽霊が見えるようになってしまった一路の元に、様々な現世への未練を抱えた幽霊たちが現れるようになる。

『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』は、当初のポスターイメージがあまりに作品の内容とかけ離れており、私はひそかに心配していたが、どうやら別の絵柄のイメージを多用するようになったようで安心した。

65点
閉所恐怖症の方は見られない

『ディセント』は、ヨーロッパでたいへんな評判を呼んだイギリスのホラー映画だ。洞窟という、予算不足を補いつつも、観客の興味を引くに十分な舞台設定、女ばかり6人が出演という華やかさもホラーらしくて大変よろしい、身が凍る思いを存分に味わえる娯楽映画である。

主人公ら女6人は友達同士。一年に一回、秘境を探検する小旅行を企画して、友情を確かめあっている。今年は、彼女らのうち、一人の家族が不幸に逢ってから1年近くがたち、その気晴らしも兼ねていた。6人はアパラチア山脈奥地の地下にある、難易度が低めの洞窟探検を企画し、ロープで降下していくが、やがてなにかが違うような、不気味な違和感を感じ始めるのだった。

さて前半は、この洞窟探検が恐ろしい。人間一人がはって歩くのがやっと(身動きすらできないほどキツキツの狭さ!)の細い隙間を何メートルも進む場面などは、閉所恐怖症の方は絶対に見られまい。先がどうなっているかわからないのに、よく進めると思う。だって後退不可能なくらい狭いんだから。途中で一人が挟まり、あまりの恐怖に呼吸困難に陥るところでは、見ているこちらまで息苦しくなった。勘弁してくれと思う。

65点
不当な権力に戦いを挑んだ勇気ある男の物語

『不撓不屈』は、国税庁の嫌がらせに正面から立ち向かった実在の税理士、飯塚毅を描いた社会派ドラマだ。飯塚事件として知られるこの出来事は、高杉良の原作にもあるとおり、昭和38年から45年まで続いた裁判と国会闘争のこと。

主人公の税理士飯塚(滝田栄)は、中小企業の経営者に合法的な節税法を教授していたが、税務署に目をつけられ、様々な警告を受けるようになる。しかし正義感が強く、理不尽な権力の圧力に屈しない飯塚をみて、税務当局はその顧客企業を狙うようになる。

嫌がらせめいた税務調査は零細商店にまでおよび、飯塚事務所の収入源は徐々に切り崩されていく。そんな国税庁に対し、ついに彼は正面から立ち向かう決意をする。そしてその瞬間から、飯塚の孤独で壮絶な闘いの日々が始まった。

65点
ストレス解消には最適の映画

本作を観たソニーピクチャーズの試写室には、待合室に巨大な液晶テレビがあり、いつもいろいろな映画の予告編を映しているのだが、別の作品の試写のときにそれをみて、「ずいぶんと迫力たっぷりで、面白そうな映画だな」と感じたのがこの『ロンゲスト・ヤード』の予告編であった。

これは74年の同名映画のリメイクだから、旧作を知るものには説明するまでもないが、一言でいうと刑務所映画とスポーツ映画の面白いところをあわせた作品だ。主人公の元プロフットボール選手が、刑務所の中で囚人チームを作り、看守チームと最後にアメフトで対戦するというのがストーリー。囚人たちの中から使えそうなやつをスカウトしてチームを作る前半の面白さと、いよいよ試合で日ごろの恨みを返すぞという、後半のスポーツシーンに見所が分かれている。

主演はアダム・サンドラーで、彼はアメリカで一番人気があるコメディアン俳優だから、この映画の予算規模も膨大。なんと90億円という巨費を投じた大作になっている。もちろん、彼のこれまでの主演映画同様、ボックスオフィスも好調で、あちらでは大ヒットとなった。

65点
中高年の観客が、こっそり楽しむべき映画作品

俳優、津川雅彦といえば、日本有数の芸能一家に育ち、なかでも日本映画界初期の映画監督、牧野省三(マキノ省三)を祖父に、1920年代から70年代まで活躍したマキノ雅弘監督を叔父にもつという、映画界にかかわりの深い人物。

そんな彼が、満を持して由緒あるマキノ姓を継ぎ、"マキノ雅彦"として初メガホンをとった作品が『寝ずの番』。上方落語界を舞台にした大人のコメディだ。

日本では、通夜に死人と一晩過ごしてあの世に送り出す『寝ずの番』という習慣があるが、この映画では、上方落語の重鎮(監督の兄でもある長門裕之が演じる)が亡くなり、その通夜に集まった弟子(中井貴一)ら、一癖もふた癖もある連中の、果てしないバカ騒ぎを描く。

65点
原作者でなければ絶対できない凄まじい実写映画化

漫画『東京大学物語』といえば、江川達也の代表作にして、コミック史上に残るトンデモ最終回が大評判(大不評?!)の問題作。リアルタイムで週刊スピリッツを読んでいた私のような人間にとっては、あのすさまじい終盤の展開は、ある種のトラウマである。

もともと江川達也は、変化球好きというか、反骨精神たくましい漫画家で、毒のない『ドラえもん』へのアンチテーゼとして『まじかる★タルるートくん』という子供向け(?)漫画を描いたと言われるくらいの人物。その彼が渾身の力で送り出した漫画『東京大学物語』は、それはそれは凄い作品であった。萌えの原点だの、究極のエロ漫画だの、色々といわれているが、確かにそれは真実であろう。

その『東京大学物語』が、ついに実写映画となった。しかも、監督は江川達也本人。そして製作はアダルトビデオ界の雄、ソフト・オン・デマンドだ。史上最強の天然娘、遥ちゃん役にはグラビアアイドルの三津谷葉子が配され、世の男性諸氏が期待をかけるのも当然の布陣となっている。

65点
格調高い映像美と、無邪気な娘たち

1940年に最初に映画化され、英国では高品質なテレビムービー版が95年に作られるなど、人気の高いジェーン・オースティンの原作「高慢と偏見」を再映画化したもの。

舞台は18世紀末のイギリス。このころ、女性には財産相続権がなく、誰と結婚するかで人生が決まる時代だった。そして、キーラ・ナイトレイ(「パイレーツ・オブ・カリビアン」のヒロインでブレイクした人気女優)演じる主人公一家は、なんと5人姉妹。彼女をはじめ、美しく好奇心旺盛な姉妹たちの恋物語を、英国の美しい風景をバックに描いた作品だ。

古びた家具や衣装さえも美しい、格調高い雰囲気のなか、無邪気でかわいらしいヒロインたちが生き生きと描かれている。

65点
普段忙しいビジネスマンにぜひ見てほしい癒し系映画

『天空の草原のナンサ』は、モンゴル出身の監督が、モンゴルを舞台に、遊牧民一家の暮らしを描いたドキュメント風ドラマだ。物語は、モンゴルの昔話を下敷きにした内容になっている。かの国には「輪廻転生」の信仰があり、この映画の中でもその考え方が随所に描かれている。

主人公は6歳になる少女ナンサ。彼女はある日、草原で犬をみつける。一目でその犬を気に入ってしまったナンサは、反対する父に内緒で、こっそりと飼い始める。

出演する一家は、実際の家族で、演技というよりは普段の生活そのままを見せてくれる。とはいえ、本作はれっきとした劇映画だから、ちゃんとストーリーもある。犬と少女の心温まる交流を描く前半があり、終盤には、一家にふりかかるある試練が描かれる。犬もそれなりにしっかりと演技をしており、なんでもカンヌ映画祭ではパルムドッグ(最高賞パルムドールをもじっている)なんて賞も頂いたそうだ。

65点
子供と一緒に宇宙へ冒険に出かけよう

『ジュマンジ』(95年)という、アドベンチャー映画がある。ロビン・ウィリアムズ主演で、CGで描いた動物たちと、伏線をうまく張った感動的な物語が見所の、とても楽しい映画だった。原作は絵本だが、子供たちのみならず、大人も十分に楽しめる出来であった。

その原作者クリス・ヴァン・オールズバーグ(『ポーラーエクスプレス』の原作)が、『ジュマンジ』の続編として書いたのがこの『ザスーラ』。映画『ジュマンジ』からは、20年ぶりとなる映画化である。

主人公は、ケンカの絶えないある幼い兄弟。父が出かけ、家の中が二人と姉だけになったある日、いつものように弟は、兄にいじめられて地下室に追いやられる。ところが偶然、そこで古びたボードゲームを見つけた弟は、説明書も読まずにとりあえずゲームをはじめてみる。内容は宇宙を舞台にしたアドベンチャーゲームだったが、コマが進んだ瞬間、家の外が本物の宇宙空間に包まれる。そのゲームは、マス目に書いてあることが実際に起きる、魔法のゲームだったのだ。

65点
世界中で、日本人が一番楽しめる映画

スティーヴン・セガールというアクションスターがいる。ちょいとB級くささの漂う、能天気なお気楽映画にばかり、徹底して主演し続けている愛すべき男だ。大ヒット作はあまり無いが、出る映画はそれなりのセールスを記録するという、いそうでいない、アメリカ映画界における貴重な"安定感のある"人材といえるだろう。

そんなセガール映画の特徴は、"どの映画にもそれなりのストーリーはあるが、少なくとも主演のセガールは、役の演じわけをしている様子がほとんどない"という点だ。彼はいつでもどの映画でも、どことなくオリエンタルなムードを持った無表情な大男で、物静かな性格ながらやるときはやる、というヒーローを演じている。使う武道も合気道をベースにした動きで、なんとなく和風な雰囲気も感じさせるものだ。このキャラクターを愛せる人にとってはどのセガール映画も楽しいし、そうでない人はその逆である。実にわかりやすい。

まあ、実際セガールの娘は日本で女優をやっている(=藤谷文子)し、彼自身、日本に長く滞在したことがあり、大阪弁をしゃべる事もできる。いうなれば、正真正銘親日家のハリウッドスター。テレビCMに出ていたこともあるから、日本人なら誰もがなんとなく親近感をもっている。

65点
主演二人がイマイチだが、脚本はいい

全米でベストセラーになった同名小説をキャメロン・ディアス主演で映画化。監督は『L.A.コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソン。

ルックス抜群で、(一夜の)男にはまったく不自由しないが、難読症のためまともな職につけない不安定な妹(C・ディアス)。容姿はイマイチながら弁護士として堅実な人生を歩む姉(トニ・コレット)。まるで正反対の二人は、互いにないものをコンプレックスとして感じていた。そんなある日、ようやく気の合う恋人を見つけた姉だったが、居候中のグラマラスな妹を彼に紹介してから、幸せの歯車が狂い始める。

『イン・ハー・シューズ』は、多くの女性が共感できるであろう、等身大のキャラクター二人の苦闘と成長を描いた人間ドラマだ。

65点
ビックリするほどセクシーな栗山千明に驚かされる

水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきら妖怪に縁の深い作家たちがプロデュースする、製作費13億円の大作映画。監督は海外でも人気の高い三池崇史(「着信アリ」ほか)。

日本を魔界から支配しようとたくらむ男(豊川悦司)とその軍勢に、日本古来からの妖怪たちが、その年の祭りで少年戦士=麒麟送子に選ばれた10歳の少年(神木隆之介)を先頭に戦いを挑むという物語。迫力バトルの見せ場を、両親が離婚したばかりで落ち込み、クラスにもなじめない主人公少年の成長を絡めて描く。

出演者もプロデュースチームの面々も、妖怪が大好きなんだなあとよく伝わってくる作品だ。妖怪役には数々の有名人が登場するが、みなリラックスして楽しみながら演技しているように見える。そうした妖怪たちは、最新VFXのお化粧はしているものの、基本的には昔ながらの着ぐるみだったりする。かつて60年代に大映妖怪シリーズと呼ばれた一群の妖怪映画の雰囲気をよく継承している。

65点
なける部分もある実話ドラマだが……

10代にして、日本初のゾウ使いになった坂本哲夢氏の実話を映画化した感動ドラマ。主演は先ごろ『誰も知らない』でカンヌ史上最年少の最優秀男優賞を受賞した柳楽優弥(やぎらゆうや)。

動物プロダクションを経営する両親をもつ哲夢(柳楽優弥)は、小学校になじめずいじめられていた。そんな彼も、新しくやってきたゾウのランディとの交流には心を開く。やがて本格的なゾウ使いになりたいと思った彼は母(常盤貴子)に、中学には行かずタイに修行に行きたいと申し出る。

なかなか泣ける感動の動物ものドラマだ。柳楽優弥は相変わらずセリフをしゃべるのがやや下手だが、存在感、オーラといったものを感じさせる名演で、劇映画の主人公にふさわしい役者だ。この映画ではほとんどカメラは彼中心にまわっているが、それでも観客をそれなりに引き付ける魅力を持っている。母親を演じた常盤貴子も、安心してみていられる安定した演技だ。

65点
米国以上のCGと、すばらしい子役のハーモニー

引きこもりの少年が、遠隔操作のロボットを通じてガキ大将との友情を深めていく子供向け感動ドラマ。

主人公の男子小学生(本郷奏多)は、研究者の父親が試作した遠隔操作ロボット、ヒノキオを操作して、学校に代理出席してもらっている。彼は過去に事故で母親を失ったトラウマから引きこもりになってしまっており、父親はそんな息子になんとか心を開いてもらいたくてこのロボットを与えたのだが、一向にその気配はなかった。

そんな主人公が、学校で出会った乱暴なガキ大将とヒノキオを通して交流するうちに、本物の友情を知り、成長していくドラマである。まさに子供向けの健全なお話だ……と思うなかれ、「ヒノキオ」は大人が見ても十二分に楽しめる、非常に見ごたえある映画だ。

65点
ややダークなコメディ人間ドラマ

66年の同名コメディを、ジュード・ロウ(「コールド・マウンテン」「リプリー」ほか)主演でリメイク。ニューヨークのお洒落な英国人プレーボーイを描いたドラマ。

自他ともに認めるハンサムなプレイボーイ、アルフィー(J・ロウ)は、小さな会社でリムジンの運転手をしながら、気ままなその日暮らしをしている。彼は人妻やシングルマザーなど、毎日違った“恋人”の家を巡りながら、お気楽な独身生活を謳歌していたつもりだったが……。

全編ジュード・ロウが、プレイボーイたる自分の気持ちを観客に語りかける方式で映画は進む。前半は、彼も自分自身の生き方を完全肯定しており、プレイボーイのふざけた心理を逐一教えてくれる。不倫を「善行」と呼び(セックスレスを解消してやってるのだから当然だそうだ)、それをとがめる世の中の「常識」の方を嘆いている。

65点
演技派二人の競演で、怖さとビックリを味わえる

ロバート・デ・ニーロ&ダコタ・ファニング(子役)という、ハリウッドきっての演技派二人が競演した恐怖ドラマ。

ある一家の母親が自殺した。発見した9歳の娘(D・ファニング)にとってそれは大きなトラウマとなり、心理学者の父(R・デニーロ)は彼女のため郊外の一軒家に引っ越すことを決める。しかし、一向に回復しない娘は、いつしかチャーリーという名の架空の友達とのみ遊ぶようになる。

それにしても、この邦題およびTV-CMの宣伝の仕方はいかがなものか。まあ、あれが一種のミスディレクション効果となっている面も否定できないが……。しかし、宣伝会社側の当初の紹介資料にある、感動うんぬんやら、どんでん返しの連続なんてのは、どう見ても当てはまらない。これは感動ドラマじゃないし、どんでん返しは最後に一発ネタがあるだけだ。

65点
子供向けジャンルを超えたレベルの高さ

青山剛昌原作の人気テレビアニメの映画版。劇場版も大人気で、本作は9本目にあたる。監督は前作「銀翼の奇術師」に引き続き山本泰一郎、脚本はこのシリーズをずっと受け持っている古内一成。

主人公の少年コナン(声:高山みなみ)と仲間たちは、豪華客船アフロディーテ号に招待され、大西洋を処女航海中。ところが船内で殺人事件が発生、ヘリで目暮警部率いる捜査チームが到着するが、惨劇はまだ始まったばかりだった。

ミステリファンの間で「吹雪の山荘」とか「絶海の孤島」と呼ばれるように、閉ざされた空間、一種の密室というシチュエーションはこのジャンルでは定番中の定番である。今回の劇場版コナン「水平線上の陰謀」も、基本的には外洋航海中の客船という密室内で展開される、非常にベーシックな本格推理ものだ。

65点
あまりに意外な発想の感動ドラマ

NHKドラマ「美しき日々」も大人気のイ・ビョンホン主演の韓国製ファンタジードラマ。ヒロイン役はつい先日自殺した若手女優イ・ウンジュ。こうした話題性のため、マスコミ試写室は連日満員、私も一度、2分前に到着して門前払いを食らったといういわくつきの作品だ。

舞台は1983年。主人公の大学生(イ・ビョンホン)の傘の中に突然可愛らしい女性(イ・ウンジュ)が飛び込んでくる。奥手な主人公は、大胆な彼女に一目ぼれ、同級生だった彼女への必死のアタックの末、見事に愛し合うことになる。ところが彼が兵役に行く日、「必ず会いに行く」と言っていた彼女はなぜか姿を見せなかった。そして時は過ぎ、2000年。教師となった彼は、意外な場所で彼女の面影を見つけるのだった。

自殺した主演女優イ・ウンジュは、この作品内で出てくるある日付と同じ日に自殺したため、相当な話題を読んだ。まあその詳細は映画を見ていただくとして、『バンジージャンプする』はなかなか面白いアイデアのお話だ。

65点
後半に仕掛けがある感動の恋愛映画

米国の人気恋愛作家ニコラス・スパークス原作の、感動ラブストーリー。

老人療養施設で暮らす初老の女性に、ある男が自作の物語を聞かせている。それは、1940年の夏、ノースカロライナ州を舞台にした若者同士の初恋の物語。裕福な家の少女と労働者の父を持つ青年の、立場を超えた情熱的な恋の行方に、彼女はすっかり夢中になるのだが……。

映画のほとんどは、老人が聞かせる物語、いわゆる作中作の再現となる。これはまあ、ロミオとジュリエットの昔からある身分を越えた恋というやつで、なんとも平凡この上ない。青年の美形ぶりに酔いしれ、生き生きと描かれた古きよき時代のアメリカを堪能できるので退屈はしないが、まあ普通である。

65点
心温まる深夜のコンビニ人間模様

北海道では誰もが知っている人気タレント鈴井貴之の監督作品第三弾。北海道のとあるコンビニエンスストアを舞台にしたハートウォーミングな人間ドラマだ。

コンビニエンスストア「ローソン」のオーナー店長(小日向文世)は、妻の入院をきっかけに深夜勤務も務めるようになった。そこで彼は、昼間とはまったく違った個性的な客層に驚くと共に、妻や従業員ですら当然のように知っていた高校生のわが娘のことを、何一つ知らない自分に気づき愕然とする。

現地の人気監督による最新作ということで、北海道地区では10月から先行公開されていた作品だ。深夜のコンビニという、個性的な人間たちの宝庫を舞台に、娘と父親の確執をメインとした幾人ものエピソードが並行して描かれる。全体に一貫するのは人々を見つめる監督のやさしい視点だ。

65点
面白すぎる題材、アイデアと語り口に引き込まれる

スティーヴン・スピルバーグ監督作品最新作。主演は同監督の「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」に引き続き、演技派俳優のトム・ハンクス。

ニューヨークのJFK国際空港に到着した主人公(T・ハンクス)は、フライト中に祖国の政府がクーデターにより消滅したことを知らされる。政府発行のパスポートは無効となり、アメリカへの入国は不可、かといって帰国する国もなくなってしまった彼は、やむなく空港の到着ロビーで暮らす羽目になる。

かくしてお金もなく、食料もない彼の空港サバイバルがはじまるのである。このつかみは本当に見事だ。題材も見せ方も完璧で、物語に一気に引き込まれる。主人公を演じるトム・ハンクスは、愚直で心やさしいこのキャラクターにぴったりだし、観客の誰もが、不幸な境遇に陥りながらもたくましく生きていく彼の姿に共感できるだろう。

65点
警告:ゴジラファンが予備知識なく見ると危険

1954年から長きにわたって続いた『ゴジラ』シリーズ最後の作品。『あずみ』の北村龍平監督が豪華キャストで送る大団円だ。

時は近未来、怪獣たちに対抗するため国々は一丸となり、防衛軍を組織した。とくに特殊能力をもった新人類による特殊部隊は、対怪獣戦闘専門として大きな期待を背負っていた。そんなとき、世界各国に同時多発的に怪獣が出現、特殊部隊員の若きエース(松岡昌宏)や海底軍艦轟天号の艦長(ドン・フライ)らが必死の防衛にあたるのだが……。

はじめに断っておくが、過去のゴジラ映画ファンや、怪獣映画にこだわりをもった方は、決して『ゴジラ FINAL WARS』を何の予備知識もなくみてはいけない。そういった方は、この文章を最後までお読みになった上で、覚悟を決めて鑑賞することを強く勧める。

65点
笑いとワクワク感をつめこんだ安心感ある一本

昨年『ファインディング・ニモ』を世界中で大ヒットさせたディズニー&ピクサーの長編アニメーション最新作。アメリカでは公開直後の興収でディズニーアニメ史上最高記録を達成した。5分間の短編『バウンディン』と同時上映されるが、こちらは『Mr.インクレディブル』とは関係ない内容のほのぼの系作品。

かつてスーパーヒーローだった主人公は、今ではしがない保険会社社員。専業主婦の妻も子供たちもみな超能力をもつヒーロー一家だが、誰もが有り余るパワーの使い場所を持たず、ストレスはたまる一方だ。そんなある日、かつてのヒーロー仲間が次々と失踪するという事件が起きる。

『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』など、3D-CGアニメ映画で確実にヒットを飛ばすピクサー社製作の最新アニメだ。今回は、はじめて人間の登場人物をメインにしたアクションドラマ。スーパーヒーローといえば、空も海も飛び回り、強大な敵とバトルを繰り広げるわけなので、昨年末の『ファインディング・ニモ』と違ってダイナミックな動きのある見せ場がたくさん用意されている。

65点
トム・クルーズが惚れた脚本

98年に実際に起こった雑誌記事捏造事件を事実に忠実に映画化した作品。脚本が気に入ったらしく、トム・クルーズが制作総指揮として参加している。

主人公スティーブン・グラスは、米国で最も権威ある政治雑誌「THE NEW REPUBLIC」で最年少のライター。同僚たちが国際情勢など外に目を向ける中、国内の身近な題材を独自の切り口で取材した彼の記事は人気を博した。だがある日、スクープを抜かれたライバル社の記者が裏づけ調査をしたところ、記事内にいくつものほころびを見つけてしまう。

「THE NEW REPUBLIC」というのは、軍モノ映画ファンにはおなじみのエアフォースワン(アメリカ大統領専用機)に、唯一常備されている政治マガジン。それほど権威のある雑誌で1998年、記事の捏造が行われていたことが判明した。

65点
笑いと涙の絶妙なバランス

製作費の50倍近くの興行収入を上げ、2002年のアメリカ映画界を揺るがす大ニュースとなったコメディ映画『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』の主演&脚本のニア・ヴァルダロスが、再び主演と脚本を担当して作った作品。

将来の大スターを夢見る売れない女性デュオの二人が、偶然マフィアの殺人現場を目撃、逃亡生活をするはめになる。二人は正体を隠すべく、女装した男性(ドラッグクイーン)の歌手に化け、毎夜ゲイクラブのショーに出て生活費を稼ぐが、女性らしいよく伸びる歌声と毒舌トークで、予期せぬ大人気となってしまう。

上記ストーリーも、最後に感動シーンが用意されているところも『天使にラブソングを…』(92年)を髣髴とさせる。そんな『コニー&カーラ』独自の特徴としては、ノーマルな女性がオカマに化けることで、マイノリティの苦労を身をもって知るというところ。映画はそれをときにギャグとして、ときにシリアスなものとして描いているが、親しみやすい主人公二人のキャラのおかげで、観客も実感を持ってそれを味わうことができる。映画のテーマをわかりやすく伝える手法としては成功といえる。

65点
暴力シーンのつくりが雑で痛みを感じにくい

在日文学作家の梁石日(ヤン・ソギル)が、父親をモデルにした主人公の壮絶な人生を描いたベストセラーを、ビートたけし、鈴木京香競演で映画化した作品。

戦後の激動の時代、大阪にやってきた朝鮮人の金俊平(ビートたけし)は、混乱に乗じた強引なやり方で蒲鉾工場を開業した。強暴な性格で極道にも一目置かれる彼は、妻(鈴木京香)をレイプ同然に抱くなど傍若無人に振舞っていた。そんなある日、息子を名乗る男(オダギリジョー)が彼を訪ねてくる。

暴力的で勝手気ままな主人公を追うことで、昭和という時代の一面を描いた作品。セットや役者たちの演技も含めて、なかなかよく雰囲気を出している一本だ。在日の登場人物たちを描いた映画だからセリフは韓国語?混じりで、独特の文化描写も見られる。長い映画だが案外退屈はしない。

65点
感動的なラブストーリー時代劇

「たそがれ清兵衛」の山田洋次監督が、前作に続いて藤沢周平作品をもとに映画化した時代劇。『隠し剣鬼ノ爪』と『雪明かり』の両短編をまとめて長編映画にしたものだ。

幕末、東北のちいさな藩が舞台。貧乏な下級武士の宗蔵(永瀬正敏)は、数年前に彼の家に奉公にきていた娘(松たか子)に偶然再会した。だが、すっかりやつれた彼女を見て宗蔵は心を痛めた。彼女がいたころ、宗蔵の家は貧乏ながらも笑いの絶えない幸せな暮らしだった。その後彼女は豊かな商人に嫁いだので、宗蔵は幸せになっているだろうと思っていたのだ。

「隠し剣 鬼の爪」は、身分を越えた純愛を描く時代劇だ。よくできたセットと素朴で美しい東北ことばとともに、和風のプラトニックなラブストーリーが展開する。この厳しい時代に愛を貫く主人公の姿が感動的だ。たまにこうした本格時代劇で、武士のまっすぐな心を描いているのをみると、日本人てのはいいものだなぁと思える。

65点
普通の青春映画として見れる

キューバの革命家チェ・ゲバラの若き日の南米縦断の旅を描いたロード・ムービー。

1952年、アルゼンチンの青年医師アルベルトは、親友の医学生エルネスト・ゲバラを南米縦断の旅へ誘う。最終目的地のアマゾン・ハンセン病施設を目指し、わずかな荷物と一台の中古バイクで、二人は貧乏旅行をはじめる。

革命家がその思想に目覚めるきっかけとなった旅を、ゲバラ本人や劇中にも出てくる友人の手記等を元に映画化した作品だ。よって、ゲバラの描写は非常に好意的で、女遊びすらしない高潔な人物像として描かれている。演じるガエル・ガルシア・ベルナルも、非常に初々しい演技で、誠実な若者の姿を表現している。

65点
ヨン様の鬼畜なプレーボーイぶりを楽しもう

『冬のソナタ』で人気沸騰中の韓国人俳優、ペ・ヨンジュンの初主演映画。18世紀の王朝時代を舞台にした恋愛模様が描かれる。お目当てのヨン様は『冬ソナ』の微笑み貴公子からイメージ一新、メガネをはずし、野性味あるひげ面で、日本で言う光源氏のような究極のプレーボーイを演じている。

ストーリーは、まあよくある話で(原作は世界中で何度も映画化されている)、主人公のプレーボーイ氏がゲームとして“落とし”たはずの“超お堅い娘”さんに、マジ惚れしてしまうというもの。その過程では、女性ファンびっくりの主人公の好色ぶりが描かれる。

その様子は時に冷酷で、女性からみればまるで鬼畜。こんな役を初の主演映画に選んだ彼のセンスには感心する。かなり気に入った役らしく、役作りもがんばったそうだ。その甲斐あってか、スクリーンでの存在感も十分に感じさせる。

65点
普通に見れば面白い犯罪コメディ

55年の『マダムと泥棒』をリメイクした犯罪コメディ。何も知らない一人の老婆に完全犯罪を邪魔され、翻弄される泥棒たちの姿をシニカルに描く。主人公の知的な紳士(でも泥棒のリーダー)を演技派トム・ハンクスが演じる。

妙にクラシカルな趣味で、自称教授のインテリな主人公。彼をはじめとした強烈な個性のキャラクターたちによるセリフの応酬を重視したコメディだ。やや大人向きでシニカルな、このタイプのコメディを好む方にとっては、普通に笑って楽しめる。

カジノの金庫破りというメインストーリーの方もテンポ良く語られるので、途中でだれず一気に見ることができる。オープニングから見られる特徴的なカメラワーク等、異才で知られるこの監督(コーエン兄弟)のテクニックが垣間見える部分も多い。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  11. 11
  12. 12
  13. 13
  14. 14
  15. 15
  16. 16
  17. 17
  18. 18
  19. 19
  20. 20
  21. 21
  22. 22
  23. 23
  24. 24
  25. 25
  26. 26
  27. 27
  28. 28
  29. 29
  30. 30
  31. 31
  32. 32
  33. 33
  34. 34
  35. 35
  36. 36
  37. 37
  38. 38
  39. 39
  40. 40
  41. 41
  42. 42
  43. 43
  44. 44