「前田有一の超映画批評」をランキング形式で紹介するサイトです。 週末の映画選びなどにご利用ください。

2224件中 801~850件 を表示しています。
70点
強烈な個性とセンスのいい「テキトーさ」がいい

ヒップホップ界のスター、ラッパ我リヤが主演した近未来スポーツ・アクション映画。

まあ見るからに低予算で、そのクォリティはビデオ映画並。だが、決してつまらない映画ではない。そこが実に意外だった。(失礼)

まず、ふんだんに使っているCGが面白い。嘘っぽいのをわかった上で、確信犯的に楽しく使っている。こういうのは非常に好感が持てる。

70点
ディズニーランドのアトラクションそのもの、サントラが最高

ディズニーランドの同名アトラクションの映画化。カリブの海賊やホーンテッド・マンションなど、映画化を予定されているディズニーランドのアトラクションは数多い。ハリウッド映画界のちょっとしたブームといえよう。

クマさんたちが、アメリカ中を旅しながらカントリー・ミュージックを演奏する、ほのぼのしたミュージカルである。家族愛や友情といった定番のテーマを描き、最後にはほろっとさせるという、いかにもハリウッド的な、王道の一本である。

サントラがとにかくいい。私は、あまりにこの映画の楽曲が気に入ったので、いまだにCDを何度も聞いている。

70点
邦画で1番面白いんじゃないか?

笑いすぎ。笑い疲れる。88分と短いが、あと15分短くしてくれ! といいたくなる。

というのも今回のクレヨンしんちゃんは、ギャグに徹した作りになっているのだ。水島監督は、今まで主に劇場版の予告編や、ギャグシーンのコンテを描いていた人で、いわばクレしんギャグのスペシャリスト。彼の繰り出すギャグは当然の事、爆笑保証付きなのだ。

ところでマスコミ試写というのは、普通オジサンたちを中心に、どう考えてもこういう映画をみるはずのない客層がやってくる。

70点
ガチンコの歌と踊りが見所だ

アカデミー6部門を受賞した超話題作。でも実は、1度も全米興行チャート1位になってないという、不思議な作品。有名なブロードウェイ・ミュージカルの映画化である。

見所は、やはりきらびやかなミュージカルシーン。でも、案外ドラマ部分も面白い。

従来のミュージカル映画と違うのは、突然何の脈絡も無く踊り出すという、あの独特の「御約束」的な演出が無い事。ダンスシーンは、基本的に主人公の妄想という設定になっている。

70点
新感覚のガン・アクションが素晴らしい

映画業界のかきいれ時であるゴールデン・ウィークをあえて外し、その直前に公開するSF映画という事で、当初はあまり期待せずに観にいった作品。

ところがどっこい、面白い映画というのは、えてしてそういう時に出会うものである。『リベリオン』は、新しい映像を観たい人には、是非お勧めしたい一本だ。

この監督は、長年自分の頭のなかで、オリジナルのSF世界を作り上げてきており、今回ようやくそれを映画化することになったのだという。つまり、企画最初にありきで、設定その他は後から適当に作り上げたというお手軽SFではない。一応、監督が子供時代から考え(別名:妄想)ていた、かなり奥行きのある世界観を持っているのである。

65点
≪もしもスマホの中身を皆に公開したら?≫

会話劇だけでコメディーからサスペンス、ミステリーまで堪能できるイタリア映画『おとなの事情』(16年)は、観客のみならず多くの映画製作者を魅了した。たしかに、携帯電話のみせっこという、子供じみた行動とは裏腹に、すべての人間関係を破壊しかねない余興を始める大人たちの姿は、目を覆わんばかりの恐怖映画でもあり面白かった。はたして韓国を舞台にしたリメイクである本作の面白さはどうだろうか。

豊胸整形医のソクホ(チョ・ジヌン)と精神科医のイェジン(キム・ジス)夫妻が、旧知の仲間たちを招待して宅飲み会を開いた。ラブラブ新婚カップルの飲食店経営者ジュンモ(イ・ソジン)と若妻セギョン(ソン・ハユン)。3組目は仮面夫婦のマザコン弁護士テス(ユ・ヘジン)と主婦ブロガーのスヒョン(ヨム・ジョンア)。さらにおひとり様参加の体育教師ヨンベ(ユン・ギョンホ)だ。くしくも月食の晩、心地よく酔いが回ると、彼ら7人はだれからともなく「スマホへの着信やメールを公開するゲーム」を始めようと言い出す。

ここから先は、各人にきたメールやSNSメッセージ、電話などが、世にも恐ろしい、あるいは爆笑できる騒ぎを巻き起こす、ノンストップのスリルアドベンチャー会話劇が繰り広げられる。

65点
≪安倍政権から攻撃されている人物が作った映画≫

スターサンズの河村光庸プロデューサーは、今の日本映画界でもっとも物議をかもしている人物である。まずなんといっても、加計学園問題の映画化『新聞記者』を、イオン・シネマを巻き込み全国公開して興収10位に食い込ませる大金星を挙げた功績を記しておかねばならない。

国民が一億総不感症となってしまったこの日本では、旧来のメディアやジャーナリズムに腐敗した政治を正す力はない。そのため、権力側はたやすく情報と世論のアンダーコントロールができる。権力者がどれほどひどい事をやっても責任を取らずに済む、そんな世の中になっている。それが6年間も続いているので、30代くらいまでの若い人はその異常さに気づいてすらいないだろう。

そんな中、現役総理大臣による現在進行中の疑獄事件を実写の劇映画にしてここまでヒットさせたというのは、とてつもない出来事なのである。ほんの弱い灯ではあるが、映画は、映画だけは屈していないぞと、気概を示した格好である。

65点
≪生きにくい時代に輝く3人の思いやり≫

日本経済が衰退する中、精神を病む人は増え続け、かつてほどは精神病院というものが非日常ではなくなってきた。『閉鎖病棟—それぞれの朝—』は、まだそうなる前に書かれた精神科医の作家、帚木蓬生による小説を原作とする人間ドラマ。99年の福原進版に続く、2度目の映画化となる。

死刑執行に失敗し、障害が残りながらも生き延びた梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)は、いまでは長野県のある精神病院で暮らしている。そこには幻聴に悩む持つチュウさん(綾野剛)など、それぞれの症状に悩みながらも必死に生きる人間たちが幾人もいた。やがてそこに不登校の高校生、由紀(小松菜奈)がやってくる。秀丸やチュウさんの配慮により、やがて由紀も固く閉ざした心を開き、すべてがうまくいっているかのように見えたとき、彼らの運命を変える悲劇が起こる。

平山秀幸監督自ら、惚れ込んだ原作を現代を舞台にアレンジしたというだけあって、魅力あふれる物語である。ここに出てくる入院患者たちは、世間一般から見れば落ちこぼれ、落伍者、あるいは不気味で理解しがたいと思われている人たち。そんな彼らの内面にある優しさ、思いやりを丁寧にすくいあげ描写した原作の良さを映像化しようとした努力の跡がうかがえるし、おおむね成功している。

65点
≪完全に政治映画≫

元ネタというべき『眠れる森の美女』(1959)から60年ということで、そのスピンオフ実写版2作目『マレフィセント2』がこうして作られたわけだが、いざ見てみるとそれだけが理由ではなかったことがよくわかる。本作は、とかく政治的テーマをこめたがるディズニー映画の典型例というべき作品であった。

オーロラ姫(エル・ファニング)が、フィリップ王子(ハリス・ディキンソン)からプロポーズをされた。彼女からその報告を受けた育ての親マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)は、自らの過去を思い出し反対するが彼女は受けるという。しかも彼の両親と会うため、彼らのお城についてきてほしいとまで頼む。イングリス王妃(ミシェル・ファイファー)はじめマレフィセントを快く思わぬ空気に満ちたその居城へ、オーロラのためだけに向かう彼女だが……。

改心したとはいえ、いまだ世間の多くはマレフィセントを恐れ、信用していない。そこで彼女に勝るとも劣らぬ悪女な王妃は一計を案じ、オーロラとマレフィセントの絆を引き裂く策略を巡らせる。

65点
≪くしくも現代日本そのものというべき、歴史の転換点≫

私を含め、50歳以下くらいの人は知らないと思うが、1976年に起きたエンテベ空港奇襲作戦といわれるハイジャック犯殲滅作戦は世界中に大きな衝撃と恐怖を与えた。なにしろ事件1年以内にハリウッドスターの大競演映画が作られるなど、3回も映画化されたほどなのだ。

それどころか、イスラエル軍によるあざやかな対テロ作戦は、その後の各国の対テロ政策やハイジャック対策のお手本にもなった。世界史的にも大きな影響を与えた事件であった。

とはいえ、40年以上も前の事件をなんで今更また映画にするのか。そんな疑問を持つのも当然だ。

65点
≪親が中学生以上に見せたい一本≫

「指輪物語」や「ホビットの冒険」を書いた原作者J・R・R・トールキンは第一次大戦を体験した世代である。あれほどの作品を生み出したイマジネーションはどこからきたのか。その答えの一部は明らかにこの戦争体験にある。『トールキン 旅のはじまり』は、知られざる名作誕生の舞台裏を、心地よい感動と、切なさとともに描いた伝記映画だ。

英国の田舎で田園風景を好んで育ったトールキン(ニコラス・ホルト)は12歳で親を亡くして以来、母の友人のモーガン神父を後見人として生きていくことになった。彼は、キング・エドワード校で3人の得難い友人と出会い、やがて芸術的才能を開花させてゆく。

のちに親友となるジェフリー・スミスたちとの出会いのシーンが素晴らしい。よくあるトラブルから、本来ならそれっきりになりそうなところ、3人は大人でさえ惚れ惚れするような立派な対応でトールキンに声をかける。このシーンのあまりの心地よさに、それだけでもう一度本作を見たくなるほどだ。

65点
≪カルト的要素たっぷり≫

大ヒット中『ボヘミアン・ラプソディ』(18年)のクライマックスには、「ライブエイド」の場面がある。86年に実際に米英で開催された大規模チャリティコンサートだが、実はこのあとに、ライブエイドの感動よ再びということでアメリカで行われた奇妙な慈善活動があった。「Hands Across America」といって、650万人が参加したイベントなのだが、その内容は、みんなで手をつないで全米横断しようという感動的な企画であった。

ところが少年時代のジョーダン・ピール監督は、活動停止した街で実際に住民みんなが無言で手をつないでいる様子をいきなり目の当たりにして、いいようのない恐怖を感じたという。やがて大人になって、このときのトラウマをもとに作ったのがこの『アス』だ。

とあるアッパーミドル一家の父ゲイブ(ウィンストン・デューク)は、妻アデレード(ルピタ・ニョンゴ)や娘、息子とカリフォルニア州サンタクルーズの別荘にやってきた。友人一家とビーチで過ごした夜、彼らの別荘に停電が起きる。そこでふと外を見ると、敷地の中に彼らと同じ家族構成の黒人一家4人が、手をつないでこちらを見ているのだった。

65点
≪オスロ監督の世界観の集大成≫

フランスのベテランアニメ監督ミッシェル・オスロは、独特の絵柄と教訓的なストーリーのアニメ作品で高く評価されている。本作でも日本初登場『キリクと魔女』(98年)以来、はずれのない監督として紹介してきたが、最新作『ディリリとパリの時間旅行』の出来ははたしてどうか。

ニューカレドニアからパリにやってきたハーフの少女ディリリ。科学と芸術が花開いたベル・エポック時代のパリには、彼女に刺激を与えてくれる才能が街にあふれていた。知り合った配達人のオレルの自転車の前かごにのって街じゅうを回るディリリは、そうした人々と交流しつつ、ちまたで話題の少女誘拐事件の謎を追うのだった。

監督らが4年間ロケハンをして撮りためた写真をもとにした背景に、「女性がロングドレスを着た最後の時代」を呼ばれる当時の服飾文化を再現したキャラクターが跋扈する、非常に芸術性の高いアニメーション。切り絵調とでもいうべき素朴な動きともよくマッチした、いつものオスロ節が味わえる。

65点
≪革新性は文句なし100点≫

ジョン・ファヴロー監督は、『ジャングル・ブック』の撮影中、あることを思いついたという。それは、今この目の前にある技術を使って『ライオン・キング』をリメイクできないかというアイデアだ。

『ジャングル・ブック』は、主人公の少年モーグリ以外は全部CGという、アニメなんだか実写なんだかよくわからない(つまり、とんでもなく高度な技術による)作品だったが、なるほどあの映画からモーグリを抜けば、そのまま『ライオン・キング』になるというわけだ。

サバンナのプライドランドに暮らすライオンの子シンバは、偉大なる王にして父ムファサが自分のせいで倒れたと思い込む。それは父の弟スカーによる策略だったのだが、シンバはプライドランドを追われてしまう。やがてイボイノシシのプンバァやミーアキャットのティモンと知り合ったシンバは、争いとは無縁な暮らしの中で成長を遂げる。だが、王となる宿命は彼に大きな試練を与えるのであった。

65点
異色のボクシング映画

実話の映画化である「ビニー/信じる男」は、数あるボクシング映画の中でも怪我による挫折をテーマにした作品。スポーツ映画としては特殊だが、その特殊性が世の中の病や怪我に苦しむすべての人にとっては普遍性となっている。

血気盛んなボクサーのビニー・パジェンサ(マイルズ・テラー)は、十分すぎる闘志が空回りして引退目前まで落ちぶれていた。新たに雇ったトレーナーのケビン(アーロン・エッカート)はそんな彼を鍛えなおし、ビニーは見事に復活を遂げる。だがその直後、彼は交通事故に遭遇、頚椎骨折の重傷を負ってしまう。

ボクサーにとってメジャーだが致命的な怪我といえば網膜剥離だが、ビニーの頚椎骨折というのはそれ以上の衝撃である。ボクシングどころではない、二度と歩けないといわれてしまうほどの重傷。よくぞ生きていたと思うような重大事故である。

65点
さすが、ひねっているが

製作中の「トイ・ストーリー4」にしろこの「カーズ/クロスロード」(シリーズ3作目)にしろ、そんなに皆続きを求めているものかね……という気がしないでもない。私などには、かのピクサーも続編依存症に陥っているかのように見えるわけだが、じっさい「カーズ/クロスロード」のパッとしない出来を見ると、尚更その思いを強くする。

ライトニング・マックィーンは、徐々に勝てなくなっていた。ハイテクを駆使した最新型レーサーたちの台頭に追いつくのは簡単ではなかった。焦る彼は激しいクラッシュ事故を起こしてしまう。果たしてマックィーンは復帰できるのか、それとも引退を決意するのか……。

かつては最新鋭の若いレーサーマシンだったライトニング・マックィーンも、あっという間に陳腐化していまやロートル扱い。それこそ新型の車にはまったくかなわないわけである。

65点
情熱がこもっている

俳優が映画監督業に乗り出すケースは決して珍しくない。だが水谷豊ほどのベテランが初めて監督するとなると特別な興味を掻き立てる。そこには何かよほどの動機があると思われるからである。

かつて天才と称された元タップダンサーの渡真二郎(水谷豊)は、30年前の事故で足の自由を失い、いまだ酒浸りの日々を過ごしている。そんな彼のもとに、劇場を閉めることを決めた支配人の毛利(岸部一徳)がやってくる。人生をかけてタップを愛した者として、最後のショウを決めて終幕としたいと語る毛利は、その振付と監督を渡に託すのだった。

「TAP THE LAST SHOW」は冒頭に書いた期待通り、作り手の、この場合は水谷豊だがその伝えたいもの、大好きなものがつまった好感度の高い作品であった。

65点
主に米国民と被害関係者むけ

アメリカで重大事件が発生すると、さほど間を置かずに映画化されることが珍しくない。先日もUSエアウェイズの不時着事件を映画化したクリント・イーストウッド監督の「ハドソン川の奇跡」が公開され好評を得たばかり。あれもまだ10年もたっていない。

2013年4月15日、ボストンマラソンの開催中、コースわきで爆発が起きた。混乱と悲鳴の中、ボストン警察のトミー(マーク・ウォールバーグ)は必死に事態の収拾にあたる。現場にはほどなくFBI捜査官リック(ケヴィン・ベーコン)もやってくる。トミーは現場を最もよく知るものとして、リックのもとで、ときに彼らと衝突しながらも犯人捜査に尽力する。

USエアウェイズは09年だが今度は13年。ボストンマラソン爆弾テロ事件の映画化である。発生はまだほんの数年前。被害者たちが一体どんな気持ちでこれを見るのかと心配になるが、「パトリオット・デイ」は幸い、単なる下世話な興味で作られた映画ではなかった。

65点
子供お断りの完結編

「X-MEN」シリーズを支えてきた主人公ウルヴァリンにとっての完結編「LOGAN/ローガン」について、ジェームズ・マンゴールド監督は当初からR指定を条件にスタジオ側と交渉していたという。一方演じるヒュー・ジャックマンも自身のギャラを減らしてまで、その点にこだわった。この二人にとって、子供の観客を切り捨てないと描けないことが、どうしてもあったということである。

ミュータントが滅びつつある近未来。ローガン(ヒュー・ジャックマン)の治癒能力はほぼ失われ、チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)ももはや能力の制御が困難となっていた。かつての仲間たちもすでになく、チャールズは最後の願いとして幼い少女ローラ(ダフネ・キーン)を守り切れとローガンに託す。

この少女に隠された謎、チャールズの思いとは何なのか。戦闘力のほとんどを失ったローガン、ウルヴァリンは彼らを守りきることができるのか。正真正銘、最後の一本である。

65点
ポール・ウォーカーは去ったが……

ポールウォーカーが撮影途中で事故死したため様々な工夫でなんとか完成させた前作「ワイルド・スピード SKY MISSION」。あれから2年、続編となる本作は、徹頭徹尾ポールへの愛情が感じられる好編となった。

遠く離れた地で暮らすドミニク(ヴィン・ディーゼル)のもとに、ある任務の協力要請が入る。ホブス(ドウェイン・ジョンソン)や仲間たちが集められ、無事任務遂行と思いきや、ファミリーは信じられないものを見ることになる。

主演クラスのキャストを途中で失ったトラウマを払拭するがごとく、ファミリーの絆を強調する第8作である。昨日の敵は今日の友な週刊少年ジャンプ展開も繰り返し、いまや自動車版アベンジャーズといった様相を呈してきた。

65点
しっかりとした映画

長い間、岡田准一の主演映画をいくつも見てきたが、そのたび思うのはこの人の映画は内容の良し悪しに関わらず客を満足させるものがある、ということだ。これはおそらく、まだ映画スターと言うものが存在した時代に、人々が抱いた感情に近いのではないか。

富山県の漁港で殺人事件が起きた。被害者の川端悟(柄本佑)は、刑事の四方篤(岡田准一)の旧友、しかも容疑者の田所啓太(小栗旬)を加えた3人は、幼いころある秘密を共有した特別な関係であった。篤は過去のつらいしがらみを引きずりつつ、自分の半生と事件に向き合うことを余儀なくされる。

「追憶」はミステリドラマだが、ミステリとして特段優れているわけではない。ダメというわけではないが、ストーリーだけなら平均より多少良くできている、といったところだ。世の中には、お話だけならこれ以上のものはゴロゴロしている。幼馴染が成長して、容疑者と警官として再会する設定とか、子供時代に忘れられないトラウマを受けたとか、真新しさは皆無であろう。

65点
初期作のファンへ

スプリットは「シックス・センス」や「アンブレイカブル」といったM・ナイト・シャマラン監督の初期作に夢中になった人こそが一番楽しめる、原点回帰のスリラーである。

女子高生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)は同級生のクレア、マルシアとともにパーティーから車で帰る途中、男(ジェームズ・マカヴォイ)に拉致される。そして目覚めるとそこは密室だった。

監督初期作のファンこそが一番楽しめると書いたものの、それ以外の人も十分行ける。

65点
トランプもヒラリーも一網打尽

一年に一晩、12時間だけどんな犯罪も合法になる。そんな「パージ法」が施行された米国を舞台にしたスリラーシリーズの第3弾。

このシリーズは一見突飛な設定でありながら、現実のアメリカが抱える問題を浮き彫りにする社会派な作風で、私としても高く評価している。とくにこの「パージ:大統領令」は、シリーズ中もっとも色濃くそうしたテーマ性を感じさせる面白い一本である。

犯罪抑制のためとうたわれたパージ法の欺瞞がばれ始めていた。中でもかつて家族がこの法律による殺戮の犠牲となったローン上院議員(エリザベス・ミッチェル)はパージ廃止の急先鋒。次期大統領候補の彼女のもとには志を同じくする人々が結集しつつあった。だがそれを快く思わぬ政権側は、議員もパージの対象に含まれるようパージ法を改正し、2日後のパージの夜にローン暗殺を謀る計画を立てていた。

65点
特盛高品質アニメーション

アニメーションの魅力は多々あれど、実写以上に目立つのが背景美術であろう。群を抜いたクオリティの背景があったから、ジブリも新海誠も、そして本作の神山健治監督の作品も根強い支持者がいる。

2020年、東京五輪直前の倉敷。女子高生のココネ(声:高畑充希)は自動車修理業を営む不愛想な、だけどカッコいい父親(声:江口洋介)と二人暮らし。同じ家にいても会話はスマホのアプリ越しだったが、それなりに調和のとれた、仲のいい父娘だった。ところがあるとき父が警察に逮捕されてしまう。ココネはそのとき、自分が最近昼寝中に繰り返し見ている夢が、この状況を打開する大きなヒントになっていることに気付くのだった。

神山健治監督は背景美術出身のアニメ監督である。過去には「攻殻機動隊」のテレビシリーズや「東のエデン」といった作品で、熱狂的なファンを増やしてきた。

65点
アメリカのふりみてわがふり直せ

「マン・ダウン 戦士の約束」は優れた映画だが、プロによるものも含めて配慮に欠けるネタバレ紹介記事がネット上に溢れているという惨状である。そのため例によって、読者至上主義の当サイトの記事だけ読んで早めにお出かけあれ、とのアドバイスを真っ先に書かざるを得ない。まったく、どうしてああいう書き方しかできないのか……。

若き海兵隊員ガブリエル・ドラマー(シャイア・ラブーフ)は、愛する妻と息子を残し、アフガンの戦場へと赴任する。過酷な戦場生活にもなんとか耐えガブリエルは帰国するが、アメリカの街は変わり果て、妻と息子も行方不明になっていた。彼は親友で戦友のデビン(ジェイ・コートニー)と共に探しに行くが……。

異色の終末ものとでもいうべきか、まるでターミネーターの世界のような街を、屈強な海兵隊員二人が完全武装で歩き回る。戦闘経験は豊富、修羅場も慣れている。だが原因不明の事態を前に、彼らはほとんど無力だ。はたして二人は元の人生を取り戻すことができるのか。

65点
必死に生きる人々に勇気を与える力がある

「金メダル男」は、監督のウッチャンナンチャン・内村光良の思いがどストレートに伝わってくる点において、強く心に残る映画である。

東京五輪を前にした1964年に誕生した秋田泉一(内村光良)の平凡な少年時代が一変したのは、小学校の運動会で一等賞を取った時だった。そのあまりの快感に酔いしれた彼は、その後、書道や絵画、火起こし大会など何から何まで手を出し、一等賞を取ることにまい進するようになった。やがて成長した彼がどんな人生を歩んだかというと……。

独りよがりな芸術とやらを追求する自己陶酔的な映画を作ることが少なくない異業種監督のなか、内村光良監督の映画は伝えたい思いが常に最初に強くあり、そしてそれが伝わってくる点で大変好感が持てる。

65点
原作読者には十分な満足度

ジョジョ第四部が実写化される事で話題だが、ああいう長大な原作を実写化する場合、常に物語の最初から映画にするわけにもいかない。上映時間には限りがあるから、それでは最近の読者が喜ぶ「最新部分」に到着するまで何本も必要になるし、それを待ってくれるほど観客の我慢も邦画の予算もありゃしない。結果、なるべくコンパクトで一見さんでも引き込める部分をパイロット的に映画化することになる。ジョジョで言えばそれが第4部であり、ガンツの場合はこの大阪編ということになる。

高校生の加藤勝(声:小野大輔)は、地下鉄駅で人助けをしようとして事故死する。ところが死んだはずの彼はなぜかマンションの一室に転送され、事態を把握するまもなくアイドルのレイカ(声:早見沙織)らと大阪の街へと再び転送される。

大阪編はコンパクトだし人気もあるしで、原作ファンにはとっつきやすい3D-CGアニメにしたのだろうが、こうしてみると、大阪編の面白さは決して単独ではなく、やはりそこまでの熱いドラマの積み上げがあったからこそ、ということが改めてわかる。

65点
桃井かおりの独壇場

もともと俳優とは監督であれ観客であれ、他人の望むものを提供する仕事である。多少の裁量は許されても、好き勝手なことをすることは許されない。そんな中、プロ意識の高い桃井かおりが、監督としてはこれほど自由奔放な、前衛的な作品を打ち出してくることについて、私は非常に興味深いと感じている。

ある娼婦(桃井かおり)が、けだるそうに自分語りを続けている。場所はアメリカのクリニック。話を聞いている精神科医は、無表情で反応すらしない。だがそんなことを気にするそぶりもなく、彼女は生い立ちを語り続ける。かつて自分の火遊びのせいで両親が焼け死んだこと、いや、そもそも遊びではなかったのかもしれない。あやふやな彼女の言葉はあちこち飛び移り、やがておぞましき人生が明らかになってゆく。

桃井かおり監督2作目となる本作は、ほとんど彼女の一人芝居といってもいい、独白シーンがほとんどを占める奇妙なドラマ。会話だけで綴られた中村文則の短編小説「火」の映画化ということもあってか、きわめて独創的な作風となっている。クリニックの場面はロサンゼルスの桃井の自宅を用いて10日間で撮影されたそうだが、心なしかリラックスした雰囲気が感じられる。

65点
スター俳優を使うデメリット

「レヴェナント:蘇えりし者」は、レオナルド・ディカプリオが5度目のノミネートで悲願の主演男優賞を受賞した歴史ドラマである。

米西部の原野でヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)はクマに襲われ重傷を負う。しかも仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされる。復讐を誓った彼は怒りの力で奇跡的に息を吹き返し、壮絶な追跡戦を開始する。

上記あらすじあたりまでは実話だが、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督はそこに最愛の息子を殺害されるという濃厚な味付けを加え、より主人公の旅路を過酷かつ印象深いものとした。

65点
寄付と貧困の関係に迫る

本作は、日本語の副題になんだか惹かれるユニークなドキュメンタリー映画である。描かれるのはタイトルから想像する通り、途上国への寄付や援助がいかにその国をダメにしているか。人々の善意とは裏腹の結果をもたらしているか、実例と実名をふんだんにとりあげ、批判する内容となっている。

マイケル・マシスン・ミラー監督はこの問題の研究家であり活動家でもある。20カ国、総計200回以上の取材とインタビューは、こういう当事者でないとなかなか実現できない。一方的な見方であることは承知のうえ、それでも多くの気付きを与えてくれる教養になる一本といえる。

映画は専門知識のある人たちへのインタビューで構成される、いささか地味かつベーシックなつくりだが、本作ならではの特徴もある。それは、一時的に滞在して取材したジャーナリストなどではなく、年単位で現地に滞在して問題解決にあたっている人とか現地民といった「当事者」への取材が基本である、ということだ。当然ながら問題理解の深さも正確さも、取材相手としてはこのほうがベターであろう。立ち位置と、収入減がはっきりしている人の意見は参考になる。逆にその二つがあいまいな人間の話は、聞くだけ時間の無駄だ。

65点
子供以外全部CG

「ジャングル・ブック」は、かつてディズニーアニメにもなったラドヤード・キプリングの古典を、先鋭的な技術で実写化したいかにもディズニーらしい映画作品である。

人間の子供モーグリ(ニール・セティ)は、ジャングルで黒ヒョウのバギーラに拾われオオカミのラクシャによって育てられた。だが彼は、人間を災いの元と忌み嫌うトラのシア・カーンによって、ジャングルを去る決断を迫られる。

映画は人間の村を目指してバギーラと旅に出たモーグリの冒険と成長、そして追うシア・カーンとの戦いをアクションたっぷりで見せる娯楽作品である。モーグリ以外はすべてCGという、きわめて前衛的な形で実写化された。

65点
アメリカ映画トリビア集

「ハリウッドがひれ伏した銀行マン」は、映画ビジネスに興味がある50才くらいまでの人にはたまらない、アメリカ映画のトリビア満載ドキュメンタリーである。

ここで描かれるのは一人のオランダの銀行マン。フランズ・アフマンという名の彼は、90年代ごろまでのハリウッド映画を資金面から支えた業界の功労者である。

その作品たるや『ターミネーター』『プラトーン』『ランボー』などキラ星のようなラインナップ。彼が手がけた作品は独立系の製作会社によるもので、もし彼がいなかったらその多くはボツ企画となったか、さらに予算規模の小さい地味な作品になっていたかもしれない。

65点
強烈なる実名実録映画

「太陽の蓋」の試写会をみたある映画業界関係者はこういったそうだ。いつの間にこれだけの規模の、原発タブーに触れた映画を完成させていたんだ、と。

2011年3月11日、東日本大震災に伴う福島第一原発で深刻なメルトダウン事故が発生した。このままでは日本が壊滅する恐れまであった。官邸の菅直人(三田村邦彦)は枝野幹事長(菅原大吉)、内閣官房副長官・福山哲郎(神尾佑)らと、未曽有の危機対応に追われることになるが、肝心の電力会社や原子力委員会は、この期に及んでも隠蔽に走ったり、ひたすら狼狽する有様であった。

冒頭の関係者の気持ちはよくわかる。映画作りは多数の企業が関わるため、原発タブーは非常に強い。とくにメジャーな映画会社では、反原発のテーマは簡単には扱えない。まして福島原発事故の関係者を実名で登場させる劇映画など、危なすぎてまず企画が通るまい。

65点
重厚な日本映画だが

「64-ロクヨン」は横山秀夫のミステリ小説の映画化で、前後編あわせて4時間の、大作感ある重厚なドラマである。

平成14年12月。ロクヨンと呼ばれる昭和64年に起きた誘拐事件の時効があと1年と迫っていた。そんな折、管内で新たな誘拐事件が発生する。そしてその事件は、まるでロクヨンをなぞるかのような手口であった。警察広報室の三上(佐藤浩市)は記者クラブと報道協定を結ぶ必要に迫られるが、情報公開が進まぬ警察側とマスコミとの溝は深まるばかりだった。

5月7日に公開された前編に続き、6月11日から後編が公開となる。どちらかだけ見る人というのもいないだろうしもう両方公開しているので、ここはまとめて語った方が読者にも親切と判断する。よって本記事では、前編後編両方見た上での評価となる。

65点
富士の樹海と自殺を題材にした外国映画

名匠ガス・ヴァン・サントが、日本最大の自殺の名所を舞台に日本人の死生観を描く。なかなかユニークだが難しそうな企画である。しかし、渡辺謙が彼らに不足している日本についての知識を積極的に補うべくアドバイスをしてくれたため、「追憶の森」は日本人にとってこそオススメの人間ドラマとなることができた。

ある理由から人生を終わらせることを決意し、死に場所として富士の樹海を選んだアメリカ人男性アーサー(マシュー・マコノヒー)。ところが森の中で彼は、負傷して森から出たがっている日本人タクミ(渡辺謙)と出会う。タクミを救うべく森を歩き始めたアーサーだが、やがて二人はどちらともなく自分のことを語り始める。

森の中での会話劇がメインだが、さすがオスカー級ふたりの演技合戦は見応えがあり、かつ一流監督が作り上げる青木が原の物語は退屈知らず。実に面白い。渡辺謙が焚火のシーンで相手を思いやる表情などとくに素晴らしく、じつに胸を打つ。そもそもこの映画の脚本じたい、ブラックリスト(製作されていない優良脚本)のひとつだからハズレのはずがない。

65点
子供向きでもここまでやる

「フィフス・ウェイブ」は、日本では超大作アクション映画のように思われているが、実際は「トワイライト」あたりのメイン客、日本でいうライトノベルファンを対象にした子供向けアクション映画である。

アザーズと呼ばれる謎の地球外生命体の攻撃により、人類は滅亡寸前まで追いやられる。そんな中、軌跡手に生き残った高校生キャシー(クロエ・グレース・モレッツ)は、生き別れた弟を探すため銃を手にひとり戦い続けるのだった。

中高生向け終末映画ではあるが、だからといって子供だましでないところがアメリカ映画のすごいところである。

65点
突っ込みだらけだが押しきる役者力

タイムリープものには傑作が多い。それは脚本上の矛盾を何度もチェックし、それがブラッシュアップに繋がるのが要因だが、「僕だけがいない街」はそうした形跡がないにも関わらず、役者の力で面白い映画に仕上がった珍しい例である。

売れない漫画家で、宅配ピザ店でのバイト代で暮らしている藤沼悟(藤原竜也)は、バイクでの宅配中、またいつもの違和感を感じ取る。同じ時間を何度も繰り返す「リバイバル」と彼が呼ぶ現象は、たいていの場合、悟に何かの事件を知らせる働きを持っている。彼は「リバイバル」が知らせる誰かの命の危機を、はたして救うことができるのか。

のっけから引き込まれるし先が気になるし、日本映画としては抜群の面白さを誇る。今年これまでみた漫画の実写化の中では、かなりいい部類にはいる。

65点
韓国人大喝采

イ・ビョンホンとチョ・スンウ、崖っぷちとまでは言わないが下降ぎみだった二人の評価を再浮上させた韓国歴代ナンバーワンヒット映画「インサイダーズ/内部者たち」は、なるほどなかなか見ごたえのある社会派ドラマである。

大手自動車会社の会長(キム・ホンパ)は、与党の大統領候補チャン・ピル(イ・ギョンヨン)にカネを流し、政界への影響力を決定的にしようとたくらんでいた。黒幕として、その仲立ちをしていた大手新聞、祖国日報主幹のイ・ガンヒ(ペク・ユンシク)は、汚れ仕事を任せていたゴロツキのアン・サング(イ・ビョンホン)に裏金ファイルの回収を命じるが……。

R18指定作品史上、というくくりにしても史上一位というのはすごい。なによりこうした、決して女性向きではない男臭いドラマにこれだけ客が入るということが、女性&子供向け市場しか存在しない日本人としては羨ましい。

65点
よくできたレプリカのよう

徹底した秘密主義で内容も映像も見せず、プレス試写などを繰り返して周知徹底を図るパブリシティの王道に背を向けたディズニー版スター・ウォーズ新章。なるほど、知名度も期待度も映画界の最高峰たるスターウォーズにはこれ以上の褒め記事はいらない、むしろ批判記事や酷評さえ避ければ勝てるという判断か。確かにその戦略は圧倒的に正しい。とくに中身の出来栄えを見た今となっては余計にそう思う。

最後のジェダイ、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が姿を消した。その命を狙う帝国軍の残党ファースト・オーダー陣営と謎めいた指揮官カイロ・レン(アダム・ドライバー)は、血眼になってその行方を追っていた。一方、レイア・オーガナ(キャリー・フィッシャー)率いるレジスタンスたちも、切り札としてのルークを探し求めていた。そんな中、ついにルークの行先が書いてある地図が発見されるが……。

ストーリーはシンプルで、ボール型ドロイドに託されたこの地図を、善と悪の両陣営が奪い合うというもの。世界観は複雑だが筋書きはシンプル。これぞシリーズの伝統である。これによってこのシリーズは、子供も楽しめる間口の広さと、大人が趣味として入れ込める奥行きの深さを両立させている。

65点
スパイ映画の最後の大物

スパイ映画の当たり年といわれる2015年。その大トリとして登場する007シリーズ最新作は、シリーズへの重い入れが強い人とライトユーザーで大きく評価が変わる出来映えとなった。

ボンド(ダニエル・クレイグ)は生家スカイフォールで焼け残った写真を手掛かりに、メキシコ、そしてローマへと渡る。一方、所属組織MI6も組織改編の波にさらされ、消滅の危機に瀕していた。その状況の背後に忍び寄るのは、謎の犯罪組織スペクター。はたしてボンドの自分探しの旅の終着点には何が待ち受けているのだろうか。

本作のメディア上での批評はおおむね良いようである。その理由のひとつは、それらを書いているのが映画の専門家で、シリーズの基礎(以上の)知識を身に着けているから。つまり「007 スペクター」は、007フリークのような層には非常に評判がよい。

65点
ユニークなアクションと世界観

近接戦闘アクションに特化した「ジョン・ウィック」は、なるほど確かに新鮮だが、まだまだ改良の余地がありそうだ。

妻の思い出というべき愛犬を、マフィアの若僧に殺されたジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)。実はジョンは元凄腕の殺し屋であり、すでに足を洗っていたのだが、この暴挙により怒髪天を衝く勢いで怒りの復讐を開始する。

ガンフーと名付けられた柔術アクションは、室内などでゼロ距離といっていいほどに間合いを詰め、敵の銃撃を交わしつつとどめを刺していくユニークなもの。

65点
みんな騙される……けど

びっくり仰天な結末を楽しむ映画を、マインドファック・ムービーというらしい。ティーンエイジャーのカップルや、あるいは本作ならオタク仲間同士がお菓子でも食べながら鑑賞して、あとであれこれいいあって遊ぶ。そんな楽しみ方に適した映画といえるだろう。

警察に出頭してきた凄腕クラッカーのベンヤミン(トム・シリング)は、これまでハッカー集団「CLAY」と起こした悪行の数々を告白し始める。彼が言うにはトラブルから殺人事件に発展し、今は自分が狙われているという。はたしてその衝撃の犯行記録と真相とは?!

ソニー・ピクチャーズが被害にあっていろいろヤバい資料が流出したり、iCloudにヌードセルフィーをあげていたハリウッド女優たちが軒並みパスワードを抜かれたり。ハッカーとは古くて新しいテーマといえる。

65点
ぬるいラストでインパクトが不足したのが惜しい

東京にすんでいると、沖縄、まして最果てにある辺野古の新基地問題など、何の関心もない。そんな人が多数だろう。だが、この問題は沖縄ローカルな話題ではない。日本という国家のありかた、未来の選択がここに凝縮されているといっても過言ではない大問題である。

そして、この問題を長年現地の人々に寄り添い、追い続けてきたのが三上智恵監督。あらゆる映画人の中で、彼女ほどこの問題を深く語り、伝えられる人材はまずいないだろう。

「戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)」は、そんな三上監督渾身のドキュメンタリーである。この、何度読んでも発音しにくいタイトルが、われわれ本土の人間と沖縄の距離感そのものといった感じがする。

65点
映画でテロリストを洗脳

「信じれば夢は叶う」と本社の壁に飾ってあるかどうかは知らないが、「トゥモローランド」はそんなディズニーの社是、というべきポリシーを映画化したアドベンチャー作品。

1964年のニューヨーク万博。そこに自分の発明品を携えて向かった少年フランク(トーマス・ロビンソン)はあっけなく門前払いを食らう。だが彼の潜在能力を見抜いた謎の少女アテナ(ラフィー・キャシディ)は、極秘の超文明都市「トゥモローランド」への入り口でもあるウォルト・ディズニーが出展したパビリオン「イッツ・ア・スモール・ワールド」へフランクを誘うのだった。

実写版「シンデレラ」で、女の子向け社是作品は大好評をえているが、ちゃんと彼らは男児向けも用意していた。それがこれだ。

65点
社会問題SFふたたび

ニール・ブロムカンプ監督は「第9地区」など、社会問題を盛り込んだSFづくりの名手として知られるが「「チャッピー」もその流れにそった最新作。できばえも上々で、「エイリアン」の次回作に抜擢されたのも納得である。

舞台は2016年の南アフリカ、ヨハネスブルグ。治安悪化に対して当局が投入した人型警官ロボットの開発者ディオン(デヴ・パテル)は、長年の夢をついに実現させた。それは成長する人工知能AIを組み込んだロボットの開発。だがそれはストリートギャングに奪われ、チャッピーと名付けられ彼らによって育てられるハメになってしまう。

「チャッピー」の美点は、人間による善悪の判断などじつにあいまいであてにならないという真理を、観客自身に疑似体験させてしまう物語構造にある。

65点
現実を語る寓話

カンヌのコンペに6作連続で出品を果たしている、名実ともに世界最高の監督の一人ダルデンヌ兄弟。ドラマから不自然さを廃したその演出力は、なるほどこの非現実的な寓話をリアルに見せるに十分だが、今回はいきすぎて完成度を損ねている部分も見受けられる。

精神的な病で休職していたサンドラ(マリオン・コティヤール)は復帰早々、社長からクビを言い渡される。その撤回にはこの土日のうちに、従業員の半数がボーナスを返上すること。厳しい経営状況の中、そうしないと人件費が足りないというのだ。サンドラは夫の手を借り同僚の自宅を回って説得を開始するが……。

まず観客が感じるのは、こんな無茶なパワハラ的前提条件がありうるのだろうか、との疑問だろう。

65点
素の韓国が味わえる

韓国という国は対外的な宣伝活動に国家をあげて取り組んでいる。政府が映画業界に金をつぎ込んでいるのもその一環であるとされている。だから、素朴な韓流ファンがそうした映画作品やドラマを見てイメージする韓国と、実際のギャップがきわめて大きい。とくに、独特の差別問題などは、深く関わってみないと理解しにくい問題だ。

その点「私の少女」は、もともと外国向けにマーケティングされた商業作品ではないために、私たちの知らない、素の韓国が味わえる貴重な一品といえる。

ソウルから左遷されてきた派出所長ヨンナム(ぺ・ドゥナ)は、血のつながっていない義父と暮らす少女ドヒ(キム・セロン)が虐待されているのではと気づく。排他的な村社会独特のルールに苦労しつつ、なんとか彼女を救おうとするヨンナムだが、彼女は意外な方向から迫害を受けることになるのだった。

65点
難民から学ぶ逆転の構造

世の中には難民を第三国に移住させる制度というのがあって、日本でもここ数年で86人のミャンマー難民が移り住んでいるという。

この程度の規模では国民の誰もがそんな制度のことを知らないのは当然だが、かつて米国は3600人ものスーダン難民を移住させたことがある。その史実をヒントに作られたのが「グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜」だ。

マメール(アーノルド・オーチェン)ら3人は、内戦からの壮絶な脱出行と難民収容所での過酷な暮らしを経てアメリカ、カンザスシティにやってきた。彼らの職探しは、職業紹介所の職員キャリー(リース・ウィザースプーン)が担当となるが、彼らは電話の使い方すら知らない。価値観から生活様式まで、あまりにもギャップがある彼らは、はたして米国での暮らしになじめるのだろうか。

65点
時間移動ミステリ

時を超える式のSFというと「バタフライ・エフェクト」(04年)、「オーロラの彼方へ」(00年)など傑作が多い。打率の高さはあらゆるジャンルの中でも相当高い方だろう。まて原作が「宇宙の戦士」「夏への扉」のロバート・A・ハインラインとくれば、いやがうえにも期待が高まる。

70年のニューヨーク。青年ジョン(セーラ・スヌーク)はバーテンダー(イーサン・ホーク)に自らの数奇な半生を語る。するとバーテンは彼の運命を変えた人間への復讐をしないかなどと提案する。バーテンは、未来からある目的でやって来たエージェントだったのだ。

結論からいうと「プリデスティネーション」は、頑張ったのはよくわかるがまだまだ、といったところ。

65点
陸上短距離エンタテイメント、にとどまらない

「ミルカ」は珍しい陸上短距離映画であると同時にインド映画界で高く評価された伝記映画──にして、きわめてタイムリーなテーマも内包する興味深い作品である。

1960年、ローマオリンピック。インド国民の期待を背負ったスプリンター、ミルカ(ファルハーン・アクタル)は、しかしゴール直前に奇妙な狼狽を見せ敗北する。はたしてミルカは何を見たのか、その謎は彼の壮絶な過去にあった……。

宣伝文句にある、ファルハーン・アクタルの体脂肪率5パーセントの肉体はどうやらサバ読みなしのようで、ほれぼれするキレっぷりである。高地トレーニングの場面なども、実際に数千メートルの高地に行って撮影したという。そのうち死人が出るぞインド映画界。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  11. 11
  12. 12
  13. 13
  14. 14
  15. 15
  16. 16
  17. 17
  18. 18
  19. 19
  20. 20
  21. 21
  22. 22
  23. 23
  24. 24
  25. 25
  26. 26
  27. 27
  28. 28
  29. 29
  30. 30
  31. 31
  32. 32
  33. 33
  34. 34
  35. 35
  36. 36
  37. 37
  38. 38
  39. 39
  40. 40
  41. 41
  42. 42
  43. 43
  44. 44
  45. 45