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70点
70年代B級アクション映画のレプリカ

米国と、日本でも先月六本木ヒルズで公開されたイベント上映『グラインドハウス』は、B級映画マニアとしてのクエンティン・タランティーノ(およびその仲間たち)らしい、遊び心に富んだ企画だった。

"グラインドハウス"とは、アクションやバイオレンス、セックスの要素を盛り込んだ安っぽいB級映画を2〜3本立てで短期間公開する興行形態の映画館のこと。今ではほぼ全滅したが、日本にもかつては町にひとつくらいそんな映画館があった。ゴミひとつ落ちていない、総入れ替え制の綺麗なシネコン世代には想像できないかも知れないが、やたらと映画に詳しいオジサンたちの中には、こういう所で映画に親しんだ人が多い。

タランティーノももちろんその一人で、彼はあの独特のいかがわしさ、面白さを若い映画ファンにも知ってもらおうとこれを企画した。盟友ロバート・ロドリゲスにもその魅力を語って聞かせ、真っ先に引き込んだという。そして二人で長編を一本ずつ持ち寄り、間に架空の予告編(これも名だたる個性派監督が担当)を4本挟み、2本立てとして公開した。

70点
日本アニメの魅力がつまったオムニバス

短編を集めたオムニバスという形式は、全部が好みでなくとも楽しめるという点で、飽きっぽい人に向くと私は思っている。たとえ興味がなくとも15分待てば次が始まるのだ。120分間苦痛が続く可能性がある長編作品を見るよりは、圧倒的にリスクが少ない。

『Genius Party ジーニアス・パーティ』は、適度に前衛的・実験的な作品あり、万人ウケしそうな娯楽作品ありと、幅広いジャンルを誇るオムニバスアニメーション作品。真っ先に感じるのは、これだけいろいろなジャンルを平然と作ってのける日本アニメ界の層の厚さと、これまたそれを平然と受け入れるであろう日本のアニメファンの懐の深さである。

ジブリ作品のようなファミリーアニメから、それこそロリータ趣味のエロアニメまで、すべて一人でたしなむファンすらこの国では珍しくない。実写映画の世界では、なかなかそういう人はいない。だが、そんなアニメファンたちの存在によって、日本のアニメ文化は磨かれ、今では世界に誇るコンテンツに育った。彼らの情熱とスケベ心に、私は最大限の敬意を表する。

70点
加えたものはすばらしく、削ったものは致命的

乙一というミステリ作家の小説は、文章や構成はライトノベル的な子供向けの印象だが、その発想はなかなか鋭く、必死に読者を楽しませようというエンターテナー精神も旺盛なので個人的には好感度が高い。この映画の同名原作「きみにしか聞こえない」は彼の代表的短編のひとつだが、まさに上記の特徴が如実に現れた見所ある一篇だ。

リョウ(成海璃子)は学校で孤立しがちな女子高生。友達がいないからクラスでただひとり、ケータイを持っていない。ある日彼女は公園でおもちゃの携帯電話を拾うが、驚くべきことにそこに着信がはいる。恐る恐る出た電話の相手はリサイクルショップ店員を名乗るシンヤ(小出恵介)。やがて念じあうだけで通話できることがわかった二人は、四六時中の会話を通じて心を開きあっていく。

いまどきの高校生にとって、クラスでただひとり携帯を持っていないということがどんな意味を持つか。非常に現代的で、鋭いところをついた設定だと原作を読んだとき私は感じた。ケータイがほしいと願っているヒロインは、つまりは友達を渇望しているのだ。彼女の気持ちに痛々しい共感を覚える若い人は少なくあるまい。

70点
99%の人にとっては0点

なぜこの点数なんだと思うかもしれないが、そこだけ見て判断しないでほしい。これは「ビートたけしのやることならすべて受け入れられる」という特殊な人がみてギリギリこのくらいだろうという点数であり、それ以外の人にとってこの映画はおそらく0点である。

主人公の映画監督キタノ(ビートたけし)は、得意のギャング映画を「二度と撮らない」と宣言してしまった。そこで、これまで撮ったことのない小津安二郎風のドラマや流行の昭和ノスタルジーもの、ホラーやらラブストーリーに挑戦するがどれも性に合わない。そんな彼がたどりついた詐欺師とその娘を主人公にしたストーリーは、しかしそのどれよりも無茶苦茶なものだった。

『ALWAYS』風の昭和懐古ものを撮ってみたら、治安の悪い下町でとてつもなく貧乏なガキどもが暴れまくる、夢のかけらもないどころかあまりにリアルすぎてシャレにならない映画になった。北野監督が典型的な人気ジャンルを手がけると、こんな風になるよ的なショートムービーの連続で、前半は大いに笑わせる。冗談とはいえそれぞれの作品は豪華なキャストと本格的な撮影でクオリティが高く、大いに見ごたえがある。

70点
聖書&オカルトものとしては上質な部類

日本はキリスト教の国ではないので、聖書をネタにしたような映画はあまり受けない。クリスチャンなら誰でもわかるような「暗黙の事実」が私たちにはよくわからないし、そもそも興味が無いからだ。ましてそれがただでさえ人気の薄いオカルトジャンルの恐怖映画だとしたら、宣伝マン泣かせもいいところ、だ。

そんなわけで『リーピング』は、『ミリオンダラー・ベイビー』(04年)の女ボクサー役でアカデミー主演女優賞に輝いたのも記憶に新しいヒラリー・スワンクの主演作でありながら、興行的には苦戦が予想される一本。

かつて聖職者だったキャサリン(ヒラリー・スワンク)は、ある事件を契機に信仰を捨てた。今では、涙を流すキリスト像や病気を治す棺など世界各地の「奇跡」を科学で解き明かしてしまう、無神論者としてその名をとどろかせていた。ところが今回の調査では、旧約聖書の十の災い(出エジプト記)をなぞる超常現象が連続。現代科学という絶対的価値観が揺らぎつつある彼女とそのチームは、村人が災いの元と迫害する森の中の少女(アンナソフィア・ロブ)に会いに行くが……。

70点
単なるドッキリカメラにとどまらない社会派

本作は、アメリカで爆発的な話題を呼んだ映画だ。しかしその特殊な性質から、日本では公開すらしないのではないかと危ぶまれた一本でもある。お国柄の違いといってしまえばそれまでだが、そのくらい"アメリカ人向け"に特化して作られた作品ということだ。

『ボラット』は、ジャンルで言えばモキュメンタリーということになる。モキュメンタリーとは、ドキュメンタリー"風"に撮られた作品のこと。事実を追いかけるドキュメンタリーと違い、あくまで"風"。平たく言えばニセドキュメンタリーということだ。

中でもこの作品の場合は、一言でいうとドッキリカメラ。「カザフスタンからやってきたテレビリポーター」という設定の主人公ボラットが、「文化交流」と称してアメリカ中を旅しながら一般人にイタズラを仕掛けて回るという、大迷惑なお話だ。

70点
スタローンが命をかけて作った一本

おそらく30代以上の男性にとって、ビル・コンティ作曲によるこのシリーズのテーマ曲『Gonna Fly Now』ほど心を奮い立たせるメロディはないだろう。あれが流れ、画面に巨大な「ROCKY」の文字がスクロールすれば、もはやそれだけで感無量、というほどほれ込んだファンも少なくない。

そんなロッキーシリーズもいよいよこれで大団円。前作パート5もそううたってはいたが、このシリーズを生み出したシルベスター・スタローン自身が「あれは失敗作、だからこれを作った」と語るとおり、さすがにこれ以降はなさそうだ。

ボクシングを引退したロッキー(シルベスター・スタローン)は、愛妻エイドリアンも亡くし、今はフィラデルフィアで小さなイタリア料理店を営んでいる。ずっと父の栄光と比べられて生きてきた息子からも避けられ、いまや客相手に昔話を繰り返すだけの日々だ。そんなある日、無敵の現役チャンピオン(アントニオ・ターヴァー)と全盛期の自分のシミュレーション対戦をテレビで見た彼は、くすぶる情熱を抑えきれず、ついに現役復帰を決める。

70点
とてつもなく不気味な要素を隠し持つ

最近のアメリカ製長編アニメ映画の多くは、正直なところどれも同じでまったく面白くない。

決まって動物が主人公で、似たような性格設定の擬人的キャラクターが似たような冒険をする。CGの出来の良さだけが自慢という、どうしようもないアイデアの貧困さに、私はウンザリしている。このままでは倖田來未の二番煎じから脱却できぬ後藤真希同様、ピクサー以外は没落の一途をたどるに違いあるまい。

ところがそんな中、この『ハッピーフィート』はほんのわずかだが独自色を打ち出すことに成功した。それが何かは後述する。

70点
テロリストの最後の一日のすごし方

『パラダイス・ナウ』は、私たちがいわゆるテロリストと呼んでいる存在、とくに自爆テロを行う人間が、最後の一日をどう過ごすかを詳細に描いた異色のドラマだ。

テロは問答無用の悪だと考える人々にとって、人間としての彼らの行動原理を理解しようという試みはすべて受け入れられないものと見え、この映画に対しても激しい反対の署名運動が繰り広げられた。それが影響したのかその年(2005年)のアカデミー外国語映画賞は逃したものの、本作が優れた映画作品であることに違いはない。

主人公の若者二人は長年の親友同士。彼らはパレスチナのイスラエル占領地ナブルスで自動車修理の仕事をしている。ロードプロックとフェンスに囲まれた不自由な町の中、閉塞感と貧しさは彼らの未来に大きな影を落としていた。ある日二人は、所属する抵抗組織が行う報復爆破作戦の実行者へと抜擢される。作戦は48時間後。二人は最後の日々をあわただしくすごし、やがてそのときを迎えるが……。

70点
深く感動を覚える人間ドラマに隠された、監督の執念

交戦中というわけでもない平和な隣国の一般市民を国家命令により拉致し、その罪を認めながらもいまだ被害者を返そうとしない。北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国による、決して許されない蛮行を、被害者に焦点を当てて描いたドキュメンタリー。

日本人ではなく、あくまで海外の「拉致問題を知らない人々」へ広くアピールするための作品なので、もともと私たちはターゲットではないということを理解した上で鑑賞するのがポイントだ。そうすることで普段見ているニュース報道とは違った、さまざまな発見をすることができる。

たとえば、タイトルからわかるとおり、本作は横田めぐみさんの家族を追いかける、人間重視の作風。マイケル・ムーアの扇情的な作品群のように、北朝鮮に対する批判などの政治的主張はほとんど見受けられず、あくまで悲劇に直面した夫妻の話として、ある程度距離をおいて彼らを見つめるのみだ。つまり、拉致問題を社会問題の側面からとらえるのではなく、人間ドラマとして描いている。

70点
人によって楽しみ方が大きく異なる映画

以前私は、「外国映画とは、そのときのその国民の空気感を知ることができる楽しみがある」というような事をこのウェブサイトで書いた記憶があるが、韓国で6人に1人が見たというほどの大ヒット作『トンマッコルへようこそ』は、まさにそうした楽しみ方ができる最たるものだ。この奇妙な戦争映画は、他に例を見ない独特の個性をもっており、大いに見る価値のある一本といえる。

1950年代、朝鮮半島の山深くの村トンマッコル。素朴で平和な人たちが住み、自給自足のつつましい暮らしを送るこの村に、米国人パイロットの操る戦闘機が不時着する。時を経ずして今度は道に迷った韓国軍兵士や、北朝鮮軍の兵士が村にやってくる。おりしも朝鮮戦争の真っ只中で、敵味方、そして同盟軍として戦う三者が集い、村は一触即発の状態となる。

『トンマッコルへようこそ』は、現実に起こった朝鮮戦争を題材にしながらも、その内容は限りなくファンタジーといってよい、不思議な映画だ。この架空の村トンマッコルでは、ありえないほど平和でのんきな暮らしがはぐくまれており、ここに集った戦争中の兵士たちは、彼らに影響を受けて、やがてお互いを理解し始めるという展開。

70点
比較的まっとうだったラストムービー

『木更津キャッツアイ』は、今をときめく脚本家、宮藤官九郎の代表作であり、カルト的人気を誇るテレビドラマシリーズだ。放映当時は決して高視聴率ではなかったが終了後、あれよあれよという間にその評判が広がり、映画版も2本作られることになった。この『ワールドシリーズ』は、いよいよそのシリーズの最後、完結編となる。

余命わずかと宣告されながらも、しぶとく生きつづけたぶっさん(岡田准一)がついに死に、3年の月日が流れた。あれほど強い結束を誇った残りのメンバーも、すでにバラバラになっていた。そんな中、ただ一人木更津に残ったバンビ(櫻井翔)は、あるとき謎めいた天の声を聞く。さんざん的外れな行動を経た後、その声が「野球場を作れば彼は戻ってくる」との意味だと気づいたバンビは、早速メンバーを集めて実行に移すが……。

ゲスト出演者ではなく、すでに死んでいるオジーを含めた、キャッツの中核的メンバーによる大団円だ。クドカンによる脚本は、このシリーズの伝統である時間まき戻しの効果を取り入れながら、回想その他さまざまな形でぶっさんやオジーを登場させる。しかし、そうした演出技巧にはけっして必要以上に頼らず、前作に比べてストレートな人間ドラマとして仕上げた。各キャラクターは相変わらずのバカをやっているが、最後にはホロリとさせる、そんな内容だ。

70点
イーストウッドらしい、静かでセンスのいい戦争映画

日米が戦ったあの戦争の中で、もっとも重要かつ激戦だった戦場のひとつに、硫黄島の戦いがある。第二次大戦を通して、米軍側の勲章のほとんどがこの戦闘の功労者に与えられたことからもわかるとおり、硫黄島は両国にとって重要な戦略拠点であった。

映画の中でも説明されているが、簡単にいうと日本にとっての硫黄島は、本土爆撃に向かう米軍側長距離爆撃機に対する警戒基地の役割を果たしていた。このおかげで日本軍は、本土で十分な迎撃・避難体制をとることができていたのだ。ところが硫黄島が落ちてからは、この場所が米軍の重要な補給、そして爆撃機を護衛する戦闘機の基地となり、日本本土はみるみる焼け野原と化していった。

この戦いを、二部作として描くことを決めたのが、いまや米国を代表する巨匠クリント・イーストウッド(「ミリオンダラー・ベイビー」「ミスティック・リバー」など)。この第1弾は米軍側からの視点、12月に公開される第2弾『硫黄島からの手紙』は、日本側の視点から描かれる。

70点
B級パニックアクションのキモを完璧に理解したつくり

飛行機という乗り物は、人間が本能的に恐れる乗り物のひとつだ。あの鉄の塊が、いかなる技術でもって空を飛ぶのか、理解できない人間はもちろん、わかっていてもなんとなく怖い。なにしろ墜落事故はおきたが最後、老いも若きも一巻のおわりなのだから。

そして蛇。これも人間が本能的に嫌う動物の代表格といえる。てらてらと光る表面。くねくねと、手も足もないくせに異様にすばやい動き。おまけに一撃必殺の毒をもち、自分より巨大な獲物を丸呑みする常識はずれな習性……。

では、この二つが同時に襲ってきたらどうなるか。墜落の危機に瀕した空の密室、旅客機内に、数え切れないほど多数の毒蛇が放たれる。まさに、パニック必至。そんな映画が「スネーク・フライト」だ。

70点
あきらかに時期尚早なわりには、なんとか見ごたえある大作に仕上げた

アメリカ同時多発テロ事件から5年、事件を直接の劇映画として描く試みが、続々行われている。この『ワールド・トレード・センター』もそのひとつ。

実体験を元にベトナム戦争の過酷な現実を描いた『プラトーン』(86年)、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を、陰謀論の観点から追った『JFK』(81年)など、社会派作品で知られるオリバー・ストーン監督が、大掛かりな予算をかけて作った作品だ。

2001年9月10日。普段どおり勤務についた港湾警察のジョン・マクローリン巡査部長(ニコラス・ケイジ)。やがて彼の耳に、WTCに航空機が突っ込んだとの信じがたい報告が入る。わけもわからず現場に急行した彼は、部下のウィル・ヒメノ(マイケル・ペーニャ)らとともにビル内に救出作業に向かうが、そのとき建物が崩落、彼らは瓦礫の下敷きになってしまう。

70点
他人の人生にかかわる怖さを描いた、見ごたえあるドラマ

トルーマン・カポーティという人は、ノンフィクション小説のパイオニア。彼が、1959年におきたカンザス州一家4人惨殺事件の犯人に獄中取材し書き上げた『冷血』は、大ベストセラーとなり、世間に衝撃を与えた。映画『カポーティ』は、その執筆過程を丹念に追った伝記ドラマだ。

1960年、殺人犯スミス(クリフトン・コリンズ・Jr)の存在を知った作家カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、彼が起こした事件を次回作の小説にすべく、何度も接触を試みる。彼は、親身になって話を聞いてやり、やがてスミスに心を開かせることに成功する。ところがカポーティはその裏で、彼を信頼して真実を打ち明けたスミスを裏切るような内容の小説を書いていた。

できれば題材となっているカポーティの小説『冷血』や、彼の盟友であるネル・ハーパー・リー(キャサリン・キーナー)の『アラバマ物語』について、予備知識があるといいが、無いとだめというわけではなく、基本的には誰でも(作家の取材・執筆過程に興味がある人ならば)楽しめるだろう。

70点
下ネタで笑いまくろう

近年、比較的高年齢な男性の童貞率が話題になっている。週刊誌などで見たところによると、40歳の約10%が童貞なのだそうだ。カトリックのような厳しい戒律がある宗教とはほとんど縁のない日本では、とくに童貞という事実は重荷となって男性の背中にのしかかる。そこで公開されるのが『40歳の童貞男』。秀逸な邦題が話題の、アメリカ製コメディ映画だ。

テレビゲームやフィギュア収集が趣味のアンディ(スティーヴ・カレル)は、マジメすぎる性格がたたって40歳の今も童貞。しかも、悪いことに職場の悪友3人組に、その事実を知られてしまう。翌朝には、早くも職場全員に知れ渡ってしまった上、なんとか童貞喪失させてやろうという周囲の余計なお世話に悩まされる羽目に。アンディとしては、彼らが紹介するナンパな女性たちより、誠実でやさしい向かいのショップ店員(キャサリン・キーナー)が気になるのだが……。

『40歳の童貞男』は、高年齢童貞をテーマにした、ロマンティックコメディの亜流である。しかし、日本で問題になっているような、「趣味にハマるあまり、女性とのコミュニケーション能力を得る機会がなく、結果として童貞のまま中年になってしまったオタク」についての社会風刺や、問題提起はほとんど行わない。単に、高年齢童貞という主人公の設定として、もっとも説得力がある"オタク"を採用したというだけ、といった印象だ。

70点
無名の人々にささげられた、大まじめな9.11映画

9.11同時多発テロ事件では、4機の旅客機がハイジャックされたが、たった一機、ユナイテッド航空93便だけは、目標に到達することなく墜落した。果たしてその機内では何が起きていたのか。マット・デイモン主演のアクション映画『ボーン・スプレマシー』で、切れのいい演出を見せたポール・グリーングラス監督が、ノンフィクション風の演出で映画化する。

2001年9月11日、何機かの航空機が不審な動きを見せ始める。管制塔や関連当局が戸惑う中、ニューヨークのワールドトレードセンタービルに、最初の旅客機が突入。やがてユナイテッド93便の機内でもハイジャック犯人が立ち上がり、行き先をホワイトハウスに変更させる。高度が異常に低いことを不審に思った乗客たちは、やがて各自の携帯電話等でWTC炎上を確認する。死を覚悟し遺書を残すもの、愛する家族に電話をするもの、機内の緊張感が極度に達したとき、彼らは団結し、機を取り戻すことを決意するのだった。

ホワイトハウスに突入するはずだったハイジャック機の中で起こった、知られざる感動の人間ドラマだ。監督たちは当局の関係者、そして遺族に綿密な取材を行い、特に遺族からは、機内から家族への最後の電話の内容などもインタビューした。演じる俳優たちにはそれぞれの人物の生い立ちや、当日の空港までの足取りまで伝え、役作りを行ってもらったという。安直なヒーロー映画にしないため、役者はあえて無名の俳優だけを使った。

70点
ナンパ経験者の男性に観てほしい

『ハード キャンディ』は、全世界の男性にとって猛烈に恐ろしい映画だ。低予算で作られてはいるが、安っぽさは微塵も感じさせず、その面白さは100億円クラスの超大作をはるかに上回る。とくに、合コンやら出会い系やらで、女の子と遊んだ経験のある男性ならば、グイグイと引き込まれてしまうに違いない。

主人公はカメラマンの30代男性(パトリック・ウィルソン)。彼の趣味は、出会い系サイトで少女を引っ掛けること。今日も見事14歳とアポとりに成功、しかも、面接してみたらこれがなかなかの美少女(エレン・ペイジ)、おまけに頭の弱そうなガキだから楽勝だ。適当に誉めそやし、口車に乗せ、見事自宅に連れ込む彼。少女は年の割になかなか乗り気で、SMプレイなんかもいける口らしい。ところが、緊縛プレイに付き合って、テーブルに縛り付けられた彼の股間=タマに、少女はなぜか氷パックを押し付ける。そしてハサミを取り出し言うのだ。「さあ、手術をはじめるわよ」

ナンパ男の悲劇、というやつである。なぜ彼は、こんな目にあわなければならないのか。

70点
一般人ウケを捨て、ファン向けに特化した潔さ

今年の夏映画は、アニメーション作品や漫画が原作の映画が目立つが、この『ハチクロ』も、羽海野チカ作の少女漫画の実写化。美術大学を舞台に、等身大の若者たちを描く群像劇で、『NANA』と並び話題に上ることが多い人気作だ。

美大教師、花本修司(堺雅人)の研究室に入り浸る美大生、竹本(櫻井翔)は、先生の親戚の少女、はぐみ(蒼井優)に一目ぼれする。しかし、変人ながら圧倒的な才能を誇る先輩、森田(伊勢谷友介)も、どうやら彼女に思いを寄せているようだ。竹本は、はぐみに強く好意を寄せながらも、はぐみと森田、二人の天才同士の世界に入り込めず、疎外感を感じていく。

『ハチミツとクローバー』は、よく引き合いに出される『NANA』に比べると、やや低年齢向きという印象を受ける。それは、登場人物から性欲というものが一片も感じられないため、恋愛ドラマの展開に大きく制限が加えられてしまい、恋愛というものの表層を描くにとどまっているためだ。

70点
現代を舞台にしているのにどこか懐かしい、優れた映画作品

この映画に声の出演をしている谷村美月は、悪名高いあの「海賊版撲滅キャンペーン」のCMで、黒い涙を流すかわいい子だが、本作の試写会では、偶然私の横の方の席に座っていた。ご本人を横にして、あのドクロのCMを見るのは妙な気分であったが、本編では彼女、立派な演技を見せていた。

さて、そんな『時をかける少女』、筒井康隆の同名原作は、原田知世や内田有紀、南野陽子などアイドル主演で何度もテレビドラマ、映画化されているから皆さんもご存知とは思うが、今回は初の長編アニメーション、しかもオリジナルストーリーで映画化である。アニメーションの製作は、『千年女優』や『東京ゴッドファーザーズ』など、高品質で手作り感あふれる作品で世界的な高評価を得ているマッドハウスによる。

ヒロインは、これまでの『時をかける少女』の主人公だった芳山和子(声:原沙知絵)の姪で、高校生の紺野真琴(声:仲里依紗)。ある日彼女は、偶然にも時間跳躍の能力を身に付ける。20年ほど前にその力を持っていたと話す叔母に相談しても、原因は何もわからない。能天気な真琴は、テストの結果操作や好きなお菓子を何度も食べるためなど、ろくでもない事に能力を使いまくるが、そのタイムリープは彼女の知らぬうちに、彼女とその大切な男友達二人の運命を、大きく変えていたのだった。

70点
女子割礼を真っ向から批判した社会派映画

アフリカやアラブ諸国、アジアの一部では、現在でも女子割礼が行われている。女子割礼とは、女性器切除(FGM)のこと。具体的には性感帯となる性器の一部を切除したり、ひどい場合には膣口を縫合したりする。不衛生な環境で行われる事も多く、手術が原因で亡くなる事も多い。運良く生き延びたとしても、その後一生、排泄、生理、そして性交時などに苦痛を伴い、分娩時の死亡率も(母子ともに)大きく高まる。

割礼などというと宗教儀式と思われがちだが(現地の人々もそう誤解している)、イスラム教にもキリスト教にもそんな決まりはなく、土着の慣習であることが明らかになっている。

『母たちの村』は、アフリカ映画を代表する83歳の映画作家、ウスマン・センベーヌが、この悪しき風習を痛烈に批判した劇映画だ。

70点
スリリングな10代の時間を見事に表現した青春映画

『さよなら、僕らの夏』は、ある少年たちの一夏の出来事を描いた青春映画。わずか87分間のドラマだが、もともとこの脚本は映画化前から高く評価されていたもので、出来上がった本作もサンダンス映画祭ほか、各国で絶賛を浴びた。

出来をみると、監督の心理描写センスが優れており、美しい風景とそこでおきる恐ろしい出来事を、緊迫感あふれる演出で見事に表現している。数千万円という、比較的低予算でつくられた、作家性あふれる映画だが、見ごたえは下手な大作映画よりはるかにある。

主人公の中学生サム(ロリー・カルキン……名子役だったマコーレー・カルキンの弟だ)は、同級生ジョージからイジメをうけていた。それを知ったサムの兄は、友人らとジョージをこらしめる計画を立てる。それは、サムの誕生日を装ってジョージを川下りに誘い出し、泳げない彼を川に放り出して笑うというたわいもないものだった。ところが当日、ボートに乗って出かけた彼らの前には、予想外の恐ろしい出来事が待ち受けていた。

70点
弱者の立場を想像してあげて、と語りかける

イラク日本人人質事件。インターネットを利用する皆さんにとっては、特に記憶に新しい事件ではないだろうか。ジャーナリスト志望の少年、市民ボランティアの女性、フリーカメラマンの男性3人が戦時中のイラクで拉致監禁され、犯行グループが自衛隊の撤退などを日本政府に要求した事件のことだ。

このとき日本では、とくにインターネット上で激しい被害者バッシングが巻き起こり、自己責任論なるものも噴出、やがてその論調で報道するマスコミまでも現れた。映画『バッシング』は、この一連の事件をヒントに、おそらく被害者の一人、ボランティア活動のためイラクに入国した女性をモデルにして作られた劇映画である。

北海道の海辺の町で暮らす高井有子(占部房子)は、中東でボランティア活動中、武装グループに拉致監禁され、その後無事帰国して以来、激しいバッシングを受けていた。仕事はクビになり、匿名の嫌がらせ電話はひっきりなしにかかってくる。それらは唯一の味方である父親の職場にまでおよび、彼女とその家族は追い詰められていくのだった。

70点
3割はオバカ映画

『トランスポーター2』は、ジェイソン・ステイサム演じる主人公の運び屋の活躍を描くアクションドラマだ。ジェイソン・ステイサムとは、元水泳飛び込みのトップアスリートで、非常に身体能力の高いアクションスター。世界一カッコイイハゲとしても(一部で)有名である。監督やアクション振り付け、また製作のリュック・ベッソンなど、主なスタッフも前作から引き継いでいる。

ブラックスーツに身を包み、ドイツ製の黒い大型セダン(前回はメルセデス、今回はアウディ)を自在に駆る、クールな主人公の運び屋(J・ステイサム)。最近の彼は、危険な仕事から足を洗い、ある金持ちの一人息子である少年の運転手をしていた。少年やその美しい母と、徐々に心通わせつつあった彼は、この仕事を大いに気に入っていた。ところがある日、明らかにプロ集団と見られる連中に少年を誘拐されてしまう。

さて、自分に厳しいルールを課し、完璧に仕事をこなすことが身上の主人公。人一倍プライドの高い彼が、プロの威信を傷つけられたわけだからさあ大変。改造を施したAudi A8 で爆走し、どこまでも犯人を追いかける。

70点
キャラクター映画としての正義を持っている

漫画実写化の大本命『デスノート』に先駆けて、同じ週刊少年ジャンプの誇る看板作品、通称『テニプリ』がついに実写映画となった。この作品は、原作はもとよりアニメ、ミュージカルと文句なしの成功を収めている。とくにアニメ版は、海外作品の輸入制限を行っている中国が、今年唯一日本から輸入したほどの作品でもある。はたして実写映画版の出来はいかなるものか?

伝説のテニスプレイヤー越前南次郎(岸谷五朗)の息子リョーマ(本郷奏多)が、テニスの名門・青春学園中等部に転入してきた。ふてぶてしい態度でテニス部をなめてかかるリョーマに、2年生の海堂薫が挑むが、リョーマは互角以上の戦いをし、周囲を騒然とさせる。態度は相変わらずだが、部長の手塚国光(城田優)に実力を認められたリョーマは、テニス部の一員として、青春学園の関東大会優勝を目指していく。

『テニスの王子様』はすでにテレビアニメが放映終了しているため、一般の子供たちにおける人気は鎮火している。しかし、キャラクター設定がしっかりしている作品の常で、コアなファンの熱狂ぶりはとどまるところを知らない。

70点
あらゆる面でよくなった続編

『アンダーワールド:エボリューション』は、2003年の映画『アンダーワールド』の正当なる続編だ。前作のラストシーンを踏まえ、そのあとの物語ということになる。

同族からも終われる羽目になった女吸血鬼のセリーン(ケイト・ベッキンセール)は、いまや唯一の味方となった、ライカン(狼男族)との混血種マイケル(スコット・スピードマン)と逃亡を続けていた。二人はやがて、強大な敵との戦いを繰り広げつつ、両種族の創生の秘密に迫っていく。

『アンダーワールド』シリーズの特徴であり人気のポイントは、狼男と吸血鬼の戦いという古典的なモチーフに、斬新な新解釈を加えた点。古代から続くこの戦いは、現代では重火器まで使用する、ハイテクなものになっている。これを、身体に密着したラバースーツを着用するヒロインをはじめ、スタイリッシュこの上ない演出でみせるというわけである。

70点
定番スリラーとして及第点

いわずと知れた、人気テレビアニメの映画版。毎年作られている映画版も今年で10本目、10周年ということで、これまで映画版には出てこなかったキャラクターも総出演の、お祭り的な一本になっている。

ストーリーは、いつものコナンくん一同が、横浜のテーマパークにやってくるところから始まる。そこで毛利小五郎がある依頼を受ける間、子供たちは遊園地で楽しく遊んでくださいという趣向であったが、実は彼らの腕にはめられたフリーパスには爆弾が仕掛けられており、今夜までに毛利探偵とコナンがこの依頼を解決できなければ、皆殺しにするという罠であった。

そんなわけで、コナンくんと毛利探偵は、別行動で事件の謎に挑むのだが、そもそも事件が何なのかすら、依頼者からは教えてもらえない。唯一与えられたヒントは奇妙な記号のみ。ここから「どんな事件がおきたのか」をまず知り、そこから犯人など、真相をさらに暴かねばならない。このように、謎が2段構造になっているのが本作の特徴だ。

70点
マーケティングの賜物のようなラブストーリー

皆さんは、韓国映画というものに何を求めているだろうか。私が思うに、「冬のソナタ」に始まる最近の韓流作品のファンの多くは、「ストレートになける悲恋ドラマ」、昔でいうメロドラマを求めているのではないかと予測する。

だとするならば、この「連理の枝」は最高のチョイスである。「連理の枝」は、まるで東アジア各国の韓流ファン10万人にアンケートを取り、好きなキャスト、好きな演出方法、好きなストーリー展開、すきなBGMの統計をとって、それを貼り合わせたような作品だからだ。

物語は単純明快。(女性客が感情移入しやすい)いかにも平凡な女主人公が、イケメンの男と偶然に出会い、恋に落ちるというもの。男は例によって大金持ちの社長。女は庶民でルックスも普通だが、不治の病という最強の金看板を持っている。脚本を書いている人も、書きながら苦笑していたのではないかと思うほどの、韓国製恋愛映画王道のパターンだ。

70点
不謹慎なギャグに爆笑できる探偵映画

『リーサル・ウェポン』や『ラスト・アクション・ヒーロー』の脚本家として知られ、俳優もこなすシェーン・ブラックが、はじめて監督したアクションコメディ。プロデューサーはハリウッド有数のヒットメーカー、『マトリックス』シリーズで知られるジョエル・シルヴァーだ。

主人公はへっぽこな泥棒(ロバート・ダウニー・Jr)で、彼は逃亡中、偶然映画のオーディション会場に逃げ込んでしまう。迫真の演技(実はただの地)で合格した彼は、見事に探偵役をゲットする。そして本物のハードボイルドな私立探偵(ヴァル・キルマー)と、役作りのため共に行動することになるのだった。

この探偵、こわ持てな見た目とは裏腹にゲイ。しかし、腕は一流という、あらゆる意味で怖い男。ふがいない主人公とのコンビが笑いを生む。彼らに、主人公の幼馴染で今は女優を目指している女の子(ミシェル・モナハン)が加わるころ、3人はロサンゼルスである事件に巻き込まれる。

70点
予想を越えるスケール感

朝鮮半島は、1950年から巻き起こった朝鮮戦争により南北が分断され、今に至る。その結果、北朝鮮と韓国の間では、離散してしまった家族が多数発生した。その数700万以上ともいわれる彼らは、いまだ、国境をはさんで南北に分かれ、再会を果たせずにいる。

そんなわけで、南北分断の悲劇をテーマにした韓国映画は数多い。また、多くの人の関心を集めるテーマであるため、予算もつきやすく、大作も多い。北のスパイと南の捜査官の恋を描いたアクションドラマ『シュリ』が大ヒットした事により、このテーマの娯楽映画は、韓国映画界では、ヒットの方程式と認識されているのだ。

したがって、南北分断エンタテイメント悲劇であるこの『タイフーン/TYPHOON』も、韓国映画史上最大の製作費(……といっても15億円程度だが)をつぎ込んで作られた、ブロックバスターとなっている。

70点
ケヴィン・ベーコン監督の優しい視点が心地よい

ケビン・ベーコンといえば、ハリウッドきっての個性派俳優。悪役から善人まで、その幅広い演技力は高く評価されている。そんな彼が、初めて長編映画を撮った。それが『バイバイ、ママ』だ。

ユニークな両親により、完全な放任主義で育てられたヒロイン(キラ・セジウィック)は、少女時代の経験から、男性を信用できない女性へと成長した。しかし、異様に子育てに執着する彼女は、行きずりの男から子種だけもらい、狙い通り息子を出産する。しかし、シングルマザーとなった彼女は、息子が6歳になっても全く子離れができず、異常なまでの愛情を注ぐのだった。

ヒロインを演じるキラ・セジウィックは、ケヴィン・ベーコン監督の奥さんで、このほかにも彼らの実の息子や兄らが、出演者やスタッフに名を連ねる。また、監督本人も大事な役柄で出演している。つまりこれ、ケヴィン・ベーコン一家手作りの、非常にミニマムな映画といえる。

70点
多少の脳内補完が必要だが、感動できる

原作・武論尊、作画・原哲夫『北斗の拳』は、88年まで週刊少年ジャンプに連載された漫画だが、いまだにパチスロや各種パロディなどでひっきりなしに引用される名作である。週刊コミックバンチでは、オリジナルの前時代のお話にあたる『蒼天の拳』も連載されている。恐らく、一度も読んだことがない人でも、その名前くらいは知っていることだろう。

『真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章』は、全5作の製作が予定されている『北斗の拳』再アニメ化プロジェクトの第1弾だ。"真"と名がついているが、これは原作やアニメ版では描ききれなかったエピソードに、スポットを当てるという意味もある。何しろこのアニメ映画版の脚本を担当しているのは、オリジナル連載を原哲夫らと作り上げた名編集者、堀江信彦なのだ。大いに期待が高まる。

ここで少々解説すると、コミック雑誌の連載とは、漫画家一人で作るものとは限らない。ストーリー漫画であろうとギャグマンガであろうと、その内容には多かれ少なかれ、たいてい編集者のアイデアや意見が反映されている。ジャンプであろうとマガジンであろうと、これは同じ。つまり、名作マンガの影に、真のストーリー作家がいる場合も珍しくないということだ。

70点
アメリカ版、湯けむり連続殺人事件

『ダイヤモンド・イン・パラダイス』は2004年のアメリカ映画で、日本でも昨年の秋ごろ公開される予定だった。ところが、やんごとなき事情で延期となり、今にいたる。かくいう私もこれを試写でみたのはなんと、昨年の10月である。

世界に3つしかないとされる、皇帝ナポレオンのダイヤモンド。そのうち2つを見事盗み出した大泥棒(ピアース・ブロスナン)とその妻(サルマ・ハエック)。彼ら夫婦は、それをもって泥棒稼業から引退、バハマの島で幸せに暮らしていた。ある日、彼らのもとに長年の宿敵であるFBI捜査官(ウディ・ハレルソン)が現れる。彼は、現在島に停泊中の豪華客船にある最後のダイヤを、二人が必ず狙うはずだと当たりをつけて、けん制しにやってきたのだった。

引退したものの、最後のひとつが目と鼻の先にあると聞いて泥棒のプライドに火がついてしまった男、平和な暮らしを乱したくない妻、そしてなんとか二人をとっつかまえようとする捜査官、この3人による二転三転ストーリーが展開されるアクションドラマだ。

70点
誰でも楽しめる、堅実なつくりのロマンティックコメディ

『県庁の星』は、関係会社からは最大級の期待をかけられている一本だ。何しろ、日本映画界最大の集客力を持つとされる織田裕二と、ファッションリーダー柴咲コウのロマコメという、売れセンど真ん中の作品なのだから。

主人公は、出世意欲満々の、とある県庁のエリート公務員(織田)。大手建設会社の社長令嬢と婚約し、担当した数百億円単位のビッグプロジェクトの成功も目前と、その未来は前途洋々だ。そんなある日、彼は民間交流の一環として、あるスーパーに派遣される。そこは、賞味期限切れ近い食材で惣菜を作り、バックヤードの整理もままならない、3流店だった。お役所のルールがまったく通じない民間ならではの現場にあきれた彼は、教育係として自分の担当になったパート職員(柴咲)との対立も深めていく。

読んでおわかりのとおり、エリート勝ち組オトコと負け組ビンボー女の恋という、ロマコメの王道だ。エリートというわりには、県庁レベルという中途半端な設定が微妙ではあるが、かといって国政レベルの官僚にしてしまうと、さすがにパートの女の子との接点はなくなってしまうだろうから、これはやむを得まい。

70点
現代的な辛口ドラマ、おすすめだ

お年頃の男女が無人島に流されるというモチーフは、多くの映画作品の中に見ることが出来る、いわゆる"ロングセラー"的な人気ネタだ。中でも、貧乏人ながらサバイバルの知識に長けたたくましい男と、美人で金持ちでタカビーな女が流されるというパターンは、『流されて…』(74年、伊)、『スウェプト・アウェイ』(02年、米)で映画化されている。

今回、日本で映画化されたこの『楽園 流されて』も、その系譜に連なる一本といえるわけだが、そこには前出作品と大いに異なる一面が見て取れる。

ストーリーは単純明快。人気局アナで、このたび参議院選挙に立候補したヒロイン(街田しおん)と、半分ニート気味の若い漁師(榊英雄)が、ひょんな事から無人島に流されてしまう。そこで二人だけのサバイバルが始まるというお話だ。まさに、『流されて…』パターンである。

70点
のんびりユルユルと観るべき映画

正月気分を引きずって、いまだに仕事モードに入れない……そんな人々にピッタリなのが『THE 有頂天ホテル』。『古畑任三郎』シリーズ等の脚本家で知られ、劇作家としても有名な三谷幸喜監督の最新作で、大晦日のあるホテルを舞台に、宿泊客らの騒動を描いた群像喜劇だ。

スキャンダルから身を隠す代議士(佐藤浩市)や、その元愛人(松たか子)、高級娼婦(篠原涼子)、さらには大物演歌歌手(西田敏行)といった、個性的な連中が巻き起こすトラブルの数々を、主人公の副支配人(役所広司)ら従業員が的確にさばいていく。

主役級が勢ぞろいしたキャストや、ホテルのフロアを丸ごと再現したセットの豪華さは、間違いなく邦画最大級。しかし、これだけのヒトとモノを揃えながら、物語はしょっちゅう横道にそれ、その都度ナンセンスなギャグを挟みながら、だらだらユルユルと進んでいく。舞台劇によくあるくだけた構成で、いかにも三谷作品らしい。

70点
ゴージャスなヒーロー大競演

現在放映中の特撮アクションドラマ『超星艦隊セイザーX』の、序章となるべきストーリーの映画版。

西暦2500年では、邪悪な宇宙海賊が「コスモカプセル」すべてを強奪し、全宇宙を支配していた。「コスモカプセル」とは、12個すべてを集めると全宇宙を支配できる全能の球で、そのパワーのため反乱軍はまるで歯が立たなかった。やむなく彼らは、500年前の地球に精鋭の戦士たちをタイプスリップさせ、敵より先にカプセルを集めさせる作戦に出た。

『セイザーX』は、2005年9月まで放映された『幻星神ジャスティライザー』から、世界観と主人公らを引き継いだ続編だ。なお、『超星神グランセイザー』から始まった東宝制作の超星神シリーズとしては、3作目に位置付けされる。

70点
大人が見ても味わい深いアニメ作品

日本を代表する漫画家・手塚治虫が残した数々の傑作の中でも、一際異彩を放つ『ブラック・ジャック』。天才的な腕を持つ、ヤミ外科医の活躍を描いた人間ドラマであるこの作品は、現在テレビアニメとして、なんとゴールデンタイムに放映中、人気を博している。そしてその劇場版が、この『ブラック・ジャック ふたりの黒い医者』だ。BJと行動を共にする、マスコット的キャラ、ピノコを主人公にしたファンタジックな子供向け短編(8分)『Dr.ピノコの森の冒険』と同時上映となる。

『Dr.ピノコの森の冒険』は、BJに忘れ物を届けようとして森の中で迷ってしまったピノコちゃんが、怪我した動物たちを治療して回るという、ほのぼの系アニメ。数分間の作品ではあるが、実はこれを本編前に見ると、なかなか良い肩ならしになる。ピノコのハイテンションなキャラクターに慣れておくと、『ブラック・ジャック ふたりの黒い医者』の方も、のっけから違和感無く、世界に入り込んでみることが出来るというわけだ。無論、テレビアニメのファンの方には、そんな心配は無用だが。

『ふたりの黒い医者』は、製薬会社のビルに爆発テロが起きるショッキングな場面から始まる。そこで早速、ブラックジャックによるアクションの見せ場があるわけだが、このシークエンスの出来が良いおかげで、映画終了まで興味を失うことなく一気に見ることが出来る。

70点
子供アニメとしては文句なしの出来

いま、女児の間でとても人気のある日曜の朝アニメ、それが『ふたりはプリキュア マックスハート』だ。4月に満を持して映画化したと思ったら、早くも第2弾が公開というので、このページを楽しみにしているこどもたち(一部オトナ含む)のため、私も早速見に行ってきた。

藤P先輩や志穂ら、おなじみの面々と雪山にやってきた主人公、美墨なぎさ(声:本名陽子)と雪城ほのか(声:ゆかな)、そして九条ひかり(声:田中理恵)。スポーツ万能なはずのなぎさは、意外にもスノボーに大苦戦。その目の前を、憧れの藤P先輩と親友ほのかが、二人きりで親しげに滑っていくのを見て、複雑な気分になる。一方、タコカフェ臨時店を手伝っていたひかりは、雪上で可愛らしい卵からひながかえるのを発見する。だがその直後、まるでその鳥を狙うかのように、謎の敵に襲われる。

テレビ『ふたりはプリキュア Max Heart』の対象年齢はだいたい4〜9歳で、とくに4〜6歳の女の子の場合、なんとその60%が見ているという高視聴率番組だ。なお、現役小学校教師(20代女性 細身 黒キュア似)に私が依頼した独自調査結果によれば、某小学校3年生女子約80名のうち、プリキュアの筆箱を使用していたのはわずか2名(ちなみに文房具類全般では「たまごっち」が一番多かったらしい)。この極秘調査結果からも、この作品が低学年女子を狙った作品であることが伺える。

70点
つくりのいい定番商品といった感じが好ましい

この『フォー・ブラザーズ』は、派手なスターが出ているわけでもないし、有名監督による作品というわけでもない。ストーリーにも特筆すべき点はなく、要するに何も目を引く要素がない。映画会社の宣伝マンたちにとっては、恐らくかなり頭を悩ます部類の作品ではないかと思う。

ところが、えてして掘り出し物というのはこの手の作品に多いのである。私としてもまったくノーマークで、珍しく時間が空いたうえに手近な試写室でやっていたから見た、というパターンであったが、結果的には実にラッキーだった。

舞台は感謝祭前のデトロイト。労働者たちが暮らす町の一角にあるスーパーで、ある中年女性が強盗の巻き添えになり射殺される。そして、彼女の葬儀に集まった中に、この物語の主人公となる4人兄弟がいた。彼らは兄弟といっても血がつながっているわけではなく、肌の色さえも違う。ただ、みな彼女に養子として育てられた、血よりも強い絆で結ばれた男たちだ。元ゴロツキだった彼らは、彼女の深い愛情のおかげで更正したのだった。

70点
バハマの風景を気楽に楽しめるアクション映画

人気急上昇中の女優ジェシカ・アルバ主演の海洋アドベンチャー&サスペンス。

バハマでダイビング・インストラクターをしている主人公(ポール・ウォーカー)は、いつか沈没船を発見し、億万長者になることを夢見ている。そんなある日、彼が、まじめで美しいガールフレンド(J・アルバ)、親友カップルの4人とダイビングをしていると、前夜のハリケーンで海底から顔を出した中世の沈没船を偶然発見する。ところが隣には、先日墜落した、麻薬満載のマフィアの航空機も沈没していたのだった。

さて、4人は無事、マフィアや警察、ライバルのトレジャーハンターの目をくぐりぬけ、無事沈没船の権利を手にすることができるのか?! という楽しいアドベンチャー映画だ。

70点
竹内結子がもうちょっと思いきってくれれば

三島由紀夫「豊饒の海」4部作の第1巻「春の雪」を、美しい映像作りに定評のある『世界の中心で愛をさけぶ』の行定勲監督が映画化。

時代は大正。侯爵家の嫡男、松枝清顕(妻夫木聡)と伯爵家の令嬢、綾倉聡子(竹内結子)は仲の良い幼馴染だった。そんなある日、聡子に宮家の洞院宮治典王との結婚話が持ち上がる。聡子は密かに清顕を想っていたが、清顕のそっけない態度に失望したのと、伯爵家の窮状を救うためにやむなく承諾する。ところがいざ婚約が決まると、清顕も聡子への深い愛に気づく。二人は密会を重ね愛し合うが、やがてそんな関係にも破滅の日がやってくる。

このベーシックな恋愛物語を、主人公を演じる二人の役者がどこまでピュアに演じきれるかがまず一つのポイントだ。しかし、もともと二人ともそれほど上手い役者ではないし、妻夫木は特にこうした本格的な時代物にはまだ早いかな、と感じさせる。

70点
最高のバカ映画

最新鋭無人ステルス戦闘機の活躍(?)を描いた軍事アクション超大作。こいつはスゴイ映画ですよ。

舞台は近未来のアメリカ。主人公は、テロ対策チームとして選ばれた最精鋭のパイロット3名。それぞれ新型ステルス戦闘機を与えられ、任務に就こうかというとき、4人目の仲間として最新鋭無人ステルス戦闘機が加わった。人間パイロットの肉体の限界を軽く超えた運動性能、恐れを知らぬ人工知能──あまりに異質、そして優秀な"彼"の加入に戸惑う3人だったが……。

いやはや、久々に大満足の一本であった。やはりハリウッドの超大作というのはこれくらいぶっ飛んでくれないと面白くない。

70点
日本人の趣向に合う健全アメコミ映画

マーベル社から61年に発表された、老舗アメコミの映画化。ダークさはなく、コメディタッチで明るく仕上げた全年齢向け娯楽作品だ。

主人公の科学者たちは、ある実験のため宇宙ステーションに滞在した際、事故で強力な宇宙嵐の放射線に晒されてしまう。そのため彼らのDNAは変化し、それぞれが特殊な能力をえることになる。やがて主人公たち4人は、その能力で人助けをすることになる。しかし、当時ステーションに居合わせ、実験の失敗で大損害を受けたスポンサーの男だけは、ひとり邪悪な存在へと身を落としていくことになる。

ひょんな事から超能力を身につけたヒーローたちが大活躍する、いかにもアメリカ的な楽しいヒーローアクションだ。彼らのもつ能力とは、手足が自在に伸びるリーダーの男、体が岩石のように硬化して怪力をえた男、体を透明にできる女、炎を自在にまとい、空を飛ぶ男といった感じだ。見た目にもわかりやすく、映像向きな能力ばかりだ。

70点
≪あまり教育によろしくない子供向けファンタジー

主演ジョニー・デップ、監督ティム・バートンという個性派コンビによるファンタジックなブラックコメディ。ロアルド・ダールによる世界的な子供向けロングセラー『チョコレート工場の秘密』の、二度目となる映画化。

ジョニー・デップ演じるウィリー・ウォンカは、"世界一おいしい"チョコレート工場の経営者。その斬新な新作お菓子の数々は、子供たちの心をつかんで放さない。ある年の冬のこと、これまで謎のベールに包まれてきた彼のお菓子工場を見学できる権利を、世界中の子供たちの中から抽選で5人に与えるとウォンカは発表した。そのゴールデンチケットは、世界中で販売される板チョコの中に無作為に同封されているという。

てなわけでさあ大変、チョコ好きの子のチョコ消費量はさらに増えるわ、金持ちによるチョコの買占めが始まるわで世界中は大騒ぎ。そして、一年に一度、誕生日だけその板チョコを買ってもらえる主人公の貧乏少年も例外ではない。彼は必死の思いを込めて今年のチョコレートの包みを解くが……というお話。

70点
綿密な取材で明らかになった怪奇実話作家の失踪事件、驚愕の真実

ある怪奇実話作家の失踪事件の謎に迫る、ドキュメントタッチのオカルト映画。

2004年4月、ある怪奇実話作家の自宅が全焼し、妻の焼死体が発見される事件がおきた。作家本人もそれ以来行方不明となった。この事件の謎を探るため、彼が完成させたばかりのビデオ「ノロイ」の検証がはじまった。

映画はこの作家、小林雅文のこれまでの仕事の軌跡をたどるとともに、最後のビデオ作品「ノロイ」を詳しく観客とともに検証する形になっている。小林雅文という作家(ビデオには出演もしている)の独特の落ち着いたムードがなかなか魅力的で、各地のオカルト現象を彼がカメラマンを引き連れ探求していくビデオの内容自体が非常に面白い。

70点
テレビアニメの映画版としてはかなり本格的な出来

週刊少年ジャンプに連載中で、TVアニメも大人気の『NARUTO−ナルト−』映画版第二弾。

舞台は“火の国”と“風の国”の国境。主人公のうずまきナルトは迷子のペットをある村に届けるという、いつにもまして間抜けな任務の途中、何者かに襲われる。激しい戦闘の末、敵とナルトはがけ下に転落する。残された仲間の奈良シカマルと春野サクラは、ナルト捜索に出かけるが、そこで巨大な移動要塞に遭遇する。

さて、短編をあわせると3本目の劇場版NARUTOだが、今回はかなり本格的な冒険アクションを送り出してきた。ちなみに前作で大活躍だったカカシ先生は今回登場せず、その代わりに風の国「砂隠れの里」の我愛羅、カンクロウといったシリーズキャラクターの忍者たちが登場する。普段のライバルたちと、より巨大な敵を前に共闘するというのはジャンプ漫画伝統のパターンでなかなか胸踊る。

70点
日常的な舞台で繰り広げられる恐怖演出に腰が抜ける

地下鉄を舞台にしたイギリス製現代ホラー。マイナーな作品だが、舞台設定と恐怖演出がうまく、相当恐ろしい一本だ。

舞台はイギリスのロンドン。パーティーを抜け出したヒロイン(フランカ・ポテンテ)は、地下鉄の駅にやってきた。ところが彼女は、思わずベンチで居眠りをして終電を逃してしまう。あきらめて外にでようとするが、かたく閉ざされた入り口をみて自分が閉じ込められてしまったことを知る。だがそこへ、なぜか一本の電車がやってくる。彼女は不思議に思いながらも乗り込んでしまうのだが……。

ガチで怖いホラー映画である。特にこの映画の前半の恐ろしさといったらない。まぶしいほど明るい地下鉄駅構内と、光の届かないトンネル内の落差。もしくは普段、人にあふれる駅内と、終電後、駅員すらいなくなってしまった無人の構内の落差。都市に生きるものにとって、あたりまえにあるものがなくなった時の恐怖は半端ではない。怨霊だ幽霊だといったものより、実感できる怖さというものが一番怖い。

70点
原作を読んでない人でも楽しめる楽しいギャグ映画

熱血スポ根マンガの傑作(?)とされる島本和彦の同名原作を、突き抜けたお馬鹿映画として実写映画化したもの。超映画批評ブレーンの、とある島本和彦ファン(21歳大学生 男)によると、「ムダに熱い漫画を描き続けている熱血漫画家」による、「無理とデタラメから構成され、女子供はすっこんでろ! といわんばかりの世界を熱く描いた伝説的な原作」の実写化だ。

校長(藤岡弘)から廃部勧告をうけた全力学園野球部キャプテン不屈闘志(玉山鉄二)は、持ち前の逆境に強い精神から猛反発、思わず甲子園出場を宣言してしまう。彼の熱い魂に感化された野球部員たちも、よくわからない猛練習を重ね、いよいよ試合当日を迎えるのだが……。

映画版『逆境ナイン』は徹底したおバカ映画として実写化された。とはいえ、漫☆画太郎原作の『地獄甲子園』のような異様なまでのチープさ、ばかばかしさはなく、カメラも音楽もきちんとした、比較的まともな映画になっている。撮影中は作者ご本人も現場に現れ、おとなしく見学して帰っていったという。(新刊「新・吼えろペン」の1巻にも作者から見た撮影風景が描かれている)

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