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45点
ゾンビ映画の名作が立体映画になった……ん?

日本と違ってアメリカでは、立体映画というジャンルが市民権を得ている。家族と、友達と、映画館で大いに盛り上がる習慣が根付いているあちらでは、手軽なエンタテイメントのひとつとして認識されている。本作はゾンビ映画のパイオニア的名作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を3Dでリメイクした正統派ホラーだ。

叔母の葬儀のため墓地を訪れた兄妹は、なぜか人っ子一人いない状況に困惑する。とりあえず教会に向かおうと話し合っていた刹那、彼らは生ける屍に襲われる。すんでのところで逃げ出した妹は、途中でバイクにのった若者に救われ、彼の友人一家の家へと避難する。

オリジナル版に比肩するほどの低予算作品であり、この規模で立体映画を作ること自体、いかにもアメリカ的といえる。ホラー映画史に残るあの傑作を、なぜこんなチンケな形でリメイクしたのかといえば、結局のところオリジナルの著作権が期限切れになっているからに他ならない。なにしろネット上でDVD用の高画質版が誰でもダウンロードできるようになっているくらいなのだから、(確実に巻き起こるロメロファンからの非難さえ恐れなければ)こんな企画を実現させることだって容易だろう。

45点
この映画の題名を紹介することはできません

この映画のタイトルは、主にアメリカを中心とした英語圏では最も低俗とされる4文字言葉で、公の場では通常口にするのもはばかられる。日本にも(主に差別に関するワードを中心とした)放送禁止用語なるものがありマスコミはその表記を自粛するが、それに近いものといえるだろう。

ただし決定的に違うのは、「Fuck」は使い方によって正反対の意味にもなる、すなわち他人を侮蔑する攻撃的な意図から単なる悪態、ギャグにまで姿を変えるという事。その幅広さ、オールマイティー性を含めた的確な訳語というと、なかなか思いつかない。

映画『FUCK』は、そんな不思議でお下劣な単語に関するドキュメンタリー。その語源、用法から実際の用例まで、あらゆる事例を打ち並べ、大勢の識者にインタビューした力作である。ハリウッド映画で初めて使ったのは70年の『M★A★S★H』だとか、過激アニメ『サウスパーク/無修正映画版』(99年)では227回も使っているとか、まったくもってどうでもいい知識が豊富に得られる。

45点
学徒出陣前、最後の早慶戦を感動の映画化

日本人にとって夏とくれば野球、あるいは戦争。両方一緒ならなおさらということで、学徒出陣により夢をくじかれた大学球児の実話が映画化された。

戦況悪化の1943年、敵性スポーツとみなされた六大学野球連盟は解散、中止となる。徴兵猶予も停止され、いよいよ日本は学徒出陣に追い込まれる。死地に赴く部員たちを思いやる慶應義塾の小泉塾長(石坂浩二)は、早稲田大学野球部・飛田(柄本明)に最後の早慶戦を申し入れるが、早大学長の田中(藤田まこと)の猛反対にあう。

戦争と不運な時代に翻弄される野球大好き純粋少年たちの悲劇、というやつだ。たっぷりのお涙頂戴をまぶし、感動的に作ってある。

45点
西田敏行がハリウッドデビュー

『ラーメンガール』は、西田敏行のハリウッドデビュー作品だが、その使い方を完全に間違っているなど、作り手の認識不足があらゆる面で目立つ。

恋人を追いかけ日本にやってきたアビー(ブリタニー・マーフィ)。ところが肝心の彼氏はそんなアビーがウザったくて、あっさり振ってしまう。途方にくれたアビーは、赤提灯に誘われるように目の前の薄汚いラーメン店に入る。ところがそのラーメンのあまりの美味しさに感激、言葉がまったく通じないのに翌日から無理やり弟子入りする。ガンコにもほどがある店主(西田敏行)の理不尽なシゴキにも耐え、彼女は必死に修行に励むのだが……。

西田敏行の小技が冴え渡り、彼がボヤクだけで場内は大笑。ところがこの監督はそんな西田の持ち味を生かすことができず、彼の生来持つ好感度を下げるようなことばかりする。西田演じるガンコ店主は、ヒロインが思わず訴えるとおり「虐待」の限りを尽くし、何の説得力もないイジメのような修行をおしつける。

45点
上映時間4時間の純愛叙事詩&パンチラ

「自殺サークル」(02年)、「紀子の食卓」(05年)など、作家性を"むきだし"にする作品群で知られる園子温(そのしおん)監督の最新作は、上映時間237分、タイトルが出るのが開始1時間後という、これまたとんでもない純愛エンタテイメントであった。

母を早くに亡くし、神父の父(渡部篤郎)と暮らすユウ(西島隆弘)。ところが、ある事件によって温厚な性格を一変させた父は、ユウを虐待しはじめる。教会での懺悔を日々強要されるようになったユウは、いつしか父親に告白するための"罪"をつくるため、わざと女性の股間の盗撮を繰り返すようになる。

この4時間のドラマには、様々なテーマというか要素が盛り込まれる。父と子の、というより親と子の愛情。その不足が引き起こす異常。宗教と癒し、そして愛。

45点
本格社会派作品を期待してはいけない

オリバー・ストーン監督のスケジュールに急遽空きが発生したため、オバマ就任100日少々というこんなに早い時期に、前大統領の伝記映画が登場する面白い状況が生まれた。だが、急ぎ作ったとは思えない安定したクォリティは、さすが名うての社会派監督だ。

名門ブッシュ家の息子W(ジョシュ・ブローリン)は、政治家の父ジョージ(ジェームズ・クロムウェル)と有能な弟の間に挟まれ、裕福ながら悩み多き青春時代を過ごしていた。野球の仕事がしたいと密かに考えていた彼は、父親の紹介による石油採掘の仕事もすぐに放り投げてしまう。そんなとき、Wは父から大統領選の手伝いをしてくれと頼まれ心動かされる。

ブッシュ前大統領が映画界で扱われるときは、たいていバカにされるか、強烈な批判にさらされるかのいずれかだ。ところが本作に、そうしたあからさまな反ブッシュ色はない。オリバー・ストーンは有名なアンチ・ブッシュ派だから、これは意外であった。

45点
30日間逃げ場なし!

吸血鬼が日光に弱いというのは、今では広辞苑に載ってもいいほどの常識。しかしよく考えてみると、この地球の地軸は傾いているため、地域によっては一日中まったく日が昇らないケースが存在する。それは白夜の反対=極夜といって、主に極圏で見られる現象。つまり、ここにこそ吸血鬼たちの安全地帯があったというわけだ。

北米最北端、アラスカ州のバロウが極夜を迎えた。町の人々は30日間も続く闇夜に備え、準備を怠らない。ところがその初日、貴重な労働力でもある犬たちが何者かに惨殺される。続いて停電、通信の遮断が巻き起こり、この地区は外部から孤立。保安官のエバン(ジョシュ・ハートネット)とステラ(メリッサ・ジョージ)は異変の解明に駆け回るが、事態は彼らの想像を超えた最悪のものだった。

気づいたときにはときすでに遅し。吸血鬼たちはひさびさのご馳走にありつこうと、時間無制限食べ放題タイムを、てぐすね引いて待っていたのだ。かくして、町の人々の、30日間にわたるサバイバルが始まった。

45点
多国籍スタッフによるが、中身はいかにも日本的

3DCGアニメーションというものは、本来映画作りのフォーマットの一つに過ぎないはずだった。ところがピクサーという会社が、その分野であまりに凄いものを連発してしまったために、逆に後発のクリエイターから自由を奪ってしまったのではないかと私は考えている。

ペンギンの着ぐるみをかぶっての夜のお散歩が大好きな少女ココ(声:森迫永依)。ある夜、散歩中に奇妙なフィギュアと遭遇した彼女は、それに導かれゴブリンの世界へと連れて行かれる。そこで彼女は世界を救う勇者と間違われ、村人を悩ますある存在について相談を受けることに。

『よなよなペンギン』は、日本アニメ界の重鎮りんたろう監督による3D作品だが、何とかピクサーとの違いを打ち出そうとしているような印象を受ける。あえて省略幅を増やした動きとか、無生物的な質感であるとか、その大胆なチャレンジは随所に見られる。

45点
カラヴァッジョの全集などとぜひ一緒に

休み時間のたびに女の子と図書室へ行って美術全集を眺めるという、奇妙な高校時代をすごした私であるが、そのとき本の中でひとり異彩を放つ画家がいた。素人目にもわかる、その異様な迫力は長く心に焼き付いていたが、いうまでもなくそれこそが、現在ブームでもあるカラヴァッジョであった。

16世紀のイタリア。若くしてあふれる才能をもてあましていたカラヴァッジョ(アレッシオ・ボーニ)は、パトロンのコロンナ侯爵夫人(エレナ・ソフィア・リッチ)の支えで本場のローマへと向かう。のちに親友となるマリオ(パオロ・ブリグリア)や、愛を交し合う娼婦フィリデ(クレール・ケーム)と出会い、次々と作品を生み出していくが、気性の激しさからやがて致命的なトラブルを起こしてしまう。

映画が始まって驚くのは、この映画がまさにカラヴァッジョ的な、明暗の差が激しい絵作りをしていること。撮影地となったヨーロッパには古い建物が多数残っていることもあって、こういう絵画のような映画をさらりとつくってのけてしまう。うらやましい限りだ。

45点
平凡な時代劇だが、庶民を安心させるにはちょうどいい

いまは皆が苦しい時代である。ろくな仕事はなく、結婚も出来ない。ブログを書けば暇人に荒らされ、つぶやきを書き込んでもだれもフォローしてくれない。人々は時代のせいだという。いまの世の中が悪いのだ、と。

そんな庶民の不満はやがて、「昔は良かった(はず)」との思考へ短絡的につながり、「俺が子供のころは……」「いや戦前の日本は……」「いやいや江戸時代の武士道ってのは」と、どんどんさかのぼって見たこともない時代を美化し、憧れの対象とする。

もちろん、苦しいのは今の時代だけでなく、バブル期も江戸時代もみなそれなりに苦しかったに違いない。倫理と道徳と博愛に満ちた理想的な時代など一度も、世界のどこにもありはしなかっただろう。

45点
≪苦労がうかがえるが、これで満足しろというのは厳しい≫

『踊る大捜査線 THE MOVIE』のような特別なブロックバスターは、いわば邦画ビジネスの頂点に位置する存在としてあらゆる人々の目を「映画」に向ける重要な役割を担っている。これをきっかけに人々は久々に映画館へと足を運び、そこでさまざまな宣材、予告編、あるいは映画館独特のムードに触れる。そして「次はあれを見に行ってみるか」と感じてくれるのである。そうやってビジネスの裾野が広がる。この流れはどこの国でも同じだ。

だからこの映画を作るスタッフは、きっと大きなプレッシャーを感じていたはずである。ましてこのシリーズは前2作とも100億円という、現在の景況では達成が極めて困難な興行収入を易々と記録している。今回も、そのラインを下回ることはまず許されない雰囲気だ。

チャンピオンだからこその苦悩。その上、邦画界の未来まで背負わされるのでは、たまったものではないかもしれない。

45点
≪行ってくだちい≫

結論から言う。『GANTZ』は奥浩哉の同名大ヒットコミックの、満を持しての実写映画化だが、相変わらずの邦画のダメっぷりが表れた残念賞である。ただし、希望はある。

就活中の大学生、玄野計(二宮和也)は、幼なじみの加藤勝(松山ケンイチ)と地下鉄のホームで偶然再会する。その後、ホームに落下した男を成り行きで助けようとした二人は、運悪く突入してきた列車にはねられてしまう。ところが次の瞬間、二人は天国ではなく、どこかのマンションの一室に"転送"されていた。

さて、その部屋にはどうやら同じようにどこかで命を落とした連中が次々と集まってくる。部屋の奥には、正体不明の真っ黒で巨大な球体が鎮座している。このシュールな冒頭から、予測できない命がけのサバイバルドラマが開始される。謎だらけの世界設定が魅力のSFアクションドラマである。

45点
≪少子化対策によい映画≫

映画におけるキャスティングはもちろん重要で、ときにはそこから企画が始まることもある。ハリウッドなどでは出資者を説得するための、企画者にとっての最大の武器でもある。

泣けるギャグ漫画と評判の西原理恵子の代表作の実写化『毎日かあさん』は、そのキャスティング面において、群を抜く話題性を誇る作品といえる。

漫画家で二児の母でのあるサイバラリエコ(小泉今日子)は、6歳の息子や4歳の娘に振り回され、大忙しの毎日を送っている。戦場カメラマンの夫カモシダ(永瀬正敏)はアルコール依存症でろくに仕事もせず、さらに悩みを大きくさせる存在。しかも彼の病状は悪化の一途をたどっていた。

45点
こんなにもしっかりしているのに、映画としては足りていない

NHKにしてはちょっぴりセクシーだった話題のドラマの映画版『セカンドバージン』のあまりの無難な仕上がりを見て私は、日本の芸能界の相変わらずの志の低さに失望した。これだから日本の映画はダメなのだ。こんな生ぬるい出来ではまるで、邦画を見る人は高いお金を払ってがっかりしに行くようなものではないか。なおこの段落の文章について、鈴木京香の裸が見られなかったから書いているわけでは決してない事を最初に申し上げておく。

出版業界で名を知られたキャリアウーマンのるい(鈴木京香)は、かつて燃え上がるような不倫愛の相手だったが5年間も音信不通になっていたコウ(長谷川博己)をマレーシアで発見する。思わず追いかけたるいの目前で、コウはマフィアの銃弾に倒れる。外界と隔絶されたかのような森の中の病室で孤独な看病を続けるるいは、二人の出会いから回想をはじめる……。

ドラマの総集編というわけではないが、続編でもない。すでに本編ではコウとるいの運命は決しているが、二人の最後の数日間を改めて丁寧に描きなおした形の脚本である。よって、ドラマ未見の人はおことわり。かといって見ていれば無条件で楽しめるかというとそうでもない、なんとも地味なコンセプトである。

45点
≪タイトルは爆笑だが≫

「ジョニー・イングリッシュ」(03年、英)の続編である本作には、「気休めの報酬」とのサブタイトルがついている。007シリーズのファンであれば思わずくすっと笑ってしまうであろう。題名ひとつで笑わせてくれるとは、とりあえず掴みはオッケー、である。

かつてイギリスのピンチを救ったイングリッシュ(ローワン・アトキンソン)だが、今では手ひどい失敗がもとでチベットの僧院に引っ込んでいた。そんな彼の前に再びMI7の指令が下る。イングリッシュに託されたのは、英中会談を控えた中国首相の暗殺計画阻止。久々の大仕事に奮起するイングリッシュだったが、案の定、やることなすことすべてが裏目。大事な任務をことごとく失敗し、場を混乱させるばかりという始末であった。

前作同様、ローワン・アトキンソン得意の身体を張ったギャグの数々が楽しめる。ミスター・ビーン役で彼のファンになった人にとっては、そのコミカルな動きをたっぷり味わえる。

45点
サッチャーの素顔に迫る

イギリス労働者階級にとって、賃金低下と格差の拡大をもたらした新自由主義は不倶戴天の敵、その評価はボロボロである。その強力な推進者であったマーガレット・サッチャー元首相もまた然り。

しかし、この人物が良くも悪くも世界中に影響を与えた20世紀を代表する大政治家のひとりであることに変わりはない。

だから、彼女を好意的に描いた「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」のような作品ができたとしても、それはそれで形になる。そこが薄味の政治家しかいない日本に住む身としては少々うらやましい。

45点
パワーダウン続編

前作「タイタンの戦い」(10年)は、なかなかいい映画だったが3D版がイマイチという弱点があった。もっとも3Dは鑑賞する劇場や席の位置によって印象が大きく変わるもの。そこで今回私は、なるべく良い視聴環境で試してみようとこの続編を都内のIMAX 3D劇場で鑑賞してみた。

全能の神ゼウス(リーアム・ニーソン)と人間の間に生まれた半神の勇者ペルセウス(サム・ワーシントン)は、怪物クラーケンを倒したのち、一人息子と穏やかな日常を送っていた。だがそこにゼウスが現れ、現在天上界のパワーバランスが崩れ、ゼウスらが封じ込めていたクロノスの復活が近いと告げる。人間として、息子と平和な日々を過ごしたいペルセウスはゼウスからの援軍の頼みを断るが、それが取り返しのつかぬ悲劇を招いてしまう。

この映画は冒頭のキメラ戦、クライマックスのクロノス戦ともに重要な戦いの見せ場が昼間の屋外におけるシーンなので、林立するデジタル3Dの中でももっとも画面が明るいとされるIMAX 3Dが適しているだろうと思って鑑賞したのだが、その期待は空振りに終わった。

45点
不況時代にはこういうものが受ける

最近アメリカでは、家族の絆を描いた映画が大人気である。ここまで国民にカネがなくなると、無条件で賛美できて誰でも簡単に手に入れることのできる、もしくはすでに持っている家族を賛美しておくのが一番無難。家がなくなっても金がなくなっても家族さえいれば幸せ。そうした主張は、貧乏人の不満をそらしたい金持ちにとっても、家族以外に何も持ち物がなくなってしまった貧乏人にとっても、どちらにとっても都合がいい。結果、そうしたテーマの企画ばかり、グリーンライトをともされる。マーケティングの鬼であるアメリカ映画業界を見ていれば、あの国の本質が透けて見える。そろそろ投資しているみなさんは要注意、である。

由緒ある原住民の末裔としてハワイで暮らすマット(ジョージ・クルーニー)は、こん睡状態で眠り続ける妻が浮気していたことを知りショックを受ける。さらに彼は、先祖から託された土地をどこに売るかという大問題も早急に解決しなくてはならなかった。

主人公が不幸な出来事に直面し、そこから立ち直るため、現代アメリカ人・不動のよりどころたる「家族の絆」に立ち返る物語。舞台がハワイの上流階級の話であるといった以外は取り立てて何の変哲もない話である。

45点
男女で評価が分かれるスリリングな女性映画

いまは世界中が不安定な時代である。こういうときにはそこに生きる人間も不安になるのか、最近はメンヘラ女子などという言葉まで生まれるほど、精神的に病んだ人々が増えている。「テイク・ディス・ワルツ」は、そうした気質の女の子の悩みや行動原理を、極めてリアルに描いた珍しい映画。理解するためには、現代的な感性が必要となる作品である。

フリーライターのマーゴ(ミシェル・ウィリアムズ)は、取材先でダニエル(ルーク・カービー)という青年に出会う。自分の心を的確に言い当てる彼に好意を持った彼女は、タクシー相乗りで帰宅しようとするが、驚くべきことにダニエルは向かいの家に住む隣人だった。結婚5年目のルー(セス・ローゲン)とは変わらず仲良しだったが、その日以来マーゴの心はさざ波に揺れ始める。

映画の前半は、ごく普通の恋愛ドラマのように進行する。取材先で出会った男の子と偶然隣人だったというロマンチックな展開。夫がいながら新しい男にひかれていくさまが、スリリングに描かれる。

45点
お下劣テディベア

全世界の子供たちに愛されるテディベア。あの、もふもふの可愛らしいぬいぐるみとおしゃべりできたらどんなに幸せだろう……。そんな子供たちのささやかな夢が実現する「テッド」は、しかしブラックジョークたっぷりの、決して夢見る子供たちには見せられないきつい一本だ。

少年時代に奇跡が起こり、大好きなぬいぐるみのテディ(声:セス・マクファーレン)と文字通りの親友になれたジョン(マーク・ウォールバーグ)。だが、片時も離れず27年経った今では、テディは不良中年と化し、ジョンも引きずられてダメ人間に成り下がっていた。

持ち主もテディベアも中年になり、毒舌お下品なやりとりを繰り広げる。見た目のかわいらしさとしゃべりのアンバランスに、おもわず顔をしかめながらも笑ってしまう、インパクト抜群のコメディ映画だ。

45点
監督交代でパワーダウン

アメリカ映画において、シリーズものの途中で監督が替わるのはよくあること。一作目を大御所が軌道にのせ、離陸したシリーズを新人や中堅に任せるのは王道でもある。そうして様々なリソースを節約しつつ、人材も育てながら最大限の効果をあげるというわけだ。

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(10年、米)の続編である本作もそんなひとつ。はたして吉と出るか凶と出るか。

海神ポセイドンと人間のハーフであるパーシー(ローガン・ラーマン)は、完全なる安全地帯であるはずのハーフ訓練所で結界を破った怪物に襲われる。原因は結界を守る大木が敵の策謀により枯れ始めていること。大木復活のために「黄金の毛皮」が必要だと知ったパーシーとアナベス(アレクサンドラ・ダダリオ)、グローバー(ブランドン・T・ジャクソン)らは魔の海へと旅立つことにしたが、そこに意外な人物が同行を申し出てくる。

45点
日韓合作の良いところも悪いところも

韓流熱は急速に冷え込み、政治家は挑発を繰り返す。かつて無いほどギスギスしている日韓関係だが、映画会は何のその。サントリーミステリー大賞読者賞を受賞した司城志朗のサイエンスミステリ小説『ゲノムハザード』の映画化は、日韓合作、それも企画から配給まで密接に共同作業を行う密着型で製作された。

石神武人(西島秀俊)は帰宅した自室で妻の死体を発見する。ところがそこで鳴った受話器をとると、何も変わらない妻の声が聞こえてくる。混乱する彼のもとに、怪しげな男たちが現れる。危険を察知して逃げる石神は、目の前にいた韓国人女性ジウォン(キム・ヒョジン)の車に乗り込み逃走を図るのだった。

何かの理由で記憶がおかしくなった男の、自分を取り戻す戦いを描くサスペンス。

45点
どうシリーズの個性を出していくか

大勢のヒーローが世界観を共有するマーベル・シネマティック・ユニバースも8作目。ようやくヒーローも出そろった感があるが、一番強いはずのソーが、一番パッとしない印象なのはなぜなのか。

アベンジャーズとして活躍、地球の危機を救ったソー(クリス・ヘムズワース)。あれから1年、今度はロンドンで謎の重力異常が起き、調査に行った恋人の物理学者ジェーン(ナタリー・ポートマン)の身にある事故が起きてしまう。彼女を救うため、ソーは自分の世界であるアスガルドへ連れていくが、その軽率な行動がアスガルドに壊滅的な危機をもたらしてしまう。

北欧神話でハンマー片手に勇ましく立つ戦神トールをモデルとするソーは、このアメコミ設定でも最強の戦神として圧倒的な戦闘力を誇る。演じるクリス・ヘムズワースの肉体もいままさに全盛期で、丸みを帯びた大胸筋に甘いマスクは、マッチョ好き女性の理想形といえるだろう。

45点
映画らしさがほしいところ

映画とテレビの違い。それをすっきり説明するのは難しい。映像作品という点では同じであり、アメリカと違って日本の場合は出ている役者もほぼ同じだ。だが両者を並べると、やはりどこか違いがあるわけである。

東城医大の田口(伊藤淳史)と厚生労働省の白鳥(仲村トオル)も参加する、日本初のオートプシー・イメージング(Ai)センター発足プロジェクト。それは死因究明を巨大なMRI「リヴァイアサン」の画像などから、これまでにない精度で行うというものだった。ところがそのオープンに合わせ、センターを標的とする犯行予告が届き、関係者は騒然となる。

竹内結子と阿部寛共演の映画版から始まった海堂尊原作の医療ミステリドラマだが、こちらは2作品つくられた映画版とは異なり、同時進行で人気を博したテレビドラマ版の映画化となる。

45点
コンセプトが不明瞭

未来の記憶を持ったまま過去にいけば、それはほとんど万能感に近いものがあるだろう。そんな逆ドラえもんとでもいうべき設定の物語はいくつもあるが、「幕末高校生」は、幕末の江戸時代にタイムスリップする歴史SFである。

1868年の江戸にタイムスリップしてしまった高校歴史教師の未香子(石原さとみ)と3人の生徒たち。彼女は勝海舟(玉木宏)と出会うが、毎日することもなさそうに、のほほんとした彼からは危機感がまったく感じられない。歴史上、新政府軍による江戸総攻撃が間近に迫っていると知る未香子は、無血開城のカギとなる勝のそんな能天気さにやがて不安を感じ始める。

どうもいろいろとずれを感じる企画である。あんなにかわいらしい歴史教師を出していながら色気ゼロ。ということは、ようするに男性よりも歴女向けということなのだろうが、かといって男性キャラにさほど魅力的な人物が配されているわけでもなく。

50点
孤高のデザイナーとしての存在が際立つドキュメンタリー

ファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニを1年間追ったドキュメンタリー。

一言で言えば、ファッション通信拡大版といったところ。オシャレな音楽や、絵作りもなんだか似ている。あの番組が好きな人なら、それなりに楽しめるだろう。

アルマーニの普段の生活や考え方、どんな交友関係があるのかなどが、わかるようになっておりファッション業界に興味ある方には、とくに楽しめる内容になっている。

50点
田舎の方言がいい味を出している、のどかなサスペンス

警官が、ある日起きたら拳銃をなくしたことに気づき、捜索を始めるという中国映画。

なんか、アメリカ人が大都市を舞台に作りそうなストーリーだ。だが、この映画は中国映画だし、舞台はのどかな田舎である。このアンバランス加減は、口では説明しようのない不思議感覚だ。

で、主人公の警官は、昨日出席した村の結婚式の会場に落としたのかと探しにいったり、村人(全員知り合い)に聞きまわったりする。

50点
ケイト・ウィンスレットの妊婦姿は特殊メーク無しだと思う

第2次世界大戦中のイギリスを舞台にした、軍事サスペンス映画。

前半は会話ばかりで軍事用語に疎い人などには退屈かもしれないが、後半には見せ場の暗号解読シーンがあり、ダイナミックな演出によってエンタ性も高まる。ただ全体としてみると、物語に抑揚がない点は、少々不満の残るところ。

当時の雰囲気を再現した美術は見事で、クラシックな車同士によるカーチェイスまである。ノロノロした動きがまた、ノスタルジックを感じさせる。スピードは遅いが、緊迫感はなかなかのもの。

50点
セガールはどんどん太っている

スティーブン・セガール主演のアクション映画。つい先日公開された『奪還 アルカトラズ』とあわせ、ただいまソニーピクチャーズでは、セガール祭りを開催中のようである。

あちらに比べると、『撃鉄』のほうが、映画としてはずっと本格的だ。複雑で厚みのあるストーリーは、なかなか見応えがある。とはいえ、所詮はセガール映画であるから、これが評価に良い影響を与えるかどうかは、微妙な所である。

今までのセガール映画と同様に、ノー天気に見ていると、この作品は複雑な話(というか、登場人物の相関関係がややこしい)なので、頭がこんがらかってしまう、御注意を。

50点
道教に興味のある人ならもっと楽しめる

道教をテーマにしたオカルト・スリラー。

道教をモチーフにした奥行きのある背景世界を持ち、マニア心をくすぐるちょっとした仕掛けが随所にしかけられている。そうしたディテールを拾って、おのおのが解釈を楽しむという、エヴァンゲリオン的な楽しみ方をするリピーター狙いといったところであろう。

しかしながら、日本人は道教なんて知らないよという時点で、本作の敗北は決定している。必死に解説本などを同時販売するなどして、宣伝をてこ入れしているが、どこまで効果が上がるか。私はかなり悲観的である。

50点
ひねった邦題は良いが、内容はフランス的なヘンさがある映画

砂漠を、ワルどもが大型トラックでただひたすら走るという、フランス製クライムムービー。

自然光を中心としたコントラストの強い画面は、とても乾いた印象がある。横長のシネスコサイズでみると、より殺伐とした印象のある映画だ。

全編砂漠が舞台。撮影は、砂漠のハリウッドこと、ワルザザートで行われた。ここは、『ハムナプトラ2』や『ブラックホーク・タウン』でも使われた事で知られる。

50点
設定は斬新だが中身は退屈

シャネルのモデルをやってるアナ・ムグラリス主演の、一風変わったフランス製恋愛映画。

どう変わっているかというと、『メメント』という映画を見た人ならわかると思うが、男の方があの病気なのである。つまり、数分間しか記憶を保持できない病というやつである。

そんな男とつきあう女も相当変わっていると思うが、映画なので仕方がない。彼女は、どうやら我々の予想をはるかに上回るプラス思考の持ち主のようで、「この彼となら、いつも新鮮なセックスが楽しめるわ!」という事に気付き、毎日やりまくるのである。フランス人の思考がよくわかる瞬間である。

50点
挿入曲が好みに合う人にすすめたい

ダスティン・ホフマン、スーザン・サランドン、ホリー・ハンターといった、アカデミー賞の常連俳優が競演する感動ドラマ。

男の子にとっては、彼女や奥さんの父親との関係と言うのは、なかなか微妙でデリケートな人間関係であるが、本作はそこらへんを上手に、リアルに描いてある。ホフマン演じる婚約者の父親は、不器用で、娘の死という現実をいまだに受け止め切れない男だが、さすがにホフマンは上手い。キャスティングをみればわかる通り、『ムーンライトマイル』は、主にこうした俳優陣の演技力を楽しむ映画といえる。

また、タイトルはローリング・ストーンズの同名曲の事であるが、この曲は、アルバムの片隅にひっそりと収録されていたマイナーなもの。映画の舞台は70年代なのだが、決してその時代のヒット曲は使いたくないという、監督の意向をくんだ選曲となっている。監督は、自らサントラのライナーノーツ(解説)まで書いたというほど音楽にはこだわっているので、この点も映画の見所と言えるだろう。

50点
スポーツシーンは面白いが、それを見るだけの映画にとどまっている

エクストリーム・スポーツを題材にしたアクション映画。各スポーツのトッププレイヤーを集めた、本物のスタントシーンが売り物。

ストーリーはおまけ程度なので、期待は無用。スノボーとスキーを中心とした、(CGではない)本物のアクションのみを楽しむ映画である。

ただ、そうはいってもアクション映画にとって、ストーリーは意外に大事なものである。いくらアクションシーンが優れていても、ストーリーに上手に組みこまれていないと、観客の驚きや興奮は高まらない。そう感じた経験が、この手のアクション至上主義映画を見たことがある人には、誰しもあるだろう。

50点
見事な美術とレトロな雰囲気を楽しむメロドラマ

アカデミー主要4部門にノミネートされた、古典的メロドラマ。

まだ偏見や差別意識がごく普通に存在していた、1957年のコネチカット州が舞台。キャシー・ウィテカーはいわゆる“理想の主婦”。一流企業の重役に就く夫フランクの妻、そして2児の母として、地域でも一目置かれる存在だった。

ところがある日、残業のフランクのもとへ夕食を持って行った彼女は、夫のある秘密を知ってしまう。それ以来、心が不安定になったキャシーは、優しい黒人の庭師レイモンドと交流を深めていくのだが。

50点
あまり手塚らしさは感じない、平凡なこどもアニメ

手塚プロ、6年ぶりの新作アニメ。西遊記を、比較的忠実にアニメーション化した作品である。

本作は、説教臭さの無い、ただ純粋に悟空の大活躍を描いたアニメとなっている。長大な原作を、わずか90分にまとめているわりに、案外無理無く感じられるのは、あまりに有名な話だからか。

ドラマに伏線がないので、話が平坦である。まあ、小学生くらいのお子さんとみるアニメなので、とりわけそれがマイナスという意味では無いのだが。

50点
クォリティは高いが、物語と演出がイマイチ

カンヌ国際映画祭に、日本アニメとして初めて正式出品された、47分間の中編アニメーション映画。劇場では、入場料が1000円均一で公開される。実際に自転車競技を趣味とする高坂監督に、宮崎駿氏が原作コミックをすすめたことをきっかけに、製作が実現された。

「千と千尋の神隠し」(作画監督を担当)をはじめとするスタジオ・ジブリ作品に、深く関わってきた監督だけに、アニメーションとしてのクォリティは高く、47分間の短さとはいえ、単独上映に耐えるだけのものは充分ある。

作中では、競技スポーツとしての自転車を、ディテールにこだわって描いており、隊形における戦術等、集団戦としての側面、水の補給シーンなど、実写よりもある意味リアリティを感じさせる。

50点
ドラマは平凡で印象に残らないが、子役とアフリカの自然は見もの

アカデミー外国語映画賞を受賞したドイツ映画。

ナチスの時代、その迫害を逃れるためにアフリカに渡ったユダヤ人一家の物語。その小学生くらいの娘は、アフリカ人に偏見を持っている母親とは違い、なんの差別意識も無く現地のアフリカ人若者と友情を育む。

彼女の目を通して描くアフリカと、その原住民が大変魅力的で、現地に長くすむユダヤ系の人々が、揃って彼らに尊敬の念を持って接する気持ちが、クーラーの効いた劇場に座って見ている我々にも良く伝わってくる。

50点
宮村優子の声以外、なにも変わった事は起こらない日常を描く

日本で初めて、撮影から上映まで、全てデジタルで行うという、意欲的な映画。通常の映画は、フィルムにプリントして各映画館別に配るわけだが、これはそれぞれ、せいぜい数百回しか使用する機会が無く、資源面でも無駄が多く、環境によろしくない。また、上映コストを膨らませる原因ともなっているので、今後はフィルム不要のデジタル方式に、徐々に移ることになるのだろう。

上映、製作のコストが下がることで、金はないが才能はある若い製作者も、今までより世に出やすくなるわけで、我々観客にとっても一石二鳥というわけである。

『ハート・オブ・ザ・シー』は、そんなデジタル映画のさきがけとなるものだが、内容はゆったりとした時間のなかで、故郷の良さをほのぼのと描く。劇的な出来事は、1つも起こらない。日常を描いたドラマである。

50点
ママも満足、イケメンライダー大活躍

いわずとしれた、恒例の戦隊もの&特撮ヒーローもの映画版である。カップリングを見る限り、男の子向け、ということになるのだろう。だが、本当にこの映画を楽しみにしているのは、イケメン目当てのお母さんかもしれない。

仮面ライダー555は、”ファイズ”と読むわけであるが、TV版とは、キャラクターだけが共通しており、世界設定やストーリーは、完全なオリジナル。映画だけ見て、楽しめる出来になっている。

85分という堂々たる上映時間から見てわかる通り、ちゃんと力を入れて作ってある。男の子たちが、しょっちゅう上半身ハダカになるなど、オトナの女性向けサービスもあるので、奥様方も安心である。

50点
どうせヤラセだろ……と思ったら終わりだ

ジョージクルーニーが初めてメガホンを取り、スティーブン・ソダーバーグ(『オーシャンズ11』)が製作総指揮、チャーリー・カウフマン(『マルコヴィッチの穴』)が脚本、出演者も、チャリエンのドリュー・バリモア、ジュリア・ロバーツなど、豪華なスタッフで作られた実話ドラマ。

なんでも、主人公のTVプロデューサー本人の自伝が原作だそうだが、事の真偽は怪しいというほかない。ただの妄想じゃないの? と思いたいところだが、まあ、その辺を深く追求しない事で、ロマンも芽生え、映画の話題性も上がるというわけである。

こんなストーリーでも、豪華出演者がマジメに演じる事で、高級なドラマ仕立てになっている。サスペンスとして、ラストにちょいと驚きも用意されており、そこそこ楽しめる。

50点
ムダ肉ゼロの細いウェストが色っぽい

実際の事件をもとに書かれた松田美智子の『女子高生誘拐飼育事件』を原作にした映画『完全なる飼育』シリーズの新作。

一応、最後には泣かせる感動シーンがあるが、そこまでついていけるかどうかが、ひとつの問題だ。エロ&変態話の過激さに、フツーの方は振り落とされる恐れが大きい。逆に、それを目当てに行く人には、十分満足できよう。

本作は、低予算エロ系映画ながら、美術と、映像のセンスが良い。主演の山本太郎の着るクラシカルなスーツや無国籍な部屋、怪しげな地下室の内装の美しさは、見ていて感じがいい。とくにこの地下室、ゆらゆらゆれるキャンドルの炎が、現実と虚構の区別をあいまいにするかのような効果を生んでいて面白い。

50点
カメラマンの視点の映像は、じつにたくさんの事を教えてくれる

"ロバート・キャパの魂を受け継ぐ男" ジェームズ・ナクトウェイに密着したドキュメンタリー映画。インドネシア、コソボ、パレスチナ、ニューヨークでの、戦場カメラマンとしての彼の仕事ぶりを描く。

伝統的な手法で作られた、まっとうなドキュメントだ。真新しさは無いものの、戦場カメラマンの仕事という題材は、いままさにタイムリーだから、興味のある方なら楽しめるだろう。

撮影機材の進歩により、いままでは表現しきれなかった細かい部分まで、この映画は見せてくれる。たとえば、ナクトウェイのスチルカメラにくっつけたCCDカメラの映像により、プロのカメラマンの視点は言うに及ばず、どのタイミングで彼がシャッターを押すのかとか、彼がどんな呼吸の仕方をしているのかなど、非常に細かい部分まで観客にわかるようになっている。

50点
まずは、登場人物の顔と名前を一致させること

『ダイ・ハード』『レッド・オクトーバーを追え!』のジョン・マクティアナン監督による、はじめてのサスペンス作品。

『シックス・センス』や『ユージュアル・サスペクツ』といった、最後にドカーン型ではなく、話の途中で新事実が発覚するたびに、二度三度と真相の姿ががらりと変わりゆく『羅生門』型のサスペンスだ。どんでん返しがおこるたびに、ふりだしに戻って真相解明のやりなおしだから、実に疲れる。脳みその酸素必要量の多い映画だ。

そんなわけで、『閉ざされた森』は、頭の調子が良いときに挑むべき映画である。ミステリ好きが本気で真相解明に挑戦する事ができるパズラー的映画であり、普通の人がのほほんと見ていて楽しめる映画ではない。その場合、間違いなく急転直下する展開に置いていかれる。

50点
もうちょいスマートにできなかったものか

高等専門学校ロボットコンテスト(これを略してロボコン)を題材にした、青春ドラマ。

この競技を映画にするというアイデアは、なかなか良かったと思う。ただ、せっかく真新しい題材を得たのだから、もうちょい上手く料理していたらな、と惜しい印象もうけた。

『ロボコン』は、少々マジメ過ぎるのだ。カメラワークはNHKだかのロボコン中継を見ているようで地味だし、若い役者たちの演技はみな優等生っぽいしと、なんだか『中学生日記』みたいな、文部省ご推薦映画をみているような印象である。

50点
いつもと同じように笑える安心感がある

西田敏行と三國連太郎が主演の、おなじみのコメディシリーズ。

『釣りバカ日誌』は、50代以上の、普段は映画館なんて行った事もないオジさんオバさんが、いつも新聞屋からタダで券をもらえるから、なんていう理由で、これだけは毎年やってくるというシリーズである。

続きに続き、もうpart14(スペシャル等を含めると16作目)であるが、今回もほかの回とまったく同じである。このシリーズの中身を見ただけでパートいくつだとわかったら、きっとTVチャンピオンに出れるだろう。

50点
低予算のわりに安っぽさは全く無い、品の良い映画

パリで一人暮らしの老女を主人公に、老いというテーマを、血のつながりの無い中年女性とのつながりのなかで描くドラマ。岩波ホールで公開される事からわかる通り、通好みのしっとりとした、格調高い作品である。

しかし、実はこの映画、かなり低予算で作られたものである。主人公の老婆役は、新聞広告で一般公募して決定。もう一人の主人公である中年女性役は、監督の住むアパートの隣の住人。音楽担当者も、ギターが趣味の同じ住民。撮影場所となるアパートの部屋は、女優の私室を使って撮影したそうである。デジタルビデオ撮影で、編集も自前でやったそうだ。監督自身や息子も出演しており、まさに手作りの映画といえる。

しかし、後から聞かされなければ、そうした金銭面での苦労という事情には気づかなかっただろう。出来あがった映画はちゃんとしており、まったく安っぽさは感じられない。これはパリのもつ街並の美しさと、監督の美的センスのおかげといえよう。

50点
中学1年生はタダ! 必見だヨ

警察の特殊部隊スワットを主役に取り上げたアクション映画。いまでは警察特殊部隊の代名詞になっている“S.W.A.T.”発祥の地、ロス市警が舞台になっている。一応、1975年の『特別狙撃隊SWAT』というテレビシリーズが元になっている。

ハリウッドのアクション映画でS.W.A.T.に焦点を当てたものは初めて。というわけで、前半はこの組織についての説明的シーンが続く。本物にこだわった装備品や身のこなしを、ここはたっぷり楽しむとしよう。手首を掴んで銃を撃つような、インチキな動きは一切ない。これならガンマニアも納得の出来だろう。

ただ、映画『S.W.A.T.』の魅力はここまで。そこから先は、組織は描けど人物が描けず、の典型的末路をたどる。

50点
歴史の暗部をわかりやすく描いている

アルメニア人の大殺戮という、歴史事実を描いたカナダ製の重厚なドラマ。いわゆる、虐殺の被害者側からのメッセージである。

この映画を作るにあたっては、題材が題材だけに、虐殺の加害者側であるトルコ政府からの圧力があったようで、製作中止を求めて裁判沙汰寸前までいったという。また、アメリカの配給元であるミラマックス社や監督本人にも、脅迫メールが殺到したそうだ。

なにしろ、まだトルコ政府は、公式に虐殺を認めていないのだから、反応も過敏になるというわけである。

50点
少々都合がいいな、と感じる部分がある

スペイン・カナダ合作の、静かな雰囲気のドラマ。幸せな専業主婦が、余命わずかと診断され、夫にも内緒にして「死ぬまでにしたい事リスト」を作るというストーリー。30〜40代くらいの女性、とくに主婦に向けたお話といっていいだろう。

主人公の主婦は、夫婦仲もいいし、理想的なしあわせ家族だと言うのに、「死ぬまでにしたい事リスト」のなかには、「夫以外の男性とセックスする」などという項目が入っている。ここいらあたりが、冒険欲求を隠し持つ、世のマジメな主婦層の心理をうまくついた設定というわけである。

製作総指揮が『トーク・トゥ・ハー』の監督、ペドロ・アルモドバルという点も、そのへんの客層を引き付ける要素になろう。何しろ今は女性たちの間で、スペイン映画がちょっとしたブームであり、ペドロ氏は、その中でもビッグネームなのだから。このストーリーとスタッフ、キャストを、上手く女性誌が紹介するだけで、そこそこヒットが望めそうな映画である。

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