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35点
地方在住の人にすすめたい日本製カーアクション

クルマ映画というものは、えてして大都市ではヒットしない。しかしシネコンが普及し、都市部の興行比率が相対的に下がっている今日では、地方で根強い人気を誇るこのジャンルは、製作者にとって見逃せない。最近この手の映画が多く公開されるのはそれが理由だ。映画会社の人に聞いた話では、レンタルなどDVDの稼働率も高いという。

舞台は箱根、夜は若者たちがタイムアタックを繰り返す熱いレース場と化す峠道。ここにある夜、三菱・スタリオン4WDラリーに乗った中年男が現れ、記録を塗り替える。この男に興味を持った自動車評論家の栗原(遠藤憲一)は、愛車ポルシェ・ケイマンで現地を訪れ、ジャッキーと呼ばれるそのオヤジがかつて自分と因縁のあるダイブツこと大佛(おさらぎ)(哀川翔)であることを知る。

『ビッグコミックスペリオール』で連載されていた、東本昌平の原作漫画を実写映画化。主人公がいわゆる中年オヤジ二人で、その因縁と友情、復活に光を当てた点が特徴的だ。演じる二人もなかなかカッコよく、若者たちの中に入っても違和感がない。あるいはMEGUMIをはじめとする周りの若い連中が、そろってみなテンションが低いため、ムードが統一したというべきか。

35点
浦沢直樹の2000万部コミックが超大作3部作に

浦沢直樹のベストセラーコミック『20世紀少年』の映画化は、2008年〜09年の日本映画界最大のインパクトとして、製作前から話題を振りまいてきた。

誰が誰を演じるのか、イメージ通りかうんぬん……。原作ファンをそこまでワクワクさせたのは、これを映画化するのは難しいと誰もが直感していたからだろう。だが、本編22巻プラス完結編2巻の大長編の実写版は、計60億円の巨費を投じた三部作としてここに実現した。

1997年、失踪中の姉(黒木瞳)が残していった赤ん坊カンナを背負い、売れないコンビニ経営にいそしむケンジ(唐沢寿明)。この時代、世界各地で致死性ウィルスの被害者が発生、日本では正体不明の教祖"ともだち"率いる新興教団が勢力を増すなど、不穏な空気が蔓延していた。ユキジ(常盤貴子)やマルオ(石塚英彦)、ドンキー(生瀬勝久)ら小学生時代の仲間たちと交流する中、ケンジは最近の事件、災害が、自分が子供時代に人類滅亡の様子を描いた"よげんの書"をなぞったものと気づき愕然とする。タイの闇社会で生き延びていたオッチョ(豊川悦司)も加わり、ケンジと仲間たちは地球を守るため立ち上がる。

35点
邦題は素晴らしいが中身はありがち

ラリー・コーエンという脚本家・監督は相当なアイデアマンで、最近では当サイトでも絶賛した「フォーン・ブース」「セルラー」といったサスペンスが好評だ。

ただ映画ファンの間では、昔はホラーの脚本を書いていた人、というイメージが強い。本作のオリジナルである「悪魔の赤ちゃん」(73年、米)などはその代表作といえる。80年代にかけて3本作られたこのシリーズは、愛すべき赤ちゃんが恐怖の対象になるという、意外なアイデアで人々を驚かせた。

大学院生のレノア(ビジュー・フィリップス)は、恋人の子供を身ごもるが、熟慮の結果出産することに決める。ところが、予想外に早く胎児が成長し、帝王切開で緊急出産することに。そしてその直後、分娩室で驚くべき事件がおきる。

35点
とびきりの美女に囲まれるヒーロー

ロバート・ロドリゲスと共同監督した『シン・シティ』(2005)で、スタイリッシュな映像が好評価を得たフランク・ミラーは、初の単独監督作品であるこの『ザ・スピリット』でも、同様の絵作りを踏襲。彩度を落とした画面に印象的なパートカラーを配置する、独特の映像美は健在だ。

殉職しながらも蘇った刑事コルト(ガブリエル・マクト)。彼は愛する街のため、覆面ヒーロー「スピリット」として、同様の不死身能力を持つ宿敵オクトパス(サミュエル・L・ジャクソン)と日夜戦っていた。オクトパスは、何らかの目的のため海底から引き上げたアイテムを探していたが、そのひとつはコルト旧知の女泥棒サンド・サレフ(エヴァ・メンデス)の手にあった。

アメコミ、グラフィックノベル映画はたいてい好みが分かれるが、これも相当なアクの強さ。日本では、原作を読んだ人があまりいないであろう点からも、積極的にはすすめにくい。

35点
シャネル純正なのにいまひとつ

8月8日に日本公開したばかりの『ココ・シャネル』(アメリカ/イタリア/フランス、08年)に続く、シャネル映画第二弾。なんといってもこちらはシャネル社が全面協力し、イメージキャラクターのオドレイ・トトゥを主演にした、一連の当ブランド映画の中でも本命。しかしどうしたものだろう、もっとも力が入っているはずの本家版の、このたよりなさときたら。

孤児院で育ったガブリエル(オドレイ・トトゥ)は、お針子をしながらいつか歌手になる日を夢見て、日々キャバレーで歌っている。あるとき彼女は裕福な将校エティエンヌ(ブノワ・ポールヴールド)と出会い、その愛人になることで貧しい日々を抜け出そうとするが……。

今これを見たら、どうしたって『ココ・シャネル』と比べてしまう。そしてあらゆる点で本作はそちらに劣っている。まず最初に気がかりなのは、ココの生い立ちと内面描写に関して説明不足なため、観客がこの主人公を誤解するのではないかという点。

35点
長きにわたるコメディシリーズもこれで最後

『男はつらいよ』以来の、松竹を代表する大型シリーズもついに最終回。だが『釣りバカ日誌20』は、あきれるくらいいつもと変わらぬおバカ映画であった。

世界的不況の中、ゼネコンの鈴木建設も苦しんでいた。自らの給料の無期限全額返還を実行する会長の鈴木一之助(三國連太郎)だが、その危機を救ったのは意外にもダメ社員で知られる浜崎伝助(西田敏行)であった。褒美に釣り休暇をもらった彼は、早速北海道に出かけることに。

22作品目にして、とうとうファイナル。だが、これがパート13とか14でもまったく問題なさそうな、普段どおりのマンネリズムが展開する。もちろん最後だからスーさんの重大な決断などそれなりにイベントはあるが、余計なお涙頂戴に走らないあたりが潔い。

35点
ドラえもんの魅力をまるでわかってない失敗作

春の風物詩、映画版ドラえもんの最新作だが、なにしろ今年は通算30本目ということで力の入れようが違う。原作はあれど映画としてはリメイクでないオリジナル、舞台は海底と、冒険のスケールも大きい。

架空水をつくりだすひみつ道具で町を泳ぎ楽しんでいたのび太(声:大原めぐみ)とドラえもん(声:水田わさび)は、そこで人魚族の王女ソフィア(声:田中理恵)と出会う。彼らは仲間とともに海の底にある彼女の国を訪れるが、その途中でしずかちゃん(声:かかずゆみ)が何者かに連れ去られてしまう。

古代から対立する海の二大民族の戦いに、おなじみのメンバーが巻き込まれるストーリー。真矢みき、ケンドーコバヤシ、さかなくんらがゲストで出演する。

35点
今の日本市場にこの映画がウケる余地があるかに注目

『誰かが私にキスをした』は、日本の映画業界人なら誰もがこりゃ無理筋だろうと即却下しかねないリスキーな企画である。なぜこんな、始まる前からコケる事間違いなしの危険な映画が作られてしまったのか、その理由については後で述べる。

都内のインターナショナルスクールに通う女子高生ナオミ(堀北真希)。あるとき階段を転げ落ちて記憶をなくした彼女は、同級生全員をまったく覚えていないという事態に直面する。なかでも一番困ったのが、3人の魅力的な男の子の存在。どうやら彼氏だったらしいエース(アントン・イェルチン)、男だけど親友で最大の理解者ミライ(手越祐也)、そして事故の際付き添ってくれたどこか陰のあるユウジ(松山ケンイチ)。ナオミの心は3人の間で揺れ動く。

さて、このアブない企画が通ってしまった理由は、端的に言えばハンス・カノーザ監督の大きな勘違いに端を発する。東京国際映画祭で来日した彼は、日本人のお客さんがラブストーリーを好むものだと思い込み、この作品の原作の舞台をアメリカから日本のインターナショナルスクールに変更して撮影することに決めた。きっと日本の事を気に入ってくれたのだろう、なかなか気のいい男である。

35点
山場がない…

ポケモンやドラえもん、ピクサー作品は言うに及ばず、こうしたフランスの作品まで映画館で楽しめるのだから、日本の子供たちの環境は恵まれている。とくに「アーサーとミニモイの不思議な国」(06年)の続編である本作は、監督のリュック・ベッソンがへそを曲げて声優をガラリと変えてしまった米国版と違い、前作どおりのキャスティングで吹き替え版を見られるという有利もある。

人間の世界に戻った少年アーサー(声:神木隆之介)は、再びミニモイの国で王女セレニア(声:戸田恵梨香)に会える日を心待ちにしていた。二つの世界をつなぐ扉が開く「10番目の満月」を控えたころ、彼の前に「HELP」と書かれた米粒が届く。王国からのメッセージと受け取ったアーサーは再度彼らを救うため、旅立ちを決意するが……。

祖父の家の裏庭には、体長2mmのミニモイ族の王国があった。そんなファンタジー作品である本作は、ヨーロッパのそれらしく伝統をふまえた確固たる世界観、繊細なビジュアル、そしてCGから実写へ違和感なく移行する映像技術により、米国とも日本とも違うかの国らしい子供映画として作られている。

35点
≪織田裕二をもっと前面に出さねばだめ≫

前作「アマルフィ 女神の報酬」(09年)はじつにユニークな作品であった。何が面白いかというと、ひとたびこいつを褒めるともれなく猛烈な反発をくらうという、奇妙な特性があるのである。

死ねだのやめろだの金をもらっているだのと、ちょっぴりお口の悪いネット紳士たちからたしなめられるたび私は、これがいわゆる炎上マーケティングというやつかと他人事のように感心する。

こうなると続編『アンダルシア 女神の報復』では、さらに輪をかけ褒めまくり、火に油を注いでやろうとのイタズラ心が芽生えてくる。

35点
セレブのたわむれに見えてしまう

「ケイト・レディが完璧(パーフェクト)な理由(ワケ)」は、仕事に恋にがんばるアタシ、な女の子が一人または同性の友達と見に行って話のタネにするようなタイプの映画である。

投資会社のファンドマネージャーとして成功しているケイト(サラ・ジェシカ・パーカー)は、優しい夫や2人の小さな子供に囲まれ、誰もが羨む暮らしをしているかに見えた。だが実際は、あまりに忙しすぎて、自分が理想とする子育て、夫婦生活とはかけ離れた状況。彼女は彼女なりに、理想と現実のギャップに苦しんでいた。そんな折、過去最大級の大きな仕事が舞い込み、家庭を大事にしたい彼女の思いとは反対の選択をせざるを得ない状況に巻き込まれる。

働く女の悩みをリアルに描き、共感を集めて女性客を励ますというコンセプト。いまどきのアメリカ映画は不況の影響でテーマが保守的になっているので、この映画の結論もそういう方向性である。

35点
宣伝が上手かった

この洋画不況の中、予想以上のオープニング成績を残して意外なヒットとなった「プロメテウス」は、宣伝戦略が成功した好例として記憶されるだろう。だがそれが、長期的に見て良いことなのかどうかは微妙である。

科学者のショウ(ノオミ・ラパス)は世界各地の遺跡の中に、地球外生命体からのメッセージが隠されていることを読み取る。やがて大企業ウェイランド社の出資により、宇宙船プロメテウスでそのメッセージが示す惑星を目指す。2093年、ハイパースリープから目覚めたショウたちクルーの前に、その惑星は姿を現すが、そこには彼らが予想もしない恐るべき世界が待ち受けていた。

「人類最大の謎、それは《人類の起源》」と、「人類の起源」に焦点を当てた宣伝戦術をみて、その大胆さに私は驚かされた。なぜならこのコピーは、ほとんどこの映画の中身と無関係といってもいいほど離れているからである。

35点
自伝的文学ながらリアリティ薄い

プライベートでの経験豊富なオンナほど、いい女優になるなどと言われるが現実はそう簡単でもない。結局のところは手綱を引く演出家次第。現実には子供のいない満島ひかりがシングルマザーを演じて高評価を得ることもあるし、その逆もまたしかり、だ。

妻子ある作家(小林薫)の愛人として長年暮らしている知子(満島ひかり)。作家は自宅と彼女の家を半々で行き来している。だが、そんな智子の前にかつて愛した涼太(綾野剛)が現れ、彼女の穏やかな生活は終わりを告げる。

愛人契約というのは、お互いの冷静な取り決めにより行われるものであり、はたから見ると極めて安定した大人の関係であるように見える。だが、じっさいは全く違う。そんな相手がいなければ維持できない人生などというものは、もともと何かが破綻しているのであり、大人びた皮を一枚はげば、その下にはメンヘラ一歩手前の男女の生々しい姿があるわけである。

35点
ダメダメかもしれないが必見

「アバター」(09年、米)の続編をはじめ、近年のアメリカ映画は中国との合作企画が目白押し。中国市場における外国映画の公開本数制限をかいくぐる裏ワザとして中国資本を入れる意味合いもあるし、もちろん潤沢な中国マネーで大作を作るという単純な狙いもある。なにしろ政府が機能停止したり国債デフォルト一歩手前なんていう時代だ、金をくれるなら誰でもいいといったところか。

大国アメリカにしてこんな状況だから、「レッド・ドーン」が中国マネーに配慮して、撮影終了後に侵略国を中国から北朝鮮に変更したと聞いてもそれほどの驚きはないだろう。

ワシントン州の田舎町に、空を埋め尽くす空挺部隊が現れた。休暇中の海兵隊員ジェド(クリス・ヘムズワース)は、危険を察知して弟(ジョシュ・ペック)や友人数名を救い出し、山へと身を隠す。直後、アメリカ全土は彼ら北朝鮮兵によって制圧され、ジェドらは最初のレジスタンスとして立ち上がることになる。

35点
ドキュメンタリーで予習が必要

伝記とは個人の生涯を記録したものだが、伝記映画はそうではない。この両者の違いが分かっていない監督が伝記映画を作ると、「スティーブ・ジョブズ」のような作品が出来上がる。

既存の会社組織になじめない若きジョブズ(アシュトン・カッチャー)は、友人たちを集めてガレージでアップルコンピュータを創業する。独創的なアイデアと尽きない情熱、仲間たちの献身的な支えを武器に破竹の勢いで成長するジョブズとアップルだったが、やがて彼らは壁にぶち当たる。

伝記と伝記映画の違い。これを語り考察するのに本作が最適なのは、ちょうど先月「スティーブ・ジョブズ1995 〜失われたインタビュー〜」(11年、米)という、すぐれたドキュメンタリー(というか本人の70分間しゃべくり映像)が公開されたばかりで、比較しやすいというのが理由である。

35点
前田敦子が物足りない

山下敦弘監督の作品を大好きと語る前田敦子は、仕事相手としてもウマが合ったのだろう。「苦役列車」(2012)に続き、その監督作に主演することになった。

大学は卒業したものの就職せず、実家で漫画を読みふけるなど無為な日々を過ごす坂井タマ子(前田敦子)。スポーツ用品店を営む父親(康すおん)は、そんな娘に強く出ることもあまりなく、淡々と食事を作ってやる。季節が移り変わり、それでも変わらぬ二人の生活に変化は訪れるのだろうか。

山下敦弘監督の映画は、物語に抑揚がなく突出したキャラクターも出ないオフビートな作風が持ち味。一般受けとは無縁の、好きな人だけ見てくださいという、いわゆるアート系、サブカル系に属する作品である。

35点
反原発から賛成派に転向した人たちの証言集

「二十歳までにリベラルに傾倒しない奴は情熱が足りないが、40歳までに保守主義にならない奴は知能が足りない」といったのは英国のチャーチルだが、実際そうした転向はよくある。だがその逆方向に転向したのは雨宮処凛くらいなもので、あまり見かけたことがない。

物事には、ときにこうした一方通行性があったりするが、原発問題もそのひとつかもしれない。すなわち、推進派や原発技術者などが、その実態を知って反対派に転向することはよくあるが、その逆はいないというものである。

ところが映画「パンドラの約束」には、そのレアケースをはたした人たちが複数登場するから驚きだ。さっそく日本でも「こりゃ珍しい」と話題になっている。

39点
いったい誰を満足させるために作ったのか

高橋しんの人気漫画『最終兵器彼女』が映画化されると聞いて、私は最初、耳を疑った。「東映は、そこまで手を出すのか」というのが正直な感想であった。

というのもこの原作は、『新世紀エヴァンゲリオン』から連なる、いわゆるセカイ系(主人公の内面的な展開が、物語世界の運命と連動するタイプの作品)の作品群の中でも、とりわけ一般受けしそうにないものだったからだ。

高橋しんによる、いかにも一部のファンに受けそうな個性的な絵柄といい、魅力的だが説明不足も甚だしい世界観といい、どう考えてもこれを現在の邦画界が、一般向けに実写映画化することなど不可能だと、私には思えたのだった。話のスケールが大きくて、実写化にはそれなりの予算をつけねばならないだろうから、ごく少数のファン向けの作りにするわけにもいくまいし……はたして彼らがどんなトンデモ映画を出してくるのか、気になるままに試写の日を待った。

40点
前作の二番煎じレベルから脱却できていないパワーダウン続編

御存知、演技派ロバート・デ・ニーロと、コメディアンのビリー・クリスタルのオジサン二人が主演のコメディ映画。

これは、『アナライズ・ミー』という映画の続編で、基本的な設定、脇役たちは全く一緒。いわゆる完全なる続編というやつである。

とはいえ、前作を見ていない人でも普通に楽しめる。もちろん、前作を見ているほうが、より楽しめる。

40点
ジェット・リーに精彩がない凡作

日本でも人気のあるアクションスター、ジェット・リーが主演のアクション映画。ストーリーは2の次で、アクションだけを見せるという、典型的ハリウッド作品である。

ところが、その肝心のアクションが平凡。ジェット・リーは、中国の武術大会のチャンピオンになったこともある『本物』だが、『ブラック・ダイヤモンド』では大したアクションをみせてくれない。

テレビCMでも流れてた、ビルを素手だけで飛び降りて行くあのシーンも、所詮はCGを使ったトリック撮影。『チャーリーズエンジェル』あたりの映画で、普通の女優がアレをやるなら面白いが、『本物』たるべきジェット・リーがやっても驚きはない。

40点
映像はいいが、展開がうそ臭くてのめりこめない

竹内結子と吉沢悠という人気タレントが主演のラブロマンス。香港のアカデミー賞3部門を受賞した「星願(セイガン)」という作品のリメイクで、日本風にアレンジしたと言うのは製作会社の弁。

この映画は、カメラがいい。北海道・函館オールロケだそうだが、たしかに函館の街を非常に美しく撮っていて、その点は美点である。

構図も凝っていて、ポイントでは俯瞰を使ったりと、健闘している。恋愛映画でカメラがダメだったら、それだけで私はダメ映画認定といくところだが、『星に願いを。』についてはその心配はない。ファンタジックなムードを上手く出していて綺麗だ。

40点
どこから見てもエディ・マーフィーの映画

60年代に人気を博した同名テレビ・シリーズをエディ・マーフィとオーウェン・ウィルソン主演で映画化したスパイアクション。ひょんなことからコンビを組んだ敏腕エージェントとボクサーが、盗まれた最新型戦闘機の奪還に協力するという展開。。

スパイアクションと聞いて、派手なアクションとか、ドキドキするサスペンスとか、そういうものを期待しているとちょいと拍子抜けする。それらはさほど大きな見せ場ではなく、むしろエディらしいギャグの連発が目立つ作品だった。

バディムービーとしては、オーウェン・ウィルソンのほうの人間描写がイマイチで、キャラ作りが弱い。エディ・マーフィーのほうは、役作りもクソも無い。いつもの「エディマーフィ」そのものである。

40点
音響で恐怖を表現したアイデアは買いたい

韓国製現代ホラー。契約したばかりの携帯電話が突然鳴りだし、それを取ってしまった者に壮絶な死が訪れる……。そういう、身近な都市的恐怖を描いた映画である。

吹き替え版もあるのでお子様も楽しめるが、はたしてお子様に見せてもいい映画なのかどうかは、はなはだ疑問である。

監督は「ハリウッドには規模ではかなわないので、工夫で頑張る」というが、なかなかどうして、カメラが上手いので、見た目はハリウッドの超豪華ホラーと比べても全く遜色は無い。

40点
数年後には誰も覚えていない、レディメイドアクション映画

アメリカ映画の定番、黒人と白人二人がペアで活躍するアクション・バディ・ムービー。

ロス市警のハンクは強盗犯との激しい銃撃戦の末、相棒を失う。犯人を逃がした彼は、やがて担当を外される。そんなある日、彼はパトロール中に挙動不審の男アールと出会う。アールは警察学校を追い出され、いまは警備会社に勤めていた。2人のやり取りはやがて口ゲンカとなり、それを“警官が黒人に暴行している”と誤解した市民の通報で、ハンクまで警察をクビになってしまう。結局ハンクも警備会社に勤め始め、独自に相棒殺しの犯人を追うが、そこでアールと思わぬ再会を果たすのだった。

二人が刑事という設定だと、いくらなんでも芸が無さすぎると感じたか、職業を警備員にしたというのが新しいアイデアだ。とはいえ、あまりこの手の映画に新味やら特別なものを期待する人はいないから、これはこれでいい。

40点
セガールが囚人を率いて戦うアクション

スティーブン・セガール主演映画。この時期、彼の主演映画が2本、立て続けに公開される。ファンはたまらないであろう。

で、『奪還』だが予想通り、なんの変哲もないセガール映画としかいいようがない。この直後に公開される、もう一本の『撃鉄』のほうがまだ映画としての出来はいいと思うが、50歩100歩なので、どっちを見ても、または両方見てもいいだろう。なお、この2本の映画には、セガールが主演しているという事以外、全くつながりは無い。ねんのため。

『奪還』では、アルカトラズ刑務所が復活したという漫画的設定なので、もっとはじけた内容にしてもよかった。中途半端にリアリティを出そうとしても、潔くないばかりだ。セガールが囚人たちを率いて戦うという荒唐無稽なストーリーのアイデア自体は悪くないので、もっと囚人たちを活躍させてあげたら良くなったのではないだろうか。

40点
アメリカのバカ若者の生活ぶりを見る映画

1993年7月14日、南フロリダで実際に起こったティーンによる殺人事件を映画化した、問題の作品。

これは、日本で言えば「サカキバラ事件」を映画化するようなもので、まだ遺族などの関係者が多数いるだろうに、よくこんなかたちで映画化できたものだと驚く。アメリカってのはヘンな国だ。

いわゆるリアル風フィクションとはいえ、実名で多数の犯罪者が出てくるわけで、被害者の遺族や関係者は、とても正視できないだろうなと思わせる。

40点
突っ込み所満載の怪物パニック映画

CGをふんだんに使った、ハリウッド製怪物パニック映画。

サラマンダーという、何百万年かに1度冬眠から覚め、あるもの全てを灰にして食べ尽くしては、また冬眠に入るという、はた迷惑な巨大トリに、人類が生き残りを賭けて戦いを挑むという話である。

まず、火を吹くドラゴンの最初の1頭が確認されると、世間は大騒ぎする。もちろん、ハリウッド御用達の最強アメリカ軍が登場して彼らに戦いを挑むのかな、と思っていたら違って、次のシーンでは早くも荒れ果てた地上の様子に場面は変わる。

40点
イランの写真集みたいなもの

イランと日本の合作映画。ペルシャ絨毯作りを通して、ちょびっと恋なんかが始まる予感の、日本の少女とイランの少年の物語。

手持ちカメラによるドキュメント風映像で、イラン人の日常や文化を、ディテールにこだわって描く。ストーリーで楽しませるというよりは、あまり私たちが触れることのない中東の世界を「感じる」ための作品といえる。イラン人たちの日常プロモーションビデオ的な面白さを期待するといい。

世界的な文化至宝であるペルシャ絨毯の作り方や、歴史が長く誇り高いイランの人々が普段どんな暮らしをしているかを知ることは、十分な知的興奮を与えてくれる。ただ、もともと興味のない人をひきつけるほど、強い吸引力があるわけではない。

40点
原作のファンである事が重要な条件

全米で500万部も売れた小説の映画化。母とケンカ中の娘(サンドラ・隣のお姉さん・ブロック)が、母の親友3人から、若い頃の母の話を聞き、母のことを同じ女同士として理解するまでを描く。

出ている女優達が芸達者だから、それなりに見れるのだが、やや各キャラクターがつかみづらいと感じる。人物が描けていないという事であるが、これには理由がある。

1行目にも書いたことだが、これは大ベストセラーの映画化なのである。だから、映画でくどくど説明しなくても、暗黙の了解でみんな各キャラについてはわかっているのである。要するに、原作を読んでいることが前提で作られた、純粋にアメリカ国内向けの映画という事である。

40点
役者の演技は凄いが……

ロバート・レッドフォードが製作(出演はしていない)、オスカー俳優競演のヒューマン・ドラマ。

アル・パチーノが、業界の汚れた部分に耐え切れず、引退を考えている初老のパブリシストを演じる。パブリシスト(宣伝マン)といいつつ、ようは有名人や政治家のケツ持ちで、スキャンダルの揉み消しなどの、汚れ仕事まで担当する。

この映画のアル・パチーノは、病人のような疲れきった男の役というより、もはや病人そのものである。1度寝たら、2度と置きあがらないだろうという、寿命1日前みたいな顔をしている。まったく、バケモノみたいな演技力である。

40点
泣こうという心構えを持っていくべき恋愛映画

浅田次郎の短編を原作にした、韓国製恋愛ドラマ。主演は、『シュリ』の悪役が記憶に残るチェ・ミンシク。

四十過ぎて独りふらふらと暮らすカンジェは、ある日突然「奥さんが亡くなった」と知らされる。身に覚えがなかったが、かつて小金欲しさに中国人女性と偽装結婚したことを想い出す。女の名は「白蘭(パイラン)」。一度も会うことのなかった“妻”の遺体を引き取りに、彼はパイランが暮らしていた町を訪れる。部屋に小さく“夫”の写真を飾り、病と闘いながら必至に働き言葉を覚えていったパイランの最後の手紙。そこにはカンジェへの純な気持ちが切々と綴られていた。

上映時間は116分だが、少々長い。このボリュームの話なら、あと20分くらい縮めることは出来たるではないか。うすめたコーヒーみたいな印象の映画である。

40点
ハリウッド製にしては観客を選ぶSF映画

1972年にソ連で作られた『惑星ソラリス』という作品のリメイク。『タイタニック』のジェームズ・キャメロンが製作し、『エリン・ブロコビッチ』『オーシャンズ11』といったヒット作を連発するスティーブン・ソダーバーグが監督したSF作品。

72年版を見た人ならわかると思うが、SFといっても、『スターウォーズ』や『スター・トレック』といった娯楽作品とは一線を画する。アクションやVFXの見せ場はほとんどなく、哲学的なテーマを静かに描く、地味な作品である。

主演はジョージ・クルーニーで、死んだはずの妻が目の前に現れ、さまざまな葛藤に悩む男を熱演する。

40点
仲良し兄弟、強盗を働く

『メメント』『タイムマシン』のガイ・ピアース主演の、オーストラリア製クライム・ムービー。

一言で言えば、“仲良し兄弟、強盗を働く” という映画である。彼らのポリシーは、人様は絶対怪我させない、という立派なもの。そんな彼らにでかい仕事が舞い込むが、途中、その鉄の掟が破られてしまう。

3兄弟を演じる男3人が、それぞれ個性的で魅力的。彼らが、ほかのワルどもに騙し騙され、はたして最後は誰が大金をゲットするか!? そんな二転三転の物語が、ちょいと地味目のアクションをときどき交えつつ描かれる。いわゆる、アクションクライムムービーというやつだ。

40点
あまり細かい事を気にしない、おおらかな動物映画好きの人なら

1961年から12年間、長野県の松本深志高校に実在した、元野良犬のクロの感動物語。

言うまでもないが、動物映画好き向けの映画である。そういう人なら泣けるかも知れないが、それほどではない普通の観客にとっては、イマイチという印象かもしれない。

というのも、『さよなら、クロ』は、少々センスがよろしくないのである。具体的に言うなら、オヤジくさいのである。

40点
イギリスのバカ若者の狂いっぷりが楽しめる

ジャンキーたちのパーティーでのアホぶりと、途中で起こる事件の犯人探しのサスペンスを描いたイギリス映画。R-18指定である。

主演は『ギャングスターナンバー1』で、マルコム・マクダウェル(『時計じかけのオレンジ』でのイカレタ主人公役が有名)を、狂気の度合いで圧倒したポール・ベタニー。いま注目の若手俳優である。彼は、本作でもそうだが、どの映画でも強烈な印象を残す役者である。

さて、『デッドベイビーズ』だが、冒頭に触れたように、一応フーダニット(犯人当て)になっている。

40点
アメリカで大きな話題になった異色なラブストーリー

アメリカで、社会現象にまでなったラブストーリー。どういう事かというとこの映画、わずか500万ドルという(アメリカ映画にしては)低予算で作って、その数10倍の興行成績を上げたのだ。アメリカのインディペンデント映画史上、最大のヒットとなったお化け作品である。

本作は、超保守的な家庭に育ったギリシャ系のヒロインが、まったく世界の違う白人男性と恋をする事による、文化ギャップのコメディと、その障害を乗り越えて行くラブロマンスの要素を併せ持つ。

このへんは、多人種国家であるアメリカなら、いかにもウケそうな部分であるが、逆に言えば、ごく普通の日本人が見てもあまりピンとこない部分でもある。

40点
センスを感じさせるが、ストーリーに勢いがない

俳優の伊勢谷友介が初めてメガホンを取った長編映画。デジタルカメラを使った個性的な画面の中で、イマドキの若者の、一見理解しがたい心情をリアルに描く。

高校卒業後、東京の大学に通うリョウ。彼は、街の若者相手にドラッグを密売していた。そんなある日、友人2人が彼のもとを訪ねてくる。一人は恋人を妊娠させ途方に暮れている幼なじみのナオシ。もう一人は、彼女の浮気現場を目撃して落ち込むマコト。3人はリョウの提案でパーティを開くことにし、リョウの先輩のヤクザのもとへマリファナを買いに行くが……。

タイトルのカクトとは"覚人"または"覚都"、つまり"目覚める人、都市"を意味する伊勢谷自身による造語という。街角で大学生がしゃべっている、そのままのようなセリフがとてもリアルで印象的。演技臭さが無く、自然で良い。役者がとちったテイクを、そのまま使っているようなシーンもある。それがまた、リアリティを生む効果となっている。

40点
肝心の『男をフル方法』にもっとリアルさがあれば

名コメディエンヌのゴールディー・ホーン(最近では『バンガー・シスターズ』に出演)の娘、ケイト・ハドソンが主演のロマンティック・コメディ。

次々と公開されるロマコメの中で、『10日間で男を上手にフル方法』のウリは、その名の通り、付きまとう男を追っ払うためのマニュアルであるという点である。常に、マンネリの危機と隣り合わせのロマコメジャンルの新作としては、目の付け所がなかなかいい。

しかし、肝心の『男をフルためのマニュアル』部分が、アイデア不足でいただけない。このページは、『これから見る人のための新作ガイド』だから、具体的に挙げられないのがつらい所だが、数々のマニュアルのうち、劇中で1番引っ張るネタが、1番面白くないというのは問題だ。

40点
アメリカ製ヤンキークルマ映画PART2

主に日本製の、しかもヤンキーが好むスカイラインだとかRX-7だとかのカスタムスポーツカーが多数登場するカーアクション映画。

前作との共通点は少ない。何しろ、前作の主演のヴィン・ディーゼルが出てないのだから。その代わり、前作でヴィン・ディーゼルに子供扱いされていたあの警官が、本作では凄腕の賞金稼ぎドライバーへと成長している。彼を演じるポール・ウォーカーはレーサーでもあるそうで、劇中で披露するドライビングテクニックは本物である。

序盤の、スカイラインGTRによるレース・シーンは、前作を彷彿とさせて良かった。ただし、そこから先は『幼馴染の黒人』とやらが出てきて一緒に犯罪を解決するという、ごくフツーのバディムービーになってしまう。

40点
ヤン・デ・ボンはララ・クロフト像をぶち壊した

人気アクションゲームの映画化PART2。監督が『スピード』のヤン・デ・ボンに変更になり、前作以上の膨大な製作費で作られた。

ヤン・デ・ボンは、前作の監督もやりたかったと公言するほどの『トゥームレイダー』ファンであるが、続編を作るにあたって、プロデューサーと相談して、『今回は、主人公ララの内面を描く』という方針で挑んだという。そうした方針を打ち出すことでわかる通り、監督のララ・クロフトへの思い入れは、随所に感じられるが、それが少々強すぎて、このシリーズ本来の面白さを見失ったというのが、私の分析だ。

具体例をあげると、アンジェリーナ・ジョリー演じるララ・クロフトは、今回元カレと共に冒険をするのだが、この男は女たらしで、以前ララをフッたという設定である。

40点
パート2のジンクスを破れない典型例

野村萬斎主演の人気シリーズ第二弾。平安の都を守る陰陽師、安倍晴明の活躍を、CGを駆使した派手な映像で描く。

本作のポイントは、人気者を集めたキャストの話題性と、邦画のなかではスケールの大きな特撮映像であろう。順に解説する。

メインキャストは前作と同じ。独特のふてぶてしさが頼もしい主人公、野村萬斎と、相変わらずヘタレな伊藤英明の駆け引きは、前作同様の楽しさ。そこはかとなく漂うホモセクシャルな雰囲気がなかなか良い。

40点
狙撃手をリアルに描く、マニアックな映画

スナイパー、狙撃手について、ディテールにだわり、かつて無いほどリアルに描いた事で、軍事マニアなどの根強いファンがついている前作から11年。ファン待望の続編がついに公開される。

一部に熱狂的なファンを生んだ作品の続編という事で、知ってる人には期待の大きな作品である。主演は、もちろん前作同様トム・ベレンジャー。今回の新たなるミッションは、バルカン半島を舞台に繰り広げられる。

着弾と音のズレまで表現するという、映画離れしたリアルさがこのシリーズの特長だ。そして、スナイパーと言うのは もともと派手とは無縁の職業(?)だから、本作はとても地味なアクション映画である。もちろん、この映画に来るお客さんも、そうした点を期待しているわけで、本作はその辺に良くあるお気楽アクションとは、明らかに一線を画した映画といえる。

40点
もう少し脚本にも力を

59分の上映時間を、25分、20分、15分の短編に分けた、オムニバス作品。監督はこの映画を、新しい娯楽映画とする事を目指して作ったという。

デジタルビデオとフィルムを使い分けた映像は、思い切ったアングルを多用し、なかなか良い。安っぽさを感じさせない。各短編の始まりには、画面がブラックアウトし、音響だけの演出を行うという趣向もあり、確かに新鮮だ。

しかし、上映時間を短く区切る事も含めて、こうした仕掛けにはチャレンジ精神が感じられるが、それらが融合して『面白さ』を生み出す所までいっていない。つまり、「個性的だが、面白くはないなぁ」といった印象だ。残念ながら、「実験的エンタテイメント」の域を脱していないのだ。娯楽映画においては、突飛な手法も目を引く仕掛けも、「面白さ」という主目的を達成していなければ、それだけで高く評価はできない。(逆にいえばシンプルな演出法でも、面白ければ勝ちである)

40点
TVシリーズファンのためのお祭り

テレビドラマ『木更津キャッツアイ』の映画化。それほど高い視聴率ではなかったが、脚本の良さが評判となり、放映終了後に人気が高まった作品として知られる。

質の高さで人気が沸騰し、映画化まで盛りあがったというと、アニメの『新世紀エヴァンゲリオン』をふと思い出すが、この『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』も、(TVシリーズ終了後も人気を支えた)熱烈なファンに捧げる、お祭りイベントのような映画である。

というわけで、対象はTVシリーズのファン限定。それも、熱心なファンほど楽しめるように、小ネタ、内輪ネタが満載となっている。TVシリーズを見ていなければ、何がなんだかさっぱりわからない映画なので、どうしても本作を見たいという方は、現在深夜に放映中の再放送を見るなどしてから、出かけるべきだろう。

40点
映画を見ると、本物の絵のほうを見たくなる

キャンバスに、絵の具をビシャビシャとぶちまけ、その飛沫で作品を作り上げるアクションペインティング。総模様画とも呼ばれるこの手法で知られるアメリカの天才画家、ジャクソン・ポロックの生涯を描いた伝記映画。原作はピューリッツァー賞を、映画はアカデミー助演女優賞を受賞した。

この映画は、主演のエド・ハリスという役者が、はじめてメガホンを取った作品でもある。この人は、自他共に認めるポロックファンで、彼の伝記映画を作ろうという執念は、もう15年にも及ぶというのだから凄い。

さらに、劇中の絵画制作シーンをリアルに見せるために、10年間、ポロックの技術を学び続けたというのだから半端ではない。実際、エド氏が劇中で見せるアクションペインティングは、非常に手馴れた動きで、真に迫るものがある。そんなわけだから、なんといってもこの映画の見所は、彼のすさまじい役作りと演技にある。

40点
アメリカの大学の様子が知りたい人に

アメリカの大学を舞台にしたサスペンスドラマ。

『ケイティ』がどうにもぱっとしないのは、サスペンスとしての出来がよくないからだ。メイントリックなど、使い古しもいいところ。犯人の演技があまりにはまりすぎという事もあり、相当早い時期から結末がバレバレだ。この映画のストーリーは、ミステリ小説だったらまずボツだろう。

観客の目を最後までくぎ付けにするためには(すなわち、オチがばれない程度に伏線を張るためには)、演出面にさらなる工夫が必要。この映画の監督は、これが初の監督仕事だそうだから、このあたりに改善の余地がある。とはいえ見ている客にとって、そんなことは関係ない。つまらんと判断されればそれで終わりというのが厳しい現実だ。

40点
70年代コミューンに興味のある人へ

舞台は70年代。既存の家族制度から離れて同性愛やフリーセックスを実践していた「コミューン」(生活共同体)を舞台にしたドラマ。本国スウェーデンで、記録的な大ヒットとなった。

内容は、『普通』の家族から逃げ出した母と子供たちが、『普通でない』コミューンでの共同生活を通して、成長していくという物語。短いショットを多数貼り合わせたような編集と、手持ちカメラを多用した撮影で、この雑多な『家族』の中に鑑賞者も入り込んだ気分になるよう作ってある。

これがもしアメリカ映画であれば、健全なコメディにしそうなところであるが、そこはさすがにヨーロッパ映画。大人向けの生真面目なドラマとして、成立させている。コミューンの特徴のひとつであるフリーセックスについても、避けずに堂々と描いている。

40点
持ち味が死んでしまっており、大人の目から見るとイマイチ

読売新聞日曜版で隔週連載中の人気漫画を原作にした、TVアニメシリーズの映画化。視聴率も高く、家族で見れるアニメとしてお茶の間に人気がある。今回がはじめての劇場用作品となる。

95分間という、堂々の長編アニメとして作られた『あたしんち』だが、この手の季節ものアニメの常で、完成は公開直前にずれこみ、私もちょうど本日、試写会で鑑賞してきたところである。プレス資料と実際のストーリーが大幅に違うあたり、スケジュール的にさぞ大変だったんだろうなと窺わせる。

あらすじは、主人公である母と、娘のみかんの中身が入れ替わるというファンタジー的なもの。これがちょっとイマイチである。ちなみに私、このマンガに関しては、読売新聞での連載第一回からのリアルタイム読者である。しかもこの、あまりに面白かった記念すべき連載第一回を切り抜いて、周りの友人知人に広めたというほどであるから、『あたしンち』の魅力は知り尽くしている方だと思う。

40点
難解な本作は、独自に解釈する楽しみを味わえる一本

自らの身体を傷つける自傷癖のある女性を描いたフランス映画。監督は、これが初長編となるマリナ・ドゥ・ヴァンで、小柄で気軽な雰囲気の若い女性である。劇中では主演もし、綺麗なヌードも見せてくれてる。すぐに血だらけになってしまうが。

彼女の話では、これは「自傷癖について描いた映画ではない」そうで、むしろ「心と身体の関係のミステリアスさを描きたかった」という。大事なのは、ヒロインが不本意な感情と戦う姿であるというわけだ。だから監督さんは、自傷癖についての専門書なども読んでいないという。

『イン・マイ・スキン』の特徴は、なんといっても直接的な自傷行為の描写につきるだろう。皮膚をはがし、ぐちゃぐちゃと歯でなめしと、とどまるところを知らぬエスカレートぶりである。

40点
またひとつ良い原作が台無しに

直木賞の候補にもなった、2002年日本ミステリ界最大の話題作の映画化。妻殺しを自首した男が、なぜか殺害後〜自首までの2日間については決して語らない(警察用語でいう”半落ち”状態)、その謎で引っ張る物語である。

容易に想像がつくとおり、主人公は”誰か”をかばっているわけで、その真相が明らかになるラストで、ドーンと泣かせる事を最大のウリにしているのは映画も同じ。森山直太郎の感動的な主題歌がTV-CMでガンガン流れているから、大きく期待する向きも多かろう。だが映画『半落ち』は、期待するほどには泣きにくい。

多数の登場人物が出てくるが、映画のほうはとくに相関関係がわかりにくい。小説と違ってそれぞれの主要人物をじっくり描くひまはないから、有名俳優をあてがって、彼らの持つキャラクターに頼るという手法を取っているが、その分深みはなくなった。

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