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70点
ハリウッドが本気で作ったニッポンバンザイ映画

ハリウッドのトップスター、トム・クルーズが多数の日本人キャストと競演した、武士道精神の美しさを描く時代劇。

アメリカ映画を見ていると、「アメリカバンザイ映画」とも言うべきジャンルに属する作品を目にする機会が多い。UFOを米軍主体で撃退する『インディペンデンス・デイ』や、トンチンカンな考証が笑える『パール・ハーバー』、そして公開中の『ティアーズ・オブ・ザ・サン』などはその典型だ。

『ラストサムライ』は、いわばそんなアメリカの映画業界が日本人に向けて贈る、ニッポンバンザイ映画。非常に珍しい作品だ。しかも大作として莫大な予算を投入し、主演には世界が認めるトップスターを起用、スタッフにもアカデミー賞の常連が顔を並べている。あのハリウッドが本気で作っている。

70点
フェミニストが飛び付きそうな題名だがさにあらず

平凡な主婦が、謎の娼婦と衝撃的な出会いをし、女として、人間としての生き方を再考してゆく過程を、ユーモアたっぷりに描いたフランス製コメディ。

ずいぶんとまあ、すごい邦題を付けたものである。映画の内容が、男の支配下にあるかのような専業主婦業に疑問を持ち、自由にひとり立ちしている娼婦の生き方に憧れてゆく主婦の話であるからか、実にフェミニズム的な印象を受けるタイトルだ。

実際、この映画の監督(女性)は、30年間も事実婚で子供も3人いるそうで、だからかどうか知らないが、映画自体からもフェミ臭がぷんぷんする。これで、結末までそういう単純な思想のもとに作られた映画であれば、一刀両断、斬り捨てる所だが、実はこの映画、そうそう捨てたものではない。ここを突っ込んで行くと、未見の方の興味をそぐので、残念ながら今はやめておくが。とにかく言えることは、フェミニストが喜ぶような、単純なジェンダーなんたらという内容ではないと言うことだ。

70点
徐々に、以前の本物志向に戻ってきている

ハリウッド進出後のジャッキーのアクションには、「上手さ」はあれど「凄み」は無いというのが私の思いである。本作のメインアクションは、『プロジェクトA』にオマージュを捧げたと言う時計台ジャンプであるが、これもCGらしき演出効果が目に付き、「凄み」はない。

同じ時計台からの飛び降りにしても、VFX技術が発達していなかったころ(『プロジェクトA』)のものは、本物の香り、すなわち「凄み」があって迫力が違った。それがたとえスタントマンやトリックを使っているにしてもだ。そう考えると、時代が進むほど、本物を売りにするジャッキーにとっては不利になってきたというわけか。

ハリウッド・ジャッキーのヒット要因であった『バディ・コメディ』路線も、さすがにマンネリ気味。個人的には、『ファースト・ミッション』のような、ストーリー重視のアクション映画を、莫大な予算をかけて作ってほしいのであるが。

70点
ばかばかしいが面白い

村上龍原作の、オバサンと若者が殺しあうナンセンスな娯楽映画。ややチープ感のあるCGも要所に使って、両者の殺し合い、復習劇を興味深く見せる。

お互いのグループをひとりひとり殺し合いながら、成功するたびにパーティを開いたりするブラックな登場人物たち。やがて戦いはエスカレートして、ロケット砲やらなにやらの兵器まで入手しだすという、おバカな感覚の映画である。ラストには、想像を超える結末がまっている。

私はこの原作は未読なのだが、さぞ面白かろう。もちろん、映画だけ見ても、充分楽しめる。とくに俳優達が、実に見事に役作りをした。たとえば私は、森尾由美本人を見た事があるが、「こんな美人が世の中にいるものか……」と、当時は衝撃を受けたものだ。だが、『昭和歌謡大全集』の彼女は、どこからどうみても街のオバサンだ。あまり目立たないことだが、こうした事はとても大事な事だ。

70点
これだからアメリカという国が私は好きだ

ブルース・ウィリスとモニカ・ベルッチ2大スター競演の軍事アクション&感動ドラマ。

いやー、これは凄い映画であった。私達のように、毎日3本も4本も映画を見ていると、大抵のものには心を動かされる事も無くなってしまうのだが、『ティアーズ・オブ・ザ・サン』は、久々に「これだよこれ!」と叫びたくなる作品であった。

ブルース・ウィリス率いる特殊部隊SEALSが、ある女性医師(モニカ・ベルッチ)を戦地から救出せよとの命令を受ける。ところが、彼女のもとにいる、あわれでいたいけな現地民(女子供&年寄り)たちを見捨てられず、彼らはなんと司令部からの命令を無視し、命を捨てる覚悟でつれだす事を決定するのである。

70点
大爆笑の映画だが、後半が惜しい

『ハリーポッター』シリーズのロン役の男の子が主演の、イギリス製コメディ。これも『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』同様、やや子供向けの映画と言えるだろう。ただ、こちらの方が、大人が見ても楽しめる要素が多い。

それにしても、映画が始まって1分間で、いきなりオナラを10発以上聞かせるとは、おそらくギネスブック級の記録であろう。のっけから笑わせてくれる。

オナラがですぎるという主人公の病気(?)は、オナラを動力に変換する親友の発明品(サンダーパンツ)により、やがて世界の危機を救うところまで行ってしまう。

70点
安心して見る事ができる、傑作ホームドラマ

28才の新人監督、西川美和が、「雨上がり決死隊」の宮迫博之を主演に、ある家族の混乱と崩壊、そして再生への兆しを描くハートウォーミングドラマ。役者陣の見事な演技力と、超リアルな人物描写のおかげで、抜群に面白いドラマにしあがっている。

とくに、彼女の両親の前で結婚の報告をする夕食のシーン、ここは見所である。手塚とおるの本領発揮というべきキモチ悪さがすごい。これは他の役者じゃ真似できまい。

それにしてもこの場面、各登場人物の心理描写のディテールへのこだわりがすごい。独特のうすら寒い会話と気まずい雰囲気。こんなのは、体験者じゃなければ絶対描けないと思うのだが。これを28歳の女性監督が演出したかと思うと、恐るべき才能である。

70点
斬新な殺陣に、非凡なセンスを感じさせる

北野武監督が、勝新太郎の代表作を再映画化。監督本人による記者会見によると、「勝さんのとはまったく違った物にするけど、それでいいなら」という事で、監督を引きうけたそうである。ベネチア映画祭に出品したそうだが、中身は賞狙いなど無縁のエンタテイメントだ。余計な事は考えず、ただ見て楽しむという映画である。

そんな『座頭市』であるが、なかなかイケているというのが私の感想である。もちろん、日本の映画関係者にとって、北野作品けなしがタブーだからそう言ってるわけではない。(まぁ、私がそんなタブーなどを気にする人間でないことくらい、このサイトを読んでいる方なら、先刻承知かもしれないが)

では、何が良いのかといえば、それは殺陣である。世にアクション時代劇は数あれど、今回の『座頭市』ほどスタイリッシュで斬新な殺陣を見せてくれる映画はそうそうない。

70点
よく出来た人類滅亡系ホラー映画だ

本国イギリスで大ヒットした、終末ホラー。……といっても、明確にジャンル分けしにくい内容で、戦争映画やSFの要素も含む、ユニークな作品である。

ただ、純粋な人類滅亡系ホラーとしてみても、充分に面白い。シリアスなので、見ていて気が抜けないのである。描写もリアル志向だから、男の局部もノーカットで出るし、目玉を突き刺す場面もそのままモロに写す。追いかけてくるゾンビ役は、陸上選手が演じてるから脚が早いし、兵士役の役者たちは、皆1週間、本物の新兵キャンプに参加して、銃の扱いや軍人としての立ち居振舞いを勉強している。

つまり、決してノー天気に作ったわけではない、性根の座った映画なのである。こういう映画は、たとえ素人の観客が見ても、「なにか違うな」とわかるものだ。

70点
ニコラス・ケイジがハゲハゲ言うたびに、笑っていいんだか悪いんだか微妙に迷う

『マルコヴィッチの穴』の監督&脚本家コンビと、ニコラス・ケイジ(『ウィンド・トーカーズ』)の一人二役主演で送る、奇想天外な構成のドラマ。実在の本の脚本化を依頼されたが、上手く出来ずに悩んでいるうちに、ヘンな事件に巻き込まれる実在の脚本家の話。

主人公のチャーリー・カウフマン(N・ケイジが演じる)をはじめ、実在の人物がぞろぞろ実名で登場する。物語は、現実とフィクションの入れ子構造になっており、この2つが交互に展開するプロットは、非常に凝っている。こんなストーリーを思い付く、カウフマンの頭の中を1度見てみたい。さすが、ハリウッドで当代一の脚本家といわれるだけのことはある。

本作には、『蘭に魅せられた男』という原作があるのだが、タイトル(アダプテーション=脚色)の名の通り、映画の中身は、原作者が脚本を読んでビックリしたというほどの、独自性に富んだものになっている。まあ、何しろ原作者が実名で、しかもメインキャラで登場するのだから、驚くのも当然だろうが……。

70点
なにも考えずに笑い飛ばすギャグアクション映画

インターネット上で公開されていたアニメが原作のコメディアクション。

主人公は、アフロヘアにロンドンブーツと言う、ファンキーな黒人。彼が、アメリカを支配する、白人至上主義者たちの秘密結社と戦うという、ハチャメチャなストーリーのギャグ映画である。

スケベで、アホなことばかりいっている主人公だが、冒頭のドライビングシーンで360度ターンをきっちり決めるあたり、シビれるカッコ良さである。このシーンで、彼は一気に観客の心を掴み取る。

70点
この映画について何も知らないなら、とりあえず見る事をすすめる

香港のスラム(?)の焼き豚屋を舞台にしたお話。もし、この映画のチラシだけをみて、なんとなく「行こうかな」と思っている方がいたら、この先は読まずに、早く行って来なさいとアドバイスしておこう。あのチラシをみて、この映画が出てきたら、大変な衝撃を受けるはずである。それは、とても羨ましい経験である。

さて、そうでない普通の方には、通常のガイドをするとしよう。

実はこの作品は、私としてはあまりジャンルを教えたくない映画なのである。というのは、私自身もあまり前知識無しに見たのであるが、あまりに素っ頓狂な展開に、のけぞってしまったからである。

70点
アリGのキャラが親しみやすく、ギャグも大爆笑

イギリスのTVシリーズの人気キャラクターアリ・Gを主人公にした、お下劣コメディ映画。

いわゆる、ゲラゲラ笑って、ハイ終わり、という映画である。となれば、おのずと評価のポイントは、ギャグが笑えるかどうか、にかかってくる。

その点、アリ・Gなんてキャラクターを知らない、我々日本人にとっても、本作はバッチリ合格点である。下品なギャグの連発は、そういうのが好きな人にはたまらないだろうし、そうした爆笑ポイントは、とってもたくさんある。バカ系コメディとしては、かなりイケている。

70点
気軽に、なにも期待せずにいったらいい

本国では史上最大のヒットを飛ばしたという、ドイツのドタバタ・コメディ映画。

舞台は、西部開拓時代のアメリカ西部。そこで、ひょんな事から義兄弟になったアメリカ人カウボーイとインディアンが、ハチャメチャな騒動と大冒険を繰り広げる。西部劇風のコメディである。

10秒に1つはギャグがあるというような、ホントにバカバカしい、くだらないギャグ映画である。そのくせ、音楽だけはムダに壮大で、そこがまた笑える。

70点
構成がしっかりしており、オチにも驚く

実際にスラム出身の作者による小説を映画化した群像劇。ブラジル映画だが、本国では大統領までもが「この映画おもろいから、みんな見ときなさい」と演説したというほどで、当然大ヒットを記録。

かの国の実在のスラムを舞台に、その裏側をリアルに、残酷に、でも独特の明るさでカラッと描いており、非常に新鮮。

原作の小説は、えらいボリュームのある話だそうで、その内容を聞くと、よくもこんな短時間に(といっても130分だが)まとめられたものだと感心する。何しろ、10年単位の年月を描く話なのである。

70点
出演女優リストを見てから出かけよう

ショウビズ界有数の俳優一家の長女、ロザンナ・アークエットが初監督したドキュメンタリー。「女優業と母親業の両立に悩む」ロザンナ自身が、主に40代以上のハリウッド女優34名にインタビューしつつ、最後に憧れの女優、デブラ・ウィンガーにたどりつくまでを描く。

ロザンナの親しみやすさのせいか、名だたる女優たちが、彼女の前だと実によくしゃべる。まるでこうした話題を語る場を待っていたかのようである。話題はエスカレートし、男の事やら美容整形の噂などにまで及ぶ事もある。

インタビューの場は、彼女らの私室だったり、食事中だったり、ときにはトイレの中だったりする。セレブたちの普段の表情が覗き見れるようで面白い。カメラは主に手持ちで、時にはピンぼけもあるが、それが逆にいい味になっている。

70点
エロシーンに思い切りが無いが、見所の多い作品

かなりの低予算で作られたと思われる、ストーカー写真家と露出オナニー女と、潔癖インポ男の話だ。

邦画の小品のなかには、本作のように良質な作品が結構ある。『六月の蛇』も、万人向けでは無いが、チャレンジ精神溢れるいい映画にしあがっている。

画面は、テレビの比率に近いスタンダードサイズで、青っぽい色調のモノクロだが、この特徴を存分に生かし、フレーム全体を上手く使っている印象を受ける。監督さんは、当初正方形の画面で公開したかったようだが、さすがにそれは実現しなかった。ちょっとそちらも見てみたかったと思う。

70点
美人のヌード付きオススメ恋愛映画

強盗団のリーダーをつとめる悪女と、公務員として教師をしている真面目な男の奇妙な出会いと恋を描く話。『トリプルX』の主演女優アーシア・アルジェント主演。

どちらかというと地味めの、リアルタッチの恋愛ものだが、これがなかなか面白い。主人公の女は犯罪者で、強盗としては凄腕。荒くれ男を率いるリーダーでもある。ところが、恋は下手くそという設定。それは、いわゆるセックスシーンなどでも、わかりやすくこちらに伝わってくる。つまり、彼女のH下手な様子を見て、男とのコミュニケーションの取り方もそうなのだなと、観客は直感的に感じるわけである。心憎い演出だ。

しかし彼女は純粋な心を持つ女だから、愛する男のため、彼の憧れの車を盗んで来たり、彼の仕事上の問題を(犯罪的な方法で)裏で解決したりする。

70点
強烈な個性とセンスのいい「テキトーさ」がいい

ヒップホップ界のスター、ラッパ我リヤが主演した近未来スポーツ・アクション映画。

まあ見るからに低予算で、そのクォリティはビデオ映画並。だが、決してつまらない映画ではない。そこが実に意外だった。(失礼)

まず、ふんだんに使っているCGが面白い。嘘っぽいのをわかった上で、確信犯的に楽しく使っている。こういうのは非常に好感が持てる。

70点
ディズニーランドのアトラクションそのもの、サントラが最高

ディズニーランドの同名アトラクションの映画化。カリブの海賊やホーンテッド・マンションなど、映画化を予定されているディズニーランドのアトラクションは数多い。ハリウッド映画界のちょっとしたブームといえよう。

クマさんたちが、アメリカ中を旅しながらカントリー・ミュージックを演奏する、ほのぼのしたミュージカルである。家族愛や友情といった定番のテーマを描き、最後にはほろっとさせるという、いかにもハリウッド的な、王道の一本である。

サントラがとにかくいい。私は、あまりにこの映画の楽曲が気に入ったので、いまだにCDを何度も聞いている。

70点
邦画で1番面白いんじゃないか?

笑いすぎ。笑い疲れる。88分と短いが、あと15分短くしてくれ! といいたくなる。

というのも今回のクレヨンしんちゃんは、ギャグに徹した作りになっているのだ。水島監督は、今まで主に劇場版の予告編や、ギャグシーンのコンテを描いていた人で、いわばクレしんギャグのスペシャリスト。彼の繰り出すギャグは当然の事、爆笑保証付きなのだ。

ところでマスコミ試写というのは、普通オジサンたちを中心に、どう考えてもこういう映画をみるはずのない客層がやってくる。

70点
ガチンコの歌と踊りが見所だ

アカデミー6部門を受賞した超話題作。でも実は、1度も全米興行チャート1位になってないという、不思議な作品。有名なブロードウェイ・ミュージカルの映画化である。

見所は、やはりきらびやかなミュージカルシーン。でも、案外ドラマ部分も面白い。

従来のミュージカル映画と違うのは、突然何の脈絡も無く踊り出すという、あの独特の「御約束」的な演出が無い事。ダンスシーンは、基本的に主人公の妄想という設定になっている。

70点
新感覚のガン・アクションが素晴らしい

映画業界のかきいれ時であるゴールデン・ウィークをあえて外し、その直前に公開するSF映画という事で、当初はあまり期待せずに観にいった作品。

ところがどっこい、面白い映画というのは、えてしてそういう時に出会うものである。『リベリオン』は、新しい映像を観たい人には、是非お勧めしたい一本だ。

この監督は、長年自分の頭のなかで、オリジナルのSF世界を作り上げてきており、今回ようやくそれを映画化することになったのだという。つまり、企画最初にありきで、設定その他は後から適当に作り上げたというお手軽SFではない。一応、監督が子供時代から考え(別名:妄想)ていた、かなり奥行きのある世界観を持っているのである。

65点
異色のボクシング映画

実話の映画化である「ビニー/信じる男」は、数あるボクシング映画の中でも怪我による挫折をテーマにした作品。スポーツ映画としては特殊だが、その特殊性が世の中の病や怪我に苦しむすべての人にとっては普遍性となっている。

血気盛んなボクサーのビニー・パジェンサ(マイルズ・テラー)は、十分すぎる闘志が空回りして引退目前まで落ちぶれていた。新たに雇ったトレーナーのケビン(アーロン・エッカート)はそんな彼を鍛えなおし、ビニーは見事に復活を遂げる。だがその直後、彼は交通事故に遭遇、頚椎骨折の重傷を負ってしまう。

ボクサーにとってメジャーだが致命的な怪我といえば網膜剥離だが、ビニーの頚椎骨折というのはそれ以上の衝撃である。ボクシングどころではない、二度と歩けないといわれてしまうほどの重傷。よくぞ生きていたと思うような重大事故である。

65点
さすが、ひねっているが

製作中の「トイ・ストーリー4」にしろこの「カーズ/クロスロード」(シリーズ3作目)にしろ、そんなに皆続きを求めているものかね……という気がしないでもない。私などには、かのピクサーも続編依存症に陥っているかのように見えるわけだが、じっさい「カーズ/クロスロード」のパッとしない出来を見ると、尚更その思いを強くする。

ライトニング・マックィーンは、徐々に勝てなくなっていた。ハイテクを駆使した最新型レーサーたちの台頭に追いつくのは簡単ではなかった。焦る彼は激しいクラッシュ事故を起こしてしまう。果たしてマックィーンは復帰できるのか、それとも引退を決意するのか……。

かつては最新鋭の若いレーサーマシンだったライトニング・マックィーンも、あっという間に陳腐化していまやロートル扱い。それこそ新型の車にはまったくかなわないわけである。

65点
情熱がこもっている

俳優が映画監督業に乗り出すケースは決して珍しくない。だが水谷豊ほどのベテランが初めて監督するとなると特別な興味を掻き立てる。そこには何かよほどの動機があると思われるからである。

かつて天才と称された元タップダンサーの渡真二郎(水谷豊)は、30年前の事故で足の自由を失い、いまだ酒浸りの日々を過ごしている。そんな彼のもとに、劇場を閉めることを決めた支配人の毛利(岸部一徳)がやってくる。人生をかけてタップを愛した者として、最後のショウを決めて終幕としたいと語る毛利は、その振付と監督を渡に託すのだった。

「TAP THE LAST SHOW」は冒頭に書いた期待通り、作り手の、この場合は水谷豊だがその伝えたいもの、大好きなものがつまった好感度の高い作品であった。

65点
主に米国民と被害関係者むけ

アメリカで重大事件が発生すると、さほど間を置かずに映画化されることが珍しくない。先日もUSエアウェイズの不時着事件を映画化したクリント・イーストウッド監督の「ハドソン川の奇跡」が公開され好評を得たばかり。あれもまだ10年もたっていない。

2013年4月15日、ボストンマラソンの開催中、コースわきで爆発が起きた。混乱と悲鳴の中、ボストン警察のトミー(マーク・ウォールバーグ)は必死に事態の収拾にあたる。現場にはほどなくFBI捜査官リック(ケヴィン・ベーコン)もやってくる。トミーは現場を最もよく知るものとして、リックのもとで、ときに彼らと衝突しながらも犯人捜査に尽力する。

USエアウェイズは09年だが今度は13年。ボストンマラソン爆弾テロ事件の映画化である。発生はまだほんの数年前。被害者たちが一体どんな気持ちでこれを見るのかと心配になるが、「パトリオット・デイ」は幸い、単なる下世話な興味で作られた映画ではなかった。

65点
子供お断りの完結編

「X-MEN」シリーズを支えてきた主人公ウルヴァリンにとっての完結編「LOGAN/ローガン」について、ジェームズ・マンゴールド監督は当初からR指定を条件にスタジオ側と交渉していたという。一方演じるヒュー・ジャックマンも自身のギャラを減らしてまで、その点にこだわった。この二人にとって、子供の観客を切り捨てないと描けないことが、どうしてもあったということである。

ミュータントが滅びつつある近未来。ローガン(ヒュー・ジャックマン)の治癒能力はほぼ失われ、チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)ももはや能力の制御が困難となっていた。かつての仲間たちもすでになく、チャールズは最後の願いとして幼い少女ローラ(ダフネ・キーン)を守り切れとローガンに託す。

この少女に隠された謎、チャールズの思いとは何なのか。戦闘力のほとんどを失ったローガン、ウルヴァリンは彼らを守りきることができるのか。正真正銘、最後の一本である。

65点
ポール・ウォーカーは去ったが……

ポールウォーカーが撮影途中で事故死したため様々な工夫でなんとか完成させた前作「ワイルド・スピード SKY MISSION」。あれから2年、続編となる本作は、徹頭徹尾ポールへの愛情が感じられる好編となった。

遠く離れた地で暮らすドミニク(ヴィン・ディーゼル)のもとに、ある任務の協力要請が入る。ホブス(ドウェイン・ジョンソン)や仲間たちが集められ、無事任務遂行と思いきや、ファミリーは信じられないものを見ることになる。

主演クラスのキャストを途中で失ったトラウマを払拭するがごとく、ファミリーの絆を強調する第8作である。昨日の敵は今日の友な週刊少年ジャンプ展開も繰り返し、いまや自動車版アベンジャーズといった様相を呈してきた。

65点
しっかりとした映画

長い間、岡田准一の主演映画をいくつも見てきたが、そのたび思うのはこの人の映画は内容の良し悪しに関わらず客を満足させるものがある、ということだ。これはおそらく、まだ映画スターと言うものが存在した時代に、人々が抱いた感情に近いのではないか。

富山県の漁港で殺人事件が起きた。被害者の川端悟(柄本佑)は、刑事の四方篤(岡田准一)の旧友、しかも容疑者の田所啓太(小栗旬)を加えた3人は、幼いころある秘密を共有した特別な関係であった。篤は過去のつらいしがらみを引きずりつつ、自分の半生と事件に向き合うことを余儀なくされる。

「追憶」はミステリドラマだが、ミステリとして特段優れているわけではない。ダメというわけではないが、ストーリーだけなら平均より多少良くできている、といったところだ。世の中には、お話だけならこれ以上のものはゴロゴロしている。幼馴染が成長して、容疑者と警官として再会する設定とか、子供時代に忘れられないトラウマを受けたとか、真新しさは皆無であろう。

65点
初期作のファンへ

スプリットは「シックス・センス」や「アンブレイカブル」といったM・ナイト・シャマラン監督の初期作に夢中になった人こそが一番楽しめる、原点回帰のスリラーである。

女子高生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)は同級生のクレア、マルシアとともにパーティーから車で帰る途中、男(ジェームズ・マカヴォイ)に拉致される。そして目覚めるとそこは密室だった。

監督初期作のファンこそが一番楽しめると書いたものの、それ以外の人も十分行ける。

65点
トランプもヒラリーも一網打尽

一年に一晩、12時間だけどんな犯罪も合法になる。そんな「パージ法」が施行された米国を舞台にしたスリラーシリーズの第3弾。

このシリーズは一見突飛な設定でありながら、現実のアメリカが抱える問題を浮き彫りにする社会派な作風で、私としても高く評価している。とくにこの「パージ:大統領令」は、シリーズ中もっとも色濃くそうしたテーマ性を感じさせる面白い一本である。

犯罪抑制のためとうたわれたパージ法の欺瞞がばれ始めていた。中でもかつて家族がこの法律による殺戮の犠牲となったローン上院議員(エリザベス・ミッチェル)はパージ廃止の急先鋒。次期大統領候補の彼女のもとには志を同じくする人々が結集しつつあった。だがそれを快く思わぬ政権側は、議員もパージの対象に含まれるようパージ法を改正し、2日後のパージの夜にローン暗殺を謀る計画を立てていた。

65点
特盛高品質アニメーション

アニメーションの魅力は多々あれど、実写以上に目立つのが背景美術であろう。群を抜いたクオリティの背景があったから、ジブリも新海誠も、そして本作の神山健治監督の作品も根強い支持者がいる。

2020年、東京五輪直前の倉敷。女子高生のココネ(声:高畑充希)は自動車修理業を営む不愛想な、だけどカッコいい父親(声:江口洋介)と二人暮らし。同じ家にいても会話はスマホのアプリ越しだったが、それなりに調和のとれた、仲のいい父娘だった。ところがあるとき父が警察に逮捕されてしまう。ココネはそのとき、自分が最近昼寝中に繰り返し見ている夢が、この状況を打開する大きなヒントになっていることに気付くのだった。

神山健治監督は背景美術出身のアニメ監督である。過去には「攻殻機動隊」のテレビシリーズや「東のエデン」といった作品で、熱狂的なファンを増やしてきた。

65点
アメリカのふりみてわがふり直せ

「マン・ダウン 戦士の約束」は優れた映画だが、プロによるものも含めて配慮に欠けるネタバレ紹介記事がネット上に溢れているという惨状である。そのため例によって、読者至上主義の当サイトの記事だけ読んで早めにお出かけあれ、とのアドバイスを真っ先に書かざるを得ない。まったく、どうしてああいう書き方しかできないのか……。

若き海兵隊員ガブリエル・ドラマー(シャイア・ラブーフ)は、愛する妻と息子を残し、アフガンの戦場へと赴任する。過酷な戦場生活にもなんとか耐えガブリエルは帰国するが、アメリカの街は変わり果て、妻と息子も行方不明になっていた。彼は親友で戦友のデビン(ジェイ・コートニー)と共に探しに行くが……。

異色の終末ものとでもいうべきか、まるでターミネーターの世界のような街を、屈強な海兵隊員二人が完全武装で歩き回る。戦闘経験は豊富、修羅場も慣れている。だが原因不明の事態を前に、彼らはほとんど無力だ。はたして二人は元の人生を取り戻すことができるのか。

65点
必死に生きる人々に勇気を与える力がある

「金メダル男」は、監督のウッチャンナンチャン・内村光良の思いがどストレートに伝わってくる点において、強く心に残る映画である。

東京五輪を前にした1964年に誕生した秋田泉一(内村光良)の平凡な少年時代が一変したのは、小学校の運動会で一等賞を取った時だった。そのあまりの快感に酔いしれた彼は、その後、書道や絵画、火起こし大会など何から何まで手を出し、一等賞を取ることにまい進するようになった。やがて成長した彼がどんな人生を歩んだかというと……。

独りよがりな芸術とやらを追求する自己陶酔的な映画を作ることが少なくない異業種監督のなか、内村光良監督の映画は伝えたい思いが常に最初に強くあり、そしてそれが伝わってくる点で大変好感が持てる。

65点
原作読者には十分な満足度

ジョジョ第四部が実写化される事で話題だが、ああいう長大な原作を実写化する場合、常に物語の最初から映画にするわけにもいかない。上映時間には限りがあるから、それでは最近の読者が喜ぶ「最新部分」に到着するまで何本も必要になるし、それを待ってくれるほど観客の我慢も邦画の予算もありゃしない。結果、なるべくコンパクトで一見さんでも引き込める部分をパイロット的に映画化することになる。ジョジョで言えばそれが第4部であり、ガンツの場合はこの大阪編ということになる。

高校生の加藤勝(声:小野大輔)は、地下鉄駅で人助けをしようとして事故死する。ところが死んだはずの彼はなぜかマンションの一室に転送され、事態を把握するまもなくアイドルのレイカ(声:早見沙織)らと大阪の街へと再び転送される。

大阪編はコンパクトだし人気もあるしで、原作ファンにはとっつきやすい3D-CGアニメにしたのだろうが、こうしてみると、大阪編の面白さは決して単独ではなく、やはりそこまでの熱いドラマの積み上げがあったからこそ、ということが改めてわかる。

65点
桃井かおりの独壇場

もともと俳優とは監督であれ観客であれ、他人の望むものを提供する仕事である。多少の裁量は許されても、好き勝手なことをすることは許されない。そんな中、プロ意識の高い桃井かおりが、監督としてはこれほど自由奔放な、前衛的な作品を打ち出してくることについて、私は非常に興味深いと感じている。

ある娼婦(桃井かおり)が、けだるそうに自分語りを続けている。場所はアメリカのクリニック。話を聞いている精神科医は、無表情で反応すらしない。だがそんなことを気にするそぶりもなく、彼女は生い立ちを語り続ける。かつて自分の火遊びのせいで両親が焼け死んだこと、いや、そもそも遊びではなかったのかもしれない。あやふやな彼女の言葉はあちこち飛び移り、やがておぞましき人生が明らかになってゆく。

桃井かおり監督2作目となる本作は、ほとんど彼女の一人芝居といってもいい、独白シーンがほとんどを占める奇妙なドラマ。会話だけで綴られた中村文則の短編小説「火」の映画化ということもあってか、きわめて独創的な作風となっている。クリニックの場面はロサンゼルスの桃井の自宅を用いて10日間で撮影されたそうだが、心なしかリラックスした雰囲気が感じられる。

65点
スター俳優を使うデメリット

「レヴェナント:蘇えりし者」は、レオナルド・ディカプリオが5度目のノミネートで悲願の主演男優賞を受賞した歴史ドラマである。

米西部の原野でヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)はクマに襲われ重傷を負う。しかも仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされる。復讐を誓った彼は怒りの力で奇跡的に息を吹き返し、壮絶な追跡戦を開始する。

上記あらすじあたりまでは実話だが、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督はそこに最愛の息子を殺害されるという濃厚な味付けを加え、より主人公の旅路を過酷かつ印象深いものとした。

65点
寄付と貧困の関係に迫る

本作は、日本語の副題になんだか惹かれるユニークなドキュメンタリー映画である。描かれるのはタイトルから想像する通り、途上国への寄付や援助がいかにその国をダメにしているか。人々の善意とは裏腹の結果をもたらしているか、実例と実名をふんだんにとりあげ、批判する内容となっている。

マイケル・マシスン・ミラー監督はこの問題の研究家であり活動家でもある。20カ国、総計200回以上の取材とインタビューは、こういう当事者でないとなかなか実現できない。一方的な見方であることは承知のうえ、それでも多くの気付きを与えてくれる教養になる一本といえる。

映画は専門知識のある人たちへのインタビューで構成される、いささか地味かつベーシックなつくりだが、本作ならではの特徴もある。それは、一時的に滞在して取材したジャーナリストなどではなく、年単位で現地に滞在して問題解決にあたっている人とか現地民といった「当事者」への取材が基本である、ということだ。当然ながら問題理解の深さも正確さも、取材相手としてはこのほうがベターであろう。立ち位置と、収入減がはっきりしている人の意見は参考になる。逆にその二つがあいまいな人間の話は、聞くだけ時間の無駄だ。

65点
子供以外全部CG

「ジャングル・ブック」は、かつてディズニーアニメにもなったラドヤード・キプリングの古典を、先鋭的な技術で実写化したいかにもディズニーらしい映画作品である。

人間の子供モーグリ(ニール・セティ)は、ジャングルで黒ヒョウのバギーラに拾われオオカミのラクシャによって育てられた。だが彼は、人間を災いの元と忌み嫌うトラのシア・カーンによって、ジャングルを去る決断を迫られる。

映画は人間の村を目指してバギーラと旅に出たモーグリの冒険と成長、そして追うシア・カーンとの戦いをアクションたっぷりで見せる娯楽作品である。モーグリ以外はすべてCGという、きわめて前衛的な形で実写化された。

65点
アメリカ映画トリビア集

「ハリウッドがひれ伏した銀行マン」は、映画ビジネスに興味がある50才くらいまでの人にはたまらない、アメリカ映画のトリビア満載ドキュメンタリーである。

ここで描かれるのは一人のオランダの銀行マン。フランズ・アフマンという名の彼は、90年代ごろまでのハリウッド映画を資金面から支えた業界の功労者である。

その作品たるや『ターミネーター』『プラトーン』『ランボー』などキラ星のようなラインナップ。彼が手がけた作品は独立系の製作会社によるもので、もし彼がいなかったらその多くはボツ企画となったか、さらに予算規模の小さい地味な作品になっていたかもしれない。

65点
強烈なる実名実録映画

「太陽の蓋」の試写会をみたある映画業界関係者はこういったそうだ。いつの間にこれだけの規模の、原発タブーに触れた映画を完成させていたんだ、と。

2011年3月11日、東日本大震災に伴う福島第一原発で深刻なメルトダウン事故が発生した。このままでは日本が壊滅する恐れまであった。官邸の菅直人(三田村邦彦)は枝野幹事長(菅原大吉)、内閣官房副長官・福山哲郎(神尾佑)らと、未曽有の危機対応に追われることになるが、肝心の電力会社や原子力委員会は、この期に及んでも隠蔽に走ったり、ひたすら狼狽する有様であった。

冒頭の関係者の気持ちはよくわかる。映画作りは多数の企業が関わるため、原発タブーは非常に強い。とくにメジャーな映画会社では、反原発のテーマは簡単には扱えない。まして福島原発事故の関係者を実名で登場させる劇映画など、危なすぎてまず企画が通るまい。

65点
重厚な日本映画だが

「64-ロクヨン」は横山秀夫のミステリ小説の映画化で、前後編あわせて4時間の、大作感ある重厚なドラマである。

平成14年12月。ロクヨンと呼ばれる昭和64年に起きた誘拐事件の時効があと1年と迫っていた。そんな折、管内で新たな誘拐事件が発生する。そしてその事件は、まるでロクヨンをなぞるかのような手口であった。警察広報室の三上(佐藤浩市)は記者クラブと報道協定を結ぶ必要に迫られるが、情報公開が進まぬ警察側とマスコミとの溝は深まるばかりだった。

5月7日に公開された前編に続き、6月11日から後編が公開となる。どちらかだけ見る人というのもいないだろうしもう両方公開しているので、ここはまとめて語った方が読者にも親切と判断する。よって本記事では、前編後編両方見た上での評価となる。

65点
富士の樹海と自殺を題材にした外国映画

名匠ガス・ヴァン・サントが、日本最大の自殺の名所を舞台に日本人の死生観を描く。なかなかユニークだが難しそうな企画である。しかし、渡辺謙が彼らに不足している日本についての知識を積極的に補うべくアドバイスをしてくれたため、「追憶の森」は日本人にとってこそオススメの人間ドラマとなることができた。

ある理由から人生を終わらせることを決意し、死に場所として富士の樹海を選んだアメリカ人男性アーサー(マシュー・マコノヒー)。ところが森の中で彼は、負傷して森から出たがっている日本人タクミ(渡辺謙)と出会う。タクミを救うべく森を歩き始めたアーサーだが、やがて二人はどちらともなく自分のことを語り始める。

森の中での会話劇がメインだが、さすがオスカー級ふたりの演技合戦は見応えがあり、かつ一流監督が作り上げる青木が原の物語は退屈知らず。実に面白い。渡辺謙が焚火のシーンで相手を思いやる表情などとくに素晴らしく、じつに胸を打つ。そもそもこの映画の脚本じたい、ブラックリスト(製作されていない優良脚本)のひとつだからハズレのはずがない。

65点
子供向きでもここまでやる

「フィフス・ウェイブ」は、日本では超大作アクション映画のように思われているが、実際は「トワイライト」あたりのメイン客、日本でいうライトノベルファンを対象にした子供向けアクション映画である。

アザーズと呼ばれる謎の地球外生命体の攻撃により、人類は滅亡寸前まで追いやられる。そんな中、軌跡手に生き残った高校生キャシー(クロエ・グレース・モレッツ)は、生き別れた弟を探すため銃を手にひとり戦い続けるのだった。

中高生向け終末映画ではあるが、だからといって子供だましでないところがアメリカ映画のすごいところである。

65点
突っ込みだらけだが押しきる役者力

タイムリープものには傑作が多い。それは脚本上の矛盾を何度もチェックし、それがブラッシュアップに繋がるのが要因だが、「僕だけがいない街」はそうした形跡がないにも関わらず、役者の力で面白い映画に仕上がった珍しい例である。

売れない漫画家で、宅配ピザ店でのバイト代で暮らしている藤沼悟(藤原竜也)は、バイクでの宅配中、またいつもの違和感を感じ取る。同じ時間を何度も繰り返す「リバイバル」と彼が呼ぶ現象は、たいていの場合、悟に何かの事件を知らせる働きを持っている。彼は「リバイバル」が知らせる誰かの命の危機を、はたして救うことができるのか。

のっけから引き込まれるし先が気になるし、日本映画としては抜群の面白さを誇る。今年これまでみた漫画の実写化の中では、かなりいい部類にはいる。

65点
韓国人大喝采

イ・ビョンホンとチョ・スンウ、崖っぷちとまでは言わないが下降ぎみだった二人の評価を再浮上させた韓国歴代ナンバーワンヒット映画「インサイダーズ/内部者たち」は、なるほどなかなか見ごたえのある社会派ドラマである。

大手自動車会社の会長(キム・ホンパ)は、与党の大統領候補チャン・ピル(イ・ギョンヨン)にカネを流し、政界への影響力を決定的にしようとたくらんでいた。黒幕として、その仲立ちをしていた大手新聞、祖国日報主幹のイ・ガンヒ(ペク・ユンシク)は、汚れ仕事を任せていたゴロツキのアン・サング(イ・ビョンホン)に裏金ファイルの回収を命じるが……。

R18指定作品史上、というくくりにしても史上一位というのはすごい。なによりこうした、決して女性向きではない男臭いドラマにこれだけ客が入るということが、女性&子供向け市場しか存在しない日本人としては羨ましい。

65点
よくできたレプリカのよう

徹底した秘密主義で内容も映像も見せず、プレス試写などを繰り返して周知徹底を図るパブリシティの王道に背を向けたディズニー版スター・ウォーズ新章。なるほど、知名度も期待度も映画界の最高峰たるスターウォーズにはこれ以上の褒め記事はいらない、むしろ批判記事や酷評さえ避ければ勝てるという判断か。確かにその戦略は圧倒的に正しい。とくに中身の出来栄えを見た今となっては余計にそう思う。

最後のジェダイ、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が姿を消した。その命を狙う帝国軍の残党ファースト・オーダー陣営と謎めいた指揮官カイロ・レン(アダム・ドライバー)は、血眼になってその行方を追っていた。一方、レイア・オーガナ(キャリー・フィッシャー)率いるレジスタンスたちも、切り札としてのルークを探し求めていた。そんな中、ついにルークの行先が書いてある地図が発見されるが……。

ストーリーはシンプルで、ボール型ドロイドに託されたこの地図を、善と悪の両陣営が奪い合うというもの。世界観は複雑だが筋書きはシンプル。これぞシリーズの伝統である。これによってこのシリーズは、子供も楽しめる間口の広さと、大人が趣味として入れ込める奥行きの深さを両立させている。

65点
スパイ映画の最後の大物

スパイ映画の当たり年といわれる2015年。その大トリとして登場する007シリーズ最新作は、シリーズへの重い入れが強い人とライトユーザーで大きく評価が変わる出来映えとなった。

ボンド(ダニエル・クレイグ)は生家スカイフォールで焼け残った写真を手掛かりに、メキシコ、そしてローマへと渡る。一方、所属組織MI6も組織改編の波にさらされ、消滅の危機に瀕していた。その状況の背後に忍び寄るのは、謎の犯罪組織スペクター。はたしてボンドの自分探しの旅の終着点には何が待ち受けているのだろうか。

本作のメディア上での批評はおおむね良いようである。その理由のひとつは、それらを書いているのが映画の専門家で、シリーズの基礎(以上の)知識を身に着けているから。つまり「007 スペクター」は、007フリークのような層には非常に評判がよい。

65点
ユニークなアクションと世界観

近接戦闘アクションに特化した「ジョン・ウィック」は、なるほど確かに新鮮だが、まだまだ改良の余地がありそうだ。

妻の思い出というべき愛犬を、マフィアの若僧に殺されたジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)。実はジョンは元凄腕の殺し屋であり、すでに足を洗っていたのだが、この暴挙により怒髪天を衝く勢いで怒りの復讐を開始する。

ガンフーと名付けられた柔術アクションは、室内などでゼロ距離といっていいほどに間合いを詰め、敵の銃撃を交わしつつとどめを刺していくユニークなもの。

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