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75点
男たちの熱いドラマが見所の海洋スペクタクル

世界的なベストセラーが原作の海洋冒険歴史大作。帆船時代の海戦や船内生活を、ディテールにこだわった本格的な映像で見せてくれる。

ストーリーは、圧倒的に有利な装備を持つ敵アケロン号を拿捕する任務を預かったサプライズ号クルーが、常勝不敗のカリスマ艦長のもと、一致団結して戦うという展開。荒くれたベテランクルーに混じって士官候補生の10代前半の少年たちも乗り込むが、海の上では大人と同じ仕事を堂々とこなす。彼らは、見た目の幼さとは裏腹に、腹の据わった一人前の軍人だ。

ほとんどがこの帆船内で繰り広げられるドラマであり、そこに女性の登場人物は一人も出てこない。今どきは珍しい、男たちの骨太なドラマだ。厚い信頼と友情が、そこには描かれている。

75点
フェミニズム先進国が描く、家庭の大切さ

エディ・マーフィ主演のホーム・コメディ。リストラされたエディが保育園を開園して、個性豊かな子供たちに翻弄されるお話である。家族向けに作られた心温まるコメディドラマで、エディ・マーフィはお得意のマシンガン・トークを封印し、真面目にドラマを演じている。日本語吹き替え版も同時に公開されるので、子供連れの皆さんも安心だ。

『チャーリーと14人のキッズ』には、一般的な家族連れの観客がコメディに求めるすべてがそろっているといって良い。健全で毒のない笑い、分かりやすい演出とストーリーとテーマ、そしてラストに気持ち良く流せる感動の涙、である。当然米国では大ヒット。すでにパート2の製作も決定している。

こうしたアメリカ映画を見ていつも思うことは、子役たちがとても溌剌として素晴らしい演技をしているということである。なんでもあちらでは、撮影の合間には、子役たちのために遊ぶ時間を設けてリラックスさせるそうだ。14人のキッズの中には、『アイアムサム』や今週公開の『コール』に出演している、現在ハリウッド最強の美少女子役ダコタ・ファニングの妹が出演しているので、ファンの方は探してみよう。まあ、一人だけ図抜けた美少女がいるので、すぐ分かるだろう。

75点
最後の1分まで気が抜けない抜群の面白さ

仰天な結末が話題の、ミステリドラマ。

あなたがミステリファンならば、『アイデンティティー』は最高の映画だ。この映画は、ロジカルに推理を進めながら見ている観客が、最後に鮮やかに騙されて、完全敗北を味わう快感を得られる映画である。(騙される快感こそ、ミステリファンがもっとも期待する要素でしょう?)

かくいう私も、画面の端々の怪しげなヒントを見逃さず、論理的に推理しながら、結末を先に言い当ててやろうと気合を入れて鑑賞したくちである。そして後日このサイトで、「ミステリのクセに結末がバレバレだぜ」と得意満面で報告してやろうというわけである。その勇姿を想像して、一人ワクワクしていた。

75点
アクが強い上、少々狙い過ぎの感はあれど、さすがに力の入った出来映えだ

主に日本を舞台にしたアクション映画。熱狂的なファンを持つ、クエンティン・タランティーノ監督の6年ぶりの新作として期待されている作品だ。

こ の監督もだいぶ実績を作ったというわけか、今回の新作では、個人的な趣味性を前面に出して、相当好き放題をやっている。映画オタクとして知られる彼だが、『キル・ビル』には、彼の愛する過去の映画作品(カンフー映画やヤクザ映画、マカロニウェスタンその他)の要素が、ところどころに引用されている。仮にも現実の世界を描いていた今までの作品と違い、『キル・ビル』は、完全にタランティーノ世界観による、彼の脳内ワールドの映画化といえる。

ただし、彼がそのへんの映画オタクと一線を画しているのは、オタク以外の観客にも配慮した映画作りをしているという点である。ひらたくいえば、『キル・ビル』は、過去作品の引用など一切気にせずにみても充分に楽しめるのである。

75点
笑いとアクションの高度な融合

『ミスター・ビーン』でおなじみのイギリスのコメディアン、ローワン・アトキンソン主演のコメディ映画。

『ミスター・ビーン』シリーズのように、ローワンのギャグを見せるだけの映画にはなっていない。まっとうなストーリーを持つ、スパイアクションとして成立しているので、「あの手のコメディを映画館にわざわざ見に行く気にはならない」という方にもオススメできる。

たとえばアクションシーン、これが本格的である。プライベートでもアストンマーチンのオーナーであるローワンが、自ら演じたというカーチェイスシーンなど、なかなかのものだ。霊柩車と大型バイクのトライアンフ、そしてこの美しいスポーツカー、アストンマーチンによるアクションは、こちらを驚かせるアイデアが豊富だから、きっと大満足できるはずだ。

75点
これは、まごうかたなき”ターミネーター”だ

あの『T2』から12年を経て帰ってきた、ファン待望の続編。言わずと知れた、SFアクション超大作である。

ジェームズ・キャメロンからジョナサン・モストウ(『ブレーキ・ダウン』『U-571』)に監督が変更、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトンが降板、そしてその息子のジョン・コナー役のエドワード・ファーロングも諸般の事情にて降板したため、シリーズとしてのつながりが感じられるかどうかが、ファン最大の関心事といえよう。

そして私が今回、この最新作を鑑賞して感じたのは、これは、まごうかたなき『ターミネーター』だ、という事だった。未来、運命というテーマを、時間を超えたドラマとしてドラマティックに描くこのシリーズ。前2作に共通する独特の雰囲気が、画面の端々に感じられたのである。

75点
他者と上手に付き合えない不器用な男の恋と友情を、せつなく描く物語

ペドロ・アルモドバル監督の人間ドラマ。アカデミー脚本賞を受賞したスペイン映画である。

脚本賞を取っただけあって、ストーリーが抜群である。常に先が気になるので、時間がすぐに過ぎる。このテンポのよさには、監督のセンスを感じる。ラストのオチが少々弱いかな、とは感じるが、途中はとても面白い。

人間描写がしっかりしているので、キャラクターに感情移入しやすく、観客を引きこんでくれる。特に、主人公の看護士の性格設定がリアルでいい。ああいうオタク青年は、いかにも現実にいそうだと観客は感じるだろう。

75点
アクションより、キャメロンのダンスがすごい

70年代のテレビシリーズをもとに映画化したアクション映画のPART2。製作側にしてみると、前作も大ヒットしたので、テレビシリーズのファンを含めて、相当幅広い年代を劇場に呼べるという、大ヒット確実な安全パイの典型である。

のっけから最後まで、恐るべきハイテンションを持続する映画である。副題のフルスロットルというのは、まさに本作にふさわしい。

本作の見所は、ただ一点、キャメロン・ディアスに尽きる。前作もそうだったが、本作はさらに壊れっぷりがエスカレートしており、もはや芸術品の域に達している。

75点
絶対あり得ないようなハッピー物語を好きな人に勧めたい

ジェニファー・ロペスという、歌手としても人気のある褐色の美人と、レイフ・ファインズという、『レッド・ドラゴン』でサイコな役を演じたとは思えないほど優しい顔をした男が主演の、ロマンティック・コメディ。

これは、ロマコメのなかでも、玉の輿系に属する映画だ。つまり、『プリティ・ウーマン』や『ノッティングヒルの恋人』といったあたりで、ウットリする婦女子を対象に作られた映画である。

……というような事を知り合いの女性(33)に話した所、「あんなもんを好きな女なんているか」と一蹴された。がっくし。

75点
多数のキャラ全員に活躍の場があり大興奮

アメコミの雄、マーヴェルは、先日『デアデビル』を映画化したばかりだが、どう考えても本命はこちらなので、さすがに力の入れようが違う。

前作の大ヒットをきっかけに、各俳優がブレイクした事もあり、PART2の本作は相当豪華な顔ぶれになっている。中でもオスカー女優のハル・ベリーが、脇役ながらも大きな存在感を示す。真面目なお姉さん先生役がぴったりで、とても可愛らしい。

ほかの奴らも、それぞれとってもカッコ良くて、見せ場が用意されているから、各キャラ別のファンもみな満足できるようになっている。

70点
≪『カメ止め!』に新たな要素を加えた≫

『カメラを止めるな!』は製作費300万円程度の低予算無名作品なのに興収31億円を稼ぎ出し、ジャパニーズドリームと言われた。チープなホラーかと思いきや、驚きのどんでん返しが仕掛けられており、この手の演出に慣れていない人を中心に話題となった。あの作品で、映画ジャンルの奥深さを知った若い観客も多かっただろう。『イソップの思うツボ』は、その上田慎一郎監督の真価が問われる最新作である。

引っ込み思案な女子大生、亀田美羽(石川瑠華)は、キャンパスではいつも一人。対照的に、タレント家族の娘として大人気の兎草早織(井桁弘恵)の周りには、イケてる男女が集まっていた。そんな二人は新任のイケメン教師に一目ぼれ。華やかで美しい早織はあっさり彼とのデートを取り付けるが、そんな二人を遠目に見つめる美羽は、こっそり向けたスマホで動画を記録する事しかできないのだった。

『カメラを止めるな!』はインディーズの悲しさで、原案者との権利関係をしっかり処理しておらず、のちにトラブルとなった。

70点
≪結末が……≫

最近、映画作りをする人たちにも、80年代を懐かしく思う世代が増えてきた。その結果、彼らが感じ取ってきた80年代文化を再現した『サマー・オブ・84』のような作品が目につくようになった。当然、観客にも似たような世代を想定し、国を超えた互いのシンクロ度合いを楽しむわけである。

舞台は84年夏、オレゴン郊外の新興住宅地。15歳のデイビー(グラハム・バーシャー)は、毎日悪友たちと4人でツリーハウスに集まり、エロ本を眺めたり、陰謀論を語り合ったり、夜中に街で鬼ごっこをして遊んでいた。彼らが最近気になるのは近所で起きた同世代の少年たちの連続失踪事件。調子に乗って犯人捜しを始めた彼らは、あやふやな根拠で向かいに住む警官マッキーを犯人と決め付け、面白半分で彼の監視を始めるが……。

中二病な少年たちの行動を微笑ましく描きながら、その合間には懐かしいあれやこれやの文化がさりげなく提示されてゆく。古き良き時代、というものは世代によって異なるが、40代から50代くらいの人にとっては本作がまさにそれだろう。

70点
≪美人すぎる母子≫

いつだったか、どこかのお母さんが気難しくなった思春期の娘との会話代わりに、嫌がらせのようにデコ弁を作り続け、いよいよ卒業を迎えました、とのネットニュースを読んだ記憶がある。

読んだ次の瞬間にはすっかり忘れていたが、『今日も嫌がらせ弁当』の映画化の話を聞いて、なんとなく思い出した。そんな程度の事前知識で私は本作の試写会に出向くことになった。

シングルマザーの持丸かおり(篠原涼子)は、最近反抗期なのかすっかり口を利かなくなった高校生の娘、双葉(芳根京子)に対し、かわいすぎるキャラ弁を作ることで対抗し始める。開けるのも恥ずかしいその弁当を、それでも完食して帰ってくる双葉とカオリの、奇妙な無言のコミュニケーションがこうして始まった。

70点
≪バレない"偽物の高級時計"は存在しうるか≫

2019年、北朝鮮と米国の間で探り続けられている和解への動きが世界中の注目を浴びている。

中でも38度線という、分断の象徴のような場所を、分断を進める象徴というべきトランプ大統領に超えさせた劇画的イベントは、間違いなく外交史に残るものといえるだろう。

そこで注目すべきは、この歴史的瞬間にいっちょかみした韓国の外交力だ。そして『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』は、南北和解が大きく進んだこの1年間の興味深い現状を、韓国外交の裏側から理解するためには格好の作品といえる。

70点
≪分断の時代に登場した象徴的なヴィラン≫

ヴェノムはアベンジャーズシリーズで無双っぷりを示しているサノスと並ぶ、マーベルコミック社の誇る強力な悪役(ヴィラン)だ。しかしこの実写映画版は、様々な事情からMCU(マーベルシネマティックユニバース)とは一線を画したソニーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター(SUMC ※以前はソニーマーベルユニバース、SMUと呼称されていた)の第一弾として、つまりアベンジャーズとはいったん無関係に世に出ることになった。

弱者の味方として活躍していたジャーナリストのエディ・ブロック(トム・ハーディ)は、ライフ財団の違法な人体実験の取材でアンタッチャブルに触れ、すべてを失ってしまう。やがて時がたち、自堕落な生活を送るエディの前に財団の内部告発者が現れ、彼に追及してほしいと語るのだが……。

この財団が研究していたのがシンビオートなる地球外生命体。こいつが宿主に寄生すると、おそるべき怪物になってしまうというのがヴェノムの基本設定だ。

70点
「新感染〜」の監督の本業たるアニメ版ゾンビ映画

「新感染 ファイナル・エクスプレス」に続き、監督のヨン・サンホ祭りの様相を呈しているが、あちらに続き「ソウル・ステーション/パンデミック」もまたなかなかの佳作である。

ソウル駅をうろつくホームレスの一人がきっかけとなり、周辺に謎のウィルス感染者が大量発生した。感染者はゾンビのように我を失い、人を襲う。ヒモのような彼氏と路地裏の安宿でその日暮らしをしている少女ヘスン(声 シム・ウンギョン)も感染者に襲われ、必死に逃げる羽目に。一方彼氏はヘスンを探しに来たヘスンの父親(声 リュ・スンリョン)と行動を共にすることになる。はたして彼らはこの夜を生き延びられるのだろうか。

ヨン・サンホ監督の本業たるアニメ映画である。ジャンルはゾンビ映画、音楽も内容もロメロ作品をほうふつとさせるが、きっちり韓国らしさを落とし込んであるので実に新鮮。アニメの技術的な意味での出来栄えは日本のそれとは比較にならないが、社会派の見ごたえあるゾンビアクションを見たい人にはベストチョイスとなるだろう。

70点
ドイツ版「スタンド・バイ・ミー」

欧米中心にベストセラーとなっている原作の青少年向け小説『14歳、ぼくらの疾走』は、ドイツ版「スタンド・バイ・ミー」などと言われている。なるほどそれは言いえて妙で、この映画版も少年時代独特の、かけがえのない感情とドラマをみずみずしくすくいあげた佳作となっている。

豊かな両親と暮らしながら、クラスではまったくパッとしない平凡な14歳のマイク(トリスタン・ゲーベル)。そんなある日、学校にやってきた転校生チック(アナンド・バトビレグ)は、マイクとは正反対に何もかもが破天荒で恐れ知らずの性格で、あっという間に孤立する。ところがチックはなぜかマイクにだけは親しく話しかけてくる。挙句の果てには夏休み、盗んだオンボロ車で突然おしかけてきて、地図にない"ワラキア"を目指す旅に出ようなどというのだった。

車を運転したり大人を出し抜いたりと、妙に大人っぽいかと思えば、子供じみた冒険に胸躍らせる二人。男性なら誰もが思わず共感してしまう、14歳らしさがつまったとても愛おしい映画である。

70点
奇妙な映画ではあるが

「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」は、実写映画化の発表からはじまり一つ一つビジュアルが発表されるたび、原作ファンの間では不安しか湧きあがらない話題の大型企画である。もっとも、誰が見ても東方仗助の髪型はじめ、静止画で見るとひとつも納得できるものがなかったのだから、それもやむなしであろう。

杜王町で暮らす高校生の東方仗助(山崎賢人)は、母(観月ありさ)と祖父(國村隼)の3人で仲良く暮らしている。あるとき彼の前に甥を名乗る年上の男、空条承太郎(伊勢谷友介)が現れ、仗助がジョセフなる老人の息子であり、自分と同じくジョースターの血統を継ぐものだと伝える。さらに承太郎は仗助のそばに立つ「悪霊のようなもの」の正体を彼に教えるのだった。

断言してもいいが、関係者はきっと当サイトの批評をまんじりともせず待っていることだろう。ここで酷評されるとまた業界内で静かな大騒ぎになって、どこかの試写会にいく度、腫物を触るような目でみられる日々が続くわけだが、幸いなことに今回は蓋を開けてみれば意外にも悪くない。世間ではあれほどネガティブな前評判だったのに、まさに奇妙な映画、である。

70点
対象客層は違えど出来は良い

「君の名は。」とか「映画 「聲の形」」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」といった、どこかノスタルジックな切ない系のアニメ映画が最近人気である。「心が叫びたがってるんだ。」は、その一つである同名アニメを実写映画化したドラマである。

あるトラウマから声が出せなくなってしまった成瀬順(芳根京子)。付き合い下手で本音の会話ができない坂上拓実(中島健人)。地域ふれあい交流会の実行委員を任された二人は、改めて互いを知るうちに、少しずつ心を開きあうようになる。実行委員には元野球部エースだがひじを故障して以来前に進めなくなってしまった田崎大樹、一見優等生に見えるチアリーダー部長の仁藤菜月も加わるが、ぎこちない彼ら4人はなかなか本音で話すことができないのだった。

学園を舞台にした群像ドラマ。予算面などから見ても、これをアニメだけにして実写で撮らない理由はほとんど見当たらない。ジョジョだの銀魂だのを実写化するよりはよほど順当な企画といえる。

70点
今からでも参加したい良シリーズ

ストリクトなアクションシーンとシュールでくすっと笑える世界観。シャレのわかる大人向けキアヌ・リーヴス映画の第二弾だが、こうしたコンセプトが観客の支持を受けたことにチャド・スタエルスキ監督らが自信を得たか、一作目よりも良い仕上がりである。

前作のラストから5日後。殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)はイタリアンマフィアのサンティーノ(リッカルド・スカマルチョ)から汚れ仕事を強要される。業界の掟をやぶり依頼を断ったジョンに対し、サンティーノは自宅爆破という制裁を加える。さらに7億円もの賞金首となったジョンは、世界中の殺し屋から追われる羽目になる。

ドラクエの武器屋に入るときのような無駄なワクワク感を感じさせるテーラーなど、いくら前作でウケたからと言ってふざけすぎの世界観拡充にまずは苦笑。

70点
メキシコの壁は必要か?

トランプ大統領がメキシコとの国境に壁を作るなどというから、普段はどれだけおっかない違法移民が国境を超えてきているのだろうと我々は思いがちである。なにしろアメリカ人労働者の仕事を格安賃金で奪い、治安まで悪化させている張本人である。アメリカ人にとってはもはや害獣かゾンビのようなものであり、だから壁の建設費はメキシコ政府が出せと言う話になる。そんな大統領が絶賛されるのもなんとなくわかる気がすると、そういうわけだ。

モイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)たちは、違法なブローカーのもと、メキシコ側からアメリカへ国境越えを試みていた。命がけで灼熱の砂漠を歩き、なんとか国境を超えた時、彼らは突然銃撃を受ける。わずかな水と食料以外何もない彼らメキシコ人にとって、真に恐ろしい運命の幕開けであった。

さて、冒頭のような一方的な言い分だけを見ているとバカになるので、たまにはこの映画のようなメキシコ側から見た国境問題、というものを知っておくのも悪くはない。あらゆる政治的な物言いは、100%正しくもないし、誤ってもいないのだ。バランス良く両方知っておくのが無難であろう。

70点
希望の薄い未来しかない時代ならでは

「メッセージ」という邦題は、原作小説のタイトルとも本国の映画題とも異なる。内容とともに一番訴えたいテーマが微妙にそれぞれ違っていると考えると、中々興味深い。

あるとき、巨大な宇宙船が地球上に現れる。アメリカでは言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)が政府に呼び出され、宇宙船の目的を知るために交信すべく、言語を解明する任務を与えられる。

ソニー・ピクチャーズ試写室が気前よく大音量を振る舞ってくれたおかげで、序盤の軍用機飛来の場面から、椅子から飛び上がるような迫力である。本物としか思えないサウンドデザインからは、9.11とか3.11といった、大変なことが起きた感が実感を持って感じられる。

70点
傷ついている大人の心にしみる

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」はケネス・ロナーガン監督の長編3作目だが、とてもそうは思えないほどドラマの組み立てがうまい。とくに年齢なりに人生経験を組み立ててきた大人が見れば、この映画の良さはすぐにわかる。

ボストン郊外で便利屋をするリー(ケイシー・アフレック)は、兄の死をきっかけに故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ってくる。彼を驚かせたのは、遺言に兄の息子で16歳のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人になれとあったこと。だがリーはある過去の事情から、この町にとどまるわけにはいかないのだった。

死んだ兄の息子の面倒を見ろと遺言で言われる。なんとも奇妙な依頼である。そこだけ聞けば、はた迷惑な依頼といってもよい。

70点
本流よりも面白い

マーベル・シネマティック・ユニバースの中でも異彩を放つ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ。だが普通の大人の観客にとっては、その他の正統派ヒーローものを見るより、よほど楽しめるかもしれない。

宇宙海賊ラヴェジャーズを率いるヨンドゥ(マイケル・ルーカー)に育てられたピーター・クイル(クリス・プラット)。親父がろくでなしだったからか、今では彼も銀河のはみ出し者とヒーローチームを組んでいる始末。だがそんな彼の前に、実父を名乗る男エゴ(カート・ラッセル)が現れる。

前作で色々あって、生まれたてのベビー状態になってしまったグルート。その可愛らしいダンスの背後で、仲間たちが死闘を繰り広げるオープニングシーン。これが実にいい。とてつもない強敵と戦っているのに緊張感はゼロ。この力の抜け具合が本シリーズの美点であると、高らかに宣言して映画は始まる。

70点
現実との符号が怖いほど

世間じゃアメリカのトランプ大統領ばかりが話題だが、フランスの大統領選挙もかなりホットな状況である。4つどもえの候補者争いは横並びで全く予測がつかないし、誰が当選するかで欧州の、ひいては世界の未来にも多大な影響を及ぼす。

アメリカからやってきてパリでスリをはたらいている若者マイケル(リチャード・マッデン)。ところが彼が置き引きしたバッグには、政党のビルの爆破を狙った爆弾が入っていた。すんでのところで爆死は免れたものの、CIAのブライアー捜査官(イドリス・エルバ)にマイケルは濡れ衣で逮捕されてしまう。

さて、そんな仏大統領選を前にぜひ見てほしいのがこの「フレンチ・ラン」。一見ごく普通のサスペンスアクションだが、わざわざ紹介するには理由がある。それは、この映画が偶然とは思えないほど色々と未来を言い当てているからだ。

70点
優等生なアニメではあるが

「モアナと伝説の海」は、ディズニーアニメらしく時代の空気を反映した脚本に、少しだけ新しいチャレンジを加えた高品質なアニメーション映画だ。過去の成功例の積み重ねによる安定感も高く、非の打ち所がない優等生映画となっている。

海が大好きな少女モアナは、族長の父親により外洋に出ることを固く禁じられていた。だが女神テ・フィティの「心」が盗まれた事により世界の均衡は崩れ、彼女はそれを食い止めるため伝説の英雄マウイを求めて旅立つ決意を固めるのだった。

本作には「アナと雪の女王」など過去のディズニーアニメ成功作の長所がふんだんに取り入れられており、誰が見ても十分共感できるようになっている。彼らは長年の蓄積を基にきわめてロジカルな映画作りをしており、毎年成功の方程式を更新しているようなものなので、もはや駄作が生まれる余地はほとんどない。

70点
中年以上のカップル向きの古くて新しい映画

「マリアンヌ」は、クラシカルな雰囲気のスパイ&恋愛映画だが、ロバート・ゼメキス監督が撮るとさすが、エンタメ性の高いルックとなる。

1942年、諜報員のマックス(ブラッド・ピット)は仏軍レジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)と夫婦を装い、協力してドイツ大使暗殺に挑む。互いの凄腕ぶりと息の合った仕事ぶりに運命を感じたマックスは、そのまま彼女に告白し結ばれるが……。

舞台がカサブランカということでわかるとおり、往年のハリウッドの名作を存分にオマージュした内容で、とくに衣装や美術については「カサブランカ」(1942)を参考にしたと制作陣は語っている。

70点
弱者への温かい視線

英国や米国には、ルーザームービーと呼ぶべきジャンルがある。負け組映画とでもいおうか、要するに世の中からあぶれたダメ人間の生きざまや奮闘ぶりを、寄り添うような視点で描く人情ドラマである。たとえ表舞台で注目を浴びられなくとも、不器用ながら生きる人々の物語は大衆の胸を打つわけで、根強い人気がある。

映像ディレクターの壱岐紀仁監督による「ねぼけ」は、まさしくその日本版。売れない噺家が、自堕落な日々を自覚しつつも抜け出せずにあがく姿を、等身大のドラマとして描いている。

落語家の仙栄亭三語郎(友部康志)は、怠け癖と酒好きな性格のせいでまったく目が出ない。同棲中の真海(村上真希)はそんなろくでなしの彼を、信じて必死に支えている。だが三語郎には彼女のひたむきささえ今や重荷となっていて、停滞する自分の人生をぶち壊すかのように、弟弟子の若い恋人と浮気してしまう。

70点
好感度高いレトロ風味ロマコメ

福山雅治は、結婚後に主演映画その他で苦戦していると聞く。原因は言うまでもなく結婚によるものだ。いまどき"結婚"がファンの支持率にマイナスな影響を与えるタイプの芸能人というのも逆にたいしたものだが、もし女優でそれを一人あげるとすれば佐々木希ではないか。

恋人に振られ、沖縄出張中に職場まで失うなどさんざんな目に合っているヨンウン(イェソン)。そんな彼を救ったのは、たまたま知り合った地元の語学学校の校長だった。ほとんど無理やり韓国語教師にさせられたヨンウンは、クラスの生徒で訳ありなシングルマザーのさくら(佐々木希)に思わず目を引かれるが……。

佐々木希も、言ってみればファンを嫉妬させるタイプの美人。それはスターという意味でもあるので、きっと彼氏か何かがいても、存在を公にしにくい立場にあるのではないか。だから──かどうかは知らないが、近年は子持ちの役柄を演じることが多い。何かの地ならしだと予想するが、とりあえず今回も沖縄で一人頑張りシングルマザーである。

70点
ウシジマの世界に果敢に戦いを挑む男の物語

2010年から続く闇金ウシジマくん実写ドラマも、いよいよこの映画版で完結となる。そして、当初からこのシリーズを担当してきた生みの親たる山口雅俊監督は、最後の最後に強烈なパンチを食らわせてきた。

「カウカウファイナンス」の丑嶋馨(山田孝之)のもとに、かつての同級生竹本優希(永山絢斗)が訪ねてくる。他人を助けるために金を借りたいという、カウカウの社員たちには甘ちゃんにしか見えない竹本のふるまいをみて、しかしウシジマは複雑な気持ちになる。実はウシジマと竹本には、中学生時代にある因縁があるのだった。

今回の題材となる闇金と過払い金請求側のバトルネタは、社会的には大事だがタイムリーとまでは言えず、むしろ少々古さを感じざるをえない。それが時代の先を読むウシジマくんの映画としては弱いところでる。

70点
より一般向けのアクション映画になっている

監督を変え、脚本もより一般向けに手直ししたスター・トレック・ケルヴィン・タイムラインシリーズ第三弾は、なるほどスター・トレック風味のアクション映画として、多くの人が楽しめるであろう無難な出来に仕上がっている。

果てのない宇宙の旅から身を引くことを考えているカーク(クリス・パイン)に、不時着した宇宙船の救助依頼が届く。エンタープライズ号は即座にそれに応え現地に向かうが、そこで彼らは予期せぬ敵からの襲撃を受けるのだった。

J・J・エイブラムスから監督をバトンタッチされたジャスティン・リンは、生まれた時にはすでにシリーズが始まっていた世代の若い監督で、かつSF映画の経験は初めて。はたからみればギャンブルのような人選だが、これは要するにコンセプトを変更してさらに若い世代のライトユーザーを取り込もうということだろう。

70点
中年男が見たらうならされるドラマ

西川美和監督自ら書いたベストセラー小説を映画化した「永い言い訳」をみると、本当にこの監督は男を描かせたら一流だとわかる。一方、女性キャラは冒頭、あっという間に退場する。いかに女に興味がないかも良くわかる。

人気小説家として活躍する衣笠幸夫(本木雅弘)は、美容師の妻・夏子(深津絵里)をバス事故で失う。だが二人の仲はもともと冷え切っており、事故当時、幸夫は浮気相手と情事のさなかであった。だが世間の注目は愛する妻を失った人気小説家、に注目しており、意に反して彼はよき夫を演じ続けなくてはならないのだった。そんな彼はあるとき同じ事故の遺族、陽一(竹原ピストル)に出会う。対照的に妻を愛していた彼の姿が心のどこかに引っかかった幸夫は、やがてその子供たちの面倒を見ることを申し出る。

よりにもよって、こんなにややこしい状況に陥った男の心理になぜ興味を持ったのか、私は西川美和監督に聞いてみたい。

70点
女性に変更した必然性が感じられる

80年代を席巻したコメディーアクションの再会となる新「ゴーストバスターズ」は、製作サイドの問題で多少もたついたものの、なかなかの出来栄えで登場した。

コロンビア大学の物理学者エリン(クリステン・ウィグ)は、旧友アビー(メリッサ・マッカーシー)との幽霊発見騒動によってせっかくの出世のチャンスを失ってしまう。しかし、幽霊じたいは本物と確信した彼女ら4人は、超常現象の調査会社を立ち上げるのだった。

本国では名うてのコメディアン女優4人による女性版リメイクは、彼女たちによる序盤のギャグが日本人にもばっちり届くおかげで、すぐに物語に没頭できる。80年代のSFXっぽいスペクタクル演出やおなじみのテーマ曲、マシュマロマン等々によって、往年のファンもなじむことができるだろう。また、前作出演者によるカメオも多数あるが、気づかなければそれはそれでなんてことない扱いなので好感が持てる。

70点
突っ込みどころ満載で面白い

9.11同時多発テロ事件の発生は、アメリカ映画に大きな影響を与えた。007シリーズをはじめとするアクション作品はとくにそうで、荒唐無稽な悪役は姿を消し、全体的に深刻なムードをまとうようになった。

しかし、本当はご都合主義満載のノーテンキなものだって見たい。そんな人に「エンド・オブ・キングダム」は最適だ。

ホワイトハウスがアジア系テロリストに占拠されるショッキングな設定で話題を呼んだ「エンド・オブ・ホワイトハウス」の続編だが、ストーリーは独立しているのでこの2作目から見ても全く問題ない。前作から大幅に増えた予算にモノを言わせ、火薬と銃弾をひたすら消費して盛り上げてくれる。質より量で勝負の、まさに特盛ポリティカルアクションだ。

70点
ジャーナリズムに興味ある人は必見

米大統領選が近づくと政治的な映画が増えてくるのが常だが「ニュースの真相」もその一つといえるだろう。何しろこの映画はジョージ・W・ブッシュのスキャンダルをすっぱ抜いたテレビジャーナリストの実話を映画化したものだ。

2004年、CBSの報道番組『60ミニッツII』に、再選を目指すジョージ・W・ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑の情報が寄せられた。プロデューサーのメアリー(ケイト・ブランシェット)と彼女の盟友であり父親的存在でもある看板キャスターのダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)は協力して調査にあたる。やがて決定的な新証拠を発見するが、メアリーは完全な裏取りができぬまま、それでも他局に先駆け報じることを決定する。

この映画ではいくつかの重要な問題が提起されている。

70点
悪いのは選手なのか

自転車レースの最高峰"ツール・ド・フランス"で前人未踏の7連覇を成し遂げた名選手ランス・アームストロング。「疑惑のチャンピオン」は、そんな"伝説の男"が題名通りドーピング事件ですべてを失った衝撃の半生を描いた実録ドラマである。

若年性のガンを患った自転車レース選手ランス・アームストロング(ベン・フォスター)は、驚くべき回復力で周囲を驚かせる。それどころかレース最高峰「ツール・ド・フランス」を制するなど、その快進撃はとどまるところを知らない。だがその復活劇の裏では、医師を味方につけた組織的なドーピングが行われていたのだった。

ランス・アームストロングという人は25歳で精巣がんによって生死をさまよった人だ。それどころか脳に転移するという無理ゲーから生還したのだから只者ではない。

70点
韓国人の歴史コンプレックスがはっきり見て取れる

中国でも韓国でもあまりに反日色が強い抗日映画はそっぽをむかれるというが、「暗殺」は本国で1270万人がみた大ヒット作となった。なぜ本作だけは、こんなにも韓国の大衆に人気が出たのか。そんな疑問を念頭に見ると、色々なことがわかってくる。

1933年、韓国臨時政府は日本政府の要人と彼らに協力する民族の裏切者"親日派"の暗殺を計画。実行チームのリーダーとして、美しき女狙撃手アン・オギュン(チョン・ジヒョン)を指名する。だが彼女ら3人のチームは、内から外から激しい妨害に会うのだった。

韓国の批評家たちも指摘するように、この映画は反日感情を満足させてくれる抗日映画だからヒットしたわけではないだろう。

70点
国産ミステリとしてはなかなか

古沢良太は日本の脚本家の中ではトップレベルの実績を持つ脚本家である。それは興収といった意味のみならず、純粋にいい物語を作り出すという意味で高評価に値する。作品数が多いから波はあるものの、「外事警察 その男に騙されるな」「キサラギ」など大当たりを複数生み出す力は誰もが認めるところだろう。「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」は、そんな彼のオリジナル脚本を「DEATH NOTE デスノート」等を手掛けた人気監督金子修介が映画化したものである。

売れないお笑いタレント、マイティ丸山(宮迫博之)のもとに、ある女子高生から妙な依頼が入る。行方不明のピアノ教師(木村文乃)を探してほしいというのだ。じつは丸山はかつて残留思念を読み取る特殊能力を持つ仙石和彦(野村萬斎)とお笑いコンビを組んでおり、少女は彼の能力を本物と見込んで依頼に来たのだった。だが肝心の仙石は、人間嫌いが頂点に達してすでにお笑い界を引退、マンションの管理人として他人とまったく接触せずひきこもる生活をしているのだった。

モノから思念を読みとる超能力、というのはありがちだし、人嫌いの探偵役その他の要素も、ミステリとして特段新しさを感じさせるものはない。だからそれ以外の要素で目を引く良さが欲しかったというのがまず一つ。

70点
メリル・ストリープ母娘共演

稀代の演技派女優メリル・ストリープ母子共演が話題の「幸せをつかむ歌」は、不器用な親子関係のドラマを分かりやすく盛り上げるため格差問題を演出に取り入れている点が特徴的で、かつ現代的な一本である。

家族を捨てミュージシャンの夢を選んだものの、貯金ゼロのどん底生活を続けるリッキー(メリル・ストリープ)。そんな彼女は、娘(メイミー・ガマー)が離婚して最悪の精神状況だと元夫から知らされる。すぐに、疎遠になっていた娘に会いに行った彼女は、必死に関係修復を試みるが……。

この映画における格差社会の描写はなかなか執拗である。たとえばゲーテッドコミュニティに暮らす元旦那を訪ねる際、その入口で自分が望みの名前で登録されていなかった事に複雑な気持ちになったりする。また、夫の後妻の黒人女性にバスローブをあげるなどと、余裕綽々で言われたりする。ストーリーの要所要所にそうした背景を思い出させるよう、仕込んである。

70点
素っ頓狂な世界設定

突拍子もない設定のドラマ「ロブスター」は、その比喩する現実がなにかを考えながら見るとより楽しめる、知的興奮ムービーである。

独身者は街での生活を許されない時代。身柄を拘束されたデヴィッド(コリン・ファレル)は、郊外のホテルで45日間の猶予を与えられる。この間、独身者のみ集められたこのホテルの滞在者の誰かと結婚をきめなくては、彼はかつての兄のように動物に変えられてしまうのだ。そして周囲の森には、逃げ出した独身者たちがコロニーを作ってひそかに暮らしているといううわさが流れていた。

相手を見つけないと動物変身罰ゲームというホテル。かたやおひとりさまでないと、裏切り者として恐ろしい粛清が加えられる森。どっちにいってもろくでもないこの世界を、主人公はさ迷い居場所を探し続ける。

70点
平和の価値を感じさせる

冷戦期の捕虜交換の話を映画化すれば、ふつうは橋でのスリリングな交換場面をクライマックスにする。だがスピルバーグの非凡なところは、物語の力点をそのあとに持って行ったところである。

1957年、ニューヨークでルドルフ(マーク・ライランス)という名のソ連側スパイが逮捕される。その国選弁護人となったジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)は、やがて敵ながら彼の堂々とした態度と愛国心に一目置くようになる。一方、撃墜された米偵察機のパイロットが東側で拘束され、事態は二人の捕虜交換の方向へと進んでいく。

トム・ハンクス演じる人のいい民間人弁護士が、やがて捕虜交換の交渉役としてベルリンの壁のこっちとあっちを行き来する展開になる。

70点
香水は厳禁で

いま、都会の若者には車を買う経済的余裕がない。というか、若者でなくとも余裕がないので、こういう映画は自然と地方興行頼みと言うことになる。

父の豆腐店の手伝いで秋名山を走っているうちに驚異的なドライビングテクニックを身に着けた藤原拓海(声 宮野真守)の前に、最強のライバル高橋涼介(声 小野大輔)が立ちふさがる。赤城最速の男といわれる彼との対戦は、事実上の最速決定戦であった。

「新劇場版 頭文字[イニシャル]D Legend 3 -夢現-」は、上記の意味で地味な娯楽映画だ。しかし大事なところを押さえている優れたエンタテイメントだ。そしてデートムービーとしても申し分ない。上映時間が60分短い(その分、入場料も安い)のもほめるべき理由のひとつ。なにしろ若いアベックはこのあといろいろ行くところがあるのだから、このくらいの上映時間がよいのである。

70点
マーズランキング1位確実な生存力

「ゼロ・グラビティ」が想像以上の高評価を得たからか、「オデッセイ」はえらくそれを意識したようなつくりのSF映画である。

火星探査中、不運が重なりひとり取り残されてしまった飛行士のマーク(マット・デイモン)は、次の探査機が来る4年後まで残されたわずかな物資をやりくりして生き延びるハメに陥った。地球との連絡手段がなく情報源は自分の頭の中だけ、生物が生きるにはあまりに過酷な惑星環境。四面楚歌の中、マークは決して悲観的にならず次善の策を考え続けるのだった。

ドキュメンタリータッチかつ現実感ある3D映像。「ゼロ・グラビティ」のいいとこどりで脱出ゲームを描く「オデッセイ」。以外にも宇宙マニアからは描写のいいかげんさを指摘されることが多いライバルと違い、こちらの考証は映画としてはかなりガチな部類に入る。

70点
もし海外赴任中にクーデターが起きたら

北朝鮮の潜水艦が数十隻出撃するなど38度線を巡る小競り合いがニュースになっている昨今。映画「クーデター」が公開されるのは偶然とはいえ、タイムリーである。

幼い娘二人と妻を連れ、東南アジアの某国に赴任してきたジャック(オーウェン・ウィルソン)は、しかし翌朝突然のクーデターぼっ発に巻き込まれる。外国人排斥運動の名のもとに白人たちが殺害される中、はたして右も左もわからぬ彼ら一家はどこへ逃げればいいのだろうか。

一夜あけたら町は銃を持った敵だらけ。もし韓国で戦争となれば、本作のオーウェン・ウィルソン一家のようなドラマが実際に繰り広げられないとも限らない。そのとき外国人たるわれわれはどこへ逃げればいいのか。「クーデター」は、そんな実感あふれる恐怖を描いたアクション映画である。

70点
気迫が感じられる

篠原涼子が一糸まとわぬ姿を見せる「アンフェア the end」は、テレビじゃできないことをやってやるとの気迫が感じられる、好感度の高い一本である。

転落死事件の現場を訪れた刑事の雪平夏見(篠原涼子)は、そこで見覚えのある手がかりを発見する。やがてその死体が村上克明検事(山田孝之)だとわかると、これもまた彼女自身にかかわる一連の事件に連なるものだと明らかになる。

秦建日子の小説をもとにした人気テレビシリーズに始まり、本作で3本目の映画版となるアンフェアシリーズ。長年引っ張ってきた謎のほとんどすべてが明らかになる本作は、文字通り今度こそ完結編とみてよいであろう。その名にふさわしい盛り上がりを見せるし、映画版としてもこれが出来はいちばんいい。

70点
どちらが人類代表のペニスなのか

アイスランドの港町フーサヴィークに、あらゆる動物のペニスだけを集めた博物館があるという。なんだか罰当たりな気がするが、国防上、キリスト教に改宗しつつも北欧土着信仰をを守り続けたこの国らしいおおらかさのたまもの、という事なのか。

ともあれその博物館主シグルズル・シッギ・ヒャールタルソンに密着したドキュメンタリーが「最後の1本 〜ペニス博物館の珍コレクション〜」。最後に集め残したヒトのペニス標本を手に入れるまでを描いた、熱き挑戦の記録である。

もともとシッギはあるきっかけでペニス収集を始めたが、自宅に収まりきらなくなるほど集まったところで奥さんが「博物館でも開いたら」と心優しいアドバイスをしてくれたのが始まりだという。

70点
メインスタントがアミューズ扱い

60メートルのレッドカーペットを歩ききるのに1時間以上かけるトム・クルーズは、マスコミ泣かせのハリウッドスターである。サインも写真も断らない、それは彼のプロ意識によるものだが、そんなトム・クルーズのサービス精神がもっとも反映されているのが、自身の製作会社で作り続けている「ミッション:インポッシブル」シリーズである。

世界中の紛争地帯で暗躍する謎の組織"シンジケート"を追うイーサン・ハント(トム・クルーズ)だったが、所属するIMFがCIA長官と対立、解散を命じられてしまう。イーサン自身もミッション中に敵につかまり、窮地に追い込まれてしまう。

来日して宣伝しまくった軍用機しがみつきスタントは、映画の序盤にいきなり現れる。そのすさまじい迫力と格好良さには全館客がしびれること間違いないが、それ以上にこれほどのスタントシーンがあっさり終了してしまうことに驚くだろう。

70点
人生、一寸先は闇

カンヌ映画祭に正式出品され、絶賛されたアルゼンチン映画、なんていうとどこか小難しいドラマかと思うがさにやらず。「人生スイッチ」はそうした堅苦しさはゼロの、単純に楽しむべきオムニバスドラマである。

ではどんな雰囲気の映画かというと、あんなに悪辣ではないが「ファイナル・デスティネーション」とか、あるいは昔のヒッチコック劇場みたいな感じといえば中年以上の方にはわかりやすいところか。

ある旅客機に乗り込んだファッションモデルは、隣の中年紳士など周辺の人たちと会話するうちに奇妙なことに気付く。彼女の元彼を、なぜか皆知っているのだ……。

70点
映画好きの監督らしい研究の成果

「これはフロム・ダスク・ティル・ドーンを意識した?」との問いにあえて明言せず「ただ、あの映画は大好き」と思わせぶりに答えた品川ヒロシ監督の「Zアイランド」は、なるほど、映画好きの監督らしいよく研究された娯楽映画であった。

宗形組組長の博也(哀川翔)は、抗争相手との戦いで大けがをし、やがて極道から引退した。時が過ぎ、久々に再開した武史(鶴見辰吾)に彼は言いにくい報告をする。それは、博也が面倒を見ていた武史の娘(山本舞香)が離れ島に家出しているとの事実だった。

なにやらチープ感あるVシネ風の序盤に肩すかしを食らっていると、どどん!と最初の大波にさらわれる。

70点
まるで舞台劇のような面白さ

よくできた舞台劇のような映画「脳内ポイズンベリー」は、恋愛ものでありながら主人公の悩める女子に男性でもたやすく共感できる、上手な作りになっている。

携帯小説家のいちこ(真木よう子)は、飲み会で出会って気になっていた早乙女(古川雄輝)を偶然駅で発見する。はたして声をかけるべきか否か。そのとき彼女の脳内では、議長の吉田(西島秀俊)を中心に、強気派とやめるべき派の間で激しい議論が巻き起こっていた。

女の子の脳内でさまざまな個性と役割を持ったキャラクターがあれこれ会議を繰り広げるアイデアが売りのコメディドラマ。なるほど、男性でもいろいろな思惑がぶつかって、なかなか決断できないときがある。そんなとき脳内ではこんなグダグダ会議が行われているよと、そういうことを言っているわけで、思わず共感してしまう。

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