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80点
隣の女の子の着替えを覗いていたら、とんでもないモノが見えてしまった

隣の家に毎日ビキニで泳ぐ美少女が住んでいる。手元には双眼鏡もビデオカメラもある。家族は夜まで帰ってこない。さて、残された10代の少年は何をするでしょうか? そんな興味深い設定の『ディスタービア』は、徹底して若者向けに作られたスリラーで、その明快なコンセプトが全米で大いに受けた。確かにこれ、サイコーに面白い。

教師を殴って3ヶ月の自宅謹慎をくらった主人公ケール(シャイア・ラブーフ)は、自室から30メートル離れると自動的に通報、即警察がやってくる監視システムを足首につけられる。オンラインゲームの契約も母親に切られ、することもなくなった彼は、近所の人々を覗き始める。そしてケールはある晩、裏の家で血まみれのゴミ袋を引きずる男を見つけてしまう。

最初はビキニギャルの同級生ばかり見ていた主人公少年が、やがて殺人事件と思しき何かを見つけてしまう好奇心そそられまくりの展開。やがて悪友と例のビキニギャル(サラ・ローマー)も仲間に引き入れ、iPODやビデオカメラ、パソコン、携帯電話などいまどきの若者らしいアイテムを駆使して事件の解明に挑戦する。

80点
往年のヒコーキ映画の魅力を、最新の映像技術で

第一次世界大戦のころ、かたくなに中立を守っていたアメリカ合衆国の中に、様々な理由でフランス軍に参加した若者たちがいた。彼ら義勇軍の中には、当時まだ発明されたばかりの航空機のパイロットとなったものもおり、ラファイエット飛行隊と呼ばれ活躍した。

『フライボーイズ』は、そんな実話をもとにしたスカイアクション&歴史ロマンであり、独立系の作品でありながら製作費70億円という、堂々たる体躯の大作だ。

1916年、ドイツと激戦を繰り広げるフランス軍の宣伝映画に触発された米国人青年ローリングス(ジェームズ・フランコ)は、フランス空軍に志願。彼はテキサスのカウボーイだが、ある理由でちょうど故郷を離れざるを得なかったのだ。

80点
ピクサーパワーを得て蘇ったディズニーアニメ

現在アメリカ映画界の巨人ディズニーは、『トイ・ストーリー』シリーズや『ファインディング・ニモ』の制作で知られる3DCGアニメ界の雄ピクサーを子会社として取り込み、大きく変化している最中だ。そんな中、日本公開される『ルイスと未来泥棒』は、ピクサー社の設立メンバーで代名詞的存在である映画監督ジョン・ラセターを製作総指揮に迎えた、初めての(ピクサーではなく)ディズニーアニメーション作品となる。

孤児院で暮らす発明少年ルイス(声:ダニエル・ハンセン)は、生後まもない自分を捨てた母親のことを知りたくて、古い記憶を覗けるメモリースキャナーなる道具を発明する。ところがこれに目をつけた未来泥棒(声:スティーヴン・J・アンダーソン)が、タイムマシンに乗って現代にやってくる。ルイスは、同じく未来から来た少年ウィルバー(声:ウェズリー・シンガーマン)と出会い、彼と共に未来世界へと追跡を開始する。

ジョン・ラセターの参加が決定した時点で8割完成していたが、そこから6割を作り直したといわれるほどに、彼の影響を強く受けた作品だ。ジョン・ラセターはこれまでピクサーの全作品に関わっており、その高いクォリティを実現させてきたキーマンといって差し支えない。その作風を一言で言えば、キャラクターとシナリオの重視であり、この二つを徹底的に練り上げる事で知られる。

80点
不器用な人間たちの、優しい再生物語

タイトルの「鏡」は、オーストリアの精神分析学者ハインツ・コフートの心理学理論からの引用で、端的に言うと母親のこと。子供にとって親は自分を投影する鏡であり、それを見ながら自己を育成するという。この映画の登場人物にとっては、その「鏡」が、凍えるほど冷たい存在というわけだ。

路上で自分の絵を売る若者・瞬(田中圭)と、年老いた女性童話作家・香澄(渡辺美佐子)が、あるとき出会い、やがて意気投合した。行き場のない野良犬のような目をした瞬は、わずかな事ですぐキレる若者だった。香澄は一人娘で臨床心理士の由里子(冨樫真)に、彼のカウンセリングを任せてみるが……。

登場人物はほぼこの3人。実の母娘とひとりの青年。娘と青年はカウンセラーと患者の関係でもある。

80点
ダイエットに最適な映画

ハンバーガーやフライドポテトが大好きなお子さん、もしくはメタボ気味の旦那様をもつ奥さんは、迷わずこの映画に連れて行くとよい。これを見終わってもまだ食べたいというならば、それはもはや病気だ。

大手バーガーチェーンのある幹部は、パテから大腸菌が検出された件で、自社の食肉加工工場に調査にやってきた。愛想よく案内された工場の様子からは、雑菌が混入する余地はあまりないように思える。だが、周辺で聞き込みを続けるうち、その恐るべき実態が明らかになってくる。

脚本も書いているエリック・シュローサーの原作『ファストフードが世界を食いつくす』はとんでもない本で、私はかつてこれを読んだせいで大手バーガーショップでの食事に、かなりの抵抗を感じるようになってしまった。

80点
≪女子高生とヤンキー合唱部の対決≫

『うた魂(たま)♪』を見ていると、映画なんてものは普遍性を追求するばかりが能ではないとつくづく感じる。ときには時代を切り取るような、フレッシュだが賞味期限の短いものが何より心に届く事もある。

北海道のとある高校。合唱部リーダーのかすみ(夏帆(かほ))は、自分のルックスと歌声に陶酔するちょっと勘違いな女子高生。ところがある日、憧れの生徒会長(石黒英雄)から歌唱中の表情を「産卵中のサケみたい」と笑われてしまい自信喪失。退部を決意する。

素直なのかバカなのか?! 絶妙な性格設定のヒロインが魅力的な青春学園合唱ドラマ。合唱という「誰もが経験してるけど、好きな人はほとんどいない」題材選びもまた、絶妙だ。

80点
シングルマザーが味わう未曾有の苦しみ

脳性麻痺の女性の恋愛物語「オアシス」(02年、韓国)は、このサイトで絶賛したから覚えている方も多いかも知れない。『シークレット・サンシャイン』はそのイ・チャンドン監督の最新作で、これまた心に響く本格ドラマだ。

夫を亡くしたシネ(チョン・ドヨン)は、幼い息子を連れソウルから夫の故郷へやってきた。この小さな田舎町で再出発をはかろうというのだ。最初に知り合ったジョンチャン(ソン・ガンホ)は、しょぼくれた自動車修理工場を経営するさえない中年男だったが、シネに一目ぼれして何かと世話を焼いてくれる。シネにはまったくその気はなかったが、おせっかいな彼の助けでなんとか地元社会にもなじみ始めていた。ところが間もなく、彼女は人生最大の苦難を経験することになる。

期待通りの見ごたえある人間ドラマで、私は鑑賞後、これを見られて本当によかったと感じた。ただ、前作ほどわかりやすく誰もを満足させてくれるものではない。後から色々考えて、うっすら存在する希望に救われるといった具合だ。

80点
ケン・ローチが描く「奪い合う労働者」

弱肉強食の新自由主義は格差社会を拡大し、この日本でも最底辺の労働者の危機感は相当なものがある。

私は仕事柄、たまにその手の集会を見に行くことがあるが、たいていは盛況である。そこで語られる派遣労働者やシングルマザー、障がい者や引きこもりたちの現状の訴えは深刻で、聞いているだけで怒りで涙が出てくる。

そんなとき、どうしても労働者は善人で支配側は極悪守銭奴といった単純化をしてしまいたくなるが、もちろん現実はそうではない。

80点
松山ケンイチが両極端な若者を演じるデスメタル"ギャグ"ムービー

こういう仕事に就いているとつい忘れがちだが、人はそれほど大層なものを映画に求めてやしない。

いくらギャスパー・ノエの映画が面白いといっても、あんな気持ち悪いものを普通の人は見たがらないし、また必要としない。忙しい現代人にとって映画とは、旅行に行くほど気構えず、比較的チープに楽しめる気晴らしのひとつに過ぎない。

そんなとき必要なのはコメディ映画というわけで、アメリカでは大人気の定番ジャンルとなっている。しかし、なぜか日本ではあまり力の入ったコメディというものを見ない。いたく残念&不満に思っていたところに『デトロイト・メタル・シティ』が来た。長年こういうものが増えればいいのにと思い続けてきた、まさに万人にすすめられるコメディ作品だ。

80点
昭和ウルトラマンと平成三部作の世界観が融合

ウルトラマンで育った世代は、いまや働き盛りのパパである。その琴線に触れる企画をだせば、彼らは子供たちと共に劇場に押し寄せ、ウルトラマン映画は成功する。そんな方程式を前作「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」(06年)で読み取ったか、今回はさらにそのコンセプトを推し進めた作品を出してきた。結果、前売りはなんと5万枚以上も売れ、この公式はいまだ有効と証明された。

少年時代、アスカ、我夢と共にテレビの「ウルトラマン」に夢中になったダイゴは、成長した現在、平凡な公務員として横浜で暮らしている。ところがあるときから、ハヤタさん(黒部進)やモロボシさん(森次晃嗣)、郷さん(団時朗)や北斗さん(高峰圭二)など仲のいい街の人々がウルトラマンになる不思議なイメージを見るようになる。夢と切り捨てるにはあまりに実感を伴う体験を不思議に思う中、ついに本物の怪獣が現れる。

平成三部作を鑑賞した方にとっては奇妙なあらすじと思うだろうが、ようするにこの世界はテレビシリーズとは別のパラレルワールド。ウルトラマンは実在せず、テレビの中だけのヒーローだよ、という設定だ。その意味では、私たちが生きる現実世界とほとんど同じといえる。ここではダイゴたちもハヤタらもただの平凡な社会人。パン屋さんやレストランなんかを経営して、のどかきわまりない。

80点
NYセレブママの、どこか変なライフスタイル

ロマンティック・コメディの良し悪しについて、主演女優のしめる割合はとても高い。女優じたいが魅力的かどうか、演じるキャラクターに共感できるかどうか。観客の性別を問わず、それだけで6割がた決まってしまうといっても過言ではない。これは、私だけが提唱する定説である。

庶民の娘ながら人類学を学び、エリートコースに乗るかと思われたアニー(スカーレット・ヨハンソン)は、ゴールドマン・サックスの面接で大失敗して就職戦線から脱落。ナニー(平たく言えばベビーシッターのこと)のバイトをしながら自分探しをはじめることに。ところがニューヨークのセレブママたちの傲慢不埒な態度と、どこかおかしい子育てに、アニーの上流階級観察日記は日増しに熱を帯びていく。

この一風変わったコメディの主演女優スカーレット・ヨハンソンは、私が思うに25歳前後の女優の中では世界一だ。誰もがひと目で覚えられる顔だちに、不自然に絞っていない体、そして人懐っこいムード。間違いなく、地球上で一番魅力的なぽっちゃり系といってよい。

80点
墜落事故生存者の証言が食い違う?!

この映画は、飛行機墜落事故の現場から始まるが、そのセットのリアルさはなかなかである。カナダの浜辺で撮影したというが、航空機の残骸が燃え盛るのを見つけた近所の住民は、半狂乱になって警察に通報したという。たしかに散歩中にこんなものに出くわしたら、間違いなく腰を抜かすだろう。

セラピストのクレア(アン・ハサウェイ)は、航空機事故の生存者5名の精神的ケアを任される。だがその仕事は簡単ではなかった。事故以来、異様にハイテンションで、専門家も「逆にいちばん危険だ」と評するエリック(パトリック・ウィルソン)は、やたら陽気にデートに誘ってくる。一方、他の生存者たちが行う事故時の状況は、各人まるで違っている。何かがおかしいと感じたクレアは独自に調査を始めるが、航空会社から激しい妨害を受ける。

『パッセンジャーズ』は、騙される快感を味わうための映画である。つまり、結末仰天系ミステリということだ。そういう意味では、冒頭で書いた散歩者が、もっとも幸せな本作の観客だったということもできる。

80点
公式サイトを読む前に見に行って

犯人の名前を知ってから推理小説を読むのが好きな人は、『ダイアナの選択』の公式サイトを読むとよい。

高校時代、校内で銃乱射事件に遭遇した経験をもつダイアナ(ユマ・サーマン)の、深い心の傷はいまだ癒えない。あのとき彼女は親友のモーリーン(エヴァ・アムリ)と女子トイレに追い詰められ、犯人にこう問われたのだった。「お前たち二人のうち一人を殺す。どっちを殺すかお前たちが決めろ。さあ、どっちだダイアナ?」

少女時代に自らが発した一言が、親友の運命と自分の人生を変えてしまった。たとえいま、愛娘や優しい夫と、なに不自由ない暮らしをしているように見えても、決して消えることのないトラウマをダイアナは抱えている。

80点
意外な掘り出し物ホラー

この2作品は、それぞれ独立したものと見ることもできるが、それぞれが60分間と短く、同時上映されるという事情から、ひとつの記事にまとめて紹介したい。

タイトルでわかるように、清水崇監督の代表作的ホラーシリーズの一篇。「恨みつづけて、10周年」という、気の長い幽霊のセリフのごときコピーにあるとおり、シリーズ誕生10年の節目を飾るイベント作品である。

清水崇監督は今回監修に回り、持ってきた脚本が優れていた二人の才能にそれぞれの監督を任せた。まず『呪怨 白い老女』の方は三宅隆太監督。そして、これが実にとんでもない男であった。

80点
邦題はエロドラマみたいだし、公式資料はネタバレときた

白身魚フライなど、他のおかずが充実していながら「のり弁当」などと控えめに自称する、ほか弁人気メニュー並に良心的な当サイトではそんなことはないが、他メディアによる『あの日、欲望の大地で』の映画紹介には、重度のネタバレが含まれる可能性があるので注意が必要だ。

アメリカ、メイン州の高級レストランのマネージャー、シルヴィア(シャーリーズ・セロン)。仕事もでき容姿も端麗だが、なぜか彼女は行きずりの男とばかりすぐに寝る。どうやら何か心に傷があるようだ。一方、ニューメキシコ州の国境沿いの町では、アメリカ人主婦ジーナ(キム・ベイシンガー)とメキシコ人ニック(ヨアキム・デ・アルメイダ)が、荒野のトレーラーハウスを密会場所に不倫を重ねていた。

この二つのドラマがどう交差していくのか。その仕掛けはこの脚本を15年かけて構想し、書いたギジェルモ・アリアガ監督がもっとも力を入れたところだろう。しかし、たぶん悪意はないのだろうが宣伝会社の公式資料はそのあたりをまったく考慮していないので、何も気にせずそれを基に原稿を書いたライターたちは、知らぬ間にネタバレ記事を仕上げてしまう可能性がある。

80点
「揃いも揃ってクズでござい、ってツラしてやがる!」

福本伸行の漫画は、手軽に人生の極意を学べることで、若い人に大人気だ。独特の台詞回しや擬音、個性的な絵柄など、語るに足る要素を多く備えることから、インターネット上でも共通のネタ基盤として確立されている。『カイジ 人生逆転ゲーム』は、その待ちに待った、そして誰もが「無理だろ」と思う実写映画化である。

最底辺の自堕落な生活を送りながらも、認めようとしない典型的なダメ人間カイジ(藤原竜也)。あるとき彼の元に、借金取りがやってくる。覚えのない借金だったが、気軽に保証人の判を押していたためだ。バイト生活のカイジに返せるカネがあるはずもなく、半ば自動的に借金棒引きゲームが開催される客船エスポワール号へと参加することになる。

この、エスポワール号で行われる幾多の「ゲーム」を、CGなどをふんだんに使った見せ場として描くエンタテイメント作品。最初に行われる「限定ジャンケン」など、原作ファン垂涎の展開が楽しめる。

80点
19世紀の原作が今でも通用することの意味

チャールズ・ディケンズの原作は、これまで50回以上も映像化されたといわれるほどだから、あらすじは誰もが知っていることだろう。本作のタイトルにあるディズニーも、以前にアニメーション作品として発表したことがある。

だがしかし、今回のそれは驚くほどタイムリーで、かつ適切な映画化だったのではないかと強く感じた。

19世紀半ばのロンドン。金貸しの守銭奴スクルージ(声:ジム・キャリー)はクリスマスイブに浮かれた世間に悪態をつき、寄付を求める貧しい人々にも怒鳴り帰す始末。町の嫌われ者であるそんな彼の前に、かつての共同経営者で7年前に亡くなったマーレイ(声:ゲイリー・オールドマン)の亡霊がやってくる。

80点
どう考えても映画史上ナンバーワンのスペクタクル

『2012』には、人々がローランド・エメリッヒ(「デイ・アフター・トゥモロー」(04)、「インデペンデンス・デイ」(96)監督)に望むものがすべてある。彼の映画を好きな人なら、この秋必見の超大作である。

不本意ながらリムジンドライバーとしてなんとか生計を立てている作家のジャクソン(ジョン・キューザック)は、離婚した妻の元で暮らす子供たちとイエローストーン公園にやってきた。ところが思い出の湖はすっかり干上がり、なぜか政府機関と思しき男たちが周辺を閉鎖していた。その後、彼はチャーリー(ウディ・ハレルソン)と名乗る怪しげなDJと出会い、もうすぐ世界が終わるなどと聞かされるが……。

バカげたスケールのストーリーを開陳し、人間賛歌のテーマを謳いあげるエメリッヒ監督は、今回はマヤ終末説を取り上げた。これは今、アメリカを中心に大流行中のテーマ。要は2012年に人類が滅亡するというものだが、根拠としては惑星直列だのマヤの予言だのと色々あげられている。

80点
人気が出るのもよくわかる入魂の一作

ライトノベルも深夜アニメも見ない私としては、涼宮ハルヒと遭遇する機会はまずないだろうと安心していた。だから角川の編集者に、いかに熱くその魅力を目の前で語られろうとも、これまでは軽くいなすことができた。

だが映画化されるとなれば話は別だ。もう避けて通るわけには行かない。

しかし、よりにもよってインターネット上でこのタイトルについて下手なことを書けば、間違いなく批評家生命を失うことになろう。そんな恐るべきプレッシャーの中で、しかし私は命がけでこの記事を書くことに決めた。

80点
感情を揺さぶる力は『火垂るの墓』より上

『クロッシング』はあまりに危険な内容および主張を含むことから、南北融和のノ・ムヒョン政権時代の韓国ではおおっぴらに製作ができなかった。そこでやむなく、監督らは内容を絶対極秘にして各国ロケを行い、なんとか完成にこぎつけた。そして政権交代した今、ようやく日の目を見たという執念の一本である。

そして大事なことに、この映画には韓国人と同じかそれ以上に、日本人である私たちにとって重大な事実が含まれている。

かつて北朝鮮のサッカーナショナルチームの一員だったヨンス(チャ・インピョ)は、今はしがない炭鉱夫として、病弱の妻ヨンハ(ソ・ヨンファ)、11歳の息子ジュニ(シン・ミョンチョル)と3人で暮らしている。だが栄養不足など劣悪な環境下で妻の病状が悪化、特効薬を得るためには国境を越え、中国に行くしかない状況に追い込まれる。

80点
原作と違う結末が秀逸

ギリシャ経済のゴタゴタに伴う暴落で、GW明けに即死状態となった投資家も少なくあるまい。金というものは……というより、そこにかける人々の情熱とは、なんとパワフルで恐ろしいものか。すっかりポジションを失い、抜け殻のようになったFX初心者などに、私はこの『運命のボタン』をすすめたい。

76年の冬、ヴァージニア州の郊外で暮らす一家の妻(キャメロン・ディアス)は奇妙な訪問者に応対する。初対面の彼女に対し、彼は大きなボタンがついた箱を渡す。それを押せば、一家は100万ドルを受け取れる。ただし代わりに見知らぬ誰かが死ぬ。期限は24時間。その間に押さない場合は装置を回収する。そう言って去った男が残したボタン装置は、仲むつまじい夫婦と息子たち一家の運命をどう変えるのだろうか。

押せば1億円。70年代の設定だから今ではその数倍の価値といったところか。ただし憎らしいことに、それは誰かを殺すことになる。さてアナタならどうするか……。

80点
お笑いプロパガンダ

『グリーン・ゾーン』を見ると、この映画を作った製作者らスタッフが、現代アメリカの本流というべき立場にいることがよくわかる。アメリカウォッチャーは、今後はこの人たちの作る映画から絶対に目を離すべきではないだろう。

フセイン失脚直後のイラク、バグダッド。米陸軍のミラー准尉(マット・デイモン)のチームは、大量破壊兵器を探す任務についている。ところが情報は常に誤りで、一向に見つかる気配はない。犠牲ばかりが増え続ける現状に納得できないミラーは、ようやくつかんだ重要情報を国防総省のクラーク(グレッグ・キニア)が握りつぶしたのをみて、何かがおかしいと感じ始める。

私はこの映画を見て、内心笑いが止まらなかった。イラク戦争の大義だった「大量破壊兵器」が実在せず、プロパガンダだったことは今では常識。ところがこの映画ときたら、この世紀の大嘘は一人の悪い小役人のせいで、国民もいたいけな米軍兵たちも、それにだまされた被害者だというのだ。

80点
≪必死過ぎ米国、国威発揚大作を堪能できる≫

この映画は、東日本大震災で日本公開が延期された作品の一つだが、一刻も早く見ておくべき重要なアメリカ映画である。

流星群が各大陸の沿岸部近海に降り注ぐ事件が起きた。あるトラウマから退役届を出したばかりのマイケル・ナンツ2等軍曹(アーロン・エッカート)も、この非常事態を受けLAの基地に召集される。だがたたき上げのベテラン海兵隊員であるナンツは、事態がたんなる気象現象ではない事にやがて気づかされる。NASAでさえその軌道を把握できなかったこの未確認物体は、単なる隕石ではなかったのだ。そしてその直後、ナンツはかつてない過酷な地上戦に巻き込まれる。

本作は、次々と公開されているエイリアン侵略映画の決定版。いまやアメリカ合衆国は、ホームレスのエイリアンから引っ張りだこ、地球一の人気スポットなのである。あんな不景気で治安の悪いところを侵略するより、のんびりした南国にでも行けばいいのにと思うが、情弱エイリアンたちは懲りずに毎回アメリカと戦ってばかりいる。

80点
≪笑いの陰に苦しみがチラリ≫

笑いというのは偉大なもので、人生における苦しみのほとんどを緩和する働きがある。とくにカネの悩みや恋愛、人間関係などは多くの人が深刻に考えすぎである。こうした悩みで毎年多くの自殺者が出るが、そういう人たちは一度、広い目で世界を見るといい。

大金を借りまくって豪遊した挙句、仕事や嫌いだよ昼寝はやめない嫌なら借金額を4分の1に減らせフフン、とのたまっているギリシャ人を見るといい。青くなっているのはカネを貸してる金持ちだけで、はたから見ればコメディーである。同じように、どうせ90まで生きればアナタの今の悩みなど、年寄りの笑い話になるのではないだろうか。

もし、こうした話に少しでも共感したなら、「50/50 フィフティ・フィフティ」を見るといい。

80点
逆輸入本格ソードアクション

コンピュータグラフィックスによるアニメーションの世界では、なんといってもピクサー社が傑作を量産し、第一人者と称されている。

いつの時代も先駆者というのは尊敬され、長く人々の心に残る。その業績を上回り、人々の固定されたイメージを覆すのは容易なことではない。とくにこのCGアニメの世界では、日本は大きく出遅れた感が否めない。

しかし、アメリカ勢に独占を許したかに見えたこの分野で、新境地を切り開いた男がいる。曽利文彦監督がその人で、彼のアニメ映画の代名詞というべき3Dライブアニメのテクノロジーは、ほとんど新ジャンルと呼んでいいインパクト。俳優の動きをトレースしたモーションキャプチャーにトゥーンレンダリングを施したものだが、どこか日本アニメ調の色合いに仕上がっているのがポイントで、そのクールなルックスは世界中のアニメファンを感心させた。

80点
「JUNO/ジュノ」の奇跡再び

女のコとは自己矛盾の生き物である。忙しくてデートを断れば、私より仕事が大事なのねとキレるし、

また別の日には、あれが欲しいこれが欲しいと高い服を要求する。仕事しなけりゃそんな服も変えない

ぞと思うのだが、本人の中では全く矛盾なく二つの要求が存在するらしい。

80点
≪タイトルの意味がわかる瞬間に注目≫

先日発射された北朝鮮のロケットこと弾道ミサイルを警戒していたイージス艦は、自衛隊の誇る最強の護衛艦である。だが、こうした近代的な戦闘艦と、第二次大戦時に最強艦とされていた「戦艦」では設計思想が全く異なる。

大和に代表されるような戦艦は、巨砲を積むための巨大な船体を頑丈な装甲で覆い、多少の攻撃を食らってもびくともしない。イージス艦のような現代の戦闘艦は、それにくらべれば紙でできているような無装甲の軽量艦にすぎない。戦艦武蔵のように、40発近い魚雷や爆弾を食らってもまだ戦闘を続けるようなマネは絶対に無理である。

その代わり高性能な多機能レーダーや、人工衛星・警戒機と連携した索敵能力、およびミサイルによる長距離攻撃能力によって先制攻撃、先制撃破するわけで、だからこそ「無敵の盾」と言われている。

80点
高所恐怖症の人は無理

人生、突然がけっぷちが訪れることがよくある。圧倒的な魅力を持つセンターが卒業し、人気ナンバー4からいよいよ下剋上を狙うかというその時、撮影好きな元彼に恥ずかし写真をばらされる。リアル「ノッティング・ヒルの恋人」を気取ってみたが、現実は厳しかった。ロマコメを信じると高くつくことを身をもって知ったそんな彼女に贈りたい、それがこの「崖っぷちの男」である。

元ニューヨーク市警のニック(サム・ワーシントン)は、ダイヤ強盗の濡れ衣を着せられ投獄されていたが隙を見て脱獄する。その後、ニューヨークど真ん中のホテル高層階に姿を現した彼は、意を決して窓の外に踏み出す。無実を晴らすため、もはや彼には自殺という手段しか残されていないのか。眼下には騒然としたやじ馬たちが次々と集まり、やがてマスコミや警察のヘリも飛んでくる。

人気絶頂サム・ワーシントン、今年4本目の日本における主演公開作にして最高傑作。それがこのスリリングなサスペンスだ。

80点
すぐれた大人SF

時間移動ものSFには佳作が多い。「バタフライ・エフェクト」(04)、「時をかける少女」(06)、「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」(07)など、内外に多くの作品がある。過去の改変が未来に影響を与えるタイムパラドックスとは、一見絵空事のように思えるが、実際はいわば現代を生きる者の共通認識を象徴している。誰もが無意識にそう考えて今を頑張って生きているからこそ、映像の形でそれを具現化した時間移動ものSFにすんなり共感できるわけだ。

「LOOPER/ルーパー」はそんな暗黙のルールを、ユニークな設定に生かした一本。おそらく以下に紹介するあらすじを読んだだけでも思わず見たい!となるはずだ。

完璧な管理社会である2074年では、マフィアたちもそう簡単に邪魔者を消すことができなかった。そこで彼らは使用が禁止されているタイムマシンを入手する。この発明品はいまだ不完全で、30年前の過去にしか行けない一方通行。だがマフィアにとっては、邪魔者を縛り上げてこれに乗せ、他の時代で殺害すれば完全犯罪となる。彼らは30年前にエージェントを送り込みルーパーと称する殺し屋集団を組織させ、その時代の闇組織に殺害を依頼することにした。

80点
ハードボイルドなヒーロー映画

ヒーロー不在の時代である。世界の警察官は日がなプロパガンダ映画作りに必死、日本の警察官は交番で賭け麻雀に必死。新聞を見ていてもしらけるばかりである。

ヒーロー映画作りがこんなに難しい時代もないわけだが「ジャッジ・ドレッド」は頑張った。シルベスター・スタローン主演の珍作扱いされていた95年版を無かったことに再スタートした本作は、由緒ある英国コミックの実写化。イギリス・南アフリカ合作の、決して背伸びしないシンプルなアクション3D映画としてよみがえった。

近未来のアメリカ。核戦争で荒廃した東海岸における唯一の都市メガシティ・ワンは、人口過密で治安は最悪であった。その対策として市民を守る最後の砦であるジャッジたちには、警察と司法の両方の機能と権限が与えられていた。中でも最強のジャッジと称されるドレッド(カール・アーバン)は、新米の女性ジャッジ、アンダーソン(オリヴィア・サールビー)の教育を命じられる。さっそく出かけた現場は、しかし想像を絶する過酷なものだった。

80点
3つの楽しみが味わえる

一見立派に見える人でも、ときには英雄とみられるような人物でさえ、心に闇を抱えていることがある。品行方正、誰もが羨む理想的な人物といわれる私でさえ、悩みの一つや二つは持っている。

「フライト」は、偶然の事故から嘘を積み重ねてきた過去と向き合い、清算せざるをえない立場に追いやられるパイロットを名優デンゼル・ワシントンが熱演したドラマ。受賞はできなかったが主演男優および脚本賞にノミネートされた一本である。

アメリカ国内便の機長ウィップ(デンゼル・ワシントン)はベテランのパイロット。今日も恋人のCA(ナディーン・ヴェラスケス)と徹夜で飲み明かしたばかりだが、コカインで眠気を払い操縦席に座る。そんな状態でも誰より安定した飛行の腕前を持つ彼だったが、その日の機体には致命的な問題があった。

80点
若者の苦しみが描けている

85年生まれの若いジョシュ・トランク監督による低予算映画ながら、全米初登場1位となった「クロニクル」は、スタイリッシュな映像が見所のSF映画。と同時に、迫真の青春学園ヒエラルキードラマでもある。

高校生のアンドリュー(デイン・デハーン)、マット(アレックス・ラッセル)、スティーヴ(マイケル・B・ジョーダン)は、偶然触れた謎の物質により超能力を身に着ける。スカートめくりや空中アメフトなどたわいもない事に力を使う彼らだったが、その緊張感のなさから大事故を巻き起こしてしまう。その日以来、3人の絆も徐々にひび割れていく。

ビデオ撮りオタクのアンドリュー主人公ということで、いわゆるPOV=主観映像による作品となっている。だが途中から彼も超能力者になるので、遠隔操作も空撮も自由自在。POV映画としてはありえない豊潤なカメラワークを味わえる。と同時に登場人物に寄り添うような映像からは、身近な青春ものとしての味わいもある。

80点
マッチョ二人の意外な大人向けテーマ

女囚もの含む刑務所映画はアクション映画の定番として、かつて高い人気があった。日本でも木曜洋画劇場などで楽しんだオールドファンも多いだろう。いたいけな主人公たちが一致団結、理不尽な支配や虐待に立ち向かう構図は、革命の暗喩でもあり暗い時代の労働者たちの溜飲を下げる働きがあった。

だがバリエーションのアイデアが出尽くした後、観客の間にそうした荒唐無稽を受け入れる余地は年々せばまり、今ではすっかり時代遅れとなった。l

セキュリティ対策のプロ、ブレスリン(シルベスター・スタローン)は自ら収監され脱獄することで施設の脆弱性を探る手法をとっている。だが、あるとき高額で依頼された民間の収容施設において彼は依頼者から裏切られる。外部との連絡とサポートを絶たれた彼は単独で脱出するほかなくなったが、そこでクセのありそうな囚人のボス(アーノルド・シュワルツェネッガー)と出会う。

80点
シリーズ2作目としては相当な完成度

マーベルの看板ヒーロースパイダーマンは、大人の事情でマーベルヒーロー総登場の「アベンジャーズ」には出演できない。しかしこの映画版(リブート版)は、かのオールスター映画に引けを取らない完成度の高さを誇る。

今日もニューヨークの平和を守るスパイダーマンことピーター(アンドリュー・ガーフィールド

)は、「娘を巻き込むな」との父親の願いが常に頭から離れなかったが、それ以上に愛するグウェン(エマ・ストーン)と離れられずにいた。そんな折、親友のハリー(デイン・デハーン)がオズコープ社に戻ったことを契機に、自分を捨てた実父との別れの真相に迫ることになる。

80点
まさかの共演によるボクシング映画

「ロッキー」や「ランボー」の新作をとってみたり、忘れられていたベテランアクションスターを集めてオールスターな作品を作ってみたり。最近のシルヴェスター・スタローンはハリウッド一、サービス精神旺盛な企画に絡んでいる。

そんな彼の最新作「リベンジ・マッチ」もその一つ。なんと、体重増加の役作りが伝説となった「レイジング・ブル」(80年)のロバート・デ・ニーロとふたり、因縁あるライバルボクサーを演じて初共演する離れ業をやってのけた。

80年代に一世を風靡したボクサーのビリー(ロバート・デ・ニーロ)とヘンリー(シルヴェスター・スタローン)。対戦成績五分のまま迎えた第3戦直前にヘンリーが引退したことをビリーはいまだに根に持ち、ヘンリーもまた別の因縁から二人は犬猿の仲となっていた。そんな二人に目を付けた売り出し中のプロモーター、ダンテ(ケヴィン・ハート)は、30年ぶりに二人を対戦させようという無茶な企画を考えるが……。

80点
お父さんの選択肢

子を持つ親にとって、誘拐犯罪ほど恐ろしいものはない。デパートでわが子が迷子になっただけでも胃が痛むような苦しみと恐怖にとらわれるのが親というもの。まして誘拐確定となった日には、いかな強靱な男といえど、ただではすまない。

感謝祭のパーティーのさなか、ケラー(ヒュー・ジャックマン)の幼い娘が失踪する。ロキ刑事(ジェイク・ギレンホール)はそれなりに優秀な男で即座に容疑者(ポール・ダノ)を拘束、取り調べるが、警察はあろうことか証拠不十分で男を釈放してしまうのだった。

「プリズナーズ」は、愛する娘の誘拐を前に、普通の父親に何ができるのかを考えさせられるサスペンスドラマ。

80点
感動の裏話もの

映画界の巨人ディズニーには膨大な作品アーカイブがある。きっとその一本一本にはそれぞれ興味深いトリビアがあるのだろう。だがこれまで彼らはそうした自社の裏舞台ものには手を出してこなかった。

ディズニーランドでは園内の二カ所で同時にミッキーが現れることは無いそうだが、「舞台裏」を隠し続けるのがある意味社風のこの映画会社で、初めて作られた内幕ものが「ウォルト・ディズニーの約束」だ。

61年のハリウッド。業界一の権力を持つとさえいわれたディズニー社長のウォルト(トム・ハンクス)は、しかし20年来、映画化を説得できない相手がいた。それが「メアリー・ポピンズ」の原作者で、自他ともに認める頑固者P.L.トラヴァース(エマ・トンプソン)。このたび彼女を英国からようやく招くことに成功したウォルトは、ここぞとばかりにゴージャスなもてなしで迎えるのだが……。

80点
戦争の発生原理を描く

アメリカはシリア領内のイスラム国を空爆、ローマ法王は現状を第三次世界大戦だと懸念、マレーシア機は落とされ、尖閣諸島には中国の不審船がうろついている。いまや世界中が戦争の当事者となる時代に突入している。そんな中、公開される「猿の惑星:新世紀(ライジング)」は、その公開タイミングも含め、映画の神様の祝福を受けたと思わせる抜群の出来映えである。

前作のラストから10年、ウィルスによって人間はほぼ死滅し、猿たちは驚異的な進化を遂げていた。わずかに残った仲間たちとサンフランシスコで暮らす人間たちは、山で猿のリーダーであるシーザー(アンディ・サーキス)と出会う。一触即発の中、人間たちがシーザーに求めたものとは……。

旧・猿の惑星はなんといってもショッキングな落ちと、時間を行き来するストーリーの輪が完全に閉じた終幕により、シリーズものとしては高評価を得ている。

85点
真の意味で大人と子供の両方が楽しめる傑作

『きれいな涙 SPIRIT』は王道のストーリーを持つアニメーション作品で、いかにもアメリカらしい一本。ディズニーの『トレジャープラネット』に対抗するドリームワークスの作品だが、どちらも実によく出来ている。フルアニメーションらしいエレガントな動きとCGの融合は、違和感を感じる部分がだいぶ減り、そろそろ完成の域に達したという感じがする。

カメラワークは、決してアニメっぽくはない、実写のハリウッド映画を見ているようなダイナミックなもので、照明(光源)の凝った様子も合わせて、高く評価したいところ。音楽と映像がシンクロした総合的な演出法は、映画としての完成度の高さを感じさせる。

この作品の面白いところは、主人公の馬を擬人化していないという点。馬は「ヒヒーン」としかいわないし、人間みたいな表情もしない。それなのに、その心情を雄弁に語っている。

85点
現代の最高レベルの特撮技術で、こんなリアルな残酷シーンを作るのは、もはや犯罪だ

マトリックスのアクション監督デヴィッド・エリスが送る、ホラー映画。

いやはや、とてつもなく悪趣味な映画である。これほどのホラー映画は、そうそうお目にかかれまい。『デッドコースター』がどういうタイプのホラーかというと、超高画質のリアルなCGで、人間が事故死する場面をスローでバッチリ見せるといったタイプのもの。

世間が、『ザ・リング』だの『ボイス』だの『呪怨』だのと、心理的な和風の恐怖映画に夢中になっているなか、その正反対に位置する『デッドコースター』は、実に新鮮。いいかげん、あの手のグジグジした恐怖映画に飽きが来ていた私にとっては、この映画は久々に観た、現代版悪趣味スプラッターとして、たいへん楽しめた。

85点
17歳の純粋さに感動できる、青春ドラマの傑作

性格も家庭環境も全く違う、二人の少女を主人公に、ティーンエイジャーの心を瑞々しく描いたドイツ製青春映画。

監督は、相当な数のティーンたちにリサーチをしたそうで、本作は細かい部分までとてもリアルに“今のドイツ少女”たちを表現している作品といえる。製作側が、自身の10代の頃の経験だけに頼らずに描いた点がうまく作用しており、メインターゲットの20〜30歳のみならず、当の10代の少女たちがみても、納得できる内容になっているのではないか。

ちなみに、映画の冒頭で、女の子二人が男子部員たちのシャワーシーンを覗く場面があるが、こんな事ホントにするもんかねぇ、と思った私は、ドイツの高校にいっている知り合いに早速聞いてみた。すると彼女いわく、「リアルだ。充分あり得る」だそうである。そう考えてみると、男の子のお尻ばっかり追いかけるカメラも、彼女らの視線をリアルに表現しているというわけか。

85点
主役の少女の存在感が、観客を圧倒する

ニュージーランドの原住民、マオリ族の族長の一族にうまれた少女を主人公に、男系社会での古い伝統への挑戦と、少女の成長を描く感動物語。

映画が始まって10分もすれば、この映画には“力”がある、と感じることができるだろう。スクリーンから溢れるエネルギーに観客は圧倒され、一気に引き込まれることが確実な、素晴らしい映画である。

古い伝統にこだわり、せっかく生まれた赤ちゃんをすら、それが女だと言うだけで嫌悪する祖父。我々の感覚からすればどうしようもない、ただの頑固親父に過ぎないこのキャラクターだが、単純な悪役というわけではない。

85点
これこそ完璧な脚本だと唸らせる

神経症気味でチックに悩む詐欺師と、突然現れた14歳の娘を中心に描かれるドラマ。メインキャストの素晴らしい演技力と、恐るべき完成度の高いストーリーで、まれに見る傑作にしあがった。

笑いあり、スリルあり、アクションあり、そして心震わせる感動ありと、『マッチスティック・メン』には、まさにエンターテイメントの全てがある。

このサイトの趣旨に100%合致した、非常にクオリティの高い娯楽映画である。これをみて頂ければ、私がこのサイトの読者の皆さんに、どういう映画をすすめたいのか、どういうポリシーで運営しているかが、きっとわかってもらえると思う。

85点
緊張感が途切れぬ良質なサスペンスドラマ

見応えのある法廷サスペンスもの。演技派で知られる2大スターがはじめて競演した。

さて、法廷劇といえば、根強いファンが存在する定番ジャンルであるが、この『ニューオリンズ・トライアル』は、ちょいと趣向が変わっている。通常このジャンルは、法廷での弁護士と検事(もしくは敵側弁護士)の激しいバトルというのがメインのお楽しみだろう。もちろんそれはそれであるのだが、本作では一方の陣営に、陪審コンサルタントなる聞きなれない職業の人物が登場する。

アメリカの裁判は陪審制(12名)で知られるが、多数の陪審員候補者の中から、自陣営に有利な陪審員を調べるのがこの専門家の役目だそうだ。この職種自体は実際に存在するものだが、映画の中では盗聴やら盗撮、尾行などの裏工作を駆使して候補者の思想・心理等を調べ上げ、自分たちの陣営に有利な陪審員を選び出す過程が興味深く描かれる。

85点
奇抜なアイデアを見せるための映画になっていない点がよい

カンヌ映画祭を騒然とさせた話題作。何がビックリかというと、そのセット。だだっ広い体育館みたいな場所の床に、なんと白線を引いただけ。各区画には「誰々の家」などと書いてあり、椅子など最小限の家具だけが置かれている。壁や屋根は一切無い。その家に入るときは、存在しない「ドア」を俳優が演技だけで表現して開けて入って行く。

ここで3時間(177分)、9章立ての物語が展開する。考えただけで退屈しそうな気がするがさにあらず。非常にエキサイティングなドラマが繰り広げられる。見た目のほうも、カメラアングルや光の具合等でメリハリをつけ、飽きさせない。セットがシンプルな分、それ意外の部分で相当工夫を凝らしているのがわかる。

終わってから考えてみると、この舞台劇のような奇抜な演出アイデアは必然だったと感じさせる。単に奇をてらっただけであったならば、ここまでは誉めはしないが、この話のテーマのひとつ「権力のもつ怖さ」の普遍性を際立たせるという意味で、「白線だけ」のセットは大いに効果を上げている。

85点
若々しいセンスでさわやかに描いた傑作青春映画

嶽本野ばら原作、深田恭子主演、茨城県下妻を舞台にしたコメディ友情ドラマ。「サッポロ黒ラベル」のCMで、スローモーションによる卓球シーンを演出した中島哲也監督の若々しい映像感覚は、本作でも存分に発揮されている。地方を舞台にした日本映画はどうも垢抜けないイメージに仕上がることが少なくないが、『下妻物語』にはそれが全くない。このセンスの良さにまず驚かされる。

主人公は、下妻に住みながらロリータファッションをこよなく愛する女の子。常磐線で片道3時間近くかけて、代官山に通いつめるという固い信念を持つ。しかし、あまりに周りとかけ離れた趣味(と性格)のため、友達は一人もいない。しかもそれをちっとも“嫌な事”と感じていないという、孤高のティーンエイジャーだ。フカキョンの魅力がいかんなく発揮された、まさにはまり役といえる。幼い顔立ちにロリータファッションがこの上なく似合っており、非常に可愛らしい。

彼女が、ひょんな事から地元のヤンキー娘と出会い、やがて真の友情を築いていくというのが大まかなストーリー。いかにもなヤンキー(レディース??)ファッションの彼女と、ロリータな深田恭子の見た目および性格のギャップが凄まじい。若い観客にとって、二人の価値観の違いをこれほど雄弁に表す要素はなかろう。このギャップが数々の笑いを生みだし、良くできたコメディとなっている。

85点
知的障害の青年を巡る驚きの感動実話

アメリカのスポーツ専門誌に掲載されたある感動実話の映画化。知的障害の黒人青年を中心とした人々の交流を描いたハートウォーミングなドラマだ。

舞台は1976年のアメリカ。高校のアメリカンフットボール部の練習場をいつもうろついて眺めている知的障害を持った黒人青年がいた。ある日、ふとした事で部員が彼にイジメを加えてたことを知ったコーチは、当事者を厳しくしかった上で青年をチームに雑用係として迎えることにした。突然の事に戸惑いながらもやがて彼を受け入れていく部員たちだったが、人気チームである彼らの成績が下がるにつれ、街の人々からの風当たりは徐々に強まっていく。

時代はまだ70年代、知的障害を持つ黒人青年は、人々から気味悪がられていた。そんな彼をただ一人暖かく受け入れたコーチは、最初は周りの理解を得られなかったが、心やさしい娘や妻などの理解者の助けを得て、青年との交流を深めていく。やがては、町の人々すべても変わっていくのだ。健常者が障害者を助けるのではなく、一人の知的障害の青年が人々を救う物語であるところが感動的。

85点
トム・クルーズ主演映画としてはパーフェクト

人気スターのトム・クルーズが悪役を演じる犯罪アクション&サスペンス。

ロスで働くタクシードライバー(ジェイミー・フォックス)は、将来メルセデスを購入し、リムジン会社を設立するのが長年の夢。そんなある晩、一人の紳士(T・クルーズ)を乗せると、彼は破格の値段で一晩タクシーを借り切ると言う。

実はこの、トム・クルーズ演じる金持ち風の男は殺し屋で、一晩に5人を殺すという大忙しの仕事のパートナーとして、話の合うこの黒人運転手を見込んだのだ。やがて男の正体を知ったドライバーはどういう行動をとるのか? はたしてこの有能な殺し屋は仕事をまっとうできるのか。物語は予測できない方向へと転がって行く。(ちなみに後半のストーリーについて、プレス関係者には緘口令がしかれている)

85点
よくぞロマコメでここまでやった、すごすぎる

台湾の絵本の原作を、金城武主演で映画化したラブストーリー。ワーナーブラザーズ映画初の中国語作品であり、力の入った一本。

主人公のバイオリニスト(金城武)とヒロインの貧乏翻訳家(ジジ・リョン)はアパートの隣同士──だが、お互いの存在はまだ知らない。そんな二人が町で出会い、電話番号を交換したのはよいが、翌日そのメモは雨でにじんで読めなくなっていた。二人はこの出会いに運命を感じて、お互い必死に相手の居場所を探す……隣同士だとは気づかないまま。

これはすごかった。最初はもうなんてアホな話かと、天下のワーナーブラザーズも、ついにこんなくだらない映画を出してきたかと思ったが、(私の想定する)「ターンレフト ターンライト」の正しい楽しみ方を理解してからはその印象はサイコーへと変わった。平たく言えば、この映画は、まじめな恋愛映画を期待してみてはいけないのであった。とにかく笑い飛ばすこと、これがポイントだ。

85点
ファン以外が見ても楽しめる見ごたえある伝記映画

盲目の天才ミュージシャン、レイ・チャールズの一生を描いた伝記映画。

1948年アメリカ、まだバスには黒人隔離席があった時代。17歳のレイ(ジェイミー・フォックス)はシアトルでピアノの才能を認められ、小さなバンドの一員としてクラブ等で演奏をはじめた。だが、彼が盲目である事をいい事に、バンドの老練な女マネージャーらはギャラを不当に搾取するのだった。

サザン・オールスターズの「愛しのエリー」をカバーした事で日本でもおなじみのレイ・チャールズは、ゴスペルとR&Bを初めて融合させたソウルミュージックのパイオニアとして知られる音楽界の革命者だ。既存のジャンルの壁を乗り越え、彼が生み出した楽曲は世界中でヒットを記録し、もちろんこの映画の中でもたくさん使われている。

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