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70点
死亡シーンばかり集めた悪趣味オムニバス

夏にはホラーということで、確たる合理的理由はないが夏には怖い映画を見るのが風物詩となっている。そんなわけでいくつか今年も公開されているわけだが「ABC・オブ・デス」はなかなかの異色作。なにしろアルファベットの数だけ(26人)の監督が、それぞれ死にまつわる5分間の短編を持ち寄るオムニバスというのだから突っ込みどころは満載だ。

まず、5分間という制限がいい。つまらなくてもちょいと我慢していれば次に行くので、各作家が実験的なチャレンジをするための精神的ハードルはとても低い。次の打者が強力だから凡退覚悟で思い切って振りに行こう、ってな気分で挑める。実際、普段以上にぶっとんだ映像表現に挑戦している監督ばかりで、その結果、5分に数回は見せ場を楽しめるテンポのいいオムニバスになっている。

テーマが「死」というのも、誰にでも共感できるもので正解だ。この映画に作品を持ち寄った監督は、アメリカ、フランス、日本といった映画大国をはじめ、イギリス、インドネシア、カナダ、セルビア、ベルギー、タイ、デンマーク、メキシコ、ノルウェー、オーストラリアと百花繚乱。だが、テーマがテーマなので理解しにくいものは少なく、直感的に感じ取れるものばかり。台詞がない作品もあるが、真意はちゃんと伝わる。

70点
リア充安心の新鮮なゾンビ映画

ゾンビ映画というのは「オタクの、オタクによるオタクのための」ジャンルというべきものだが、超A級スター=ブラッドピット主演のゾンビ映画大作「ワールド・ウォーZ」は、きわめて珍しいアンチオタクな作りになっている。

元国連捜査官のジェリー(ブラッド・ピット)は、人間をゾンビ化するウィルス感染者に目の前で遭遇する。その後彼は、世界的規模で拡大するウィルス汚染の対策を、伝染病防疫に関する専門的技能に期待され命じられる。人類を、そして何より愛する家族を守るため、米軍の庇護を受け各国を回るジェリーだが……。

血しぶきの量や飛び方、肉片を喰らうエグさを熱く語る映画オタクは蚊帳の外。今夏一番大勢の人間が死ぬ映画だというのに、その手の残虐シーンはオールカット。ファミリーで安心してみられる、家族愛の物語になっている。

70点
母は息子のために、息子は母のために

アメリカ製日本風ロボット映画「パシフィック・リム」が話題だが、「オーガストウォーズ」はそのロシア版……というふれこみではあるのだが、これはむしろロシア版「ライフ・イズ・ビューティフル」(97年、伊)。感動的な、そしてまじめな戦争映画である。

08年8月。5歳の少年チョーマ(アルチョム・ファディエフ)は別居中の父親がいる南オセチアに向かった。ところが突然グルジア軍が進攻、再開の地は最前線となってしまう。それをニュースで知った母親(スヴェトラーナ・イワノーワ)は、無謀にも徒手空拳で現地へと向かう。

ロシア映画としては真新しいVFXによるロボットアクションがまずは目を引く。これらは物語のキーとなる幼い息子、ロボット好きのチョーマが目前の過酷すぎる戦争=現実を脳内でファンタジーに変換した映像である。敵軍は凶悪なロボット、それに対抗する正義のヒーローは……。

70点
オンナノコのスポ根映画

スポ根映画の雛形で女の子の自己実現物語を描く「タイピスト!」は、いますぐ元気になりたい女の子にぴったりな、おしゃれでレトロなエンターテイメントである。

1950年代のフランス。人気職業の秘書になりたい田舎娘のローズ(デボラ・フランソワ)は、必死のアピールで保険会社に就職するが、わずか1週間で経営者のルイ(ロマン・デュリス)に首を言い渡される。しかし彼女唯一の才能である早打ちタイプの選手権で優勝すれば話は別、と持ちかけられる。

世間知らずで怖いもの知らずの純朴田舎娘が、かっこいい上司に才能を見いだされ、住み込み特訓を受けてタイピング大会に挑む。なんとまあ都合のいい職場があったものだと思わせるお気楽設定である。

70点
つかず離れず大阪の魅力を描く

いまの日本のメジャー映画は驚くほど低調な作品がごろごろしているため、質的な面での比較に限定するならば、低予算のインディーズ作品でも下剋上を起こすチャンスは非常に高い。潤沢な資金力により他を圧する米国ではなかなかそうもいかず、ウォッチする側からすると面白い部分でもある。

定年退職を機に、パチンコと公民館くらいしか娯楽のない大分の田舎町から大阪へやってきた天本(平田満)。ここで大学に通っている娘ユキ(咲世子)を訪ねてきたのだが、実はもう何年も会っていない。不案内な土地で戸惑っていると通りすがりの親切な女の子あかね(真凛)が助けてくれた。彼女はユキとの待ち合わせ時刻までの間、大阪のディープな裏側を案内してくれたが、天本が再会したユキを見て、なぜか表情を曇らすのだった。

「ソウル・フラワー・トレイン」は、ロビン西の原作コミックに惚れ込んだ西尾孔志監督が、原作者との綿密なやり取りを経てアレンジした脚本をもとに実写化した人情ドラマ。西尾監督の、事実上の商業映画デビューとなる作品ながら、上映を見た人々から高く評価されている話題作である。

70点
変更多いが違和感はさほどなし

東映アニメーションとしては史上最大の製作費をつぎ込んだ「キャプテンハーロック」は、第三者から見ると大きな賭けであった。米国ではともかく2D全盛の日本では受けがいいとは言えない3DCGアニメ、それも実写志向である点、あまりにも有名すぎる原作である(つまり熱烈なファンが多い)点、知名度重視の有名人キャスティングと、地雷要素が多数見受けられたからである。

遠い未来、広大な宇宙を開拓した人類はやがて地球への帰還を望むようになった。そんなエゴがカムホーム戦争とよばれる争いを引き起こすが、地球を聖地として立ち入り規制することで決着した。それから100年、地球統治機構が不倶戴天の敵と認める宇宙海賊アルカディア号の艦長ハーロック(小栗旬)が新規乗組員を募集しているのを見て、彼らは暗殺者を送り込む。

さて、このリスキーな企画は初登場2位(1位は「風立ちぬ」)という大健闘によって関係者をまずはホッとさせた。

70点
役に立つお勉強ドキュメンタリー

飢餓問題を語るとき、ちょいと詳しくなるとこんな事をいうようになる。「世界の食糧生産はもう十分人類全員をまかなえるだけある。つまり飢餓問題は食料の量ではなく配分の問題だ、食料が足りないのではなく、買えない貧困こそが問題なのだ」と。

たしかに一理あるのだが、その認識は不十分である。

「もったいない!」は、その段階でとどまっているレベルの観客に驚きと新事実を与え、さらなる高見につれていってくれる良質なドキュメンタリーである。

70点
才能は引き継がれる

作品数が多く、穏やかなパステル調の色合いから、誰より日本人が好む画家といわれるルノワール。「ルノワール 陽だまりの裸婦」はその晩年を描いた伝記映画だが、彼のミューズというべき再重要な女性を、きわめて斬新な形で描いた佳作である。

巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール(ミシェル・ブーケ)の、古木に囲まれた住居地レ・コレットにモデル志望の美少女デデ(クリスタ・テレ)がやってくる。持病のリウマチに悩まされていたルノワールだったが、彼女の才能を見込んだ彼は、さっそく雇い入れることにする。

ルノワール伝記をドラマとして描くとしたら、こうするほかないという構成である。すなわちそれは、

70点
意欲は感じるが、これでは平凡な若者に届かない

北野映画の中でも一般人気の高い『キッズ・リターン』公開から17年。日本社会の空気はさらに重くなり、若者の活力もなくなっているように見える。

そんな現状に危機感を抱き、なんとか励ましたいとの思いから、そのプロデューサーと本作の清水浩監督は「キッズ・リターン」をもう一度世に出すことを決めた。

設定はあの二人の10年後。続編とはあえてうたっていないが「キッズ・リターン」の鑑賞は必須、DVD等で予習してから出かけたい。

70点
ドラえもんもびっくり

ニコニコ動画で5万回再生された予告編が大人気の「武器人間」は、大山のぶ代ナレーションによる予告編の爆笑ぶりとは裏腹に、ガチの怖さが魅力のカルトムービーである。

1945年、大戦末期の東部戦線。ソ連のある偵察部隊は、敷地内に死体の山がある怪しげな修道院に目を付ける。さっそく中に入ってみるがそれが彼らの運のつき。ここはナチスで異常な研究をしていた博士(カレル・ローデン)が、武器人間を実用化すべく研究していた秘密の施設だったのだ。

屈強なソ連兵vs.武器人間。恐怖の館からの脱出を図るサバイバルアクションホラー。ソ連軍が記録したフィルムという体裁をとっている、いわゆるモキュメンタリーでありPOV映画(主観映像)でもある。相当あくの強い一本といえるだろう。

70点
リーダー育成映画

「エンダーのゲーム」はオースン・スコット・カードによるSF小説を映画化したアクション作品。派手な宇宙戦の見せ場がある大作だが、ファンの間では日本の「新世紀エヴァンゲリオン」以降のセカイ系なるサブカル作品群に大きな影響を与えたことで知られている。設定も、3人目の子供(サード)が天才児育成施設に集められ、強大な侵略者と戦う精鋭として鍛えられるというものであり、なるほどなあと感じる人も多いだろう。

近未来の地球。かつてフォーミックといわれる異星生命体の襲撃により大打撃を受けた人類は、次なる襲撃に備えていた。世界中から天才児を集めて、究極のエリート士官教育を施すバトルスクールはその中核であった。訓練長官のグラッフ大佐(ハリソン・フォード)は、ウィッギン家の3男エンダー(エイサ・バターフィールド)のデータを見て並々ならぬ可能性を感じ引き抜くが、エンダーは彼の期待と予測を超えた方向へと成長していくのだった。

海兵隊も参考図書にするとまで言われるバトルスクールの描写が面白い。軍隊組織における規律と鍛え方。リーダーはどう育てればいいのか、どういう資質が必要なのか。子供が主人公で、徐々に叩き込まれる展開によって、そういったものが非常にわかりやすく描かれている。エンダーの変化は手に取るようにわかるし、テンポが速いので見やすい。

70点
アメリカでは実際にこういう世界がある

想像を絶する被害を出した福島第一原発事故の後、世間ではいずれ東電に自爆テロを起こす被害者がでてくるのではないかと言われた。幸い、セシウムガレキを内幸町にぶちまける奴はまだ出ていないようだが、別の会社で待遇の不満から農薬を自社の冷凍食品にぶちこむ者は現れた。

企業もあまり労働者や国民をなめていると、とんでもない攻撃を受けることがある。世界一怒りがさめやすく、耐え難きを耐える日本人でさえ、そうである。

そんな現在、「ザ・イースト」は日本人にこそ響く内容の異色作といえる。

70点
勝ち負けではない重要なこと

男同士の戦いというのは、単純なようで奥が深い。出世競争で上に行った者が勝ちなのか。愛する女を奪い取った方が勝ちなのか。普通にみればそうかもしれないが、実際は違う。人生は複雑な重層構造であり、収入やら出世などといったものさし一つでは測定できない。その奥深さが、年齢を重ねていくとやがてわかるところがおもしろさだ。

ジェームズ・ハントとニキ・ラウダ。ドラマチックなライバル関係を迫力のレースシーンで描いた「ラッシュ/プライドと友情」をみると、そのことがよくわかる。

女好きの派手好きで、アグレッシブな走りを見せるレーサーのジェームス・ハント(クリス・ヘムズワース)は、F3大会で運命のライバル、ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)と出会う。冷静で合理主義者のニキとは正反対の性格だったが、実力が拮抗する彼らはF1の世界に入ってからもしのぎを削っていた。やがて1976年、単なる好敵手以上の確執を抱えた二人の激しい首位争いは、終盤に予想もせぬ展開を見せる。

70点
弱者の一撃

最近は親切な金持ちが多いようで、私がネット上に公開しているメールアドレスあてに、毎日のように「お金を振り込みますので口座を教えてくれと」のメッセージを寄越してくる。きっとなんとかミクスのおかげで株長者にでもなった方からだと思うが、タダで5400万もいただくのはさすがに申し訳ないので返信したことはない。

モンタナ州の片田舎で暮らす老人ウディ(ブルース・ダーン)は、100万ドル当選の詐欺ダイレクトメールを信じ家を出る。家族らがそのたびに慌てて止めるのだが、何度引き戻しても頑としてウディはいうことを聞かない。やがて息子のデイビッド(ウィル・フォーテ)は、父親の気が済むまでつきあってやろうと、遠きネブラスカまでの旅に同行するのだが……。

若い頃からインチキなものを見通す本能的眼力を持つ私は、なんとかミクスも母さん助けて詐欺も、つゆほども信じることはない。

70点
作品賞受賞は当然

昨年の「リンカーン」(スティーヴン・スピルバーグ監督)、「ジャンゴ 繋がれざる者」(クエンティン・タランティーノ監督)を例に挙げるまでもなく、アカデミー賞では奴隷制度の時代を舞台にした映画が根強い人気を持つ。だが、それはあくまでノミネートまでで、オスカーの歴史を調べてみると、実際に受賞した「黒人差別」「奴隷制度」映画はほとんどない。だから「それでも夜は明ける」も当然ノミネートだけだろうと事前に予測していたが、鑑賞後にその思いは一変させられた。今年の作品賞(ただし主演賞と監督賞は逃す)はこれで決まりだと確信した。

ニューヨークで音楽家として成功し、妻子と幸せに暮らす黒人のソロモン(キウェテル・イジョフォー)。ところが興行中、彼は拉致され南部に奴隷として売られてしまう。

あちこちで言われているように、主演キウェテル・イジョフォーの演技はすばらしい。「ダラス・バイヤーズクラブ」の二人には及ばないものの、突然日常から引き離されながら希望を捨てない不屈の主人公の気持ちをよく表現していた。

70点
盾で戦う愛国者

同じアメコミ映画でもDCコミック発「ダークナイト」シリーズあたりと比べると、マーベル・シネマティック・ユニバースの諸映画作品は、隠れた社会派テーマのようなものが薄く、大人の観客としては少々物足りない。しかもキャプテン・アメリカは、マッチョスターのハルクやちょいワルオヤジのアイアンマンに比べ、いまいち個性が薄い。文字通り戦中派の愛国者、との設定を生かして、古き良き時代の男ならではの現代批判を織り交ぜていけばおもしろくなりそうのだが、あまりそういう方向性は見られない。

アベンジャーズ結成とその後の死闘から2年がたった。ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)率いるS.H.I.E.L.D.で働くキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)とブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)だが、スティーブはいまだ現代での生活やS.H.I.E.L.D.の活動になじめない。まして彼らが言う、全人類を監視して犯罪を未然に防ぐ大プロジェクトに対しては、反発すら覚えるのだった。そんな彼の不安はやがて的中し……。

裏テーマに頭をひねる必要がないぶん、豪華なキャストと少年少女向けヒーロー映画の王道を味わえる第二弾。出てくるヒーローは上記3人体制で、いずれもハイテンポなアクションを楽しませてくれる。

70点
3作目も確実にあるだろう

興収60億円近くを記録した愛国お風呂ムービー「テルマエ・ロマエ」。保守的な思想がネットから一般にまで広がり、韓流ブームさえ押し流してしまった現在。日本アゲのああした映画が受けるのは必然である。

「永遠の0」の大ヒットももちろんその流行に乗っているからだが、さすが東宝はマーケットを読む能力が高い。と同時に、10年近く当サイト他で同じ提案をし続けてきた私としても、やっとそういう映画が連発される時代が来たかとしみじみと思う次第である。

真面目すぎる浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、ハドリアヌス皇帝(市村正親)からコロシアムで戦うグラディエイターたちを癒すテルマエを設計してくれと頼まれる。陰惨な殺し合いゲームを嫌うルシウスは、例によってまったくアイデアが思い浮かばなかったが、すると久々に現代日本へとタイムスリップしてしまう。

70点
低予算ながらサービス精神にあふれる

この時期は大作映画や話題作が目白押しだが、そんな中、お客さんをなるべく喜ばせたい精神の固まりというべき「戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版」のような低予算娯楽映画を見ると、なぜかほっとする。小規模な飲食店で、店主の気持ちが伝わる料理を食べたような、そんな心地よさである。

オカルト現象を追いかけているディレクターの工藤(大迫茂生)は、アシスタントの市川(久保山智夏)、カメラマン田代(白石晃士)、元グラドルのあかり(小明)らとともに、今回タタリ村を取材する。ここは、立ち入っただけで気が狂うといわれるいわくつきの場所で、実際彼らに投稿されてきた映像には、正気を失う女性の恐るべき姿が映っていたのだった。

出演もしている白石晃士監督は、「ノロイ」(2005)をはじめとするモキュメンタリーを得意としており、ビデオ作品「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズは固定ファンもついた代表作。今回の映画版には、シリーズを見てきた人も驚く展開が用意されており、勝負をかけているなと感じさせる。

70点
軽快なお仕事ムービー

実はこれ、製作のかなり初期から私のところに映画化の詳しい情報は入ってきていたのだが、恥ずかしながら電話で何度タイトルを聞いても、原作を未読だった私にはまったく聞き取れなかった。いまでも「かむさりなあなあにちじょう」なんてタイトルは原作を知らない人への訴求力という点で、どうにかならなかったのかと思うものの、なかなかどうして中身はいいのでどうか少しだけ興味を持ってほしい。

高卒後の進路が決まらない勇気(染谷将太)は、パンフレットの表紙美女(長澤まさみ)に惹かれ、何の予備知識もないまま1年間の林業研修プログラムに参加することにした。だが現地は想像をはるかにこえる僻地であり、おまけに待ち受けていたのは美女ではなくまるで野生動物のように野蛮でこわもての先輩ヨキ(伊藤英明)であった。

矢口史靖監督には「ハッピーフライト」(08年)という傑作があるが、その経験が本作にはきっと役にたったろう。なにしろ三浦しをんのベストセラー原作『神去なあなあ日常』の魅力は、林業という、とくに都市生活者にとってはまったくなじみのない職業を、ディテール豊かに、魅力たっぷりに描いたものだから。「ハッピーフライト」で、誰よりも上手にお仕事ムービーを撮る実力をみせつけた矢口監督以上に、あの難しい原作を映画化できる人はいないと、誰でも思うはずだ。

70点
伊坂ミステリをうまく映像化

伊坂幸太郎のミステリは、映画の原作としては大人気で、これまでも「ゴールデンスランバー」(2009)、「アヒルと鴨のコインロッカー」(2006)など9本が映画化されている。だが、個人的にはこの作家の世界観は、実写映画とは相性がよくないではと考えている。

高校生の由紀夫(岡田将生)は、母親が妊娠したころ4股していたせいで、いまだに4人の自称"父親"と家族として同居している。6人は今では仲が良く、とくに父親たちの由紀夫への愛情は強固だった。そんな折、由紀夫が誘拐される事件が起こり、4人の父親は団結して息子を探す戦いを始める。

伊坂幸太郎の世界観をそのまま実写にすると、現実感のない突飛さが悪目立ちして興ざめすることが少なくない。愛読者は気づきにくいが、映画だけ見ているといったいこれの何が面白いのかさっぱり、と

70点
つながっていない人たち

多機能なスマートフォン普及に伴う利用者の低年齢化およびリテラシー不足が、様々な社会問題の下敷きとなってきている。たとえば盗撮やリベンジポルノ問題、ときには保釈中に河原に埋めるといった問題を起こす者もいる。

一般ユーザーの知識や教養が追いつかぬ速度で普及するIT機器やインフラにおいては、これまでもそうした問題が現れては消え、の連続であった。出会い系サイトやSNS、ツイッター。誰でも使えるそれら電脳ツールの副作用は、当然ながら世界中の映画監督の興味を引きつける。「ディス/コネクト」も、そんな映画人によって作られた、きわめて現代的な作品である。

SNSを唯一のよりどころとしていた寂しい少年ベン(ジョナ・ボボ)は、同級生の悪質ななりすましにひっかかり、破廉恥写真を相手に送ってしまう。多忙な弁護士の父親(ジェイソン・ベイトマン)はそんな息子の絶望的な状況に気づきもしない。一方、加害者少年の父親(マイク・ディクソン)も、息子とのコミュニケーションが一方的になっていることに気づいていないのだった。

70点
捨てる神有ればひろう神あり

「ブラックホーク・ダウン」(01年)という戦争映画がある。ひたすら戦闘シーンが続く戦場疑似体験映画だが、松浦美奈による直訳系の日本語版字幕が軍事マニアにも大好評で、戦争映画のエポックメーキングと称されている。

「ローン・サバイバー」もその流れを汲む"戦闘"映画で、字幕翻訳も同じく彼女が担当。軍事系の映画の字幕が彼女だと安心感すら感じるわけだが、肝心の中身の出来の良さも、かの傑作を彷彿とさせる。

2005年6月、米海軍特殊部隊ネイビーシールズは、レッドウィング作戦を遂行しようとしていた。これはアフガニスタンの山岳部に彼らが少人数で降下、潜入し、タリバン幹部を補足するというものだった。ところがわずかなミスから、彼らは数百名の武装集団に取り囲まれてしまう。

70点
万人向けへの道を進むのか

出演者たちの常軌を逸した体当たりネタを楽しむジャッカスシリーズ劇場版も、はや4作目。この手のネタは、回を重ねるごとに再現無く過激になってしまうのがありがちだが、スピンオフである「ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中」は方向性を変更して成功した。

86歳のアーヴィング(ジョニー・ノックスヴィル)は、無責任な娘が押し付けてきた8歳の孫ビリー(ジャクソン・ニコル)の面倒を見ることになった。とりあえず離れた父親の元へと押し付け、いや戻そうと考えた彼は、二人で大陸横断の旅に出るが……。

R-18レーティングが常だった映画版ジャッカスだが、R15+だった前作(3D版)から今回PG12へとさらに下げてきた。PG12というのは、小学生以下要注意ということで、保護者の判断によっては見られるという意味だ。家族そろってジャッカス鑑賞とは、恐ろしい時代がきたものである。

70点
役者と監督がかみ合った

「MONSTERZ モンスターズ」は、優れた監督と優れた役者の能力がかみ合い、うまくいった娯楽作である。

目視した相手を自在に操れる特殊能力を持つ男(藤原竜也)がいた。圧倒的な力ゆえに孤独だった男は、しかしあるとき自分の力が全く通じない田中終一(山田孝之)という男と遭遇する。自らの世界に紛れ込んだ"不純物"に動揺した男は、不用意に田中に近づき、取り返しのつかぬ事件を起こしてしまう。

「MONSTERZ モンスターズ」は最強の能力者と、それがただ一人通じない男の戦いを描いたシンプルなアクションドラマである。

70点
これを理解できるのは、案外日本人かもしれない

聖書原理主義者がイスから転げ落ちるほど仰天し、イスラム諸国では上映中止にまでなった「ノア 約束の舟」は、なるほど、ただの聖書映画では全くなかった。

神からのお告げを、神が人類をほろぼす予兆と解釈した預言者ノア(ラッセル・クロウ)。彼は祖父(アンソニー・ホプキンス)や堕天使の力を借りて、一家総出で洪水対策の巨大な箱舟建設に乗り出す。だがそれを見たカイン(レイ・ウィンストン)は、手下とともに箱舟を奪取して自分たちこそが生き延びようとはかっていた……。

「ブラック・スワン」(2010)や「レクイエム・フォー・ドリーム」(2000)のダーレン・アロノフスキー監督作品だから、もとより単なる宗教映画やノー天気パニック超大作になるわけはない。

70点
中高年が楽しめるいい映画

笹本稜平による原作と同じではあるのだが、この題名は秀逸である。見終わってから真の意味が分かるあたりは優れたミステリのそれをほうふつとさせるが、それが感動につながる点が実に映画的である。

父(小林薫)の急死を受けて山小屋を継ぐことに決めた息子の亨(松山ケンイチ)。だが、都会で金融マンをしていた彼にとって、山小屋の経営は簡単なものではなかった。だが、父の親友ゴロさん(豊川悦司)や従業員の愛(蒼井優)の助けで、徐々に独り立ちしてゆく。期間は短いが、長くドラマに満ちた山小屋の一年が、今始まった。

この映画が、山登りと人生を重ね合わせているのは明らかだ。

70点
OSと恋をする男の物語

「her/世界でひとつの彼女」で描かれる近未来社会の様子を見ると、町を歩く誰もが音声入力でスマホに話しかけている。その独り言社会は不気味にすら感じられる。だがよく考えてみたら、現在の東京メトロの車内と、それほどの差はないかもしれない。そんなことに気づくと、いささかの戸惑いと不思議な感覚を感じる。

近未来のロサンゼルス。セオドア(ホアキン・フェニックス)は、ロマンチックな文面を得意とする電子メール代筆業者のライター。彼はあるとき新型OS=基本ソフトを購入、インストールする。サマンサ(声:スカーレット・ヨハンソン)と名乗るそのOSは、高度な人工知能であり、やがて彼らはコンピュータと人間の枠を超え、かけがえのない話し相手となっていく。

iPhoneの音声入力システムSiriにエロ会話を持ちかけて、サディスティックに叱られてばかりの私からすると、この映画の設定は大変興味深い。サマンサとのネーミングもたぶんにMACファンを意識したもので、中でもiPhoneユーザーは「現在の延長線上にある世界」だと、受け入れやすい世界観だろう。

70点
佐々木希の存在感は佐伯母子以上

映画デビュー時からまれにみる逸材だと高く評価してきた佐々木希だが、悲しいかな女優の真価をみぬく目のない者たちにより、不当なまでの低評価を受けてきた。だが「呪怨 -終わりの始まり-」における彼女の的確かつ独自性あふれる演技は、彼らの見る目のなさを証明することになるだろう。

小学校教師の結衣(佐々木希)は、不登校の佐伯俊雄の自宅を訪ねるが、結局俊雄には会えなかった。明らかに異常性を感じた彼女は真相を知ろうとするが、それと同時に彼女の周囲にも奇妙な変化が表れ始める。はたして彼女は佐伯家の呪いとその真実に迫ることができるのだろうか。

清水崇監督の代表作を、これまたホラーの名手、落合正幸監督が引き継いだ呪怨シリーズ最新作。今回は、例の呪われた家にまつわる秘密に、あらたな奥行きが与えられることになる。

70点
韓国男性の理想

韓国の男性はマザコンが多いのか気の強いヒロインが出てくるコメディの人気が高い。見た目は若くて美人だが、主人公をしかる姿はオモニそのもの。男性は等しく母親的要素を妻に求めるなどというが、かの国のラブコメは、とりわけその集大成的妄想作劇が多いように思われる。

70歳のおばあさんマルスン(ナ・ムニ)は、今日も職場のカフェで知り合いと大喧嘩を繰り広げるほど血の気が多く、健康な日々を過ごしていた。ところが家族がそんな自分に手を焼き、施設に入れようとしていることを知ってしまう。いささか落ち込みつつ、偶然とおりすがった写真館に入った彼女は、その奇妙な店主のいうとおり写真をとってもらう。すると、彼女に信じられない変化が起こるのだった。

「怪しい彼女」も邦題のインスパイヤー元である「猟奇的な彼女」(01年)などと同様、そうした一本だが、ここにでてくるヒロインは文字通りマザー=肉親である。なにしろ主人公は70歳からいきなり見た目だけ20歳に戻ってしまう女性。彼女が70歳時代と同じ異様なハイテンションのまま、周りの男たちをマシンガン叱責する。そんなコメディである。

70点
不穏な二度見系サスペンス

この世には3人自分とそっくりな人がいる、なんて都市伝説がある。くだらない迷信とは思いつつも、トム・クルーズやオーランド・ブルームと鏡を見比べていると、たしかにそれは正しいかもしれないと思わされる。

大学で歴史の講師をするアダム(ジェイク・ギレンホール)は恋人メアリー(メラニー・ロラン)といても満たされぬ日々を送っていたが、あるとき見たDVD映画の中に自分とそっくりな男を発見する。手を尽くしてその男アンソニー(ジェイク・ギレンホール 二役)とアポイントを取ったアダムだが、二人の邂逅は思いもよらぬ運命を彼らにもたらすのだった。

「複製された男」は、偶然自分とそっくりな男に出会ってしまった男の悲劇である。

70点
どこか愛おしい京ムービー

なかなかの出来であった「るろうに剣心 伝説の最期編」を見た直後、シネコンの隣のドアから主題歌が漏れ流れてきたのを聞いて、「ああ、あのラストシークエンスだな、また見たいなあ」と思わず感じたのが「舞妓はレディ」である。「それでもボクはやってない」(2007)など、邦画界で異彩を放ち続ける高打率監督周防正行の最新作だ(ちなみに音楽はすべて従兄弟の周防義和)。

舞台は現代の京都の歴史ある街、下八軒。花街とはいうものの、いまや舞妓は百春(田畑智子)ひとり。三十路のくせに舞妓などと揶揄される始末だったが、そこに突然、春子という少女(上白石萌音)が舞妓志願でやってくる。女将の千春(富司純子)はどこの誰ともわからぬ娘を引き取るわけにはいかぬと断るが、それ以前に春子にはひどいなまりがあった。だが、春子の熱意を見抜いた方言のスペシャリストで大学講師の京野(長谷川博己)は、自分が京都弁へ矯正すると名乗り出る。

800人のオーディションを勝ち抜いた上白石萌音の魅力が炸裂する、気持ちのいいミュージカル作品である。

75点
多数のキャラ全員に活躍の場があり大興奮

アメコミの雄、マーヴェルは、先日『デアデビル』を映画化したばかりだが、どう考えても本命はこちらなので、さすがに力の入れようが違う。

前作の大ヒットをきっかけに、各俳優がブレイクした事もあり、PART2の本作は相当豪華な顔ぶれになっている。中でもオスカー女優のハル・ベリーが、脇役ながらも大きな存在感を示す。真面目なお姉さん先生役がぴったりで、とても可愛らしい。

ほかの奴らも、それぞれとってもカッコ良くて、見せ場が用意されているから、各キャラ別のファンもみな満足できるようになっている。

75点
絶対あり得ないようなハッピー物語を好きな人に勧めたい

ジェニファー・ロペスという、歌手としても人気のある褐色の美人と、レイフ・ファインズという、『レッド・ドラゴン』でサイコな役を演じたとは思えないほど優しい顔をした男が主演の、ロマンティック・コメディ。

これは、ロマコメのなかでも、玉の輿系に属する映画だ。つまり、『プリティ・ウーマン』や『ノッティングヒルの恋人』といったあたりで、ウットリする婦女子を対象に作られた映画である。

……というような事を知り合いの女性(33)に話した所、「あんなもんを好きな女なんているか」と一蹴された。がっくし。

75点
アクションより、キャメロンのダンスがすごい

70年代のテレビシリーズをもとに映画化したアクション映画のPART2。製作側にしてみると、前作も大ヒットしたので、テレビシリーズのファンを含めて、相当幅広い年代を劇場に呼べるという、大ヒット確実な安全パイの典型である。

のっけから最後まで、恐るべきハイテンションを持続する映画である。副題のフルスロットルというのは、まさに本作にふさわしい。

本作の見所は、ただ一点、キャメロン・ディアスに尽きる。前作もそうだったが、本作はさらに壊れっぷりがエスカレートしており、もはや芸術品の域に達している。

75点
他者と上手に付き合えない不器用な男の恋と友情を、せつなく描く物語

ペドロ・アルモドバル監督の人間ドラマ。アカデミー脚本賞を受賞したスペイン映画である。

脚本賞を取っただけあって、ストーリーが抜群である。常に先が気になるので、時間がすぐに過ぎる。このテンポのよさには、監督のセンスを感じる。ラストのオチが少々弱いかな、とは感じるが、途中はとても面白い。

人間描写がしっかりしているので、キャラクターに感情移入しやすく、観客を引きこんでくれる。特に、主人公の看護士の性格設定がリアルでいい。ああいうオタク青年は、いかにも現実にいそうだと観客は感じるだろう。

75点
これは、まごうかたなき”ターミネーター”だ

あの『T2』から12年を経て帰ってきた、ファン待望の続編。言わずと知れた、SFアクション超大作である。

ジェームズ・キャメロンからジョナサン・モストウ(『ブレーキ・ダウン』『U-571』)に監督が変更、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトンが降板、そしてその息子のジョン・コナー役のエドワード・ファーロングも諸般の事情にて降板したため、シリーズとしてのつながりが感じられるかどうかが、ファン最大の関心事といえよう。

そして私が今回、この最新作を鑑賞して感じたのは、これは、まごうかたなき『ターミネーター』だ、という事だった。未来、運命というテーマを、時間を超えたドラマとしてドラマティックに描くこのシリーズ。前2作に共通する独特の雰囲気が、画面の端々に感じられたのである。

75点
笑いとアクションの高度な融合

『ミスター・ビーン』でおなじみのイギリスのコメディアン、ローワン・アトキンソン主演のコメディ映画。

『ミスター・ビーン』シリーズのように、ローワンのギャグを見せるだけの映画にはなっていない。まっとうなストーリーを持つ、スパイアクションとして成立しているので、「あの手のコメディを映画館にわざわざ見に行く気にはならない」という方にもオススメできる。

たとえばアクションシーン、これが本格的である。プライベートでもアストンマーチンのオーナーであるローワンが、自ら演じたというカーチェイスシーンなど、なかなかのものだ。霊柩車と大型バイクのトライアンフ、そしてこの美しいスポーツカー、アストンマーチンによるアクションは、こちらを驚かせるアイデアが豊富だから、きっと大満足できるはずだ。

75点
アクが強い上、少々狙い過ぎの感はあれど、さすがに力の入った出来映えだ

主に日本を舞台にしたアクション映画。熱狂的なファンを持つ、クエンティン・タランティーノ監督の6年ぶりの新作として期待されている作品だ。

こ の監督もだいぶ実績を作ったというわけか、今回の新作では、個人的な趣味性を前面に出して、相当好き放題をやっている。映画オタクとして知られる彼だが、『キル・ビル』には、彼の愛する過去の映画作品(カンフー映画やヤクザ映画、マカロニウェスタンその他)の要素が、ところどころに引用されている。仮にも現実の世界を描いていた今までの作品と違い、『キル・ビル』は、完全にタランティーノ世界観による、彼の脳内ワールドの映画化といえる。

ただし、彼がそのへんの映画オタクと一線を画しているのは、オタク以外の観客にも配慮した映画作りをしているという点である。ひらたくいえば、『キル・ビル』は、過去作品の引用など一切気にせずにみても充分に楽しめるのである。

75点
最後の1分まで気が抜けない抜群の面白さ

仰天な結末が話題の、ミステリドラマ。

あなたがミステリファンならば、『アイデンティティー』は最高の映画だ。この映画は、ロジカルに推理を進めながら見ている観客が、最後に鮮やかに騙されて、完全敗北を味わう快感を得られる映画である。(騙される快感こそ、ミステリファンがもっとも期待する要素でしょう?)

かくいう私も、画面の端々の怪しげなヒントを見逃さず、論理的に推理しながら、結末を先に言い当ててやろうと気合を入れて鑑賞したくちである。そして後日このサイトで、「ミステリのクセに結末がバレバレだぜ」と得意満面で報告してやろうというわけである。その勇姿を想像して、一人ワクワクしていた。

75点
フェミニズム先進国が描く、家庭の大切さ

エディ・マーフィ主演のホーム・コメディ。リストラされたエディが保育園を開園して、個性豊かな子供たちに翻弄されるお話である。家族向けに作られた心温まるコメディドラマで、エディ・マーフィはお得意のマシンガン・トークを封印し、真面目にドラマを演じている。日本語吹き替え版も同時に公開されるので、子供連れの皆さんも安心だ。

『チャーリーと14人のキッズ』には、一般的な家族連れの観客がコメディに求めるすべてがそろっているといって良い。健全で毒のない笑い、分かりやすい演出とストーリーとテーマ、そしてラストに気持ち良く流せる感動の涙、である。当然米国では大ヒット。すでにパート2の製作も決定している。

こうしたアメリカ映画を見ていつも思うことは、子役たちがとても溌剌として素晴らしい演技をしているということである。なんでもあちらでは、撮影の合間には、子役たちのために遊ぶ時間を設けてリラックスさせるそうだ。14人のキッズの中には、『アイアムサム』や今週公開の『コール』に出演している、現在ハリウッド最強の美少女子役ダコタ・ファニングの妹が出演しているので、ファンの方は探してみよう。まあ、一人だけ図抜けた美少女がいるので、すぐ分かるだろう。

75点
男たちの熱いドラマが見所の海洋スペクタクル

世界的なベストセラーが原作の海洋冒険歴史大作。帆船時代の海戦や船内生活を、ディテールにこだわった本格的な映像で見せてくれる。

ストーリーは、圧倒的に有利な装備を持つ敵アケロン号を拿捕する任務を預かったサプライズ号クルーが、常勝不敗のカリスマ艦長のもと、一致団結して戦うという展開。荒くれたベテランクルーに混じって士官候補生の10代前半の少年たちも乗り込むが、海の上では大人と同じ仕事を堂々とこなす。彼らは、見た目の幼さとは裏腹に、腹の据わった一人前の軍人だ。

ほとんどがこの帆船内で繰り広げられるドラマであり、そこに女性の登場人物は一人も出てこない。今どきは珍しい、男たちの骨太なドラマだ。厚い信頼と友情が、そこには描かれている。

75点
見ごたえあるアクションスリラー

近未来を舞台にしながら、ミステリ的な謎解きをメインに据えたSFアクション映画。SFというとちょいとマニアックというか、一部のファン向けのイメージがあるが、『ペイチェック』はむしろスリラー&アクション映画としての印象が強く、一般のお客さんにもお奨めできる作品だ。

退屈な部分はなく、先が気になるストーリー展開は息をつかせない。せっかちな人に向く映画だ。特に、クライマックス以下の二転三転する展開は満足度が高い。キャストやスタッフをみる限り、お話の「中身」でうならせる映画だとは想像もしていなかったので、なんだか得をした気分だ。

たくさんのアイテムは、先の展開をいろいろと想像させる楽しみがあるし、それらを使っていく過程には伏線も多数ばらまかれている。数段構えのラストでそれらが一気につながるのを見ると、まさに拍手喝采したくなる気分。

75点
ヌードにばかり気をとられていると騙される

フランス、プロヴァンス地方を舞台にしたミステリ作品。この監督お気に入りの女優さんを主演に立てた、ちょっとセクシーな要素もある大人向けのドラマだ。

つい先日公開された『ピーターパン』の妖精ティンカーベル役が記憶に新しい主演のリュディヴィーヌ・サニエは、今回その印象をがらりと変えて、自由奔放なセックス感をもつフランス娘を熱演。惜しげなくそのグラマラスな裸体をさらしている。欧米の女優さんには珍しい(?)、ナチュラル巨乳がお見事。

だが、これらの激しい(修正つきの)ヌードシーンに翻弄されていると、監督が仕掛けた壮大なトリックにころっと引っかかるだろう。大胆なプロットには、ミステリに慣れた観客でも驚かされるはず。だまされる快感を十分に味わえるよくできた脚本だ。

75点
熟女たちの挑戦がさわやかで若々しい

婦人会の熟女たちが、チャリティーのためヌードカレンダーを企画したというイギリスの実話を映画化した、笑えて泣けるコメディドラマ。1999年に実際に発売されたこのカレンダーは、なんと30万部も売れたという。彼女たちは、この57万ポンドの売上金で、白血病の治療施設とソファを病院に寄付した。

平凡な生活に飽きつつあった一人の主婦の突飛な提案に揺れる保守的な(はずの)婦人会のオバサマたち。彼女らが大きな冒険を決意するまでの心の変化を、映画は優しい視点で描く。彼女たちの姿はとても若々しく、その年齢にかかわらず“女”を感じさせる。女性のもつ強さ、繊細さ、そして美しさをリアルに描いており、とても好感が持てる。

50を過ぎたオバサマたちが、ついに決心してブラをはずすあたりは、コメディなんだかホラーなんだかわからないほどの衝撃があるが、胸やお尻はギリギリ見えない親切なカメラ構図(?)のおかげで、ヌードカレンダーを題材にしているのに下品な印象はゼロ。むしろ、品のいい映画といったイメージさえある。

75点
ありそうでなかった良質のアクションエンターテイメント

海上保安庁の海難救助エキスパート“潜水士”を目指す若者たちの青春を描いたアクション・エンターテイメント。週刊ヤングサンデーに連載され大人気となった佐藤秀峰の原作を映画化したものだ。

ところで、先日このページで同じ日本製青春映画の『下妻物語』を紹介したところ、実際に見た方たちから「本当にすばらしい映画だった」というメールを何通もいただいた。「最近の邦画はつまらないと思っていたがその考えが覆った」という声を聞いたときは、私も嬉しかった。

そんな『下妻物語』に続き、オススメするのがこの『海猿』である。この映画は、100%エンターテイメントに徹した作品で、製作費は比較にならずとも、その出来は本場ハリウッドの大作映画にも劣らない。

75点
前作をあらゆる面で超えたアッパレなパート2

アメコミ原作のアクション青春ドラマPART2。世界中で特大ヒットを飛ばした前作のおかげで、今回はハリウッド史上最高額220億円の製作費を投じて作られる事になった。トビー・マグワイア、キルスティン・ダンストといった主要キャストとサム・ライミ監督らスタッフも前作共通である。

前作から二年後。主人公のピーター・パーカーは、大学とバイトとスパイダーマンの3足のわらじ生活が限界に達しようとしていた。愛する人MJとの仲も進展せず、ヒーローとしての正体を誰にも明かせぬプレッシャーから、ついに彼はスパイダーマンをやめようと決心する。だがそのころ、新たな脅威となる敵、ドックオクが登場し、NYを危機におとしめていた。

話題作『スパイダーマン2』は、期待以上のすばらしい出来であった。前作よりはるかにパワーアップした格闘シーンの迫力、空中を飛び回る爽快感、そして数々のスペクタクルシーン。それぞれのVFXに見ごたえがあるだけでなく、ストーリー上の必然性、盛り上がりポイントにピタリと配置され、観客の心を踊らせる。すべての人の期待に見事にこたえたPART2といって良いだろう。

75点
主演女優の情熱が伝わってくる一本

全米初の女性死刑囚アイリーン・ウォーノスの半生を描いた衝撃的なドラマ。彼女が連続殺人を犯すことになった直接のきっかけである恋人との関係をメインに、主演女優が脅威の役作りで挑んだ渾身の一本。

1986年アメリカ、売春婦のアイリーン・ウォーノス(C・セロン)は、自殺する前に有り金5ドルを使い果たすつもりで入ったバーで、セルビー(クリスティーナ・リッチ)という名の女性と出会う。同性愛者である彼女もアイリーン同様、社会から疎外感を感じていた一人だった。生まれて初めて他者に受け入れられたアイリーンは、セルビーのためにもう一度人生をやり直そうと決意するが、コネも何もない街娼が簡単に復帰できる社会など、どこにもなかった。

母親が父親を撃ち殺したという壮絶な過去を持ち、自身も死刑制度反対論者である主演女優シャーリーズ・セロンの役作りは凄いの一語に尽きる。つらい環境からのし上がってきた女優だけに、もともと性根の座った人ではあるが、比較的これまで綺麗どころの役柄が多かっただけに、ここまでやるかという衝撃は激しいものがあった。

75点
的確な描写とスリリングなストーリーで見ごたえ十分

一軒の家を巡る争いと人間模様を描いた同名小説の映画化。演技派の役者をそろえ、見ごたえのある人間ドラマを展開する。

夫と別れたショックで茫然自失の日々を送る主人公(ジェニファー・コネリー)は、亡き父が残した海辺の美しい家で一人暮らしている。ところがわずか数百ドルの税金を滞納したため、当局に家を差し押さえられてしまう。弁護士に相談した結果、行政の手違いが判明したものの、そのときすでに家は競売にかけられており、イランからの移民一家に買われてしまっていた。

家の新所有者となった家族の長たる男(ベン・キングズレー)は、イランで軍の高官をつとめていたためプライドが高い。彼は家族とともに亡命してきたのだが、米国では最底辺の肉体労働者として屈辱の日々を送っていた。だから全財産をはたいて買ったこの家は、故郷と同等の暮らしに戻る最大のチャンスであり、よってそれにかける執着もハンパではない。

75点
あまりに感動的な「ピーターパンの出来るまで」

名作「ピーター・パン」の誕生秘話を、半フィクションで描いた感動物語。ジョニー・デップ(「パイレーツ・オブ・カリビアン」ほか)、ケイト・ウィンスレット(「タイタニック」ほか)、ダスティン・ホフマンといった演技派競演による、ピーターパン誕生100周年にふさわしい良質なドラマだ。

舞台は1903年のロンドン。主人公の劇作家(J・デップ)は新作の不評で落ち込む中、気晴らしの散歩中にある未亡人一家と出会う。その子供たちのひとり、なぜか空想の世界で遊ぶことを拒絶する三男のピーター(フレディ・ハイモア)に強く惹かれた彼は、やがて一家と積極的に付き合うようになる。

未亡人(K・ウィンスレット)とその子供たちと度々会うことであらぬ噂を立てられ、妻との仲がぎくしゃくしながらも、彼はピーターやその家族と深く付き合って行く。一家の中に自らの少年時代と心の傷を見た主人公は、彼らを救いたいと思うとともに、自らの情熱を新作の執筆にぶつけていく。そうして出来たその新作劇こそ、あの「ピーター・パン」というわけだ。

75点
潜水艦映画にまたひとつ傑作が誕生した

敵味方が協力して動かす羽目になったUボート艦長らの、葛藤と決断を描いた潜水艦映画。

ときは1943年、第二次世界大戦の大西洋下。敵魚雷にやられた米潜水艦の艦長と乗組員数名は、敵Uボートの捕虜にされてしまう。しかし伝染病の蔓延により乗組員が激減、Uボート艦長は生存のためやむなく捕虜たちをクルーに加える決断を下す。両軍兵士が対立する中、米駆逐艦の攻撃を受け艦は損傷、背後からは友軍のUボートもやってくる。米独どちらにつくべきか、運命共同体となった彼らに最後の決断が迫られる。

生きるために敵軍と協力する決断をした時点から、この潜水艦Uボートの目的は微妙に変化していくことになる。すなわち軍隊として敵を殲滅するという目的から、いかに生還するかという事に、本人たちも知らずに変わっていくのだ。

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