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70点
ドイツ版「スタンド・バイ・ミー」

欧米中心にベストセラーとなっている原作の青少年向け小説『14歳、ぼくらの疾走』は、ドイツ版「スタンド・バイ・ミー」などと言われている。なるほどそれは言いえて妙で、この映画版も少年時代独特の、かけがえのない感情とドラマをみずみずしくすくいあげた佳作となっている。

豊かな両親と暮らしながら、クラスではまったくパッとしない平凡な14歳のマイク(トリスタン・ゲーベル)。そんなある日、学校にやってきた転校生チック(アナンド・バトビレグ)は、マイクとは正反対に何もかもが破天荒で恐れ知らずの性格で、あっという間に孤立する。ところがチックはなぜかマイクにだけは親しく話しかけてくる。挙句の果てには夏休み、盗んだオンボロ車で突然おしかけてきて、地図にない"ワラキア"を目指す旅に出ようなどというのだった。

車を運転したり大人を出し抜いたりと、妙に大人っぽいかと思えば、子供じみた冒険に胸躍らせる二人。男性なら誰もが思わず共感してしまう、14歳らしさがつまったとても愛おしい映画である。

70点
奇妙な映画ではあるが

「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」は、実写映画化の発表からはじまり一つ一つビジュアルが発表されるたび、原作ファンの間では不安しか湧きあがらない話題の大型企画である。もっとも、誰が見ても東方仗助の髪型はじめ、静止画で見るとひとつも納得できるものがなかったのだから、それもやむなしであろう。

杜王町で暮らす高校生の東方仗助(山崎賢人)は、母(観月ありさ)と祖父(國村隼)の3人で仲良く暮らしている。あるとき彼の前に甥を名乗る年上の男、空条承太郎(伊勢谷友介)が現れ、仗助がジョセフなる老人の息子であり、自分と同じくジョースターの血統を継ぐものだと伝える。さらに承太郎は仗助のそばに立つ「悪霊のようなもの」の正体を彼に教えるのだった。

断言してもいいが、関係者はきっと当サイトの批評をまんじりともせず待っていることだろう。ここで酷評されるとまた業界内で静かな大騒ぎになって、どこかの試写会にいく度、腫物を触るような目でみられる日々が続くわけだが、幸いなことに今回は蓋を開けてみれば意外にも悪くない。世間ではあれほどネガティブな前評判だったのに、まさに奇妙な映画、である。

70点
対象客層は違えど出来は良い

「君の名は。」とか「映画 「聲の形」」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」といった、どこかノスタルジックな切ない系のアニメ映画が最近人気である。「心が叫びたがってるんだ。」は、その一つである同名アニメを実写映画化したドラマである。

あるトラウマから声が出せなくなってしまった成瀬順(芳根京子)。付き合い下手で本音の会話ができない坂上拓実(中島健人)。地域ふれあい交流会の実行委員を任された二人は、改めて互いを知るうちに、少しずつ心を開きあうようになる。実行委員には元野球部エースだがひじを故障して以来前に進めなくなってしまった田崎大樹、一見優等生に見えるチアリーダー部長の仁藤菜月も加わるが、ぎこちない彼ら4人はなかなか本音で話すことができないのだった。

学園を舞台にした群像ドラマ。予算面などから見ても、これをアニメだけにして実写で撮らない理由はほとんど見当たらない。ジョジョだの銀魂だのを実写化するよりはよほど順当な企画といえる。

70点
今からでも参加したい良シリーズ

ストリクトなアクションシーンとシュールでくすっと笑える世界観。シャレのわかる大人向けキアヌ・リーヴス映画の第二弾だが、こうしたコンセプトが観客の支持を受けたことにチャド・スタエルスキ監督らが自信を得たか、一作目よりも良い仕上がりである。

前作のラストから5日後。殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)はイタリアンマフィアのサンティーノ(リッカルド・スカマルチョ)から汚れ仕事を強要される。業界の掟をやぶり依頼を断ったジョンに対し、サンティーノは自宅爆破という制裁を加える。さらに7億円もの賞金首となったジョンは、世界中の殺し屋から追われる羽目になる。

ドラクエの武器屋に入るときのような無駄なワクワク感を感じさせるテーラーなど、いくら前作でウケたからと言ってふざけすぎの世界観拡充にまずは苦笑。

70点
メキシコの壁は必要か?

トランプ大統領がメキシコとの国境に壁を作るなどというから、普段はどれだけおっかない違法移民が国境を超えてきているのだろうと我々は思いがちである。なにしろアメリカ人労働者の仕事を格安賃金で奪い、治安まで悪化させている張本人である。アメリカ人にとってはもはや害獣かゾンビのようなものであり、だから壁の建設費はメキシコ政府が出せと言う話になる。そんな大統領が絶賛されるのもなんとなくわかる気がすると、そういうわけだ。

モイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)たちは、違法なブローカーのもと、メキシコ側からアメリカへ国境越えを試みていた。命がけで灼熱の砂漠を歩き、なんとか国境を超えた時、彼らは突然銃撃を受ける。わずかな水と食料以外何もない彼らメキシコ人にとって、真に恐ろしい運命の幕開けであった。

さて、冒頭のような一方的な言い分だけを見ているとバカになるので、たまにはこの映画のようなメキシコ側から見た国境問題、というものを知っておくのも悪くはない。あらゆる政治的な物言いは、100%正しくもないし、誤ってもいないのだ。バランス良く両方知っておくのが無難であろう。

70点
希望の薄い未来しかない時代ならでは

「メッセージ」という邦題は、原作小説のタイトルとも本国の映画題とも異なる。内容とともに一番訴えたいテーマが微妙にそれぞれ違っていると考えると、中々興味深い。

あるとき、巨大な宇宙船が地球上に現れる。アメリカでは言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)が政府に呼び出され、宇宙船の目的を知るために交信すべく、言語を解明する任務を与えられる。

ソニー・ピクチャーズ試写室が気前よく大音量を振る舞ってくれたおかげで、序盤の軍用機飛来の場面から、椅子から飛び上がるような迫力である。本物としか思えないサウンドデザインからは、9.11とか3.11といった、大変なことが起きた感が実感を持って感じられる。

70点
傷ついている大人の心にしみる

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」はケネス・ロナーガン監督の長編3作目だが、とてもそうは思えないほどドラマの組み立てがうまい。とくに年齢なりに人生経験を組み立ててきた大人が見れば、この映画の良さはすぐにわかる。

ボストン郊外で便利屋をするリー(ケイシー・アフレック)は、兄の死をきっかけに故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ってくる。彼を驚かせたのは、遺言に兄の息子で16歳のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人になれとあったこと。だがリーはある過去の事情から、この町にとどまるわけにはいかないのだった。

死んだ兄の息子の面倒を見ろと遺言で言われる。なんとも奇妙な依頼である。そこだけ聞けば、はた迷惑な依頼といってもよい。

70点
本流よりも面白い

マーベル・シネマティック・ユニバースの中でも異彩を放つ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ。だが普通の大人の観客にとっては、その他の正統派ヒーローものを見るより、よほど楽しめるかもしれない。

宇宙海賊ラヴェジャーズを率いるヨンドゥ(マイケル・ルーカー)に育てられたピーター・クイル(クリス・プラット)。親父がろくでなしだったからか、今では彼も銀河のはみ出し者とヒーローチームを組んでいる始末。だがそんな彼の前に、実父を名乗る男エゴ(カート・ラッセル)が現れる。

前作で色々あって、生まれたてのベビー状態になってしまったグルート。その可愛らしいダンスの背後で、仲間たちが死闘を繰り広げるオープニングシーン。これが実にいい。とてつもない強敵と戦っているのに緊張感はゼロ。この力の抜け具合が本シリーズの美点であると、高らかに宣言して映画は始まる。

70点
現実との符号が怖いほど

世間じゃアメリカのトランプ大統領ばかりが話題だが、フランスの大統領選挙もかなりホットな状況である。4つどもえの候補者争いは横並びで全く予測がつかないし、誰が当選するかで欧州の、ひいては世界の未来にも多大な影響を及ぼす。

アメリカからやってきてパリでスリをはたらいている若者マイケル(リチャード・マッデン)。ところが彼が置き引きしたバッグには、政党のビルの爆破を狙った爆弾が入っていた。すんでのところで爆死は免れたものの、CIAのブライアー捜査官(イドリス・エルバ)にマイケルは濡れ衣で逮捕されてしまう。

さて、そんな仏大統領選を前にぜひ見てほしいのがこの「フレンチ・ラン」。一見ごく普通のサスペンスアクションだが、わざわざ紹介するには理由がある。それは、この映画が偶然とは思えないほど色々と未来を言い当てているからだ。

70点
優等生なアニメではあるが

「モアナと伝説の海」は、ディズニーアニメらしく時代の空気を反映した脚本に、少しだけ新しいチャレンジを加えた高品質なアニメーション映画だ。過去の成功例の積み重ねによる安定感も高く、非の打ち所がない優等生映画となっている。

海が大好きな少女モアナは、族長の父親により外洋に出ることを固く禁じられていた。だが女神テ・フィティの「心」が盗まれた事により世界の均衡は崩れ、彼女はそれを食い止めるため伝説の英雄マウイを求めて旅立つ決意を固めるのだった。

本作には「アナと雪の女王」など過去のディズニーアニメ成功作の長所がふんだんに取り入れられており、誰が見ても十分共感できるようになっている。彼らは長年の蓄積を基にきわめてロジカルな映画作りをしており、毎年成功の方程式を更新しているようなものなので、もはや駄作が生まれる余地はほとんどない。

70点
中年以上のカップル向きの古くて新しい映画

「マリアンヌ」は、クラシカルな雰囲気のスパイ&恋愛映画だが、ロバート・ゼメキス監督が撮るとさすが、エンタメ性の高いルックとなる。

1942年、諜報員のマックス(ブラッド・ピット)は仏軍レジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)と夫婦を装い、協力してドイツ大使暗殺に挑む。互いの凄腕ぶりと息の合った仕事ぶりに運命を感じたマックスは、そのまま彼女に告白し結ばれるが……。

舞台がカサブランカということでわかるとおり、往年のハリウッドの名作を存分にオマージュした内容で、とくに衣装や美術については「カサブランカ」(1942)を参考にしたと制作陣は語っている。

70点
弱者への温かい視線

英国や米国には、ルーザームービーと呼ぶべきジャンルがある。負け組映画とでもいおうか、要するに世の中からあぶれたダメ人間の生きざまや奮闘ぶりを、寄り添うような視点で描く人情ドラマである。たとえ表舞台で注目を浴びられなくとも、不器用ながら生きる人々の物語は大衆の胸を打つわけで、根強い人気がある。

映像ディレクターの壱岐紀仁監督による「ねぼけ」は、まさしくその日本版。売れない噺家が、自堕落な日々を自覚しつつも抜け出せずにあがく姿を、等身大のドラマとして描いている。

落語家の仙栄亭三語郎(友部康志)は、怠け癖と酒好きな性格のせいでまったく目が出ない。同棲中の真海(村上真希)はそんなろくでなしの彼を、信じて必死に支えている。だが三語郎には彼女のひたむきささえ今や重荷となっていて、停滞する自分の人生をぶち壊すかのように、弟弟子の若い恋人と浮気してしまう。

70点
好感度高いレトロ風味ロマコメ

福山雅治は、結婚後に主演映画その他で苦戦していると聞く。原因は言うまでもなく結婚によるものだ。いまどき"結婚"がファンの支持率にマイナスな影響を与えるタイプの芸能人というのも逆にたいしたものだが、もし女優でそれを一人あげるとすれば佐々木希ではないか。

恋人に振られ、沖縄出張中に職場まで失うなどさんざんな目に合っているヨンウン(イェソン)。そんな彼を救ったのは、たまたま知り合った地元の語学学校の校長だった。ほとんど無理やり韓国語教師にさせられたヨンウンは、クラスの生徒で訳ありなシングルマザーのさくら(佐々木希)に思わず目を引かれるが……。

佐々木希も、言ってみればファンを嫉妬させるタイプの美人。それはスターという意味でもあるので、きっと彼氏か何かがいても、存在を公にしにくい立場にあるのではないか。だから──かどうかは知らないが、近年は子持ちの役柄を演じることが多い。何かの地ならしだと予想するが、とりあえず今回も沖縄で一人頑張りシングルマザーである。

70点
ウシジマの世界に果敢に戦いを挑む男の物語

2010年から続く闇金ウシジマくん実写ドラマも、いよいよこの映画版で完結となる。そして、当初からこのシリーズを担当してきた生みの親たる山口雅俊監督は、最後の最後に強烈なパンチを食らわせてきた。

「カウカウファイナンス」の丑嶋馨(山田孝之)のもとに、かつての同級生竹本優希(永山絢斗)が訪ねてくる。他人を助けるために金を借りたいという、カウカウの社員たちには甘ちゃんにしか見えない竹本のふるまいをみて、しかしウシジマは複雑な気持ちになる。実はウシジマと竹本には、中学生時代にある因縁があるのだった。

今回の題材となる闇金と過払い金請求側のバトルネタは、社会的には大事だがタイムリーとまでは言えず、むしろ少々古さを感じざるをえない。それが時代の先を読むウシジマくんの映画としては弱いところでる。

70点
より一般向けのアクション映画になっている

監督を変え、脚本もより一般向けに手直ししたスター・トレック・ケルヴィン・タイムラインシリーズ第三弾は、なるほどスター・トレック風味のアクション映画として、多くの人が楽しめるであろう無難な出来に仕上がっている。

果てのない宇宙の旅から身を引くことを考えているカーク(クリス・パイン)に、不時着した宇宙船の救助依頼が届く。エンタープライズ号は即座にそれに応え現地に向かうが、そこで彼らは予期せぬ敵からの襲撃を受けるのだった。

J・J・エイブラムスから監督をバトンタッチされたジャスティン・リンは、生まれた時にはすでにシリーズが始まっていた世代の若い監督で、かつSF映画の経験は初めて。はたからみればギャンブルのような人選だが、これは要するにコンセプトを変更してさらに若い世代のライトユーザーを取り込もうということだろう。

70点
中年男が見たらうならされるドラマ

西川美和監督自ら書いたベストセラー小説を映画化した「永い言い訳」をみると、本当にこの監督は男を描かせたら一流だとわかる。一方、女性キャラは冒頭、あっという間に退場する。いかに女に興味がないかも良くわかる。

人気小説家として活躍する衣笠幸夫(本木雅弘)は、美容師の妻・夏子(深津絵里)をバス事故で失う。だが二人の仲はもともと冷え切っており、事故当時、幸夫は浮気相手と情事のさなかであった。だが世間の注目は愛する妻を失った人気小説家、に注目しており、意に反して彼はよき夫を演じ続けなくてはならないのだった。そんな彼はあるとき同じ事故の遺族、陽一(竹原ピストル)に出会う。対照的に妻を愛していた彼の姿が心のどこかに引っかかった幸夫は、やがてその子供たちの面倒を見ることを申し出る。

よりにもよって、こんなにややこしい状況に陥った男の心理になぜ興味を持ったのか、私は西川美和監督に聞いてみたい。

70点
女性に変更した必然性が感じられる

80年代を席巻したコメディーアクションの再会となる新「ゴーストバスターズ」は、製作サイドの問題で多少もたついたものの、なかなかの出来栄えで登場した。

コロンビア大学の物理学者エリン(クリステン・ウィグ)は、旧友アビー(メリッサ・マッカーシー)との幽霊発見騒動によってせっかくの出世のチャンスを失ってしまう。しかし、幽霊じたいは本物と確信した彼女ら4人は、超常現象の調査会社を立ち上げるのだった。

本国では名うてのコメディアン女優4人による女性版リメイクは、彼女たちによる序盤のギャグが日本人にもばっちり届くおかげで、すぐに物語に没頭できる。80年代のSFXっぽいスペクタクル演出やおなじみのテーマ曲、マシュマロマン等々によって、往年のファンもなじむことができるだろう。また、前作出演者によるカメオも多数あるが、気づかなければそれはそれでなんてことない扱いなので好感が持てる。

70点
突っ込みどころ満載で面白い

9.11同時多発テロ事件の発生は、アメリカ映画に大きな影響を与えた。007シリーズをはじめとするアクション作品はとくにそうで、荒唐無稽な悪役は姿を消し、全体的に深刻なムードをまとうようになった。

しかし、本当はご都合主義満載のノーテンキなものだって見たい。そんな人に「エンド・オブ・キングダム」は最適だ。

ホワイトハウスがアジア系テロリストに占拠されるショッキングな設定で話題を呼んだ「エンド・オブ・ホワイトハウス」の続編だが、ストーリーは独立しているのでこの2作目から見ても全く問題ない。前作から大幅に増えた予算にモノを言わせ、火薬と銃弾をひたすら消費して盛り上げてくれる。質より量で勝負の、まさに特盛ポリティカルアクションだ。

70点
ジャーナリズムに興味ある人は必見

米大統領選が近づくと政治的な映画が増えてくるのが常だが「ニュースの真相」もその一つといえるだろう。何しろこの映画はジョージ・W・ブッシュのスキャンダルをすっぱ抜いたテレビジャーナリストの実話を映画化したものだ。

2004年、CBSの報道番組『60ミニッツII』に、再選を目指すジョージ・W・ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑の情報が寄せられた。プロデューサーのメアリー(ケイト・ブランシェット)と彼女の盟友であり父親的存在でもある看板キャスターのダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)は協力して調査にあたる。やがて決定的な新証拠を発見するが、メアリーは完全な裏取りができぬまま、それでも他局に先駆け報じることを決定する。

この映画ではいくつかの重要な問題が提起されている。

70点
悪いのは選手なのか

自転車レースの最高峰"ツール・ド・フランス"で前人未踏の7連覇を成し遂げた名選手ランス・アームストロング。「疑惑のチャンピオン」は、そんな"伝説の男"が題名通りドーピング事件ですべてを失った衝撃の半生を描いた実録ドラマである。

若年性のガンを患った自転車レース選手ランス・アームストロング(ベン・フォスター)は、驚くべき回復力で周囲を驚かせる。それどころかレース最高峰「ツール・ド・フランス」を制するなど、その快進撃はとどまるところを知らない。だがその復活劇の裏では、医師を味方につけた組織的なドーピングが行われていたのだった。

ランス・アームストロングという人は25歳で精巣がんによって生死をさまよった人だ。それどころか脳に転移するという無理ゲーから生還したのだから只者ではない。

70点
韓国人の歴史コンプレックスがはっきり見て取れる

中国でも韓国でもあまりに反日色が強い抗日映画はそっぽをむかれるというが、「暗殺」は本国で1270万人がみた大ヒット作となった。なぜ本作だけは、こんなにも韓国の大衆に人気が出たのか。そんな疑問を念頭に見ると、色々なことがわかってくる。

1933年、韓国臨時政府は日本政府の要人と彼らに協力する民族の裏切者"親日派"の暗殺を計画。実行チームのリーダーとして、美しき女狙撃手アン・オギュン(チョン・ジヒョン)を指名する。だが彼女ら3人のチームは、内から外から激しい妨害に会うのだった。

韓国の批評家たちも指摘するように、この映画は反日感情を満足させてくれる抗日映画だからヒットしたわけではないだろう。

70点
国産ミステリとしてはなかなか

古沢良太は日本の脚本家の中ではトップレベルの実績を持つ脚本家である。それは興収といった意味のみならず、純粋にいい物語を作り出すという意味で高評価に値する。作品数が多いから波はあるものの、「外事警察 その男に騙されるな」「キサラギ」など大当たりを複数生み出す力は誰もが認めるところだろう。「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」は、そんな彼のオリジナル脚本を「DEATH NOTE デスノート」等を手掛けた人気監督金子修介が映画化したものである。

売れないお笑いタレント、マイティ丸山(宮迫博之)のもとに、ある女子高生から妙な依頼が入る。行方不明のピアノ教師(木村文乃)を探してほしいというのだ。じつは丸山はかつて残留思念を読み取る特殊能力を持つ仙石和彦(野村萬斎)とお笑いコンビを組んでおり、少女は彼の能力を本物と見込んで依頼に来たのだった。だが肝心の仙石は、人間嫌いが頂点に達してすでにお笑い界を引退、マンションの管理人として他人とまったく接触せずひきこもる生活をしているのだった。

モノから思念を読みとる超能力、というのはありがちだし、人嫌いの探偵役その他の要素も、ミステリとして特段新しさを感じさせるものはない。だからそれ以外の要素で目を引く良さが欲しかったというのがまず一つ。

70点
メリル・ストリープ母娘共演

稀代の演技派女優メリル・ストリープ母子共演が話題の「幸せをつかむ歌」は、不器用な親子関係のドラマを分かりやすく盛り上げるため格差問題を演出に取り入れている点が特徴的で、かつ現代的な一本である。

家族を捨てミュージシャンの夢を選んだものの、貯金ゼロのどん底生活を続けるリッキー(メリル・ストリープ)。そんな彼女は、娘(メイミー・ガマー)が離婚して最悪の精神状況だと元夫から知らされる。すぐに、疎遠になっていた娘に会いに行った彼女は、必死に関係修復を試みるが……。

この映画における格差社会の描写はなかなか執拗である。たとえばゲーテッドコミュニティに暮らす元旦那を訪ねる際、その入口で自分が望みの名前で登録されていなかった事に複雑な気持ちになったりする。また、夫の後妻の黒人女性にバスローブをあげるなどと、余裕綽々で言われたりする。ストーリーの要所要所にそうした背景を思い出させるよう、仕込んである。

70点
素っ頓狂な世界設定

突拍子もない設定のドラマ「ロブスター」は、その比喩する現実がなにかを考えながら見るとより楽しめる、知的興奮ムービーである。

独身者は街での生活を許されない時代。身柄を拘束されたデヴィッド(コリン・ファレル)は、郊外のホテルで45日間の猶予を与えられる。この間、独身者のみ集められたこのホテルの滞在者の誰かと結婚をきめなくては、彼はかつての兄のように動物に変えられてしまうのだ。そして周囲の森には、逃げ出した独身者たちがコロニーを作ってひそかに暮らしているといううわさが流れていた。

相手を見つけないと動物変身罰ゲームというホテル。かたやおひとりさまでないと、裏切り者として恐ろしい粛清が加えられる森。どっちにいってもろくでもないこの世界を、主人公はさ迷い居場所を探し続ける。

70点
平和の価値を感じさせる

冷戦期の捕虜交換の話を映画化すれば、ふつうは橋でのスリリングな交換場面をクライマックスにする。だがスピルバーグの非凡なところは、物語の力点をそのあとに持って行ったところである。

1957年、ニューヨークでルドルフ(マーク・ライランス)という名のソ連側スパイが逮捕される。その国選弁護人となったジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)は、やがて敵ながら彼の堂々とした態度と愛国心に一目置くようになる。一方、撃墜された米偵察機のパイロットが東側で拘束され、事態は二人の捕虜交換の方向へと進んでいく。

トム・ハンクス演じる人のいい民間人弁護士が、やがて捕虜交換の交渉役としてベルリンの壁のこっちとあっちを行き来する展開になる。

70点
香水は厳禁で

いま、都会の若者には車を買う経済的余裕がない。というか、若者でなくとも余裕がないので、こういう映画は自然と地方興行頼みと言うことになる。

父の豆腐店の手伝いで秋名山を走っているうちに驚異的なドライビングテクニックを身に着けた藤原拓海(声 宮野真守)の前に、最強のライバル高橋涼介(声 小野大輔)が立ちふさがる。赤城最速の男といわれる彼との対戦は、事実上の最速決定戦であった。

「新劇場版 頭文字[イニシャル]D Legend 3 -夢現-」は、上記の意味で地味な娯楽映画だ。しかし大事なところを押さえている優れたエンタテイメントだ。そしてデートムービーとしても申し分ない。上映時間が60分短い(その分、入場料も安い)のもほめるべき理由のひとつ。なにしろ若いアベックはこのあといろいろ行くところがあるのだから、このくらいの上映時間がよいのである。

70点
マーズランキング1位確実な生存力

「ゼロ・グラビティ」が想像以上の高評価を得たからか、「オデッセイ」はえらくそれを意識したようなつくりのSF映画である。

火星探査中、不運が重なりひとり取り残されてしまった飛行士のマーク(マット・デイモン)は、次の探査機が来る4年後まで残されたわずかな物資をやりくりして生き延びるハメに陥った。地球との連絡手段がなく情報源は自分の頭の中だけ、生物が生きるにはあまりに過酷な惑星環境。四面楚歌の中、マークは決して悲観的にならず次善の策を考え続けるのだった。

ドキュメンタリータッチかつ現実感ある3D映像。「ゼロ・グラビティ」のいいとこどりで脱出ゲームを描く「オデッセイ」。以外にも宇宙マニアからは描写のいいかげんさを指摘されることが多いライバルと違い、こちらの考証は映画としてはかなりガチな部類に入る。

70点
もし海外赴任中にクーデターが起きたら

北朝鮮の潜水艦が数十隻出撃するなど38度線を巡る小競り合いがニュースになっている昨今。映画「クーデター」が公開されるのは偶然とはいえ、タイムリーである。

幼い娘二人と妻を連れ、東南アジアの某国に赴任してきたジャック(オーウェン・ウィルソン)は、しかし翌朝突然のクーデターぼっ発に巻き込まれる。外国人排斥運動の名のもとに白人たちが殺害される中、はたして右も左もわからぬ彼ら一家はどこへ逃げればいいのだろうか。

一夜あけたら町は銃を持った敵だらけ。もし韓国で戦争となれば、本作のオーウェン・ウィルソン一家のようなドラマが実際に繰り広げられないとも限らない。そのとき外国人たるわれわれはどこへ逃げればいいのか。「クーデター」は、そんな実感あふれる恐怖を描いたアクション映画である。

70点
気迫が感じられる

篠原涼子が一糸まとわぬ姿を見せる「アンフェア the end」は、テレビじゃできないことをやってやるとの気迫が感じられる、好感度の高い一本である。

転落死事件の現場を訪れた刑事の雪平夏見(篠原涼子)は、そこで見覚えのある手がかりを発見する。やがてその死体が村上克明検事(山田孝之)だとわかると、これもまた彼女自身にかかわる一連の事件に連なるものだと明らかになる。

秦建日子の小説をもとにした人気テレビシリーズに始まり、本作で3本目の映画版となるアンフェアシリーズ。長年引っ張ってきた謎のほとんどすべてが明らかになる本作は、文字通り今度こそ完結編とみてよいであろう。その名にふさわしい盛り上がりを見せるし、映画版としてもこれが出来はいちばんいい。

70点
どちらが人類代表のペニスなのか

アイスランドの港町フーサヴィークに、あらゆる動物のペニスだけを集めた博物館があるという。なんだか罰当たりな気がするが、国防上、キリスト教に改宗しつつも北欧土着信仰をを守り続けたこの国らしいおおらかさのたまもの、という事なのか。

ともあれその博物館主シグルズル・シッギ・ヒャールタルソンに密着したドキュメンタリーが「最後の1本 〜ペニス博物館の珍コレクション〜」。最後に集め残したヒトのペニス標本を手に入れるまでを描いた、熱き挑戦の記録である。

もともとシッギはあるきっかけでペニス収集を始めたが、自宅に収まりきらなくなるほど集まったところで奥さんが「博物館でも開いたら」と心優しいアドバイスをしてくれたのが始まりだという。

70点
メインスタントがアミューズ扱い

60メートルのレッドカーペットを歩ききるのに1時間以上かけるトム・クルーズは、マスコミ泣かせのハリウッドスターである。サインも写真も断らない、それは彼のプロ意識によるものだが、そんなトム・クルーズのサービス精神がもっとも反映されているのが、自身の製作会社で作り続けている「ミッション:インポッシブル」シリーズである。

世界中の紛争地帯で暗躍する謎の組織"シンジケート"を追うイーサン・ハント(トム・クルーズ)だったが、所属するIMFがCIA長官と対立、解散を命じられてしまう。イーサン自身もミッション中に敵につかまり、窮地に追い込まれてしまう。

来日して宣伝しまくった軍用機しがみつきスタントは、映画の序盤にいきなり現れる。そのすさまじい迫力と格好良さには全館客がしびれること間違いないが、それ以上にこれほどのスタントシーンがあっさり終了してしまうことに驚くだろう。

70点
人生、一寸先は闇

カンヌ映画祭に正式出品され、絶賛されたアルゼンチン映画、なんていうとどこか小難しいドラマかと思うがさにやらず。「人生スイッチ」はそうした堅苦しさはゼロの、単純に楽しむべきオムニバスドラマである。

ではどんな雰囲気の映画かというと、あんなに悪辣ではないが「ファイナル・デスティネーション」とか、あるいは昔のヒッチコック劇場みたいな感じといえば中年以上の方にはわかりやすいところか。

ある旅客機に乗り込んだファッションモデルは、隣の中年紳士など周辺の人たちと会話するうちに奇妙なことに気付く。彼女の元彼を、なぜか皆知っているのだ……。

70点
映画好きの監督らしい研究の成果

「これはフロム・ダスク・ティル・ドーンを意識した?」との問いにあえて明言せず「ただ、あの映画は大好き」と思わせぶりに答えた品川ヒロシ監督の「Zアイランド」は、なるほど、映画好きの監督らしいよく研究された娯楽映画であった。

宗形組組長の博也(哀川翔)は、抗争相手との戦いで大けがをし、やがて極道から引退した。時が過ぎ、久々に再開した武史(鶴見辰吾)に彼は言いにくい報告をする。それは、博也が面倒を見ていた武史の娘(山本舞香)が離れ島に家出しているとの事実だった。

なにやらチープ感あるVシネ風の序盤に肩すかしを食らっていると、どどん!と最初の大波にさらわれる。

70点
まるで舞台劇のような面白さ

よくできた舞台劇のような映画「脳内ポイズンベリー」は、恋愛ものでありながら主人公の悩める女子に男性でもたやすく共感できる、上手な作りになっている。

携帯小説家のいちこ(真木よう子)は、飲み会で出会って気になっていた早乙女(古川雄輝)を偶然駅で発見する。はたして声をかけるべきか否か。そのとき彼女の脳内では、議長の吉田(西島秀俊)を中心に、強気派とやめるべき派の間で激しい議論が巻き起こっていた。

女の子の脳内でさまざまな個性と役割を持ったキャラクターがあれこれ会議を繰り広げるアイデアが売りのコメディドラマ。なるほど、男性でもいろいろな思惑がぶつかって、なかなか決断できないときがある。そんなとき脳内ではこんなグダグダ会議が行われているよと、そういうことを言っているわけで、思わず共感してしまう。

70点
安心感の塊

絶賛公開中『イントゥ・ザ・ウッズ』の口直しことリハビリムービーとしてのポジションを期待される「シンデレラ」は、なるほどディズニーイズムの権化のようなプリンセス映画に仕上がっている。

優しかった父親が他界し、財産も屋敷も乗っ取られてしまったエラ(リリー・ジェームズ)。彼女はいじわるな継母とその連れ子二人にシンデレラ(灰まみれのエラ)と呼ばれ、あたかも召使のように扱われていた。そんなとき、エラは森で青年キット(リチャード・マッデン)と運命的な出会いを果たす。

音楽と衣装に相当力を入れたのがわかる、見た目も中身もまさにディズニーのお姫様映画である。

70点
キューバ万歳

映画「アイアンマン」などの監督や出演で知られるジョン・ファヴローだが、「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」では製作・脚本・監督・主演をつとめている。いかに彼がこいつを作りたかったのかがわかるというものだが、なるほどその思い入れも理解できる、たいへん気持ちのいいロードムービーである。

シェフのカール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)は、創意工夫の余地がないマンネリなコース料理ばかり作らされてオーナー(ダスティン・ホフマン)と大喧嘩してしまう。店にいられなくなった彼は、中古のフードトラックをなんとか入手してサンドイッチの移動販売をしようともくろむが……。

オンボロトラックを父子が自分たちの手できれいにし、改造して立派な移動販売車に仕上げる。そのまま全米横断しながらキューバサンドを売り歩く。仕入れや注文とり、計算等々、大人たちがいかに苦労して生活費を稼いでいるか、少年たちに伝えるのにぴったりなお仕事ムービーでもある。

70点
女性が描く女性の物語

今年の東映は岬とコーヒーがよっぽど好きなようだが、トホホ感の強かった吉永小百合のコーヒー店とは違い「さいはてにて〜やさしい香りと待ちながら〜」は、主要なキャストの演技力を堪能できる力作に仕上がっている。

故郷の奥能登で焙煎珈琲の店を開いた岬(永作博美)は、隣に住む小学生の娘と交流するようになる。その子の母親・絵里子(佐々木希)はキャバクラ嬢をしながらシングルマザーとして育てていたが、はた目にはとてもじゃないが、まともな母親には見えないのだった。

徹頭徹尾、父性が不在な物語。わけありなハイミス女と、母親になるには未熟すぎるシングルマザー、そしてその娘。世間から阻害された3人の弱き女たちが身を寄せあいなんとか生きる道を探る。そんな共感度の高いドラマである。

70点
五輪メダリスト殺人事件

「愛国心とは、ならず者の最後のよりどころ」と言ったのは英国の詩人サミュエル・ジョンソンだが、ならず者のところを別のものに差し替えても十分通用する。たとえば現代日本ならワーキングプアとか底辺層とか引きこもりとか、そんな感じだ。要するに、自己実現できなかった者やしいたげられた者たち、自尊心を満足させられないある種の鬱屈した人々にとって、愛国思想は魅力的に映るということである。

84年のロス五輪アマチュアレスリングの金メダリスト・マーク(チャニング・テイタム)は、しかし収入が乏しくその日暮らしの不遇に甘んじていた。一方、同じく金メダリストの兄デイブ(マーク・ラファロ)は幼いころからの親代わりで尊敬すべき唯一の肉親だったが、すでに家族を持ち競技生活にも未練なく、国民の人気も高い。そんなとき、マークに声をかけてきたのはデュポン財閥の御曹司ジョン(スティーヴ・カレル)。ジョンがいうには、自分の邸宅にある私的なレスリング養成所フォックスキャッチャーのエースとして、破格の待遇で来てくれというものだった。

風変わりな大富豪が五輪を制する野望を持ち、実際にカネに飽かせてマーク兄弟をスカウト、豪華ジムで住み込み特訓をさせるというマンガのようなお話である。

70点
悪化する一途の労働問題

自他ともに認める左翼監督ケン・ローチは、同時にきわめて優れた人間ドラマを量産する熟練のストーリーテラーでもある

内戦が終結してから10年ほどたった32年のアイルランドの田舎町。アメリカから帰ってきた労働活動家のジミー・グラルトン(バリー・ウォード)は、昔の仲間たちに頼まれ住民のための集会所を再建する。そこで芸術やスポーツなどを楽しみつつ交流していると、教会以外での住民の団結を恐れる神父シェリダン(ジム・ノートン)の心無い妨害が始まった。

ケン・ローチが毎度すぐれていると思うのは、題材におぼれないその冷静さである。この映画にしても、世界中の観客がアイルランドなんて国や、まして無名な労働活動家なんかに興味など無いことを彼はよく承知している。

70点
アメリカ映画界渾身の自虐ネタ

世界中で大人気のトランスフォーマーだが、いよいよ4作目にして、満を持しての中国持ち上げバージョンを登場させてきた。

悪のディセプティコンから地球を守ったはずのオートボット軍団だが、その圧倒的な力を恐れる人類からは逆に迫害を受けていた。生き残ったオートボット戦士たちは人間から隠れて暮らしていたが、そのリーダー、オプティマスがトランスフォームしたトラックを偶然発見したのは当局ではなく、テキサスの廃品業ケイド(マーク・ウォールバーグ)とその娘テッサ(ニコラ・ペルツ)だった。

莫大な映画市場を擁しながら外国映画に公開本数制限を課している中国。アメリカ映画界は自作への中国資本導入という裏技でそれを逃れ、こうしたブロックバスターをかの国の送り込んでいる。

70点
現状にストレスを覚えている女性向けミステリ

公開中の「フューリー」(14年、米)と並び、オスカー候補の筆頭とされる「ゴーン・ガール」は、結末ドッキリ系をとらせたら右にでるものがいないデヴィッド・フィンチャー監督らしい軽快な語り口で、大人の男女関係を知る誰もが楽しめるミステリに仕上がった。

ミズーリ州の片田舎に暮らすニック・ダン(ベン・アフレック)は、結婚5周年の記念日に妻エイミー(ロザムンド・パイク)が失踪したことを知る。彼女は有名な作家の娘でもあり、事件性が強いと警察もすぐに動き出す。ダンはすすめられるがままに記者会見を開き、情報提供を呼びかけるが、なぜか自分に不利な証拠が見つかり、やがて世間からは妻殺害の容疑者扱いされてしまう。

ネタバレ地雷だらけなのでストーリー紹介はここまで。今時のアメリカ社会の写し鏡のような要素満載で、様々な角度から楽しめるスリラーになっている。

70点
監督名でわくわくするアクション映画

ギャレス・エヴァンス監督は、同じことをするのは嫌いなのだという。「ザ・レイド」(11年)の続編を作っておいてなに言ってんのと思わずつっこみたいところだが、なるほど見てみるとこのパート2はかなり前作とコンセプトが異なっている。

前作での死闘を生き延びたラマ(イコ・ウワイス)は、息着く間もなく地元マフィアの潜入捜査を命じられる。長い期間をかけ組織のボス(ティオ・パクソデウー)に近づいたはいいが、ラマは主目的である汚職警官の正体を突き止める前に、ゴトウ(遠藤憲一)率いる対立するヤクザ組織との抗争に巻き込まれてゆく。

「ザ・レイド」は、予算が少ないこともあって、一カ所=高層マンションをひたすら上に向かって進む戦闘ムービーだった。だがこの2作目は別の企画の脚本を続編用に書き直した製作経緯もあって、だいぶ雰囲気が異なる。

70点
日本人の洗脳を解き、原子力ムラの息の根を止めるため作られた一本

震災と福島第一原発事故以来、多くの"原発映画"が作られてきた。だがこの「日本と原発」は、それらの中でもまったく異なった光を放つ作品である。

それはこの作品が、本来映画とはまったく無関係の人間たちによって作られたものだから。異業種監督、などという言葉があるが、それは異業種から映画界に参入してきた新参監督といった印象がある。だが本作の河合弘之監督は「現役弁護士の映画監督」などと、そんな枠には絶対にくくれない。

この監督と映画「日本と原発」を正確に言い表すならば、「日本最大のタブーである原発マフィアを地獄の底まで追いつめ、その首を狩るために作られた」執念の一撃、である。

70点
もう一つ意外性と深みがほしい

ジャンルを越えたとか、ジャンルレスなんて宣伝文句に引かれ「ザ・ゲスト」をみたが、その高い期待がいい具合に緊張感を持続させてくれたものの、結果的にそれらは過剰広告で終わった。毎度ながら人が良過ぎる超映画批評である。

ある一家のもとに、戦争で亡くした息子の戦友と名乗るデイヴィッド(ダン・スティーヴンス)が訪ねてくる。礼儀正しく誠実で、息子の思い出を語ってくれた彼に母親は涙し、しばらく泊まって行ってほしいと半ば無理やり彼を滞在させる。デイヴィッドは気難しい父親をも一瞬で魅了し、いじめられっ子だった息子の悩みも解決してしまうのだが……。

期待したほどではなかったとはいえ、この映画はかなり面白いホラー寄りのサイコサスペンスである。突然の訪問者は、ハンサムなお顔と礼儀正しいふるまいで一家の奥様の信頼を得て、あれよあれよというまに滞在を開始する。

70点
80年代ドラマを2014年にリメイクする理由

「イコライザー」は冷静に考えるとつっこみどころ満載で、それをご都合主義のハリウッドイズムで蹴散らす剛腕な映画だが、見ている間はあまり感じさせない。いかにもアメリカ映画のお家芸、的なヒーロー映画である。

ホームセンターで働く平凡な男マッコール(デンゼル・ワシントン)は、眠れない夜に深夜営業のダイナーで本を読むのが日課となっていた。そこで知り合った娼婦のテリー(クロエ・グレース・モレッツ)が、あるときロシアンマフィアに虐待されているのを知ると、彼は単身マフィアのもとへと赴くのだった。

主人公のキャラクター設定がユニーク。悪と戦うには年齢が高すぎるというだけでハラハラさせるし、元CIA工作員という、米映画界では無敵という意味の経歴を持っている点もまたしかり。デンゼル・ワシントンは善人を絵にかいたような顔をしているが、敵をつるして絶命まで見続けて確認する姿はほとんどプレデター。じつにえげつない殺人術で笑える。

70点
本格ファンのための映画

ミステリ作家・島田荘司が育てたり、世に出したり、あるいは影響を与えた作家・作品は数多い。その中には映画化されているものもあるというのに、当の本人の作品が映画化されるのはこれが初めてである。

交通事故にあい、病院のベッドで目覚めた医大生の雅人(吉木遼)は記憶障害を起こしていた。親友の亀井(遠藤雄弥)のことはよく覚えているというのに、恋人の遥(谷村美月)のことは何一つ思い出せない。そんな雅人に亀井は二人で研究していた最先端治療を施すことを決めるが……。

いったい事故のとき何が起きていたのか。周りのよそよそしい雰囲気はなぜなのか。観客の好奇心を刺激しながら物語は進んでいく。退屈とは無縁だ。私は本作で、久々に作り手と観客のガチのだましあいを堪能した。

70点
どこか愛おしい京ムービー

なかなかの出来であった「るろうに剣心 伝説の最期編」を見た直後、シネコンの隣のドアから主題歌が漏れ流れてきたのを聞いて、「ああ、あのラストシークエンスだな、また見たいなあ」と思わず感じたのが「舞妓はレディ」である。「それでもボクはやってない」(2007)など、邦画界で異彩を放ち続ける高打率監督周防正行の最新作だ(ちなみに音楽はすべて従兄弟の周防義和)。

舞台は現代の京都の歴史ある街、下八軒。花街とはいうものの、いまや舞妓は百春(田畑智子)ひとり。三十路のくせに舞妓などと揶揄される始末だったが、そこに突然、春子という少女(上白石萌音)が舞妓志願でやってくる。女将の千春(富司純子)はどこの誰ともわからぬ娘を引き取るわけにはいかぬと断るが、それ以前に春子にはひどいなまりがあった。だが、春子の熱意を見抜いた方言のスペシャリストで大学講師の京野(長谷川博己)は、自分が京都弁へ矯正すると名乗り出る。

800人のオーディションを勝ち抜いた上白石萌音の魅力が炸裂する、気持ちのいいミュージカル作品である。

70点
不穏な二度見系サスペンス

この世には3人自分とそっくりな人がいる、なんて都市伝説がある。くだらない迷信とは思いつつも、トム・クルーズやオーランド・ブルームと鏡を見比べていると、たしかにそれは正しいかもしれないと思わされる。

大学で歴史の講師をするアダム(ジェイク・ギレンホール)は恋人メアリー(メラニー・ロラン)といても満たされぬ日々を送っていたが、あるとき見たDVD映画の中に自分とそっくりな男を発見する。手を尽くしてその男アンソニー(ジェイク・ギレンホール 二役)とアポイントを取ったアダムだが、二人の邂逅は思いもよらぬ運命を彼らにもたらすのだった。

「複製された男」は、偶然自分とそっくりな男に出会ってしまった男の悲劇である。

70点
韓国男性の理想

韓国の男性はマザコンが多いのか気の強いヒロインが出てくるコメディの人気が高い。見た目は若くて美人だが、主人公をしかる姿はオモニそのもの。男性は等しく母親的要素を妻に求めるなどというが、かの国のラブコメは、とりわけその集大成的妄想作劇が多いように思われる。

70歳のおばあさんマルスン(ナ・ムニ)は、今日も職場のカフェで知り合いと大喧嘩を繰り広げるほど血の気が多く、健康な日々を過ごしていた。ところが家族がそんな自分に手を焼き、施設に入れようとしていることを知ってしまう。いささか落ち込みつつ、偶然とおりすがった写真館に入った彼女は、その奇妙な店主のいうとおり写真をとってもらう。すると、彼女に信じられない変化が起こるのだった。

「怪しい彼女」も邦題のインスパイヤー元である「猟奇的な彼女」(01年)などと同様、そうした一本だが、ここにでてくるヒロインは文字通りマザー=肉親である。なにしろ主人公は70歳からいきなり見た目だけ20歳に戻ってしまう女性。彼女が70歳時代と同じ異様なハイテンションのまま、周りの男たちをマシンガン叱責する。そんなコメディである。

70点
佐々木希の存在感は佐伯母子以上

映画デビュー時からまれにみる逸材だと高く評価してきた佐々木希だが、悲しいかな女優の真価をみぬく目のない者たちにより、不当なまでの低評価を受けてきた。だが「呪怨 -終わりの始まり-」における彼女の的確かつ独自性あふれる演技は、彼らの見る目のなさを証明することになるだろう。

小学校教師の結衣(佐々木希)は、不登校の佐伯俊雄の自宅を訪ねるが、結局俊雄には会えなかった。明らかに異常性を感じた彼女は真相を知ろうとするが、それと同時に彼女の周囲にも奇妙な変化が表れ始める。はたして彼女は佐伯家の呪いとその真実に迫ることができるのだろうか。

清水崇監督の代表作を、これまたホラーの名手、落合正幸監督が引き継いだ呪怨シリーズ最新作。今回は、例の呪われた家にまつわる秘密に、あらたな奥行きが与えられることになる。

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