「前田有一の超映画批評」をランキング形式で紹介するサイトです。 週末の映画選びなどにご利用ください。

2121件中 751~800件 を表示しています。
70点
強烈な個性とセンスのいい「テキトーさ」がいい

ヒップホップ界のスター、ラッパ我リヤが主演した近未来スポーツ・アクション映画。

まあ見るからに低予算で、そのクォリティはビデオ映画並。だが、決してつまらない映画ではない。そこが実に意外だった。(失礼)

まず、ふんだんに使っているCGが面白い。嘘っぽいのをわかった上で、確信犯的に楽しく使っている。こういうのは非常に好感が持てる。

70点
ディズニーランドのアトラクションそのもの、サントラが最高

ディズニーランドの同名アトラクションの映画化。カリブの海賊やホーンテッド・マンションなど、映画化を予定されているディズニーランドのアトラクションは数多い。ハリウッド映画界のちょっとしたブームといえよう。

クマさんたちが、アメリカ中を旅しながらカントリー・ミュージックを演奏する、ほのぼのしたミュージカルである。家族愛や友情といった定番のテーマを描き、最後にはほろっとさせるという、いかにもハリウッド的な、王道の一本である。

サントラがとにかくいい。私は、あまりにこの映画の楽曲が気に入ったので、いまだにCDを何度も聞いている。

70点
邦画で1番面白いんじゃないか?

笑いすぎ。笑い疲れる。88分と短いが、あと15分短くしてくれ! といいたくなる。

というのも今回のクレヨンしんちゃんは、ギャグに徹した作りになっているのだ。水島監督は、今まで主に劇場版の予告編や、ギャグシーンのコンテを描いていた人で、いわばクレしんギャグのスペシャリスト。彼の繰り出すギャグは当然の事、爆笑保証付きなのだ。

ところでマスコミ試写というのは、普通オジサンたちを中心に、どう考えてもこういう映画をみるはずのない客層がやってくる。

70点
ガチンコの歌と踊りが見所だ

アカデミー6部門を受賞した超話題作。でも実は、1度も全米興行チャート1位になってないという、不思議な作品。有名なブロードウェイ・ミュージカルの映画化である。

見所は、やはりきらびやかなミュージカルシーン。でも、案外ドラマ部分も面白い。

従来のミュージカル映画と違うのは、突然何の脈絡も無く踊り出すという、あの独特の「御約束」的な演出が無い事。ダンスシーンは、基本的に主人公の妄想という設定になっている。

70点
新感覚のガン・アクションが素晴らしい

映画業界のかきいれ時であるゴールデン・ウィークをあえて外し、その直前に公開するSF映画という事で、当初はあまり期待せずに観にいった作品。

ところがどっこい、面白い映画というのは、えてしてそういう時に出会うものである。『リベリオン』は、新しい映像を観たい人には、是非お勧めしたい一本だ。

この監督は、長年自分の頭のなかで、オリジナルのSF世界を作り上げてきており、今回ようやくそれを映画化することになったのだという。つまり、企画最初にありきで、設定その他は後から適当に作り上げたというお手軽SFではない。一応、監督が子供時代から考え(別名:妄想)ていた、かなり奥行きのある世界観を持っているのである。

65点
トランプもヒラリーも一網打尽

一年に一晩、12時間だけどんな犯罪も合法になる。そんな「パージ法」が施行された米国を舞台にしたスリラーシリーズの第3弾。

このシリーズは一見突飛な設定でありながら、現実のアメリカが抱える問題を浮き彫りにする社会派な作風で、私としても高く評価している。とくにこの「パージ:大統領令」は、シリーズ中もっとも色濃くそうしたテーマ性を感じさせる面白い一本である。

犯罪抑制のためとうたわれたパージ法の欺瞞がばれ始めていた。中でもかつて家族がこの法律による殺戮の犠牲となったローン上院議員(エリザベス・ミッチェル)はパージ廃止の急先鋒。次期大統領候補の彼女のもとには志を同じくする人々が結集しつつあった。だがそれを快く思わぬ政権側は、議員もパージの対象に含まれるようパージ法を改正し、2日後のパージの夜にローン暗殺を謀る計画を立てていた。

65点
特盛高品質アニメーション

アニメーションの魅力は多々あれど、実写以上に目立つのが背景美術であろう。群を抜いたクオリティの背景があったから、ジブリも新海誠も、そして本作の神山健治監督の作品も根強い支持者がいる。

2020年、東京五輪直前の倉敷。女子高生のココネ(声:高畑充希)は自動車修理業を営む不愛想な、だけどカッコいい父親(声:江口洋介)と二人暮らし。同じ家にいても会話はスマホのアプリ越しだったが、それなりに調和のとれた、仲のいい父娘だった。ところがあるとき父が警察に逮捕されてしまう。ココネはそのとき、自分が最近昼寝中に繰り返し見ている夢が、この状況を打開する大きなヒントになっていることに気付くのだった。

神山健治監督は背景美術出身のアニメ監督である。過去には「攻殻機動隊」のテレビシリーズや「東のエデン」といった作品で、熱狂的なファンを増やしてきた。

65点
アメリカのふりみてわがふり直せ

「マン・ダウン 戦士の約束」は優れた映画だが、プロによるものも含めて配慮に欠けるネタバレ紹介記事がネット上に溢れているという惨状である。そのため例によって、読者至上主義の当サイトの記事だけ読んで早めにお出かけあれ、とのアドバイスを真っ先に書かざるを得ない。まったく、どうしてああいう書き方しかできないのか……。

若き海兵隊員ガブリエル・ドラマー(シャイア・ラブーフ)は、愛する妻と息子を残し、アフガンの戦場へと赴任する。過酷な戦場生活にもなんとか耐えガブリエルは帰国するが、アメリカの街は変わり果て、妻と息子も行方不明になっていた。彼は親友で戦友のデビン(ジェイ・コートニー)と共に探しに行くが……。

異色の終末ものとでもいうべきか、まるでターミネーターの世界のような街を、屈強な海兵隊員二人が完全武装で歩き回る。戦闘経験は豊富、修羅場も慣れている。だが原因不明の事態を前に、彼らはほとんど無力だ。はたして二人は元の人生を取り戻すことができるのか。

65点
必死に生きる人々に勇気を与える力がある

「金メダル男」は、監督のウッチャンナンチャン・内村光良の思いがどストレートに伝わってくる点において、強く心に残る映画である。

東京五輪を前にした1964年に誕生した秋田泉一(内村光良)の平凡な少年時代が一変したのは、小学校の運動会で一等賞を取った時だった。そのあまりの快感に酔いしれた彼は、その後、書道や絵画、火起こし大会など何から何まで手を出し、一等賞を取ることにまい進するようになった。やがて成長した彼がどんな人生を歩んだかというと……。

独りよがりな芸術とやらを追求する自己陶酔的な映画を作ることが少なくない異業種監督のなか、内村光良監督の映画は伝えたい思いが常に最初に強くあり、そしてそれが伝わってくる点で大変好感が持てる。

65点
原作読者には十分な満足度

ジョジョ第四部が実写化される事で話題だが、ああいう長大な原作を実写化する場合、常に物語の最初から映画にするわけにもいかない。上映時間には限りがあるから、それでは最近の読者が喜ぶ「最新部分」に到着するまで何本も必要になるし、それを待ってくれるほど観客の我慢も邦画の予算もありゃしない。結果、なるべくコンパクトで一見さんでも引き込める部分をパイロット的に映画化することになる。ジョジョで言えばそれが第4部であり、ガンツの場合はこの大阪編ということになる。

高校生の加藤勝(声:小野大輔)は、地下鉄駅で人助けをしようとして事故死する。ところが死んだはずの彼はなぜかマンションの一室に転送され、事態を把握するまもなくアイドルのレイカ(声:早見沙織)らと大阪の街へと再び転送される。

大阪編はコンパクトだし人気もあるしで、原作ファンにはとっつきやすい3D-CGアニメにしたのだろうが、こうしてみると、大阪編の面白さは決して単独ではなく、やはりそこまでの熱いドラマの積み上げがあったからこそ、ということが改めてわかる。

65点
桃井かおりの独壇場

もともと俳優とは監督であれ観客であれ、他人の望むものを提供する仕事である。多少の裁量は許されても、好き勝手なことをすることは許されない。そんな中、プロ意識の高い桃井かおりが、監督としてはこれほど自由奔放な、前衛的な作品を打ち出してくることについて、私は非常に興味深いと感じている。

ある娼婦(桃井かおり)が、けだるそうに自分語りを続けている。場所はアメリカのクリニック。話を聞いている精神科医は、無表情で反応すらしない。だがそんなことを気にするそぶりもなく、彼女は生い立ちを語り続ける。かつて自分の火遊びのせいで両親が焼け死んだこと、いや、そもそも遊びではなかったのかもしれない。あやふやな彼女の言葉はあちこち飛び移り、やがておぞましき人生が明らかになってゆく。

桃井かおり監督2作目となる本作は、ほとんど彼女の一人芝居といってもいい、独白シーンがほとんどを占める奇妙なドラマ。会話だけで綴られた中村文則の短編小説「火」の映画化ということもあってか、きわめて独創的な作風となっている。クリニックの場面はロサンゼルスの桃井の自宅を用いて10日間で撮影されたそうだが、心なしかリラックスした雰囲気が感じられる。

65点
スター俳優を使うデメリット

「レヴェナント:蘇えりし者」は、レオナルド・ディカプリオが5度目のノミネートで悲願の主演男優賞を受賞した歴史ドラマである。

米西部の原野でヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)はクマに襲われ重傷を負う。しかも仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされる。復讐を誓った彼は怒りの力で奇跡的に息を吹き返し、壮絶な追跡戦を開始する。

上記あらすじあたりまでは実話だが、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督はそこに最愛の息子を殺害されるという濃厚な味付けを加え、より主人公の旅路を過酷かつ印象深いものとした。

65点
寄付と貧困の関係に迫る

本作は、日本語の副題になんだか惹かれるユニークなドキュメンタリー映画である。描かれるのはタイトルから想像する通り、途上国への寄付や援助がいかにその国をダメにしているか。人々の善意とは裏腹の結果をもたらしているか、実例と実名をふんだんにとりあげ、批判する内容となっている。

マイケル・マシスン・ミラー監督はこの問題の研究家であり活動家でもある。20カ国、総計200回以上の取材とインタビューは、こういう当事者でないとなかなか実現できない。一方的な見方であることは承知のうえ、それでも多くの気付きを与えてくれる教養になる一本といえる。

映画は専門知識のある人たちへのインタビューで構成される、いささか地味かつベーシックなつくりだが、本作ならではの特徴もある。それは、一時的に滞在して取材したジャーナリストなどではなく、年単位で現地に滞在して問題解決にあたっている人とか現地民といった「当事者」への取材が基本である、ということだ。当然ながら問題理解の深さも正確さも、取材相手としてはこのほうがベターであろう。立ち位置と、収入減がはっきりしている人の意見は参考になる。逆にその二つがあいまいな人間の話は、聞くだけ時間の無駄だ。

65点
子供以外全部CG

「ジャングル・ブック」は、かつてディズニーアニメにもなったラドヤード・キプリングの古典を、先鋭的な技術で実写化したいかにもディズニーらしい映画作品である。

人間の子供モーグリ(ニール・セティ)は、ジャングルで黒ヒョウのバギーラに拾われオオカミのラクシャによって育てられた。だが彼は、人間を災いの元と忌み嫌うトラのシア・カーンによって、ジャングルを去る決断を迫られる。

映画は人間の村を目指してバギーラと旅に出たモーグリの冒険と成長、そして追うシア・カーンとの戦いをアクションたっぷりで見せる娯楽作品である。モーグリ以外はすべてCGという、きわめて前衛的な形で実写化された。

65点
アメリカ映画トリビア集

「ハリウッドがひれ伏した銀行マン」は、映画ビジネスに興味がある50才くらいまでの人にはたまらない、アメリカ映画のトリビア満載ドキュメンタリーである。

ここで描かれるのは一人のオランダの銀行マン。フランズ・アフマンという名の彼は、90年代ごろまでのハリウッド映画を資金面から支えた業界の功労者である。

その作品たるや『ターミネーター』『プラトーン』『ランボー』などキラ星のようなラインナップ。彼が手がけた作品は独立系の製作会社によるもので、もし彼がいなかったらその多くはボツ企画となったか、さらに予算規模の小さい地味な作品になっていたかもしれない。

65点
強烈なる実名実録映画

「太陽の蓋」の試写会をみたある映画業界関係者はこういったそうだ。いつの間にこれだけの規模の、原発タブーに触れた映画を完成させていたんだ、と。

2011年3月11日、東日本大震災に伴う福島第一原発で深刻なメルトダウン事故が発生した。このままでは日本が壊滅する恐れまであった。官邸の菅直人(三田村邦彦)は枝野幹事長(菅原大吉)、内閣官房副長官・福山哲郎(神尾佑)らと、未曽有の危機対応に追われることになるが、肝心の電力会社や原子力委員会は、この期に及んでも隠蔽に走ったり、ひたすら狼狽する有様であった。

冒頭の関係者の気持ちはよくわかる。映画作りは多数の企業が関わるため、原発タブーは非常に強い。とくにメジャーな映画会社では、反原発のテーマは簡単には扱えない。まして福島原発事故の関係者を実名で登場させる劇映画など、危なすぎてまず企画が通るまい。

65点
重厚な日本映画だが

「64-ロクヨン」は横山秀夫のミステリ小説の映画化で、前後編あわせて4時間の、大作感ある重厚なドラマである。

平成14年12月。ロクヨンと呼ばれる昭和64年に起きた誘拐事件の時効があと1年と迫っていた。そんな折、管内で新たな誘拐事件が発生する。そしてその事件は、まるでロクヨンをなぞるかのような手口であった。警察広報室の三上(佐藤浩市)は記者クラブと報道協定を結ぶ必要に迫られるが、情報公開が進まぬ警察側とマスコミとの溝は深まるばかりだった。

5月7日に公開された前編に続き、6月11日から後編が公開となる。どちらかだけ見る人というのもいないだろうしもう両方公開しているので、ここはまとめて語った方が読者にも親切と判断する。よって本記事では、前編後編両方見た上での評価となる。

65点
富士の樹海と自殺を題材にした外国映画

名匠ガス・ヴァン・サントが、日本最大の自殺の名所を舞台に日本人の死生観を描く。なかなかユニークだが難しそうな企画である。しかし、渡辺謙が彼らに不足している日本についての知識を積極的に補うべくアドバイスをしてくれたため、「追憶の森」は日本人にとってこそオススメの人間ドラマとなることができた。

ある理由から人生を終わらせることを決意し、死に場所として富士の樹海を選んだアメリカ人男性アーサー(マシュー・マコノヒー)。ところが森の中で彼は、負傷して森から出たがっている日本人タクミ(渡辺謙)と出会う。タクミを救うべく森を歩き始めたアーサーだが、やがて二人はどちらともなく自分のことを語り始める。

森の中での会話劇がメインだが、さすがオスカー級ふたりの演技合戦は見応えがあり、かつ一流監督が作り上げる青木が原の物語は退屈知らず。実に面白い。渡辺謙が焚火のシーンで相手を思いやる表情などとくに素晴らしく、じつに胸を打つ。そもそもこの映画の脚本じたい、ブラックリスト(製作されていない優良脚本)のひとつだからハズレのはずがない。

65点
子供向きでもここまでやる

「フィフス・ウェイブ」は、日本では超大作アクション映画のように思われているが、実際は「トワイライト」あたりのメイン客、日本でいうライトノベルファンを対象にした子供向けアクション映画である。

アザーズと呼ばれる謎の地球外生命体の攻撃により、人類は滅亡寸前まで追いやられる。そんな中、軌跡手に生き残った高校生キャシー(クロエ・グレース・モレッツ)は、生き別れた弟を探すため銃を手にひとり戦い続けるのだった。

中高生向け終末映画ではあるが、だからといって子供だましでないところがアメリカ映画のすごいところである。

65点
突っ込みだらけだが押しきる役者力

タイムリープものには傑作が多い。それは脚本上の矛盾を何度もチェックし、それがブラッシュアップに繋がるのが要因だが、「僕だけがいない街」はそうした形跡がないにも関わらず、役者の力で面白い映画に仕上がった珍しい例である。

売れない漫画家で、宅配ピザ店でのバイト代で暮らしている藤沼悟(藤原竜也)は、バイクでの宅配中、またいつもの違和感を感じ取る。同じ時間を何度も繰り返す「リバイバル」と彼が呼ぶ現象は、たいていの場合、悟に何かの事件を知らせる働きを持っている。彼は「リバイバル」が知らせる誰かの命の危機を、はたして救うことができるのか。

のっけから引き込まれるし先が気になるし、日本映画としては抜群の面白さを誇る。今年これまでみた漫画の実写化の中では、かなりいい部類にはいる。

65点
韓国人大喝采

イ・ビョンホンとチョ・スンウ、崖っぷちとまでは言わないが下降ぎみだった二人の評価を再浮上させた韓国歴代ナンバーワンヒット映画「インサイダーズ/内部者たち」は、なるほどなかなか見ごたえのある社会派ドラマである。

大手自動車会社の会長(キム・ホンパ)は、与党の大統領候補チャン・ピル(イ・ギョンヨン)にカネを流し、政界への影響力を決定的にしようとたくらんでいた。黒幕として、その仲立ちをしていた大手新聞、祖国日報主幹のイ・ガンヒ(ペク・ユンシク)は、汚れ仕事を任せていたゴロツキのアン・サング(イ・ビョンホン)に裏金ファイルの回収を命じるが……。

R18指定作品史上、というくくりにしても史上一位というのはすごい。なによりこうした、決して女性向きではない男臭いドラマにこれだけ客が入るということが、女性&子供向け市場しか存在しない日本人としては羨ましい。

65点
よくできたレプリカのよう

徹底した秘密主義で内容も映像も見せず、プレス試写などを繰り返して周知徹底を図るパブリシティの王道に背を向けたディズニー版スター・ウォーズ新章。なるほど、知名度も期待度も映画界の最高峰たるスターウォーズにはこれ以上の褒め記事はいらない、むしろ批判記事や酷評さえ避ければ勝てるという判断か。確かにその戦略は圧倒的に正しい。とくに中身の出来栄えを見た今となっては余計にそう思う。

最後のジェダイ、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が姿を消した。その命を狙う帝国軍の残党ファースト・オーダー陣営と謎めいた指揮官カイロ・レン(アダム・ドライバー)は、血眼になってその行方を追っていた。一方、レイア・オーガナ(キャリー・フィッシャー)率いるレジスタンスたちも、切り札としてのルークを探し求めていた。そんな中、ついにルークの行先が書いてある地図が発見されるが……。

ストーリーはシンプルで、ボール型ドロイドに託されたこの地図を、善と悪の両陣営が奪い合うというもの。世界観は複雑だが筋書きはシンプル。これぞシリーズの伝統である。これによってこのシリーズは、子供も楽しめる間口の広さと、大人が趣味として入れ込める奥行きの深さを両立させている。

65点
スパイ映画の最後の大物

スパイ映画の当たり年といわれる2015年。その大トリとして登場する007シリーズ最新作は、シリーズへの重い入れが強い人とライトユーザーで大きく評価が変わる出来映えとなった。

ボンド(ダニエル・クレイグ)は生家スカイフォールで焼け残った写真を手掛かりに、メキシコ、そしてローマへと渡る。一方、所属組織MI6も組織改編の波にさらされ、消滅の危機に瀕していた。その状況の背後に忍び寄るのは、謎の犯罪組織スペクター。はたしてボンドの自分探しの旅の終着点には何が待ち受けているのだろうか。

本作のメディア上での批評はおおむね良いようである。その理由のひとつは、それらを書いているのが映画の専門家で、シリーズの基礎(以上の)知識を身に着けているから。つまり「007 スペクター」は、007フリークのような層には非常に評判がよい。

65点
ユニークなアクションと世界観

近接戦闘アクションに特化した「ジョン・ウィック」は、なるほど確かに新鮮だが、まだまだ改良の余地がありそうだ。

妻の思い出というべき愛犬を、マフィアの若僧に殺されたジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)。実はジョンは元凄腕の殺し屋であり、すでに足を洗っていたのだが、この暴挙により怒髪天を衝く勢いで怒りの復讐を開始する。

ガンフーと名付けられた柔術アクションは、室内などでゼロ距離といっていいほどに間合いを詰め、敵の銃撃を交わしつつとどめを刺していくユニークなもの。

65点
みんな騙される……けど

びっくり仰天な結末を楽しむ映画を、マインドファック・ムービーというらしい。ティーンエイジャーのカップルや、あるいは本作ならオタク仲間同士がお菓子でも食べながら鑑賞して、あとであれこれいいあって遊ぶ。そんな楽しみ方に適した映画といえるだろう。

警察に出頭してきた凄腕クラッカーのベンヤミン(トム・シリング)は、これまでハッカー集団「CLAY」と起こした悪行の数々を告白し始める。彼が言うにはトラブルから殺人事件に発展し、今は自分が狙われているという。はたしてその衝撃の犯行記録と真相とは?!

ソニー・ピクチャーズが被害にあっていろいろヤバい資料が流出したり、iCloudにヌードセルフィーをあげていたハリウッド女優たちが軒並みパスワードを抜かれたり。ハッカーとは古くて新しいテーマといえる。

65点
ぬるいラストでインパクトが不足したのが惜しい

東京にすんでいると、沖縄、まして最果てにある辺野古の新基地問題など、何の関心もない。そんな人が多数だろう。だが、この問題は沖縄ローカルな話題ではない。日本という国家のありかた、未来の選択がここに凝縮されているといっても過言ではない大問題である。

そして、この問題を長年現地の人々に寄り添い、追い続けてきたのが三上智恵監督。あらゆる映画人の中で、彼女ほどこの問題を深く語り、伝えられる人材はまずいないだろう。

「戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)」は、そんな三上監督渾身のドキュメンタリーである。この、何度読んでも発音しにくいタイトルが、われわれ本土の人間と沖縄の距離感そのものといった感じがする。

65点
映画でテロリストを洗脳

「信じれば夢は叶う」と本社の壁に飾ってあるかどうかは知らないが、「トゥモローランド」はそんなディズニーの社是、というべきポリシーを映画化したアドベンチャー作品。

1964年のニューヨーク万博。そこに自分の発明品を携えて向かった少年フランク(トーマス・ロビンソン)はあっけなく門前払いを食らう。だが彼の潜在能力を見抜いた謎の少女アテナ(ラフィー・キャシディ)は、極秘の超文明都市「トゥモローランド」への入り口でもあるウォルト・ディズニーが出展したパビリオン「イッツ・ア・スモール・ワールド」へフランクを誘うのだった。

実写版「シンデレラ」で、女の子向け社是作品は大好評をえているが、ちゃんと彼らは男児向けも用意していた。それがこれだ。

65点
社会問題SFふたたび

ニール・ブロムカンプ監督は「第9地区」など、社会問題を盛り込んだSFづくりの名手として知られるが「「チャッピー」もその流れにそった最新作。できばえも上々で、「エイリアン」の次回作に抜擢されたのも納得である。

舞台は2016年の南アフリカ、ヨハネスブルグ。治安悪化に対して当局が投入した人型警官ロボットの開発者ディオン(デヴ・パテル)は、長年の夢をついに実現させた。それは成長する人工知能AIを組み込んだロボットの開発。だがそれはストリートギャングに奪われ、チャッピーと名付けられ彼らによって育てられるハメになってしまう。

「チャッピー」の美点は、人間による善悪の判断などじつにあいまいであてにならないという真理を、観客自身に疑似体験させてしまう物語構造にある。

65点
現実を語る寓話

カンヌのコンペに6作連続で出品を果たしている、名実ともに世界最高の監督の一人ダルデンヌ兄弟。ドラマから不自然さを廃したその演出力は、なるほどこの非現実的な寓話をリアルに見せるに十分だが、今回はいきすぎて完成度を損ねている部分も見受けられる。

精神的な病で休職していたサンドラ(マリオン・コティヤール)は復帰早々、社長からクビを言い渡される。その撤回にはこの土日のうちに、従業員の半数がボーナスを返上すること。厳しい経営状況の中、そうしないと人件費が足りないというのだ。サンドラは夫の手を借り同僚の自宅を回って説得を開始するが……。

まず観客が感じるのは、こんな無茶なパワハラ的前提条件がありうるのだろうか、との疑問だろう。

65点
素の韓国が味わえる

韓国という国は対外的な宣伝活動に国家をあげて取り組んでいる。政府が映画業界に金をつぎ込んでいるのもその一環であるとされている。だから、素朴な韓流ファンがそうした映画作品やドラマを見てイメージする韓国と、実際のギャップがきわめて大きい。とくに、独特の差別問題などは、深く関わってみないと理解しにくい問題だ。

その点「私の少女」は、もともと外国向けにマーケティングされた商業作品ではないために、私たちの知らない、素の韓国が味わえる貴重な一品といえる。

ソウルから左遷されてきた派出所長ヨンナム(ぺ・ドゥナ)は、血のつながっていない義父と暮らす少女ドヒ(キム・セロン)が虐待されているのではと気づく。排他的な村社会独特のルールに苦労しつつ、なんとか彼女を救おうとするヨンナムだが、彼女は意外な方向から迫害を受けることになるのだった。

65点
難民から学ぶ逆転の構造

世の中には難民を第三国に移住させる制度というのがあって、日本でもここ数年で86人のミャンマー難民が移り住んでいるという。

この程度の規模では国民の誰もがそんな制度のことを知らないのは当然だが、かつて米国は3600人ものスーダン難民を移住させたことがある。その史実をヒントに作られたのが「グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜」だ。

マメール(アーノルド・オーチェン)ら3人は、内戦からの壮絶な脱出行と難民収容所での過酷な暮らしを経てアメリカ、カンザスシティにやってきた。彼らの職探しは、職業紹介所の職員キャリー(リース・ウィザースプーン)が担当となるが、彼らは電話の使い方すら知らない。価値観から生活様式まで、あまりにもギャップがある彼らは、はたして米国での暮らしになじめるのだろうか。

65点
時間移動ミステリ

時を超える式のSFというと「バタフライ・エフェクト」(04年)、「オーロラの彼方へ」(00年)など傑作が多い。打率の高さはあらゆるジャンルの中でも相当高い方だろう。まて原作が「宇宙の戦士」「夏への扉」のロバート・A・ハインラインとくれば、いやがうえにも期待が高まる。

70年のニューヨーク。青年ジョン(セーラ・スヌーク)はバーテンダー(イーサン・ホーク)に自らの数奇な半生を語る。するとバーテンは彼の運命を変えた人間への復讐をしないかなどと提案する。バーテンは、未来からある目的でやって来たエージェントだったのだ。

結論からいうと「プリデスティネーション」は、頑張ったのはよくわかるがまだまだ、といったところ。

65点
陸上短距離エンタテイメント、にとどまらない

「ミルカ」は珍しい陸上短距離映画であると同時にインド映画界で高く評価された伝記映画──にして、きわめてタイムリーなテーマも内包する興味深い作品である。

1960年、ローマオリンピック。インド国民の期待を背負ったスプリンター、ミルカ(ファルハーン・アクタル)は、しかしゴール直前に奇妙な狼狽を見せ敗北する。はたしてミルカは何を見たのか、その謎は彼の壮絶な過去にあった……。

宣伝文句にある、ファルハーン・アクタルの体脂肪率5パーセントの肉体はどうやらサバ読みなしのようで、ほれぼれするキレっぷりである。高地トレーニングの場面なども、実際に数千メートルの高地に行って撮影したという。そのうち死人が出るぞインド映画界。

65点
ドラフトだけで映画を作ってしまう

もし忠臣蔵の映画で討ち入りシーンがなかったらお客は怒るだろう。小向美奈子のDVDを買って水着だけで終わったら、10年前ならともかく金返せといわれてしまう。

ものごと、絶対必要な要素というものがあるわけだが「ドラフト・デイ」はすごい。アメフト映画だというのに、なんとアメフトをする場面がない。厳密には少しだけあるが、見せ場ではない。

クリーブランド・ブラウンズのゼネラルマネージャー、サニー(ケヴィン・コスナー)はチームの不振を今回のドラフトで取り戻すことができなければ、クビというところまで追いつめられていた。その焦りからか、序盤に極端に不利な事前取引をしてしまい、彼はさらに苦境に追い込まれる。

65点
親日野球映画

「KANO 〜1931海の向こうの甲子園〜」はまごうかたなき親日映画、それも超がつくような日本マンセー作品である。そんな作品が台湾本国で社会現象的大ヒットを記録したというニュースは、もっと日本で広まっていいことだ。

1929年、日本統治下の台湾。鬼コーチで知られる近藤(永瀬正敏)は、日本人、台湾育ちの漢人、台湾原住民の混成チームである嘉義農林野球部に就任する。厳しいが心のこもった指導に部員たちは食らいつき、弱小だった部はやがて本土の甲子園大会を目指すまでに成長する。

台湾の大作とはいえ予算規模は普通の日本映画と大差ないから、たとえばCGなどVFXの出来などはそこそこだ。普通にみられるものの、時代映画としてさしたる映像的見せ場があるわけではない。

65点
日本にもつながる移民問題ドラマ

「サンバ」は、明るくコメディ色を前に出した予告編と、ヒット作「最強のふたり」のネームバリューに頼った宣伝から、軽妙な感動コメディ的なイメージが強いものの、そうしたものを期待していくと肩透かしを食らう可能性が高い。

フランスに来て10年になるアフリカ移民のサンバ(オマール・シー)は、ビザ更新のちょっとしたミスで国外退去命令という理不尽な命令を下される。そんな彼には移民を助けるボランティアのアリス(シャルロット・ゲンズブール)が頼りだったが、燃え尽き症候群で心のバランスを欠いた彼女もまた、サンバのタフで明るい心に励まされてゆくのだった。

「サンバ」はコミカルな場面もあるが、基本的にはきわめてシリアスな移民問題を扱ったドラマである。オマール・シー演じる主人公のサンバは、あれほど前向きで誠実な「よきひと」なのに、ほんの不運で転落人生を歩むことになる。その理不尽さと、それを修正しない、あるいはしようとしないフランス社会の事情というものを、きわめてディテール豊かに描いた佳作である。

65点
アンチエイジングなヒーロー

この映画を見てから主演のインドの大スター、アーミル・カーンが現49歳だと聞いて驚かない者はいまい。まさにインド映画界の誇る生きるアンチエイジング、アクション映画界の水谷雅子である。

父親のサーカスで生まれ育ったサーヒル(アーミル・カーン)だが、その愛する父は冷酷な銀行から融資を断られたことが原因で命を落とした。やがて成長し、自らサーカスのスターアーティストとなったサーヒルは、しかし父の敵であるシカゴの銀行支店を次々と派手に襲う裏の顔を持っているのだった。

バイクアクションを売りにしたシリーズの第3弾だが日本初登場ということで、シリーズのキャラクターやお約束などは一部伝わりにくいところがある。しかし、細かいことは気にするな精神により、上映時間も大きく短縮(それでも2時間27分ある)して、派手なアクションでガンガン押すパワフルな作品となっている。

65点
イスラエルの一面を浮き彫りに

「オオカミは嘘をつく」はイスラエル映画だが、まさにあの国らしさを出している点で、高く評価できる一本である。

連続少女殺害事件を捜査する刑事のミッキ(リオル・アシュケナージ)は、教師のドロール(ロテム・ケイナン)を犯人と確信するがどうしても尻尾をつかめない。だが、被害少女の父親ギディ(ツァヒ・グラッド)はそんな彼に対し、ドロールを拷問してでも吐かせようと考え実行に移そうとしているのだった。

イスラエルという国はいうまでもないが、建国以来ひっきりなしに戦争をしているようなもので、ある意味アメリカ以上に暴力が満ちあふれた国といえる。これはイスラエル人のアハロン・ケシャレス監督もいっていることだが、この映画にはそうしたイスラエル独特の空気、ようするに「暴力が日常的に存在する」空気感を疑似体験できるように作られている。

65点
ファンタジーの中に見え隠れする異常性

「アメリ」(01年)の監督ジャン=ピエール・ジュネは、たとえ大作でも一風変わった映画を作ることで知られるが、「天才スピヴェット」も独特の雰囲気を持つ映画作品である。初めて監督が3Dを採用した作品でもあり、その遊び心あふれる起用法を映像発明と称する人もいるほど。

10歳の天才少年スピヴェット(カイル・キャトレット)は、スミソニアン学術協会から最優秀発明の受賞の連絡が入る。頑固一徹保守オヤジの父親に言って、すんなり受け取りに行けるとは思えない。そこで彼は親に無断で、モンタナからワシントンへ旅立つことに。

少年のちょっとした冒険の旅を3Dで演出した、かなり個性的な感動ドラマ。

65点
邦題がすごい

ディズニー配給作品ということで、なんだか空からパラソル持ったおばさんがおりてきそうな題名になっているが、「マダム・マロリーと魔法のスパイス」はそうしたファンタジー映画でも、女の子向けお気楽極楽映画でもないl。

インドからやってきた料理店一家の息子ハッサン(マニシュ・ダヤル)は、天才的な舌の感覚と料理の腕を持っている。彼らは家長の父親(オム・プリ)の独断で南仏の物件を居ぬきで借り上げるが、その真向かいには頑固者マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)が経営するミシェラン一つ星レストランが建っていた。

いや、確かに女性たちが喜ぶグルメ映画にして、気楽な文化ギャップコメディではある。ヘレン・ミレンとオム・プリの掛け合い漫才のようなやりとりは笑えるし、裏山でとれた野生のキノコで作るソテーなどは、みるからにおいしそうで腹が鳴る。

65点
女の子が受ける現実という名の洗礼

女の子が「若さ」の持つブースター効果の大きさと、それを失いつつあることに気付く瞬間は、はたからみるとドラマの題材としては魅力がある。それを悲劇と描くか喜劇とするかは料理人しだいだが。

ニューヨークのブルックリンでダンサーを目指す27歳のフランシス(グレタ・ガーウィグ)。どこかタイミングのずれた彼をあっさりフり、今は親友のソフィーとルームシェアで楽しく暮らしているが、ソフィーがアパートの部屋を更新せず同居を解消すると言い出し彼女は狼狽する。仕事に住居、恋愛……望むものは手に入るどころか、あちらか拒絶される。27歳ってもう若くはないのかしらと、彼女は初めて焦り始める。

ノア・バームバック監督は「イカとクジラ」(2005)で繊細な人間ドラマを描く力があることを証明したし、グレタ・ガーウィグ自身が脚本にも参加しているので、同年代の女性の共感を集めるに十分な、誰もに身近なドラマに仕上がっている。

65点
豪華キャスト大会

前作の大ヒットをうけての続編ということでさすがの好景気。すごい豪華キャストである。しかし、実にもったいないことであるがそれでも本作が「世界を驚かす」ことはない。

人斬り抜刀斎こと緋村剣心(佐藤健)は、いまや殺さずの誓いを立てて静かに暮らしている。だが、かつての自分の立場を継いだ凶暴な男、志々雄真実(藤原竜也)が京都で復活、政府からその阻止を依頼される。

主演をはれる役者が何人もそろっている中、頭一つ抜け出ているのが志々雄役、藤原竜也の存在感。あれだけの役者たちが、あれだけのバトルを見せているのに、一番印象的なのが藤原による一方的な口げんか=あおりのテクニックというのが笑える。スーパーヒーロー佐藤健も、彼の前ではまるで子供。どう考えても勝てる気がしない。藤原竜也は大した役者である。

65点
連続テレビアニメ枠でやるべきだったか

若者の総底辺化により女性の晩婚化、行き遅れ化が顕在化してきている。だからこそ「でも、いつだって頑張ってるアタシ」──を肯定する話が大受けすることは、「アナと雪の女王」の超絶ヒットをみれば誰にでもわかる。

しかし、そのヒットをみる前に似たテーマの原作「思い出のマーニー」をアニメ化しようと考えたスタジオジブリ(鈴木敏夫プロデューサー)の目はさすがといわざるを得ない。

中学1年生の杏奈(声:高月彩良)は喘息の療養のため、この夏を親類の住む北海道の海辺の家で過ごすことになった。彼女はやがて入江で無人だがどこか懐かしい洋館を発見する。その日から、夢にまで登場するその屋敷だが、ある晩杏奈がその場に出かけてみると、夢で見た金髪の少女マーニー(声:有村架純)が実際に現れるのだった。

65点
時系列順でわかりやすい

史上まれにみる大量遭難事故が起きたり、そのあおりをうけ芸能人の登山企画がぽしゃるなど、何かと話題のエベレスト登頂。「ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂」は、冒険家なら誰もがあこがれるそんな世界最高峰に、初めて登頂成功した男たちの物語である。

53年、ジョン・ハント大佐(ジョン・ライト)をリーダーとするイギリス遠征隊は、エベレストに挑むことになった。ニュージーランド人のエドモンド・ヒラリー(チャド・モフィット)と、シェルパのテンジン・ノルゲイ(ソナム・シェルパ)は、その能力の高さから隊に加わったメンバーだが、精鋭揃いのこの隊とて、そう簡単に登れる山ではないのだった。

ドキュメンタリーながら再現ドラマを中心とした構成。3Dという外連味はあれど、過剰な美談や演出があるわけでもなくむしろ淡々としている。ただ、時系列順に見せてくれるし、素人には驚き以外の何者でもないトリビアも適度に入れてくれるので非常にわかりやすく、面白い。

65点
中島映画のハードルは高い

超話題作「進撃の巨人」の監督に決まったとのニュースは、この監督自身が原作にこだわりがあるということもあり大変な期待感とともに一瞬で日本中をかけ巡った。

ところがやんごとなき事情により降板し、彼は「渇き。」を作った。中島映画というただでさえ高いハードルを、「進撃の巨人」という幻のビッグタイトルがさらに上げてしまったのが、本作の不幸である。

娘・加奈子(小松菜奈)が失踪したとの知らせを別れた妻から知らされた元刑事の藤島(役所広司)。警察とは別に、独自の捜査を開始した彼が徐々に知ることになるのは、思い込んでいたものとはまるで異なる異様な娘の私生活であった。そのいらつきは、やがて暴力的な藤島の本質をも呼び起こす。そして失踪事件の真相に近づくにつれ、彼自身もその深い闇へとはまり込んでゆく。

65点
ハードボイルドな魅力

ジェイソン・ステイサムは並み居るアクションスターの中でもハードボイルドが似合う役者だ。ハンサムだし男臭いし、実際に肉体も強い。「ハミングバード」はそんな彼の特長を生かした、まさにハードボイルドな魅力たっぷりのドラマ。

特殊部隊兵士のジョゼフ(ジェイソン・ステイサム)は、事情があって逃亡兵となり、ロンドンでホームレスのごとき酒浸りの暮らしを余儀なくされていた。そんな折、彼はチンピラに襲われ仲のいい少女とも離れ離れになってしまう。逃亡中、偶然隠れた高級マンションの部屋が10月まで留守だと知った彼は、とりあえずそこで暮らしながら彼女と自らの人生を取り戻すため、手段を選ばず金を稼ぎ始める。

あらすじから想像できるような「レオン」風の恋愛ものではなく、意外にも男の人生再挑戦をメインにしたドラマであった。

65点
警察アクションというより犯罪サスペンス

前作において、スタントが売りの映画は卒業したと宣言したジャッキーチェンが、よりにもよってスタント、アクションの極みといってよいポリスストーリーシリーズを次回作にする。アクション抜きであれを作るのか? だとしたら何とも過激な挑戦といえる。

クリスマスの北京。仕事人間の刑事ジョン(ジャッキー・チェン)は、半年ぶりに会った愛娘ミャオ(ジン・ティエン)の豹変ぶりに動揺する。退廃的な服装、メイクな上、怪しげなクラブのオーナー(リウ・イエ)を恋人と紹介する。さらに店内の揉め事に巻き込まれたジョンは、そのまま昏倒してしまうのだった。

最初から何かがおかしい、ファンが知るポリスストーリーシリーズとは何もかも違う最新作である。コミカルな動きは無く、功夫も激しいスタントも少ないが、その分ジャッキーの演技で見せる。かつて「新ポリス・ストーリー」(93年)なる同様のシリアスな作風のものもあったが、シリーズとは無関係な作品に無理やりそんな邦題をつけたと聞く。はたして本作はどう展開するのか。

65点
苦しむ若者に寄り添う

一流のスタッフが流し運転で作ったような映画が公開される週に、「リュウセイ」のような若い監督の本気のデビュー作が並ぶ。前者を見て感じた不満が、そのままこちらで解消される。ユニークな偶然もあるものだ。

中学生時代のある日の夜、話題の流星群を見るため、偶然にも同じ場所にやってきた3人。彼らはやがて成長し、それぞれの道を歩き始めた。亨(遠藤要)はバンドの夢を半ばあきらめ居酒屋で働き、竜太(佐藤祐基)はキャバクラ嬢の送迎の仕事をしていた。一方、晴彦(馬場良馬)はいっぱしの企業に勤めながらも借金取りに追い詰められていたが、それを秘密にしたまま実家に戻ってくる。

谷健二監督は若い、といっても76年生まれだから人生の苦労を知る年ごろだろう。よどんだ生活を送る3人の若者が、はたしてちょいと方向修正して気合を入れなおせるかどうか……といった物語をデビュー作に選んだのは、彼らの不器用な生きざまに暖かい共感を寄せる思いがあったからだと思いたい。

65点
理想と現実の間のどこに軸足を置くべきか

昨年あたりから人種差別問題、奴隷制、またはその時代を描いた映画が、アメリカではちょっとしたブームになっている。この「大統領の執事の涙」もその一つだが、こうした差別問題に対する運動史、すなわち公民権運動についてコンパクトに理解できる教科書的映画だとあちらではもっぱらの評判である。

綿花畑の奴隷の息子として生まれ育ったセシル(フォレスト・ウィテカー)は、成長してからは給仕の仕事をひたすら真面目にこなしていた。やがて認められ、幸運な出会いが重なりホワイトハウスに勤めることになるが、長男はそんな父親をしり目に反政府的運動にのめりこんでいくのだった。

とはいえ、こいつをお勉強映画としてだけ見るのは惜しい。実在の人物をモデルにしただけあって、リアリティと両立された波瀾万丈の人生はそれだけで見応えがあるし、彼が仕えたそれぞれの大統領の個性や人間臭いエピソードの数々には親近感を感じられる。アメリカ近代史に興味がある人にとっては、いずれも興味を引く内容だろう。

65点
テーマこそが18禁

R18+指定のコメディ「フィルス」は、あまりに不謹慎な警官が出てくるためのレーティング審査結果かと思っていたが、よくよく見るとむしろ作品のテーマこそがショッキングで、若者には見せたくないなと思わせる。

署内一の敏腕だと自負するブルース刑事(ジェームズ・マカヴォイ)は、日本人留学生殺害事件の指揮を任され鼻息を荒くする。証拠の少ないこの通り魔的事件を解決すれば、署内の出世競争で抜きんでることができるからだ。妻だってそうなれば喜ぶ。だがその事件捜査は、予想外の運命を彼にもたらすのだった。

ここでいう同僚・上司がろくでもない連中ばかりで、じつは脚本家志望なんてグータラなやつから、隠れゲイ、ヤク中新人と救いようがない。それを知らされた観客は、なるほどこの中ならキレ者主人公がトップに躍り出るのは当然だよな、とそう思う。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  11. 11
  12. 12
  13. 13
  14. 14
  15. 15
  16. 16
  17. 17
  18. 18
  19. 19
  20. 20
  21. 21
  22. 22
  23. 23
  24. 24
  25. 25
  26. 26
  27. 27
  28. 28
  29. 29
  30. 30
  31. 31
  32. 32
  33. 33
  34. 34
  35. 35
  36. 36
  37. 37
  38. 38
  39. 39
  40. 40
  41. 41
  42. 42
  43. 43