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65点
≪傲慢不遜な主人公は何を象徴しているのか≫

「マイティ・ソー」の全米公開は今年の5月だが、その内包するテーマ(後述)は、そろそろアメリカが本当にやばい瀬戸際となっているこの7月に見ると、時期遅れな印象を受ける。

なお、7月第1週目の映画を今頃紹介している当サイトの遅れっぷりよりはマシだろうとのクレームは一切受け付けていない。

神の世界最強の戦士ソー(クリス・ヘムズワース)は、血の気の多い性格から問題児として知られている。敵国に殴り込みをかけるなどその過激な行動はエスカレートする一方だったが、やがてその傲慢さを戒めようとする神の王から一切の力を奪われ、地上へ追放されてしまう。

65点
≪愛しい映画≫

3D全盛といわれて久しいハリウッドだが、イベントムービーとしては珍しいことに『SUPER 8/スーパーエイト』は2D作品である。その理由は、30代以上のおじさまたちがこの映画を見ればすぐにわかる。この作品は、絶対に最新のデジタル3Dなどというものであってはならない。

金も技術もあるというのに、あえて昔ながらの2Dである必然性のある最新作を企画し、作り出すところにアメリカ映画界の余裕と論理性を感じざるを得ない。

スリーマイル島原子力発電所事故がおきた1979年、オハイオ州に住む映画や模型好きの少年ジョー(ジョエル・コートニー)は、母親を不幸な事故で亡くしたばかり。だが、親友チャールズ(ライリー・グリフィス)や気になる少女アリス(エル・ファニング)らとの自主映画づくりが心の支えとなり、徐々に立ち直りつつあった。そんなある晩、駅舎で深夜のゲリラ撮影をしていると、彼らの目の前で貨物列車が大事故を起こす。そしてその事故以来、町には軍が駐留し、怪現象が頻発し始める。

65点
≪福島原発事故後の日本人に見てほしい作品≫

男なら、東北出身の女の子というと、とたんに色めき立つのが常識。秋田小町なんて言葉があるように、実際はどうあれ、色白で気立てがよくお嫁さん候補には最適との評価が一般的なところだろう。

だが、3.11を境にその「常識」は消えてしまうかもしれない。

日本人は気づいているのだろうか。福島原発の事故を見て、なぜこの国から外国人が一目散に逃げ出したのか、その本当の理由を。

65点
≪激安6000円の製作費で作られたホラー≫

金がないからゾンビ映画というのは若いクリエイターにとってド定番で、世界中の貧乏監督が似たような安ホラーを量産している。一説によるとそうしたゾンビ物は年間数百本も作られているという。そんなにしょっちゅう蘇らされたら、死体としても落ち着いて死んでいられない。

『コリン LOVE OF THE DEAD』もそんなデフレホラーの一本だが、マーク・プライス監督が他の新人監督と違ったのは、誰もがやりつくされたと思っていたこのジャンルに、ささやかな新風を吹き込んだ点。お金がない分、アイデアと情熱でカバーする、そうしたごく当たり前の姿勢が好感を呼んでいる。各国の映画賞でも大人気だったと聞くし、すでに監督にはハリウッドからオファーが殺到しているとのことだ。

舞台は英国のロンドン。街はゾンビで溢れ、すでに社会秩序は崩壊している。主人公は誰かに噛まれゾンビになったばかりの青年コリン(アラステア・カートン)。朦朧とする意識の中、彼はかすかに残った人間の頃の記憶に誘われるように、どこかへ向かって歩き続ける。

65点
≪計量シーンがすごすぎる≫

山下智久主演で『あしたのジョー』を映画化すると最初に聞いた時、容易に想像できたのは、原作ファンのおじさまたちはあくまでサブ、あくまでキャストのファンを主要な見込み客と想定して話を進める製作会議の様子であった。その場合危惧されるのは、ボクシングシーンの下手さであったり、過剰なロマンス要素の搭載など。ジョーと白木葉子がチュッチュする話など、想像するだけでぞっとする。

映画を見るのは女性が中心という、各種アンケート結果に映画業界は必要以上に毒されているような気がしてならない。そもそも、山谷のドヤ街を舞台にした汗臭いボクシング作品に、女性客を呼び込もうという発想が無茶である。

それでも曽利文彦監督以下、本作のスタッフとキャストはうまくバランスを取った。実写版「あしたのジョー」は、きわめてスタイリッシュで女性のライトユーザーも呼び込めるつくりの中に、うるさ型も納得する俳優たちの本気の役作りが見られるという、本格エンタテイメントとして仕上がった。

65点
≪世界と戦う日本アクション≫

映画会社が次々と倒産する中、日本映画の先行きは不透明だと業界人の多くが認識している。映画は国境を越えたエンタテイメントであるからして、邦画もこれからは世界と戦っていかなくてはならない。そこは注射や中盆など存在しない、厳しいガチンコ市場である。

そこでふと考える。日本が世界に誇れるものは何だろうか。

「KG カラテガール」を木村好克監督とともに作り上げた西冬彦(脚本 アクション監督)は、「空手」と「女子高生」という二枚看板をこの最新作にも掲げた。「ハイキック・ガール!」(09年)で発掘しためっぽう強い美少女・武田梨奈を主演に、彼らは再び映画界の大乃国になるべく、ガチンコ格闘アクションを繰り広げる。

65点
≪『ザ・コーヴ』に敗れたガチンコ米批判映画≫

『ザ・コーヴ』の日本公開が決まった時、自称愛国者の特攻野郎な人たちが、よりにもよって配給会社社長の自宅兼事務所に怒鳴り込む事件が起きた。頭に血が上りやすいにも程があるものだと、多くの人をドン引きさせたわけだが、もし彼らが、同じ映画会社が『フード・インク』の配給権を買った事実を知ったら何というだろう。それでも彼らを反日呼ばわりするのだろうか。

なにしろこの映画は、アカデミー賞で『ザ・コーヴ』と長編ドキュメンタリー映画賞を争った、いわくつきの食問題ドキュメンタリー。ただし日本の太地町を狙い撃ちした『ザ・コーヴ』と違い、『フード・インク』はきわめて強烈なアメリカ批判である。製作者に、「ファストフードが世界を食い尽くす」で世界最大の某ファストフードチェーンを名指しで批判したエリック・シュローサーの名がある時点で、そのガチンコぶりが想像できる。

じっさい、いい加減な主張と事実誤認、ねつ造の連続により、教養ある人にとってはコメディーでしかないイルカ映画にくらべ、『フード・インク』の主張は本質をついており、米国の食糧戦略とそのプロパガンダ勢力にとってじつに都合が悪いものだ。

65点
≪かっこいい、ただそれだけでいい≫

世界的エンタテイメント企業ディズニーは、地道に歴史を積み上げた結果、2世代にわたるコンテンツをたやすく製作できるようになった。『トロン:レガシー』などその最たるもので、これはなんと1982年に公開された「トロン」の28年ぶりの続編である。しかも今度は前作の主人公の息子が主役。

こういう企画をやられては、デジタル版不思議の国のアリスと称された史上初のCGアクションムービーに夢中になったお父さんたちは、幼い息子を連れて再度映画館に出かけないわけにはいかない。

かつて電子の世界に入り込み、プログラムたちに混じり大冒険をしたケヴィン・フリン(ジェフ・ブリッジス)は、いまではIT業界の大企業エンコムのCEOとして、息子サムと幸せな日々を送っている。ところがある日、ケヴィンは何の予告も無く失踪。やがて成長したサム(ギャレット・ヘドランド)は、自分を捨てた父のことなど胸の奥にしまいこみ、やんちゃな生活を送っていた。ところが信じがたいことに失踪から20年後、ポケベルを介して父親からのメッセージが届く。

65点
≪最初からクライマックス全力疾走≫

私はこのハリポタ最新作をちょっと前に試写会で見たが、気付いたらすでに公開していた。どうもせっかくのシリーズ完結編(の前編)だというのに、あまり世間が騒いでいる様子がない。それでも年間ランキング上位に顔を出す程度の興収はたたき出すのだろうが、どことなく影の薄い超大作である。

頼みの綱であるダンブルドア校長が死に、ホグワーツ魔法学校も安全地帯ではなくなった。それどころかヴォルデモートとその息のかかった者たちにより、魔法界すべてが陥落寸前であった。17歳になったハリー(ダニエル・ラドクリフ)は、親友ロン(ルパート・グリント)、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)とともにヴォルデモート唯一の弱点である分霊箱探しの旅に出る。だが3人の友情の絆にも、最大のピンチが迫っていた。

大魔王と戦う割に緊張感がないとか、スロースターターすぎるなどと揶揄される映画版だが、前作のラストで大きく話が動いたおかげで、この最終話はのっけからクライマックス状態。ようやく最後の戦いを実感できるムードとなった。前作までのノーテンキ学園ラブコメは姿を消し、悲壮なる戦いに挑む3人の活躍に集中できる。

65点
≪大真面目だけど大爆笑、中国産ディザスタームービー≫

「THE LAST MESSAGE 海猿」に続き、「TSUNAMI-ツナミ-」とこの『超強台風』が公開されるが、日中韓3大災害ムービーの中で、ナンバーワンなのがこの『超強台風』である。何が一位かというと、言うまでもなく「笑える度」である。

観測史上最大級の台風が、中国沿岸部のある都市に向かっていた。どうせ進路がずれるだろうと、経済的損害が予想される住民避難をしぶる連中に対し、市長(ウー・ガン)の方針は違っていた。かつての恩師で気象専門家(ソン・シャオイン)の意見に力を得て、彼は堂々と経済より住民の命を最優先する指示を出すのだった。

この映画は、スーパー市長が八面六臂の活躍をする地方自治体ムービーである。その活躍たるや尋常ではなく、どれほどの経済的な損害が出ようともたった一人の人民の命さえ見捨てない。誰もがあきらめるような状況でも、救助隊よりも早く飛び込む。自分の体を張って助けに行き、また助けてしまうスーパーマンぶりだ。たとえ相手が犯罪者であろうとも差別せず、トップみずから命がけで助けに行くのである。

65点
≪迫力はあるが、どこかチグハグ≫

『バイオハザード IV アフターライフ』は、内容からプロモーションまで、チグハグ感の漂うほほえましい話題作である。

たとえば私が見た完成披露試写会は、世界最速公開と銘打たれたもの。警備も厳戒態勢で、携帯電話などは当然全員没収である。しかし本作は、もともと海賊版に強い3D作品(3Dが売りの映画をPCでダウンロードして見てもあまり意味がないため)。マスコミと関係者しか来ない試写会で、多大なコストをかけてここまでしなくても……と思えなくもない。たとえるなら、足首までの真っ黒なレギンスをはいているのに、必死にお尻を抑えて階段を上がるミニスカ熟女のようなものか。

おまけに場内アナウンスでは、本作の批評は9日まではNG、ぜったい発表してはだめよ(はーと)、とのお達しが。

65点
≪小向美奈子の文句なしストリップ映画≫

先日『キャタピラー』で久々に主演・寺島しのぶのハダカをみた。彼女は出世作の「ヴァイブレータ」(2003)から、節目ごとに脱ぎっぷりのよさを見せ付けてのし上がってきた女優だが、37歳になった今でもきれいな身体をしていた。やはり細身の37歳は、オンナとして一番の食べごろといえる。むろん、この件に関して私の好み以外の根拠はない。

とはいえ、いかなご馳走でも毎日食すれば感動は薄れるもの。

細身の黒髪30代もいいが、巨乳の茶髪20代もたまには食べたい。そんな読者諸氏には「花と蛇3」をおすすめする。団鬼六の原作を基にしたシリーズの3作目となる本作では、かつて15歳のFカップとして一世を風靡したグラビアアイドル小向美奈子が、成長した25歳のスライム乳のすべてを見せてくれる。

65点
≪いい原石、もっとよく磨いていたら≫

深夜のファミリーレストランにいくと、ドリンクバーで遊んでいる暇な若者をたまに見かける。普通の飲み物に飽きたのだろう、コーラとメロンソーダを混ぜてみたり、レモンを浮かべてみたりと斬新なオリジナルカクテル作りに夢中である。

私のようなプロからみれば、これはドリンクバー初心者ならではのほほえましい風景。すぐに彼はそのカクテルにも飽き、やがてアイスコーヒーをまぜたり、コーヒークリームを演出に使って受けをとろうとするはずだ。沈殿したヘドロを再現して相模湖スペシャルなどと称する日も遠くは無い。誰もが一度は通る道である。

ここで何がわかるかというと、意外な組み合わせが案外いけるということ。そしてそれを発見したときは、なんだかちょっとだけ嬉しくなるということ。もちろんその発見は苦労のわりに何の役にも立たないが、そんな小さな幸せを見つけるのも人生を楽しむコツといえる。

65点
≪傑作になりかけたが最後で台無し≫

基本的に、映画はその時代の人々の興味のあることをネタにするものだ。私なら、1970年代のボディビルダー、アーノルド・シュワルツェネッガーやフランコ・コロンブ、マイク・メンツァーらの確執を描いた映画があったら喜んで見に行くが、そんなものを2010年の日本で公開しようとしても、銀座シネパトスですら見向きもしないだろう。

娯楽映画は時代を映す鏡といわれるほどで、その時々の人々の嗜好を表すいい指標である。

そう考えると、リメイク版『ベスト・キッド』が中国人師匠と米国人少年の師弟愛、というか擬似親子愛を描いたことはたいへん興味深い。なんといっても84年のオリジナル版は、いうまでもないが日本人師匠とアメリカ人少年の師弟関係を感動的に描いたドラマだったのだから。

65点
≪寺島しのぶの演技と明快な主張が見どころ≫

この作品を語るとき、若松孝二監督は「反戦への思い」を常に強調していた。プロットは、戦場で負傷した夫が手も足も切断され、口もきけない「芋虫=キャタピラー」状態で戻ってくるというショッキングなもの。

そんなわけで私は、その後の悲惨な夫婦生活を描くことで、戦争の無益さ残酷さを訴えるような作品なのかなとおぼろげに想像していた。しかし映画『キャタピラー』のテーマは、まったくそんな次元のものではなかった。

時は戦時中。シゲ子(寺島しのぶ)の夫、久蔵(大西信満)は、幸いにして戦地から生還する。しかしその姿は、胴体と首以外は切断され、残った顔面の半分ほども焼け爛れており、声帯も耳も損傷しているという、恐るべきものだった。天皇陛下からは勲章をいただき、村人からは軍神とたたえられ新聞にも載ったが、シゲ子はどうしてもこの変わり果てた夫に慣れることができない。戦況とともに食糧事情も悪化の一途をたどる中、いったいこれから、どうやって暮らしていけばいいというのだろう。

65点
≪パロディ織り交ぜ笑わせるディズニー実写コメディ≫

ハリウッドのエンターテイメント映画は、長年の積み重ねにより必勝の方程式ともいえる雛形を多数手に入れた。ワンパターンといわれようが、この雛形に毎年面白い映画を生み出す力があるのは確か。だが、そのフォーマットも、誰が装飾をほどこすかで面白さは大きく変わってくる。

その意味でハリウッド最強のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーとニコラス・ケイジ(本作の企画は彼の持ち込みだとか)の二人は、鉄板といってもいいコンビ。雛形いじくりの能力にかけては、とくにブラッカイマー(およびディズニー)はトップクラスの実績・実力の持ち主といえるだろう。

ディズニーアニメの古典「ファンタジア」をモチーフに、現代を舞台にした魔法アクションに仕上げた本作は、彼らにとって得意のパターンといえそうだ。

65点
≪たいした超大作、休養をとって本気で挑むべき≫

どんな分野であろうと、すべてを知っている人間などいない。つまりは、誰もがあらゆる物事を、不十分、不完全にしか知らないということだ。だからすべてを把握し、忠実だと思っていた奥さんが隣の大学生と浮気していたとしても、あなたはショックを受ける必要などない。

そんな何の気休めにもならない事を書いてもしょうがないわけだが、そもそも「知らない方が幸せなのでは?」と感じる局面は、だれでも一度くらい経験したことがあるはずだ。

たとえば、日本経済の問題点を調べていけば借金の総額に誰もが唖然とする。だがより調べればそれが財務省による数字のトリックで、まだまだ挽回可能なものであることも同時にわかるだろう。ただし、より興味を持って追求していけば、そんな解決策を採用する政治はこの国にもう存在せず、もはや大増税の暗い未来しか事実上存在しないことを知ることになる。

65点
≪至福のラストシーン≫

近くに豊かな国があれば放っておいても……というより、たとえ禁止しても隣国の貧しい人々が殺到する。あらゆる豊かな国は、そうした不法移民をどう食い止めるかに日々悩まされている。「豊かな」宗主国にむりやり強制連行された、なんて主張する人もたまにはいるが、これは世界史の常識である。

問題は、その「豊かな国」も最近は絶不調だったりする点で、『闇の列車、光の旅』の主人公が目指すアメリカの経済も最近は調子が悪い。それでもかの国の南方面には、明日をも知れぬ暮らしの人々が多数暮らしており、不法移民の流入は絶えない。

この映画は、そうした移民たちの厳しい移動時の様子を背景に、ある少年少女の壮絶な逃亡劇を描いたサスペンスである。

65点
≪コメディ映画としていける≫

『アイアンマン2』は最新のVFXをたっぷり使った魅力的なアクション大作だが、コメディ映画としても一流である。もっとも、それを作り手が意図した形跡はない。

アイアンマンの正体を自ら世界に明かしたトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)。開き直った彼は世界の紛争地域で大活躍するが、その圧倒的な戦闘力を当の米軍はもっとも警戒していた。やがてアイアンマンスーツのテクノロジーを政府に提出せよと言われてしまうトニーだが、もちろんまるでその気はない。だがそんな傲慢な彼を、アイアンマンに勝るとも劣らぬ強力なスーツを制作しながら恨みの目で睨む男(ミッキー・ローク)がいた。

タリバンをバカにしまくった前作も笑えたが、このパート2も面白い。

65点
≪余裕ある大人向けコメディ≫

セックス・アンド・ザ・シティに夢中になる女子(参考年齢平均38歳)を見ていると、たしかに少々イタい。だが、セックス・アンド・ザ・シティの女性観を必死に叩く、余裕のない人たちの姿はもっとみっともない。なにごとも、ゆったりした心構えで楽しみたい。そんな大人のたしなみを理解したカップルなどにこの作品は、なかなか楽しい時間を与えてくれる。

長年の紆余曲折を経て結ばれたミスター・ビッグ(クリス・ノース)とキャリー・ブラッドショー(サラ・ジェシカ・パーカー)。しかし、毎夜のように着飾って外出したいキャリーに対し、ビッグは自宅でくつろぎたい。一方子育てや仕事に奮闘する親友のミランダ(シンシア・ニクソン)やシャーロット(クリスティン・デイヴィス)も、それぞれ人生にストレスを感じていた。そんな彼女らにサマンサ(キム・キャトラル)から、豪華アブダビ旅行に無料招待されたから一緒に行こうとの誘いが入る。

この話題作に私はどうも嫌われたようで、試写会にいけば超満員。公開初日に同行してくれそうな知り合いの熟女ガールズにもことごとく振られ、ようやく都合をつけて後日見に行ってみたら上映40分前にすでにチケットは売り切れ。仕方が無いので次の回まで真昼間からパブでエールを飲んで時間をつぶし、ようやく見られたという始末である。

65点
≪疲れた女性たちの背中を押してくれる映画≫

この映画をエレン・ペイジの主演最新作とみるか、ドリュー・バリモアの初監督作品とみるか、まず分かれるところだろう。87年生まれのエレン・ペイジは若手女優の中では群を抜く異質さを感じさせる逸材で、その出演作(「JUNO/ジュノ」(07)、「ハード キャンディ」(05))を見た者なら、二度と忘れられないインパクトを受けたはずである。

かくいう私も、本作を彼女の主演最新作として期待してみた口だ。だがそれは間違いで、『ローラーガールズ・ダイアリー』はどこからみてもドリュー・バリモア色に染まった、彼女の個性がたっぷりと染み込んだ作品であった。

テキサスの田舎町に住む女子高生ブリス(エレン・ペイジ)は、娘を美人コンテストで勝たせる事が唯一の成り上がる道と信じる母親(マーシャ・ゲイ・ハーデン)にずっと振り回されてきた。あるとき彼女は、街で見たローラーゲームで激しくぶつかりあう女たちの戦いに衝撃を受ける。自分に無い選手たちの奔放さにすっかり魅了されたブリスは、家族に内緒で入団テストを受けに行ってしまう。

65点
ホームレスだらけのサッカー大会

私が生まれ育った東京の下町には山谷という、それこそホームレス世界大会をやれば準決勝くらいまでいきそうな気合の入った町がある。世界第2位とか第3位とか言われるこの経済大国、それも大東京の端っこに、明らかに物価と価値観が一桁ずれた町が存在するわけだ。ある意味その特殊性は、世界的に見ても珍しい部類に入るのではないか。

とはいえ『ホームレス・ワールドカップ』は、別にそんな奇特な大会の話ではない。このドキュメンタリー映画は、世界中からホームレスだけを集めてサッカーワールドカップをやっちまおうという、歴史ある大会の模様を描いている。

2001年から続くこのサッカー大会は、本家WC同様各国代表が集い、戦い抜くシステム。ホームレスに悩む町のひとつ、ダブリン出身の有名俳優コリン・ファレルが、そんなことを説明して映画が始まる。

65点
仲里依紗を味わいつくすギャグ映画

哀川翔主演作100本目という事で、Vシネで終わらせず公開してみたところ、そこそこ受けた前作「ゼブラーマン」。そこでこの2作目ではしっかりと予算をつけて、最初から劇場用映画として作った。結果、はるかにまともな作品となり、この2作目から見ても……というよりこれだけ見ておけば十分という出来栄えである。

西暦2025年、新都知事(ガダルカナル・タカ)とその娘ユイ(仲里依紗)が率いるゼブラシティでは、朝夕5分間だけ権力者が自由に人々を射殺していい「ゼブラタイム」の導入により、目覚しい治安維持効果を発揮していた。その路上で目覚めた市川(哀川翔)は、ゼブラーマンだった過去の記憶をすっかり失ったまま、ゼブラシティの陰謀に巻き込まれていく。

のっけからガラガラポンで、前作とは無関係に好きな物を作りますよ宣言である。それは大正解で、宮藤官九郎脚本と三池崇史監督の両個性が不協和音を起こしていた前作とは打って変わり、見事なコラボレーションを見せている。

65点
無法地帯、南アにエイリアンがやってきた

CS局での番組収録の合間、世界を駆け巡る女性ジャーナリスト(独身)に私は次のような質問をしてみた。「ここだけは行くのを躊躇するヤバい国ってどこ?」

私はてっきりソマリアとかアフガンとか言うのだろうと予想していたが、彼女は「ヨハネスブルグ」と即答した。あの九龍城砦にガイドなし単身で突入した事もある、命知らずの特攻野郎のごとき彼女でさえ、南アフリカ共和国の悪名高い大都市を恐れていたのだ。

南アの治安の悪さについては、どう見てもワルノリネタとしか思えぬコピペ情報がインターネット上に溢れているが、色々聞いてみたところ、あながちそれらも嘘ばかりではなさそうだ。映画『第9地区』は、そんな地上の無法地帯、南アを舞台にしたSF映画である。

65点
日本のひきこもり文化がついに世界を制した

グラフィックノベルを原作とする未来SF『サロゲート』の設定はユニークだ。14年前に開発された技術が発展し、今では人類の98パーセントが「サロゲート」と呼ばれる機械の分身を、自宅から遠隔操作することで生活している。

つまり、街にあふれる「人間」風の物体はすべて人造の機械。「本体」の姿はお互い誰も知らないというわけだ。まさに70億総ひきこもり。全員アバター状態である。

サロゲートにより、人々は事故や事件と無縁の安全な人生を手に入れた。ところがある日、2体のサロゲートが破壊される事件が起きる。捜査にあたったトム(ブルース・ウィリス)は、驚くべきことにその本体までもが死亡しているのを発見する。全サロゲートには安全装置があり、たとえ破壊されても本人に被害が及ぶはずは無いのだが……。トムは社会の根幹を揺るがしかねないこの大事件の背後を、早速探り始める。

65点
ギャグの切れ味は最高、映像面にも映画的な仕掛けあり

2009年の元旦は『ピューと吹く!ジャガー 〜いま、吹きにゆきます〜』だったが、2010年の初笑いは同じFROGMAN監督の『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 〜http://鷹の爪.jp は永遠に〜』がおすすめだ。やはりこの監督のノーテンキな作風は、お正月によく似合う。あと2週間公開を早めればなおよかったのだが。

米合衆国大統領オババが、突如核兵器の放棄を宣言した。軍需産業の大手「サドルストーン・コーポレーション」は、その決定に激しくショックを受ける。だが彼らには、鷹の爪団やレオナルド博士を巻き込んだ一発大逆転の秘策があった。

一見稚拙にみえるFLASHアニメだが、キレのいい政治ネタやパロディが息つく間もなく連発される。おまけに今回は、日本映画界のトップを走るあの特殊効果制作会社(本物)が完全協力。重要な見せ場を担当するというオマケつき。

65点
敗戦のトラウマをヤマトが晴らす

『宇宙戦艦ヤマト』がなぜ中高年に人気があるかといえば、ぶっちゃけた話、この物語が日本人の敗戦のトラウマを晴らすものだからである。しかも、来年2010年の実写版を控えたこのアニメ版『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』の場合、敗戦コンプレックスの権化のような石原慎太郎が原案にクレジットされているのだから、なおさらだ。

宇宙戦艦ヤマトが自沈することで、回遊惑星アクエリアスから人類を救って17年。地球は移動性ブラックホールにより、再び消滅の危機に見舞われていた。対処法はなく、人々は3ヵ月後のブラックホール遭遇を前に、はるか遠くアマール星の衛星へと移民船団を出発させた。ところが、古代雪(声:由愛典子)率いる第一次移民船団は途中で謎の大艦隊に襲われ全滅。宇宙科学局長官の真田志郎(声:青野武)は、雪の夫で歴戦の勇者、古代進(声:山寺宏一)を地球に呼び寄せ、出発を控えた第三次移民船団の護衛を依頼する。

熱い。とにかく熱い、昭和オヤジのためのアニメーション作品である。

65点
終盤の対決シーンが良くできている

サバゲーをやっていたら、相手がBB弾ではなく実弾を撃ってきました。ルール違反にもほどがあると思うのですが、どうしたらいいでしょうか?

そんな、Yahoo!知恵袋もビックリの嫌過ぎるシチュエーションを描いた『サバイバル・フィールド』は、期待を上回るアクション作品である。

大規模なペイントボール(日本のサバイバルゲームの元となった、ペイント弾で撃ち合う屋外競技)大会に出場するため、各国から集まってきた男女は、広大なフィールドや本格的なミッション指令に期待を高めていた。初対面ながらなかなかの団結力で、敵チームより先にチェックポイントに向かおうとする彼らは、しかし途中の銃撃戦で恐るべき事態に遭遇する。なんと敵側から飛んできた銃弾が、すべて本物、実弾だったのだ。

65点
密室サスペンスとしては、充分楽しめる

「MKウルトラ」計画は、陰謀論好きやオカルト方面では有名な洗脳実験である。冷戦時代にCIAにより行われたが、資料がすべて破棄されたことから公式に認めさせるのは難しい。だが奴らならこうした非人道的な実験もやりかねない。おおむねそんな感じに認識されている。ネタにした映画も複数ある。『実験室KR-13』は、そんな定番ネタを、現代を舞台に蘇らせたサスペンス作。

若き研究者エミリー(クロエ・セヴィニー)は、ある政府機関に志願しやってきた。そこで彼女は、今後の任務にかかわるビデオ映像を見せられる。そこには明るい実験室内部が写っており、やがて部屋に若い女性ケリー(クレア・デュヴァル)ら4人の男女がやってくる。彼らは治験バイトに応募してきた若者で、最初に質問表に回答したあと博士(ピーター・ストーメア)の説明を受けるが、その最後に驚くべき光景を目にすることになる。

のっけから重苦しい音楽とムードで、こいつは意外といいかもと思わせる。その期待は裏切られることなく、「SAW」のような密室恐怖劇が94分間ノンストップで繰り広げられる。開始18分あたりで起こる出来事に、たぶん観客のほとんどは度肝を抜かれ、そこから心拍数はあがりっぱなしとなるだろう。

65点
内容は悪くないが、宣伝が大ネタバレ

『あの日、欲望の大地で』という、先日公開されたサスペンス映画があるが、それについての記事で私は、ネタバレに無頓着な宣伝会社の姿勢を静かに批判した。こういう事を書くと業界では嫌われるのだが、あの記事に反応して送られてきたメールはすべて、よくぞ言ってくれた、という好意的なものであった。

それらに勇気をもらったことと、私の立ち位置は常に100パーセント消費者側であるからまた今回も書くが、『ホースメン』の宣伝のネタバレ度合いはさらにひどい。本年度ネタバレ宣伝会社大賞、最有力候補である。イントロダクションどころか、キャッチコピーの段階ですでにアウトなので、これはもうどうにもならない。本記事以外のものを先に読んでしまったお客さんには、ご愁傷様というほかない。

刑事エイダン(デニス・クエイド)は妻亡き後、息子のアレックス(ルー・テイラー・プッチ)、ショーン(リアム・ジェイムズ)と暮らしていた。愛する二人と満足なコミュニケーションをとれずにいたエイダンだが、その多忙さに輪をかける事件が勃発。聖書のヨハネの黙示録をモチーフにしたと思しき猟奇連続殺人がおきたのだ。発見者で、被害者の養女のクリスティン(チャン・ツィイー)と接したエイダンは、自分と息子の関係が頭によぎり、彼女を気にかけるようになる。

65点
日本人がいま見ておくべき「先輩」の姿

自民・公明から民主党へ、政権交代が起きたばかりの日本。世襲を繰り返してきた結果、若手に優れた人材が不足する自民党が没落するのは世の必然。結果的にポテンシャルの高い才能が集まり、政権をとったことで今後、さらに人材流入が加速するであろう民主党に、人々が期待を抱くのも当然であろう。

ただ、そんな新政権・民主党に対して漠然とした不安が残るのもまた事実。とくに、移民に対して彼らがどう考えているかは多くの人が気になる所。

例によってネット上では、やつらは中韓から何千万人も受け入れるつもりだ、売国政党だ、などと怪しげな情報が飛び交っている。少し考えれば、経団連とべったりの自民党が移民政策を推進するならともかく、労組が支持基盤のひとつである民主党がそんなバカげた政策(移民を入れれば労働者の給料は下がる)を実行できるとはとても思えないのだが……。

65点
ハイビジョンで送る、日本の原風景

誰もが思うNHKの強みというのは、他と比べて潤沢な予算や期間等、製作体制が整っている分、質の高いドキュメンタリーが作れるという点だろう。本作のもととなった『里山』シリーズはその際たるもので、これほどの仕事に挑める場があるだけでも、菊池哲理ディレクター以下スタッフは下手な映画業界の人々よりも恵まれている。

「NHKスペシャル」で3部にわたり好評を得たこのシリーズの、第三部に新規映像を加え、再編集したのがこの劇場版。NHKの誇るハイビジョン機材を駆使した超高画質で、日本の財産ともいうべき雑木林の息遣いを描く「映像詩」。日本人すべての琴線に触れる緑の光の洪水に、誰もが酔いしれることだろう。

さらにこの劇場版は、音声も5.1chにした上、映像をデジタル処理でさらに美しくしたという。すでに海外の映画祭では高い評価を得たが、日本人にどうしても見てほしい「あるシーン」を追加してあるということで、テレビ版のファンも一見の価値があろう。

65点
井村空美がすべてを見せる官能演技

おっぱい先生の綾瀬はるか、セミヌード公開決定の磯山さやか、入浴ドロンジョ深田恭子と、ホリプロの快進撃(H方面)が止まらない。

かつてホリプロといえば、本格アイドルを次々輩出した名門のイメージだったが、いまやセクシー路線真っ只中。アイドルのお手軽リサイクルなどと陰口をたたく輩もいるが、考えてもみて欲しい。バラドルに再生されるのと、お脱ぎくださるのと、どちらのチェンジが世のためになるのか。オバマ大統領に聞くまでもなく、結論は明らかであろう。

というわけで、井村空美である。

65点
トム・クルーズのおかげでわかりやすくなった

ナチス関連の映画は、日本人にはわかりにくいと言われる。ドイツではハーケンクロイツを提示しただけでも違法とされ、今でもこの手の映画撮影は困難をきわめる。

本作の撮影隊、およびユダヤ人監督ブライアン・シンガーも、このジャンルの経験があるだけあり、ドイツロケでは慎重にコトを運んだが、それでも訴訟沙汰に巻き込まれた(撮影地を提供した地主が、鉤十字マークの提示の件で訴えられた)。

純粋な愛国心から、ヒトラーの暴走に反発していたシュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)は、軍内部のレジスタンス組織に深く関わるようになる。やがて彼は、他の仲間とともに総統暗殺計画「ワルキューレ作戦」の根回しに取り掛かる。

65点
野心的アイデアをほめたい

新鋭監督は、野心あふれるほうがいい。85分間リアルタイム進行、一回もカットなし(全編ワンカット)。そんな個性的な実話映画『PVC-1 余命85分』を撮った、コロンビアのスピロス・スタソロプロス監督のように。

南米のコロンビアで信じがたい事件が発生した。ある農場主(ダニエル・パエス)の家に強盗グループが押し入り、家族を監禁。だが金がないと知った犯行グループは、あろうことか一家の妻(メリダ・ウルキーア)の首に、時限爆弾入りの極太リングを装着して去ったのだ。

ここまで一度もカットされず話は進む。そしてその後も、ずっと1台の手持ちカメラで事件の顛末が描かれていく。舞台は室内でなく屋外、しかもいくつも場所を変えるという困難な撮影を、綿密な計画通り成し遂げたこの監督の手腕には驚かされる。『ロープ』(48年)で同じ挑戦をしたA・ヒッチコックもびっくりである。

65点
話題の反日描写とは?

インターネットの普及以来、映画会社は様々な気苦労を背負い込むことになった。違法ダウンロードの蔓延など、世界共通の悩みも多いが、おそらく日本独特のものとして、「反日的映画は徹底的に叩かれる」というものがある。

オーストラリア映画人が、その威信をかけて作り上げた大作『オーストラリア』も、その落とし穴(?)に見事はまりこみ、作品のよしあしとは無関係な部分で話題を呼ぶことになった。

英国上流階級のレディ・サラ(ニコール・キッドマン)は、一向に帰国しない夫に業を煮やし、その行き先オーストラリアまで追いかけていく。ところが夫の領地"ファラウェイ・ダウンズ"にその姿はなく、粗暴な管理者ドローヴァー(ヒュー・ジャックマン)がいるだけだ。性格も身分も正反対の二人は出会ったその日から反発しあうが、彼らの行く先には命がけで協力せざるを得ない過酷な運命が待ちうけていた。

65点
沖縄にあこがれる人にピッタリ

それはあながち間違いでもないようで、短期で滞在するはずがそのままいついてしまった、という東京人も少なくない。『カフーを待ちわびて』は、そんな癒しの地・沖縄にあこがれる都会人にすすめたい一本。

沖縄の離島で古い雑貨屋を営む青年アキオ(玉山鉄二)は、愛犬カフーとのんびり暮らしている。ある日、彼に一通の手紙が届く。アキオがかつて冗談で「嫁に来ないか」と書いた絵馬を、神社で読んだという女性サチ(マイコ)が、本当にたずねて来るというのだ。

まるで昭和40年代のような、リアルALWAYS状態というべき個人商店のたたずまい。30円くらいで売ってそうな、昔ながらのアイスキャンデーが溶けない距離にある紺碧の海、貸しきり状態の白浜。傍らにはリードでつなぐ必要がないほど慣れ、ストレスもなさげな大型犬。確かにとんでもなく「豊か」な暮らしである。

65点
エログロ全開の18禁アニメ

本来、子供のためにある「人形アニメ」で、エログロナンセンスをやってしまう。初めての試みではもちろんないが、そのギャップはやっぱり笑いを呼ぶものだ。

そんなR-18作品『モトリー・クルーのディザスター! 〜アルマゲドン危機一発〜』に出てくるマヌケな粘土人形の顔をみるたびに、それでもこの撮影は大変だったろうな、とか、この人形を作るのに大真面目な職人たちの努力があったんだろうと考えると、それがまたおかしかったりする。

自慰行為にふける天文台職員による幸運な偶然により、地球激突間近の小惑星が発見される。政府機関は、この危機を脱するため、数名の専門家を呼び寄せる。その一人で、リーダーのハリー(声:ジム・カミングス)は、小惑星に穴を掘り核爆弾をしかけるため、仲間とともにシャトルに乗り込む。

65点
「幸せのちから」に続くウィル・スミス主演・感動作

キリスト教圏の映画で数字の7が出れくれば、それは彼らの宗教にかかわるテーマやモチーフということ。『7つの贈り物』ももちろんそうで、最初のモノローグで主人公は、7日間で世界を創造した主と自らの人生を比べ、自嘲気味に語る。それがいったい何を意味するのか、ラストで驚きとともに明らかになる。

国税局の役人ベン(ウィル・スミス)は、7人のリストを手にある計画をすすめていた。まず、それぞれにアプローチし、彼らがベンの意に沿う人物かどうか確かめる。「合格」だった場合は、その運命を変えるほどの「贈り物」をするのだ。だがその計画は、魅力的な女性エミリー(ロザリオ・ドーソン)と出会い、徐々に狂っていく。いったいベンの最終目的は何なのだろうか。

見た後、よく似た話やアニメーション作品がすぐに頭に浮かんだが、タイトルを書くと結末が一発でばれるので自粛する。

65点
もし、人生の時間が逆に流れたら?

人生はままならない事の連続だが、この映画の主人公ベンジャミンほど極端な例はない。彼はなんと、80歳の赤ん坊として生まれ、年を経るほどに若返っていく。通常の反対の加齢(減齢?)現象。そんなダークかつファンタジックな架空伝記を見て、観客は何を感じるだろうか。

1918年のニューオーリンズに生まれた赤ん坊ベンジャミンは、老人の風貌をしていた。ショックを受けた父親は、思わず手近な老人養護施設の前にベンジャミンを捨ててしまう。幸いこの子は施設の心ある黒人女性(タラジ・P・ヘンソン)に拾われ、すくすくと育つ。そして驚くべきことに、彼は成長するに従いどんどん若い姿(ブラッド・ピット)に変貌していく。

ベンジャミンが拾われる場面から、早くも涙腺の弱い方は要注意の感動ドラマ。死期の迫った老人たちに囲まれて、施設で育つ幼少時代。これがじつに味わい深い。幼いころから他者の死、あるいは自らの死と間近に接し、育ったベンジャミンは、まるで悟りを開いたように自らの運命を静かに受け入れ、逆らわずに生きていく。

65点
愛と革命の闘士チェ・ゲバラ最後の戦いを描く

キューバ革命を戦うチェ・ゲバラの姿を描いた前編『チェ 28歳の革命』(公開中)は、あまりに説明皆無で初心者お断りなつくり。キューバ史をよく知るジャーナリストは「それでも見てて疲れた」と言い、キューバ政府にパイプを持つほどの、あるゲバラフリークは「(自分は楽しめたが)はたして一般人がついてこれるのか心配になるほど」と私に語った。

無理もない。私に言わせれば、あの前編はこの『チェ 39歳 別れの手紙』、すなわち後編の後付け補足であり、あくまでこちらの満足度をUPさせるための先鋒という位置づけ。

よって、『28歳の革命』だけで必死に何か解釈しようとしている人を見ると、ちょいと気の毒になる。スティーヴン・ソダーバーグ監督が見せたかったものは、こちらにこそあると私は確信する。つまり、後編だけ見るのはまったく問題ないが、前編だけ見るというのはありえない。だから映画会社はせめて、あの前編に来た人には後編の半額チケットでもつけてやったらよかった。

65点
09年初笑いはうすた京介の代表作アニメで

元旦に公開される映画はかなり珍しいが、『ピューと吹く!ジャガー 〜いま、吹きにゆきます〜』に関しては、この日がもっともふさわしいように思える。とくに理由はない。

フリーマーケットでピヨ彦(声:金丸淳一)がたまたま買った笛のネックレスは、異世界の扉を開く鍵だった。そこから出てきた謎の王女(声:真木よう子)と奇跡的な対話を成功させたピヨ彦は、いつの間にやら王女の探し物を手伝う羽目になっていた。気づくとジャガー(声:藤原啓治)らいつものメンバーも背後に集まっており同行することに。そんな彼らに、王女らを狙う闇世界の住人が襲い掛かる。

不条理マンガの雄、うすた京介の人気コミックを、Flashアニメ出身のFROGMAN監督がアニメ化。一見テキトーに見える絵柄ながら、高度な不条理ギャグを繰り出す原作の雰囲気をつかんだ映画作品となっている。

65点
中原俊監督が最高傑作「櫻の園」を自らの手でリメイク

芸能事務所のオスカープロモーションが本格的に映画参入するにあたり、幾多の企画から選んだのが中原俊監督『櫻の園』(90年)のセルフリメイクであった。担当者の中にきっとあの作品の熱烈なファンがいたのだろうと思うとちょっとおかしいが、さすがはアイドル育成のプロたち。日本の青春映画屈指の傑作に目を付けるとは、さすが侮れない。

東京の音楽学校から、故郷の名門私立女子高・櫻華学園に編入してきた女子高生の桃(福田沙紀)。お嬢様学校らしい、"伝統"という名の束縛に早速嫌気が差した彼女は、今は使われていない旧校舎の演劇部室から、チェーホフ「桜の園」の台本を見つける。かつて伝統だったこの演題は、なぜ封印されたのか。興味を持った桃は、生徒を集め演劇部の復活を試みるが……。

オリジナルを見た方はあらすじでわかるとおり、内容はまったくの別物。その意味では、リメイクと呼ぶべきではないかもしれない。

65点
「インクレディブル・ハルク」に続くアメコミ超大作

美やパワーに対する内なる欲求、憧れが強いのか、アメリカ人は肉体改造が大好きだ。

ボディビルやプロレスの大会は、アナボリックステロイドをバンバン入れた大男ばかり。誰が見たって違法薬物を使用しているのに、当たり前のようにテレビで放映するなど、競技自体が市民権を得ている。それどころか街のジムや高校スポーツ界にだって、使用者は珍しくもない。

一方女性もダイエット熱が高く、美容整形に手を出すセレブは後を絶たない。効果が出ているかは微妙であるが。

65点
マキノ雅彦監督最新作は、マキノ家伝家の宝刀、清水の次郎長もの

今から100年前、初めての時代劇『本能寺合戦』(1908年)から日本映画の歴史は始まった。その監督・牧野省三の思いは、邦画の基礎ともいうべき作品群を作り上げた、いわゆるマキノ家の面々に受け継がれる。そして、その末裔たるマキノ雅彦=津川雅彦らの手により、今も息づいている。

ちょっぴりエッチな、大人のための粋な娯楽作『寝ずの番』(06年)に続く彼の新作は、上記牧野省三の息子で往年の名監督、マキノ雅弘の代表シリーズ『次郎長三国志』。マキノ家の伝家の宝刀とも言うべき本命の一本だ。古き良き時代、大勢の日本人に愛された映画作品を、装いも新たに、しかし根本的な部分はしっかり踏襲して送り出す。今回も「大人による、大人のための娯楽」だ。

江戸時代の清水湊。恋女房のお蝶(鈴木京香)を残し渡世修行に出ていた博徒の次郎長(中井貴一)が3年ぶりに帰ってきた。彼は大政(岸部一徳)、小政(北村一輝)、そして森の石松(温水洋一)ら大勢の子分を引き連れ、いまや東海道に名をとどろかす立派な親分となっていた。だがその代わりに敵も増え、一家は心休まる間もなく戦いに巻き込まれていく。

65点
キャメロン・ディアスとアシュトン・カッチャー共演のロマコメ

初来日したアシュトン・カッチャーは、16歳上の奥さんデミ・ムーアを引き連れ、結果的にキャメロン・ディアスを加えた3ショットという、ゴージャス極まりない絵を日本のマスコミに提供してくれた。

まだ50代だった父親を亡くしたばかりで顔色の悪いキャメロンに比べ、全米ティーンからダントツの人気を誇るハンサムボーイの寵愛を受けるデミ・ムーアの貫禄は圧倒的。ハリウッド有数の高給取りであるはずのキャメロンが、逆に気の毒になるほどであった。

そんなわけで、日本でも徐々にそのカリスマ性が広まりつつあるアシュトンは、本作でもすさまじいオーラ、あるいはフェロモンを発している。ちなみにデミ・ムーアはこの映画には出ていない、念のため。

65点
スターシップ・トゥルーパーズ、一作目の正当なる続編

『スターシップ・トゥルーパーズ』シリーズは日本では特別な人気がある。本国ではDVD販売用だった超低予算のパート2も劇場公開されたし、この3作目も世界に先駆けて一番早く映画館で見ることができる。

なんといってもハインラインの原作『宇宙の戦士』に登場するパワードスーツのアイデアは、ガンダムをはじめとするロボットアニメとして日本で花開いたのだ。しかもこのパート3には、予算と技術上の都合によりパート1の監督ポール・バーホーベンが涙をのんで諦めたそのオリジナルパワードスーツ"マローダー"が満を持して登場する。何をおいても見に行ってやるのがSFファンの礼儀というものだ。

一時は優位に立った対バグズ戦争はさらに激化、泥沼化の様相を呈していた。高まる反戦運動を強引な取り締まりと処刑によって抑えてきた連邦政府は、実用化された惑星破壊兵器に戦況の打開を託していた。そんな中、英雄ジョニー・リコ大佐(キャスパー・ヴァン・ディーン)率いる惑星ロク・サン防衛軍に、国民的人気歌手でもある総司令官アノーキ(スティーヴン・ホーガン)が現れる。時を同じくして、基地に不審な出来事がおき始める。

65点
中国の想像を絶する環境大破壊をご紹介

『いま ここにある風景』は、いまの中国のとんでもない実態を自らの目で見たい人にはたまらない一品である。

カナダの写真家エドワード・バーティンスキーは、社会の発展が環境に与える変化を撮り続けてきたカメラマン。彼が撮れば、産廃も環境破壊も美しいアートになってしまう。本作は、彼が新たに目をつけた地上最大の経済発展地区=中国の風景を、彼と共に切り取ったドキュメンタリー。

冒頭から度肝を抜かれる。機械がうなり声を上げるアイロン工場の内部を、移動撮影で延々と見せるだけなのだが、これがいつまでたっても終わらない。だが観客はひとつのショットが終わらない事よりも、"この建物ははいったいどこまで続いているのか?"に驚くことになるだろう。

65点
10日間で親友をつれてこないと破産?!

フランスの名監督パトリス・ルコントは、この最新作の後3本の長編映画を監督したところで引退すると宣言した。才能とは永遠に湧き出るものではないと悟った上での引き際の判断なのかもしれないが、潔くも寂しい話である。

美術商のフランソワ(ダニエル・オートゥイユ)は、自身の誕生パーティーの席で気の強い女共同経営者(ジュリー・ガイエ)に「アナタは友達がいない」と煽られ、ならば10日以内に親友を連れてくると反論。落札したばかりの20万ユーロの壷を賭けるとまで宣言してしまう。さっそく翌日親友候補リストを作成し、上から順に当たった彼は、しかし自分が誰からも好かれていなかった事を知る。

成功と富を手にし、順風満帆と思っていた自分の人生が、じつは大いなる欠陥品だったかもしれないと知らされる。そこで狼狽する中年男の悲哀を軽いコメディタッチで描いていく。こっそり書店の店員に『友達のつくりかた』なんて本を問い合わせる後姿が笑え、いや泣ける。

65点
ネルソン・マンデラの公式半生記

ネルソン・マンデラといえば反アパルトヘイト運動。その偉大なる指導者にして、南アフリカ初の黒人大統領にまで登りつめた男だ。『マンデラの名もなき看守』は、99年に政界引退した彼がはじめて映画化を許可した伝記もの。現在のところ唯一の、ネルソン・マンデラ公式半生記といえる。

1968年、アパルトヘイト(人種隔離政策)全盛の南アフリカ共和国。白人看守のジェームズ(ジョセフ・ファインズ)は、幼いころ黒人の子と遊んだ経験から彼らの言語「コーサ語」を理解できた。その能力を買われ、国家反逆罪で終身刑服役中の反アパルトヘイト運動指導者マンデラ(デニス・ヘイスバート)付きを命じられる。言葉のわからぬふりをしつつ、密かに黒人同士の伝令内容を聞き取り報告せよというわけだが、マンデラの人柄に直接触れた彼は、逆にその理想に心奪われていくのだった。

タイトルどおり、"マンデラの名もなき看守"とマンデラの交流・友情を軸にした構成。黒人差別が当たり前の社会にどっぷり浸かっていた白人男が、「常識を疑う」事からやがて目覚めていく姿を通しマンデラの人柄、思想の偉大さを謳う。

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